(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記分割領域に表示される俯瞰画像の少なくとも1つが、2つの前記カメラの撮影画像から生成された俯瞰画像の合成により生成されたものであり、この分割領域が指定された際には、この分割領域に表示されている俯瞰画像を拡大対象画像に設定する請求項1記載の車両周辺監視装置。
前記モニタが、表示面にタッチパネルを備えており、複数の前記分割領域のいずれかに接触があったことをタッチパネルで検知した際に、前記拡大表示手段は接触を検知した分割領域の俯瞰画像を前記拡大対象画像に指定する請求項1又は2記載の車両周辺監視装置。
前記モニタが、表示面にタッチパネルを備えており、複数の前記分割領域のいずれかに接触があったことをタッチパネルで検知した際に、前記拡大表示手段は接触を検知した分割領域に既に表示されている俯瞰画像に代えて、この分割領域に表示されていた領域を撮影するカメラからの撮影画像を、この分割領域に表示し、このように表示された撮影画像を前記拡大対象画像に指定する請求項1又は2記載の車両周辺監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
俯瞰画像の一部を拡大してモニタに表示する際には、拡大された画像が単純にモニタに表示される場合には、何れの部位を拡大画像であるのか判別し難いものである。また、特許文献1に記載されるように比較的狭い領域を指定し、その領域が拡大されるものでは、誤った操作により、運転者が望まない領域の画像を拡大してしまうこともある。このような誤った操作が行われた場合には、適正な操作を改めて行う必要があるだけではなく、誤操作に気付くまで時間を要することもあり改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、モニタに表示された俯瞰画像の一部を拡大表示する場合に、何れの領域の拡大であるかを正確に認識し得る装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、車両周辺の路面を含む領域を撮影する複数のカメラと、この複数のカメラの撮影画像をモニタに表示する画像処理部とを備えると共に、
前記画像処理部は、前記モニタに対して複数の前記カメラの何れかで撮影された撮影画像が表示される主表示領域と、俯瞰画像が表示される俯瞰画像表示領域とを形成すると共に、人為操作により前記主表示領域及び前記俯瞰画像表示領域の少なくとも何れか一方を拡大表示領域とする設定が可能に構成され、
前記画像処理部は、複数の前記カメラの撮影画像から車体周辺を上方から見下ろした俯瞰画像を生成して前記俯瞰画像表示領域に表示する俯瞰画像生成手段と、前記俯瞰画像表示領域の分割により設定された複数の分割領域の何れかが指定された場合に、指定された分割領域の画像を拡大対象画像とし、
この拡大対象画像を前記拡大表示領域のサイズまで拡大
して前記拡大表示領域に表示する拡大表示手段とを備えており、
前記拡大表示手段は、前記指定された分割領域のサイズと前記拡大表示領域のサイズとの中間のサイズとなる複数の中間画像を生成し、サイズの小さい中間画像から順次表示する処理を実行し、この処理の実行の初期には、前記指定された分割領域が次に表示される中間画像の表示領域に含まれるように表示位置関係が設定されている点にある。
【0008】
この構成によると、分割領域が指定された場合には、その分割領域の画像が拡大表示領域に表示される。
また、拡大表示領域は主表示領域及び俯瞰画像表示領域のうち人為操作により設定された少なくとも何れか一方である。つまり、主表示領域あるいは俯瞰画像表示領域が拡大表示領域に設定されることや、主表示領域と俯瞰画像表示領域の双方が一つの拡大表示領域となる。この拡大が行われる際には、分割領域のサイズと拡大表示領域のサイズとの中間のサイズとなる複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像から小さい中間画像から順次表示する処理が実行される。この処理の初期には指定された分割
領域が次に表示される中間画像の表示領域に含まれるように表示位置関係が設定される。このような表示形態から指定された分割画像を起点として中間画像が連続し
てズームアップ
される形態で最終的な拡大画像が拡大表示領域に表示される。
特に、分割領域の指定としては、人為的な指定だけではなく、例えば、障害物が検出された際に自動制御による指定を含むものである。
その結果、モニタに表示された俯瞰画像の一部を拡大表示する場合に、何れの領域の拡大であるかを正確に認識し得る装置が構成された。
【0011】
本発明は、複数の前記分割領域に表示される俯瞰画像の少なくとも1つが、2つの前記カメラの撮影画像から生成された俯瞰画像の合成により生成されたものであり、この分割領域が指定された際には、この分割領域に表示されている俯瞰画像を拡大対象画像に設定しても良い。
【0012】
これによると、2つのカメラの撮影画像から生成された俯瞰画像を合成した俯瞰画像が分割領域に表示されている状態で、この俯瞰画像が拡大対象画像に設定された場合には合成された俯瞰画像が拡大されることになる。
【0013】
本発明は、前記モニタが、表示面にタッチパネルを備えており、複数の前記分割領域のいずれかに接触があったことをタッチパネルで検知した際に、前記拡大表示手段は接触を検知した分割領域の俯瞰画像を前記拡大対象画像に指定しても良い。
【0014】
これによると、タッチパネルを介して分割領域の何れかが指定された場合には、その指定された分割領域に表示されている俯瞰画像を拡大対象画像にした拡大処理が実現する。このように拡大された画像は俯瞰画像であるので、車両を上方から見下ろす視点から車両周辺の状況を把握できる。
【0015】
本発明は、前記モニタが、表示面にタッチパネルを備えており、複数の前記分割領域のいずれかに接触があったことをタッチパネルで検知した際に、前記拡大表示手段は接触を検知した分割領域に既に表示されている俯瞰画像に代えて、この分割領域に表示されていた領域を撮影するカメラからの撮影画像を、この分割領域に表示し、このように表示された撮影画像を前記拡大対象画像に指定しても良い。
【0016】
これによると、タッチパネルを介して分割領域の何れかが指定された場合には、その指定された分割領域既に表示されている俯瞰画像に代えて、この分割領域に表示されていた領域を撮影するカメラからの撮影画像を拡大対象画像にした拡大処理が実現する。このように拡大された画像はカメラの撮影画像であるので、カメラを視点にした車両周辺の状況を把握できる。
【0017】
本発明は、前記拡大表示手段は、前記中間画像の外周部に境界を明らかにする境界ラインを表示しても良い。
【0018】
これによると、中間画像が順次表示される際にも、中間画像と既に表示されている画像との境界が明瞭となり、何れの分割領域を元にして拡大表示が行われたのか容易に判断できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、車両1に備えられた複数のカメラの撮影画像から車両1の周辺を上方から見下ろした形態となる俯瞰画像を生成してモニタ21に表示する車両周辺監視装置を備えている。特に、この車両周辺監視装置は、車両の近傍位置の障害物Xを検出した際には、モニタ21に表示されている俯瞰画像を複数に分割して分割領域D1〜D4を設定しており、障害物Xを含む分割領域D1〜D4を特定するための強調表示を行うと共に、障害物Xが存在する領域の画像をモニタ21に拡大表示する制御(以下、拡大処理と称する)を実行するものであり、この制御形態と制御構成とを以下に説明する。
【0021】
〔基本構成〕
図1及び
図2に示すように、乗用車としての車両1には左右の前車輪2と、左右の後車輪3とを備えている。車両1の前部位置にはヒンジにより開閉自在な左前部ドア4と右前部ドア5とを備え、車両1の後部位置にスライド式に開閉自在な左後部ドア6と右後部ドア7とを備え、車両1の後端にはハッチバック式のバックドア8を備えている。
【0022】
車両1のルーム内には運転座席13と、助手座席14と、複数の後部座席15とが備えられている。運転座席13の前方位置にはステアリングホイール16が備えられ、その前部にメータ類を有したパネルが配置されている。運転座席13の足元にはアクセルペダル17と、前車輪2及び後車輪3のブレーキ装置BKを操作して前車輪2及び後車輪3に制動力を作用させるブレーキペダル18とが配置され、運転座席13の側部には変速を実現するシフトレバー19が配置されている。
【0023】
運転座席13の近傍で、コンソールの上部位置には、表示面にタッチパネル21Tが形成されたモニタ21が備えられている。モニタ21は、バックライトを備えた液晶式のものである。もちろん、プラズマ表示型のものやCRT型のものであっても良い。また、タッチパネル21Tは、指などによる接触位置をロケーションデータとして出力する感圧式や静電式の指示入力装置として構成される。モニタ21のハウジング21Hにはスピーカ22も備えられているが、スピーカ22はドアの内側など、他の場所に備えられても良い。尚、モニタ21はナビゲーションシステムの表示装置として用いるものを兼用しているが、車両周辺監視表示のために専用のものを備えても良い。
【0024】
左前部ドア4には左サイドミラー23を備え、右前部ドア5には右サイドミラー24を備えている。左サイドミラー23に左サイドカメラ25が備えられ、右サイドミラー24に右サイドカメラ26が備えられている。車両1の前端に前部カメラ27が備えられ、車両1の後端には後部カメラ28が備えられている。
【0025】
特に、左サイドカメラ25と右サイドカメラ26とは撮影方向が下方にセットされ、車両1の一部と路面とが撮影領域に含まれる。前部カメラ27と後部カメラ28とは、撮影方向が斜め下方にセットされ、車両1の一部と路面とが撮影領域に含まれる。
【0026】
これら撮影装置してのカメラはCCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)などの撮像素子を内蔵するデジタルカメラであり、撮影した情報を動画情報としてリアルタイムに出力する。これらのカメラには、広角レンズを備えることで広い視野角が確保されている。
【0027】
モニタ21は、ナビゲーションモードの制御においてナビゲーション情報の表示に用いられるものであるが、シフトレバー19をリバース(後進)位置に操作した際には、後部カメラ28の撮影画像が表示される。特に、後部カメラ28の撮影画像は左右を鏡面反転させることにより左右が入れ換った画像にしており、ルームミラーで後方を確認した際の像と同じ感覚でモニタ21の表示内容を視認できるようにしている。
【0028】
車両前部には、ステアリングホイール16の回転操作力を前車輪2に伝えて駆動操向(操舵)を行うパワーステアリングユニットPSを備えている。また、車両前部にはエンジンEと、このエンジンEからの動力を変速して前車輪2に伝えるトルクコンバータやCVT等で成る変速機構Tとを備えている。変速機構Tはシフトレバー19の操作によって前後進の切り換えと、走行速度の変速とが行われる。
【0029】
車両1には運転操作や、車両1の移動状態を検出するための各種センサが備えられている。具体的に説明すると、ステアリングホイール16の操作系にはステアリング操作方向(操舵方向)と操作量(操舵量)とを計測するステアリングセンサS16が備えられている。シフトレバー19の操作系にはシフト位置を判別するシフト位置センサS19が備えられている。アクセルペダル17の操作系には操作量を計測するアクセルセンサS17が備えられ、前記ブレーキペダル18の操作系には操作の有無を検出するブレーキセンサS18が備えられている。
【0030】
後車輪3の近傍には後車輪3の回転量から車両1の移動量を計測するようにフォトインタラプタ型やピックアップ型の移動距離センサS3が備えられている。尚、移動距離センサS3として、変速機構Tの内部の伝動系の回転量から移動量を取得するものを用いても良い。また、移動距離センサS3は、前車輪2の回転量を計測するものでも良い。更に、前部カメラ27あるいは後部カメラ28の撮影画像の画像処理から車両1の移動量とステアリング量とを検出するように構成しても良い。
【0031】
〔制御構成〕
車両1の中央部には、本発明の車両周辺監視装置としてのECU30を配置している。このECU30は、
図3に示すように、センサ入力インターフェース31と、通信インターフェース32とで成るインターフェースを備えると共に、画像出力モジュール33と音声出力モジュール34とを備えている。
【0032】
このECU30では、インターフェースを介して得られる情報を処理するマイクロプロセッサや、DSP(digital signal processor)等の処理系を備え、処理結果は画像出力モジュール33からモニタ21に出力され、また、音声情報は音声出力モジュール34からスピーカ22に出力される。
【0033】
このECU30には、ナビゲーションモードの制御を実現するナビゲーション制御部35と、ナビゲーション制御部35に地図情報を与える地図データ保存部36と、駐車支援モードの制御を実現する駐車支援制御部37と、車両近傍の障害物Xを検知する障害物検出部38(障害物検出手段の一例)と、車両周辺監視処理を実現する画像処理部39とを備えている。
【0034】
ナビゲーション制御部35は、走行時にGPSユニット41から経度情報と緯度情報とで示される自車位置を取得し、この自車位置に対応した地図データを取得してモニタ21に表示する。そして、目的地へ誘導するナビゲーション情報をモニタ21に表示すると共に、誘導情報をスピーカ22から音声で出力する。地図データ保存部36は、自車位置に対応した地図データをナビゲーション制御部35に与える処理を行う。
【0035】
駐車支援制御部37は、画像処理部39によってモニタ21に表示される画像に対して車両1を駐車位置に導く予想進路イメージY(
図6(a)を参照)を重畳表示する。運転者はモニタ21に表示される予想進路イメージYに基づいてステアリング操作を行うことにより、車両1を駐車目標位置に容易に導入できることになる。
【0036】
画像処理部39は、車両周辺監視処理においてモニタ21に対して
図5(a)に示すレイアウトで主表示領域21Aと副表示領域21B(俯瞰画像表示領域の一例)とを配置し、主表示領域21Aに上部位置にはこの領域の画像を撮影したカメラを示すカメラアイコン21Cを表示する。
【0037】
また、画像処理部39は、前述した複数のカメラの撮影画像から車両1を上方から見下ろした形態となる俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段39Aと、モニタ21に表示された俯瞰画像を複数の分割領域D1〜D4に分割して管理する分割領域管理手段39Bと、複数の分割領域D1〜D4のうち障害物Xが表示されている領域であることを特定する情報として、複数の枠状部F1〜F4のうち、障害物Xが存在する分割領域Dに対応する枠状部Fを強調表示する特定情報出力手段39Cと、拡大対象画像と拡大表示領域とを設定する拡大モード設定手段39Dと、拡大対象画像を拡大表示領域に拡大する拡大表示手段39Eとを備えている。
図5(a)に示す如く、分割領域D1と分割領域D2とは車両前部の左側と右側とに対応し、分割領域D3と分割領域D4とは車両後部の左側と右側とに対応する。これと同様に枠状部F1〜F4も同図に示す如く、分割領域D1〜D4に対応している。尚、分割領域D1〜D4の上位概念として、分割領域Dと記し、枠状部F1〜F4の上位概念として枠状部Fと記す。
【0038】
ECU30は、電子回路により構成され、インターフェースや出力系の一部又は、全てがこのような電子回路に含まれていても良い。尚、ECU30には、処理系を構成する電子回路、あるいは、別部品としてメモリやレジスタなどによって構成される記憶部を有し、データバス、アドレスバス、コントロールバス等により情報の入出力が行われる。
【0039】
センサ入力インターフェース31には、ステアリングセンサS16と、シフト位置センサS19と、アクセルセンサS17と、ブレーキセンサS18と、移動距離センサS3とから運転操作情報や移動状態を検出する情報が入力する。
【0040】
通信インターフェース32は、通信回線を介してパワーステアリングユニットPSと、変速機構Tと、ブレーキ装置BKと、GPSユニット41と間で通信を行う。更に、この通信インターフェース32は、タッチパネル21Tと、左サイドカメラ25と、右サイドカメラ26と、前部カメラ27と、後部カメラ28とからの情報を取得する。
【0041】
画像出力モジュール33は、モニタ21に対して画像を出力し、音声出力モジュール34は、スピーカ22に対して音声を出力する。
【0042】
〔制御形態〕
車両周辺監視表示処理の処理形態を
図4のフローチャートに示しており、この処理の実行時にモニタ21の表示内容を
図5〜
図8に示している。
【0043】
つまり、車両周辺監視処理が選択されている状態でシフトレバー19が前進位置にセットされた場合には
図5(a)に示すように主表示領域21Aに前部カメラ27の撮影画像が表示される。この主表示領域21Aの上部位置には前部カメラ27の撮影画像であることを示すカメラアイコン21Cが表示され、副表示領域21Bに俯瞰画像が表示される。これとは逆に、シフトレバー19が後進位置にセットされた場合には
図6(a)に示すように主表示領域21Aに後部カメラ28の撮影画像が表示される。この主表示領域21Aの上部位置には後部カメラ28の撮影画像であることを示すカメラアイコン21Cが表示され、副表示領域21Bに俯瞰画像が表示される(#101、#102ステップ)。
【0044】
具体的な処理形態として、シフトレバー19が前進位置にセットされた場合には主表示領域21Aに対しては前部カメラ27の撮影画像が表示される。これに対して、シフトレバー19が後進位置にセットされた場合には後部カメラ28の撮影画像が取得され、この撮影画像の左右を入れ替えた鏡面反転画像が生成され、この画像がモニタ21に表示される。
【0045】
副表示領域21Bに表示される俯瞰画像は、俯瞰画像生成手段39Aが左サイドカメラ25と、右サイドカメラ26と、前部カメラ27と、後部カメラ28との撮影画像を取得し、上方から見下ろした形態となる投影画像に変換し、これらの投影画像を車両イメージを取り囲む位置の仮想平面にマッピングすることで路面上に配置される単一の俯瞰画像として生成される。
【0046】
このように表示された俯瞰画像は、破線で示す区画ラインLで区画するように4つの分割領域D1〜D4に分割して管理される。尚、同図に示す区画ラインLは画面に表示されることはないが、この区画ラインLを画面に表示するように処理形態を設定しても良い。
【0047】
特に、副表示領域21Bに表示される俯瞰画像は4つのカメラの撮影画像から生成されるものであるが、区画ラインLで区画された4つの分割領域D1〜D4それぞれの俯瞰画像は2つのカメラの撮影画像の合成によって生成される。つまり、車両1の前後位置の角部の外方位置に2つのカメラの撮影画像における重複領域W(
図1を参照)が形成され、この重複領域において境界部位を目立たなくする合成が行われる。そして、このように合成された俯瞰画像が拡大対象画像に設定された場合には拡大表示領域のサイズに拡大されることになる。
【0048】
また、シフトレバー19が後進位置にセットされた場合に、駐車支援制御を併せて実行することも可能であり、このように駐車支援制御が実行される場合には、
図6(a)に示すように、主表示領域21Aと副表示領域21Bとに予想進路イメージYが重畳表示される。
【0049】
予想進路イメージYは、現在のステアリング量で車両1を後進させた場合に車両1が移動する経路を表すものであり、モニタ21に表示される撮影画像に対応する遠近感で、路面と同じ仮想平面上に生成される。この進路予想イメージは車両1の幅と同じ幅となる一対の車幅ラインYaと、車両1が設定量だけ後進した際に達する位置を示す複数の距離ラインYbとで枠状に形成される。
【0050】
前述した障害物検出部38は、左サイドカメラ25と、右サイドカメラ26と、前部カメラ27と、後部カメラ28とにおける撮影領域で重複する重複領域Wの画像から視差を生ずる立体物を障害物Xとして抽出するソフトウエアとして構成されている。このように立体物を抽出する処理の概要は以下のように説明できる。つまり、2つのカメラの撮影画像における重複領域Wの画像を同一の背景となる仮想平面に投影変換し、投影変換後の夫々の画像の同じ背景が一致する位置関係で夫々を重ね合わせる。このように重ね合わせた際に一致しない画像が立体物であり、その立体物を障害物Xとして推定し、障害物Xの位置を特定することになる。
【0051】
このように2つのカメラの撮影領域の重複領域Wは運転者から死角になる領域でもあり、この領域に存在する障害物Xだけを検出対象とすることは合理的である。尚、この障害物Xの検出領域を拡大するために4つ以上のカメラを車両に備えても良い。更に、この障害物検出部38を、オプティカルフローの技術により障害物Xを検出するソフトウエアで構成しても良い。
【0052】
特に、障害物検出部38として、超音波型等の障害物センサを車両1の前端や後端等の複数箇所に備えても良い。このように障害物Xを検出するために障害物センサによって障害物検出部38を構成することで、車両1の全周の障害物Xの検出も可能となる。
【0053】
障害物検出部38で障害物Xが検出された場合には、具体的には分割領域D1〜D4のうち、
図5に示すように分割領域D2に障害物Xが存在する場合には、分割領域D2(検出された障害物Xを含む分割領域D)が指定され、この分割領域D2の外周の枠状部F2が強調表示され(図面ではハッチングで示している)、これと同時に、障害物Xが存在する分割領域D2の色調を変更し、スピーカ22から警報音を出力する(#103、#104ステップ)。なお、D2の色調は変更しなくても良い。この場合において、中間画像のみ色調を変更しても良い。
【0054】
この処理は、分割領域管理手段39Bで管理される分割領域D1〜D4のうち障害物Xが存在する分割領域D2について、特定情報出力手段39Cが枠状部F2の輝度を高めることや、彩度を高めること、あるいは、異なる色相に変更することで強調表示を実現している。このような強調表示と併せて枠状部F2の表示を明滅させるように変更しても良い。また、障害物Xが存在する分割領域D2の色調を異なるものに変更する処理として、例えば、分割領域D2の画像の各ピクセルの3原色のうちB(青)の成分について輝度を高めることや輝度を減ずる程度の処理が考えられる。更に、スピーカ22から出力される警報音として電子音だけではなく、人の言葉によるメッセージであっても良い。
【0055】
次に、副表示領域21Bに運転者の指等を接触させる接触操作が検知された場合には、この接触操作をトリガーとして既に指定されている分割領域D2の画像(俯瞰画像又はカメラの撮影画像)を拡大対象画像とし、その拡大対象画像を拡大表示領域に拡大する拡大処理が行われる(#105、#106ステップ)。
【0056】
この処理は、拡大モード設定手段39Dで設定された拡大モードに従って拡大表示手段39Eが拡大処理を実行する。この拡大モードでは、拡大対象画像と拡大表示領域とが設定される。拡大対象画像として障害物Xが存在する分割領域D2に表示されている俯瞰画像と、この障害物Xを撮影しているカメラの一方の撮影画像(カメラ視点となる画像)との何れか一方が設定される。また、拡大表示領域として、副表示領域21Bを設定する通常拡大モードと、主表示領域21Aを設定する別画面拡大モードと、モニタ21の全画面を設定する全画面拡大モードとの何れか1つが設定される。
【0057】
この拡大モードを設定する手続としては、モード設定画面をモニタ21に表示して人為操作により予め設定される。
【0058】
〔制御形態:通常拡大モード〕
拡大表示手段39Eが、通常拡大モードで拡大処理を行う際には、拡大対象画像(図面では分割領域Dの俯瞰画像)を設定し、拡大表示領域として
図5及び
図6に示す副表示領域21Bを設定すると共に、分割領域D2・D3(
図5ではD2、
図6ではD3の意味)と拡大表示領域(副表示領域21B)との間に拡大表示軌跡(図示せず)を設定する。
【0059】
次に、
図5(b)、
図6(b)に示すように、分割領域D2・D3の画像(俯瞰画像)を拡大することで、この分割領域D2・D3サイズより少し大きいサイズの中間画像Mを生成して、表示の起点となる分割領域D2・D3(障害物Xの存在により指定された分割領域D)の全てを覆う位置で副表示領域21Bの俯瞰画像に重畳表示する。この直後に、
図5(c)、
図6(c)に示すように、分割領域D2・D3の画像(俯瞰画像)を更に拡大することで、更に大きいサイズの中間画像Mを形成して、拡大表示軌跡に沿う位置に表示する。この場合、先に表示している中間画像Mを消去して次の中間画像Mを表示する処理が行われ、この通常拡大モードでは、先に表示した中間画像Mの全てを覆う位置関係で副表示領域21Bの俯瞰画像に次の中間画像Mが重畳表示される。
【0060】
このように中間画像Mのサイズを拡大表示軌跡に沿って徐々に移動しながら順次大きいサイズの中間画像Mを表示する。この拡大表示を例えば0.5秒や1秒程度の時間内に実行し、最終的に
図5(d)、
図6(d)に示すように、分割領域D2・D3の画像(俯瞰画像)が拡大された拡大画像を副表示領域21Bの領域内一杯に表示する。そして、この拡大画像の隅に領域アイコン21Dを表示することで拡大処理は完了する。特に、領域アイコン21Dは、カメラによる撮影領域を示す形状で路面に重複しないサイズ(車両イメージには重複するサイズ)に設定され、この領域アイコン21Dから、拡大対象画像の元の位置を認識できる。
【0061】
〔制御形態:別画面拡大モード〕
拡大表示手段39Eが、別画面拡大モードで拡大処理を行う際には、拡大対象画像(
図7では分割領域D3の俯瞰画像)を設定し、拡大表示領域として主表示領域21Aを設定すると共に、分割領域D3と拡大表示領域(主表示領域21A)との間に拡大表示軌跡(図示せず)を設定する。この制御形態でも障害物Xが存在する分割領域D3の色調を変更し、その外周の枠状部F3が強調表示される(図面ではハッチングで示している)。
【0062】
次に、
図7(a)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)を拡大することで、この分割領域D3のサイズより少し大きいサイズの中間画像Mを生成して、表示の起点となる分割領域D3(障害物Xの存在により指定された分割領域D)の多くの領域を覆う位置に重畳表示する。この直後、
図7(b)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)を更に拡大することで、更に大きいサイズの中間画像Mを形成して、拡大表示軌跡に沿う位置に表示する。
【0063】
このように中間画像Mのサイズを拡大表示軌跡に沿って徐々に移動しながら順次大きいサイズの中間画像Mを表示する。この拡大表示を例えば0.5秒や1秒程度の時間内に実行し、最終的に
図7(c)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)が拡大された拡大画像を副表示領域21Bの領域内一杯に表示する。そして、この拡大画像の隅に領域アイコン21Dを表示することで拡大処理は完了する。特に、領域アイコン21Dは、カメラによる撮影領域を示す形状を有しており、この領域アイコン21Dから、拡大対象画像の元の位置を認識できる。
【0064】
この別画面拡大モードでは、拡大表示領域(主表示領域21A)と分割領域D3とのアスペクト比が異なるので、分割領域D3の俯瞰画像が副表示領域21Bの領域内一杯に表示された拡大画像は変形する。尚、障害物Xが表示される領域を残しながら拡大画像の上下方向の端部を切り取った形態で表示しても良い。
【0065】
〔制御形態:全面拡大モード〕
拡大表示手段39Eが、全画面拡大モードで拡大処理を行う際には、拡大対象画像(
図8では分割領域D3の俯瞰画像)を設定し、拡大表示領域としてモニタ21の表示領域を設定すると共に、分割領域D3と拡大表示領域(モニタ21の表示領域)との間に拡大表示軌跡(図示せず)を設定する。この制御形態でも障害物Xが存在する分割領域D3の色調を変更し、その外周の枠状部F3が強調表示される(図面ではハッチングで示している)。
【0066】
次に、
図8(a)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)を拡大することで、この分割領域D3のサイズより少し大きいサイズの中間画像Mを生成して、表示の起点となる分割領域D3(障害物Xの存在により指定された分割領域D)の多くの領域を覆う位置に重畳表示する。この直後、
図8(b)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)を更に拡大することで、更に大きいサイズの中間画像Mを形成して、拡大表示軌跡に沿う位置に表示する。
【0067】
このように中間画像Mのサイズを拡大表示軌跡に沿って徐々に移動しながら順次大きいサイズの中間画像Mを表示する。この拡大表示を例えば0.5秒や1秒程度の時間内に実行し、最終的に
図8(c)に示すように、分割領域D3の画像(俯瞰画像)が拡大された拡大画像を副表示領域21Bの領域内一杯に表示する。そして、この拡大画像の隅に領域アイコン21Dを表示することで拡大処理は完了する。特に、領域アイコン21Dは、カメラによる撮影領域を示す形状を有しており、この領域アイコン21Dから、拡大対象画像の元の位置を認識できる。
【0068】
この全画面拡大モードでも、拡大表示領域(モニタ21の表示領域)と分割領域D3とのアスペクト比が異なるので、分割領域D3の俯瞰画像がモニタ21の表示領域内一杯に表示された拡大画像は変形する。尚、障害物Xが表示される領域を残しながら拡大画像の上下方向の端部を切り取った形態で表示しても良い。
【0069】
このように何れの拡大モードで拡大処理を行っても、分割領域Dの位置を起点として中間画像Mの表示位置が拡大表示軌跡に沿って移動する形態(
図5及び
図6の通常拡大モードでは中間画像Mの隅の位置は移動しない)で拡大されることから、拡大される元の画像の位置(分割領域Dの位置)を明らかにしながら、ズームアップする形態での拡大が実現する。そして、拡大画像の隅に表示される領域アイコン21Dの形態や、領域アイコン21Dの表示位置からも拡大画像が何れの領域の画像であるかを認識できることになる。
【0070】
尚、いずれの拡大モードで拡大処理を行う場合でも、動画レイヤに対して中間画像Mを形成する処理を行うことで重畳表示が実現し、この重畳表示した状態では俯瞰画像であっても撮影画像であってもリアルタイムで車両1と障害物Xとの位置関係の変化を表示できる。また次に説明するように拡大画像を消去して、元に表示に戻す場合にも動画レイヤの画像を消去することで済む。
【0071】
次に、モニタ21の何れかの領域に運転者の指等を接触させる接触操作が検知された場合、又は、障害物検出部38で障害物Xが検出しない状態に達した場合には、拡大画像を消去し、#101ステップの処理に移行することで、モニタ21の主表示領域21Aには撮影画像が表示され、副表示領域21Bには俯瞰画像が表示される制御に復帰する(#107〜#109ステップ)。
【0072】
そして、この車両周辺監視表示処理は制御を中止する選択が行われるまで継続して行われることになる(#110ステップ)。
【0073】
このように本発明では、車両1を駐車位置に導入する場合や、フェンスや駐車状態の車両等の障害物Xが存在する路面で車両1を移動させる場合には、モニタ21の主表示領域21Aにカメラの撮影画像を表示し、モニタ21の副表示領域21Bに対して俯瞰画像を表示する。これにより障害物Xが運転者から死角の位置にあっても車両1と、車両の近傍の障害物Xとの位置関係の確認できるものにしている。
【0074】
また、障害物Xに接近した場合には、俯瞰画像の分割領域D1〜D4のうち障害物Xが存在する分割領域Dの外周の枠状部F1〜F4のうち対応する枠状部Fの明度を高くする強調表示が行われ、この表示と同時に障害物Xが存在する分割領域Dの色調を変更する表示が行われ、スピーカ22から警報音が出力されることで障害物Xが存在する領域を把握できる。
【0075】
このように障害物Xの存在位置を把握できる状態で副表示領域21Bに指等を接触させることで、分割領域D1〜D4のうち障害物Xが存在する分割領域Dが拡大表示領域まで拡大され、障害物Xと車両1との位置関係を拡大画像で確認できる。
【0076】
特に、複数の分割領域D1〜D4の何れかの画像が拡大表示領域に拡大される際には、障害物Xが存在する分割領域Dを起点としてサイズが異なる複数の中間画像Mを小さいサイズものから大きいサイズのものに遷移させるように拡大表示軌跡に沿って順次移動する形態で表示が行われる。このように拡大されることで、拡大される元の画像の位置(障害物Xが存在する分割領域Dの位置)を明らかにしながらズームアップする形態での拡大を実現している。
【0077】
そして、障害物Xが存在する領域の俯瞰画像、又は、障害物Xを撮影したカメラの撮影画像が拡大表示される結果、障害物Xと車両1との位置関係を拡大された画像から把握できることになり障害物Xと接触を避ける形態での車両1の移動を実現する。
【0078】
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0079】
(a)拡大表示手段39Eが中間画像Mを形成する際に、この中間画像Mと既に表示されている画像との境界を明瞭にするために高輝度の境界ラインを表示する。このように境界ラインを表示する際には、背景となる画像の色相を取得し、この色相に対して、補色等の異なる色相を設定するように処理形態を設定しても良い。このように中間画像Mに境界ラインを表示することで中間画像Mの輪郭を形成することになり、拡大される元の画像の位置(障害物Xが存在する分割領域Dの位置)を一層明らかにしながらズームアップする形態での拡大を実現する。
【0080】
(b)俯瞰画像を複数の分割領域Dに分割して管理する際には2分割や6分割のように4分割以外の数に分割して管理しても良い。特に、この分割数をユーザが任意に設定できるように構成しても良い。また、多くの数に分割した場合には車両1の周辺の局部的な領域に対する障害物Xの接近を認識できると共に、その部位を拡大して表示することが可能となる。
【0081】
(c)障害物Xが検出されている状況においては、タッチパネル21Tにより副表示領域21Bの表示領域の何れの部位を接触しても障害物Xが検出されている分割領域Dの画像(俯瞰画像又はカメラの撮影画像)の拡大表示を行い、障害物Xが検出されていない状況においては、タッチパネル21Tにより選択された分割領域Dの画像(俯瞰画像又はカメラの撮影画像)の拡大表示を行うように制御形態を設定しても良い。また、分割領域Dの数に対応した専用の拡大ボタンをモニタ21に表示しても良く、拡大表示を終了させるための専用のボタンをモニタ21に表示しても良い。
【0082】
(d)拡大モード設定手段39Dによる拡大処理で拡大対象画像を設定する際に、前述の(c)で説明したように前部の分割領域Dが人為操作で指定された場合、又は、前部位置で障害物Xが検出された場合には、俯瞰画像を拡大対象画像に設定する。これとは逆に、前述の(c)で説明したように後部の分割領域Dが人為操作で指定された場合、又は、後部位置で障害物Xが検出された場合には、カメラの撮影画像を拡大対象画像に設定する。
【0083】
つまり、車両1の前端側の領域は、運転者が体を乗り出す姿勢をとることで視認が可能になることもあり、このように視認が可能である領域については、俯瞰画像を拡大対象画像に設定することで運転者の目から見える領域と異なる方向から見た画像を表示することが有効となる。また、車両1の後端側の領域は、運転者から見えないことが多く、カメラの撮影画像を直接的に見た感覚に近い画像となる撮影画像を拡大対象画像に設定することが有効となる。
【0084】
(e)前述した別実施の形態(d)において、カメラの撮影画像を拡大対象画像とする場合、ステアリングホイール16の操作方向が車両1の進行方向が撮影領域(障害物X)に接近する方向であることを判定した場合にはサイドカメラ(左サイドカメラ25又は右サイドカメラ26)の撮影画像を表示対象画像に設定する。車両1の進行方向が撮影領域(障害物X)から離間する方向であることを判定した場合には車両1の端部のカメラ(前部カメラ27又は後部カメラ28)の撮影画像を表示対象に設定する。
【0085】
このようにステアリング方向に基づいて撮影画像を取得するカメラの選択を行うことにより、車両1を障害物X等に接近させる方向に僅かに移動させた場合でも、サイドカメラ(左サイドカメラ25又は右サイドカメラ26)の撮影画像から障害物X等と車両1との相対的な位置関係の変化を容易に把握できる。また、車両1が障害物X等から離間する方向に移動する場合には、車両1の端部のカメラの撮影画像から車両1の進行方向の広い領域をモニタ21に表示して進行方向の確認を可能にする。
【0086】
(f)尚、「俯瞰画像表示領域(副表示領域)に接触があった」ことを検出するとは、タッチパネル21T(俯瞰画像領域)に触れていない状態から、触れたことへの接触状態の変化を検出するものでも良く、タッチパネル21T(俯瞰画像領域)に指等が触れている状態から、指等が離れた状態への状態変化を検出するものであっても良い。