(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッグ形状を有するモールド体にシリコン溶液をコーティングして乾燥装置内で乾燥させることで、シリコンバッグのシリコンシェルをなすように製造するシリコンバッグの製造方法において、
前記乾燥装置の内部空間に前記モールド体を固定するようにジグが形成され、前記ジグは、前記モールド体を固定した後、水平状態を維持してから回転運動及び様々な角度に傾き運動しながら、シリコンの流れ性を用いて前記シリコンシェルの厚さを均一に調節するように形成されるシリコン厚さ調節ステップを含んでなることを特徴とする、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を同一水平線上で持続的に回転させながら、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成されることを特徴とする、
請求項1に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体が水平状態を維持するように固定しながら、前後及び左右方向、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成されることを特徴とする、
請求項1に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、それ自体が回転角度1〜360°の範囲で回転し、回転変位において1〜180°の範囲内で設定された角度ごとに一定時間一時停止することを繰り返しながら持続的に回転するように形成され、ジグ変位することをさらに含んでなることを特徴とする、
請求項1に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態でモールド体を同一水平線上で持続的に回転させながら、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成されることを特徴とする、
請求項1に記載の耐久性が向上したシェルを有するアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態でモールド体が回転せず、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成されることを特徴とする、
請求項1に記載の耐久性が向上したシェルを有するアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記乾燥装置は、送風機を通じて上下及び左右の四方から乾燥風を均一に送風するように形成し、上/下部空間の温度をそれぞれ異なるように調節できるように上下温度偏差を設定することをさらに含んでなることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記乾燥装置は、送風機の風量及び風速を調節して前記シリコンシェルの乾燥速度を制御するので、前記シリコンシェルの全般的な厚さを調節できるようになされることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコンエッチングステップでの有機化学溶液は、キシレン、トルエン、ベンゼン、サイクリック芳香族化合物のうち少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコンエッチングステップでの前記微細噴霧器は、乾燥時に前記シリコンシェルの下端部から厚くなることを防止するように、前記乾燥装置の下部空間において前記シリコンシェルを均一に噴霧できる位置に少なくとも一つ以上が形成されることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記乾燥装置は、送風機から送風する乾燥風の方向を調節して、前記微細噴霧器で噴霧する有機化学溶液の揮散方向を変更及び調整できるように形成されることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
前記シリコン溶液コーティングステップと前記シリコン硬化ステップとの間には、前記モールド体にコーティングされたシリコン溶液を、高圧のエアーノズルにより吹いて、前記モールド体の形状に沿って完全に付着させるエアー噴射ステップをさらに含んでなることを特徴とする、
請求項8に記載の耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリコンバッグは、整形(cosmetic surgery)などの様々な目的で人体内に挿入するもので、代表的な人工乳腺バッグは、疾病及び事故による乳房欠損に対する再建と、美容及び奇形による整形を目的とし、立体的、解剖学的には器官又は組織の代替を目的として使用される。
【0003】
このような人工乳腺バッグは、人工臓器(artificial organs、生体の臓器を代用するために作られた装置)にも使用可能なシリコンで作られた外皮(以下、‘シェル’という。)の内部に十分な量の充填物が充填されたもので、充填物の種類は、食塩水(saline)、ハイドロジェル(hydro−gel)及びシリコンジェル(silicone gel)に分けられ、このようなそれぞれの充填物によって製品として分けることができ、製品の全体的な形状によって、円形のラウンド型(round type)及び滴型のアナトミカル型(anatomical type)の製品に分けられ、製品の表面状態によってスムースタイプ(smooth type)及びテクスチャードタイプ(texture type)の製品に分けることができる。
【0004】
ここで、食塩水人工乳腺バッグは、シリコン(ポリジメチルシロキサン(PDMS)とポリジフェニルシロキサン及びポリオルガノシロキサンで構成される)シェルの内部に食塩水が注入された形態、または食塩水を注入できる形態の人工乳腺バッグであって、構造的にシリコンシェルとバルブで構成されている。
【0005】
しかし、食塩水人工乳腺バッグは、滅菌された食塩水を充填物として使用するので、破裂後にも充填物の体内漏れに対する安全性の保障と、食塩水の充填量の調節によって乳房の体積変化が可能であるという長所があるが、施術後の触感が他の人工乳腺バッグに比べて著しく低下し、シェルの耐久性が弱いという短所があった。
【0006】
また、ハイドロジェル人工乳腺バッグは、食塩水人工乳腺バッグと同様にシェルの内部に単糖類及び多糖類で構成されたハイドロジェルが充填された形態のバッグであって、バッグの破裂によって充填物が体内に流出する場合、充填物が人体に吸収されたり、人体から排泄されることが可能であるという原理で開発された製品である。
【0007】
しかし、ハイドロジェル人工乳腺バッグは、長期間の使用に対する安全性が立証されておらず、挿入後に、時間の経過に伴う体積変化が大きく、シワの発生可能性が大きく、且つシリコン人工乳腺バッグに比べて不自然な感じを与えるという問題がある。そのため、現在、安全性の立証問題によって市場で流通されていない実情である。
【0008】
そして、シリコンジェル人工乳腺バッグは、シェルの内部に適当な粘度のシリコンジェルが充填された形態であって、製品の耐久性及び触感が食塩水人工乳腺バッグに比べて非常に優れているので、現在の市場販売において支配的な位置にあり、一時、安全性の立証問題のため米国食品医薬品局(FDA)では使用を制限したことがあるが、2006年度に再び使用を公式的に許容した。
【0009】
シリコン人工乳腺バッグの開発歴史は、1世代型バッグ、2世代型バッグ、3世代型バッグの順に開発されてきた。これに関する具体的な説明は、次の通りである。
【0010】
まず、1世代型のシリコン人工乳腺バッグは、1960年代中期から1970年代中期まで販売された製品であって、1961年度にCroninとGerowによって初めて開発され、厚いシェル、滑らかな表面タイプ、高い粘度のシリコンジェルの使用に要約することができる。このバッグは、ジェルの流出(gel bleed)及びカプセル拘縮(capsular contracture)を誘発させたが、厚いシェルの使用によって破裂速度は低い方であった。
【0011】
次に、2世代型のシリコン人工乳腺バッグは、1970年代中期から1980年代中期まで販売された製品であって、より柔らかい感触のために薄いシェルと低い粘度のシリコンジェル充填物を使用し、1世代型バッグに比較したとき、類似するジェル流出量、高い破裂率及び低い拘縮発生率が特徴であった。
【0012】
次に、3世代型のシリコン人工乳腺バッグは、1980年代中期から現在まで販売されている製品であって、ジェルの流出を遮断するためにジェル流出遮断層(barrier layer)を使用し、2世代型バッグに比べて、厚いシェルと高い粘度のシリコンジェルが使用された形態であり、カプセル拘縮を減少させるために粗い表面の製品が開発された。
【0013】
このような人工乳腺バッグは、
図1に示すように、いずれもシェル1と充填物2及びパッチ接合部位(以下、パッチ部6という)で構成される。
【0014】
しかし、従来の人工乳腺バッグをなす構成のうちシェル1は、ほとんどが浸漬技法またはスプレー方式を通じて製造するが、浸漬方法またはスプレー方式を通じてシェル1を製造する場合、モールドをシリコン溶液に浸したり、モールドにシリコン溶液をスプレーした後、乾燥する過程で、シリコン液体が重力の影響を受けて下方に続けて流れることから、乾燥した後のシェル1の形状が、
図2でのように、下方に行くほど次第に厚くなる。特に、シェルの側面縁部(当該業界では、通常、Radius部位といい、側面部の曲面をなす縁部である。)は、シェルの全体厚さに比べて非常に薄くなり、シェルの上、下側部の厚さと比較して非常に大きい厚さの偏差が発生する。
【0015】
このようなシェルの各部位別の厚さ偏差は、物性及び応力(せん断応力、垂直応力、ねじり応力)上の偏差を誘発させ、このような物性及び応力の偏差は、与えられる外部圧力に対してシェルの全ての部位での同一の弾性伸長を提供しないため、シェルのような弾性体において高い圧力及び繰り返される疲労に対して相対的に脆弱な部位を誘発させる。
【0016】
このように、応力による相対的な脆弱部位である応力集中部位7を有した人工乳腺バッグは、耐久力に限界点を有するようになり、疲労によって寿命が低下し、結局、破裂するという問題点があった。
【0017】
上記のようなシェルの耐久力の低下の問題を解決するために、様々な技術が開示されている。米国登録特許US6605116B2では、シェルの縁部が薄いため発生するシェルの耐久力の低下の問題のために、シェルの縁部をシェルの他の部分に比べて厚く形成したバッグ及びその方法について記述している。
【0018】
また、米国公開特許US2011/0046729A1においても同様に、シェルの縁部が薄いため発生するシェルの耐久力の低下の問題のために、シェルの縁部をシェルの他の部分に比べて厚く形成したバッグ及びその方法について記述している。
【0019】
しかし、上記の従来技術のバッグは、縁部が他の部分に比べて厚くなり、これによってシェルの縁部の物性が他の部分に比べて強い物性を形成するが、依然として、シェルの各部分別の厚さ及び物性上の偏差を有するようになる。すなわち、シェルの縁部を補強することによって、その隣接部分の厚さ及び物性の偏差が発生するため、依然として、応力集中部位が発生して耐久力が低下する構造であることは自明である。
【0020】
また、米国公開特許US2010/0178414A1では、シェルを製造する過程において、シリコン溶液を乾燥する過程の中、シリコン溶液が付いているモールドを回転させる方法を適用させてシェルを製造する方法及びその装置について記述している。
【0021】
より詳細には、上記の従来技術は、シリコン溶液を乾燥する過程の中、シリコン溶液が付いているモールドを、水平面と一定の角度だけ傾斜した軸を中心に持続的に回転させることによって、シリコン溶液の流れ方向を変化させ、シリコン溶液の動きを制御する方法である。これによって、シリコン溶液をモールドに均一に分配させ、より均一な厚さのシェルを提供する方法である。
【0022】
しかし、上記の回転方式を用いた従来技術は、回転せずにシェルを製造する従来の技術と比較して、
図3でのように、シェル1の上側と下側間の厚さ偏差及び側面縁部の厚さ偏差を一部減少させることができるが、
図3で示すように、シェルの全ての部位での厚さ偏差を完全に除去することは不可能である。
【0023】
これは、流動学的観点において、各部分の傾きが異なるモールドの立体的構造を計算に入れてない製造方法で、流動学的観点において、各部分の傾きが異なるモールドの立体的構造によって、モールドの各部分でシリコン溶液の流れ速度に差が発生する。そのため、シェルの上側部分が下側部分よりも厚くなり、モールドの立体的構造によるシェルの各部位別の厚さ偏差が発生する。
【0024】
また、回転速度及びシリコン溶液の粘度に応じては、回転軸を基準にモールドが持続的に回転することによって、シリコン溶液の回転軸からの離隔距離によるモールド上の各部位でのシリコン溶液の流れ速度上の偏差が発生し得るため、回転軸を中心にシェルの厚さが厚くなることがあるという短所を有している。
【0025】
そして、このような厚さの偏差は、製品のサイズが大きくなるほど、使用されるモールドの表面積が広くなるため、さらに増加することになる。
【0026】
実際的に従来の回転方式によって製造されたラウンド型のシェル1は、
図3の(a)でのように、シェル1の上側部位の厚さがシェル1の下側部位の厚さよりも厚く製造される。また、
図3の(b)でのように、アナトミカル型のシェル1を製造する場合には、ラウンド型のケースと同様に、上側部分が下側部分よりも厚く、左右が非対称的なモールドの立体的構造によって、上側の傾斜面部分の片側部分が全般的に非常に薄く、反対側は非常に厚い厚さをなす厚さの偏差が発生するため、依然として、応力によって相対的に脆弱な応力集中部位7がシェル1上に発生し、使用時、耐久力の限界による疲労のため破裂する恐れが大きいという従来の問題を解決できないまま使用されている実情である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、シリコンシェルからなるシリコンバッグにおいて、様々な角度に向かうシリコンの流れを制御して、前記シリコンシェルが全体的に均一な厚さをなす、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグを技術構成の特徴とする。
【0054】
また、前記シリコンバッグは、前記シリコンシェルの最も厚い部分の平均厚さと最も薄い部分の平均厚さとの偏差が1〜15%である全体的に均一な厚さをなす、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグを技術構成の特徴とする。
【0055】
また、本発明は、バッグの形状を有するモールド体にシリコン溶液をコーティングして乾燥装置内で乾燥させることで、シリコンバッグのシリコンシェルをなすように製造するシリコンバッグの製造方法において、前記乾燥装置の内部空間に前記モールド体を固定するようにジグが形成され、前記ジグは、前記モールド体を固定した後、水平状態を維持してから回転運動及び様々な角度に傾き運動しながら、シリコンの流れ性を用いて前記シリコンシェルの厚さを均一に調節するように形成されるシリコン厚さ調節ステップを含んでなる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0056】
また、前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を同一水平線上で持続的に回転させながら、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成される、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0057】
また、前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体が水平状態を維持するように固定しながら、前後及び左右方向、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成される、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0058】
また、前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、それ自体が回転角度1〜360゜の範囲で回転し、回転変位において1〜180゜の範囲内で設定された角度ごとに一定時間一時停止することを繰り返しながら持続的に回転するように形成され、ジグ変位することをさらに含んでなる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0059】
また、前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態でモールド体を同一水平線上で持続的に回転させながら、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成される、耐久性が向上したシェルを有するアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0060】
また、前記シリコン厚さ調節ステップにおいて、前記乾燥装置のジグは、モールド体を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態でモールド体が回転せず、前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成される、耐久性が向上したシェルを有するアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0061】
前記乾燥装置のジグは、モールド体を偏重させようとする方向に向かって、水平面を基準に10〜60°に傾く、耐久性が向上したシェルを有するアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0062】
また、前記シリコンバッグの製造方法は、十分な量のシリコン溶液が満たされた容器にバッグ形状のモールド体を投入して浸したり、前記モールド体にシリコン溶液をスプレーしてコーティングするシリコン溶液コーティングステップと;シリコン溶液がコーティングされた前記モールド体を乾燥装置の内部のジグ上に固定し、前記ジグが作動して前記シリコンシェルの厚さを均一に調節及び乾燥させるシリコン厚さ調節ステップと;前記乾燥装置の内部に備えられた遮断部材を通じて上/下部空間をそれぞれ形成するように区画し、微細噴霧器を通じて前記シリコンシェルに有機化学溶液を噴霧するシリコンエッチングステップと;前記シリコンシェルを形状化するように硬化させるシリコン硬化ステップと;前記シリコンシェルの下端部に穴を形成した後、前記モールド体から前記シリコンシェルを脱去するモールド分離ステップと;前記シリコンシェルの内部空間を外部から閉鎖するように前記穴にパッチ部を付着し、内部空間に充填物を注入させるバッグ形成ステップと;を含む、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0063】
また、本発明の前記乾燥装置は、送風機を通じて上下及び左右の四方から乾燥風を均一に送風するように形成し、上/下部空間の温度をそれぞれ異なるように調節できるように上下温度偏差を設定することをさらに含んでなる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0064】
また、前記乾燥装置は、送風機の風量及び風速を調節して前記シリコンシェルの乾燥速度を制御することで、前記シリコンシェルの全般的な厚さを調節できるようになされる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0065】
また、前記シリコンエッチングステップでの有機化学溶液は、キシレン、トルエン、ベンゼン、サイクリック芳香族化合物のうち少なくともいずれか一つからなる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0066】
また、前記シリコンエッチングステップでの前記微細噴霧器は、乾燥時に前記シリコンシェルの下端部から厚くなることを防止するように、前記乾燥装置の下部空間において前記シリコンシェルを均一に噴霧できる位置に少なくとも一つ以上が形成される、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0067】
また、前記乾燥装置は、前記微細噴霧器で噴霧する有機化学溶液の濃度を状況に応じて調節できるように形成される、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0068】
また、前記乾燥装置は、送風機から送風する乾燥風の方向を調節して、前記微細噴霧器で噴霧する有機化学溶液の揮散方向を変更及び調整できるように形成される、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0069】
また、本発明は、前記シリコン溶液コーティングステップと前記シリコン硬化ステップとの間には、前記モールド体にコーティングされたシリコン溶液を、高圧のエアーノズルにより吹いて、前記モールド体の形状に沿って完全に付着させるエアー噴射ステップをさらに含んでなる、耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法を技術構成の特徴とする。
【0070】
次に、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するシリコンバッグの製造方法の好適な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0071】
しかし、本発明の実施例は様々な形態に変形可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解析されてはならない。本発明の実施例は、当該技術分野における通常の知識を有する者が本発明を理解できるように説明するために提供されるもので、図面で示す要素の形状などはより明確な説明を強調するために例示的に示すものである。
【0072】
まず、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの一実施例は、
図4に示すように、シリコンシェル20からなるシリコンバッグIにおいて、前記シリコンシェル20が全体的に均一な厚さをなすシリコンバッグIとして形成される。
【0073】
前記シリコンバッグIは、外壁をなすシリコンシェル20と、前記シリコンシェル20の平坦な下面に付着されるパッチ部25と、前記シリコンシェル20の内部空間に充填される充填物30と、を含んで構成される。
【0074】
前記パッチ部25には、前記シリコンシェル20の内部空間に充填物30を注入する過程で形成された微細な大きさのホールを閉鎖するように、注入口シーリング部(図示せず)が形成される。
【0075】
前記シリコンバッグIは、ラウンド型またはアナトミカル型に区分される。すなわち、前記ラウンド型のシリコンバッグIは、前方に向かって緩やかに丸い半球形からなり、前記アナトミカル型のシリコンバッグIは、前方に向かって曲面を形成し、いずれか一方に偏重した形状の滴型からなる。
【0076】
前記シリコンバッグIは、様々な角度に向かうシリコンの流れを制御して、一定に均一な厚さを形成する。
【0077】
前記シリコンバッグIは、前記シリコンシェル20の厚さの偏差が1〜15%で、全体的に均一な厚さをなす。すなわち、前記シリコンシェル20の最も厚い部分の平均厚さと最も薄い部分の平均厚さとの間の偏差が1〜15%の範囲であって均一である。
【0078】
そして、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法の一実施例は、
図5乃至
図7に示すように、バッグ形状を有するモールド体10にシリコン溶液5をコーティングして、乾燥装置50内で乾燥させることで、シリコンバッグIのシリコンシェル20をなすように製造するシリコンバッグの製造方法において、前記シリコンシェル20の厚さを調節するシリコン厚さ調節ステップ(S20)を含んでなる。
【0079】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、バッグの全般的な形状をなす前記モールド体10上に原料であるシリコン溶液5を均一にコーティングし、シリコン溶液5が硬化する前に、前記モールド体10の表面に沿って四方に流れることができるように多様な方向性を提示して、前記シリコンシェル20の厚さを均一に調節する。
【0080】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)は、前記乾燥装置50内で作業が行われる。具体的には、前記乾燥装置50の内部空間に、シリコン溶液5が塗布された前記モールド体10を固定するようにジグ51が形成される。
【0081】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、製造しようとする前記シリコンバッグIの種類によって、前記ジグ51の動きを設定して駆動することが可能である。すなわち、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、前記シリコンバッグIのうちラウンド型のシリコンバッグIとアナトミカル型のシリコンバッグIとを区分して前記ジグ51が作動できるように構成される。
【0082】
まず、本発明の前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)において、前記ラウンド型及びアナトミカル型のシリコンバッグIを製造する場合、前記ジグ51の作動形態を、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0083】
前記ラウンド型及びアナトミカル型のシリコンバッグIを製造するための前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)での前記ジグ51は、
図5に示すように、前記モールド体10を固定した後、水平状態を維持してから回転運動及び様々な角度に傾き運動しながらシリコンの流れを制御することにより、前記シリコンシェル20の厚さを均一に調節するように形成される。
【0084】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)において前記乾燥装置50のジグ51は、前記モールド体10の表面に塗布されたシリコン溶液5が、前記モールド体10の全面積にわたって均一な厚さを有することができるように、前記モールド体10を前後及び左右、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾くように運動する。
【0085】
前記ジグ51は、前記モールド体10を周期的に傾けるように運動することが可能であり、前記モールド体10を非周期的に傾けるように運動することも可能である。
【0086】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)において前記乾燥装置50のジグ51は、
図5の(a)に示すように、前記モールド体10を同一水平線上で持続的に回転させながら、全ての方向に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成することができる。
【0087】
また、前記乾燥装置50のジグ51は、
図5の(b)に示すように、前記モールド体10が水平状態を維持するように固定しながら、全ての方向に向かって設定された角度だけ周期的または非周期的に傾き運動が可能なように形成することもできる。すなわち、前記モールド体10が同様に傾き運動するように作動するが、前記ジグ51から前記モールド体10が同一水平線上で回転しない非回転状態を維持するように形成する。
【0088】
前記ジグ51は、一般に自動車生産工程及び鋳型用サンドコーティング工程などで使用するロボットアームの構造やnutator装備(例えば、nutator mixerなど)の構造を適用して実施することができるので、詳細な説明は省略する。
【0089】
前記ジグ51の傾き角度は、任意に設定できるが、10〜60°に設定することが好ましく、前後左右の傾き角がそれぞれ異なるように設定することが可能である。
【0090】
例えば、製造するシリコンバッグIの大きさが大きくなるにつれて、使用されるモールド体10のサイズが大きくなり、これによって、モールド体10の表面積の増加とコーティングされるシリコン溶液5の量が増加するので、好ましくは、200ccのシリコンバッグの製造には傾き角度を25°に設定することが可能であり、600ccのシリコンバッグの製造には傾き角度を30°に設定することが可能である。
【0091】
また、前記ラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグIを製造するための前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、
図6に示すように、前記乾燥装置50のジグ51全体が自体回転してジグ変位するように作動することをさらに含むことも可能である。
【0092】
前記乾燥装置50のジグ51は、自体回転して、1〜360°の範囲で上下に繰り返して回転移動する。
【0093】
前記乾燥装置50のジグ51は、上下に回転して位置を変更する途中に、1〜180°の範囲内で設定された角度ごとに一定時間一時停止することを繰り返しながら持続的に回転するように形成される。
【0094】
例えば、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)でのジグ変位は、停止角度を45°に設定する場合、ジグ51が自体回転する中に45°の角度ごとに停止した後、一定時間(例えば、30秒〜1分程度)を停止した状態に維持することによって、該当の角度での方向にシリコン溶液5が十分に流れることができる時間的余裕を提供するようにして、前記シリコンシェル20の厚さを均一に調節できるようになる。
【0095】
次に、本発明の前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)で特別に前記アナトミカル型のシリコンバッグIを製造する場合、前記ジグ51の作動形態を、
図7を参照して説明する。
【0096】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)において前記乾燥装置50のジグ51は、
図7の(a)に示すように、モールド体10を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態で水平線上で持続的に回転させながら、前後及び左右、及び四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動するように形成される。
【0097】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)において前記乾燥装置50のジグ51は、
図7の(b)に示すように、モールド体10を四方のいずれか一方に向かって一定の角度に傾けて、偏重した状態で回転なしに、前後及び左右方向、その他の四方に向かって設定された角度だけ傾いて周期的または非周期的に傾き運動するように形成される。
【0098】
前記ジグ51から前記モールド体10が傾く方向は、前記シリコンシェル20を偏重させる方向によって様々な方向に傾くことができる。
【0099】
前記乾燥装置50のジグ51は、前記モールド体10を偏重させようとする方向に向かって、1〜90°まで角度の設定が可能であるが、好ましくは、10〜60°に傾く。
【0100】
すなわち、前記アナトミカル型のシリコンバッグIの製造において、前記モールド体10の立体的形状の構造によって前記ジグ51の角度を設定して製造することができる。
【0101】
上記のように、シリコン厚さ調節ステップ(S20)を通じた前記ジグ51の回転及び傾き運動によって、ジグ51が様々な角度に傾きながら、続けて回転を伴う、または伴わない傾き運動をするので、シリコン溶液5の流れ方向を多方面に提示して、前記シリコンシェルの厚さをさらに均一に調節することが可能である。
【0102】
また、シリコンバッグIの形状によって区分されるラウンド型及びアナトミカル型別に、それぞれ対応するジグ51の動きを適用してシリコンシェル20を乾燥させるので、多様な形状のシリコンバッグIの製造が円滑になされることは勿論、全てシリコンシェル20の厚さを均一に製造することが可能である。
【0103】
また、シリコンバッグIの形状によって区分されるラウンド型及びアナトミカル型のそれぞれの製品の形状と製品の大きさ別に、それに対応するジグ51の動きを適用してシリコンシェル20を製造するので、多様な形状のシリコンバッグIの製造が円滑になされることは勿論、製品の多様な形状及び大きさと関係なく、常にシリコンシェル20の厚さを均一に製造することが可能である。
【0104】
そして、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法の一実施例は、
図8及び
図9に示すように、シリコン溶液コーティングステップ(S10)、シリコン厚さ調節ステップ(S20)、シリコンエッチングステップ(S30)と、シリコン硬化ステップ(S40)、モールド分離ステップ(S50)、及びバッグ形成ステップ(S60)を含んでなる。
【0105】
前記シリコン溶液コーティングステップ(S10)では、シリコンバッグIを獲得するための最初の工程として、シリコン溶液が満たされた容器にバッグ形状のモールド体10を投入して浸したり、モールド体10にシリコン溶液をスプレーしてシリコン溶液5をコーティングする。
【0106】
前記モールド体10は、シリコン溶液5が満たされた容器に投入したり、シリコン溶液5をスプレーする前に、エアガンなどを使用して、外部の表面上に付いている異物(ホコリなど)を吹き飛ばして除去する作業を経ることも可能である。
【0107】
また、前記モールド体10をシリコン溶液5に浸したり、スプレー作業をする前に、前記モールド体10上の異物を洗浄水を用いて洗い流すステップを経ることも可能である。このように、前記モールド体10を洗浄水に浸して異物を洗い流した後には、前記モールド体10に残存する洗浄水をエアで吹き飛ばして除去することが好ましい。
【0108】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、前記シリコン溶液コーティングステップ(S10)を通じて前記モールド体10上にコーティングされたシリコン溶液5が、シリコンシェル20に形状化するように乾燥させる。より具体的に説明すると、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)では、シリコン溶液5がコーティングされた前記モールド体10を容器から取り出して、乾燥装置50を用いてシリコン溶液を乾燥させる。ここで、前記モールド体10を前記乾燥装置50の内部のジグ51上に固定し、送風機55から生成される設定された温度の乾燥風により、シリコン溶液5をシリコンシェル20として形状化するように乾燥させる。
【0109】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)においてシリコン溶液5がシリコンシェル20に完全に硬化する前に、前記ジグ51が作動して前記シリコンシェル20の厚さを均一に調節するステップを経る。
【0110】
前記シリコン厚さ調節ステップ(S40)での前記乾燥装置50は、前記送風機55を用いて上下及び左右の四方から乾燥風を均一に送風するようにする。
【0111】
また、前記乾燥装置50の送風機55から前記乾燥装置50の内部の上/下部空間の温度をそれぞれ異なるように調節できるように上下温度偏差が可能であることをさらに含んでなることもできる。
【0112】
前記のように乾燥装置50の内部の上/下部の温度が異なるように温度偏差を置く場合、シリコン溶液5がコーティングされたモールド体10の上/下部上の表面温度偏差を発生させ、モールド体10にコーティングされたシリコン溶液5の上/下部間の差別化された乾燥速度制御が可能である。
【0113】
前記乾燥装置50は、送風機55の風量及び風速を調節して、前記シリコンシェル20の乾燥速度を制御するので、前記シリコンシェル20の全般的な厚さを調節できるようになる。
【0114】
例えば、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)で前記シリコンシェル20の厚さを少し厚く形成しようとする場合には、前記乾燥装置50から前記送風機55の風量及び風速を強く設定して、速く乾燥させるので、前記シリコン溶液コーティングステップ(S10)で前記モールド体10にコーティングされたシリコン溶液5の量の損失なしに、そのままが前記シリコンシェル20を形成するようになり、前記シリコンシェル20の厚さを相対的に薄く調節しようとする場合には、前記送風機55の風量及び風速を減少させて、乾燥速度を遅く調節するので、薄い前記シリコンシェル20の厚さを形成するようになるもので、前記送風機55の風量及び風速を調節することによって乾燥速度を制御して、前記シリコンシェル20の厚さを調節できるようになる。
【0115】
前記シリコンエッチングステップ(S30)では、前記乾燥装置50の下端に備えられる別途の微細噴霧器58を通じて前記シリコンシェル20に有機化学溶液を均一に噴霧する。より具体的に説明すると、前記シリコンエッチングステップ(S30)は、一般に、重力の原理によって乾燥時にシリコン溶液5が流れながら固まる現象から、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)でのジグ変動及びジグ変位を通じて、前記シリコンシェル20を1次的に均一な厚さとしての硬化が可能なようにした後、前記シリコンシェル20に有機化学溶液を噴霧するので、厚さが不均一な部分をなくして、前記シリコンシェル20が全体的に均一な厚さを有するようになる。
【0116】
前記シリコンエッチングステップ(S30)で前記微細噴霧器58を通じた有機化学溶液の噴霧においては、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)で乾燥された前記シリコンシェル20に噴霧するので、一部(厚い部分)を自然に削って均一な厚さを形成するようにすることも可能であり、前記シリコンシェル20が硬化する前に、前記微細噴霧器58を通じて有機化学溶液を噴霧して、特定部位のシリコン溶液5の流動性を高め、流れるようにして同一の厚さを維持できるように製造することも可能である。
【0117】
前記乾燥装置50の内部には、上部空間及び下部空間に区画できるように遮断部材53が形成される。すなわち、前記遮断部材53は、前記シリコンシェル20の上/下側をそれぞれ区分して有機化学溶液を噴霧できるようにする。
【0118】
前記シリコンエッチングステップ(S30)での有機化学溶液としては、キシレン、トルエン、ベンゼン、サイクリック芳香族化合物のうち少なくともいずれか一つを選択して使用する。
【0119】
前記シリコンエッチングステップ(S30)での前記微細噴霧器58は、乾燥時に前記シリコンシェル20の下端部から厚くなることを防止するように、前記乾燥装置50の下部空間において前記シリコンシェル20を均一に噴霧できる位置に少なくとも一つ以上が形成されるようにする。
【0120】
前記乾燥装置50は、前記微細噴霧器58で噴霧する有機化学溶液の濃度を状況に応じて調節できるように形成して製造するようになる。すなわち、前記シリコンシェル20の不均一な厚さの差が大きい場合に、有機化学溶液の濃度を高めて前記微細噴霧器58で噴霧するので、少ない量の有機化学溶液でも迅速な厚さの調節が可能であり、前記シリコンシェル20の不均一な厚さの差が小さい場合には、有機化学溶液の濃度を比較的低くして噴霧するようになる。
【0121】
前記乾燥装置50は、送風機55から送風する乾燥風の方向を調節して、前記微細噴霧器58で噴霧する有機化学溶液の揮散方向を変更及び調整できるようになされる。
【0122】
例えば、前記微細噴霧器58を照準して一方向にのみ有機化学溶液を噴射する場合、前記シリコンシェル20上に極めて局部的にのみ接触するようになるが、前記微細噴霧器58から下方から噴霧される有機化学溶液に、前記送風機55を通じて様々な方向から風を送風して、有機化学溶液の方向を多様に移動させることによって、有機化学溶液が、前記シリコンシェル20の全体的な表面上に接触されたり、前記シリコンシェル20の表面に沿って接触しながら移動して、全般的に均一な厚さをなすようになる。
【0123】
前記シリコン硬化ステップ(S40)では、前記シリコン厚さ調節ステップ(S20)及びシリコンエッチングステップ(S30)を経てモールド体10にコーティングされたシリコン溶液5を、実質的にシリコンシェル20に形状化するように、乾燥装置50で加温して硬化させる。
【0124】
このとき、加温時間と温度は、使用されるシリコン溶液5によって異なるが、HTVシリコンの場合、一般に、完全な硬化のために、175℃で、約2時間以上の条件で硬化させることが好ましい。
【0125】
前記モールド分離ステップ(S50)では、前記モールド体10から前記シリコンシェル20を分離するために、まず、前記シリコンシェル20の下端部の中央に穴をあけて形成する。
【0126】
前記シリコンシェル20の穴を通じて、前記モールド体10から損傷しないように注意して脱去する。
【0127】
前記バッグ形成ステップ(S60)では、シリコンバッグIを獲得するための最後の工程として、前記シリコンシェル20の下端部に形成された穴にパッチ部25を付着する。すなわち、前記パッチ部25を付着することによって、前記モールド体10が位置していた前記シリコンシェル20の内部空間を外部から閉鎖するようにする。
【0128】
前記パッチ部25には、シェル20の内部空間に充填物30を充填する時に発生する注射針の針穴の微細な注入口をふさぐための注入口シーリング部(図示せず)が含まれる構成であり、前記パッチ部25を付着させるための装備としては、ボンディング装置(図示せず)を使用することが好ましい。
【0129】
前記注入口シーリング部及びボンディング装置は、一般にシリコンバッグ及びシリコンボンディング装置などで使用する構造及び原理を適用して実施することができるので、詳細な説明は省略する。
【0130】
前記シリコンシェル20の空いた内部空間には、十分な量の充填物30を注入することによって、
図10に示すようなシリコンバッグIを製造するようになる。
【0131】
すなわち、上記のように構成される本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグ及びその製造方法によれば、バッグの外形をなすシリコンシェルが全体的に厚さの偏差のない均一な厚さの外壁を形成することによって、物性及び応力の偏差を除去して応力集中現象を最小化し、疲労破裂に対する抵抗力を極大化すると共に、長期間バッグを使用しても製品の変形や損傷がないので製品の寿命を極大化し、安全性が高いので製品の使用に対する信頼度を高めることができる。
【0132】
さらに、本発明は、製品の形状(ラウンド型、アナトミカル型)及び大きさ別に対応してシェルを製造するので、製品の多様な形状及び大きさと関係なく、常にシリコンシェルの厚さを均一に製造することができる。
【0133】
また、本発明は、バッグが前方に緩やかな曲面をなし、厚さが同一で且つ薄いので、触感及び人体内での着用感に優れ、製品の質的向上を図ることができる。
【0134】
また、本発明は、シリコンシェルを形成する全般的な製造過程を自動化することで、生産性の向上と、人件費の節減及び作業の便宜性を図ることは勿論、品質の再現性を達成し、製品の質的向上を極大化することができる。
【0135】
そして、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグの製造方法の他の実施例は、
図11に示すように、前記シリコン溶液コーティングステップ(S10)から前記シリコン硬化ステップ(S40)に入る前に経るエアー噴射ステップ(S35)をさらに含んでなる。
【0136】
前記エアー噴射ステップ(S35)は、前記シリコン溶液コーティングステップ(S10)と前記シリコン硬化ステップ(S40)との間に行われる工程であって、前記モールド体10にコーティングされたシリコン溶液5を、高圧のエアーノズル(図示せず)により吹いて、前記モールド体10の形状に沿って完全に付着させるようにする。すなわち、エアガンなどの高圧のエアーが噴出されるエアーノズルを、シリコン溶液5に近接した位置で均一に撃つことによって、前記モールド体10にシリコン溶液5が密着しながら付着されるようにする。
【0137】
すなわち、上記した他の実施例のように本発明を構成して作製すると、バッグの形状をなすモールド体の表面上にシリコン溶液を完全に付着させた後に乾燥させるので、密着性を高めることによって、乾燥時にモールド体からシリコンシェルが浮き上がる現象を防止し、正確に規格化されたサイズに形成させて製品の品質向上を図ることができる。
【0138】
上記した他の実施例においても、上記の構成(ステップ)以外には、上記した一実施例と同様の構成(ステップ)により実施することができるので、詳細な説明は省略する。
【0139】
次に、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグを、次の実施例1ないし実施例6を通じて製造した。
【0141】
1.まず、300cc体積のラウンド型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。
【0142】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約900cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0143】
3.作られた分散溶液にモールド体を完全に浸して、シリコン溶液がモールド体の表面にコーティングされるようにした。
【0144】
4.ジグの水平軸の回転速度を20rpmに設定し、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0145】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0146】
6.5番の過程の中で、乾燥開始してから4分経過後、有機溶媒としてXyleneを噴霧装置を通じて乾燥装置の下部区域に約10ml程度微細噴霧した。
【0147】
7.再び、3〜5番の過程を5回さらに繰り返して、総6回のコーティング過程を行った。
【0148】
8.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0149】
9.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0150】
下記の表1は、実施例1に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0153】
1.まず、300cc体積のラウンド型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。
【0154】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約300cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0155】
3.作られた分散溶液を、スプレー装置を通じてモールド体に噴射して、モールド体の全ての表面がシリコン溶液でコーティングされるようにした。
【0156】
4.ジグの水平軸の回転速度を20rpmに設定し、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0157】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0158】
6.5番の過程の中で、乾燥開始してから4分経過後、有機溶媒としてXyleneを噴霧装置を通じて乾燥装置の下部区域に約10ml程度微細噴霧した。
【0159】
7.再び、3〜5番の過程を6回さらに繰り返して、総7回のコーティング過程を行った。
【0160】
8.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0161】
9.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0162】
下記の表2は、実施例2に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0165】
1.まず、300cc体積のラウンド型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。
【0166】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約900cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0167】
3.作られた分散溶液にモールド体を完全に浸して、シリコン溶液がモールド体の表面にコーティングされるようにした。
【0168】
4.ジグの水平軸が回転せず、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0169】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0170】
6.5番の過程の中で、乾燥開始してから4分経過後、有機溶媒としてXyleneを噴霧装置を通じて乾燥装置の下部区域に約10ml程度微細噴霧した。
【0171】
7.再び、3〜5番の過程を5回さらに繰り返して、総6回のコーティング過程を行った。
【0172】
8.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0173】
9.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0174】
下記の表3は、実施例3に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0177】
1.まず、300cc体積のラウンド型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。
【0178】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約900cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0179】
3.作られた分散溶液にモールド体を完全に浸して、シリコン溶液がモールド体の表面にコーティングされるようにした。
【0180】
4.ジグの水平軸が回転せず、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0181】
このとき、ジグ変位を180°に、3分間、1回のみ設定して、ジグが初期に逆の形状に3分間位置してから、元の位置に戻るように設定する。
【0182】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0183】
6.再び、3〜5番の過程を5回さらに繰り返して、総6回のコーティング過程を行った。
【0184】
7.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0185】
8.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0186】
下記の表4は、実施例4に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0189】
1.まず、330cc体積のアナトミカル型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。このとき、モールド体をジグに装着する時、水平面を基準に、
図7でのような方向に15°傾斜した角度に装着した。
【0190】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約900cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0191】
3.作られた分散溶液にモールド体を完全に浸して、シリコン溶液がモールド体の表面にコーティングされるようにした。
【0192】
4.ジグの水平軸が回転せず、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0193】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0194】
6.5番の過程の中で、乾燥開始してから4分経過後、有機溶媒としてXyleneを噴霧装置を通じて乾燥装置の下部区域に約10ml程度微細噴霧した。
【0195】
7.再び、3〜5番の過程を5回さらに繰り返して、総6回のコーティング過程を行った。
【0196】
8.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0197】
9.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0198】
下記の表5は、実施例5に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0201】
1.まず、330cc体積のアナトミカル型の乳房模型のモールド体を清浄水に洗浄した後、エアーブラッシングの後、乾燥装置内のジグに装着して乾燥させて準備した。このとき、モールド体をジグに装着する時、水平面を基準に、
図7でのような方向に15°傾斜した角度に装着した。
【0202】
2.平均分子量600,000〜1,000,000であるHTVタイプのシリコンガムを、ソルベントとしてXyleneを使用して、粘度が約900cPsである分散溶液(dispersion)を作って準備した。
【0203】
3.作られた分散溶液にモールド体を完全に浸して、シリコン溶液がモールド体の表面にコーティングされるようにした。
【0204】
4.ジグの水平軸が回転せず、傾き角度を、水平面を基準に下方向に前後左右、全て25°に設定して、モールド体に回転及び傾き運動を加えた。
【0205】
このとき、ジグ変位を180°に、3分間、1回のみ設定して、ジグが初期に逆の形状に3分間位置してから、元の位置に戻るように設定する。
【0206】
5.このとき、乾燥装置の内部温度は、遮断部材を基準に上部は平均約50℃、下部は平均約40℃に設定し、乾燥装置の内部風速は、上部は約0.5m/sec、下部は約0.2m/secに設定して30分間乾燥させた。
【0207】
6.再び、3〜5番の過程を5回さらに繰り返して、総6回のコーティング過程を行った。
【0208】
7.シリコン溶液のコーティングが完了したモールド体を、175℃で、2時間間加温してシェルを硬化させた。
【0209】
8.モールド体からシェルを獲得してから、シェルの厚さ偏差を測定した後、パッチ部を接合し、充填物を充填した後、人工乳腺バッグの製造を完了した。
【0210】
下記の表6は、実施例6に係るシリコンシェルの各部分の厚さの測定結果を示したものである。
【0212】
実施例に係る当該業界の通常のシェルの厚さの測定方法である、シェルの上側部分(Apex)、側面縁部分(Radius)、下側部分(Bottom)の10個のポイントの厚さを測定する方法によって測定した結果は、表1〜表6の通りである。
【0213】
これによって、実施例1ないし実施例6の製造結果において、それぞれの方法と使用原材料の粘度に応じてシェルの全体厚さ上の差は発生するが、全ての実施例において、シェルの各部位の厚さが互いに偏差なしに非常に均一であること(最も厚い部分と最も薄い部分との厚さ偏差は、5%以内)を確認することができる。
【0214】
また、前記実施例でのような同じ原料を使用して、従来の方式である単純乾燥方式によって300ccのラウンド型のシェルを製作した。シェルの各部分の厚さを測定した結果は、表7の通りであり、最も厚い部分と最も薄い部分との厚さ偏差は、約55.5%に達する。
【0215】
下記の表7は、従来の単純乾燥方式によって製造されたラウンド型のシェルの各部分の厚さを測定した結果を示したものである。
【0217】
また、従来の方式である回転乾燥方式で製造するものと知られている該当の会社の人工乳腺バッグ製品のシェルに対して厚さの偏差を分析した。シェルの各部分の厚さを測定した結果は、表8の通りであり、最も厚い部分と最も薄い部分との厚さの偏差は、約19.8%に達する。
【0218】
下記の表8は、従来の回転乾燥方式によって製造されたラウンド型のシェルの各部分の厚さを測定した結果を示したものである。
【0220】
上記の結果から、本発明の製造方法による人工乳腺バッグのシェルの厚さが、従来のシェルの製造方法に比べて、最も厚さの偏差がないことを確認することができる。
【0221】
上記では、本発明に係る耐久性が向上したシェルを有するラウンド型またはアナトミカル型のシリコンバッグ及びその製造方法の好適な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付の図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。