(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696939
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ロールスクリーンの包装方法及びロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/13 20060101AFI20150319BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
E06B9/13 Z
E06B9/42 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-108657(P2011-108657)
(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2012-241310(P2012-241310A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2013年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100097250
【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 久子
(72)【発明者】
【氏名】坪内 富夫
(72)【発明者】
【氏名】山中 裕臣
(72)【発明者】
【氏名】小宮 孝
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 朝悦
(72)【発明者】
【氏名】半澤 邦幸
【審査官】
神崎 共哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−224718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材(12、14)と、固定部材に回転可能に支持される巻取パイプ(16)と、一端が巻取パイプに巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーン(18)と、スクリーン(18)の他端に連結されるウエイトバー(20)と、を備えたロールスクリーン(10)を包装材(26、28)によって包装するロールスクリーンの包装方法において、
巻取パイプ(16)から少なくともスクリーン(18)の下端部を引き出すステップと、
巻取パイプ(16)から引き出したスクリーン(18)の下端部をその下端から包装材(26、28)で被覆するステップと、
スクリーン(18)を巻取パイプ(16)に巻取り、これによりスクリーン(18)と重なり合った包装材(26、28)をスクリーン(18)と一体的に巻取パイプ(16)に巻取り、巻取パイプ(16)に完全に巻取られたスクリーン(18)の少なくとも一巻分の露出された外周面を包装材(26、28)で被覆するステップと、
を備えることを特徴とするロールスクリーンの包装方法。
【請求項2】
前記包装材(26)で被覆するステップは、
広げた包装材(26)の上にスクリーン(18)の下端部を載置するステップと、
包装材(26)の下端を折返すことにより折返し部(26c)を形成し、該折返し部(26c)によって少なくともウエイトバー(20)を被覆するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1記載のロールスクリーンの包装方法。
【請求項3】
包装材(26)はスクリーン(18)よりも幅広であり、
前記包装材(26)で被覆するステップは、包装材(26)上に載置したスクリーン(18)の両側端部をそれぞれ包むようにスクリーン(18)の幅に合わせて包装材の両側端部を折返すステップをさらに備えることを特徴とする請求項2記載のロールスクリーンの包装方法。
【請求項4】
固定部材(12、14)を取付場所に設置するステップと、
固定部材(12、14)の設置後に、スクリーン(18)を巻取パイプ(16)から巻解き、これにより、包装材(26、28)をスクリーン(18)の下端から下方へと取り外すステップと、
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロールスクリーンの包装方法。
【請求項5】
ウエイトバー(20)に取付けられた操作具(32、34)を、ウエイトバー(20)を被覆する包装材(26、28)に形成される孔部(26a)から引き出すステップをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロールスクリーンの包装方法。
【請求項6】
包装材(26、28)とスクリーン(18)との間に説明書(36)を挿入するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロールスクリーンの包装方法。
【請求項7】
固定部材(12、14)と、
固定部材(12、14)に回転可能に支持される巻取パイプ(16)と、
一端が巻取パイプ(16)に巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーン(18)と、
スクリーン(18)の他端に連結されるウエイトバー(20)と、を備えたロールスクリーンにおいて、
巻取パイプ(16)にスクリーン(18)を完全に巻取った状態において、少なくともウエイトバー(20)の外周面及びスクリーン(18)の外部に露出される一巻分の外周面が、これらの面に沿って重なり合って巻付いている包装材(26)によって被覆され、包装材(26)の一部がスクリーン(18)とともに巻取パイプ(16)に巻取られることを特徴とするロールスクリーン。
【請求項8】
包装材(26)は、固定部材(12、14)を被覆せず、スクリーン(18)及びウエイトバー(20)のみを被覆していることを特徴とする請求項7記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーンの設置作業時にスクリーンを保護することができるロールスクリーンの包装方法及びロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロールスクリーンの包装方法としては、ロールスクリーン10を段ボール等の梱包箱に入れる前段階として、
図9(a)に示すように、ロールスクリーン10全体を筒状の梱包材40内に挿入した後、
図9(b)に示すように、梱包材40の端部を折り曲げて接着テープ42等で止着して密封し、汚れや傷等の付着を防止するようにして、梱包箱に納めるものが一般的に知られている。
【0003】
また、ロールスクリーン10を取付場所に設置する際に、スクリーンに手垢等の汚れが付着することを防止するために、
図10に示すように、ロールスクリーンの幅方向の一部にロールスクリーン10の上下方向全体に渡って包装紙44をループ状に巻付けるようにしたものもある。設置作業を行うときにこの包装紙44を持って作業を行うようにし、作業が終わると、包装紙44を破断して取り外すことができるようになっている。
【0004】
更に、特許文献1には、梱包時にウエイトバーの押し跡がスクリーンに付着しないようにするために、セットフレームに取付け可能な第1保持部と、ウエイトバーの端部に取付け可能な第2保持部とを有し、ロールスクリーン取付状態で、巻取パイプに巻取られているスクリーンとウエイトバーとを離反した状態で保持するようにしたロールスクリーン用支持部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−198013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図9や特許文献1による包装方法は、梱包状態では、スクリーンに汚れや傷、あるいはウエイトバーの押し跡の付着を防止することができるが、ロールスクリーン設置作業時において、スクリーンに直接手を触れる必要があり、スクリーンへの汚れや傷等の付着を防止することができないという問題がある。
【0007】
一方、
図10の包装方法においても、梱包状態ではロールスクリーン10全体を包装材等で被覆しない限り、スクリーンへの汚れや傷等の付着を防止することが困難である。また、包装紙44は、スクリーンの一部のみを覆うだけであるので、作業中にスクリーンにうっかり触れてしまうことを防ぐことができず、また、設置作業後に、包装紙44を破断する際に、刃物を用いる場合には慎重に刃物を扱わないと、スクリーンに傷を与えてしまうという虞もある。
【0008】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、梱包時から設置作業時に至るまで、スクリーンへの汚れや傷の付着を防止することができるロールスクリーンの包装方法及びロールスクリーンを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、固定部材と、固定部材に回転可能に支持される巻取パイプと、一端が巻取パイプに巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーンと、スクリーンの他端に連結されるウエイトバーと、を備えたロールスクリーンを包装材によって包装するロールスクリーンの包装方法において、
巻取パイプから少なくともスクリーンの下端部を引き出すステップと、
巻取パイプから引き出したスクリーンの下端部をその下端から包装材で被覆するステップと、
スクリーンを巻取パイプに巻取り、これによりスクリーンと重なり合った包装材をスクリーンと一体的に巻取パイプに巻取り、巻取パイプに完全に巻取られたスクリーンの少なくとも一巻分の露出された外周面を包装材で被覆するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記包装材で被覆するステップは、
広げた包装材の上にスクリーンの下端部を載置するステップと、
包装材の下端を折返すことにより折返し部を形成し、該折返し部によって少なくともウエイトバーを被覆するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、包装材はスクリーンよりも幅広であり、前記包装材で被覆するステップは、包装材上に載置したスクリーンの両側端部をそれぞれ包むようにスクリーンの幅に合わせて包装材の両側端部を折返すステップをさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、
固定部材を取付場所に設置するステップと、
固定部材の設置後に、スクリーンを巻取パイプから巻解き、これにより、包装材をスクリーンの下端から下方へと取り外すステップと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発明において、ウエイトバーに取付けられた操作具を、ウエイトバーを被覆する包装材に形成される孔部から引き出すステップをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発明において、包装材とスクリーンとの間に説明書を挿入するステップをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、固定部材と、固定部材に回転可能に支持される巻取パイプと、一端が巻取パイプに巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーンと、スクリーンの他端に連結されるウエイトバーと、を備えたロールスクリーンにおいて、
巻取パイプにスクリーンを完全に巻取った状態において、少なくともウエイトバーの外周面及びスクリーンの外部に露出される一巻分の外周面が、これらの面に沿って重なり合って巻き付いている包装材によって被覆されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、包装材は、固定部材を被覆せず、スクリーン及びウエイトバーのみを被覆していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装材が巻取られた状態にあるスクリーンの露出される外周面を被覆するため、スクリーンへの汚れや傷などの付着を防止することができる。
【0018】
スクリーンの下端部をその下端から包装材で被覆して、包装材をスクリーンと一体的に巻取るだけでスクリーンを包装材で被覆することができるので、包装材の取付け作業が容易である。
【0019】
固定部材は包装材で被覆されないので、包装材を付けた状態で固定部材を取付場所に設置する作業を行うことができ、スクリーンを直接手で触ることなく作業を行うことができるために、作業性が良好であり、且つスクリーンへの汚れや傷の付着を防止することができる。
【0020】
また、固定部材を取付場所に設置後、スクリーンを一定量、巻取パイプから巻解くことで、包装材を取り外すことができるので、刃物も不要であり、包装材の取外しが容易である。
【0021】
巻取パイプによるスクリーンを巻取る力を利用して、スクリーンと重なり合った包装材をスクリーンと一体的に巻取るので、操作部を操作してスクリーンを引き出さない限り誤って包装材が外れてしまうことがなく、梱包時から設置作業時に至るまで、スクリーンを包装材で被覆した状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態を実施するロールスクリーンの側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態を実施するロールスクリーンの正面図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態に係るロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Aに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図3C】
図3Bに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図3D】
図3Cに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図3E】
図3Dに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図5】ロールスクリーンから包装材を取外す手順を示す側面図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態に係るロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図6B】
図6Aに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7A】本発明の第3の実施形態に係るロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7B】
図7Aに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7C】
図7Bに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7D】
図7Cに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7E】
図7Dに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図7F】
図7Eに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す斜視図である。
【
図8A】本発明の第4の実施形態に係るロールスクリーンの包装方法を示す正面図である。
【
図8C】
図8Aに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す正面図である。
【
図8D】
図8Dに続くロールスクリーンの包装方法の手順を示す正面図である。
【
図9】従来のロールスクリーンの包装方法を示す斜視図である。
【
図10】従来のロールスクリーンの別の包装方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1ないし
図10を用いて本発明の第1の実施形態を説明する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本発明を実施するロールスクリーン10は、セットフレーム12とセットフレーム12の両端に取り付けられる一対のサイドプレート14とからなる固定部材と、サイドプレート14に両端が回転可能に支持される巻取パイプ16と、巻取パイプ16に巻取り・巻解き可能に一端が連結されるスクリーン18と、スクリーン18の他端に取り付けられたウエイトバー20と、からなる公知の構成をなしている。スクリーン18の昇降を操作する操作部は、プーリ22と操作チェーン24とから成り、プーリ22は、一方のサイドプレート14(
図2中右側)と巻取パイプ16との間に、巻取パイプ16を回転駆動可能に設けられる。操作チェーン24はプーリ22に巻き掛けられてこれを回転操作可能である。
【0025】
このロールスクリーン10を包装する包装材26は、その長さは、少なくともウエイトバー20の全周分に加え、巻取パイプ16に完全に巻取られたスクリーン18の一巻分の長さよりも大きく、好ましくはスクリーン18及びウエイトバー20よりも幅広な寸法を有する。また、包装材26の材料としては任意の可撓性のある柔軟な軟質材料を使用することができ、例えば、透明あるいは半透明の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。透明または半透明とすることで、スクリーン18を包装後にも外部から視認することができるので好都合であるが、必ずしもこれに限るものではなく、不透明のものや、低密度ポリエチレン(LDPE)以外のものを用いることも勿論可能である。
【0026】
次に、
図3に基づいて、ロールスクリーン10に包装材を取付ける方法について説明する。
【0027】
まず、
図3Aに示すように、巻取パイプ16からスクリーン18をある程度引き出した状態で、スクリーン18の下端部を包装材26上に載置して、スクリーン18の背面と包装材26とが接触し、包装材26の両側部がスクリーン18及びウエイトバー20の両側端部よりもそれぞれ外方に突出し、包装材26の下端部が少なくともウエイトバー20の外周を覆うことができる長さ程度ウエイトバー20の下端から突出するようにする(ステップ1)。尚、このとき、セットフレーム12またはサイドプレート14を治具によって固定しておくとよい。
【0028】
次に、
図3Bに示すように、包装材26の下端をウエイトバー20に沿ってスクリーン18の前面側に折り返し、折返し部26cを形成する。折返し部26cは、少なくともウエイトバー20全体が包装材26で被覆される程度の大きさとする(ステップ2)。
【0029】
次に、
図3Cに示すように、包装材26の両側部をスクリーン18及びウエイトバー20の両側端部に合わせてこれらを包むように折り返す(ステップ3)。
【0030】
以上のように包装材26を折り返すことで、スクリーン18の下端部は、その下端から包装材26で袋状に被覆される。スクリーン18の寸法が様々であっても、包装材26の折り返し量を調整することで、同じ寸法の包装材26を使用することが可能である。尚、ステップ3とステップ2は順序を入れ替えることもでき、また、包装材26の幅がスクリーン18と同じ幅かまたはそれよりも小さい幅である場合にはステップ3を省略することも可能である。
【0031】
この後、
図3Dに示すように、通常のロールスクリーンのスクリーン巻取機能を利用して、巻取パイプ16にスクリーン18を巻取っていく。これにより、スクリーン18が包装材26と重なり合っている部分まで巻取られると、包装材26が上端部からスクリーン18と一体に巻取パイプ16に巻取られていく(ステップ4)。
【0032】
そして、
図3Eに示すように、スクリーン18が巻取パイプ16に完全に巻取られると、包装材26がスクリーン18及びウエイトバー20の全周面に巻き付いて、包装材26がスクリーン18の少なくとも一巻分の露出された外周面とウエイトバー20を完全に被覆するとともに、
図4に示すように、包装材26の上端部26d(言い換えれば、包装材26の裏側の上端部)と、折返し部26cの上端部26e(言い換えれば、折り返す前の包装材26の下端部であり、折り返した後の包装材26の表側の上端部)とが、巻取られたスクリーン18とウエイトバー20の互いに重なり合った部分21よりも更に巻取られた位置に位置する。これにより、スクリーン18が完全に巻取られた状態では、包装材26の上端部26d、26eの近傍は、スクリーン18とウエイトバー20の互いに重なり合った部分21において両者に挟まれて互いに重なり合うため、スクリーン18及びウエイトバー20から容易に取り外すことができない。こうして、セットフレーム12とサイドプレート14とを除いたスクリーン18とウエイトバー20のみが包装材26により被覆された状態となる(ステップ5)。
【0033】
また、好ましくは包装材26の上端部26dと折り返し部26cの上端部26eは、スクリーン18とウエイトバー20の互いに重なり合った部分21からスクリーン18一巻未満分の位置にあるとよく、これにより、スクリーン18の巻取に与える影響を小さくすることができる。また、より好ましくは、包装材26の上端部26dと折り返し部26cの上端部26eは、スクリーン18とウエイトバー20の互いに重なり合った部分21から更に巻取られて、巻取パイプ16に巻取られた外側のスクリーン18とその内側のスクリーン18との間で挟まれる位置にあるとよく、これにより安定的に包装材26が固定される。
【0034】
このように接着テープのような部品を一切使用することなく、通常のロールスクリーンのスクリーン巻取機能を利用して包装材26を取り付けることができるので、取付け作業が容易である。
【0035】
以上の方法で包装されたロールスクリーンは、必要に応じてさらに段ボール等からなる梱包箱などに入れられて輸送される。梱包時または輸送時に、スクリーン18とウエイトバー20の互いに重なり合った部分において包装材26が介装されることになるため、スクリーン18とウエイトバー20との直接の接触を回避することができるので、スクリーン18にウエイトバー20の押し跡を付着しにくくすることができる。
【0036】
輸送後、ロールスクリーン10は、所望の取付場所に設置される。具体的には、
図4に示すように、ブラケット38によってセットフレーム12が窓枠等の取付場所に設置される。
【0037】
この設置作業時において、セットフレーム12とサイドプレート14は包装材26により被覆されていないため、包装材26が邪魔になることはない。また、包装材26を付けたまま設置作業を行うことで、作業中にスクリーン18やウエイトバー20の部分を包装材26を介して手で触ることができるので、作業性は良好であり、スクリーン18やウエイトバー20の部分を直接触れることはないので、これらに汚れや傷等が付着することもない。
【0038】
セットフレーム12の設置が終了すると、操作チェーン24を操作して、プーリ22を回転駆動させ、
図5(a)に示すように、巻取パイプ16を図中矢印方向に回転させると、まずウエイトバー20が、次いでスクリーン18が巻取パイプ16から巻解かれて下降していく。このとき、ウエイトバー20とスクリーン18との重なり合いが解除すると同時に、包装材26の上端部26d、26eの近傍同士の重なり合いも解除する。包装材26の折返し部26cはウエイトバー20とともに下降し、包装材26のスクリーン18と重なり合っている部分はスクリーン18と一体に下降していく。更に、操作チェーン24を操作してプーリ22を回転駆動させて巻取パイプ16を回転させて、
図5(b)に示すように、包装材26の上端部26dが巻取パイプ16から垂下する位置まで巻解くと、
図5(c)に示すように、包装材26が自身の自重で降下し、スクリーン18及びウエイトバー20から自然に外れる。
【0039】
このように、包装材26の上端部26dが巻取パイプ16から垂下する位置までスクリーン18を巻解くだけで、包装材26がスクリーン18及びウエイトバー20から自然に外れるため、包装材26の取外しが容易である。包装材26が静電気や摩擦力によって自重にて降下しない場合にも、包装材26を下方に軽く引っ張ることで、容易に包装材26を取り外すことができる。よって、刃物を使用する必要がないので、スクリーン18に傷を与えることもない。または、包装材26の取り外し作業を単独の工程として行わなくても、最初の使用時に通常の操作である、スクリーン18の下降操作を行うだけで取り外すこともできる。
【0040】
次に、
図6に基づいて第2の実施形態を説明する。
【0041】
第1の実施形態においては1枚のシート状の包装材26を折り返すことにより、スクリーン18の下端部を被覆していたが、この第2の実施形態においては、
図6Aに示すように、包装材28が予め袋状になっており、折返し部28cの両側部がシールされている。
【0042】
この第2の実施形態においては、
図6Bに示すように、巻取パイプ16からスクリーン18をある程度引き出した状態で、スクリーン18の下端からスクリーン18の下端部を包装材28に挿入して、スクリーン18の下端部を袋状の包装材28によって被覆する。以降の手順は、第1の実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0043】
この実施形態によれば、包装材28を折り返す工程が不要になるので、作業性を良好にすることができる。
【0044】
次に、
図7に基づいて第3の実施形態を説明する。
【0045】
第3の実施形態のロールスクリーン30は、巻取パイプ16に内蔵されている図示していないスプリングの付勢力により巻取パイプ16を巻取る構成を有しており、第1の実施形態のプーリ22と操作チェーン24に代えて、またはこれらに加えて、プルコード32とプルコード32の先端に設けられる操作つまみ34で構成される操作具が、ウエイトバー20に取付けられる。
【0046】
このロールスクリーン30の操作は、公知のように、巻取パイプ16に巻取られているスクリーン18を巻解く場合、操作つまみ34を持って引き下げることにより、ウエイトバー20及びスクリーン18を引き出して巻取パイプ16からスクリーン18を巻解くことができ、操作つまみ34から手を離すと、巻取パイプ16に内蔵されている図示していないストッパが係合して、スクリーン18を任意の位置で停止させることができ、一方、巻取パイプ16にスクリーン18を巻取る場合は、操作つまみ34を持って若干引き下げてスクリーン18を巻取パイプ16から若干巻解いてストッパを解除することにより、スプリングの畜勢力により巻取パイプ16が回転してスクリーン18を巻取ることができる。
【0047】
また、このロールスクリーン30に取付ける包装材26(包装材28でもよい)は、前実施形態と同様の外形寸法及び材質で構成されると共に、操作つまみ34及びプルコード32を挿通可能な孔部26aが折り返し部26cに形成されている。好ましくは、
図7に示すように、包装材26には孔部26aから下端部までスリット26bが形成されているとよい。
【0048】
このような第3の実施形態のロールスクリーン30に包装材26を取付ける方法を、
図7を参照しながら説明するが、主として第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0049】
まず、
図7Aに示すように、巻取パイプ16からスクリーン18をある程度引き出した状態で、スクリーン18の下端部を包装材26上に載置した後、
図7B及び
図7Cに示すように、包装材26の下端をウエイトバー20に沿ってスクリーン18の前面側に折り返す。このとき、スリット26bを通してプルコード32を孔部26aに挿通させる。この後、
図7Dに示すように、包装材26の両側部をスクリーン18及びウエイトバー20の両側端部に合わせてこれらを包むように折り返し、操作つまみ34を若干引き下げて、ストッパを解除し、巻取パイプ16を回転駆動させ、
図7Eに示すように、スクリーン18を巻取っていく。そして、
図7Fに示すように、スクリーン18が巻取パイプ16に完全に巻取られると、第1の実施形態と同様に、包装材26がスクリーン18の少なくとも一巻分の露出された外周面とウエイトバー20を完全に被覆することができる。
【0050】
プルコード32及び操作つまみ34で構成される操作具を包装材26の孔部26aから引き出す構造とすることにより、包装材26によって操作具とスクリーンとが直接接触しない構造となるため、スクリーンに操作具の押し跡が付きにくくなる。
【0051】
なお、包装材26に設けたスリット26bは必ずしも設ける必要はなく、スリット26bを設けない場合は、操作つまみ34及びプルコード32を挿通孔26aに直接挿通させるようにすればよい。
【0052】
次に、
図8に基づいて第4の実施形態を説明する。
【0053】
第4の実施形態においては、包装材26(包装材28でもよい)によって包装する際に、説明書36をスクリーン18と包装材26との間に挿入してこれらと一体に巻取るようにしたものである。
【0054】
説明書36は、その表面36aにロールスクリーンの一般的な使用上の説明・注意や仕様などを記載することができ、その裏面36bには、
図8Bに示すように、この包装材26に関する注意書きを記載するとよい。即ち、この包装材26は、ロールスクリーン10の設置作業前に取り外してしまうと、包装材26の効果が半減してしまうので、裏面36bの注意書きにより、設置作業後に取り外すように注意を喚起するとよい。
【0055】
説明書36を挿入するには、説明書36を上下逆向きに位置させて、表面36aがスクリーン18に接触するようにし、裏面36bが包装材26に接触するようにして、スクリーン18と包装材26の間に挿入する。このときの説明書36は、
図8Cに示すように、その下端が孔部26aの若干上方に位置するとよい。次いで、スクリーン18を巻取パイプ16に完全に巻取ると、
図8Dに示すように、裏面36bの注意書きが、上下正しい向きとなる。
【0056】
これによって、包装材26が透明あるいは半透明材料であれば、包装材26を通して説明書に記載されている事項を確認することができる。
【0057】
任意には、この実施形態のように説明書36を挿入する代わりに、包装材自体に「設置作業後に取り外す」旨の注意書きを印刷しておくことも可能である。
【符号の説明】
【0058】
10、30 ロールスクリーン
12 セットフレーム(固定部材)
14 サイドプレート(固定部材)
16 巻取パイプ
18 スクリーン
20 ウエイトバー
26、28 包装材
26a 孔部
26c、28c 折返し部
32 プルコード(操作具)
34 操作つまみ(操作具)
36 説明書