(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の通信システムの実施の一形態を示す図である。
【0015】
本形態は
図1に示すように、モバイルルータであるMR100と、ホームゲートウェイであるHGW200と、端末300とから構成されている。
【0016】
MR100は、移動可能なモバイルルータである。
【0017】
図2は、
図1に示したMR100の内部構成の一例を示す図である。
【0018】
図1に示したMR100には
図2に示すように、インターネットインタフェース部101と、WLANインタフェース部102と、HGWインタフェース部103と、動作モード制御部104と、AP設定情報通知部105と、HGW動作状況受信部106と、HGW接続状態監視部107と、AP動作管理部108と、電源管理部109とが設けられている。
【0019】
インターネットインタフェース部101は、携帯電話回線やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)回線等により通信ネットワークであるインターネット500と接続される一般的なインターネットインタフェースである。インターネットインタフェース部101は、インターネット500との間でデータの送受信を行う。インターネットインタフェース部101は、電源管理部109と接続される。インターネットインタフェース部101は、電源管理部109からの設定により、動作の停止、再開をする。
【0020】
WLANインタフェース部102は、AP動作管理部108および電源管理部109と接続される。WLANインタフェース部102は、AP動作管理部108からの制御に基づいて、無線LANのアクセスポイント機能であるWLAN AP機能(AP動作)を提供する。WLANインタフェース部102は、端末300が主にインターネット500へアクセスするために端末300との間で無線接続を行うためのインタフェースとなる。WLANインタフェース部102は、電源管理部109からの設定により、動作の停止、再開をする。
【0021】
HGWインタフェース部103は、AP設定情報通知部105、HGW動作状況受信部106およびHGW接続状態監視部107と接続される。HGWインタフェース部103は、HGW200との間でデータ通信を行うインタフェースであり、USB(Universal Serial Bus)のような汎用的なインタフェースであっても良い。HGWインタフェース部103は、AP設定情報通知部105から要求があると、MR100が保有しているAP設定情報(アクセスポイント設定情報)をHGW200へ送信する。HGWインタフェース部103は、HGW200からHGW200におけるAP動作の動作状況を受信すると、当該動作状況をHGW動作状況受信部106へ渡す。HGWインタフェース部103は、HGW接続状態監視部107から要求があると、HGW200との接続状態を通知する。
【0022】
動作モード制御部104は、AP設定情報通知部105、HGW動作状況受信部106、HGW接続状態監視部107、AP動作管理部108および電源管理部109と接続される。動作モード制御部104は、HGW接続状態監視部107からHGW200との接続通知を受けると、AP動作管理部108へAP設定情報を問い合わせる。動作モード制御部104は、AP動作管理部108からAP設定情報を取得すると、当該AP設定情報をAP設定情報通知部105へ渡す。動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106からHGW200における無線LANのAP動作の開始通知を受けると、AP動作管理部108に対して無線LANのAP機能停止要求を行う。動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106からHGW200における無線LANのAP動作の開始通知を受けると、電源管理部109へスリープ要求をする。動作モード制御部104は、HGW接続状態監視部107からHGW200との切断の通知を受けると、AP動作管理部108へ無線LANのAP機能の再開要求を行う。動作モード制御部104は、HGW接続状態監視部107からHGW200の切断通知を受けると、電源管理部109へスリープ解除要求をする。
【0023】
HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103および動作モード制御部104と接続される。HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103を用いてHGW200の接続状態を監視し、MR100とHGW200との接続、またはHGW200のMR100からの切断を検出すると、その旨を動作モード制御部104へ通知をする。
【0024】
AP設定情報通知部105は、HGWインタフェース部103および動作モード制御部104と接続される設定情報通知部である。AP設定情報通知部105は、動作モード制御部104からAP設定情報を受け取ると、HGWインタフェース部103を介して当該AP設定情報をHGW200へ送信する。
【0025】
HGW動作状況受信部106は、HGWインタフェース部103および動作モード制御部104と接続される。HGW動作状況受信部106は、HGWインタフェース部103からAP動作状況を受信すると、当該AP動作状況を動作モード制御部104へ通知する。
【0026】
AP動作管理部108は、WLANインタフェース部102および動作モード制御部104と接続される第1のAP動作管理部である。AP動作管理部108は、動作モード制御部104からAP設定情報の問い合わせがあると、保有しているAP設定情報を動作モード制御部104へ渡す。このAP設定情報は、無線LANのアクセスポイントとして動作するために必要な情報であり、例えば、SSID(Service Set Identifier)、暗号化キー等からなる一般的な無線LANのアクセスポイントに関する設定情報である。また、このAP設定情報は、MR100と通信を行っている端末300との間でアクセスポイントとして動作するために必要な情報である。AP動作管理部108は、動作モード制御部104から無線LANのAP動作の停止または再開要求があると、AP機能を停止または再開する。
【0027】
電源管理部109は、インターネットインタフェース部101、WLANインタフェース部102および動作モード制御部104と接続される。電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ要求を受けると、インターネットインタフェース部101の電源をオフにする。電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ要求を受けると、WLANインタフェース部102の電源をオフにする。つまり、電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ要求を受けると、
図2に未記載のモジュールを含め、HGW200の接続状態監視に必要なHGWインタフェース部103、動作モード制御部104およびHGW接続状態監視部107以外のモジュール(構成要素)の電源をオフにする(スリープ状態設定)。電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ解除要求を受けると、インターネットインタフェース部101の電源をオンにする。電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ解除要求を受けると、WLANインタフェース部102の電源をオンにする。つまり、電源管理部109は、動作モード制御部104からスリープ解除要求を受けると、
図2に未記載のモジュールを含め、通常動作に必要なモジュールの電源をオンにする(スリープ状態解除)。
【0028】
HGW200は、ホームゲートウェイである。また、HGW200は、通信圏400をその通信範囲としている。また、HGW200は、外部の通信ネットワークであるインターネット500と接続されている。
【0029】
図3は、
図1に示したHGW200の内部構成の一例を示す図である。
【0030】
図1に示したHGW200には
図3に示すように、インターネットインタフェース部201と、WLANインタフェース部202と、MRインタフェース部203と、動作モード制御部204と、AP設定情報受信部205と、HGW動作状況通知部206と、MR接続状態監視部207と、AP動作管理部208とが設けられている。
【0031】
インターネットインタフェース部201は、光回線や電話回線、CATV(Community Antenna Television)回線等を用いてインターネット500と接続されるHGWの一般的なインターネットインタフェースである。インターネットインタフェース部201は、インターネット500との間でデータの送受信を行う。
【0032】
WLANインタフェース部202は、AP動作管理部208と接続される。WLANインタフェース部202は、AP動作管理部208からの制御に基づいて、無線LANのアクセスポイント機能であるWLAN AP機能(AP動作)を提供する。WLANインタフェース部202は、端末300が主にインターネット500へアクセスするために端末300との間で無線接続を行うためのインタフェースとなる。
【0033】
MRインタフェース部203は、AP設定情報受信部205、HGW動作状況通知部206およびMR接続状態監視部207と接続される。MRインタフェース部203は、MR100との間でデータ通信を行うインタフェースであり、USBのような汎用的なインタフェースであっても良い。MRインタフェース部203は、MR100からAP設定情報を受信すると、当該AP設定情報をAP設定情報受信部205へ渡す。このAP設定情報は、HGW200がMR100が具備する無線LANのアクセスポイント機能と同等の動作をするために必要な情報であり、上述したように、SSID、暗号化キー等からなる一般的な無線LANのアクセスポイントに関する設定情報である。MRインタフェース部203は、HGW動作状況通知部206から要求があると、HGW200における動作状況をMR100へ送信する。MRインタフェース部203は、MR接続状態監視部207から要求があると、HGW200との接続状態をMR接続状態監視部207へ通知する。MRインタフェース部203は、HGW200との接続状態を、USBや汎用的なインタフェースが備えるリンク検出機能を用いて検出する。HGW200とMR100との接続は、接続状態の確認およびデータ通信ができれば良いため、ethernet(登録商標)やクレードル等のUSB以外の接続方法を用いても良い。
【0034】
動作モード制御部204は、AP設定情報受信部205、HGW動作状況通知部206、MR接続状態監視部207およびAP動作管理部208と接続される。動作モード制御部204は、AP設定情報受信部205からAP設定情報を受け取ると、当該AP設定情報をAP動作管理部208へ渡す。動作モード制御部204は、AP動作管理部208からAP動作の開始通知を受けると、HGW動作状況通知部206へその旨を通知する。動作モード制御部204は、MR接続状態監視部207からMR100の切断通知を受けると、AP動作管理部208に対してAP動作の停止を要求する。
【0035】
AP設定情報受信部205は、MRインタフェース部203および動作モード制御部204と接続される。AP設定情報受信部205は、MRインタフェース部203からAP設定情報を受信すると、当該AP設定情報を動作モード制御部204へ渡す。
【0036】
HGW動作状況通知部206は、MRインタフェース部203および動作モード制御部204と接続される動作状況通知部である。HGW動作状況通知部206は、動作モード制御部204からAP動作の開始通知を受けると、MRインタフェース部203を介してMR100へ開始通知を行う。
【0037】
MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203および動作モード制御部204と接続される。MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203におけるHGW200との接続状態を監視し、切断を検出すると動作モード制御部204へその旨を通知する。
【0038】
AP動作管理部208は、WLANインタフェース部202および動作モード制御部204と接続される第2のAP動作管理部である。AP動作管理部208は、動作モード制御部204からAP設定情報を受信すると、当該AP設定情報に従ってWLANインタフェース部202を用いて無線LANのアクセスポイント機能であるWLAN AP機能を提供する。AP動作管理部208は、動作モード制御部204からAP動作の停止要求を受けると、AP動作を停止する。
【0039】
端末300は、無線LAN通信機能を具備した、移動可能な無線LAN通信端末である。
【0040】
以下に、
図1に示した通信システムにおける通信方法について説明する。まずは、
図1に示したMR100における処理について説明する。ここでは、MR100が、HGW200と接続し、スリープ状態となり、その後、HGW200との接続が切断され、スリープ状態が解除されるまでの処理について説明する。
【0041】
図4は、
図1に示した通信システムにおける通信方法のうち、
図1に示したMR100における処理を説明するためのフローチャートである。
【0042】
まず、初期状態において、MR100はインターネット接続環境を擁する通常のモバイルルータの動作を行っている。また、HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200とが接続されたかどうかを監視する(ステップS1)。利用者の操作で、MR100がHGW200にUSBケーブル等を用いて接続されると、HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200とが接続されたことを検出する。HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200とが接続されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部104へ通知する。すると、動作モード制御部104は、AP動作管理部108からAP設定情報を取得し、取得したAP設定情報をAP設定情報通知部105へ渡す。
【0043】
続いて、AP設定情報通知部105は、HGWインタフェース部103を介して、AP設定情報をHGW200へ送信する(ステップS2)。送信されたAP設定情報をHGW200が受信すると、HGW200は、後に
図5を用いて説明する処理を行う。
【0044】
その後、動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106がHGW200からHGWインタフェース部103を介してAP動作開始通知を受信したかどうかを判定する(ステップS3)。動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106がAP動作開始通知を受信した通知を、HGW動作状況受信部106から受け取ると、AP動作管理部108に無線LANのアクセスポイントのAP動作の停止を要求する。AP動作管理部108は、AP動作の停止要求を受けると、WLANインタフェース部102を用いて提供していた無線LANのアクセスポイントのAP動作を停止する(ステップS4)。
【0045】
また、動作モード制御部104は、電源管理部109へスリープ要求(スリープ状態への設定)を行う。電源管理部109は、スリープ要求を受けると、インターネットインタフェース部101およびWLANインタフェース部102の電源をオフにする。また、電源管理部109は、
図2に未記載のモジュールを含め、HGW200との接続状態監視に必要なHGWインタフェース部103、動作モード制御部104およびHGW接続状態監視部107以外のモジュールの電源をオフにする。これにより、MR100はスリープ状態となる(ステップS5)。
【0046】
このとき、MR100のスリープ状態設定に合わせて、バッテリの充電(バッテリへの電源供給)をすることもできる。電源供給については、接続形態に応じ、HGW200からのUSBバスパワーによる供給や、PoE(Power Over Ethernet(登録商標))による供給や、クレードルによる供給等、一般的に知られた方法を用いれば良い。MR100は、スリープ状態で充電をすることができるため、バッテリに負荷をかけないバッテリ寿命に優しい充電をすることができる。以上により、HGW200が、MR100のAP設定情報でAP動作をし、且つ、MR100はスリープするという、MR代替動作状態となる。
【0047】
その後、HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200との接続が切断されたかどうかを監視する(ステップS6)。利用者の操作で、MR100がHGW200から外されると、HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200との接続が切断されたことを検出する。HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW200とが切断されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部104へ通知する。動作モード制御部104は、切断通知を受けると、電源管理部109へスリープ状態の解除要求を行う。電源管理部109は、スリープ状態の解除要求を受けると、インターネットインタフェース部101およびWLANインタフェース部102の電源をオンにする。また、電源管理部109は、
図2に未記載のモジュールを含め、通常動作に必要な各モジュールの電源をオンにする。つまり、電源管理部109は、ステップS5にてオフとされたモジュールの電源をオンにする。これにより、MR100のスリープ状態は解除される(ステップS7)。
【0048】
続いて、動作モード制御部104は、AP動作管理部108に対してAP動作の再開要求を行う。AP動作管理部108は、WLANインタフェース部102を用いたAP機能の提供(AP動作)を再開する(ステップS8)。
【0049】
その後、MR100は、再び通常動作に戻り、ステップS1にて、HGW接続状態監視部107により、HGW200との接続を監視する状態となる。
【0050】
次に、
図1に示したHGW200における処理について説明する。ここでは、HGW200が、MR100と接続され、MR100が行うAP動作の代替動作を行い、その後、MR100との接続が切断され、通常動作に戻るまでの処理について説明する。
【0051】
図5は、
図1に示した通信システムにおける通信方法のうち、
図1に示したHGW200における処理を説明するためのフローチャートである。
【0052】
まず、初期状態において、HGW200はインターネット接続環境を擁する通常のホームゲートウェイの動作を行っている。また、MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100とが接続されたかどうかを監視する(ステップS11)。利用者の操作で、HGW200がMR100にUSBケーブル等を用いて接続されると、MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100とが接続されたことを検出する。MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100とが接続されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部204へ通知する。すると、動作モード制御部204は、AP設定情報受信部205がMR100からMRインタフェース部203を介してAP設定情報を受信したかどうかを判定する(ステップS12)。このAP設定情報は、上述したステップS2にてMR100から送信されるものである。
【0053】
AP設定情報受信部205は、MRインタフェース部203を介してMR100からAP設定情報を受信すると、当該AP設定情報を動作モード制御部204へ渡す。すると、動作モード制御部204は、当該AP設定情報をAP動作管理部208へ渡す。AP動作管理部208は、WLANインタフェース部202を用いて、当該AP設定情報の設定でAP動作を開始する(ステップS13)。これにより、HGW200が、MR100が保有していたAP設定情報を用いてAP機能を提供する状態となる。
【0054】
続いて、動作モード制御部204は、AP動作を開始した旨をHGW動作状況通知部206へ通知する。すると、HGW動作状況通知部206は、MRインタフェース部203を介してMR100へ、AP動作を開始した旨を示すAP動作開始通知を送信する(ステップS14)。
【0055】
その後、MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100との接続が切断されたかどうかを監視する(ステップS15)。利用者の操作で、HGW200がMR100から外されると、MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100との接続が切断されたことを検出する。MR接続状態監視部207は、MRインタフェース部203とMR100とが切断されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部204へ通知する。動作モード制御部204は、切断通知を受けると、その旨をAP動作管理部208へ通知する。AP動作管理部208は、MR100の切断通知を受けると、WLANインタフェース部202を用いて提供していたAP動作を停止する(ステップS16)。
【0056】
その後、HGW200は、再び通常動作に戻り、ステップS11にて、MR接続状態監視部207により、MR100との接続を監視する状態となる。
【0057】
一般的にモバイルルータは、自宅では用途があまり無く、使用していないにもかかわらずバッテリを消費してしまう。また、モバイルルータをスリープさせると、モバイルルータと接続していた無線LANの通信端末がインターネットにアクセスできなくなってしまう。また、無線LAN端末の接続先を切り替えるためには、追加の設定や設定変更が必要になってしまう。また、ホームゲートウェイとモバイルルータとのような互いに異なる機器の連係動作をさせる場合、事前に設定が必要になってしまう。
【0058】
本発明においては、上述したように、これらの課題を解決し、以下に記載するような効果を奏する。
【0059】
第1の効果は、モバイルルータがホームゲートウェイの圏内であることを検知し、自動でスリープ状態となることで、モバイルルータのバッテリ消費を抑えることができることである。
【0060】
また、第2の効果は、無線LAN端末がホームゲートウェイのインターネット回線を使用することにより、モバイルルータがスリープ中の状態であっても、インターネットへのアクセスができることである。
【0061】
また、第3の効果は、無線LAN端末がホームゲートウェイのインターネット回線を使用することにより、高速なインターネット通信をできることである。
【0062】
また、第4の効果は、無線LAN端末がホームゲートウェイのインターネット回線を使用することにより、この使用よりも使用料金が一般的に割高なモバイルルータのインターネット回線の使用を抑止することである。
【0063】
また、第5の効果は、ホームゲートウェイがモバイルルータのAP設定情報を用いてAP動作を行うことで、無線LAN端末に追加の設定や設定変更をすることなく、無線LAN端末の接続先を切り替えることができることである。
【0064】
また、第6の効果は、接続の都度、モバイルルータのAP設定情報を取得することで、事前設定を不要とすることができることである。
【0065】
また、第7の効果は、接続の都度、モバイルルータのAP設定情報を取得することで、特定のモバイルルータに括りつけられることなく利用することができることである。
【0066】
図6は、本発明の通信システムの実施の他の形態を示す図である。
【0067】
本形態は
図6に示すように、モバイルルータであるMR110と、ホームゲートウェイであるHGW210と、端末300とから構成されている。
【0068】
図7は、
図6に示したMR110の内部構成の一例を示す図である。
【0069】
図6に示したMR110では
図7に示すように、
図2に示した構成に仮AP接続管理部111とAP接続管理部112とが追加されている。
【0070】
仮AP接続管理部111は、仮APとして動作しているHGW210と接続し、MR代替動作に必要な情報(AP設定情報)をHGW210へ送信するために使用される。ここで、仮APとは、MR代替動作に必要なMR110との接続の検出および情報の送受信を行うだけの、設定専用APとして動作を行うアクセスポイントである。
【0071】
AP接続管理部112は、仮APが動作を終了した後のMR代替動作中に、MR110が、AP動作をしているHGW210と接続することにより、HGW210およびMR110の接続状態を確認するために使用される。
【0072】
図8は、
図6に示したHGW210の内部構成の一例を示す図である。
【0073】
図6に示したHGW210では
図8に示すように、
図3に示した構成から、MRインタフェース部203が削除され、仮AP動作管理部211が追加されている。
【0074】
HGW210のWLANインタフェース部202は、
図3に示したMRインタフェース部203の機能も兼ねる。
【0075】
仮AP動作管理部211は、MR110の接続検出のための仮APとして動作をする。
【0076】
以下に、
図6に示した通信システムにおける通信方法について説明する。まずは、
図6に示したMR110における処理について説明する。ここでは、MR110が、HGW210と接続し、スリープ状態となり、その後、HGW210との接続が切断され、スリープ状態が解除されるまでの処理について説明する。
【0077】
図9は、
図6に示した通信システムにおける通信方法のうち、
図6に示したMR110における処理を説明するためのフローチャートである。
【0078】
まず、初期状態において、MR110はインターネット接続環境を擁する通常のモバイルルータの動作を行っている。また、仮AP接続管理部111は、無線LANの仮APとして動作しているHGW210(HGW−WLAN仮AP)の検出を行う(ステップS21)。利用者がMR110をHGW210の通信圏400内に移動させることで、仮AP接続管理部111は、仮APを検出する。
【0079】
仮AP接続管理部111は、仮APを検出すると、仮APとして動作しているHGW210と接続をする(ステップS22)。仮APとして動作しているHGW210は、設定専用のAPであるため、HGW毎に異なる接続に必要な設定情報を持つ必要は無く、事前にMR110と接続設定しておくことができる。一方で、HGW、MR毎に固有の設定をすることにより、任意の組み合わせでのみMR代替動作をさせることもできる。
【0080】
続いて、動作モード制御部104は、AP動作管理部108からAP設定情報を取得する。動作モード制御部104は、当該AP設定情報をAP設定情報通知部105に渡す。すると、AP設定情報通知部105は、仮AP接続管理部111およびHGWインタフェース部103を介して、当該AP設定情報をHGW210へ送信する(ステップS23)。送信されたAP設定情報をHGW210が受信すると、HGW210は、後に
図10を用いて説明する処理を行う。
【0081】
その後、動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106がHGW210からHGWインタフェース部103および仮AP接続管理部111を介してAP設定情報受信完了通知を受信したかどうかを判定する(ステップS24)。
【0082】
MR110の動作モード制御部104は、HGW動作状況受信部106を介して、AP設定情報受信完了通知を受けると、AP動作管理部108と仮AP接続管理部111へその旨を通知する。すると、AP動作管理部108は、AP動作を停止する(ステップS25)。また、仮AP接続管理部111は、仮APとの接続を切断する(ステップS26)。
【0083】
続いて、AP接続管理部112は、APとして動作するHGW210と接続をする(ステップS27)。ここで、APとして動作するHGW210との接続に必要な設定情報は、MR110自身が保有するAP設定情報と同一であるため、自明である。動作モード制御部104は、AP接続管理部112を介して、HGW210との接続状態を知ることができる。
【0084】
また、動作モード制御部104は、電源管理部109へスリープ要求をする。電源管理部109は、スリープ要求を受けると、インターネットインタフェース部101およびWLANインタフェース部102の電源をオフにする。また、電源管理部109は、
図7に未記載のモジュールを含め、HGW210の接続状態監視に必要なHGWインタフェース部103、AP接続管理部112、HGW接続状態監視部107および動作モード制御部104以外のモジュールの電源をオフにする。これにより、MR110はスリープ状態となる(ステップS28)。
【0085】
以上により、HGW210がMR110のAP設定情報を用いてAP動作を行い、且つ、MR110はスリープする、MR代替動作状態となる。
【0086】
その後、HGW接続状態監視部107は、AP接続管理部112を介して、HGWインタフェース部103とHGW210との接続が切断されたかどうかを監視する(ステップS29)。HGW接続状態監視部107は、HGWインタフェース部103とHGW210とが切断されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部104へ通知する。動作モード制御部104は、切断通知を受けると、電源管理部109へスリープ状態の解除要求を行う。電源管理部109は、スリープ状態の解除要求を受けると、インターネットインタフェース部101およびWLANインタフェース部102の電源をオンにする。また、電源管理部109は、
図7に未記載のモジュールを含め、通常動作に必要な各モジュールの電源をオンにする。つまり、電源管理部109は、ステップS28にてオフとされたモジュールの電源をオンにする。これにより、MR110のスリープ状態は解除される(ステップS30)。
【0087】
続いて、動作モード制御部104は、AP動作管理部108に対してAP動作の再開要求を行う。AP動作管理部108は、WLANインタフェース部102を用いたAP機能の提供(AP動作)を再開する(ステップS31)。
【0088】
その後、MR110は、再び通常動作に戻り、ステップS21にて、仮AP接続管理部111により、仮APとして動作しているHGW210との接続を監視する状態となる。
【0089】
次に、
図6に示したHGW210における処理について説明する。ここでは、HGW210がMR110と接続され、MR110が行うAP動作の代替動作(MR代替動作)を行い、その後、MR110との接続が切断され、通常動作に戻るまでの処理について説明する。
【0090】
図10は、
図6に示した通信システムにおける通信方法のうち、
図6に示したHGW210における処理を説明するためのフローチャートである。
【0091】
まず、初期状態において、HGW210はインターネット接続環境を擁する通常のホームゲートウェイの動作を行っている。また、仮AP動作管理部211は、無線LANを用いてMR110と接続するためのHGW−WLAN仮AP動作(仮AP動作)を開始する(ステップS41)。そして、MR接続状態監視部207は、仮AP動作管理部211を介して、MR110が接続されたかどうかを監視する(ステップS42)。MR接続状態監視部207は、仮AP動作管理部211により、MR110と接続されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部204へ通知する。すると、動作モード制御部204は、AP設定情報受信部205がMR110から仮AP動作管理部211を介してAP設定情報を受信したかどうかを判定する(ステップS43)。このAP設定情報は、上述したステップS23にてMR110から送信されるものである。
【0092】
AP設定情報受信部205は、仮AP動作管理部211を介してMR110からAP設定情報を受信すると、当該AP設定情報を動作モード制御部204へ渡す。すると、動作モード制御部204は、HGW動作状況通知部206および仮AP動作管理部211を介して、MR−WLAN AP設定情報受信完了通知(AP設定情報受信完了通知)をMR110へ送信する(ステップS44)。そして、仮AP動作管理部211は、仮AP動作を停止する(ステップS45)。
【0093】
また、動作モード制御部204は、当該AP設定情報をAP動作管理部208へ渡す。AP動作管理部208は、WLANインタフェース部202を用いて、当該AP設定情報の設定でAP動作を開始する(ステップS46)。これにより、HGW210が、MR110が保有していたAP設定情報を用いてAP機能を提供する状態となる。
【0094】
その後、動作モード制御部204は、MR接続状態監視部207からMR110との接続通知を待つ(ステップS47)。MR接続状態監視部207は、AP動作管理部208を介してMR110との接続状態を知ることができる。HGW−WLAN AP(無線LANのAPとなっているHGW)は、通常の通信を行う無線LAN端末も接続されるが、例えば、MAC Addressのような無線LAN端末を識別できる一般的な技術を使うことにより、MR110であることの判別は容易にできる。
【0095】
動作モード制御部204がMR接続状態監視部207から接続通知を受けた後、MR接続状態監視部207は、AP動作管理部208を介して、MR110との接続が切断されたかどうかを監視する(ステップS48)。利用者がMR110をHGW210の通信圏400外に移動させ、HGW−WLAN APとの接続が切断されることによって、MR接続状態監視部207は、HGW210とMR110との接続が切断されたことを検出する。MR接続状態監視部207は、AP動作管理部208を介して、MR110との接続が切断されたことを検出すると、その旨を動作モード制御部204へ通知する。動作モード制御部204は、切断通知を受けると、その旨をAP動作管理部208へ通知する。AP動作管理部208は、MR110の切断通知を受けると、WLANインタフェース部202を用いて提供していたHGW−WLAN AP機能(AP動作)を停止する(ステップS49)。
【0096】
その後、HGW210は、再び通常動作に戻り、ステップS41にて、無線LANを用いてMR110と接続するためのHGW−WLAN仮AP動作(仮AP動作)を開始させた上で、ステップS42にて、MR接続状態監視部207により、MR110との接続を監視する状態となる。
【0097】
このように、本実施例では、設定用のWLAN仮APを使用することによって、HGW210とMR110とを有線接続することなくMR代替動作をさせることができるという効果が得られる。
【0098】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)ホームゲートウェイとモバイルルータと無線LAN通信端末とを有する通信システムにおいて、
前記モバイルルータは、
当該モバイルルータが前記無線LAN通信端末に対してアクセスポイントとして動作している場合、前記アクセスポイントとして動作するために必要なアクセスポイント設定情報を前記ホームゲートウェイへ通知する設定情報通知部と、
前記ホームゲートウェイから前記アクセスポイントとして動作を開始した旨を示す動作開始通知を受けると、前記アクセスポイントとしての動作を停止する第1のAP動作管理部と、
前記ホームゲートウェイから前記動作開始通知を受けると、当該モバイルルータの電源をスリープ状態にする電源管理部とを有し、
前記ホームゲートウェイは、
前記設定情報通知部から、前記アクセスポイント設定情報が通知されると、該アクセスポイント設定情報を用いて、前記モバイルルータの代替となる前記アクセスポイントとして動作を開始する第2のAP動作管理部と、
前記第2のAP動作管理部が、前記アクセスポイントとして動作を開始すると、前記動作開始通知を前記モバイルルータへ通知する動作状況通知部とを有することを特徴とする通信システム。
(付記2)前記モバイルルータは、当該モバイルルータと前記ホームゲートウェイとの間の接続状態を監視するHGW接続状態監視部を有し、
前記設定情報通知部は、前記HGW接続状態監視部が、当該モバイルルータと前記ホームゲートウェイとが接続されたことを検出した場合、前記アクセスポイント設定情報を前記ホームゲートウェイへ通知することを特徴とする、付記1に記載の通信システム。
(付記3)前記モバイルルータは、前記ホームゲートウェイと接続するHGWインタフェース部を有し、
前記HGW接続状態監視部は、前記HGWインタフェース部と前記ホームゲートウェイとの接続状態を監視することを特徴とする、付記2に記載の通信システム。
(付記4)前記ホームゲートウェイは、当該ホームゲートウェイと前記モバイルルータとの間の接続状態を監視するMR接続状態監視部を有し、
前記第2のAP動作管理部は、アクセスポイントとして動作している場合に、前記MR接続状態監視部が、当該ホームゲートウェイと前記モバイルルータとの接続が切断されたことを検出した場合、アクセスポイントとしての動作を停止し、
前記電源管理部は、前記電源がスリープ状態である場合に、前記HGW接続状態監視部が、当該モバイルルータと前記ホームゲートウェイとの接続が切断されたことを検出した場合、前記スリープ状態を解除し、
前記第1のAP動作管理部は、前記電源がスリープ状態である場合に、前記HGW接続状態監視部が、当該モバイルルータと前記ホームゲートウェイとの接続が切断されたことを検出した場合、アクセスポイントとしての動作を再開することを特徴とする、付記2または付記3に記載の通信システム。
(付記5)前記ホームゲートウェイは、前記モバイルルータと接続するMRインタフェース部を有し、
前記MR接続状態監視部は、前記MRインタフェース部と前記モバイルルータとの接続状態を監視することを特徴とする、付記4に記載の通信システム。
(付記6)前記設定情報通知部は、当該モバイルルータと通信を行っている通信端末との間でアクセスポイントとして動作するために必要なアクセスポイント設定情報を前記ホームゲートウェイへ通知することを特徴とする、付記1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記7)ホームゲートウェイであって、
モバイルルータから、無線LAN通信端末に対してアクセスポイントとして動作するために必要なアクセスポイント設定情報が通知されると、該アクセスポイント設定情報を用いて、前記モバイルルータの代替となる前記アクセスポイントとして動作を開始するAP動作管理部と、
前記AP動作管理部が、前記アクセスポイントとして動作を開始すると、前記アクセスポイントとして動作を開始した旨を示す動作開始通知を前記モバイルルータへ通知する動作状況通知部とを有するホームゲートウェイ。
(付記8)モバイルルータであって、
当該モバイルルータが無線LAN通信端末に対してアクセスポイントとして動作している場合、前記アクセスポイントとして動作するために必要なアクセスポイント設定情報をホームゲートウェイへ通知する設定情報通知部と、
前記ホームゲートウェイから前記アクセスポイントとして動作を開始した旨を示す動作開始通知を受けると、前記アクセスポイントとしての動作を停止するAP動作管理部と、
前記ホームゲートウェイから前記動作開始通知を受けると、当該モバイルルータの電源をスリープ状態にする電源管理部とを有するモバイルルータ。
(付記9)ホームゲートウェイとモバイルルータと無線LAN通信端末とを有する通信システムにおける通信方法であって、
前記モバイルルータが、当該モバイルルータが前記無線LAN通信端末に対してアクセスポイントとして動作している場合、前記アクセスポイントとして動作するために必要なアクセスポイント設定情報を前記ホームゲートウェイへ通知する処理と、
前記ホームゲートウェイが、前記モバイルルータから、前記アクセスポイント設定情報が通知されると、該アクセスポイント設定情報を用いて、前記モバイルルータの代替となる前記アクセスポイントとして動作を開始する処理と、
前記ホームゲートウェイが、前記アクセスポイントとして動作を開始すると、前記アクセスポイントとして動作を開始した旨を示す動作開始通知を前記モバイルルータへ通知する処理と、
前記モバイルルータが、前記ホームゲートウェイから前記動作開始通知を受けると、前記アクセスポイントとしての動作を停止する処理と、
前記モバイルルータが、前記ホームゲートウェイから前記動作開始通知を受けると、当該モバイルルータの電源をスリープ状態にする処理とを行う通信方法。