【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、エタノール含有水溶液またはアルカリ電解水からなる第一液の噴霧水滴とpH5〜10の範囲であってアルコール類を含まず、且つ銅イオンもしくは亜鉛イオンを含む水溶液からなる第二液の噴霧水滴とを、臭い成分が存在する雰囲気に同時に存在させることを特徴とする消臭方法により達成される。
この同時に存在させる状況を作るには、上記第二液の噴霧前または同時に、エタノール水溶液またはアルカリ電解水からなる第一液を噴霧することにより可能である。
【0008】
本発明の特徴は、第二液のpH5〜10の範囲であってアルコール類を含まず且つ銅イオンや亜鉛イオンを含む液が臭い成分のある雰囲気に噴霧されて生じる微小水滴の周りに、第一液のアルコール含有微小水滴またはアルカリ電解水微小水滴が存在していることであり、この第一液の微小水滴と第二液の微小水滴が共存している場合に、生ごみの腐敗臭の中の卵の腐敗臭、たまねぎの腐敗臭、キャベツの腐敗臭及びにんにく臭を効果的に消臭する。
第一液と第二液の微小水滴の共存状態は、同時に噴霧するのが最もよいが、第一液を噴霧した後、その微小水滴が残っているうちに第二液の噴霧をしてもよい。
本発明では、第一液の噴霧によりアルコール臭、または新たな臭い物質、例えばアンモニヤ臭などが発生する場合があるが、それらはpH5〜10の範囲であってアルコール類を含まず且つ銅イオンや亜鉛イオンを含む第二液により消臭される。
本発明は、第一液が噴霧により生じる微小水滴が、第二液の噴霧微小水滴とは別に存在することが必要である。
本発明の第二液は、エタノールなどのアルコール類を含まないこと、およびpHが10以下で、pH3以上であることが必要である。
すなわち、第二液は水(水道水又は精製水)と消臭金属イオンからなるのがよく、また消臭金属イオンを含むクエン酸溶液または酸性電解水であってもよい。アルコールを含むと効果を発揮せず、またpHも10より上であってはならない。
【0009】
発明の好ましい態様
第二液の銅イオンと亜鉛イオンの濃度はそれぞれ、0.1ppm〜20ppmが適切である。
この濃度は、銅ウールや黄銅ウールを水に漬けておくことにより、本発明の効果を発揮する濃度を得ることができる。
また、銅塩や亜鉛塩を水に溶かしても得られる。しかし、対アニオンを第二液が含むことになり、この対アニオンが雰囲気にある物質と反応して副作用を起こすことがあり、銅ウールや黄銅ウールを水に漬けておく方法がもっとも好ましい。ただし、銅ウールからは、銅イオンのみしか水に溶けださない。
第一液のアルコール濃度は、1から20%程度が適切である。
第一液のアルカリ電解水のpHは、12.0以上、望ましくは13.0以上が望ましい。
本発明では、家庭用生ごみの臭いの大半を消臭するので、マスキングとしての香料を使用する必要はないが、特殊な成分から発する臭気に対してのマスキングとしてあるいは芳香剤として香料を第二液に添加することができる。
【0010】
参考例
第一液として、エタノール5%水溶液及びエタノール15%水溶液を作成した。また第二液として黄銅金属ウールを水溶液に浸した液を作製した。金属イオン濃度は銅イオン:0.42mg/L、亜鉛イオン:0.9mg/L であった。濃度測定はICP発光分析法で行った。この第一液および第二液を下表の使用形態のように腐敗臭を発生させているものが入っている広口ビンの中に噴霧してその消臭効果を測定した。
消臭効果は10人に噴霧後の広口ビンに鼻をよせて臭いを感じるか否かを判断してもらい、8人以上が臭いなしと感じれば◎、6〜7人なら○、3人〜5人なら△、2人以下なら×とした。
【0011】
下記表1から、エタノール水溶液からなる第一液と銅亜鉛イオンを含む水溶液からなる第二液とを第二液噴霧以前に第一液を噴霧したときに、玉ねぎ、キャベツ、卵の腐敗臭、或いは生のおろしにんにくの臭いを消す作用が現れることが明らかである。また第一液がエタノールを含んでいることが必要であり、また別々に噴霧するときに消臭作用が現れる。
以上のように本願発明が、従来の消臭方法に比べて家庭での生ごみから発生するより広い範囲の臭いに対して有効である消臭方法であることが分かる。
また、
参考例5と比較例5との比較から、第二液はアルコールを含まない金属イオン含有水でないと消臭効果を発揮しないことが分かる。
【0012】
【表1】
【0013】
表1において×1は、アルコール臭が残ることを表す。
【0014】
実施
例
第一液として、pH13.2のアルカリ電解水を使用し、更に表2記載の物質を添加した組成のものを調製した。アルカリ電解水に黄銅ウールを漬けた実施例
5の第一液、比較例
6の第一液および第二液、比較例
7の第一液には金属イオンが多く溶け込む。金属イオン濃度測定は、パックテスト:(株)共立理科学研究所を使用したが、これの測定範囲の上限を超していたので、この上限値を実施例には記載した。実施例
5の第一液、比較例
6の第一液および第二液、比較例
7の第一液以外はICP発光分析法にて金属イオン濃度を測定した。
また第二液として黄銅ウールを水溶液に浸した液を作製した。金属イオン濃度は銅イオン:0.42mg/L、亜鉛イオン:0.9mg/Lであった。
この第一液および第二液を下表の使用形態のように腐敗臭を発生させているものが入っている広口ビンの中に噴霧してその消臭効果を測定した。
消臭効果は10人に噴霧後の広口ビンに鼻をよせて臭いを感じるか否かを判断してもらい、8人以上が臭いなしと感じれば◎、6〜7人なら○、3人〜5人なら△、2人以下なら×とした。
【0015】
下記表2から、pHが13.2のアルカリ電解水を第一液として銅亜鉛イオンを含む水溶液からなる第二液の噴霧前か同時に噴霧することで玉ねぎ、キャベツ、卵の腐敗臭、或いは生のおろしにんにくの臭いを消す作用が現れることがわかる。水を第二液噴霧以前に噴霧しても消臭効果は発揮されないことも明瞭である。
また、実施例
5と比較例
7との比較から、第二液はpHが10以下の中性に近いものでないと本発明の効果が発揮しないことが分かる。
【0016】
【表2】