【文献】
Environmental Progress,1993年 8月,Volume 12, Issue 3,231-237
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多層シリカゲルは、前記油性液体を添加する側から順に、硫酸シリカゲル層と、硝酸銅と硝酸銀との混合水溶液によりシリカゲルを処理することで得られる混合硝酸塩シリカゲル層とを含む、請求項1に記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
工程4において、前記第二層に対し、前記脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向に前記抽出溶媒を供給して通過させる、請求項1から4のいずれかに記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
工程4において前記第二層に対して前記抽出溶媒を供給する前に、前記第二層に残留している前記脂肪族炭化水素溶媒を除去する、請求項1から5のいずれかに記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
前記多層シリカゲルは、硫酸シリカゲル層と、硝酸銅と硝酸銀との混合水溶液によりシリカゲルを処理することで得られる混合硝酸塩シリカゲル層とを含み、前記混合硝酸塩シリカゲル層が前記第二カラム側に配置されている、請求項7に記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出用カラム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るポリ塩化ビフェニル類(PCB類)の抽出方法は、PCB類を含む油性液体からPCB類を抽出するための方法に関するものである。
【0021】
抽出対象となる油性液体としては、例えば、PCB類を含む試料(例えば、焼却施設から排出される排ガスや焼却灰、大気、土壌、底質、工業排水、血液、母乳並びに海水、河川水、湖沼水および地下水等の環境水。)からPCB類の分析のために有機溶媒(例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒やトルエン等の芳香族炭化水素溶媒などの疎水性溶媒。)を用いてPCB類を抽出した抽出液、化学実験や化学工場において発生したPCB類を含む廃有機溶媒、並びに、トランスやコンデンサなどの電気機器において用いられていたPCB類を含む鉱物油や合成油(通常は脂肪族炭化水素であり、例えば、炭素数が10〜15個程度の直鎖脂肪族炭化水素を主成分とするもの。)およびこれらの鉱物油や合成油であって金属ナトリウム法等によるPCB類の脱塩素化処理を適用中または適用されたものなどを挙げることができる。
【0022】
図1を参照して、本発明に係るPCB類の抽出方法を実施するために用いられる抽出用カラムの一例を説明する。図において、抽出用カラム1は、主に、第一カラム10、第二カラム20(本発明に係るポリ塩化ビフェニル類の捕捉用カラムの一形態)および両カラム10、20を連結するための連結部材30を備えており、第一カラム10から第二カラム20にかけて一連の流路系を形成している。
【0023】
第一カラム10は、下端部10aの外径および内径が縮小された円筒状に形成されており、上端部および下端部にそれぞれ開口部11、12を有している。この第一カラム10は、例えば、ガラスまたは耐溶媒性を有するプラスチックを用いて形成されており、内部に第一層13が充填されている。第一層13は、油性液体に含まれるPCB類以外の夾雑成分を捕捉等するためのものであり、種類の異なるシリカゲルを積層した多層シリカゲルからなる。
【0024】
多層シリカゲルは、少なくとも硫酸シリカゲル層と硝酸塩シリカゲル層との二種類の層を備えている。硫酸シリカゲル層を形成する硫酸シリカゲルは、濃硫酸をシリカゲル(好ましくは活性シリカゲル)の表面に均一に添加して調製されたものである。
【0025】
硝酸塩シリカゲル層を形成する硝酸塩シリカゲルは、シリカゲル(好ましくは活性シリカゲル)を硝酸塩により処理したものである。硝酸塩シリカゲルの一例は、硝酸銀シリカゲルである。硝酸銀シリカゲルは、蒸留水等の精製水に硝酸銀を溶解することで調製した硝酸銀水溶液をシリカゲル(好ましくは活性シリカゲル)表面に均一に添加した後、減圧下での加熱により水分を除去することで調製することができる。
【0026】
硝酸塩シリカゲルの他の例は、硝酸銅と硝酸銀との混合水溶液によりシリカゲル(好ましくは活性シリカゲル)を処理することで得られる混合硝酸塩シリカゲルである。このような混合硝酸塩シリカゲルの調製において用いられる硝酸銅は、水和物、例えば、三水和物、六水和物または九水和物であってもよく、通常は三水和物を用いるのが好ましい。
【0027】
混合硝酸塩シリカゲルは、シリカゲルの表面に上述の混合水溶液を均一に添加した後に乾燥することで調製することができる。混合水溶液は、蒸留水等の精製水に硝酸銅と硝酸銀とを溶解することで調製されるものであり、通常、その全量を活性シリカゲルに対して添加したときに、硝酸銅および硝酸銀の重量がそれぞれシリカゲルの重量の5〜50%になるよう硝酸銅および硝酸銀の濃度を調整したものを用いるのが好ましい。ここで、硝酸銅水和物を用いる場合、その使用量は水和水を除いた重量を基準とする。
【0028】
また、混合水溶液は、混合硝酸塩シリカゲルにおいて、銅元素と銀元素とのモル比(銅元素:銀元素)が1:0.5〜2.0、特に、1:0.8〜1.5に設定されるよう、硝酸銅と硝酸銀との割合を調節するのが好ましい。混合硝酸塩シリカゲルは、硝酸銀シリカゲルに比べ、調製後の時間の経過により夾雑成分の捕捉能が劣化しにくいものであるが、銅元素と銀元素とが上記の割合の場合、自由水と半結合水との化学的安定性が高まることから適度の水分量を維持し易くなり、しかも、硝酸イオンの結合力を適度に維持し易くなるため、調製後の時間の経過による夾雑成分の捕捉能の劣化がさらに生じにくくなる。
【0029】
好ましい多層シリカゲルの一例は、硫酸シリカゲル層と硝酸銀シリカゲル層とを含むものである。この場合、硫酸シリカゲル層と硝酸銀シリカゲル層との積層順序は任意に設定することができる。具体的には、下層側(第一カラム10の下端の開口部12側)に硝酸銀シリカゲル層を配置し、その上に硫酸シリカゲル層を配置してもよいし、下層側に硫酸シリカゲル層を配置し、その上に硝酸銀シリカゲル層を配置してもよい。
【0030】
好ましい多層シリカゲルの他の一例は、硫酸シリカゲル層と混合硝酸塩シリカゲル層とを含むものである。この場合、下層側に混合硝酸塩シリカゲル層を配置し、その上に硫酸シリカゲル層を配置するのが好ましい。
【0031】
多層シリカゲルにおいて、硫酸シリカゲル層を形成する硫酸シリカゲルの充填密度は、特に限定されるものではないが、通常、0.3〜1.1g/cm
3に設定するのが好ましく、0.5〜1.0g/cm
3に設定するのがより好ましい。また、硝酸塩シリカゲル層を形成する硝酸塩シリカゲルの充填密度も、特に限定されるものではない。但し、硝酸銀シリカゲルを用いる場合は、通常、0.3〜0.8g/cm
3に設定するのが好ましく、0.4〜0.7g/cm
3に設定するのがより好ましい。また、混合硝酸塩シリカゲルを用いる場合は、通常、0.3〜1.0g/cm
3に設定するのが好ましく、0.4〜0.9g/cm
3に設定するのがより好ましい。
【0032】
多層シリカゲルは、硫酸シリカゲル層および硝酸塩シリカゲル層に加え、他の層を含んでいてもよい。他の層を形成する材料としては、例えば、シリカゲル、活性シリカゲル、硫酸ナトリウム、フロリジル(ケイ酸マグネシウム)、活性白土、ガラスウールまたは石英ガラスウールなどを挙げることができる。多層シリカゲルは、二種類以上の他の層を含んでいてもよい。
【0033】
多層シリカゲルにおいて、シリカゲル、活性シリカゲル、硫酸ナトリウム、ガラスウールまたは石英ガラスウールの層は、任意の部位に配置することができる。但し、シリカゲルまたは活性シリカゲルの層は、硫酸シリカゲル層と硝酸塩シリカゲル層との間、または、多層シリカゲルの最下層に配置するのが好ましく、硫酸ナトリウムの層は、多層シリカゲルの最上層に配置するのが好ましい。
【0034】
また、フロリジルまたは活性白土の層は、硫酸シリカゲル層よりも下層の位置であれば、任意の部位に配置することができる。
【0035】
第二カラム20は、円筒状に形成されており、上端部および下端部にそれぞれ開口部21、22を有している。この第二カラム20は、例えば、ガラスまたは耐溶媒性および耐熱性を有する樹脂材料を用いて形成されており、内部に第二層23が充填されている。第二層23は、PCB類の捕捉剤である金属酸化物修飾酸化アルミニウムを充填した層である。この第二層23は、第二カラム20の開口部22側に空隙24が形成されるよう、開口部21側に片寄って充填されている。同様の空隙は、開口部21側にも設けられていてもよい。第二カラム20の外径および内径は、通常、第一カラム10の下端部10aのこれらの径よりも大きく設定するのが好ましいが、下端部10aのこれらの径と同じに設定することもできる。
【0036】
第二層23において用いられる金属酸化物修飾酸化アルミニウムは、酸化ニッケルおよび酸化銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物により修飾された酸化アルミニウムである。このような金属酸化物修飾酸化アルミニウムは、ニッケル塩および銀塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属塩の水溶液と酸化アルミニウムとを混合し、この混合物から水分を蒸発させて乾燥することで得られる固形物を空気雰囲気下で焼成することで得られる。
【0037】
金属酸化物修飾酸化アルミニウムの調製において用いられる酸化アルミニウムは、固体状のものであり、通常、γ−アルミナ、δ−アルミナまたはθ−アルミナのような中間アルミナが好ましく、また、塩基性、中性または酸性のいずれのものであってもよい。また、酸化アルミニウムは、活性度が限定されるものではなく、各種の活性度のものを用いることができる。
【0038】
金属塩であるニッケル塩としては、水への溶解度および分解性が良好なことから、通常、硝酸ニッケル、塩素酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、臭化ニッケル、臭素酸ニッケル、フッ化ニッケルまたはヨウ化ニッケルが用いられる。これらのニッケル塩は、二種以上のものが併用されてもよい。
【0039】
金属塩である銀塩としては、水への溶解度および分解性が良好なことから、通常、硝酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀またはフッ化銀が用いられる。これらの銀塩は、二種以上のものが併用されてもよい。
【0040】
金属塩の水溶液における金属塩の濃度は特に限定されない。但し、酸化アルミニウムに対する金属塩水溶液の混合量は、通常、酸化アルミニウムの重量(g)あたりの金属(ニッケルおよび銀のうちの少なくとも一つ)の量(mmol)が0.1〜10mmolになるよう設定するのが好ましく、0.5〜5mmolになるよう設定するのがより好ましい。
【0041】
空気雰囲気下での焼成は、金属酸化物を生成するための処理であり、この処理により目的の金属酸化物修飾酸化アルミニウムが得られる。また、焼成は、空気雰囲気下で実行した後、続いて窒素雰囲気下で実行するのが好ましい。窒素雰囲気下での焼成により、酸化アルミニウムの表面を活性化することができる。また、焼成後の室温への降温過程において、生成した金属酸化物修飾酸化アルミニウムに水分や酸素が吸着するのを抑えることができ、それによって生成した金属酸化物修飾酸化アルミニウムの活性を維持または安定化することができる。
【0042】
空気雰囲気下での焼成および窒素雰囲気下での焼成は、いずれも1,000℃以下で行うのが好ましい。
【0043】
第二層23における金属酸化物修飾酸化アルミニウムの充填密度は、特に限定されるものではないが、通常、0.5〜1.8g/cm
3に設定するのが好ましく、0.8〜1.6g/cm
3に設定するのがより好ましい。
【0044】
連結部材30は、第一カラム10の下端部10aと第二カラム20の上端部とを挿入可能な筒状の部材であり、各種の溶媒、特に炭化水素溶媒に対して安定で耐熱性を有する材料、例えば、耐溶媒性および耐熱性を有する樹脂材料を用いて形成されている。この連結部材30は、第一カラム10の下端部10aと第二カラム20の上端部とを着脱可能に連結している。したがって、抽出用カラム1において、第一カラム10と第二カラム20とは分離可能である。
【0045】
抽出用カラム1の大きさは、PCB類を抽出する油性液体の量に応じて適宜設定することができるが、油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定するために油性液体からPCB類を抽出する前処理をするときは、油性液体から少量若しくは微量の試料を採取して本発明の抽出方法を適用すれば足りるため、それに応じて抽出用カラム1を小型に設定することができる。例えば、油性液体から採取した1.0〜500mg程度の試料について、PCB類の濃度を測定するためにPCB類を抽出する場合、抽出用カラム1における第一カラム10の大きさ(第一層13を充填可能な部分の大きさ)は、内径10〜20mmで長さが30〜110mmのものが好ましく、また、第二カラム20の大きさ(第二層23を充填可能な部分の大きさ)は、内径2.0〜10.0mmで長さが10〜200mmのものが好ましい。
【0046】
次に、上述の抽出用カラム1を用いたPCB類の抽出方法を説明する。この抽出方法では、先ず、
図2に示すように、抽出用カラム1を通過する後述の脂肪族炭化水素溶媒を受けるための溶媒容器40を第二カラム20の下端部に配置する。
【0047】
次に、油性液体から少量若しくは微量(通常は1.0〜500mg程度)の試料を採取し、この試料を第一カラム10の上端部の開口部11から第一層13へ添加する(工程1)。この際、第一層13へ試料を添加するとともに、第一層13へ試料を溶解可能でありかつ後述の脂肪族炭化水素溶媒と混和可能な炭化水素溶媒を添加し、試料を希釈してもよい。炭化水素溶媒は、通常、第一層13へ試料を添加した直後に続けて添加してもよいし、予め試料へ添加しておいてもよい。
【0048】
次に、
図3に示すように、第一カラム10の上端側の開口部11に対して第一カラム10へ溶媒を供給するためのリザーバ50を装着し、このリザーバ50内に脂肪族炭化水素溶媒を貯留する。そして、リザーバ50に対し、その内部を加圧するための加圧装置51を装着し、そのポンプ52を作動することでリザーバ50内を加圧する。これにより、リザーバ50内に貯留された脂肪族炭化水素溶媒は、第一カラム10内の第一層13へ連続的に徐々に供給され、第一層13を通過する(工程2)。そして、第一層13を通過した脂肪族炭化水素溶媒は、第一カラム10の開口部12から連結部材30へ流れ、開口部21から第二カラム20内へ流れる。
【0049】
この際、第一層13に添加された試料中のPCB類は、脂肪族炭化水素溶媒に溶解し、脂肪族炭化水素溶媒とともに第一層13を通過して第二カラム20内へ流れる。また、試料中に含まれる各種の夾雑成分の一部は、第一層13に吸着して捕捉され、第一カラム10内に保持される。
【0050】
第二カラム20内へ流れた脂肪族炭化水素溶媒は、第二カラム20内の第二層23へ供給されてこの層を通過し、開口部22から排出されて溶媒容器40により受けられる(工程3)。この際、第一カラム10からの脂肪族炭化水素溶媒中に溶解しているPCB類は、第二層23により捕捉され、第二カラム20内に保持される。
【0051】
ここで、脂肪族炭化水素溶媒中に溶解しているPCB類は、第二層23により捕捉されやすいことから、第二カラム20内の上端部の開口部21付近で主に保持される。また、第一層13において吸着・捕捉されずにPCB類とともに第二カラム20へ流れた残余の夾雑成分は、脂肪族炭化水素溶媒とともに第二層23を通過し、溶媒容器40により受けられる。
【0052】
リザーバ50に貯留する脂肪族炭化水素溶媒は、試料中のPCB類を溶解可能なものであり、通常は炭素数が5〜8個の脂肪族飽和炭化水素溶媒、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンおよびシクロヘキサンなどである。特に、n−ヘキサンが好ましい。リザーバ50における脂肪族炭化水素溶媒の貯留量、すなわち、第一カラム10へ供給する脂肪族炭化水素溶媒の総量は、通常、10〜120mLに設定するのが好ましい。また、リザーバ50からの脂肪族炭化水素溶媒の供給速度は、ポンプ52によるリザーバ50内の加圧状態の調節により、通常、0.2〜5.0mL/分に設定するのが好ましい。
【0053】
次に、連結部材30から第一カラム10を取り外すことで第二カラム20と第一カラム10とを分離する。そして、
図4に示すように、第二カラム20の上下を反転し、その第二層23の周りに加熱装置60を配置する。また、
図4に示すように、上下反転により第二カラム20の上端側に移動した開口部22に加圧装置51を装着する。そして、加熱装置60により第二層23を35〜90℃程度に加熱しながらポンプ52を作動させ、開口部22から第二カラム20内に窒素ガス等の不活性ガスや空気を供給する。これにより、第二カラム20内に残留している脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が不活性ガス等とともに第二カラム20の下端側に移動した開口部21から排出され、第二層23から脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が除去される。この結果、第二層23は乾燥処理される。ここで用いられる加熱装置60は、ヒーターやペルチェ素子などであり、第二カラム20内の第二層23全体を所要の温度に加熱可能なものである。
【0054】
なお、
図4において、第二カラム20は連結部材30が取り付けられた状態で表示されているが、連結部材30は、第二カラム20から取り外されていてもよい。
【0055】
次に、加圧装置51を第二カラム20から取り外し、
図5に示すように、第二カラム20の上端側に移動した開口部22側の空隙24へPCB類を溶解可能な抽出溶媒を貯留する。この抽出溶媒は、自重により流下し、第二層23内へ徐々に供給される。
【0056】
第二層23へ供給された抽出溶媒は、第二層23を通過し、第二カラム20の下端側に移動した開口部21から流出する(工程4)。この際、抽出溶媒は、第二層23に捕捉されたPCB類を溶解し、このPCB類とともに開口部21から流出する。このため、開口部21から流出する抽出溶媒を確保すると、PCB類の抽出溶媒溶液、すなわち、目的とするPCB類の抽出液が得られる(工程5)。
【0057】
ここで、PCB類は、主に、第二層23の開口部21側付近において捕捉されているため、第二層23に捕捉されたPCB類の実質的に全量は、第二カラム20から流出する主に初流部分の抽出溶媒に溶解した状態になる。したがって、開口部21から流出する初流部分の抽出溶媒を確保するだけで、目的とするPCB類の抽出液を得ることができる。この抽出液は、分量の少ない上述の初流部分からなるため、後述する分析操作において利用しやすい少量になる。また、ここで得られるPCB類の抽出液は、第二層23より脂肪族炭化水素溶媒を除去してから第二カラム20へ抽出溶媒を供給して得られたものであるため、脂肪族炭化水素溶媒およびそれに溶解している夾雑成分の混入が少ない、高純度の抽出液になり得る。
【0058】
本実施の形態に係る抽出方法によれば、通常、作業開始(工程1)から0.5〜1時間程度の短時間で上述の抽出液を得ることができる。
【0059】
第二層23からのPCB類の抽出時において、第二層23は、加熱装置60により加熱しながら抽出溶媒を供給するのが好ましい。第二層23の加熱温度は、通常、少なくとも35℃になるよう設定するのが好ましく、60℃以上になるよう設定するのがより好ましい。加熱温度の上限は、特に限定されるものではないが、通常、90℃程度である。抽出時に第二層23を加熱すると、第二層23に捕捉されたPCB類は、より少量の抽出溶媒により全量が抽出されやすくなるので、PCB類の抽出液量を後述する分析操作において利用しやすいより少量に設定することができる。
【0060】
第二層23からPCB類を抽出するための抽出溶媒は、PCB類の分析方法に応じて選択することができる。分析方法としてガスクロマトグラフィー法を採用する場合、抽出溶媒としてPCB類を溶解可能な疎水性溶媒を用いる。このような疎水性溶媒としては、例えば、トルエン、トルエンと脂肪族炭化水素溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンなど)との混合溶媒および有機塩素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタンなど)と脂肪族炭化水素溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンなど)との混合溶媒などが挙げられる。このうち、より少量の使用で第二層23からPCB類を抽出できるトルエンが好ましい。
【0061】
疎水性溶媒を抽出溶媒として用いた場合、工程5において得られる抽出液は、そのままで、または、必要に応じて適宜濃縮することで、ガスクロマトグラフィー法での分析用試料として用いることができる。ガスクロマトグラフィー法は、各種の検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて実施することができるが、通常は、PCB類に対する感度が良好なガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)またはガスクロマトグラフ電子捕獲検出法(GC/ECD法)が好ましい。特に、GC/MS法によれば、分析用試料に含まれるPCB類を異性体や同族体の単位で定量することができ、分析結果からより多くの知見を得ることができる。
【0062】
また、分析方法としてバイオアッセイ法を採用する場合、抽出溶媒としてはPCB類を溶解可能な親水性溶媒を用いる。このような親水性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)やメタノールが挙げられる。
【0063】
親水性溶媒を抽出溶媒として用いた場合、工程5において得られる抽出液は、そのままで、イムノアッセイ法やELISA法等のバイオアッセイ法での分析用試料として用いることができる。
【0064】
本発明の抽出方法は、第一カラム10の第一層13において夾雑成分の除去能が高い多層シリカゲルを用いていることから油性液体に含まれる夾雑成分を効果的に除去可能であり、また、第二カラム20の第二層23においてPCB類の捕捉能が高い金属酸化物修飾酸化アルミニウムを用いていることからPCB類を高回収率で抽出可能である。このため、この抽出方法により得られた抽出液を分析用試料として用いると、油性液体に含まれるPCB類を高精度に測定することができる。
【0065】
本発明の抽出方法は、油性液体に含まれる夾雑成分を効果的に除去可能なことから、夾雑成分の含有量が多い環境試料(例えば、焼却施設から排出される排ガスや焼却灰、大気、土壌、底質、工業排水並びに海水、河川水、湖沼水および地下水等の環境水)や生体試料(例えば、血液や母乳)に含まれるPCB類の分析用試料を調製する場合において、特に有用である。
【0066】
上述の実施の形態は、例えば、以下のような変形が可能である。
(1)上述の実施の形態では、第二カラム20の第二層23を金属酸化物修飾酸化アルミニウムにより形成しているが、第二層23は、PCB類の捕捉性を損なわない程度において、金属酸化物修飾酸化アルミナとともに他の材料、例えば、酸化コバルト、酸化ジルコニア、酸化セリウム、酸化チタンまたは酸化鉄等を含んでいてもよい。他の材料は、二種以上のものが用いられてもよい。
【0067】
(2)上述の実施の形態に係る抽出方法の工程1では、第一層13の多層シリカゲルにおいて、硫酸シリカゲル層を加熱するのが好ましい。加熱により、試料に含まれるPCB類以外の夾雑成分、特に芳香族化合物は、一部が硫酸シリカゲル層と反応し、分解される。そして、この反応による分解生成物は、主に硫酸シリカゲル層または硝酸塩シリカゲル層に捕捉され、保持される。また、加熱された硫酸シリカゲル層は、強力な脱水作用を示すことから、試料に混入している水分を効果的に吸収する。結果的に、試料に含まれる夾雑成分は、硫酸シリカゲル層の加熱により、より効果的に除去され得る。
【0068】
硫酸シリカゲル層の加熱温度は、35℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上に設定する。加熱温度の上限は、特に限定されるものではないが、通常は安全性の観点から90℃以下が好ましい。加熱温度が35℃未満の場合は、試料に含まれる夾雑成分と硫酸シリカゲルとの反応が進行しにくくなる。また、硫酸シリカゲル層の加熱時間は、通常、10〜60分に設定するのが好ましい。加熱時間が10分未満の場合は、試料に含まれる夾雑成分の分解が不十分となり、加熱による効果が達成されにくくなる可能性がある。
【0069】
硫酸シリカゲル層の加熱により、多層シリカゲルの硝酸塩シリカゲル層が同時に加熱されると、硝酸塩シリカゲル層に捕捉された夾雑成分またはその分解生成物の一部が硝酸塩シリカゲル層から脱着する可能性がある。このため、硫酸シリカゲル層を加熱するときは、例えば、多層シリカゲルにおいて硫酸シリカゲル層と硝酸塩シリカゲル層との間にシリカゲル層を配置するなど、硝酸塩シリカゲル層が同時に加熱されないように工夫するのが好ましい。
【0070】
工程1において硫酸シリカゲル層を加熱した場合、加熱終了後に硫酸シリカゲル層を常温(通常は10〜30℃程度の室温)まで冷却した後、次の工程2を実行する。
【0071】
(3)上述の実施の形態では、第一カラム10と第二カラム20との間を連結部材30により着脱可能に連結しているが、カラム間の連結には他の手段を用いることもできる。例えば、カラムの連結部に摺り合わせ部を設け、カラム間をこの摺り合わせ部の接続により着脱可能に連結することができる。
【0072】
(4)上述の実施の形態では、リザーバ50に貯留した脂肪族炭化水素溶媒を加圧装置51により加圧することで第一カラム10へ供給しているが、リザーバ50の脂肪族炭化水素溶媒は、加圧装置51を用いずに自重により自然に第一カラム10へ流下させることもできる。また、脂肪族炭化水素溶媒は、シリンジポンプなどの定量ポンプや吸引装置を用いて第一カラム10へ供給することもできる。さらに、脂肪族炭化水素溶媒は、ピペットなどの器具を用いた手作業により第一カラム10へ供給することもできる。
【0073】
(5)上述の実施の形態では、第二カラム20の空隙24へ供給した抽出溶媒をアルミナ層23に対して自重により自然に供給するようにしたが、第二カラム20の開口部21または開口部22へ抽出溶媒を供給するためのリザーバを設置し、このリザーバへ供給した抽出溶媒を第二カラム20に対して自重により自然に供給するように変更することもできる。また、抽出溶媒は、シリンジポンプなどの定量ポンプや吸引装置を用いて第二カラム20へ供給することもできる。
【0074】
(6)上述の実施の形態では、加熱装置60により第二層23を加熱しながら第二カラム20内に不活性ガス等を供給し、第二層23を乾燥処理しているが、第二層23は加熱せずに乾燥処理してもよい。但し、加熱することで第二カラム20内に残留する溶媒を気散させやすく、より短時間で第二層23を乾燥処理することができる。
【0075】
(7)上述の実施の形態では、第二カラム20へ不活性ガス等や抽出溶媒を供給する際に、第二カラム20を第一カラム10から分離しているが、第二カラム20を第一カラム10から分離せずに、第二カラム20に対して不活性ガス等や抽出溶媒を供給可能なように変更することもできる。これは、例えば、第一カラム10と第二カラム20とを流路切替弁を有する連結装置を用いて連結することで実現することができる。この場合に用いられる流路切替弁は、不活性ガス等の導入口と抽出溶媒の排出口とを有し、また、第一カラム10と第二カラム20とを連絡するための流路、不活性ガス等の導入口と第二カラム20とを連絡するための流路および第二カラム20と抽出溶媒の排出口とを連絡するための流路を有するものであり、流路の切替えにより、第一カラム10から第二カラム20への脂肪族炭化水素溶媒の供給、不活性ガス等の導入口から第二カラム20への不活性ガスの導入、および、開口部22から第二カラム20へ供給した抽出溶媒の排出口からの排出のいずれかを選択可能なものである。
【実施例】
【0076】
模擬試料の調製
<模擬試料A>
環境水である河川水に対してn−ヘキサンによる抽出操作をすることで得られた抽出液を0.5mLに濃縮した。この濃縮液にPCB類の内標準物質溶液(CIL社の商品名「EC−5411」)50μLを添加し、模擬試料Aを調製した。
【0077】
<模擬試料B>
0.5mLの蒸留水にPCB類の内標準物質溶液(CIL社の商品名「EC−5411」)50μLを添加し、模擬試料Bを調製した。
【0078】
硝酸塩シリカゲルの調製
<硝酸銀シリカゲル>
活性シリカゲル(関東化学株式会社製)50gに対し、硝酸銀12.5gを70mLの蒸留水に溶解した水溶液の全量を添加して均一に混合した後、この活性シリカゲルをロータリーエバポレータを用いて減圧下で80℃に加熱することで乾燥処理し、硝酸銀シリカゲルを調製した。
【0079】
<混合硝酸塩シリカゲル>
活性シリカゲル(関東化学株式会社製)50gに対し、硝酸銅三水和物13g(硝酸銅換算)と硝酸銀18gとを70mLの蒸留水に溶解して調製した混合水溶液の全量を添加して均一に混合した後、この活性シリカゲルをロータリーエバポレータを用いて減圧下で80℃に加熱することで乾燥処理し、混合硝酸塩シリカゲルを調製した。この混合硝酸塩シリカゲルにおいて、銅元素(Cu)と銀元素(Ag)とのモル比(Cu:Ag)は1:1.5である。
【0080】
金属酸化物修飾酸化アルミニウムの調製
<酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム>
蒸留水10gに硝酸ニッケル六水和物13.09gを溶解した水溶液を調製し、この水溶液の全量と酸化アルミニウム(MP Biomedicals社の商品名「MP Alumina B Super I」)15.0gとを混合することで混合液を得た。この混合液において、酸化アルミニウムの重量(g)あたりの金属濃度(ニッケル濃度)は3mmolである。
【0081】
ロータリーエバポレータを用いて混合液から水を蒸発させ、固形分を乾燥した。この固形分を温度が1,000℃以下になるよう制御した管状炉に入れ、100mL/分の空気流下で2時間焼成し、続いて100mL/分の窒素気流下で1時間焼成した。その後、窒素の流通を維持した状態で管状炉の加熱を停止し、管状炉を室温まで冷却した。これにより、酸化ニッケルにより修飾された酸化アルミニウムを得た。
【0082】
<酸化銀修飾酸化アルミニウム>
蒸留水10gに硝酸銀3.39gを溶解した水溶液を調製し、この水溶液の全量と酸化アルミニウム(MP Biomedicals社の商品名「MP Alumina B Super I」)10.0gとを混合することで混合液を得た。この混合液において、酸化アルミニウムの重量(g)あたりの金属濃度(銀濃度)は2mmolである。
【0083】
ロータリーエバポレータを用いて混合液から水を蒸発させ、固形分を乾燥した。この固形分を温度が1,000℃以下になるよう制御した管状炉に入れ、100mL/分の空気流下で2時間焼成し、続いて100mL/分の窒素気流下で1時間焼成した。その後、窒素の流通を維持した状態で管状炉の加熱を停止し、管状炉を室温まで冷却した。これにより、酸化銀により修飾された酸化アルミニウムを得た。
【0084】
実施例1
内径13mmで長さ70mmのカラム内に1.4gの混合硝酸塩シリカゲルを高さが16mmになるよう充填し、その上に3.8gの硫酸シリカゲル(三浦工業株式会社の商品名「ラピアナ硫酸シリカ」)を高さが40mmになるよう充填することで多層シリカゲルを形成し、第一カラムを作成した。また、内径4.6mmで長さ100mmのカラム内に0.6gの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウムを高さが35mmになるよう充填し、第二カラムを作成した。
【0085】
硫酸シリカゲル層が上層になるよう起立させた第一カラムの下端側へ第二カラムを連結し、第一カラムの上端側へ模擬試料Aの全量とイソオクタン0.45mLとを添加した。そして、20mLのn−ヘキサンを2mL/分の速度で第一カラムの上端へ供給し、第二カラムの下端から流出させた(初期工程)。初期工程の間、第一カラムの硫酸シリカゲル層の温度を室温(20℃)に維持した。そして、n−ヘキサンの供給終了後、第一カラムと第二カラムとを分離し、第二カラムの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を室温(20℃)に維持しながらn−ヘキサンの通過方向とは逆方向に窒素ガスを供給することで、第二カラムに残留しているn−ヘキサンを除去した。
【0086】
次に、第二カラムに対し、n−ヘキサンの通過方向とは逆方向にトルエンを供給し、第二カラムの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層に捕捉されているPCB類を抽出した。この際、酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を室温(20℃)に維持した。また、トルエンの供給速度を50μL/分に設定し、第二カラムから排出される初流の400μLをPCB類の抽出液として採取した。模擬試料Aの添加からこの抽出液が得られるまでに要した時間は、0.7時間であった。
【0087】
採取した抽出液について、PCB類濃度を測定した。ここでは、抽出液に対して回収率算出用の内標準物質溶液(CIL社の商品名「EC−5415」)50μLを添加することで分析用試料を調製し、この分析用試料を平成10年10月に環境庁から提示された「外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル」に記載の方法に従ってHRGC/LRMS法で分析するとともに、同マニュアルに記載の方法でPCB類濃度を計算した。
【0088】
実施例2
0.6gの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウムに替えて0.6gの酸化銀修飾酸化アルミニウムを用いて第二カラムを作成した点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は0.7時間であった。採取した抽出液について、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0089】
実施例3
内径13mmで長さ70mmのカラム内に0.6gの硝酸銀シリカゲルを高さが10mmになるよう充填し、その上に3.8gの硫酸シリカゲル(三浦工業株式会社の商品名「ラピアナ硫酸シリカ」)を高さが40mmになるよう充填することで多層シリカゲルを形成し、第一カラムを作成した。
【0090】
この第一カラムを硫酸シリカゲル層が上層になるよう起立させて使用した点、並びに、初期工程において、第一カラムの硫酸シリカゲル層を85℃に加熱してから模擬試料Aとイソオクタンとを添加し、同温度での硫酸シリカゲル層の加熱を30分間継続した点、および、硫酸シリカゲル層を室温(20℃)まで放冷してから20mLのn−ヘキサンを2mL/分の速度で第一カラムの上端へ供給した点を除いて実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は2.1時間であった。採取した抽出液について、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0091】
実施例4
内径13mmで長さ70mmのカラム内に3.8gの硫酸シリカゲル(三浦工業株式会社の商品名「ラピアナ硫酸シリカ」)を高さが40mmになるよう充填し、その上に0.6gの硝酸銀シリカゲルを高さが10mmになるよう充填することで多層シリカゲルを形成し、第一カラムを作成した。
【0092】
この第一カラムを硝酸銀シリカゲル層が上層になるよう起立させて使用した点、並びに、窒素ガスの供給時およびトルエンの供給時に酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を85℃に加熱した点を除いて実施例1と同様に操作し、第二カラムから排出される初流の200μLをPCB類の抽出液として採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は0.5時間であった。採取した抽出液について、PCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0093】
比較例1
平成4年厚生省告示第192号「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」の別表第二に記載の方法(すなわち、先に説明した公定法)に従って模擬試料AからPCB類の分析用試料を調製した。分析用試料の調製に要した時間は約3日であった。また、上記公定法に従い、調製した分析用試料のPCB類濃度をHRGC/HRMS法により測定した。
【0094】
比較例2
0.6gの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウムに替えて金属酸化物により修飾していない酸化アルミニウム(MP Biomedicals社の商品名「MP Alumina B Super I」)0.6gを用いて第二カラムを作成した点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は0.7時間であった。採取した抽出液について、PCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0095】
比較例3
実施例3で作成したものと同じ第一カラムを用いた点、および、比較例2で作成したものと同じ第二カラムを用いた点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は0.7時間であった。採取した抽出液について、PCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0096】
比較例4
実施例4で作成したものと同じ第一カラムを用いた点、および、比較例2で作成したものと同じ第二カラムを用いた点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取した。模擬試料Aの添加からPCB類の抽出液を得るまでに要した時間は0.7時間であった。採取した抽出液について、PCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0097】
比較例5
内径13mmで長さ70mmの何も充填しない空の第一カラムと、実施例1で作成したものと同じ第二カラムとを用意した。起立状態の第一カラムの下端側へ第二カラムを連結し、第一カラムへ上端から模擬試料Bの全量と蒸溜水20mLとをこの順に注入し、注入した蒸溜水を第二カラムの下端から流出させた。
【0098】
第一カラムと第二カラムとを分離し、第二カラムの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を85℃に加熱しながら蒸溜水の通過方向とは逆方向に窒素ガスを供給することで、第二カラムに残留している水分を除去し、酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を乾燥処理した。
【0099】
次に、第二カラムに対し、蒸溜水の通過方向とは逆方向にトルエンを供給し、第二カラムの酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層に捕捉されているPCB類を抽出した。この際、酸化ニッケル修飾酸化アルミニウム層を室温(20℃)に維持した。また、トルエンの供給速度を50μL/分に設定し、第二カラムから排出される初流の400μLをPCB類の抽出液として採取した。模擬試料Bの添加からこの抽出液が得られるまでに要した時間は、1.1時間であった。採取した抽出液について、PCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
【0100】
評価
実施例1〜4および比較例1〜5における操作条件等をまとめて表1に示す。また、実施例1〜4および比較例1〜5について、PCB類濃度の測定結果から算出したPCB類の回収率を表2に示す。表2に示したPCB類の回収率は、模擬試料AおよびBのそれぞれの調製において用いた内標準物質溶液およびPCB類濃度の測定時に抽出液に添加した回収率算出用の内標準物質溶液に基づくものである。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】