特許第5696960号(P5696960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旺宏電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許5696960縦型チャネルメモリーとその製造方法および稼働方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696960
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】縦型チャネルメモリーとその製造方法および稼働方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20150319BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 21/8247 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 27/115 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H01L29/78 371
   H01L27/10 434
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2007-265550(P2007-265550)
(22)【出願日】2007年10月11日
(65)【公開番号】特開2008-172195(P2008-172195A)
(43)【公開日】2008年7月24日
【審査請求日】2010年9月21日
【審判番号】不服2013-17261(P2013-17261/J1)
【審判請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】11/545,575
(32)【優先日】2006年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/785,322
(32)【優先日】2007年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500420812
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100097180
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 均
(72)【発明者】
【氏名】ツ−フシュアン フシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハン−ティン ルエ
(72)【発明者】
【氏名】イェン−ハオ シン
(72)【発明者】
【氏名】チア−ウェイ ウ
【合議体】
【審判長】 鈴木 匡明
【審判官】 恩田 春香
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−80163(JP,A)
【文献】 特開2005−294565(JP,A)
【文献】 特開2006−66564(JP,A)
【文献】 特開2004−363329(JP,A)
【文献】 特開平9−219459(JP,A)
【文献】 特開2005−175480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/366
H01L29/788
H01L29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から突出したチャネルと、
前記チャネルの上に配置されたキャップ層と、
前記チャネルの垂直な二側面及び前記キャップ層の上面上に配置され、前記チャネルの垂直な二側面及び前記キャップ層の上面を覆うとともに直接接している電荷蓄積構造と、
前記電荷蓄積構造を介して、前記チャネルの垂直な二側面及び前記キャップ層の上面の上に配置され、前記電荷蓄積構造を跨ぐように覆っているゲートと、
前記ゲートに対して前記チャネルの二側面にそれぞれ位置している第一端子および第二端子を含む、縦型チャネルメモリー。
【請求項2】
前記キャップ層と前記チャネルが実質的に同じ幅を持つことを特徴とする請求項1に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項3】
前記基板の上に位置する厚い酸化物層をさらに含み、その厚い酸化物層が前記チャネルの垂直な二側面と接触していることを特徴とする、請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項4】
前記キャップ層がケイ素酸化物層とケイ素窒化物層を含み、前記ケイ素窒化物層が前記ケイ素酸化物層の上に位置し、さらに前記キャップ層が縦型チャネルメモリーの形成に寄与することを特徴とする、請求項2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項5】
前記チャネルの垂直な二側面の上に位置した電荷トラップ層を含む電荷蓄積構造を特徴とする、請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項6】
前記電荷トラップ層の素材が窒化ケイ素、酸化アルミニウムもしくは、ほかの高誘電率を有する物質であることを特徴とする、請求項5に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項7】
前記電荷蓄積構造が、第一酸化物層と第二酸化物層を含み、前記第一酸化物層が前記電荷トラップ層と前記チャネルの間に位置し、前記第二酸化物層が前記電荷トラップ層とゲートの間に位置することを特徴とする請求項5に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項8】
前記基板がバルクシリコン基板もしくはシリコン・オン・インシュレーター基板であることを特徴とする、請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項9】
前記ゲートの材料が、N+ポリシリコン、P+ポリシリコン、金属化合物、もしくは金属であることを特徴とする、請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項10】
前記チャネルの線幅が、10nmから60nmの範囲内にあることを特徴とした、請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項11】
前記電荷蓄積構造が、第一障壁層と、トンネル層と、第二障壁層と、電荷トラップ層と、第三障壁層とを含み、前記トンネル層は前記第一障壁層の上に位置し、前記第二障壁層は前記トンネル層の上に位置し、前記電荷トラップは前記第二障壁層の上に位置し、前記第三障壁層は前記電荷トラップの上に位置し、前記第一障壁層は前記チャネルの垂直な二側面と前記キャップ層の上面に位置し、前記トンネル層は、前記第一障壁層と前記第二障壁層との間に位置し、前記電荷トラップ層は、前記第二障壁層と前記第三障壁層との間に位置することを、特徴とする請求項1または2に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項12】
前記第一障壁層、前記第二障壁層、および前記第三障壁層が酸化物層であり、前記電荷トラップ層が窒化物層で、前記トンネル層が窒化物層またはポリシリコン層であることを特徴とする請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項13】
前記第一障壁層の厚さが、20オングストローム未満であることを特徴とする請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項14】
前記第一障壁層の厚さが5オングストロームから20オングストロームの間であることを特徴とする、請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項15】
前記第一障壁層の厚さが15オングストローム未満であることを特徴とする請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項16】
前記第二障壁層の厚さが20オングストロームより小さいことを特徴とする、請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項17】
前記第二障壁層の厚さが15オングストロームから20オングストロームの間であることを特徴とする、請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項18】
前記トンネル層の厚さが20オングストローム未満であることを特徴とする、請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項19】
前記トンネル層の厚さが10オングストロームから20オングストロームの間であることを特徴とする、請求項11に記載の縦型チャネルメモリー。
【請求項20】
(a)基板を準備する工程と、
(b)前記基板の上に第一窒化物層を形成する工程と、
(c)前記第一窒化物層をエッチングして第一窒化物パターン層を形成する工程と、
(d)前記第一窒化物パターン層をトリミングして第二窒化物パターン層を形成する工程と、
(e)前記基板をエッチングして、基板から突き出たチャネルを少なくとも一つ形成する工程と、
(f)エッチングされた前記基板上に、前記チャネルの垂直な二側面に接するように厚い酸化物層を形成する工程と、
(g)前記チャネルの垂直な二側面を覆うとともに直接接する電荷蓄積構造を形成する工程と、
(h)ゲート材層を前記電荷蓄積構造の上に形成する工程と、
(i)前記チャネルの垂直な二側面に少なくとも一つのゲートを形成するために前記ゲート材層をエッチングする工程と、
(j)前記ゲートに対してチャネルの前記二側面に少なくとも一つの第一端子と第二端子を形成するためにイオンを注入する工程と、
を含む縦型チャネルメモリーの製造方法。
【請求項21】
酸化物−窒化物−酸化物(ONO)層を形成することを含む、前記電荷蓄積構造を形成することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
酸化物−窒化物−酸化物−窒化物−酸化物(ONONO)層の形成を含む、前記電荷蓄積
構造を形成することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記工程(b)が、
(b1)パッド酸化物層を前記基板と前記第一窒化物層の間に形成する工程を含むことを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項24】
前記工程(c)が、
(c1)前記第一窒化物層の上に第一耐光パターン層を形成する工程と、
(c2)前記第一窒化物層をエッチングして、第一窒化物パターン層を形成する工程と、
(c3)第一耐光パターン層を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項25】
前記工程(h)と工程(i)の間に、
(k)前記第二窒化物層を前記ゲート材層の上に形成する工程と、
(l)前記第二耐光パターン層を前記第二窒化物層の上に形成する工程と、
(m)前記第二窒化物層をエッチングして、第三窒化物パターン層を形成する工程と、
(n)前記第二耐光パターン層を除去する工程と、
(o)前記第三窒化物パターン層をトリミングして、第四窒化物パターン層を形成する工程とをさら含むことを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項26】
前記電荷蓄積構造が、前記チャネルの頂部表面と垂直な前記二側面の上に位置していることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項27】
前記工程(d)において、前記第二窒化物パターン層の線幅が、10nmから60nmの範囲内にあることを特徴とする、請求項20に記載の製造方法。
【請求項28】
前記工程(d)において、前記第一窒化物パターン層をトリミングするのに、熱リン酸を使用する請求項20に記載の製造方法。
【請求項29】
基板から突出したチャネルを持つ縦型チャネルメモリーで使用され、そのチャネルは頂部表面と垂直な二側面を有し、ONONO層が前記チャネルの垂直な二側面を覆うとともに直接接しており、前記ONONO層を跨ぐゲートが前記チャネルの垂直な二側面の上に位置し、第一端子と第二端子がそれぞれゲートに対してチャネルの二側面に位置している、メモリーの稼働方法であって、
(a)前記縦型チャネルメモリーをプログラムするために、前記ゲートに第一バイアスをかける工程と、
(b)前記縦型チャネルメモリーを消去するために、第一バイアスとは極性が逆の第二バイアスを前記ゲートにかける工程とを含むことを特徴とするメモリーの稼働方法。
【請求項30】
前記工程(a)が、さらに、
(a1)前記第一端子もしくは前記第二端子に第一バイアスと極性が同一の第三バイアスをかける工程を含む請求項29に記載の稼働方法。
【請求項31】
前記工程(b)が、さらに、
(b1)前記第一端子もしくは前記第二端子に、前記第一バイアスと極性が同一の第四バイアスをかける工程;を含むことを特徴とする請求項29に記載の稼働方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して縦型チャネルメモリーとその製造方法および稼働方法に関するものであり、特に高集積な垂直チャネルメモリーとその製造方法およびその稼働方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造技術の発展に伴って、現在の半導体素子の解像度はナノレベルに達している。メモリーを例にとると、ゲートとエレメント・ピッチの長さはさらに縮められている。フォトリソグラフィが常に向上しているにもかかわらず、生産されたプレーナートランジスタ構造はフォトリソグラフィの解像度の限界に達しており、トランジスタ素子は静電放電(ESD),漏洩、電子の動きの低下などの問題を抱えており、さらに短チャンネル効果、ドレインに起因する障壁低下効果(DIBL効果)などを引き起こしやすい。そのため、より高密度でキャリア伝達率と集積率を提供できる、例えばフィン効果トランジスタ(FinFET)のような、ダブルゲート縦型トランジスタチャネルとトライゲート縦型トランジスタチャネルが有望なトランジスタ構造となってきた。
【0003】
FinFETは縦型チャネルを有し垂直な二側面にチャネルを形成し電流の接続をダブルゲートもしくはトライゲートで制御することができる。従って、従来のプレーナーチャネルトランジスタよりも効率がよい。
【0004】
高精密なFinFET素子の製造には、フォトリソグラフィやE光線の高価で進んだ製造過程がいまだに必要である。しかしながら、この進んだ製造工程のスループットを上げるのは難しく、大量生産には不利である。現在の製造方法の一つとして、始めにチャネルをエッチングし、それからチャネルの線幅を酸化によって縮小するものがある。しかし、この方法で形成された素子は均一性に乏しく、品質をコントロールするのが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は縦型チャネルメモリーとその製造方法および稼働方法に関する。チャネルの幅が10nm〜60nmである縦型チャネルトランジスタ構造は露光によって形成された素子ピッチ幅を変えずに製造される。本発明は、プログラミングや読み込みの最中に短チャンネル効果やドレインに起因する障壁低下(drain induced barrier lowering)DIBL効果を引き起こさずに効果的に駆動電流を上げる。それによって形成されたFinFETトランジスタはサイズが小さいため、メモリー密度が飛躍的に上がる。さらに、本発明は、BE−SONOSメモリーと呼ばれる、バンドギャップエンジニアリング構造を持つSONOSメモリーを提供する。SONOS構造をもった従来の縦型チャネルメモリーと比較して、BE−SONOS構造をもった縦型チャネルメモリーは稼働速度が速く、オペレーティングウィンドーの幅も広い。BE−SONOS構造を有した縦型チャネルメモリーは、電荷をローカルに持つことができ、MLCメモリーを得るため、オペレーティングウィンドーの範囲を広げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第一の観点においては、基板、チャネル、キャップ層、多層構造、第一端子と第二端子が含まれる縦型チャネルメモリーが提供される。
チャネルは基板から突き出ていて、頂部表面と垂直な二側面を有する。チャネルに配置されたキャップ層は、実質的にチャネルの幅と同じである。多層構造はキャップ層とチャネルの垂直な二側面に配置されている。多層構造をまたいでいるゲートはチャネルの垂直な二側面に設置されている。第一端子と第二端子は、ゲートに対してチャネルの二側面にそれぞれ設置されている。
【0007】
本発明に係る第二の観点においては、縦型チャネルメモリーの製造方法が提供される。始めに、基板が用意される。次に、第一窒化物層が基板の上に形成される。そして、第一窒化物層がエッチングされ、第一窒化物パターン層が形成される。次に第一窒化物パターン層はトリミングされ、第二窒化物パターン層が形成される。そして、基板がエッチングされ、基板から突出したチャネルが少なくとも一つ形成される。次に、基板の頂部表面に厚い酸化物層が形成される。そして、電荷蓄積構造がチャネルの垂直な二側面に形成される。次に、ゲート材層がONO層に形成される。そして、ゲート材層がエッチングされ、少なくとも一つのゲート、即ちフィンゲートが縦型チャネルのフィン構造に形成されるようにチャネルの垂直な二側面に位置したゲートが形成される。次に、ゲートに対してチャンネルの二側面にイオンが注入され、第一および第二端子が形成される。
【0008】
本発明に係る第三の観点においては、メモリーの稼働方法が提供される。この稼働方法は縦型チャネルメモリーに使用される。縦型チャネルメモリーは基板から突出したチャネルを有している。チャネルは頂部表面と垂直な二側面を有している。ONONO層はチャネルに配置されている。ゲートはONONO層をまたいでチャネルの垂直二側面の上に設置されている。第一端子と第二端子はゲートに対してチャネルの二側面に設置されている。この稼働方法は以下の工程を含む。初めに、縦型チャネルメモリーをプログラムするために第一バイアスをゲートにかける。次に、縦型チャネルメモリーを消去するために、第一バイアスとは極性が反対の第二バイアスをゲートにかける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は以下の好ましいが限定されない実施形態の詳細な説明において明確になる。以下の説明は添付の図面に基づくものである。
【0010】
図1Aは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの平面図である。
【0011】
図1Bは、図1Aにおける断面線AA’に沿った断面図である。
【0012】
図2Aから2Jは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
【0013】
図3は、本発明の第一実施形態に係る製造工程をフローチャートで表したものである。
【0014】
図4Aは、第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの平面図である。
【0015】
図4Bは、図4Aにおける断面線BB’に沿っての断面図である。
【0016】
図5Aから5Jは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
【0017】
図6は、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリー製造工程をフローチャートで表したものである。
【0018】
図7Aは、本発明の第三実施形態に係る第一縦型チャネルメモリーの断面図である。
【0019】
図7Bは、本発明の第三実施形態に係る第二縦型チャネルメモリーの
断面図である。
【0020】
図8Aは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーにおける閾値電圧に対するプログラミングにかかる時間の相関曲線を比較したものである。
【0021】
図8Bは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーにおける、閾値電圧に対する削除にかかる時間の相関曲線を比較したものである。
【0022】
図9は、BE−SONOS縦型チャネルメモリーと従来のSONOS縦型チャネルメモリーの閾値電圧に対する記憶保持時間の相関曲線を比較したものである。
【発明の詳細な説明】
【0023】
第一実施形態
図1A図1Bを参照する。図1Aは、本発明の第一実施形態の縦型チャネルメモリーの平面図である。図1Bは、図1Aにおける断面線AA’に沿った断面図である。図1Bに示されているように、縦型チャネルメモリー100は、基板110a、基板100aから突き出たチャネル112とチャネル112の上にあるキャップ層140を含む。チャネル112は、上表面112aと垂直な二側面112bを有している。チャネル112は実質的にキャップ層140と同じ幅を持っている。本発明の本実施形態において、製造工程の中間生成物であるキャップ層140は二酸化ケイ素(SiO)層と窒化ケイ素(SiN)層を含み、二酸化ケイ素層の上に窒化ケイ素層がある。適切な厚みを持ったキャップ層140は、ゲートから電子が侵入してくるのを防ぐため、デュアルチャネル縦型メモリーの形成に寄与し、チャネル112の電界を均一にし、チャネル112からリーク電流が作られるのを防ぐ。多層構造、すなわち、本発明の本実施形態における酸化物―窒化物―酸化物(ONO)層160は、チャネル112の垂直な二側面112bにあり、酸化物層161、窒化物層162,酸化物層163を含み、酸化物層161と酸化物層163が窒化物層162を挟む。ONO層160は、電荷蓄積構造としてキャップ層140の上にあり、フィン(fin)構造のチャネル112をまたいでいる。酸化物層161と酸化物層163は、二酸化ケイ素からできている。窒化物層162は電荷を取り込む層であり、本発明の本実施形態においては、窒化ケイ素からできている。さらに、窒化物層162は、酸化アルミニウム(Al)もしくは高誘電率を持つ物質からも作ることが可能である。ONO層160は、縦型チャネルメモリー100がデータのプログラミングや消去の機能を持つことを可能にする電荷蓄積構造である。ゲート170aは、窒化物層162をまたいでいる、つまり、ゲート170aは、フィン構造のチャネル112の上に位置している。ゲート170aを使って、電流の接続をそれぞれ制御することができる二つの垂直な側面112があることから、縦型チャネルメモリー100はダブルゲート構造と呼ばれる。ゲート170aは、N+ポリシリコン、P+ポリシリコン、金属化合物または金属から作ることができる。図1Aで示されているように、第一端子192と第二端子194は、ゲート170aに対してチャネル112の二側面にそれぞれ位置している。本発明の本実施形態は、NANDアレイメモリー構造で例示されており、端子192と端子194は、それぞれソースとドレインまたはドレインとソースである。さらに、二つの縦型チャネルメモリー100の間にあるソースとドレインはどれも共通ソースと共通ドレインである。チャネル112の線幅はおおよそ10nmから60nmの範囲である。
【0024】
さらに、図1Bに示されるように、縦型チャネルメモリー100は基板110aの上に位置する厚膜酸化物層150を持つ。本発明の本実施形態においては、厚膜酸化物層150は酸化ケイ素からできている。厚膜酸化物層150は、基板110aが電気的に接続されるのを防ぐことにより、リーク電流の発生を防止する。
【0025】
本発明の実施形態の適用例として、以下のNANDの製造工程を示す。図2Aから図2Jにおいては、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程が示されている。また図3においては、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程がフローチャートで示されている。
【0026】
まず初めに、図2Aを参照する。工程301に示されるように、基板110が用意される。基板110の例としては、バルクシリコン基板やシリコンオンインシュレーター基板がある。
【0027】
次に、図2Bを参照する。工程302に示されているように、第一窒化物層130が基板110の上に形成される。本発明の本実施形態においては、第一窒化物層130は窒化ケイ素からできており、他の実施形態においては、基板110と第一窒化物層130との間にパッド酸化物層120が形成される。なお、パッド酸化物層120の代わりに窒化ケイ素からなる層を形成してもよい。さらに、本発明の実施形態にはN型チャネルを有するトランジスタが形成されているため、P型イオンを基板100にこの工程で注入することが可能である。そのため次の工程でチャネルを形成する際に基板100の品質が高くなる。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。トランジスタがP型チャネルを持つように設計されている場合は、N型イオンが基板100に注入される。
【0028】
そして、図2Cを参照する。工程303に示されているように、第一窒化物層130がエッチングされ、第一窒化物パターン層130aが形成される。本発明の本実施形態においては、第一窒化物層130は、窒化ケイ素から作られる。工程303は以下のサブ工程も含む。はじめに、第一窒化物層130に耐光パターン層(図示されていない)が形成される。次に、第一窒化物層130がエッチングされ、第一窒化物パターン層130aが形成される。それから、第一耐光パターン層が除去される。こうして得られる第一窒化物パターン層130aは、線幅D1を有する。この工程では、反応性イオンエッチング(RIE)法をとることもできる。
【0029】
次に、図2Dを参照する。工程304に示されているように、第一窒化物パターン層130aがトリミングされ第二窒化物パターン層130bを形成する。トリミング後の第二窒化物パターン層130bは、線幅D2のパターンを有する。線幅D2は、約10nmから60nmの範囲内である。本工程においては、第一窒化物パターン層130aをトリミングするのに、酸化ケイ素と窒化ケイ素に対するエッチング選択比に優れている、熱リン酸が使用された。
【0030】
そして、図2Eを参照する。工程305に示されているように、基板110は基板110aを形成するためにエッチングされ、基板110aから突き出したチャネル112が基板110aの上に形成される。チャネル112は、頂部表面112aと、垂直な二側面を有する。本発明の実施形態においては、好ましくは、パッド酸化物層120がRIE法に従ってパッド酸下物層120aを形成するためにエッチングされた後、基板110がチャネル1120を形成するために続いてエッチングされる。その間、パッド酸化物層120aと第二窒化物パターン層130bは、まとめてキャップ層140と呼ばれる。
【0031】
次に、図2Fを参照する。チャネル112の垂直な二側面112bと接する厚膜酸化物層150が形成される。本工程において、厚い酸化物層150は、高密度プラズマ(HDP)により積層される。厚膜酸下物層150は、電流が厚膜酸下物層150の上にあるチャネル112の部分しか流れないように、フィンチャネルの高さを制限する。
【0032】
そして、図2Gを参照する。工程306に示されているように、
酸化物―窒化物―酸化物(ONO)層160が形成される。ONO層160は、キャップ層140、チャネル112の垂直な二側面112bと厚い酸化物層150の上に配置されている。ONO層160は、酸化物層161、窒化物層162及び酸化物層163とを含む。本発明の本実施形態においては、窒化物層162は、電荷トラッピング層として電荷蓄積構造が形成されるように、窒化ケイ素が使われる。しかしながら、窒化物層162には、電荷トラッピング層として、酸化アルミニウム(Al)やその他の高い誘電率を持つ物質も使用することができる。
【0033】
次に、図2Hを参照する。工程307で示されているように、ゲート材層ONO層160の上に形成される。
【0034】
そして、図2Iを参照する。工程308で示されているように、ゲート材層170がエッチングされて、フィン構造のチェネル112をまたぐゲートが少なくとも一つ形成される。工程308が行われる前に、好ましくは、以下の工程が行われる。初めに、第二窒化物層(図示されていない)が、ゲート材層170に形成される。本発明の本実施形態においては、第二窒化物層は、窒化ケイ素からなる。次に、第二耐光パターン層(図示されていない)が、第二窒化物層の上に形成される。そして、第二窒化物層がエッチングされ、第三窒化物パターン層180が形成される。次に、第二耐光パターン層が除去される。そして、第三窒化物パターン層180がトリミングされ、第四窒化物パターン層180aが形成される。続いて、図2Jを参照する。ゲート材層170は、第四窒化物パターン層180aのパターンに従ってエッチングされ、ゲート170aが形成される。ゲート170aが形成された後に、好ましくは第四窒化物パターン層180aを除去する。したがって、線幅は約10nmから60nmの範囲のゲート構造が形成される。
【0035】
次に、工程309で示されているように、第一端子192と第二端子194を形成するために、ゲート170aに対してチャネル112の二側面にイオンが注入される。ここまでで、主構造の縦型チャネルメモリー100を有するNANDメモリーアレイが完成する。本発明の本実施形態は、N型チャネルトランジスタの形成によって例示されているので、N型ドーパントは本工程で添加される。トランジスタがP型チャネルを有するように設計さている場合は、P型ドーパントが添加される。
第二実施形態
【0036】
図4A図4Bを参照する。図4Aは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの平面図である。図4Bは、図4Aの断面図線BB‘に沿った断面図である。本発明の本実施形態の縦型チャネルメモリー200は、キャップ層140が取り除かれているところが、第一実施形態の縦型チャネルメモリー100と違っている。縦型チャネルメモリー100と共通しているその他の素子については、同じ番号が使用されているため、その機能はここで反復しない。
【0037】
酸化キャップ層140が取り除かれているため、ゲート170aによって電流の接続を制御することができるチャネル112は、トライゲート構造と呼ばれる。
【0038】
本発明の本実施形態の適用例として、下記にNANDメモリーアレイの製造工程で示す。図5Aから図5Jにおいては、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程が示されている。さらに、図6には、本発明の第二実施形態に係る、縦型チャネルメモリーの製造工程のフローチャートが示されている。
【0039】
はじめに、図5Aを参照する。工程601で示されているように、基板110が用意される。
【0040】
次に、図5Bを参照する。工程602に示されているように、基板110の上に第一窒化物層130が形成される。本発明の本実施形態においては、好ましくは、パッド酸化物層120が基板110と第一窒化物層130の間に形成される。さらに、本発明の本実施形態では、N型チャネルを有するトランジスタが形成されるため、次の工程でチャネルを形成する際に基板110の質が高くなるようにP型イオンが基板110に注入される。しかしながら、本発明の本実施形態はこれに限定されない。トランジスタがP型チャネルを有するように設計されている場合は、N型イオンが基板110に注入される。
【0041】
そして、図5Cを参照する。工程603に示されているように、第一窒化物層130がエッチングされ、第一窒化物パターン層130aが形成される。工程603は、以下の工程を含む。第一耐光パターン層(図示されていない)が、第一窒化物層130の上に形成される。次に、第一窒化物層130が、第一窒化物パターン層130aを形成するためにエッチングされる。そして、第一耐光パターン層が取り除かれる。その結果の第一窒化物パターン層130aは、線幅D1のパターンを有する。
【0042】
次に、図5Dを参照する。工程604に示されるように、第一窒化物パターン層130aがトリミングされ、第二窒化物パターン層130bを形成する。こうして得られるトリミング後の第二窒化物パターン層130bは、線幅D2がおおよそ10nmから60nmのパターンを有する。
【0043】
そして、図5Eを参照する。工程605に示されているように、基板110をエッチングして基板110aを形成し、基板110aから突き出ているチャネル112が基板110aの上に形成される。チャネル112は、頂部表面112aと垂直な二側面112bを有する。本発明の本実施形態において、好ましくは、RIE法に従ってパッド酸化物層120aがパッド酸化物層120からエッチングされて形成された後、基板110がチャネル112を形成するために続いてエッチングされる。その間、パッド酸化物層120aと第二窒化パターン物層130bは、まとめてキャップ層140と呼ばれる。
【0044】
次に、図5Fを参照する。厚膜酸化物層150は、基板表面が電気的に接続されるのを防ぐことにより、リーク電流の発生を防止する。工程606に示されているように、チャネル112の上にある第二窒化物パターン物層130bとパッド酸化物層120aからなるキャップ層140が取り除かれる。この工程は、熱リン酸(HPO)で達成することも可能である。その間に、好ましくは、パッド酸化物層120aが取り除かれる。この工程は、フッ化水素酸(HF)で達成することができる。第二窒化物パターン層130bとパッド酸化物層120aの除去は、厚い酸化物層150の形成の前でも後でもよい。
【0045】
そして、図5Gを参照する。工程607で示されているように、
酸化物―窒化物―酸化物(ONO)層160が形成される。ONO層160は、チャネル112の垂直な二側面112bと厚い酸化物層150の上に配置されている。ONO層160は、酸化物層161、窒化物層162,酸化物層163を含む。本発明の本実施形態においては、窒化物層162は、電荷トラッピング層として窒化ケイ素を使用している。しかしながら、窒化物層162は、電荷蓄積構造を形成するのに酸化アルミニウム(Al)または高誘電率を持つ物質を電荷トラッピング層として使用することも可能である。
【0046】
次に、図5Hを参照する。工程608に示されるように、ゲート材層170がONO層160の上に形成される。
【0047】
そして、図5Iを参照する。工程609で示されているように、ゲート材層170がエッチングされ、チャネル112の垂直な二側面112bと上表面112aの上に配置されたゲート170aが少なくとも一つ形成される。好ましくは、以下の工程を工程609のまえに行う。はじめに、第二窒化物層(図示されていない)がゲート材層170の上に形成される。次に、第二耐光パターン層(図示されていない)が第二窒化物層の上に形成される。そして、第二窒化物層がエッチングされ、第三窒化物層180が形成される。次に、第二耐光パターン層が取り除かれる。そして、第三窒化物パターン層180がトリミングされ、第四窒化物パターン層180aが形成される。そして、図5Jを参照すると、ゲート材層170は、第四窒化物パターン層180aのパターンに従ってエッチングされ、ゲート層170aが形成される。好ましくは、第四窒化物パターン層180aが除去される工程は、ゲート層170aが形成された後に行う。
【0048】
次に、工程610に示されているように、ゲート170aに対してチャネル112の二側面にイオンが注入され、第一端子192と第二端子194が形成される。ここまでで、縦型チャネルメモリー200を有するNANDメモリアレイの主構造が完成する。
第三実施形態
【0049】
図7A図7Bを参照する。図7Aは、本発明の第三実施形態に係る第一縦型チャネルメモリーの断面図である。図7Bは、本発明の第三実施形態に係る第二縦型チャネルメモリーの断面図である。本発明の本実施形態における縦型チャネルメモリー300と400は、第一実施形態の縦型チャネルメモリー100と第二実施形態の縦型チャネルメモリー200のONO層160が、少なくとも四つの層を含む多層構造に変えられており、チャネル112の上に配置されている障壁層、トンネル層、電荷トラッピング層、ともう一つの障壁層が順に積まれた多層構造であるという点において違っている。第三実施形態においては、多層構造は5つの層、すなわち、チャネル112の上に配置された第一障壁層、トンネル層、第二障壁層、電荷トラッピング層及び第三障壁層が順に積まれた多層構造を有するONONO層360であり、前記トンネル層は、前記第一障壁層と前記第二障壁層との間に位置し、前記電荷トラップ層は、前記第二障壁層と前記第三障壁層との間に位置する。したがって、バンドキャップ(BE−SONOS)構造を持つメモリーが形成される。縦型チャネルメモリー300と縦型メモリー400の素子で縦型チャネルメモリー100と縦型チャネルメモリー200と共通の素子は、同じ番号が用いられており、ここではその機能については繰り返さない。
【0050】
ONONO層360は、酸化物層361を第一障壁層として、窒化物層362をトンネル層として、酸化物層363を第二障壁層として、窒化物層364を電荷トラッピング層として、酸化物層365を第三障壁層として有する。すなわち、ONO層160の酸化物層161が酸化物層361、窒化物層362,酸化物層363によって置換されているため、より優れた稼働特性が得られる。また、窒化物層362は、トンネル層としてポリシリコン層に代替できる。ONONO層360の窒化物層364は、電荷トラッピング層として酸化アルミニウムまたは高誘電率を持つ物質を用いることが可能である。酸化物層361のような第一障壁層の厚みは、20オングストローム(Å)未満である。第一障壁層の厚みは、好ましくは、5Åから20Åの範囲内である。より好ましくは第一障壁層の厚みは15Å未満である。窒化物層362のようなトンネル層の厚みは20Å未満で、好ましくは、10Åから20Åの範囲内である。酸化物層363のような第二障壁層の厚みは20Å未満であり、好ましくは、15Åから20Åの範囲内である。
【0051】
図8Aは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーの閾値電圧に対するプログラミング時間の相関曲線を比較したものである。図8Bは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャンネルメモリーの閾値電圧に対する消去にかかる時間の相関曲線を比較したものである。図8Aに示されているように、同じゲート電圧Vcをかけると、BE−SONOS構造を持った本発明の本実施形態の縦型チャネルメモリーは、従来のSONOS構造を有した縦型チャネルメモリーに比べて閾値電圧が早く増加する。したがって、結果としてプログラミングのスピードが速くなる。図8Bに示されているように、同じゲート電圧Vをかけると、BE−SONOS構造を持った本発明の本実施形態の縦型チャネルメモリーは、従来のSONOS構造を有した縦型チェネルメモリーに比べて、閾値電圧を早く減少させる。この結果、消去にかかる時間が早くなる。
【0052】
図8Bで示されているように、BE−SONOS構造を有した縦型チャネルメモリーは、負の閾値電圧になるまで消去することができるため、オペレーティングウィンドーの範囲を大幅に広げ、マルチレベルセル(MLC)メモリーの機能を達成する。BE−SONOS構造のNANDメモリアレイが使用された場合、消去の際に閾値電圧を負にすることができるため、チャネルを反転させてゲートに余分なバイアスをかけずに起動することが可能で、そのため、稼働手順が簡略化され電力消費を低減する。
【0053】
図9は、BE−SONOS縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーの、閾値電圧に対する記憶保持時間の相関曲線を比較している。図9で示されているように、周囲温度150℃において、BE−SONOS縦型チャネルメモリーと従来のSONOS縦型チャネルメモリーの、異なったプログラミング−削除サイクル下における閾値電圧の変化が表されている。BE−SONOS縦型チャネルメモリーがより安定した閾値電圧を保てることが見られるが、特に高い閾値電圧において非常によく機能する。
【0054】
同様に、NANDメモリアレイの製造工程を例にとる。本発明の本実施形態における縦型チャネルメモリー300および400は、ONO層160を形成する工程における縦型チャネルトランジスタ構造100および200と工程306と工程607において、主にその製造工程が異なる。本発明の本実施形態において、ONO層360は、チャネル112の垂直な二側面112bと、厚い酸化物層150の上に形成されている。第一実施形態と第二実施形態と共通する他の工程はここでは繰り返さない。
【0055】
BE−SONOS構造を有する縦型チャネルメモリーの稼働方法としては、データのプログラムには、ポジティブ・ファウラー・ノルドハイム(+FN)稼働法が採用される。すなわち縦型チャネルメモリー300と400をプログラムするために、10V超の第一バイアスがゲート170aかけられる。一方で、ネガティブ・ファウラー・ノルドハイム(−FN)稼働法がデータを消去するのに採用される。すなわち、第一バイアスとは極性が反対の第二バイアスが、縦型チャネルメモリー300と400のゲート170aにかけられる。その第二バイアスは−10Vよりも小さい。このような稼働方法は、稼働電流を低減し、電力消費を低減し、チャネル付近の酸化物層361の損傷を避け、さらに製品の信頼性を高める。
【0056】
さらに、BE−SONOS構造を有した縦型チャネルメモリーは、チャネル熱電子注入(channel hot electron injection,CHEI)法に従ってプログラムされる。すなわち、縦型チャネルメモリー300または400は、ゲート170aに第一バイアスをかけることでプログラムされ、第一バイアスと極性が同一の第三バイアスが第一端子192もしくは第二端子194にかけられ、その第一バイアスは7Vより大きく、第三バイアスは3.2Vより大きい。同様に、BE−SONOS構造を有した縦型チャネルメモリーは、バンド間ホットホール(BTBHH)法にしたがって削除される。すなわち、縦型チャネルメモリー300または400は、第一バイアスと極性が反対の第二バイアスがゲート170aにかけられることで削除され、さらに、第一バイスと極性が同じの第四バイアスが第一端子192と第二端子194にかけられ、その第二バイアスは0Vより小さく、第四バイアスは10.6Vより大きい。窒化物キャップがローカルに電荷を持つことができるため、上記の稼働方法では、異なるビットをソースまたはドレイン付近のONONO層360部分に蓄積することで、デュアルビットメモリーを実現することができる。本発明の本実施形態においては、BE−SONOS構造を有する縦型チャネルメモリーは、チャネル熱電子注入(CHEI)法に従ってプログラムされ、またBE−SONOS構造を有した縦型チャネルメモリーは、バンド間ホットホール法に従って消去されるが、本発明はこれに限定されない。縦型チャネルメモリーは、ホール注入法でプログラムすることも可能で、電子注入法で消去することも可能である。
【0057】
上記の実施形態において開示された縦型チャネルメモリーとその製造方法および稼働方法においては、チャネルの幅が10nmから60nmの範囲内にある縦型チャネルトランジスタが、露光によって形成された素子のピッチを変えずに製造できるように、窒化物によって形成されたパターンの線幅をさらに縮めるのに熱リン酸を使用する。本発明は、プログラミングや読み込みの際に短チャンネル効果やDIBL効果を引き起こさずに駆動電流を効果的に増加させる。それによって形成されたフィンFETトランジスタはサイズが小さく、したがって、記憶密度が非常に高くなる。その結果、本発明の技術によれば、高価な露光装置を使用することなく、幅の狭いチャネルを有するトランジスタ構造を製造することが可能になる。本発明に使用されている堅い表面には、窒化ケイ素が使われており、従来の耐光層よりもイオンの衝撃に耐えるため、本発明においては、耐光層を厚くすることなくエッチングすることができ、結果的に均一な半導体素子ができる。BE−SONOS構造を有する縦型チャネルメモリーは、ローカルに電荷を蓄えることができ、さらにMLCメモリーを得るためにオペレーティングウィンドーの幅を広げることができる。稼働方法である+FNプログラミング法と−FN消去法は、稼働電流の低減、消費電力の低減、チャネルの付近の最下層の酸化物層が損傷を避け、さらに製品の信頼性を向上するという利点がある。
【0058】
本発明は、例示と好ましい実施形態を使って説明されたが、本発明はこれに限定されるものではない。逆に、種々の変更、類似した組み合わせや手順も含むことを意図したものであり、従って、添付の請求項の範囲は、種々の変更、類似した組み合わせや手順も包含するように広義な解釈許容するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1A図1Aは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの平面図である。
図1B図1Bは、図1Aにおける断面線AA’に沿った断面図である。
図2A図2Aは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2B図2Bは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2C図2Cは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2D図2Dは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2E図2Eは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2F図2Fは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2G図2Gは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2H図2Hは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2I図2Iは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図2J図2Jは、本発明の第一実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係る製造工程をフローチャートで表したものである。
図4A図4Aは、第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの平面図である。
図4B図4Bは、図4Aにおける断面線BB’に沿っての断面図である。
図5A図5Aは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5B図5Bは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5C図5Cは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5D図5Dは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5E図5Eは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5F図5Fは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5G図5Gは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5H図5Hは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5I図5Iは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図5J図5Jは、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリーの製造工程を表したものである。
図6図6は、本発明の第二実施形態に係る縦型チャネルメモリー製造工程をフローチャートで表したものである。
図7A図7Aは、本発明の第三実施形態に係る第一縦型チャネルメモリーの断面図である。
図7B図7Bは、本発明の第三実施形態に係る第二縦型チャネルメモリーの断面図である。
図8A図8Aは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーにおける閾値電圧に対するプログラミングにかかる時間の相関曲線を比較したものである。
図8B図8Bは、本発明の第三実施形態の縦型チャネルメモリーと従来の縦型チャネルメモリーにおける、閾値電圧に対する削除にかかる時間の相関曲線を比較したものである。
図9図9は、BE−SONOS縦型チャネルメモリーと従来のSONOS縦型チャネルメモリーの閾値電圧に対する記憶保持時間の相関曲線を比較したものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9