(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
植付け畝を跨いで走行する走行装置と、該走行装置に載置され球根を畝に植付ける植付け装置と、植付け装置に球根を供給する作業者が乗車する乗車部を備えた球根植付け機において、
該球根植付け機には、作業者に球根を供給する球根供給装置が設けてあり、球根供給装置は、球根の貯留部と、貯留部から球根を送り出す送り出し手段と、送り出された球根を受けると共に水平方向に移動させる移動手段を備え、
移動手段は、前記乗車部の作業者座席と植付け装置の球根供給部との間に位置していることを特徴とした球根植付け機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニンニク等の球根類の植付け機の場合、植付け装置に球根を作業者が供給して、植付け装置が供給された球根を走行している畝に植付けて行くものであるが、作業者が供給するための球根は、植付け装置と作業者が乗車する乗車部の座席との間に設けられている補給ボックス内に一定量貯留させて、連続的に供給して作業が行われる。しかし、作業者が補給ボックス越しに植付け装置側に球根を供給する必要があるため、補給ボックスの大きさを制限する必要があり、すなわち貯留量を多くすることが出来ずに補給回数が多くなり、作業効率が悪いと言う問題があった。
【0006】
また、作業者の作業スペースが補給ボックスにより妨げられることとなるため、自由な作業姿勢が取りにくく、窮屈な作業姿勢となる問題があった。
【0007】
このため本発明の目的は、補給ボックスに球根を供給する回数を削減するなどにより、作業効率を改善した構成の植え付け機であり、作業者の作業スペースを改善したニンニク等の球根類の植付け機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、植付け畝を跨いで走行する走行装置と、該走行装置に載置され球根を畝に植付ける植付け装置と、植付け装置に球根を供給する作業者が乗車する乗車部を備えた球根植付け機において、該球根植付け機には、作業者に球根を供給する球根供給装置が設けてあり、球根供給装置は、球根の貯留部と、貯留部から球根を送り出す送り出し手段と、送り出された球根を受けると共に水平方向に移動させる移動手段を備え、移動手段は、前記乗車部の作業者座席と植付け装置の球根供給部との間に位置していることを特徴とした球根植付け機を提案する。
【0009】
また、移動手段は、無端帯のコンベアベルトを備え、コンベアベルトの側部に球根の滞留スペースが設けられていることを特徴とした0008欄記載の球根植付け機を提案する。
【0010】
さらに、送り出し手段と移動手段の作動速度は調整可能であることを特徴とした0008欄又は0009欄記載の球根植付け機を提案する。
【0011】
さらにまた、送り出し手段と移動手段は同時に作動可能であると共に、単独で停止可能であることを特徴とした0008、0009、0010欄の何れかに記載の球根植付け機を提案する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、乗車部の作業者座席と植付け装置の球根供給部との間に、球根を水平方向に移動させる移動手段を備えたため、従来のように作業者前方に球根を貯留しておく大きな貯留ボックスを設ける必要もなく、球根移動手段により順次供給される球根を植付け装置に供給できるとともに、作業スペースを大きく確保することができて、作業者の作業姿勢が改善され、負担を軽減することができる。
【0013】
また、無端帯のコンベアベルトを備え、コンベアベルトの側部に球根の滞留スペースが設けられているため、コンベアベルトで搬送されてくる球根の他に滞留スペースに一定量の予備の球根を溜めておくことができるため、供給に余裕ができて作業者の負担が軽減される。
【0014】
さらに、送り出し手段と移動手段の作動速度は調整可能であり、送り出し手段と移動手段は同時に作動可能であると共に、送り出し手段は単独で停止可能であることにより、作業者の植付け装置への供給ペースに合わせて球根の供給量を細かく調整することができるため、効率よい作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の平面図
【
図3】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の貯留部及び送り出し手段部の断面した側面図
【
図4】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の移動手段部の断面した後面図
【
図5】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の操作ボックスの操作パネルの説明図
【
図6】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図7】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図8】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図9】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図10】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図11】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図12】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図13】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図14】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【
図15】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面説明図
【
図16】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面説明図
【
図17】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図
【
図18】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図
【
図19】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図
【
図20】この発明の球根植付ホルダーの先端部の拡大図
【
図21】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の孔開け装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を以下の図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の平面図、
図2は後面図、
図3は貯留部及び送り出し手段部の断面した側面図、
図4は移動手段部の断面した後面図、
図5は操作ボックスの操作パネルの説明図、
図6乃至
図14はこの発明のニンニク等の球根植え付け装置の要部の作動状態を説明する右側面図、
図15と
図16は球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面図、
図17乃至
図19は球根植付ホルダーを上下反転させるホルダー上下反転手段と球根植付ホルダーに装填された球根をホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段との作動状態を示す説明図、同じくこの発明の球根植付ホルダーの先端部の拡大図である
図20、
図21は同じく孔開け装置の斜視図を示したものである。
【0017】
この発明のニンニク等の球根植え付け装置1は、この実施形態ではクローラ走行部20で走行する走行装置2に着脱可能に載置されているが、他の実施形態では走行輪を有し走行する走行装置2に載置しても作業は可能である。この走行装置2の左右のクローラ走行部20の幅間隔は、球根植え付け畝Mを跨いで走行可能な幅に設けられている。21は走行装置の運転操作部であり、運転操作部21は、走行装置2の後部側方右側に設けられている。2つの作業者用シート22は、最後部の左右に設けられていて、右側に乗車した作業者が運転操作を行う。また、球根供給装置の作動を操作する操作ボックス37は左側に設けられていて、左側に乗車した作業者が操作を行う。
【0018】
この発明の一例のニンニク等の球根植え付け装置1は、走行装置2とともに走行する走行フレーム10と、走行フレーム10に係合して固定可能であるとともに走行フレーム10との係合を外して走行方向前後に移動可能な移動フレーム11と、走行フレーム10に設けられニンニク等の球根を載置する球根載置プレート3と、移動フレーム11に設けられるニンニク等の球根の球根植付ホルダー4と、走行フレーム10に設けられ球根載置プレート3に載置されたニンニク等の球根を球根植付ホルダー4に装填する球根装填手段5と、移動フレーム11に設けられ水平軸60を回動中心として球根植付ホルダー4を上下反転させるとともに、移動フレーム11を走行フレーム10に対して走行前後方向へ移動させるホルダー上下反転手段6と、球根植付ホルダー4を垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段7と、球根植付ホルダー4に装填された球根Gをホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段9と、球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフィルムに球根植え付け用の孔を開ける孔開け装置8とを有する球根植え付け装置であり、前記球根載置プレート3に作業者が供給するための球根の貯留部34と、貯留部34から作業者の手元に球根を供給する供給部である移動手段36を設けたものである。
【0019】
走行フレーム10は、走行装置2に固定されて取り付けられ、下部に水平ガイドレール100を設けており、水平ガイドレール100には移動フレーム11の前後移動体112が前後方向に移動自在に係合している。
【0020】
移動フレーム11は、走行フレーム10の水平ガイドレール100に前後方向に移動自在であり、前後左右に垂直方向に設けられた4本の上下ガイドレール110を有しており、この4本の上下ガイドレール110に植付ホルダーフレーム111を上下昇降移動可能に係合している。植付ホルダーフレーム111は、後述するホルダー上下移動手段7の昇降枠72に取り付けられているとともにホルダー上下反転手段6を設け、かつ下部に孔開け装置8を設けている。
【0021】
球根載置プレート3は、複数の上下貫通孔からなる載置部31を有する水平方向に間欠的に回転可能な複数の円形板状体30と、円形板状体30を円形板状体回転軸33を中心に間欠的に回転させる回転駆動部32とからなり、走行装置2に備え付けられた場合は、作業者用シート22の前に設けられる。この実施形態では円形板状体30は4つ横方向に並設されており、それぞれの円形板状体30は、その外周部分に45度角間隔で載置部31を設けている。それぞれの載置部31は、球根Aを上下方向にした状態で保持可能であるとともに、作業者が載置部31へ球根を載せる位置と、円形板状体30の上方に位置する球根装填手段5によって載置部31の球根Aを球根植付ホルダー4へ装填する位置とを水平方向へ間欠的に回転する。この実施形態では作業者が載置部31へ球根を載せる位置と球根植付ホルダー4へ装填する位置とは180度角の間隔に設けられており45度角ごとの回転によって間欠的に停止する。間欠移動角度及び載置部31の数は、作業速度に合わせて任意に設定することができる。
【0022】
球根載置プレート3に作業者が供給するための球根は、機体左側の側方上部に設けられた貯留部34に入れられる。貯留部34は、球根Gを貯留するためのホッパ340と、ホッパ340を保持しているホッパ保持アーム341で構成されていて、ホッパ340は平面視矩形で長辺が進行方向と平行である箱状のホッパで、上面が開放されており、上端面から下方に垂直部分を設け上下中間部近傍から内側の底部分に向けて傾斜した形状で、外側を前後2本ずつのホッパ保持アーム341で支えられている。ホッパ340の底部分は平面視ホッパ340上端面より狭い矩形となっていて、送り出し手段35であるベルトコンベア350が設けられている。ホッパ保持アーム341は、前方側が上下位置を変更可能で、後方側を支点にしてホッパ340を上下に回動可能である。前方側を下方に位置させホッパ340を傾斜させると、球根Gをホッパ340に投入する際に上面が低くなるため投入しやすくなる。
【0023】
送り出し手段35は、ホッパ340内に貯留された球根Gを底部後方に設けた吐出し口352から送り出す為のもので、ホッパ340底の前方側から後方側に移動する前記ベルトコンベア350は、後方側を進行方向と直行する水平方向の回転軸を有する駆動ローラ354で、前方側を駆動ローラ354と平行に水平に設けた従動ローラ355で巻架されていて、駆動ローラ354に歯車を介して連結されたモータ351により駆動される。ベルトコンベア350で前方から後方に移動された球根Gは、ホッパ340底部後方に設けた吐出し口352から外に送り出され、ベルトコンベア350端部に設けたシュート353にガイドされて、下方の移動手段36のベルトコンベア360に載置される。
【0024】
移動手段36は、乗車部の作業者座席22と植付け装置の球根供給部である球根載置プレート3との間の球根載置プレート3側に接近させて設けられていて、貯留部34の吐出し口352から吐出された球根Gを受け止めて、機体進行方向と直交する水平方向に設けたベルトコンベア360により他側端側に移動させる。作業者は移動してきた球根Gを取り、球根供給部である球根載置プレート3の載置部31に差し込んで供給する。
【0025】
移動手段36のベルトコンベア360は、貯留部34側に進行方向と平行に設けた駆動ローラ365と他方の側方側に駆動ローラ365と平行に設けた従動ローラ366で巻架されていて、駆動ローラ365に歯車を介して連結されたモータ361により駆動される。ベルトコンベア360の前方側は球根Gがこぼれ落ちないように球根Gの大きさより少し高い程度に側板367が立設されている。一方、ベルトコンベア360の作業者座席22側は、貯留部34後方側は前記前方側と同じくベルトコンベア360に接近して側板が設けられ、これに連続して作業者座席22前方部分はベルトコンベア360から後方側に離して平行に側板が立設していて、ベルトコンベア360端部から側板まではベルトコンベア360上面と同一の高さの平面部が形成されている。この平面部が球根Gの滞留スペース362となっていて、ベルトコンベア360で移動されてきた球根Gの一部を滞留させておいて、供給量に対する取り出し量の調整を行う。一定量で供給される球根の中には不良球根等も含まれている場合もあり、流れてくるベルトコンベア360のみから作業者が取り出す場合に比較して手元に余裕があるため、確実に球根載置プレート3に球根を供給できる。また、ベルトコンベア360の終端部には球根の吐出し用の落下口363が設けてあり、作業中は上面をカバー364で閉じておき、不良球根などを吐出す時にカバー364を開放して吐き出すことができる。
【0026】
送り出し手段35のベルトコンベア350や移動手段36のベルトコンベア360の駆動操作は、移動手段36の後ろ側側板の貯留部34側に設けられた操作ボックス37によって操作される。操作ボックス37は、ホッパ340のベルトコンベア350の駆動を指示するホッパコンベアスイッチ370が左側に設けてあり、スイッチはトグル式のスイッチとなっていて、上方に倒すとベルトコンベア350が駆動し下方に倒すと停止する。又、右側には同じく移動手段36のベルトコンベア360の駆動を指示する手元コンベアスイッチ371が設けられていて、前記ホッパコンベアスイッチ370と同様の操作ができる。さらに、中央部にはコンベアの駆動速度を調整できるコンベア速度スイッチ372が設けてあり、スイッチツマミを左右に回すことによりコンベア速度を調整できる。
【0027】
球根植付ホルダー4は、ホルダー上下反転手段6の回動枠64に設けられており、球根Gを保持可能な凹状の球根保持部40と、球根保持部40の中心から放射状に外周に配置され中心方向へ付勢されている外周保持部41とを有する。球根植付ホルダー4は、球根載置プレート3の載置部31の下方の位置で球根保持部40の凹状開口を上方に向けた状態で位置しており、ホルダー上下反転手段6によって球根保持部40の凹状開口を下方に向けた状態に上下180度回動し、球根保持部40の凹状開口を下方に向けた状態のときにホルダー上下移動手段7によって垂直方向に上下動する。
【0028】
外周保持部41は、この実施形態では中心方向へ付勢される複数本の棒状スプリング材からなり、球根保持部40の外周に固定されて設けられる。球根保持部40は、球根Aの先端側を凹状の内方向へ向けて載置され得る凹状部を有し、外周保持部41の外周内側で外周保持部41の先端側から基部方向の中側に位置している。球根保持部40が
図20の位置のときに球根保持部40の球根Gは、その外側を外側から外周保持部41によって保持されている。球根保持部40は、後述する球根植え付け手段9の押出しシャフト90によって外周保持部41の先端方向へ移動し、更に押出しシャフト90は外周保持部41によって保持されていた球根Gを、外周保持部41の先端から外に押し出し、土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。(
図12参照)。
【0029】
球根装填手段5は、球根載置プレート3の上方に位置し、走行フレーム10に支持された支持部51と、垂直方向に設けられ昇降部52が昇降する昇降棒53と、昇降部52に連結固定されているプッシュロッド50と、シリンダー部及びリンク部からなるプッシュロッド駆動部54を有している。昇降棒53も走行フレーム10に垂直方向に固定されて、昇降部52は、昇降棒53を上下昇降可能に設けられている。球根装填手段5のプッシュロッド50は、球根載置プレート3の載置部31の上方に位置し、昇降部52の昇降に従って上下し、載置部31に置かれているニンニク等の球根Gを上から押し出して、載置部31の下方に位置する球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填する。
【0030】
ホルダー上下反転手段6は、シリンダー61、ラック62、ピニオン63、回動枠64を有しピニオン63の回動中心である水平回動軸60を回動中心として回動枠64を上下反転させることによって回動枠64に設けられている球根植付ホルダー4を上下反転させる。
【0031】
また、ホルダー上下反転手段6は、移動フレーム11の一側面側に設けられる前述したシリンダー61、ラック62、ピニオン63、回動枠64の反対側面に球根植付ホルダー4を走行前後方向へ移動させるホルダー前後移動手段65を有している。ホルダー前後移動手段65は、走行フレーム10に固定されているガイドプレート65a、ガイドプレート65aに形成される係合凹部65bと、係合凹部65bに係脱可能なフックピン65cと、水平回動軸60とともに回動する回動アーム65d、フックピン65cと回動アーム65dとの間に設けられフックピン65cと回動アーム65dのそれぞれと回動可能に連結するリンクプレート65eとを有している。回動アーム65dは、水平回動軸60に固定されており、後述する押出シャフト90とほぼ90度の角度をもって同方向へ回動する。ガイドプレート65aは、下方に開口してフックピン65cと係脱可能な係合凹部65bを設けているとともに、係合凹部65bの前方から下方に垂直方向に伸びているフックピン当接ガイド65fを設けている。
【0032】
回動枠64には、球根植え付け手段9が設けられている。球根植え付け手段9は、押出しシャフト90と、押出しシリンダー91と、連結リンク92とからなる。連結リンク92は、回動可能に連結する2つのリンクからなり、それぞれの端部を回動枠63と押出シャフト90の端部にそれぞれ回動可能に連結し、押出しシリンダー91のロッド91aの先端と回動リンク93によって回動自在に連結しており、ロッド91aの伸長により押出シャフト90を下方へ移動させる。押出シャフト90は、球根植付ホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ往復移動可能である。押出しシャフト90は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。
【0033】
ホルダー上下移動手段7は、上下用シリンダー70と、上下用シリンダー70のシリンダー本体70aが固定され移動フレーム11に設けられる支持枠71と、上下用シリンダー70のシリンダーロッド70bが固定される昇降枠72とからなる。上下用シリンダー70は、シリンダーロッド70bの伸長方向が垂直下方向に伸長するように支持枠71にシリンダー本体70aが固定されている。昇降枠72は、移動フレーム11の植付ホルダーフレーム111と固定されており、移動フレーム11の前後左右に設けられた4本の上下ガイドレール110に係合しており、上下用シリンダー70のシリンダーロッド70bの伸縮によって昇降する。
【0034】
走行装置2は、マルチフィルム上面位置検出手段200と、球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)とを設けている。マルチフィルム上面位置検出手段200は、移動フレーム11に一端が回動部203によって上下回動自在に設けられ、他端にマルチフィルム上面をトレースするマルチフィルム上面当接部202を有するセンサーアーム201を有する。マルチフィルム上面当接部202はローラからなる。
【0035】
球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)は、移動フレーム11とセンサーアーム201との回動部203の回動角の変化により検出した角度信号を、ホルダーを上下移動手段7に伝達して、球根植付ホルダー4の上下移動の位置制御をマルチフィルム上面を基準に制御する。
【0036】
球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフィルムに孔を開ける孔開け装置8は、移動フレーム11の下部と4本の連結杆86によって取り付けられており、ベースプレート84上に畝に4条に植え付けられる条列L数、通常は4つの孔開け部87を走行装置2の幅方向に並設して設けられている。各孔開け部87は連動ロッド85により作動は連動されている。ベースプレート84は、移動レーム11の植付ホルダーフレーム111の下部に取り付けられ上下動することで孔開け装置8は作動するとともに、植付ホルダーフレーム111の下降によりベースプレート84が畝上面を押圧することによる畝上面との摩擦力によって、移動フレーム11は走行装置2とともに前進走行する走行フレーム10の水平ガイドレール100を相対的に後方へ移動する。
【0037】
それぞれの孔開け部87は、植え付け予定位置の中心から周辺方向へ移動しつつマルチフィルム上面を破る複数の爪80、この実施例では4本の棒状の爪80と、爪80を作動させる爪作動アーム81と、爪作動アーム81の作動ピン83と長円孔によって係合し爪作動アーム81を時間差的に作動させ得るように連結するリンク状の爪作動リンク82と、爪作動リンク82を回動させる連結リンク88とを設けている。
【0038】
次にこの発明の実施形態であり、走行装置2に備え付けられたニンニク等の球根植え付け装置1の作動について説明する。
【0039】
作業者は、走行装置2の作業者座席22に通常2人が座り、右側の作業者が走行装置2の運転操作部21を操作して操縦する。運転操作部21の操作によってエンジンが掛かり変速機を介してクローラ走行部20を回転させ、走行装置2を走行させる。走行装置2は、畝Mを跨ぐように畝間にクローラ走行部20を走らせる。また、操作ボックス37を操作して貯留部340の球根を移動手段36のベルトコンベア360で手元に移動させる。
【0040】
ニンニク等の球根植え付け装置1は、
図6において球根載置プレート3の載置部31には球根Gが載置されており、球根装填手段5のプッシュロッド50は、載置部31の上方に位置し、球根植付ホルダー4の球根保持部40は、載置部31の下方に位置している。作業者が2人の場合は、それぞれ作業用シート22の前の球根載置プレート3を二つずつ受け持って球根Gを、載置部31に先端側Aを下にして挿入する。このとき球根載置プレート3の回転は停止されている。
【0041】
次に、球根装填手段5のプッシュロッド駆動部54が作動し、プッシュロッド駆動部54が昇降部52を昇降棒53に沿って下降させ、昇降部52に取り付けられているプッシュロッド50も下降する。そしてプッシュロッド50が載置部31に載置されていた球根Gを下方に位置する球根植付ホルダー4の球根保持部40まで押し出し装填する(
図7)。
【0042】
プッシュロッド50は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に球根Gを装填する位置まで下降後、直ぐにプッシュロッド駆動部54が昇降部52を昇降棒53に沿って上昇させプッシュロッド50を元の位置に停止させる(
図8)。この間、球根載置プレート3の回転は停止されているため、この間に作業者は移動手段36のベルトコンベア360によって運ばれてくる球根Gを載置部31に供給する。
【0043】
プッシュロッド50が載置部31から上方に位置すると、球根載置プレート3の円形板状体30が、45度角回転し、球根Gを載置した次の載置部31をプッシュロッド50の下方位置に位置させる。この球根載置プレート3の円形板状体30の回転とともに、ホルダー上下反転手段6のシリンダーロッド61bが伸長し始め、シリンダーロッド61bの先端に取り付られているラック62が前方へ移動しピニオン63を水平回動軸60を中心に回動させる(
図17、
図18)。
【0044】
このピニオンの回動により植付ホルダー4が取り付けられている回動枠64が、水平回動軸60を中心に回動し始め球根植付ホルダー4が押出シャフト90とともに上下反転し始める。そして、球根植付ホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は下方を向いた状態になるため、球根Gの先端部Aは上方を向く(
図18)。
【0045】
また、ホルダー上下反転手段6のシリンダーロッド61bの伸長による水平回動軸60の回動は、ホルダー前後移動手段65の回動アーム65dを180度回動させることにより、移動フレーム11を走行フレーム10に対して前方へ移動させる(
図9、
図10)。この作動は、回動アーム65dの180度回動によりリンクプレート65eを介してフックピン65cと水平回動軸60との間隔を狭めるが、フックピン65cがガイドプレート65aの係合凹部65bに係合されており、ガイドプレート65aが走行フレーム10に固定されているため、移動フレーム11の前後移動体112が走行フレーム10の水平ガイドレール100を摺動して移動フレーム11が走行フレーム10に対して前方へ移動させる。
【0046】
次に
図11に示すようにマルチフィルム上面位置検出手段200のローラーからなるマルチフィルム上面当接部202がマルチフィルム上面をトレースすることで、マルチフィルム上面とクローラ走行部20が走行する畝間面との高さ相違が生じた場合でも、マルチフィルム上面を基準として移動フレーム11とセンサーアーム201の回動部203の角度が変化し、その角度変化に対応して、球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)が作動し、ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70を作動させシリンダーロッド70bを伸長させるとともにその下降距離を調整する。
【0047】
ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70の作動により昇降枠72が下降し、昇降枠72に固定されている植付ホルダーフレーム111が下降し、孔開け装置8が下降してマルチフィルム上面、又は地面に接する。同時に植付ホルダーフレーム111の下降により、植付ホルダーフレーム111とともに下降するホルダー前後移動手段65のフックピン65cが、走行フレーム10に固定されているガイドプレートの65aの係合凹部65bから外れる。このフックピン65cと係合凹部65bが外れることにより移動フレーム11は、走行フレーム10に対して前後移動可能状態となる。
【0048】
ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70による昇降枠72の下降に同調して、孔開け装置8が作動して球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフィルムに球根植え付け用の孔を開ける。孔開け装置8の各孔開け部87は、4本の棒状の爪80を植え付け予定位置の中心へ突き刺した後、中心から周辺方向へ移動しつつマルチフィルム上面を破る。
【0049】
次に球根植え付け手段9の押出シリンダー91が作動し、押出しシャフト90を球根植付ホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ下降させる。押出しシャフト90は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける(
図12参照)。
【0050】
球根植え付け手段9の押出しシャフト90の下降及び上昇作動をしている時間は、走行フレーム10は走行装置2の走行速度で前進するが、移動フレーム11の植付ホルダーフレーム111は、孔開け装置8の接地摩擦によりその場所に停止し、走行フレーム10の水平ガイドレール100に沿って相対的に後方へ移動する。
【0051】
押出シャフト90は、一定の深さまで下降して土中に球根Gを植え付けた後、上昇し土中から出る(
図13)と、再びホルダー上下反転手段6が作動して球根植付ホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は上方を向いた状態になると同時にホルダー前後移動手段65も作動し、ホルダー前後移動手段65の回動アーム65dの180度の回動によりフックピン65cが前方に移動し、同時にホルダー上下移動手段7の上下用シリンダーロッド70bを縮短させ昇降枠72を上昇させフックピン65cをフックピン当接ガイド65fに沿って上昇させて係合凹部65bに係合させる。これによって移動フレーム11は走行フレーム10に前後方向に連動された状態になる(
図14)。
【0052】
この状態は、
図6と同じ状態であり、この作動を一つの植え付けサイクルとして、走行装置2の走行とともに順次ニンニクを植え付けていく。