(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱量が変動する排熱を熱交換器を用いて熱媒と熱交換し、潜熱蓄熱材および熱媒が収容された蓄熱容器内に熱交換がされた熱媒を流入させて該熱媒と前記潜熱蓄熱材とを熱交換させることで前記潜熱蓄熱材に蓄熱する排熱回収蓄熱システムにおいて、
前記排熱が移送される排熱配管と、中間熱媒が循環する中間熱媒配管とが接続されて前記排熱と前記中間熱媒との間で熱交換される排熱側熱交換器と、
熱が授与された中間熱媒が循環する中間熱媒配管と最終熱媒が循環する最終熱媒配管とが接続されて前記中間熱媒と前記最終熱媒との間で熱交換される蓄熱側熱交換器と、
前記最終熱媒配管が接続されて前記最終熱媒と前記潜熱蓄熱材との間で熱交換される前記蓄熱容器と、
前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管の少なくとも1つの熱授与前用の送り側に、前記熱媒を貯留する貯留部と、を備え、
前記排熱配管、前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管のうち、少なくとも前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管の1つの熱授与前用の送り側に、排熱または熱媒の温度を測定する温度測定手段が設けられ、
前記温度測定手段と同じ配管および上段側の配管に、熱授与前用の送り側の配管の排熱または熱媒の一部または全部を、熱授与後用の戻し側の配管に迂回可能なバイパス手段が設けられ、
前記バイパス手段は、熱授与前用の送り側の配管と熱授与後用の戻し側の配管との間に介設されたバイパス配管と、前記排熱または熱媒の一部または全部を前記バイパス配管に迂回させるバルブとによって構成され、
前記温度測定手段による測定結果を受け、該測定結果が所定の閾値を越える場合、温度測定された配管の上段側の配管の排熱または熱媒を前記バイパス手段で迂回させる制御を実行する制御部を備えることを特徴とする排熱回収蓄熱システム。
前記排熱側熱交換器と前記蓄熱側熱交換器との間に、熱が授与された前段側の中間熱媒が循環する前段側の中間熱媒配管と後段側の中間熱媒が循環する後段側の中間熱媒配管とが接続されて前記前段側の中間熱媒と前記後段側の中間熱媒との間で熱交換される中間熱交換器が1または2以上介設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排熱回収蓄熱システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の排熱回収システムは以上のように構成されているので、排熱の温度が変動して温度が過度に高くなると熱媒油が過昇温される。過昇温された熱媒油は変質し、蓄熱容器内の潜熱蓄熱材との分離性が低下する。これにより、蓄熱容器内の潜熱蓄熱材が熱媒油に混入して蓄熱容器外に流出することで熱交換器、熱媒油排出管および熱媒油供給管を閉塞してしまうという問題がある。例えば、潜熱蓄熱材が酢酸ナトリウム三水和物の場合、融点が58℃であるので、蓄熱容器外に流出した後に58℃以下に低下すると固体となって蓄積し、配管系統内を閉塞してしまう。
図9は従来の排熱回収蓄熱システムにおける排蒸気流量と排蒸気温度と熱媒油温度の推移の例を示す説明図である。温度と流量が一定ではない排蒸気によって加温される熱媒油は、排蒸気の温度に達するまで加温され続ける。例えば、
図9では熱交換器出口の温度が100℃以上まで上昇しており、熱媒の過昇温が生じていることが分かる。
【0006】
本発明は上記のような従来のものの課題を解決するためになされたもので、排熱によって過昇温されて変質した熱媒油による潜熱蓄熱材との直接接触の防止を実現できる排熱回収蓄熱システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の排熱回収蓄熱システムのうち、第1の本発明は、
熱量が変動する排熱を熱交換器を用いて熱媒と熱交換し、潜熱蓄熱材および熱媒が収容された蓄熱容器内に熱交換がされた熱媒を流入させて該熱媒と前記潜熱蓄熱材とを熱交換させることで前記潜熱蓄熱材に蓄熱する排熱回収蓄熱システムにおいて、
前記排熱が移送される排熱配管と、中間熱媒が循環する中間熱媒配管とが接続されて前記排熱と前記中間熱媒との間で熱交換される排熱側熱交換器と、
熱が授与された中間熱媒が循環する中間熱媒配管と最終熱媒が循環する最終熱媒配管とが接続されて前記中間熱媒と前記最終熱媒との間で熱交換される蓄熱側熱交換器と、
前記最終熱媒配管が接続されて前記最終熱媒と前記潜熱蓄熱材との間で熱交換される前記蓄熱容器と、
前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管の少なくとも1つの熱授与前用の送り側に、前記熱媒を貯留する貯留部と、を備え、
前記排熱配管、前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管のうち、少なくとも前記中間熱媒配管および前記最終熱媒配管の1つの熱授与前用の送り側に、排熱または熱媒の温度を測定する温度測定手段が設けられ、
前記温度測定手段と同じ配管および上段側の配管に、熱授与前用の送り側の配管の排熱または熱媒の一部または全部を、熱授与後用の戻し側の配管に迂回可能なバイパス手段が設けられ、
前記バイパス手段は、熱授与前用の送り側の配管と熱授与後用の戻し側の配管との間に介設されたバイパス配管と、前記排熱または熱媒の一部または全部を前記バイパス配管に迂回させるバルブとによって構成され、
前記温度測定手段による測定結果を受け、該測定結果が所定の閾値を越える場合、温度測定された配管の上段側の配管の排熱または熱媒を前記バイパス手段で迂回させる制御を実行する制御部を備えることを特徴とする。
【0008】
上記本発明によれば、温度や流量の変動によって熱量が変動する排熱を利用する際に、排熱が中間熱媒と最終熱媒とを介して潜熱蓄熱材に伝熱されるので、排熱によって加熱された熱媒が直接潜熱蓄熱材に接することがなく、排熱の熱量変動が緩和されて潜熱蓄熱材の過昇温などが抑制される。また排熱配管、中間熱媒配管および最終熱媒配管の少なくとも1つに、バイパス手段が設けられているので、必要に応じて排熱または熱媒をバイパスすることで、熱交換器への熱伝達を停止または小さくすることができ、最終段における最終熱媒、潜熱蓄熱材に伝わる熱量を調整することができ、過昇温による弊害発生の防止を図ることが可能になる。
さらに、上記本発明によれば、配管を流れる熱媒を一時的に貯留することができ、配管を流れる熱媒の量を多くすることができる。これによって、上記システムの動作に伴って熱媒の温度は加温された温度から常温の間で変動し、膨張と収縮を繰り返し、配管系統より熱媒が漏れるあるいは配管系統内に空気が混入するといった問題が生じるが、熱媒を貯留する貯留部を設置することで、熱媒の膨張あるいは収縮に応じて熱媒を貯留あるいは補給し、熱媒の漏れや空気混入を防止する効果もある。また、熱媒の量を貯留部を有しない場合に比べて相対的に多くできるので、上段側の熱量の変動に伴う当該熱媒の温度変動を小さくすることができ、安定した動作が可能になる。
【0010】
上記本発明によれば、バルブの開閉や流量調整によって、バイパス配管への排熱や熱媒のバイパスの有無または、バイパスの有無およびバイパス時の流量調整を容易に行うことができ、最終段における潜熱蓄熱材に伝わる熱量を容易に調整することができる。
【0012】
上記本発明によれば、配管において排熱や熱媒の温度を測定することで、温度管理を容易に行うことができる。
【0014】
上記本発明によれば、温度測定手段の測定結果を、同じ配管または上段側に配管のバイパス手段の動作調整に利用することができ、前記バイパス手段の動作決定に利用することができる。
【0016】
上記本発明によれば、温度測定手段による測定結果で、排熱または熱媒の温度が所定の温度よりも高くなると、同じ配管または上段側にある配管のバイパス手段の動作を制御部により制御することができ、温度が過度に上昇した排熱や熱媒の温度上昇を抑制したり、温度が過度に上昇した排熱や熱媒の熱を後段側に伝熱しないようにしたりすることができる。
【0017】
第
2の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第
1の本発明において、前記制御部は、前記温度測定手段による測定結果が前記
所定の閾値より低い第2の閾値を下回る場合、温度測定された配管の排熱または熱媒を前記バイパス手段で迂回させることなく、該配管で循環させて熱交換を行う制御を実行することを特徴とする。
また、第
3の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第
2の本発明において、前記制御部は、前記測定結果が
前記第2の閾値を下回って所定時間継続する場合に、前記バイパス手段で迂回させない前記制御を実行することを特徴とする。
第4の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記測定結果が前記所定の閾値よりも高い第3の閾値を越える場合、温度測定された配管の熱媒と上段側の配管の両方の排熱または熱媒をそれぞれ前記バイパス手段で迂回させる制御を実行することを特徴とする。
【0018】
上記本発明によれば、排熱または熱媒の温度上昇によって一旦、バイパス手段による排熱または熱媒のバイパスを行った場合、温度測定手段によるその後の温度測定によって温度の低下が認められる場合、バイパスが必要ない温度設定においてバイパスを中止することができる。
また、測定温度が第2の閾値を下回る時間が所定時間継続する際に、上記制御を実行することで安定した制御を行うことができる。
【0019】
第
5の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第1〜第
4の本発明のいずれかにおいて、前記貯留部は、前記バイパス手段で前記熱媒が迂回される地点の上流側で前記送り側に設けられていることを特徴とする。
【0022】
第
6の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第1〜第
5の本発明のいずれかにおいて、前記排熱側熱交換器と前記蓄熱側熱交換器との間に、熱が授与された前段側の中間熱媒が循環する前段側の中間熱媒配管と後段側の中間熱媒が循環する後段側の中間熱媒配管とが接続されて前記前段側の中間熱媒と前記後段側の中間熱媒との間で熱交換される中間熱交換器が1または2以上介設されていることを特徴とする。
【0023】
上記本発明によれば、中間熱媒による伝熱を複数段で行うことができ、システムの設置態様などを多様にすることができる。
【0024】
第
7の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第1〜第
6の本発明のいずれかにおいて、前記潜熱蓄熱材が酢酸ナトリウム三水和物であることを特徴とする。
【0025】
第
8の本発明の排熱回収蓄熱システムは、前記第1〜第
7の本発明のいずれかにおいて、前記排熱が気体または蒸気または液体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、過昇温された熱媒と潜熱蓄熱材とが直接接触することがなく、潜熱蓄熱材の漏えいを防止でき、熱媒の過昇温も防止できる。また、熱媒の温度の変動による配管系統からの熱媒の漏えいや配管系統への空気混入を防止できる。さらに、これらの操作を自動で行うことが可能であり、これらの効果により排熱を蓄熱のための熱源として有効に活用できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(
参考形態1)
以下に、
参考形態
1を
図1に基づいて説明する。
工場1では、温度、流量が変動する排熱が生じており、該排熱を供給して前記工場1に循環させる排熱配管2、3が前記工場1および排熱側熱交換器8の熱授与側に接続されている。排熱配管2は、排熱側熱交換器8に対する熱授与前用の送り側配管であり、排熱配管3は、排熱側熱交換器8に対する熱授与後用の戻し側配管である。送り側の排熱配管2と戻し側の排熱配管3との間には、バイパスバルブ5を介してバイパス配管4が介設されている。また、送り側の排熱配管2では、バイパス配管4が介設された部分の下流側に入口側バルブ6が介設され、戻し側の排熱配管3では、バイパス配管4が介設された部分の上流側に出口側バルブ7が介設されている。
【0029】
また、排熱側熱交換器8の受熱側には、中間熱媒を循環させて受熱する中間熱媒配管10、11が接続されており、中間熱媒配管10、11の他方側は、前記中間熱媒を循環させて熱伝達するべく蓄熱側熱交換器18の熱授与側に接続されている。中間熱媒配管10は、蓄熱側熱交換器18に対する熱授与前用の送り側配管であり、中間熱媒配管11は、蓄熱側熱交換器18に対する熱授与後用の戻し側配管である。
中間熱媒配管11には、中間熱媒を中間熱媒配管10、11で循環させる循環ポンプ12が介設されており、中間熱媒配管10には、該配管内を流れる中間熱媒の温度を測定する温度測定手段13が設けられている。また送り側の中間熱媒配管10と戻し側の中間熱媒配管11との間には、バイパスバルブ15を介してバイパス配管14が介設されている。また、送り側の中間熱媒配管10では、バイパス配管14が介設された部分の下流側に入口側バルブ16が介設され、戻し側の中間熱媒配管11では、バイパス配管14が介設された部分の上流側に出口側バルブ17が介設されている。
【0030】
蓄熱側熱交換器18の受熱側には、最終熱媒を循環させて受熱する最終熱媒配管20、21が接続されており、最終熱媒配管20、21の他方側は、前記最終熱媒を循環させて熱伝達するべく蓄熱容器30に接続されている。最終熱媒配管20は、蓄熱容器30に対する熱授与前用の送り側配管であり、最終熱媒配管21は、蓄熱容器30に対する熱授与後用の戻し側配管である。
最終熱媒配管21には、最終熱媒を最終熱媒配管20、21で循環させる循環ポンプ22が介設されており、最終熱媒配管20には、該配管内を流れる最終熱媒の温度を測定する温度測定手段23が設けられている。また送り側の最終熱媒配管20と戻し側の最終熱媒配管21との間には、バイパスバルブ25を介してバイパス配管24が介設されている。また、送り側の最終熱媒配管20では、バイパス配管24が介設された部分の下流側に入口側バルブ26が介設され、戻し側の最終熱媒配管21では、バイパス配管24が介設された部分の上流側に出口側バルブ27が介設されている。また、最終熱媒配管20、21には、蓄熱容器30との接続箇所近傍に、切り離し可能な接続口28、28が介設されている。
【0031】
蓄熱容器30では、従来の蓄熱容器と同様に、酢酸ナトリウム三水和物などの潜熱蓄熱材を収容して用いることができ、最終熱媒としては該潜熱蓄熱材よりも比重の小さいものが用いられる。最終熱媒配管20は、蓄熱容器30の下方側に接続されており、潜熱蓄熱材が収容されている空間に最終熱媒を導入することが可能である。最終熱媒配管21は、蓄熱容器30の上方側に接続されており、潜熱蓄熱材と分離して浮上した最終熱媒を蓄熱容器30外に取り出すことができる。
なお、上記中間熱媒や最終熱媒には、熱媒油などを用いることができ、本発明としては特定の材料に限定されるものではない。中間熱媒と最終熱媒とは同一材料であってもよく、また、異種の材料であってもよい。
【0032】
次に、上記排熱回収蓄熱システムの動作について説明する。
工場1では、温度や流量が変動することによって熱量の変動がある排熱が生成されている。該排熱は、液体、気体、蒸気などのいずれの形態で移送されるものであってもよく、また、これらが混合したものであってもよい。
排熱は、排熱配管2で送られ、通常時は、入口側バルブ6、出口側バルブ7を開け、バイパスバルブ5を閉じることで、排熱側熱交換器8に導入され、熱を授与した後、排熱配管3で戻される。排熱配管3は、通常は、工場1側に接続されて熱授与後の排熱を戻すが、工場1側に接続せずに、廃棄などするようにしてもよい。
【0033】
排熱側熱交換器8では、前記排熱が、循環ポンプ12を動作させることで中間熱媒配管11を通して排熱側熱交換器8の受熱側に導入される中間熱媒に熱伝達される。受熱した中間熱媒は、循環ポンプ12で引き続き中間熱媒配管10を移送され、温度測定手段13で温度測定された後、通常時は、入口側バルブ16、出口側バルブ17を開け、バイパスバルブ15を閉じておくことで、蓄熱側熱交換器18の熱授与側に導入される。蓄熱側熱交換器18では、中間熱媒の熱が、循環ポンプ22を動作させることで最終熱媒配管21を通して移送される最終熱媒に熱伝達される。受熱した最終熱媒は、循環ポンプ22で引き続き最終熱媒配管20を移送され、温度測定手段23で温度測定された後、通常時は、入口側バルブ26、出口側バルブ27を開け、バイパスバルブ25を閉じておくことで、蓄熱容器30の下方側に導入される。
【0034】
蓄熱容器30では、蓄熱前または蓄熱後、温度が低下した状態では、潜熱蓄熱材は、固相、あるいは固相と液相が共存した状態である。蓄熱容器30内の最終熱媒は潜熱蓄熱材よりも比重が小さいため、潜熱蓄熱材の上面に浮いた状態で層を形成している。
最終熱媒配管20から蓄熱容器30内に、受熱した最終熱媒が導入されることで、流入した最終熱媒は潜熱蓄熱材との比重差によって潜熱蓄熱材中を上昇し、その上昇過程で潜熱蓄熱材に直接熱が伝達することで潜熱蓄熱材に蓄熱される。潜熱蓄熱材の上面に浮いた最終熱媒は最終熱媒配管21を通って蓄熱容器30の外側に流出し、循環ポンプ22に至り、最終熱媒配管20、21中を循環する。その結果、分離性が低下した排熱側の最終熱媒と潜熱蓄熱材とが接触することがなくなり、潜熱蓄熱材の漏えいにより配管系統を閉塞してしまうおそれがない。
【0035】
なお、中間熱媒配管10、最終熱媒配管20内の熱媒の温度は温度測定手段13、23で測定されている。温度測定手段13、23は、熱媒の温度を測定して当該温度の表示や測定結果の出力が行えるものであればよく、本発明としてはその構成が特に限定されるものではない。
測定温度が所定の温度を超える場合、手動または自動でバイパス配管4、14、24による排熱や熱媒の迂回を行うことができる。
【0036】
例えば、温度測定手段23で測定される最終熱媒の温度が所定の温度を超える場合、そのままでは最終熱媒が過昇温するおそれがある。
このため、上段側にある中間熱媒配管10、11でバイパス配管14を通して中間熱媒を迂回して最終熱媒のそれ以上の昇温を抑制することができる。なお、温度測定手段23による測定温度が所望の温度まで下がれば、上記バイパスを中止して蓄熱側熱交換器18での熱伝達を再開することができる。バイパスの中止は、入口側バルブ16、出口側バルブ17を開き、バイパスバルブ15を閉じることで行う。
なお、温度測定手段23で測定される最終熱媒の温度がさらに高温の所定の温度を超える場合、前記所定の温度を超えて所定時間継続する場合に、最終熱媒配管20、21でバイパス配管24を通して最終熱媒を迂回して蓄熱容器30に最終熱媒が導入されないようにしてもよい。なお、温度測定手段23による測定温度が所望の温度まで下がれば、上記バイパスを中止して蓄熱容器30での熱伝達を再開することができる。
【0037】
また、上記温度測定手段13で測定温度が所定値を超える場合、測定温度手段23の測定結果如何に拘わらず、測定温度が所望の温度に下がるまで、上段側にあるバイパス配管4による迂回を行うことができる。これにより中間熱媒の昇温を抑制し、さらには後段の最終熱媒の昇温を抑制できる。迂回は、上記のようにバイパスバルブ5を開けるとともに入口側バルブ6、7を閉じて排熱側熱交換器8への排熱の導入を停止することで行う。
また、温度測定手段13で測定温度がさらに所定温度を超える場合や前記所定温度を継続して上回る場合などに、温度測定手段13における測定温度が所望の温度範囲になるまで、中間熱媒をバイパス配管14によって迂回させ、蓄熱側熱交換器18への伝熱を停止することができる。これにより最終熱媒の昇温を抑制することができる。
【0038】
(
参考形態2)
次に、
参考形態2を
図2に基づいて説明する。なお、前記
参考形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
この
参考形態2においても工場1と排熱側熱交換器8の熱授与側とが排熱配管2、3で接続されており、排熱配管2、3にはそれぞれに入口側バルブ6、出口側バルブ7が介設されているとともに、両者間にバイパスバルブ5を介設したバイパス配管4が設けられている。
また、排熱側熱交換器8は、中間熱媒配管10、11によって蓄熱側熱交換器18と接続されており、中間熱媒配管10、11にはそれぞれに入口側バルブ16、出口側バルブ17が介設されているとともに、両者間にバイパスバルブ15を介設したバイパス配管14が設けられている。また、中間熱媒配管11に循環ポンプ12が介設され、中間熱媒配管10に温度測定手段13および中間熱媒を貯留する排熱側貯留槽19が設けられている。該排熱側貯留槽19は本発明の貯留部に相当する。
【0039】
蓄熱側熱交換器18は、最終熱媒配管20、21によって蓄熱容器30と接続されており、最終熱媒配管20、21にはそれぞれ入口側バルブ26、出口側バルブ27、接続口28、28が介設されているとともに両者間にバイパスバルブ25を介設したバイパス配管24が設けられている。また、最終熱媒配管21に循環ポンプ22が介設され、最終熱媒配管20に温度測定手段23および最終熱媒を貯留する蓄熱側貯留槽29が設けられている。該蓄熱側貯留槽29は本発明の貯留部に相当する。
【0040】
この
参考形態2においても、前記
参考形態1と同様にして工場1で生じる排熱は順次伝熱されて蓄熱容器30内の潜熱蓄熱材への蓄熱が行われる。また、温度測定手段13、23で熱媒の温度を測定することで、バイパス配管4、14、24における排熱または熱媒の迂回も前記
参考形態1と同様に行うことができる。
さらに、この
参考形態2では、中間熱媒配管10に排熱側貯留槽19が接続され、該排熱側貯留槽19に中間熱媒が貯留可能になっている。これにより中間熱媒が加温された温度から常温の間で変動し、膨張と収縮を繰り返しても、中間熱媒の膨張あるいは収縮に応じて中間熱媒を貯留あるいは中間熱媒配管10、11に補給できるので、配管系統からの中間熱媒の漏れや空気混入を防止できる。
【0041】
また、この
参考形態2では、最終熱媒配管20に蓄熱側貯留槽29が接続され、該蓄熱側貯留槽29には最終熱媒が貯留可能になっている。接続口28において最終熱媒の流通が遮断された状態で最終熱媒の温度が加温された温度から常温の間で変動し、膨張と収縮を繰り返しても、最終熱媒の膨張あるいは収縮に応じて最終熱媒を貯留あるいは最終熱媒配管20、21に補給するので、配管系統からの最終熱媒の漏れや空気混入を防止できる。
【0042】
(実施形態3)
次に、
図3は、
図2に示される排熱回収蓄熱システムにおいて、温度測定手段13、23の測定結果を受けて、各バルブの動作を制御する制御部31を備える
本発明の実施形態のシステムを示すものである。なお、前記
参考形態1、参考形態2と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0043】
制御部31は、CPUおよびこれを動作させるプログラム、該プログラムを格納したROM、作業エリアとなるRAM、各バルブの動作を制御する制御パラメータなどを格納した不揮発メモリなどによって構成されている。
前記温度測定手段13、23の測定結果は、制御部31に送信可能になっており、該制御部31には、各バルブ5、6、7、15、16、17、25、26、27が開閉制御可能に接続されている。
【0044】
制御部31は、温度測定手段13、23の測定結果を受け、予め定めた条件で各弁の開閉を制御する。例えば、温度測定手段13の測定結果に対し、温度閾値Ha1、Ha2(Ha1>Ha2)、時間閾値Ta1を定め、温度測定手段23の測定結果に対し、温度閾値Hb1、Hb2、Hb3、Hb4(Hb3>Hb1>Hb2、Hb4)、時間閾値Tb1、Tb2を定め、不揮発メモリに読み出し可能に格納しておく。これら閾値は、操作者によって設定変更できるようにしてもよい。
【0045】
上記制御部31による制御手順の一例を
図4のフローチャートに基づいて説明する。
なお、予め上記温度閾値Ha1、Ha2、Hb1、Hb2、Hb3、Hb4、時間閾値Ta1、Tb1、Tb2が設定されており、制御開始に伴って、バイパス用のフラグFa1、Fa2、Fb1、Fb2、Fb3、Fb4がそれぞれ0に設定される。
【0046】
制御の開始に伴って、温度測定手段13、23による測定がなされ、測定結果が制御部31に送信される(ステップs1)。制御部31では、温度測定手段13で測定された温度Haが第1の温度閾値であるHa1を上回っているか否かを判定する(ステップs2)。測定温度がHa1以下であれば(ステップs2、No)、フラグFa1が1であるか否かを判定する(ステップs3)。このステップs3は、一旦、測定温度がHa1を上回っていると判定された後に、Ha1以下になったものを識別するためである。フラグFa1が1でなければ(ステップs3、No)、配管4におけるバイパスを行うことはなく、フラグはFa1=0にして(ステップs4)、(b)のルーチンへ移行する。
【0047】
一方、ステップs2で測定温度Haが閾値Ha1を上回る場合(ステップs2、Yes)、配管4でのバイパスを実行する(ステップs5)。すなわち、バイパスバルブ5を開け、入口側バルブ6、出口側バルブ7を閉じることで排熱を排熱側熱交換器8に導入することなくバイパス配管4に迂回させる。フラグFa1は1とする。なお、既にバイパス配管4でバイパスがされている場合には、そのままバイパスの制御を継続する。
【0048】
また、ステップs3でフラグFa1が1であると判定される場合(ステップs3、Yes)、一旦、測定温度がHa1を上回っていると判定された後に、測定温度がHa1以下になった場合であり、測定温度が第2の閾値Ha2を下回っているか否かが判定される(ステップs6)。測定温度がHa2を下回っていなければ(ステップs6、No)、ステップs5に移行してバイパス配管4におけるバイパスを継続する。測定温度が第2の閾値Ha2を下回っている場合(ステップs6、Yes)、フラグFa2が1であるか否かの判定を行う(ステップs7)。フラグFa2が0の場合、測定温度HaがHa2を下回ったばかりであり、継続時間Taをカウントし始め、フラグFa2を1にする(ステップs8)。フラグFa2が1の場合(ステップs7、Yes)またはステップs8の後、該継続時間Taが時間閾値Ta1に達しているか否かの判定がなされる(ステップs9)。継続時間Taが時間閾値Ta1に達していれば(ステップs9、Yes)、温度低下が十分になされているので、Ta、Fa2をリセットして0にし、継続時間のカウントを停止した後、ステップs4に移行し、バイパス配管4によるバイパスを停止する。継続時間Taが時間閾値Ta1に達していなければ(ステップs9、No)、温度低下が不十分であるので、ステップs5に移行してバイパス配管4によるバイパスを継続する。
ステップs4、s5の後は、(b)のルーチンに移行する。
【0049】
(b)のルーチンでは、
図5に示すように、温度測定手段23で測定された温度Hbが第1の温度閾値であるHb1を上回っているか否かを判定する(ステップs10)。測定温度がHb1以下であれば(ステップs10、No)、フラグFb1が1であるか否かを判定する(ステップs11)。このステップs11は、一旦、測定温度がHb1を上回っていると判定された後に、Hb1以下になったものを識別するためである。フラグFb1が1でなければ(ステップs11、No)、配管14におけるバイパスを行うことはなく、フラグはFb1=0にして(ステップs12)、(c)のルーチンへ移行する。
【0050】
一方、ステップs10で測定温度Hbが閾値Hb1を上回る場合(ステップs10、Yes)、配管14でのバイパスを実行する(ステップs13)。すなわち、バイパスバルブ15を開け、入口側バルブ16、出口側バルブ17を閉じることで排熱を蓄熱側熱交換器18に導入することなくバイパス配管14に迂回させる。フラグFb1は1とする。なお、既にバイパス配管14でバイパスがされている場合には、そのままバイパスの制御を継続する。
【0051】
また、ステップs11でフラグFb1が1であると判定される場合(ステップs11、Yes)、一旦、測定温度がHb1を上回っていると判定された後に、測定温度がHb1以下になったものであり、測定温度が第2の閾値Hb2を下回っているか否かが判定される(ステップs14)。測定温度がHb2を下回っていなければ(ステップs14、No)、ステップs13に移行してバイパス配管14におけるバイパスを継続する。測定温度が第2の閾値Hb2を下回っている場合(ステップs14、Yes)、フラグFb2が1であるか否かの判定を行う(ステップs15)。フラグFb2が0の場合、測定温度HbがHb2を下回ったばかりであり、継続時間Tbをカウントし始め、フラグFb2を1にする(ステップs16)。フラグFb2が1の場合(ステップs15、Yes)またはステップs15の後、該継続時間Tbが時間閾値Tb1に達しているか否かの判定がなされる(ステップs17)。継続時間Tbが時間閾値Tb1に達していれば(ステップs17、Yes)、温度が十分に低下しているので、Tb、Fb2をリセットして0にし、継続時間Tbのカウントを停止した後、ステップs12に移行し、バイパス配管14によるバイパスを停止する。継続時間Tbが時間閾値Tb1に達していなければ(ステップs17、No)、温度の低下が不十分であるので、ステップs13に移行してバイパス配管12によるバイパスを継続する。
ステップs12、s13の後は、(c)のルーチンに移行する。
【0052】
(c)のルーチンでは、
図6に示すように、温度測定手段23で測定された温度Hbが第3の温度閾値であるHb3を上回っているか否かを判定する(ステップs20)。測定温度がHb3以下であれば(ステップs20、No)、フラグFb3が1であるか否かを判定する(ステップs21)。このステップs21は、一旦、測定温度がHb3を上回っていると判定された後に、Hb3以下になったものを識別するためである。フラグFb3が1でなければ(ステップs21、No)、配管24におけるバイパスを行うことはなく、フラグはFb3=0にして(ステップs22)、処理が終了か否かを判定し(ステップs28)、終了でなければ(ステップs28、No)、(a)に戻って処理を繰り返す。なお、処理の継続は連続して行ってもよく、所定の時間を置いて当該処理を繰り返すようにしてもよい。
【0053】
一方、ステップs20で測定温度Hbが閾値Hb3を上回る場合(ステップs20、Yes)、配管24でのバイパスを実行する(ステップs23)。すなわち、バイパスバルブ25を開け、入口側バルブ26、出口側バルブ27を閉じることで最終熱媒を蓄熱容器30に導入することなくバイパス配管24に迂回させる。フラグFb3は1とする。なお、既にバイパス配管24でバイパスがされている場合には、そのままバイパスの制御を継続する。
【0054】
また、ステップs21でフラグFb3が1であると判定される場合(ステップs21、Yes)、一旦、測定温度がHb3を上回っていると判定された後に、測定温度がHb3以下になったものであり、測定温度が第4の閾値Hb4を下回っているか否かが判定される(ステップs24)。測定温度がHb4を下回っていなければ(ステップs24、No)、ステップs23に移行してバイパス配管24におけるバイパスを継続する。測定温度が第4の閾値Hb4を下回っている場合(ステップs24、Yes)、フラグFb4が1であるか否かの判定を行う(ステップs25)。フラグFb4が0の場合、測定温度HbがHb4を下回ったばかりであり、継続時間Tbをカウントし始め、フラグFb4を1にする(ステップs26)。フラグFb4が1の場合(ステップs25、Yes)またはステップs26の後、該継続時間Tbが時間閾値Tb2に達しているか否かの判定がなされる(ステップs27)。継続時間Tbが時間閾値Tb2に達していれば(ステップs27、Yes)、温度の低下は十分であるので、Tb、Fb4をリセットし、継続時間Tbのカウントを停止した後、ステップs22に移行し、バイパス配管24によるバイパスを停止する。継続時間Tbが時間閾値Tb2に達していなければ(ステップs27、No)、ステップs23に移行してバイパス配管24によるバイパスを継続する。
ステップs22、s23の後、処理が終了であるか否かの判定を行い(ステップs28)、処理終了であれば(ステップs28、Yes)、処理を終了し、処理終了でなければ(ステップs28、No)、(a)に戻ってステップs1から処理を繰り返す。
【0055】
上記処理手順によって、排熱の温度や流量が頻繁に変動しても中間熱媒や最終熱媒の温度に応じて自動でバルブ切り替えを行うことが可能であり、最終熱媒が過昇温して潜熱蓄熱材が蓄熱容器外に取り出されるような不具合を効果的に防止することができる。
なお、上記制御部31による制御は、当然に
図1に示すシステムにおいても実行することが可能である。
【0056】
図7は、上記実施形態の排熱回収蓄熱システムにおいて、排熱として排蒸気を使用し、熱媒として熱媒油を使用したものについて、排蒸気流量と排蒸気温度と熱媒油温度の推移を示す一例の説明図である。中間熱媒配管10内の熱媒油の測定温度が90℃以上になったときにバイパスバルブ5を開き、入口側バルブ6、7を閉じるように制御し、測定温度として87℃以下が5分間継続したときに、入口側バルブ6および7を開き、バイパスバルブ5を閉じるように制御することで中間熱媒配管10内の熱媒油の温度が90℃以上にならなかった。
【0057】
以上、本発明について、上記各実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。