(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る防音ハウスの全体構成を示す図である。
【
図2】短管型の消音器の構造及び設置位置を説明する図である。
【
図3】短管型の消音器の設置位置を説明する図である。
【
図6】短管型の消音器の消音メカニズムを説明する図である。
【
図7】逆ホーン型の消音器の構造及び設置位置を説明する図である。
【
図8】逆ホーン型の消音器のサイズを示す図である。
【
図11】(A)は短管型の実験用消音器のサイズを示す図であり、(B)は実験用模型ハウスの斜視図である。
【
図12】(A)は逆ホーン型の実験用消音器のサイズを示す図であり、(B)は実験用模型ハウスの斜視図である。
【
図14】マイクロホンの設置位置を説明する図である。
【
図15】実験用消音器を設置しない場合の音圧スペクトル(FFTによる分析結果)を示す図である。
【
図16】短管型の実験用消音器を設置した場合の音圧スペクトル(FFTによる分析結果)を示す図である。
【
図17】逆ホーン型の実験用消音器を設置した場合の音圧スペクトル(FFTによる分析結果)を示す図である。
【
図18】実験用消音器を設置しない場合の音圧スペクトル(1/3オクターブバンドによる分析結果)を示す図である。
【
図19】短管型の実験用消音器を設置した場合の音圧スペクトル(1/3オクターブバンドによる分析結果)を示す図である。
【
図20】逆ホーン型の実験用消音器を設置した場合の音圧スペクトル(1/3オクターブバンドによる分析結果)を示す図である。
【
図21】短管型の実験用消音器を設置した場合の各測定地点での減衰量を示す図である。
【
図22】逆ホーン型の実験用消音器を設置した場合の各測定地点での減衰量を示す図である。
【
図23】実験用消音器を設置しない場合の距離減衰を示す図である。
【
図24】短管型の実験用消音器を設置した場合の距離減衰を示す図である。
【
図25】逆ホーン型の実験用消音器を設置した場合の距離減衰を示す図である。
【
図26】測定地点P2における周波数と音圧との関係を示す図である。
【
図27】測定地点P3における周波数と音圧との関係を示す図である。
【
図28】測定地点P4における周波数と音圧との関係を示す図である。
【
図29】測定地点P5における周波数と音圧との関係を示す図である。
【
図30】測定地点P6における周波数と音圧との関係を示す図である。
【
図32】実験用消音器を設置しない場合の音圧分布を示す図である。
【
図33】短管型の実験用消音器を設置した場合の音圧分布を示す図である。
【
図34】逆ホーン型の実験用消音器を設置した場合の音圧分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る防音ハウスについて説明する。
【0016】
本実施形態に係る防音ハウスは工事現場で用いられるものであり、工事に用いられる大型振動ふるいを覆うように構成されている。また、防音ハウスは、この大型振動ふるいが分離した土砂等を外部に排出するための開口部を有している。大型振動ふるいからは、16〜17Hz程度の超低周波音が発生し、この超低周波音は上記開口部から漏れ出ることになる。そのため、本実施形態では、この防音ハウスの開口部に超低周波音低減装置として機能する消音器を設けている。この消音器は、防音ハウスの開口部の縁部に沿って防音ハウスの内側に突出して設けられている。また、その形状は筒状であり、さらに、防音ハウスと一体に設けられている。本実施形態では、この消音器により、開口部から漏れ出る超低周波音を低減させることができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る防音ハウスについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、防音ハウス1は箱形の構造を有し、そのサイズは、側面長さ12000mm×奥行き幅8040mm×高さ9960mmである(
図2参照)。また、防音ハウス1は、組立式の遮音パネルによって、壁面及び天井板が構成されている。なお、本実施形態の防音ハウス1のサイズ単なる一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0018】
また、防音ハウス1の内部には、振動ふるい3が2台設けられている。この振動ふるい3は、掘削によって発生した土砂等と水とを分離する。また、防音ハウス1の内部には、分離された土砂等を外部に搬送するためのベルトコンベア4が設けられている。防音ハウス1の外部に搬送された土砂等は、運搬車両5により運搬される。
【0019】
また、防音ハウス1の奥行きとなる一方の側面には、ベルトコンベア4の一部を防音ハウス1外に露出させるための開口部2が設けられている(
図3参照)。すなわち、防音ハウス1には、常時開口している開口部2を有している。この開口部2のサイズは、横幅1992mm×高さ996mmである。なお、開口部2のサイズ、形状及び位置は、単なる一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0020】
振動ふるい3は、1000rpm程度の回転速度で回転するため、16〜17Hz程度の超低周波音が発生する。そして、この超低周波音が開口部2から外部に漏れ出ることになる。そのため、本実施形態では、この超低周波音を低減するために、開口部2に消音器6が設けられている。
【0021】
図2に示すように、消音器6は、開口部2の縁部に沿って防音ハウス1の内側に突出して設けられ、しかも、防音ハウス1と一体に設けられている。また、消音器6は、4枚のパネルにより四角柱状の筒状の形状を有している。なお、前記形状は、四角柱状の筒状に限らず、三角柱状の筒状等の断面積一定の筒状であればよい。さらに、消音器6を防音ハウス1の壁面と同じ遮音パネルで構成することで、製造コストを削減している。本実施形態では、
図3に示すように、消音器6の奥行を1200mmとしているが(
図4参照)、このサイズは単なる一例であり、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の説明において、消音器6の形状を、短管型ということがある。
【0022】
また、消音器6の奥行は適宜設定することができる。すなわち、防音ハウス1、振動ふるい3、ベルトコンベア4等の大きさや形状等の制約に応じて適宜設定することができる。また、この制約がない場合には、消音器6の奥行を、振動ふるい3から発生する超低周波音の波長に長さに基いて決定することが望ましい。具体的には、消音器6の奥行を、超低周波音の波長に依存させ、超低周波音の波長の1/4とすることが望ましく、低減性能が最も高くなる。
【0023】
次に、消音器6による消音メカニズムについて説明する。消音器6の消音メカニズムは、膨張型消音器の消音メカニズムに基づいている。
図5は、膨張型消音器を模式的に表した側面図である。
図5に示すように、消音器B(断面積S,長さl)は、音源部Aに入口管C(断面積s,長さli)を介して接続され、消音器Bの出口側には出口管D(断面積s,lo)が接続されている。消音器Bは、入口管C及び出口管Dとの接続部(変断面部)で発生する音波の反射と干渉を利用して、音圧を低減するものである。
ここで、位置X1(入口管Cの出力部分)における音圧と位置X2(出口管Dの出力部分)における音圧の差(挿入損失IL)は、
【0026】
として表現される。ここで、kは波長定数でk=(2πf)/c、fは超低周波音の周波数、cは音速である。
本実施形態では、入口管Cから出力される音を、防音ハウス1内の振動ふるい3などの機械から超低周波音とみなすことができ、また、出口管Dの長さloが0の場合(lo=0)に、上記挿入損失ILを、防音ハウス1の開口部2における超低周波音の挿入損失とみなすことできる。
【0027】
一方、
図6のように、挿入管E(断面積s,長さlo1)を消音器Bの出口側から内側に向けて設けた場合、上記数1の[A]は、
【0029】
となる。
ここで、消音器Bの入口側に挿入管を設けない場合(すなわち、
図6においてli1=0)は、この消音メカニズムを本実施形態の防音ハウス1に当てはめることができ、入口管Cから出力される音を、防音ハウス1内の振動ふるい3などの機械から超低周波音とみなすことができる。
【0030】
したがって、挿入管Eを設けることにより、挿入損失ILを大きくすることができる。すなわち、音源から発生した超低周波音を低減することができる。
【0031】
本実施形態の消音器6は、このメカニズムを用いることにより、振動ふるい3から発生した超低周波音を低減することができる。また、本実施形態では、出口管Dを設けない(すなわち、
図6及び数3において、lo=lo1)ので、挿入管Eの長さを、超低周波音の波長の1/4とする場合に、低減量が最も大きくなる。
【0032】
また、
図7及び
図8に示すように、先端側が拡開する四角錐台状の筒状の形状を有する消音器7を防音ハウス1の開口部2に設けてもよい。なお、前記形状は、四角錐台状に限らず、三角錐台状等の錐体状であってもよい。本実施形態では、消音器7の奥行を1200mm,拡開角度を78.7度としているが、このサイズは単なる一例であり、本発明を何ら限定するものではない。また、消音器7は、上述した消音器6と同様に、防音ハウス1と一体に設けられ、また、防音ハウス1の壁面と同じ遮音パネルで構成することで製造コストを削減している。なお、以下の説明において、消音器7の形状を、逆ホーン型ということがある。
【0033】
スピーカ等で用いられるホーン形状は、音の進行方向に向かって徐々に断面積を大きくすることにより(すなわち、音の進行方向に拡開することにより)、音の伝送効率を高めることができる。本実施形態では、ホーン形状の部材を音の進行方向とは逆向きに設置することにより、音の伝送を妨げるものである。その結果、消音器7は、振動ふるい3から発生した超低周波音を低減することができる。
【0034】
以上のように、防音ハウス1の開口部2に消音器6や消音器7を設置することにより、大型振動ふるい3から発生する超低周波音を効果的に低減させることができる。しかも、防音ハウス1と同じ部材で構成することにより、消音器6の製造コストを削減することができる。さらに、消音器6や消音器7の奥行長さは1m程度であるので、防音ハウス1内部のスペースを有効に活用しつつ、超低周波音を効果的に低減することができる。
【0035】
なお、防音ハウス1に設ける開口部2を円状としてもよい。この場合、消音器の形状は、この開口部2の縁部に沿って設けられるため、円柱状や円錐台形状の形状を有することになる。また、開口部2近傍に位置するベルトコンベア4を消音器の一部として機能させ、開口部2の縁部の上側及び両側の計3か所に遮音パネルを内側に突出するように設けることにより、消音器を実現してもよい。
【0036】
[模型実験]
次に、本発明の有効性を確認するために行った模型実験について説明する。
【0037】
まず、模型実験に用いた装置(以下、実験設備ということがある。)のブロック図について、
図9を参照しつつ説明する。
図9に示すように、CDプレーヤ21で再生したピンクノイズをアンプ22により増幅させ、無響室に設置した実験用模型ハウス11内の実験用振動ふるい13のスピーカ13aから発生させた。そして、そのピンクノイズを実験用模型ハウス11の内外においてマイクロホン23で集音し、PC24に出力する。そして、PC24において、周波数分析を行いその結果を不図示のディスプレイに表示した。なお、実験のサンプリング周波数は、2kHz(c特性)であり、サンプル点数:4096,平均化回数:50回である。
【0038】
また、この模型実験では、以下の市販の装置を用いた。
・CDプレーヤ21:TEAC製,CD−P1850
・アンプ22:TOA製,POWER AMPLIFIER MODEL P300D
・マイクロホン23:小野測器製,MI−1233(無指向性の1/2インチ型計測用コンデンサマイクロホン)
・マイクロホンプリアンプ(不図示):小野測器製,MI−3110
・ピストンフォン(マイクロホンの構成):リオン社製,NC−72(音圧レベル114dB−250Hzの音を発生)
【0039】
次に、実験用模型ハウス11について、
図10を参照しつつ具体的に説明する。実験用模型ハウス11は、実際の防音ハウス1の1/12のスケールで制作した。また、実験用模型ハウス11には、166×166×83mmの寸法で開口部12を1ヶ所設けた。また、実験用模型ハウス11は、厚さ1mmの鉄製の骨組みに、厚さ10mmの6枚のアクリル板(1000×670mm,1000×830mm,830×670mmをそれぞれ2枚ずつ)を、全188ヶ所でねじ止めすることにより製作した。
【0040】
また、開口部12には、
図11及び
図12に示すように、短管型の実験用消音器16及び逆ホーン型の実験用消音器17をそれぞれ設けて実験を行った。また、それぞれの実験用消音器は、実験用模型ハウス11と同じアクリル板で作成した。
【0041】
次に、実験用振動ふるい13について、
図13を参照しつつ具体的に説明する。同図に示すように、実験用振動ふるい13は、スピーカ13aと模型ふるい13bとから構成されている。また、模型ふるい13bは、厚さ25mmのベニヤ板で製作した。また、本実験は、1/12スケールの実験用模型ハウス11で行うため、スピーカ13aから発生させるピンクノイズの周波数を、192Hzとしている。
【0042】
また、本実験では、マイクロホン23を、
図14に示すように、中心部が124.5mmの高さとなるようにマイクロホンスタンドに固定した。なお、本実験では、各測定地点をそれぞれ、P1,P2,P3,P4,P5,P6とし、開口部12からの距離をそれぞれ、−50mm,166mm,249mm,332mm,415mm,830mmとしている。
【0043】
[音圧のスペクトル(FFTによる分析結果)]
次に、上述した実験設備を用いて、以下の3つの条件において各測定地点(P1〜P6)で測定した音圧のスペクトル(FFTによる分析結果)について説明する。
(1)実験用消音器の設置なし
(2)短管型の実験用消音器16を設置
(3)逆ホーン型の実験用消音器17設置
【0044】
図15〜
図17は、上記(1)〜(3)の各条件における音圧のスペクトル(FFTによる分析結果)を示している。各図において、横軸を周波数(Hz)とし、縦軸を音圧(dB)としている。内部音圧(P1地点での音圧)に着目すると、約180Hz,260Hz,340Hzにおいてピークが見られる。このピークは、80Hz間隔で現れており、実験用模型ハウス11内で発生した定在波によるものと考えられる。
図15〜
図17に示されるとおり、開口部12の内側に実験用消音器16及び実験用消音器17のいずれの消音器を設置した場合においても、全周波数領域において減衰効果があることがわかった。
【0045】
[音圧のスペクトル(オクターブバンドによる解析結果)]
次に、上述した3つの条件における音圧のスペクトル(1/3オクターブバンドによる分析結果)を、
図18〜
図20に示す。各図において、横軸を周波数(Hz)とし、縦軸を音圧(dB)としている。
図18〜
図20に示されるとおり、開口部12の内側に実験用消音器16及び実験用消音器17のいずれの消音器を設置した場合においても、全周波数領域において減衰効果があることがわかった。
【0046】
[超低周波音の減衰量]
次に、実験用模型ハウス11の内外における超低周波音の減衰量について説明する。ここでは、上述したオクターブバンドによる解析結果のうち、制御対象である192Hzに近い中心周波数160Hz,200Hz,250Hz,315Hzの音圧を用いて分析を行った。なお、これらの中心周波数は、実際の防音ハウス1では、それぞれ、13.3Hz,16.7Hz,20.8Hz,26.3Hzに相当する。
【0047】
図21は、実験用消音器16による各測定地点(P2〜P6)での減衰量を示している。この図において、横軸を周波数(Hz)とし、縦軸を音圧(dB)としている。各周波数ごとに、左側の棒グラフは消音器がない場合における音圧のハウス内外差を示し、中央の棒グラフは実験用消音器16を設置した場合における音圧のハウス内外差を示し、右側の棒グラフは実験用消音器16による超低周波音の減衰量を示している。
図21に示されるとおり、全周波数領域で約5dBの減衰効果が得られることがわかった。
【0048】
図22は、実験用消音器17による各測定地点(P2〜P6)での減衰量を示している。この図において、横軸を周波数(Hz)とし、縦軸を音圧(dB)としている。各周波数ごとに、左側の棒グラフは消音器がない場合における音圧のハウス内外差を示し、中央の棒グラフは実験用消音器17を設置した場合における音圧のハウス内外差を示し、右側の棒グラフは実験用消音器17による超低周波音の減衰量を示している。
図22に示されるとおり、全周波数領域で約4dBの減衰効果が得られることがわかった。
【0049】
また、
図21及び
図22に示されるとおり、実験用消音器17よりも実験用消音器16の方が、減衰効果が高い(約1dB)こと(同図では約1dB)がわかった。
【0050】
[距離減衰]
次に、超低周波音の距離減衰について説明する。
図23は、消音器を用いない場合における各測定地点(P2〜P6)の音圧を、周波数ごとに示している。また、
図24は、実験用消音器16を取り付けた場合における各測定地点(P2〜P6)の音圧を、周波数ごとに示している。さらに、
図25は、実験用消音器17を取り付けた場合における各測定地点(P2〜P6)の音圧を、周波数ごとに示している。なお、各図において、横軸を開口部12からの距離(mm)とし、縦軸を音圧(dB)としている。
【0051】
これらの図に示されるとおり、各図においてグラフの傾きが同程度であることから、実験用消音器16及び実験用消音器17による減衰効果は、開口部12からの距離に関係がないことがわかった。
【0052】
[外部音圧比較]
次に、実験用模型ハウス11の音圧の比較結果について説明する。
図26は、測定地点P2における周波数と音圧との関係を、上記3つの条件ごとに示したものである。同様に、
図27は測定地点P3,
図28は測定地点P4,
図29は測定地点P5,
図30は測定地点P6における周波数と音圧との関係を示している。なお、各図において、横軸を周波数(Hz)とし、縦軸を音圧(dB)としている。
【0053】
これらの図に示されるとおり、いずれの距離及び周波数帯域においても、実験用消音器16及び実験用消音器17による減衰効果が得られることがわかった。
【0054】
以上説明したとおり、本実験によって、本発明の実施形態に係る防音ハウス1の効果を確認することができた。
【0055】
[数値解析]
次に、本発明の有効性を確認するために行った数値解析について説明する。本解析では、音響有限要素及び境界要素を用いて離散化誤差以内の範囲でHelmholtz方程式を解き、本発明の有効性を確認した。
【0056】
ここで、Helmholtz方程式について説明する。
電磁波,音,圧力などの波の伝播現象を支配する微分方程式は、一般的に次のような波動方程式で表される。
【0058】
ここで、p(x,t)は、時間tでの媒質中の点xにおけるスカラーポテンシャルを表し、cは波の伝播速度を表している。媒質の振動が微小振幅の定常振動である場合、すなわち、p(x,t)の時間依存性が角振動数ωで調和振動する信号を複素表示すると、
【0060】
となる。この(数5)を時間tで2回微分すると、
【0062】
となる。そして、(数5)及び(数6)を、(数4)に代入すると、
【0066】
の関係が導かれる。そして、この(数8)を、波数k=(ω/c)を用いて表すと、以下のようになる。
【0068】
このようにして求められた(数9)を、Helmholtz方程式という。
【0069】
次に、本解析における計算条件について説明する。
図31は、本解析の計算領域を示している。同図において、左側は実験用模型ハウス11の内部領域を示しており、右側は防音ハウス1外の外部領域を示している。また、本解析では、実験用模型ハウス11の内部に音源を2つ設け、それぞれの音源から192Hzの音波を発生させた。
【0070】
図32〜
図34は、それぞれ、(1)消音器なしの場合、(2)実験用消音器16を設置した場合、(3)実験用消音器17を設置した場合、の各条件における音圧分布を示している。
図32及び
図33に示されるとおり、実験用消音器16を設置することで約8.5dBの減衰効果を得られることがわかった。
また、
図32及び
図34に示されるとおり、実験用消音器17を設置することで約7dBの減衰効果を得られることがわかった。
【0071】
また、上述した模型実験と数値解析とを比較すると、いずれにおいても、実験用消音器16を設置した場合の方が、減衰量が大きいという結果が得られた。
【0072】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、防音ハウス1の開口部2に消音器6や消音器7を設置することにより、大型振動ふるい3から発生する超低周波音を効果的に低減させることができる。しかも、防音ハウス1と同じ部材で構成することにより、消音器6の製造コストを削減することができる。さらに、消音器6や消音器7の奥行長さは1m程度であるので、防音ハウス1内部のスペースを有効に活用しつつ、超低周波音を効果的に低減することができる。
【0073】
また、耳が良い人では、本実施形態の防音ハウス1が低減の対象としている超低周波音を聴取することができるが、本実施形態の消音器を防音ハウス内に設置することで超低周波音が数dB程度低減することにより、聴覚的な減衰量は大きなものとなる(
図35の等ラウドネス曲線参照)。
【0074】
また、本実施形態の消音器6や消音器7を、防音ハウス1の内外に設けられる他の消音器と共に用いることにより、超低周波音の低減をより図るように構成してもよい。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはいうまでもない。