(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端部に針収納体が結合された縫合糸であって、前記針収納体は両端部を貫く中空部を備えたチューブ形状を有する若しくは両端部を貫く中空部を備えたチューブ形状を呈し、前記中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加しており、前記針収納体の壁面には穴が存在しない又は一つ以上存在し、前記中空部を通して縫合針が挿入されており、
前記針収納体が前記縫合糸の両端部に結合されており、
前記縫合糸が棘を備えていることを特徴とする、針収納体が結合された縫合糸。
【背景技術】
【0002】
損傷した筋肉、血管、神経、組織、傷や手術切開部の縫合、二重まぶた手術、しわ整形などの各種外科的な施術で実施される縫合過程において、時間を要し、手術者を煩わせつつも、手術の成功いかんに大きな影響を及ぼす重要な作業が、施術部位を縫い合わせた縫合糸がほどけないように結び目を付ける過程である。縫合過程において、結び目は、一般に縫合がほどけないように、縫合の開始の部位と縫合の最後の部位に付けられ、必要な場合には縫合の中間部位にも結び目が付けられる。
【0003】
施術時間を最大限短縮して施術を迅速に仕上げることが非常に重要であるため、縫合及び結び目付け技術は、安全で効率的な手術のために必須である。しかしながら、例えば、腹腔鏡、内視鏡、又は関節鏡などを使用した手術において、身体内の切開部位を縫合するために、器具を使用して遠隔で結び目を迅速に付けることは簡単ではない。
【0004】
従来、縫合作業時に縫合糸の結び目を付けるために、手術者は、縫合糸を取って固定したり、あるいは巻く作業を行うための2個の器具を使用したが、このような2個の器具を動かすためには広い空間が必要であるため、腹腔などの狭い空間内で手術縫合時間をできる限り短縮するためには、手術者は相当な熟練を要する。従って、狭い空間で容易で迅速に且つ堅く縫合糸の結び目を形成するための方法及び器具、例えば、自由度が大きい器具(Cambridge endo、Real hand、Radius surgical systemなど)やロボットのような様々な縫合器具が開発されてきた。
【0005】
特許文献1は、内部に長手方向に中空部を持つように織られた縫合糸の両端部に縫合針が結合された手術用縫合糸を開示しており、特許文献2は、生体組織の損傷を防止するための結紮や縫合を実施する手術用ロボットを開示している。しかしながら、腹腔鏡手術において、縫合及び結び目付けを容易にできるダヴィンチロボット(davinci robot)システムのような手術用ロボットは、非常に高価で、広い設置空間を要するなど、広く使用され難い問題点を有しており、より安価な値段で簡単に使用することができる縫合方法の開発、及びこのような方法を実施するための新たな縫合糸及び針の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、外科的な手術において、狭い空間で迅速に且つ容易に縫合を行うことができる方法、及びそのための器具(縫合糸支持体、針収納体、縫合糸支持体及び/又は針収納体を備えた縫合糸)、及び前記器具を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、縫合時に付ける必要がある結び目の一部又は全部を付けなくとも、縫合を行うことができるように開発された縫合糸及びその製造方法、そのために必要な縫合糸支持体、針収納体、及びそれを利用した縫合方法を提供する。
【0009】
より具体的には、本発明の一実施形態は、縫合作業を行う時に、縫合糸の末端部を肌や組織に入り込ませない支持体、及び該支持体が縫合糸の端部に結合された縫合糸を提供する。支持体が一方の端部に結合された縫合糸の他方の端部は、縫合針により縫合部位の肌又は組織を通過して縫合作業が進められる。縫合糸を使用して縫合を行う場合、支持体は結び目としての役割を行い、支持体が結合された縫合糸の端部が、縫合を開始する部位に固定されるので、縫合がほどける心配がなく、縫合過程で別途の結び目を付ける必要がない。また、縫合糸に結び目のみを付ける場合よりも、縫合糸の端部を更に丈夫に肌や組織などに固定させることができる。
【0010】
また、本発明の他の実施形態として、両端部を貫通する中空部を備えたチューブ形状を有する針収納体、及びそれを備えた縫合糸を提供する。針収納体は、中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加する、先端が切り取られた円錐又は角錐の形状を有してもよいし、あるいは中空部の直径が一定である円柱又は角柱の形状を有してもよい。針収納体は、堅い、必要な場合には柔軟な(flexible)材料で製作することができる。針収納体には縫合針が挿入され、針収納体に装着される縫合針は、針本体の一部分が針収納体の中空部に適合する形状を有する。また、縫合針は、針本体の一部分が針収納体の底端部の直径よりも大きな直径を有する形状を有することができる。縫合針は、針収納体の底端部側へ引っ張られて該針収納体から除去される。針収納体には、縫合糸が連結される。
【0011】
本発明の更に他の実施形態では、針収納体と、針収納体に装着される縫合針の針本体の一部分が針収納体の底端部(相対的に大きな直径を有する端部)よりも大きく形成された縫合針と、を具備する縫合糸を提供する。このとき、針収納体は、上記したように、両端部を貫く中空部を備えたチューブ形状を有し、中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加する、先端が切り取られた円錐又は角錐の形状を有してもよいし、あるいは中空部の直径が一定である円柱又は角柱の形状を有してもよい。このとき、縫合糸は、針収納体に連結される。縫合針は、針収納体の底端部側から引っ張られて該針収納体から除去される。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態として、支持体及び/又は針収納体を備えた縫合糸を製造する方法を提供する。
【0013】
本発明の針収納体を具備した縫合糸を使用する場合、縫合の最後の段階で、縫合針を縫合部位周りの他の組織に貫通させたりあるいは差し込み、針収納体まで前記組織内に挿入した後、針収納体の底端部へあるいは底端部から縫合針を引っ張って縫合針を抜き出して除去することができる。よって、縫合針が除去された針収納体は依然として組織内に残り、縫合に使用された縫合糸は針収納体に結合されている状態になるため、縫合の最後の部分で結び目を付けなくとも縫合はほどけない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、縫合の途中に結び目を付けなくても安全に縫合を行うことができる縫合糸を提供する。本発明の支持体及び/又は針収納体を備えた縫合糸を使用すれば、結び目を付ける時間を要せず、更に堅固な結び目の効果を発揮し、縫合技術が簡単で、画期的に縫合時間を短縮できるという長所があり、熟練した縫合結び目付け技術がなくても、安全で手軽に縫合施術を行うことができる。
【0015】
また、本発明で提供される縫合糸を使用する場合、1個の器具のみを使用しても縫合施術を完了することができるため、腹腔鏡を使用するなど施術部位が狭い場合にも、迅速且つ正確に縫合を行うことができる。
【0016】
また、本発明に使用される縫合糸、縫合針、針収納体及び支持体を生体内で吸収される材料で製作すれば、手術後にこれらを取り除く過程が不要となるといった利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。しかし、これらの図面は本発明に係わる理解の一助とするものであり、いかなる意味でも本発明の範囲がそれらによって制限されるものではない。発明の理解の一助するために、針の部位が他の部位と比較して拡大されて表示されており、実際に使用されるときには、針や針収納体に連結される糸の長さはもっと長いということを理解できる。
【0019】
図1a〜
図1fは、本発明の実施例による支持体40を備えた縫合糸10を示したものである。上記支持体は、縫合糸の直径よりも大きな直径を有し、スティック形、球形、円柱形、円錐形、角錐形、先端が切り取られた円錐形又は角錐形、円盤形、板状、多面体形状などの形状を有し、縫合糸の端部が縫合部位内に引き込まれないように縫合糸を支持することができる形状及び大きさを有するならば如何なるものでも可能である。上記支持体は、均質な固体であってもよいし、あるいは支持体の両端部に穴が一つ以上存在してもよい。例えば、上記支持体は、先端が切り取られた円錐であり、両端部を貫く中空部を備えた形態であるかもしれない。上記穴又は中空部の直径は、使用される縫合糸の太さよりも大きい。上記支持体は、ナイロン、ポリプロピレン(例えば、MESHなど)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ステンレススチール、チタンのような、生体内で吸収されない材料から製作されることも可能であるが、これらに制限されるものではない。また、上記支持体は、目的によって吸収可能な(absorbable)材料で製作されることもある。例えば、ポリ乳酸(polylactic acid)やポリジオキサノン(polydiaxanone)、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)とのコポリマーなどを使用することができるが、これらに制限されるものではない。生体内で吸収可能な材料を使用する場合、身体内部の縫合を実施した後で支持体を取り除かなくてもよいという利点がある。
【0020】
上記縫合糸を支持体と結合させる方法としては、縫合糸の端部及び/又は縫合糸と結合させようとする支持体の一部分を溶融させて接着する方法、支持体に一つ以上の穴(例えば、
図8cの穴41)をあけて縫合糸をその穴に通した後、縫合糸を互いに結んだり、あるいは支持体の穴の直径よりも大きな直径を有するように縫合糸に結び目42を付けたり、あるいは1つの穴を通した縫合糸を他の穴を通して反対方向に送る方法などを使用することができるし、これに制限されず、多様な方法が可能である(
図1a〜
図1f)。
【0021】
本発明の支持体を備えた縫合糸は、縫合針に挿入して使用されるか、あるいは針収納体に結合して使用される。このとき、使用される縫合針は金属製などの吸収されない材料、又は吸収可能な材料(例えば、PDS(polydioxanone)など)によって製作される。上記縫合針は、全体的に一直線又は曲線の形態を有し、針先は、丸みを帯びた又は削られた形状(cutted appearance)など、一般に広く使用される形状に形成され得る。
【0022】
上記縫合糸を縫合針に結合する方法としては、中空の針本体に縫合糸を挿入して針を圧着する方法、針に孔(針穴)を形成して縫合糸を通す方法、中空を有する針の壁を切開し、掘り込まれた溝を形成して縫合糸を掛ける方法などを使用することができるが、これらに制限されず、それ以外の多様な方法が可能である。
【0023】
上記のような支持体を具備した縫合糸を使用して縫合を行う場合、縫合開始部位に結び目を別途に設ける必要がなく、結び目を付ける場合よりも、更に堅固に縫合糸を固定できるという長所がある。これは、身体の外部を縫合するときは勿論、腹腔鏡施術などの身体の内部で縫合を行うときにも有用である。
【0024】
図2は、本発明の一実施例による支持体及び針を備えた縫合糸を示した図であり、両端部を貫く中空部を有する、先端が切り取られた円錐形支持体を使用した例である。上記の支持体のように、相対的に大きい直径を有する支持体の底面が縫合針の方向へ向くように配置すれば、もっと堅固な結び目効果を発揮することができる。
【0025】
図3a〜
図3dは、本発明の一実施例による針収納体を備えた縫合糸及び針収納体を示したものである。本発明の縫合糸10には、両端部を貫く中空部を備えたチューブ形状を有し、中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加している、先端が切り取られた円錐又は角錐の形状を有する針収納体20が結合される。上記針収納体の中空部の直径は、装着される縫合針の直径を考慮し、針を中空部を通して貫かせて差し込めるように調節される。
【0026】
上記縫合糸を針収納体と結合させる方法としては、縫合糸の端部及び/又は縫合糸と結合させようとする針収納体の部分を溶融させて縫合糸及び針収納体を接着する方法、針収納体に一つ以上の穴23(
図3d)をあけて縫合糸をその穴に通した後、上記穴の直径よりも大きな直径を有するように縫合糸に結び目を付けたり、あるいは縫合糸同士を結ぶ方法などを使用することができるが、それらに制限されず、それ以外にも多様な方法が可能である。
【0027】
上記針収納体には、縫合針30が装着される。本発明で使用される縫合針30は、針本体31と針本体の一端に形成される針先32とから構成される。針本体は、針先から他端に至るまで直径が次第に増加するように形成され得る。縫合糸が連結された針収納体に縫合針を挿入して縫合を実施し、縫合の最後の段階で縫合針を縫合部位周りの他の組織に貫通させたり、あるいは縫合部位周りの他の組織に差し込み、針収納体まで上記組織内に侵入させた後、針収納体の底端部21へ縫合針を引っ張って縫合針を抜き出して取り除くことができる。それにより、針が取り除かれた針収納体は依然として組織内に残り、縫合に使用された縫合糸は針収納体に結合された状態となるため、縫合の最後の段階で結び目を付けなくても縫合がほどけない。
【0028】
針収納体が、中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加する円錐又は角錐の形状を有し、針収納体に差し込まれる針も、針本体の一部又は全体が他端の方向へ直径が次第に増加するので、縫合過程において針を縫合部位に差し込んで縫合糸を引っ張るときに、縫合針が針収納体から抜けなくなる。このため、針収納体の中空部は、縫合針を収容できるほどの大きさを有し、針収納体の前端部22の中空部の大きさは、縫合針の針本体の直径が最も大きい部位よりも小さくする必要がある。
【0029】
図4a及び
図4bは、本発明の他の実施例による針収納体及び針の形状を示したものである。針収納体及び針収納体に装着される縫合針の針本体の一部分又は全体が、針収納体の底端部よりも大きく形成され、縫合時に縫合針を縫合進行方向へ引っ張るときに、縫合針が針収納体から抜けないように角部33が形成される。このとき、針収納体20は、上記したように両端部を貫く中空部を備えたチューブ形状を有し、中空部の直径が一方の端部から他方の端部へ向かって増加する、先端が切り取られた円錐又は角錐の形状を有してもよいし(
図4a)、又は中空部の直径が一定である円柱又は角柱の形状をしてもよい(
図4b)。このとき、縫合糸は、前述の方法で針収納体に結合される。
【0030】
本発明に使用される縫合針は、全体的に一直線又は曲線の形態を有することができ、針先は丸い形あるいは削られた形(cutted appearance)など、一般に広く使用される形状に形成され、目的に応じて適切に長さ及び太さが調節される。
【0031】
本発明の針収納体は、生体内で吸収可能な(absorbable)材料で製作することができ、例えば、ポリ乳酸(polylactic acid)やポリジオキサノン(polydiaxonone)、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)のコポリマーなどを使用し得るが、それらに制限されるものではない。
【0032】
本発明は、両端部に針収納体が結合された縫合糸(
図5)、一方の端部に針収納体が結合され及び/又は他方の端部に支持体が結合された縫合糸(
図1a〜
図3d、
図6〜
図8c)、両端部近傍に支持体が結合された縫合糸(
図9a及び
図9b)を含む。
【0033】
本発明の実施例で使用される縫合糸は、当該技術分野で知られた多様な糸の形態を含む。本発明の実施例で使用される縫合糸は、1本又は2本以上の糸で構成され、一つ以上のループ部を含むことができる(
図6、並びに
図7a及び
図7b)。
図7aは、針収納体に縫合針が差し込まれた状態を示し、
図7bは、針収納体から縫合針を取り除いた状態を示したものである。
【0034】
本発明の実施例に使用される縫合糸としては、単繊維(monofilament)縫合糸又は撚り縫合糸を使用することができ、縫合糸の外表面に棘(barb、cog)が形成された単繊維又は撚り縫合糸を使用することもできる。棘が形成された縫合糸は、韓国公開特許第10−2008−39345号公報、同第10−2005−0108494号公報、及び韓国登録実用新案公報第20−320005号、米国特許第5931855号明細書などに記載されており、これらの内容を本明細書に導入する。棘は、任意の必要な構成によって纎維状で配列され、本発明の技術分野で広く知られたものを含む任意の適切な方法を使用して形成される。このような方法は、ナイフ又はレーザ、プレス成形による射出成形、スタンピング、裁断を含むことができる。必要な数の鋭角の裁断が縫合糸に作られる。棘の大きさは、本発明の技術分野の常識の範囲で、目的に応じて適切に調節される。例えば、縫合糸に形成された棘の深さは約30〜100μmほどであり、縫合糸の直径に応じて調節される。縫合糸の表面上に形成される棘同士の間の間隔は、100μm〜1mm、又はそれ以上でもあり得る。
【0035】
図8a〜
図8cは、棘がある縫合糸を使用した本発明の実施例を示したものである。
図8aは、縫合糸の前半部と後半部とが同一方向に傾くように(縫合糸の縦軸と棘とのなす角度がいずれも90°未満である、あるいは90°よりも大きく180°未満である)棘が形成された2本以上の糸を合わせ、その一方の端部は針に結合させ、他方の端部は支持体に結合させて製造した例である。また、他の実施例として、
図8bに示すように、前半部と後半部とで糸に形成された棘が互いに反対方向に傾くように(例えば、縫合糸の前半部で、縫合糸の縦軸と棘とのなす角度がいずれも90°未満であり、縫合糸の前端部に向かって傾くように棘が形成され、縫合糸の後半部で、縫合糸の縦軸と棘とのなす角度がいずれも90°未満であり、縫合糸の後端部に向かって傾くように棘が形成される)形成された1本以上の糸を、針穴に通した後に半分に折り、その端部を支持体に結合したり、あるいは上記縫合糸を半分に折った一端は縫合針の中に挿入して圧着させて結合し、他端は支持体に結合する方法で製造される。
図8cで使用される棘のある縫合糸は、棘の傾き方向が
図8bと反対である。このような場合には、縫合糸を支持体の穴を通過させて半分に折った後、縫合糸の二つの端部を縫合針に結合させて製造する。棘が形成された縫合糸は、例えば、2本、3本、又は4本以上を使用することができ、糸の太さ又は使用目的などに応じてその数が調整される。
図8a〜
図8cの右側は、使用される縫合糸の棘の方向を図式化したものである。このようにして製造された本発明の縫合糸の一例は、
図8a〜
図8cに示されたように、棘が支持体に向かって縫合糸の縦軸と鋭角をなして傾くように形成される。このような形態を有することにより、縫合時において縫合糸の進み具合が順調であり、縫合糸が縫合の反対方向に抜けることを防止することができる。縫合が終わって縫合針を取り除いても、棘によって縫合糸が抜けないので、結び目を付けなくてもよい。このように、棘が形成された2本以上の糸を、支持体及び/又は針収納体に結合して使用する場合、別途の結び目を付ける必要がなく、より丈夫な結び目効果を発揮し得るだけでなく、通常使用される棘が形成された1本の糸を使用する場合と比較して、1本である場合には糸の強度がおよそ半分以上低下し、縫合を実施するときに切断される危険性があるものの、2本以上である場合には糸の強度が2倍以上になり、切断される恐れが少ないだけでなく、接触する棘の数や面が2倍以上増加し、縫合が堅固で糸が後方へ抜ける恐れがなくなるという長所がある。
【0036】
また、本発明の一実施例として、縫合糸の一方の端部に縫合糸支持体が結合され、縫合糸の他方の端部に縫合針が結合され、縫合糸の縫合針と近い部分に、両端部を貫く中空部を有し、先端が切り取られた円錐形状又は角錐形状を有する支持体(cone)が挿入されている縫合糸を提供する(
図9a及び
図9b)。上記コーンでは、先端が切り取られた円錐形が縫合時に摩擦が小さくて望ましい。上記コーンは、小さい直径を有する面(前端部)が縫合針の方を向くように配列され、その前端部の前後に前端部の直径よりも大きく縫合糸の結び目が形成される(
図9a及び
図9bのA及びB)。上記2つの結び目(
図9a及び
図9bのA及びB)は近接して形成され、結び目Aは、縫合が完了して縫合針を取り除いた後、上記コーンが抜けないようにし、結び目Bは、縫合時にコーンが後方に押されないようにする。縫合を完了した後、縫合針が取り除かれても、コーンが縫合糸の端部にあるので、縫合が終了してから結び目を付ける必要がなく、縫合糸がほどける恐れもない。結び目Aの前方に、先端が切り取られた円錐形状(角錐形状)を有する支持体(コーン)を、小さい直径を有する面(前端部)が針の方を向くように更に一つ配列させれば、縫合時に結び目Aが組織をよく通ることができ、更に容易に縫合を行うことができる(
図9b)。縫合が完了した後、縫合針を取り除いたときに、上記で追加されたコーンも一緒に抜け出し、
図9aと同様に結び目Aとコーンによって縫合糸のほどけを防止することができる。上記コーンは、例えば、L−ラクチド(lactide)とグリコリド(glycolide)とのコポリマーのような吸収可能な材質、又はポリプロピレンのような非吸収材質で製作される。上記コーンの長さは、例えば約1〜10mmほどでもあるが、それは一例であって使用部位と目的とに応じて調節される。コーンの両端部の中空部の直径は、例えば相対的に小さい直径を有する前端部側が約0.1〜2mm、相対的に大きい直径を有する後端部側が約0.5〜5mmほどであり得るが、それは一例であり、糸の太さと目的とに応じて調節される。
【0037】
本発明で提供される、縫合糸の端部に支持体が結合され、棘が形成された縫合糸(例えば、
図8a〜
図8c)、又は縫合糸の一方の端部に支持体が結合され、縫合針が連結された部分と近い部位に結び目とコーンとが形成された縫合糸(例えば、
図9a及び
図9b)は、支持体が結合されていない他方の端部を針収納体に結合させて使用することができる、あるいは縫合針に直接結合させて使用することができる。縫合完了部分での結び目の役割を行う針収納体を使用しない場合にも、このような縫合糸は、棘又はコーンの存在によって、縫合完了後に縫合針を取り除いても縫合糸が抜ける心配がない。
【0038】
本発明で提供される縫合糸は、ポリプロピレン(polypropylene)、金、ステンレススチール、チタン、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(polyvinyliden fluoride)、ポリエステル、ブレイデッド・シルク(braided silk)などの吸収されない(non-adsorbable)材質で製作することができ、又は、ポリジオキサノン(polydiaxonone)のような吸収可能な(absorbable)材質で製作することができるが、それらに制限されるものではない。
【0039】
本発明は、一実施例として、支持体及び/又は針収納体を備えた縫合糸を製造する方法を提供する。上記製造方法は、縫合糸の一方の端部を支持体に結合する段階と、縫合糸の他方の端部を縫合針又は針収納体に結合する段階とを含む。
【0040】
上記縫合糸を支持体に結合する段階は、縫合糸の一方の端部及び/又は支持体の一部に熱を加えて溶融させる段階と、いずれか一方又は双方を溶融させた縫合糸と支持体とを結合する段階とを含む。追加で、縫合糸と支持体とが結合された部位の温度を低くする段階を含むことができる。また、支持体に形成された穴又は中空部に縫合糸を通した後、支持体の穴や中空部の直径よりも大きな直径を有するように縫合糸に結び目を付ける段階を含むことができる。また、支持体に形成された穴又は中空部に縫合糸を通した後、支持体に形成された他の穴を通して反対方向に縫合糸を送る段階を含むことができる。2本以上の縫合糸を使用する場合には、支持体に形成された穴又は中空部に縫合糸を通した後、それらを互いに結ぶ、あるいは一緒に結び目を付ける段階を含むことができる。
【0041】
上記縫合糸を縫合針に結合する段階は、中空部を有する縫合針に縫合糸を入れて縫合針を圧着して製造する段階、縫合針に形成された穴に縫合糸を差し込む段階、又は中空部を有する縫合針の壁に掘り込まれた溝に縫合糸を掛ける段階を含むことができる。
【0042】
上記縫合糸を針収納体に結合する段階は、縫合糸の端部及び/又は縫合糸と結合させようとする針収納体の部分を溶融させて接着する段階と、針収納体にあけた一つ以上の穴に縫合糸を差し込んだ後、穴の直径よりも大きく縫合糸の結び目を付ける或いは縫合糸同士を結ぶ段階とを含むことができる。
【0043】
本発明の一実施例として、上記縫合糸の製造方法において、縫合糸の前半部と後半部とで同一方向に傾くように棘が形成された2本の糸を結合し、それらの一方の端部は支持体に結合させ、他方の端部は縫合針に結合させて製造することを特徴とする縫合糸を製造する方法を含む。また、本発明の他の一実施例として、前半部と後半部とで棘が互いに反対方向に傾くように形成された糸を半分に折り、一方の端部は支持体に結合し、他方の端部は縫合針に結合することを特徴とする縫合糸を製造する方法を含む。
【0044】
また、本発明の一実施例として、縫合糸の一方の端部に縫合糸支持体を結合する段階と、縫合糸の他方の端部と近い部分に縫合糸の結び目を形成する段階と、形成された結び目の前方(針の方向)に、両端部を貫く中空部を有する、先端が切り取られた円錐形状(角錐形状)を有する支持体(cone)を、相対的に小さい直径を有する前端部が針の方へ向くように挿入する段階と、コーンの前方に縫合糸の結び目を形成する段階と、縫合糸の他方の端部を縫合針に結合する段階とを含む本発明の縫合糸を製造する方法を提供する。前記製造方法は、縫合針とコーンの前方に形成された結び目との間に、追加のコーンを、相対的に小さい直径を有する前端部を縫合針の方向へ向けるように挿入する段階を更に含むことができる。
【0045】
上記方法で製造された縫合糸も本発明の範囲内である。
【0046】
本発明による針収納体を備えた縫合糸で縫合する方法は、次の段階を含む。すなわち、縫合糸に結合された針収納体に装着された縫合針で縫合部位を縫合する段階と、その縫合部位の端部の周りの組織に縫合針を通し、針収納体が上記組織内に埋められる或いは貫かれるようにする段階と、縫合針を針収納体の底端部側へ引っ張って該縫合針を取り除く段階とを含む。縫合糸が結合された針収納体が組織内に入り込んで固定されれば、縫合糸の端部も針収納体に接続されており、縫合がほどける恐れがないため、結び目を付ける必要がない。