(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポケット部の形成された帯状の容器フィルムに対し内容物を充填した後、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対しカバーフィルムを取着することでPTPフィルムとし、当該PTPフィルムをシート単位に打ち抜くことにより平面視略矩形状に製造されたPTPシートを検査する検査装置であって、
前記PTPシートの周縁部のうちの所定の一辺側から、当該PTPシートの容器フィルム側に対し平行光を照射可能な照射手段と、
前記PTPシートのうち前記ポケット部の形成されていない平坦な容器フィルム一般部に対し直交する方向から、当該PTPシートの容器フィルム側を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記PTPシートの容器フィルム一般部に対する前記平行光の照射角度を、当該容器フィルム一般部にて反射した当該平行光の正反射光が前記撮像手段に入射しない所定角度に設定すると共に、
前記画像処理装置は、
一回の撮像による前記画像信号から得た画像データに基づき、前記PTPシートの前記所定の一辺に対する前記ポケット部の付根部の位置を検出するポケット部検出手段と、
前記ポケット部の付け根部の位置データを基に、前記PTPシートの打ち抜きの良否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
前記照射手段は、所定の光を照射可能な光源と、当該光源から照射された光を入射して前記平行光のみを出射するプリズムフィルムとを備えていることを特徴と請求項1に記載の検査装置。
前記PTPシートのカバーフィルム側から当該PTPシートに対し所定の光を照射可能な第2の照射手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
前記照射手段は、前記平行光として、400nm以上500nm以下の範囲内にピーク波長をもつ青色光を照射可能な青色光源を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の透過光式の検査装置では、容器フィルムが光透過性素材により構成されている場合に、ポケット部を光が透過してしまうため、ポケット部の輪郭部分がぼやけ、ポケット部の位置を正確に検出できないおそれがある。
【0009】
また、仮に容器フィルムがアルミニウム等の光非透過性素材により形成されている場合であっても、
図9に示すように、PTPシート80の真横に照明81を設置すると共に、その反対側にカメラ82を設置した場合、カメラ82に最も近い側のポケット部83,84と、PTPシート80の長辺部80A,80Bとの距離は、
図9中のa点−b点間の距離や、c点−d点間の距離として把握可能であるが、例えばカメラ82から最も遠い側のポケット部85,86とPTPシート80の長辺部80A,80Bとの距離は把握することができない。このため、例えばポケット部83,85等の配列方向と、PTPシート80の長辺部80Aとが平行とならないようなPTPシート80の打ち抜きズレを検出することができない。
【0010】
かかる不具合を解決するためには、引用文献1の構成のように、PTPシートの真横に設置したカメラとは別に、PTPシートを斜め上方から撮像するカメラを設置するなど、複数箇所を別々に撮像する必要があり、構成や制御の複雑化、検査効率の低下などを招くおそれがある。また、PTPシートを斜め上方から撮像する場合には、カメラの画角等の影響により、PTPシート全体(カメラに近い位置と遠い位置)を均等に撮像することが難しく、検査精度が低下するおそれがある。
【0011】
これに対し、上記従来の反射光式の検査装置を利用する場合には、PTPシートの真上から1回の撮像でPTPシート全体を撮像することが可能となるが、かかる構成では、容器フィルムがアルミニウム等の光非透過性素材により構成されている場合、ポケット部と容器フィルム一般部(ポケット非形成部)とが同様に映り、ポケット部の位置を検出できないおそれがある。
【0012】
また、容器フィルムが光透過性素材により構成されている場合であっても、カメラには、容器フィルムのみならず、ポケット部を透過してカバーフィルムに反射した光が撮像されるため、ポケット部の輪郭(ポケット部と容器フィルム一般部との境界部)がぼやけてしまい、ポケット部の位置を正確に検出できないおそれがある(特許文献2の
図3〜6参照)。また、カバーフィルムに文字などが印刷されている場合には、さらにポケット部の位置が検出しづらくなる。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PTPシートの打ち抜きの良否を検査するにあたり、検査精度の飛躍的な向上を図ることのできる検査装置及びPTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.ポケット部の形成された帯状の容器フィルムに対し内容物を充填した後、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対しカバーフィルムを取着することでPTPフィルムとし、当該PTPフィルムをシート単位に打ち抜くことにより平面視略矩形状に製造されたPTPシートを検査する検査装置であって、
前記PTPシートの周縁部のうちの所定の一辺側から、当該PTPシートの容器フィルム側に対し平行光(略平行光を含む)を照射可能な照射手段と、
前記PTPシートのうち前記ポケット部の形成されていない平坦な容器フィルム一般部に対し直交する方向から、当該PTPシートの容器フィルム側を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記PTPシートの容器フィルム一般部に対する前記平行光の照射角度を、当該容器フィルム一般部にて反射した当該平行光の正反射光(反射光の正反射成分)が前記撮像手段に入射しない所定角度(0°を含む)に設定すると共に、
前記画像処理装置は、
一回の撮像による前記画像信号から得た画像データに基づき、前記PTPシートの前記所定の一辺に対する前記ポケット部の
付根部の位置を検出するポケット部検出手段と、
前記ポケット部の
付け根部の位置データを基に、前記PTPシートの打ち抜きの良否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0016】
上記手段1によれば、PTPシートの周縁部のうちの所定の一辺側から、当該PTPシートの容器フィルム側に対し平行光を照射し、PTPシートの真上から、当該PTPシートの容器フィルム側を撮像する。
【0017】
ここで、PTPシートの容器フィルム一般部など平坦な部位に照射された平行光の正反射光(正反射成分)が撮像手段に入射されないように設定されている。このため、撮像された画像データ上において、容器フィルム一般部などは比較的暗く映る。
【0018】
一方、容器フィルム一般部から立ち上がるように形成されたポケット部の付根部、すなわち容器フィルム一般部とポケット部との境界部では、容器フィルムが円弧状に湾曲し、略水平方向から略垂直方向まで連続的に傾斜角度が変化している。そのため、ポケット部の付根部の一部に照射された平行光の反射光は、正反射光として撮像手段に入射することとなる。これにより、撮像された画像データ上においては、ポケット部の付根部の一部が部分的に非常に明るく映る。
【0019】
これを基に、画像処理装置は、ポケット部の付根部の位置を特定することができ、ひいてはPTPシートの打ち抜きの良否を判定することができる。
【0020】
特に本手段では、照射光として平行光を用いることにより、拡散光等を用いた場合に比べ、明暗がよりはっきりするため、ポケット部の位置(ポケット部の付根部にて正反射している位置)をより検出しやすくなる。
【0021】
さらに、容器フィルムに反射した正反射光を利用してポケット部を検出するので、カバーフィルムに文字等が印刷されている場合でも、その影響を受けにくく、ポケット部の検出精度が低下するおそれを低減することができる。
【0022】
加えて、PTPシートの真上から撮像することにより、PTPシート全体を一回の撮像で検査することができ、検査効率の向上を図ることができる。また、斜め上方から撮像する場合等に比べて、撮像手段のレンズの画角等の影響も出にくい。
【0023】
結果として、PTPシートの打ち抜きの良否を検査するにあたり、検査精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0024】
手段2.前記照射手段は、所定の光を照射可能な光源と、当該光源から照射された光を入射して前記平行光のみを出射するプリズムフィルムとを備えていることを特徴と手段1に記載の検査装置。
【0025】
上記手段2によれば、比較的簡単な構成により、容易に平行光の照射を実現することができる。結果として、検査装置の簡素化を図ることができる。
【0026】
手段3.前記照射手段は、第1の偏光フィルタを有し、当該第1の偏光フィルタを通して前記PTPシートに対し前記平行光を照射可能に構成され、
前記撮像手段は、第2の偏光フィルタを有し、当該第2の偏光フィルタを通して前記PTPシートを撮像可能に構成され、
前記第1の偏光フィルタの偏光方向及び前記第2の偏光フィルタの偏光方向が相互に一致していることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0027】
上記手段3によれば、照射手段は第1の偏光フィルタを通して光を照射するとともに、撮像手段は第2の偏光フィルタを通してPTPシートを撮像する。ここで、第1の偏光フィルタの偏光方向と第2の偏光フィルタの偏光方向とが一致している。これにより、PTPシートにて反射した平行光の乱反射光(乱反射成分)の影響を抑え、正反射光(正反射成分)だけをより鮮明に撮像しやすくなる。結果として、より明確にポケット部の付根部の位置を検出することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0028】
手段4.前記PTPシートのカバーフィルム側から当該PTPシートに対し所定の光を照射可能な第2の照射手段を備えたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0029】
PTPシートの周縁部は、打ち抜き工程において打抜刃が押し当てられることにより、僅かながらPTPシートの周縁部の容器フィルム側に湾曲部が生じる等するため、ここに照射された上記平行光の正反射光が撮像手段へ入射され得る。このため、上記照射手段から平行光を照射するだけでもPTPシートの周縁部(所定の一辺)の検出は可能となる。しかしながら、その湾曲度合いは、ポケット部の付根部の湾曲度合いに比べ非常に小さいため、上記照射手段から平行光を照射しただけでは、PTPシートの周縁部の位置を正確に検出できないおそれがある。
【0030】
この点、上記手段4のように、上記第2の照射手段を備えることにより、PTPシートの周縁部の位置をより正確に検出することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0031】
手段5.前記照射手段は、前記平行光として、400nm以上500nm以下の範囲内にピーク波長をもつ青色光を照射可能な青色光源を有していることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【0032】
上記手段5によれば、上記青色光は、PVC(ポリ塩化ビニル)等の樹脂材料を透過しにくいため、照射手段の光源として上記青色光を照射可能な青色光源を用いることにより、例えば透明又は半透明のPVC等の樹脂材料により形成された容器フィルムのポケット部を撮像した場合でも、ポケット部の付根部からの正反射光をより鮮明に撮像することができる。結果として、ポケット部の付根部の位置をより正確に検出することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0033】
手段6.手段1乃至5のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0034】
上記手段6のように、上記検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【0035】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備える。また、PTP包装機は、上記判定手段によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず検査対象となるPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0038】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態では、容器フィルム3は、透明なPVCによって構成され、光透過性を有している。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
【0039】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長辺部1a方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短辺部1b方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0040】
PTPシート1〔
図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0041】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機8の概略について説明する。
【0042】
図3に示すように、PTP包装機8の最上流側には、ロール状に巻回された容器フィルム3の原反が配置され、ここから容器フィルム3が間欠的に搬送されていく。
【0043】
その下流側には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置12とポケット部形成装置13とが順に配設されている。これら加熱装置12及びポケット部形成装置13によって、ポケット部2が成形される。
【0044】
ポケット部形成装置13の下流側には、容器フィルム3のポケット部2に対し、錠剤5を充填する充填手段としての充填装置16が配設されている。
【0045】
さらに、その下流側には、錠剤検査装置17が配設されている。錠剤検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。
【0046】
容器フィルム3は、充填装置16にて錠剤5が充填され、錠剤検査装置17にて検査された後、フィルム受けロール18の方へと案内される。
【0047】
一方、ロール状に巻回されたカバーフィルム4の原反の引出し端は、前記フィルム受けロール18の方へと案内されている。フィルム受けロール18には、加熱ロール19が圧接可能となっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が貼着される。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造される。本実施形態では、フィルム受けロール18及び加熱ロール19によって取着手段が構成される。
【0048】
フィルム受けロール18の下流、すなわちPTPフィルム6の移送経路には、スリット成形装置22、刻印装置23及びシート打抜装置24が順に配設されている。スリット成形装置22は、PTPフィルム6の所定位置にスリット(図示略)を形成する機能を有する。刻印装置23はPTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印(図示略)を付す機能を有する。シート打抜装置24は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜くシート打抜手段としての機能を有する。
【0049】
シート打抜装置24の下流側には、シート打抜装置24からの端材25を貯留するためのスクラップ用ホッパ26が設けられている。
【0050】
また、シート打抜装置24の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア28が設けられている。打ち抜かれたPTPシート1は、前記コンベア28によって、ポケット部2を上にした状態で下流側の集積手段(図示略)の方へ移送されるようになっている。
【0051】
そして、前記集積手段では、例えば2枚1組のPTPシート1が互いにポケット部2同士を向き合うようにしてセットされた上で、複数組のPTPシート1が集積され積上げられる。その後、バンド(結束)工程や、製袋工程へと案内され、最終的には箱詰めされる。
【0052】
尚、容器フィルム3やPTPフィルム6は、
図3に示すように複数のローラを介して搬送されるようになっている。これらローラのうち、ポケット部2の膨出側に面するローラ18,31,32,33,34,35は、そのローラ表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、フィルム受けロール18等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、基本的にはポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2がフィルム受けロール18等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0053】
さて、シート打抜装置24により打抜かれたPTPシート1を移送するコンベア28上には、PTPシート1の打ち抜きの良否を検査するための打ち抜きズレ検査装置40が設けられている。打ち抜きズレ検査装置40が本実施形態における検査装置を構成する。
【0054】
尚、上記錠剤検査装置17や打ち抜きズレ検査装置40によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0055】
PTP包装機8の概略は以上のとおりであるが、以下においては、上記打ち抜きズレ検査装置40の構成について
図4〜
図6を参照してより詳しく説明する。
【0056】
図4に示すように、打ち抜きズレ検査装置40は、PTPシート1に対し所定の光を照射するための照明装置41と、当該光の照射されたPTPシート1を撮像するための撮像手段としてのカメラ42と、当該カメラ42によって撮像された画像データに基づいて各種画像処理を行う画像処理装置43と、出力手段としてのモニタ44と、入力手段としてのキーボード45とを備えている。
【0057】
照明装置41は、コンベア28により水平搬送されるPTPシート1の搬送方向Xに所定間隔をあけて設けられた一対の照明装置41A,41Bを備えている(
図5参照)。照明装置41A,41Bが本実施形態における照射手段を構成する。
【0058】
尚、PTPシート1は、その短辺部1bがほぼ搬送方向Xに沿うように、かつ、その長辺部1aがほぼ搬送方向Xと直交する方向に沿うようにコンベア28上に載置された状態で搬送されていく。
【0059】
これに対応するように、照明装置41A,41Bは、それぞれPTPシート1の搬送方向Xと直交する方向に平行するように配置されており(
図5参照)、PTPシート1の長辺部1a側の斜め上方から当該PTPシート1に対し光を照射するようになっている(
図6参照)。
【0060】
照明装置41A,41Bは、LED実装基板60を備えている(
図6参照)。LED実装基板60には、青色光を照射可能な青色光源としての青色LEDが多数配列されている(図示略)。尚、青色光の波長としては、400nm以上500nm以下であることが望ましく、本実施形態では430nmに設定されている。
【0061】
LED実装基板60には、プリズムフィルム61が並設されている。プリズムフィルム61は、LED実装基板60に面した入射面61aと、その反対側(PTPシート1側)に位置する出射面61bとを備えている。
【0062】
入射面61aは平坦に形成されている一方、出射面61bには、断面三角形状の突条部61cが所定方向に沿って複数並設されている。これにより、プリズムフィルム61は、入射面61aからLED実装基板60(青色LED)の光を入射し、出射面61bから平行光のみを出射することができる。結果として、PTPシート1に対し平行光のみが照射される。
【0063】
一方、カメラ42は、コンベア28の鉛直上方に配置されており、ここからコンベア28上のPTPシート1を撮像可能に構成されている。本実施形態では、カメラ42として、少なくとも青色光に感度のあるCCDカメラが採用されている。
【0064】
尚、本実施形態では、照明装置41A,41Bから照射される平行光の照射方向が水平方向に対し30°傾いている。すなわち、PTPシート1の容器フィルム一般部3aやポケット部2の天井部と、平行光の照射方向とがなす角度(照射角度)θが30°に設定されている。これは、容器フィルム一般部3a等にて反射した平行光の正反射光(反射光の正反射成分)がカメラ42に入射しないようにするためである。
【0065】
一方、ポケット部2の付根部2aなど、PTPシート1の所定部位に反射した前記平行光の正反射光はカメラ42に入射する。これにより、ポケット部2の付根部2aの一部などが部分的に非常に明るく映った輝度画像データが取得されることとなる。
【0066】
さらに、照明装置41A,41Bは、プリズムフィルム61の出射面61b側に、第1の偏光フィルタ62を備えており、当該第1の偏光フィルタ62を通してPTPシート1に対して所定の偏光成分の平行光のみを照射するように構成されている。
【0067】
一方、カメラ42は、第2の偏光フィルタ63を備え、当該第2の偏光フィルタ63を通してPTPシート1の撮像を行う。本実施形態では、第1の偏光フィルタ62の偏光方向と第2の偏光フィルタ63の偏光方向とが一致している。これにより、PTPシート1にて反射した平行光の乱反射光(乱反射成分)がカメラ42に入射されるのを抑制することができる。
【0068】
上記のようにカメラ42によって撮像された輝度画像データは、画像処理装置43に入力される。
【0069】
画像処理装置43は、A/D変換器47、シェーディング補正手段48、二値化手段49、第1画像メモリ50、第2画像メモリ53、判定用メモリ54、CPU及び入出力インターフェース55、検査結果及び統計データメモリ56、カメラタイミング制御手段57などから構成され、後述する各種画像処理や打ち抜きズレ検査等を実施可能となっている。
【0070】
A/D変換器47は、カメラ42で撮像した輝度画像データを、アナログ信号からデジタル信号に変換するものである。A/D変換された輝度画像データは、シェーディング補正テーブル58のデータに従ってシェーディング補正手段48によってシェーディング補正された後、第1画像メモリ50に記憶される。
【0071】
また、前記補正された輝度画像データは、予め設定された閾値δ1を基に、二値化手段49により二値化された後、第2画像メモリ53に順次記憶される。尚、閾値δ1は、ポケット部2の付根部2aなどに反射した上記平行光の正反射光だけを検出しやすくするため、比較的高い輝度値に設定されている。
【0072】
CPU及び入出力インターフェース55は、各種画像処理プログラム、その他のプログラムを、判定用メモリ54の記憶内容などを使用しつつ実行するとともに、PTP包装機8に制御信号を送出し又はPTP包装機8から動作信号などの各種信号を受信するためのものである。これによって、例えばPTP包装機8の不良シート排出機構などを制御することができるようになっている。また、CPU及び入出力インターフェース55は、モニタ44に表示データを送出する機能をも有する。かかる機能により、各種画像データや検査結果などをモニタ44に表示させることができる。
【0073】
検査結果及び統計データメモリ56は、各種画像データに関する座標等のデータ、検査結果データ、及び、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース55の制御に基づき、モニタ44に表示させることができる。また、これらの検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース55がPTP包装機8に制御信号を送出することもできる。キーボード45は、判定用メモリ54に記憶される良否判断の基準値等の設定を入力するためのものである。
【0074】
カメラタイミング制御手段57は、カメラ42が撮像する輝度画像データを、A/D変換器47に取り込むタイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機8に設けられた図示しないエンコーダからの信号又はセンサからの信号に基づいて制御され、PTPシート1を所定量送るごとに、カメラ42によるシート単位での撮像が行われる。
【0075】
次に、PTPシート1の打ち抜きズレ検査の手順について
図7のフローチャート等に従って説明する。
【0076】
まずステップS1において、検査対象となるPTPシート1に対し照明装置41A,41Bから平行光を照射して、当該平行光の照射されたPTPシート1をカメラ42により撮像する(撮像処理)。これにより、PTPシート1の輝度画像データが取得される。
【0077】
取得した輝度画像データは、上記のとおり、A/D変換器47によりデジタル信号に変換された後、シェーディング補正手段48によってシェーディング補正され、第1画像メモリ50に記憶される。
【0078】
この際、PTPシート1の長辺部1aやポケット部2の付根部2a、PTPシート1のポケット部2の天井部周縁、錠剤5の表面周縁部など、所定部位に反射した前記平行光の正反射光がカメラ42により撮像され、これらの部分が他の部位よりも非常に明るく映った輝度画像データが取得されることとなる〔
図8(a)の白抜き部分参照〕。
【0079】
輝度画像データが取得されると、ステップS2において、二値化手段49によって二値化画像データを形成し、該データを第2画像メモリ53に記憶させる(二値化処理)。より詳しくは、上記閾値δ1以上を1(明)、閾値δ1未満を0(暗)として、輝度画像データが二値化画像データに変換される〔
図8(b)参照〕。つまり、PTPシート1の長辺部1aやポケット部2の付根部2a、PTPシート1のポケット部2の天井部周縁、錠剤5の表面周縁部などが1(明)、PTPシート1の容器フィルム一般部3aやポケット部2の天井部などが0(暗)となった二値化画像データが取得される。
【0080】
次にステップS3において、第2画像メモリ53に記憶された二値化画像データに対して塊処理を実行する。塊処理としては、二値化画像データの0(暗)及び1(明)について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とがある。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はカメラ42の画素に応じたドット数で表される。ステップS2の二値化処理やステップS3の塊処理により、本実施形態におけるポケット部検出手段が構成される。
【0081】
次にステップS4において、上記二値化画像データを基に、PTPシート1の長辺部1aから所定のポケット部2までの距離Lx1,Lx2を算出する。本実施形態では、PTPシート1の長辺部1a方向に沿って配列された各ポケット列の両端部に位置する2つのポケット部2、計4つのポケット部2についてそれぞれ距離Lx1,Lx2を算出する。
【0082】
より詳しくは、PTPシート1の短辺部1b方向において、左右最外側に位置する連結成分をPTPシート1の長辺部1aの連結成分とみなすと共に、それより1つ内側に位置する連結成分をポケット部2の付根部2aの連結成分とみなし、当該両連結成分の距離Lx1,Lx2を算出する。
【0083】
ステップS5では、PTPシート1の長辺部1aからポケット部2の付根部2aまでの距離Lx1,Lx2が適正範囲内か否かを判定する。かかる機能が本実施形態における判定手段を構成する。
【0084】
ここで、距離Lx1,Lx2が適正範囲内にある場合には、ステップS6へ移行し、良品判定を行う。一方、距離Lx1,Lx2が適正範囲内にない場合はステップS7へ移行し、該ステップS7において不良判定を行う。
【0085】
尚、上記検査ルーチンは、1枚のPTPシート1上の上記4つのポケット部2すべてについて実行される。そして、当該4つのポケット部2に関し、PTPシート1の長辺部1aからの距離Lx1,Lx2が一つでも不良判定された場合には、当該PTPシート1は不良と判断され排出される。
【0086】
以上詳述したように、本実施形態によれば、PTPシート1の長辺部1a側の斜め上方から当該PTPシート1の容器フィルム3側に対し平行光を照射し、PTPシート1の真上から、当該PTPシート1の容器フィルム3側を撮像する。
【0087】
ここで、PTPシート1の容器フィルム一般部3aなど平坦な部位に照射された平行光の正反射光(正反射成分)がカメラ42に入射されないように設定されている。このため、撮像された画像データ上において、容器フィルム一般部3aなどは比較的暗く映る。
【0088】
一方、容器フィルム一般部3aから立ち上がるように形成されたポケット部2の付根部2a、すなわち容器フィルム一般部3aとポケット部2との境界部では、容器フィルム3が円弧状に湾曲し、略水平方向から略垂直方向まで連続的に傾斜角度が変化している。そのため、ポケット部2の付根部2aの一部に照射された平行光の反射光は、正反射光としてカメラ42に入射することとなる。これにより、撮像された画像データ上においては、ポケット部2の付根部2aの一部が部分的に非常に明るく映る。
【0089】
これを基に、画像処理装置43は、ポケット部2の付根部2aの位置を特定することができ、ひいてはPTPシート1の打ち抜きの良否を判定することができる。
【0090】
特に本実施形態では、照射光として平行光を用いることにより、拡散光等を用いた場合に比べ、明暗がよりはっきりするため、ポケット部2の位置(ポケット部2の付根部2aにて正反射している位置)をより検出しやすくなる。
【0091】
さらに、容器フィルム3に反射した正反射光を利用してポケット部2を検出するので、カバーフィルム4に文字等が印刷されている場合でも、その影響を受けにくく、ポケット部2の検出精度が低下するおそれを低減することができる。
【0092】
加えて、PTPシート1の真上から撮像することにより、PTPシート1全体を一回の撮像で検査することができ、検査効率の向上を図ることができる。また、斜め上方から撮像する場合等に比べて、カメラ42のレンズの画角等の影響も出にくい。
【0093】
結果として、PTPシート1の打ち抜きの良否を検査するにあたり、検査精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0094】
また、本実施形態では、照明装置41A,41Bは第1の偏光フィルタ62を通して光を照射するとともに、カメラ42は第2の偏光フィルタ63を通してPTPシート1を撮像する。ここで、第1の偏光フィルタ62の偏光方向と第2の偏光フィルタ63の偏光方向とが一致している。これにより、PTPシート1にて反射した平行光の乱反射光(乱反射成分)の影響を抑え、正反射光(正反射成分)だけをより鮮明に撮像しやすくなる。結果として、より明確にポケット部2の付根部2aの位置を検出することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0095】
さらに、本実施形態では、照明装置41A,41Bから青色光を照射する構成となっている。上記青色光は、PVCを透過しにくいため、ポケット部2の付根部2aからの正反射光をより鮮明に撮像することができる。結果として、ポケット部2の付根部2aの位置をより正確に検出することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0096】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0097】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等、内容物が錠剤5とは異なるものであってもよい。
【0098】
(b)上記実施形態のポケット部2は、平面視略円形状で、その天井部(頂部)が平坦な形状となっているが、ポケット部2の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ポケット部2が、平面視で略楕円形状、略長円形状、略菱形形状等のものであってもよく、ポケット部2の天井部が略半球状に形成された構成としてもよい。
【0099】
(c)上記実施形態では、容器フィルム3が透明なPVCによって構成され、カバーフィルム4がアルミニウムによって構成されている。各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0100】
例えば容器フィルム3がPP(ポリプロピレン)など他の熱可塑性樹脂材料により形成された構成としてもよいし、アルミニウム等の金属材料により形成された構成としてもよい。
【0101】
(d)上記実施形態では、PTPシート1の2つの長辺部1aに対応して、それぞれ照明装置41A,41Bを備え、PTPシート1に対し2方向から平行光を照射し、PTPシート1の短辺部1b方向への打ち抜きズレ検査を行う構成となっている。
【0102】
これに限らず、例えばPTPシート1の2つの長辺部1aのうちの一方のみに対応して照明装置を備え、PTPシート1に対し1方向から平行光を照射し、PTPシート1の短辺部1b方向への打ち抜きズレ検査を行う構成としてもよい。
【0103】
また、PTPシート1の2つの長辺部1a及び2つの短辺部1bに対応して、それぞれ照明装置を備え、PTPシート1に対し4方向から平行光を照射し、PTPシート1の長辺部1a方向及び短辺部1b方向への打ち抜きズレ検査を行う構成としてもよい。
【0104】
(e)上記実施形態では、照明装置41A,41Bから照射される平行光の照射角度θが30°に設定されているが、照射角度θはこれに限定されるものではなく、容器フィルム一般部3a等にて反射した平行光の正反射光がカメラ42に入射しない角度であれば、他の角度であってもよい。例えば、照射角度θが0°であってもよい。すなわち、PTPシート1の真横から平行光が照射される構成としてもよい。
【0105】
(f)上記実施形態では、PTPシート1の長辺部1aからポケット部2の付根部2aまでの距離Lx1,Lx2を算出し、これが適正範囲内にあるか否かによって、PTPシート1の打ち抜きの良否を検査する構成となっているが、検査方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、PTPシート1の長辺部1aと、ポケット部2の付根部2aとの位置関係を把握し、パターンマッチング等によりPTPシート1の打ち抜きの良否の検査する構成としてもよい。
【0106】
(g)上記実施形態では、PTPシート1の長辺部1aの位置検出を、ポケット部2の付根部2aの位置検出と同様に、照明装置41A,41Bから照射した平行光の正反射光を検出することにより行う構成となっているが、PTPシート1の長辺部1aの位置検出方法は、これに限定されるものではない。
【0107】
PTPシート1の周縁部は、打ち抜き工程において打抜刃が押し当てられることにより、僅かながらPTPシート1の周縁部の容器フィルム3側に湾曲部が生じる等するため、ここに照射された上記平行光の正反射光を検出するだけでもPTPシート1の長辺部1aの位置検出は可能であるが、その湾曲度合いは、ポケット部2の付根部2aの湾曲度合いに比べ非常に小さいため、上記平行光の正反射光を検出するだけでは、PTPシート1の長辺部1aの位置を正確に検出できないおそれがある。
【0108】
これに対し、例えばコンベア28のベルト部材を透光性部材により構成すると共に、コンベア28の下側からPTPシート1に対し所定の光を照射する第2の照射手段を備え、当該光をカメラ42により撮像することにより、PTPシート1の周縁部の位置検出を行う構成としてもよい。かかる構成により、より明確にPTPシート1の周縁部を検出することができる。
【0109】
(h)上記実施形態では、照明装置41A,41Bから青色光を照射する構成となっているが、照射光はこれに限定されるものではなく、少なくとも容器フィルム3に反射する光であれば、他の波長を有する光を照射光として採用してもよい。
【0110】
(i)上記実施形態では、プリズムフィルム61を介して平行光を照射する構成となっているが、これに限らず、プリズムフィルム61を省略し、平行光(略平行光)を照射可能な他の構成を採用してもよい。
【0111】
(j)上記実施形態では、照明装置41A,41Bが第1の偏光フィルタ62を通して光を照射するとともに、第1の偏光フィルタ62の偏光方向と偏光方向が一致している第2の偏光フィルタ63を通してカメラ42がPTPシート1を撮像する構成となっている。これに限らず、偏光フィルタ62,63を省略した構成としてもよい。
【0112】
(k)撮像手段としてのカメラ42の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではカメラ42としてCCDカメラを採用しているが、これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。
【0113】
(l)上記実施形態では特に言及していないが、PTPシート1をコンベア28により搬送しつつ、当該PTPシート1の撮像を行う構成としてもよいし、PTPシート1を一旦停止した状態で撮像する構成としてもよい。