特許第5697222号(P5697222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5697222
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 13/00 20060101AFI20150319BHJP
   B65D 5/32 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B65D13/00 Z
   B65D5/32 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-127996(P2014-127996)
(22)【出願日】2014年6月23日
【審査請求日】2014年7月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年4月21日に電子メールにて株式会社ペガサスグローバルエクスプレス 大阪支店(住所: 大阪府堺市堺区築港八幡町1−155 カンダホールディングス堺物流センター3F)の井上修に公開 [刊行物等] 平成26年4月24日にThe Third Gallery Aya(住所: 大阪府大阪市西区江戸堀1−8−24若狭ビル2F)にて綾智佳に公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514159438
【氏名又は名称】山崎梱包株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山崎 豊和
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−002141(JP,A)
【文献】 特開2010−036945(JP,A)
【文献】 特開2007−008518(JP,A)
【文献】 特開平10−120032(JP,A)
【文献】 特開平11−139485(JP,A)
【文献】 特開2001−130644(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/003878(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0206826(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0150244(US,A1)
【文献】 米国特許第01376770(US,A)
【文献】 米国特許第06612247(US,B1)
【文献】 米国特許第05674593(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 13/00
B65D 5/00− 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、
前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、
前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、
前記複数の側壁板を、前記前壁板と後壁板との相対向面間において前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、
前記側壁板の向き姿勢を、前記第2ダンボールの中芯で形成される細管状孔の軸線方向が前記前壁板及び後壁板の接合面に対して直交する向き姿勢に構成してある包装箱。
【請求項2】
収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、
前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、
前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、
前記複数の側壁板を、前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、
前記箱体の外面の一部に、前記中芯を外部から視認可能な窓部を形成してある包装箱。
【請求項3】
収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、
前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、
前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、
前記複数の側壁板を、前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、
前記側壁板のうち、蓋となる一つの側壁板を除く残りの側壁板を、前壁板と後壁板との対向面に接着剤で接合して、前記蓋用の側壁板が脱着可能な嵌合凹部を備えた箱本体を構成してある包装箱。
【請求項4】
前記蓋用の側壁板と前記箱本体における前記嵌合凹部に臨む両側壁部の端面との相対向する部位には、前記蓋用の側壁板を前記箱本体の嵌合凹部に脱着可能に装着維持する装着維持手段が設けられている請求項3記載の包装箱。
【請求項5】
前記側壁板と前壁板及び後壁板との接合面を含む箱外面の被覆処理対象面を、前記中芯の一部を露出させた状態でテープにて被覆し、前記中芯の露出部位をもって前記窓部が形成されている請求項2記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納空間を有するダンボール製の包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボール製の包装箱としては、例えば、特許文献1に示すように、収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板と、収納空間の周壁内面を形成する帯状の周壁板との各々を、表裏のライナー間に一層の中芯を形成してある単層ダンボールから構成したものが提案されている。
【0003】
この包装箱においては、周壁板に、これの周壁内面における各側面の隣接間の角部相当位置において直角に折り曲げるためのV字状の切欠き部と、底板として使用される後壁板の周縁部分を嵌合保持する嵌合溝とを形成し、後壁板の周縁部分を嵌合溝に嵌め込んだ状態で周壁板を各角部相当位置の切欠き部で直角に折り曲げて箱本体を構成している。
この箱本体の周壁板は、単層ダンボールの中芯で形成される細管状孔の軸線方向が前壁板及び後壁板に対して直交する上下方向の向き姿勢に構成されている。
【0004】
また、天板として使用される前壁板の周縁部分には、箱本体の周壁板に対して上方から脱着自在に外嵌状態で装着するための周壁部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−253428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の包装箱では、箱本体の周壁板をそれの中芯で形成される細管状孔の軸線方向が上下方向に向く姿勢で配置して、天板としての前壁板及び底板としての後壁板に作用する垂直方向の外力に対する強度が高くなる構成が採用されている。
しかし、前壁板と後壁板及び周壁板の各々が、表裏のライナー間に一層の中芯を形成してある単層ダンボールから構成されており、しかも、周壁板には、これの周壁内面における各側面の隣接間の角部相当位置において直角に折り曲げるためのV字状の切欠き部と、底板として使用される後壁板の周縁部分を嵌合保持する嵌合溝とが形成されているため、落下や衝突等による衝撃力が箱体に作用したときに変形、破損し易く、収納空間に収納されている被包装物を十分に保護することができなかった。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、ダンボールの特徴である軽量化を確保しながら耐圧強度を高め、収納空間に収納されている被包装物を良好に保護することのできる包装箱を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、
前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、
前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、
前記複数の側壁板を、前記前壁板と後壁板との相対向面間において前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、
前記側壁板の向き姿勢を、前記第2ダンボールの中芯で形成される細管状孔の軸線方向が前記前壁板及び後壁板の接合面に対して直交する向き姿勢に構成してある点にある。
【0009】
上記構成によれば、箱体において環状の骨格を構成する各側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前壁板及び後壁板を構成する第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成してあるので、箱全体を同一の層厚のダンボールから構成する場合に比して、軽量化を維持しながら耐圧強度を高めることができる。
【0010】
しかも、各側壁板を、第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢に配設することにより、例えば、各側壁板を、第2ダンボールの積層方向が前壁板及び後壁板の接合面に対して直交する向き姿勢で配設する場合に比して、前壁板及び後壁板に垂直に作用する外力に対する強度を向上することができるとともに、周方向で隣接する側壁板の端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設することにより、各側壁板に作用する外力に対する強度も向上することができる。
【0011】
さらに、各側壁板の積層方向が夫々の側面に対して直交する方向であり、且つ、前壁板及び後壁板の厚み方向もそれぞれ前壁内面及び後壁内面に直交する方向になるから、収納空間に収納された被包装物のいずれの方向の移動に対しても緩衝機能を発揮させることができる。
【0012】
したがって、ダンボールの特徴である軽量化を確保しながら箱体の耐圧強度を高めることができ、落下や衝突等による衝撃力が箱体に作用したときの変形、破損を抑制して、収納空間に収納されている被包装物を良好に保護することができる。
【0014】
さらに、各側壁板を構成する第2ダンボールの大きな層厚を活用して前壁板及び後壁板の各接合面に広い面積で当接させることができ、しかも、各側壁板の最も強度のある中芯の細管状孔の軸線方向を前壁板及び後壁板の接合面に対して直交する方向に構成してあるので、箱体の耐圧強度を顕著に高めることができ、落下や衝突等による包装箱の変形・破損を良好に抑止することができる。
【0015】
本発明による第2の特徴構成は、収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、 前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、 前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、 前記複数の側壁板を、前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、 前記箱体の外面の一部に、前記中芯を外部から視認可能な窓部を形成してある点にある。
【0016】
上記構成によれば、箱体の外面の一部に設けられた窓部を通して、ダンボールの特徴的構成である中芯の一部を外部から視認することができるので、箱体がダンボール製であることを容易に確認することができる。
【0017】
それ故に、木箱のような外観と頑丈さを有するダンボール製の包装箱を輸出用梱包材として用いる場合でも、燻蒸等の消毒処理が不要なダンボール製であることを簡単に目視確認することができるので、ダンボール製であることの証明手続きの簡略化を図ることができる。
【0018】
本発明による第3の特徴構成は、収納空間を有するダンボール製の包装箱であって、
前記収納空間の前壁内面及び後壁内面を形成する前壁板及び後壁板を、表裏のライナー間に中芯を形成してある第1ダンボールから構成し、
前記収納空間の周壁内面を形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板を、表裏のライナー間の中芯の層数が前記第1ダンボールよりも多い第2ダンボールから構成するとともに、
前記複数の側壁板を、前記第2ダンボールの積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボールの層厚で突き合せて配設し、
前記側壁板のうち、蓋となる一つの側壁板を除く残りの側壁板を、前壁板と後壁板との対向面に接着剤で接合して、前記蓋用の側壁板が脱着可能な嵌合凹部を備えた箱本体を構成してある点にある。
【0019】
上記構成によれば、箱本体の嵌合凹部に蓋用の側壁板が入り込み状態で嵌合装着された状態では、蓋用の側壁板が他物と接触しにくくなり、蓋用の側壁板を閉じ姿勢に維持することができる。
【0020】
本発明による第4の特徴構成は、前記蓋用の側壁板と前記箱本体における前記嵌合凹部に臨む両側壁部の端面との相対向する部位には、前記蓋用の側壁板を前記箱本体の嵌合凹部に脱着可能に装着維持する装着維持手段が設けられている点にある。
【0021】
上記構成によれば、箱本体の嵌合凹部に嵌合装着された蓋用の側壁板が他物と接触しても、装着維持手段によって蓋用の側壁板を装着姿勢に維持する力が付与されているので、蓋用の側壁板の位置ずれや脱落等を抑制することができる。
【0022】
本発明による第5の特徴構成は、前記側壁板と前壁板及び後壁板との接合面を含む箱外面の被覆処理対象面を、前記中芯の一部を露出させた状態でテープにて被覆し、前記中芯の露出部位をもって前記窓部が形成されている点にある。
【0023】
上記構成によれば、側壁板と前壁板及び後壁板の各接合面や中芯の露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面をテープで美麗に仕上げる際、中芯の一部を露出させる状態でテープで被覆処理してあるので、ダンボール製であることを外部から容易に目視確認するための窓部を簡単、容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態の包装箱を示す蓋取外し時の斜視図
図2】包装箱の分解斜視図
図3】箱本体のテープ仕上げ時の上面側からの斜視図
図4】箱本体のテープ仕上げ時の底面側からの斜視図
図5】前壁板(a)と側壁板(b)及び後壁板(c)の拡大図
図6】第2実施形態の包装箱を示す蓋開き時の斜視図
図7】蓋開き時(a)と蓋閉じ時(b)の断面図
図8】第3実施形態の包装箱を示す分離時の斜視図
図9】蓋閉じ操作時(a)と蓋閉じ時(b)の断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
図1図5は、絵画等の被包装物を収納するための収納空間Sを有する直方体状の箱体をダンボールで製作してある包装箱を示す。
このダンボール製の包装箱は、収納空間Sの前壁内面A1a及び後壁内面A2aを形成する前壁板A1及び後壁板A2を、表裏のライナー1A、1B間に複数層の中芯1Cを形成してある第1ダンボール1から構成し、収納空間Sの周壁内面Baを形成する状態で箱体の各側面毎(側面単位毎)に分離形成された複数の側壁板Bを、表裏のライナー2A、2B間の中芯2Cの層数が第1ダンボール1よりも多い第2ダンボール2から構成されている。
【0026】
第1ダンボール1は、図5(a),(c)に示すように、ダンボールの各種形態の一例である3層構造の強化ダンボール(一般に、3Aフルート又はAAAフルートと称される)から構成され、耐水加工又は撥水加工が施された多層抄きの厚紙製の表裏のライナー1A、1B間には、多層抄きの厚紙を波型加工(フルーテッド加工)してなる3層の中芯1Cと、多層抄きの厚紙製の2層の中ライナー1Dとを交互に積層配置した状態で接着剤により一体的に固着されている。
この3層構造の強化ダンボールは、厚さ5mmの一層構造の一般的なダンボール(Aフルート)AFを3層構造にしたもので、一般的ダンボール(Aフルート)AFの約3倍の厚み(15mm)に構成されている。
【0027】
第2ダンボール2は、図5(b)に示すように、ダンボールの各種形態の一例であるABフルートABFを7層構造にしたものから構成されている。
この基本要素となるABフルートABFは、厚さ5mmの一層構造の一般的なダンボール(Aフルート)AFと厚さ3mmの一層構造の一般的なダンボール(Bフルート)BFとを積層構成したものである。
【0028】
そのため、ABフルートABFの7層構造からなる第2ダンボール2は、耐水加工又は撥水加工が施された多層抄きの厚紙製の表裏のライナー2A、2B間に、多層抄きの厚紙を波型加工(フルーテッド加工)してなる14層の中芯2Cと、多層抄きの厚紙製の13層の中ライナー2Dとを交互に積層配置した状態で接着剤により一体的に固着されている。
【0029】
また、ABフルートABFを7層構造にするにあたって、当該実施形態では、表裏のライナー2A、2Bに接する部位に厚みの小さなBフルートBFの中芯2Cが配置されるように、7層のABフルートABFを厚み方向の中間位置で向き姿勢を反転させて接合してある。
【0030】
各側壁板Bを、上述のようにABフルートABFの7層構造からなる第2ダンボール2とすることにより、各側壁板Bの積層方向厚みと中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向での幅とが略等しくなり、各側壁板Bの横断面形状が略正方形に近い形態に構成されている。
【0031】
そして、包装箱の構成部材としては、図1図2に示すように、矩形状の広い表面積を有する3層構造の前壁板A1及び後壁板A2と、直方体のブロック状に構成された14層構造の四つの側壁板Bからなる。
この四つの側壁板Bのうち、蓋となる一つの側壁板B4を除く残りの三つの側壁板B1〜B3を、前壁板A1と後壁板A2との相対向面における開口側を除く三つの側辺に沿う帯状領域の接合面1bに接着剤で固着して、収納空間Sの開口側において蓋用の側壁板B4が脱着可能に入り込み状態で内嵌する嵌合凹部3を備えた箱本体Mが構成されている。
【0032】
箱本体Mの三つの側壁板B1〜B3を前壁板A1と後壁板A2に接着するにあたって、各側壁板B1〜B3は、第2ダンボール2の中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向が前壁板A1及び後壁板A2の接合面1bに対して直交し、且つ、第2ダンボール2の積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で配設され、さらに、三つの側壁板B1〜B3の隣接端部同士を第2ダンボール2の層厚で直角に突き合せた状態で接着剤により一体的に固着されている。
【0033】
そして、上述のように、箱本体Mの各側壁板B1〜B3を、それの中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向が前壁板A1及び後壁板A2の接合面1bに対して直交する向き姿勢で配設することにより、前壁板A1及び後壁板A2に作用する垂直方向の外力に対する耐圧強度を向上することがでる。
また、周方向で隣接する側壁板Bの端部同士を第2ダンボール2の層厚で突き合せて配設することにより、各側壁板B1〜B3に作用する外力に対する耐圧強度も向上することができる。
【0034】
さらに、箱本体Mの三つの側壁板B1〜B3が前壁板A1及び後壁板A2に接着された状態では、各側壁板B1〜B3の表裏に位置する耐水加工又は撥水加工が施されているライナー2A、2Bと、前壁板A1及び後壁板A2の各表裏に位置する耐水加工又は撥水加工が施されているライナー1A、1Bが、箱本体Mの外面及び収納空間Sに臨む内面に位置するため、箱本体Mの防水性及び防湿性を高めることができる。
【0035】
また、蓋用の側壁板B4を箱本体Mの嵌合凹部3に装着するにあたって、当該蓋用の側壁板B4も、第2ダンボール2の中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向が前壁板A1及び後壁板A2の接合面1bに対して直交し、且つ、第2ダンボール2の積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢に設定して、箱本体Mの嵌合凹部3に臨む左右の両側壁板B1,B3の端面に対して第2ダンボール2の層厚で突き合せた状態で嵌合装着されている。
【0036】
箱本体Mの嵌合凹部3に蓋用の側壁板B4を嵌合装着して箱体を構成した状態では、蓋用の側壁板B4における耐水加工又は撥水加工が施されている表裏のライナー2A、2Bが、箱体の外面及び収納空間Sに臨む内面に位置するため、蓋側での防水性及び防湿性も高めることができる。
【0037】
箱本体Mにおける嵌合凹部3に臨む左右の両側壁板B1,B3の端面と蓋用の側壁板B4の内側面の長手方向両側部との相対向する部位には、蓋用の側壁板B4を箱本体Mの嵌合凹部3に脱着可能に装着維持する装着維持手段4が設けられている。
【0038】
この装着維持手段4は、箱本体Mの両側壁板B1,B3の端面全体に接着される基布に多数のフック状又はループ状若しくはそれらの混合の起毛群を備えた一方の面ファスナー4Aと、蓋用の側壁板B4の内側面に接着される基布に多数のループ状又はフック状若しくはそれらの混合の起毛群を備えた他方の面ファスナー4Bとから構成されている。
【0039】
箱本体Mにおいては、側壁板B1〜B3と前壁板A1及び後壁板A2との各接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面をテープ5にて体裁良く被覆する。
【0040】
さらに、箱本体Mの嵌合凹部3に蓋用の側壁板B4を嵌合装着した箱体においても、箱本体Mと蓋用の側壁板B4との各接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面をテープ5にて体裁良く被覆する。
【0041】
このとき、被覆処理対象面に位置する中芯1C,2Cの一部を露出させた状態でテープ5にて被覆処理し、このテープ5で被覆されていない中芯1C,2Cの露出部位をもって、箱体の外面の一部においてダンボールの特徴的構成である中芯1C,2Cを外部から視認するための窓部6が構成されている。
【0042】
因みに、当該実施形態においては、箱本体Mの底面の長手方向両側部に窓部6となる中芯1C,2Cの露出部位が形成されているとともに、蓋用の側壁板B4の長手方向両端部に窓部6となる中芯1C,2Cの露出部位が形成されている。
【0043】
また、テープ5による箱体の被覆処理対象面での被覆処理により、箱外面における被覆処理対象面を美麗に仕上げることができるとともに、箱本体Mの側壁板B1〜B3と前壁板A1及び後壁板A2との各接合面での剥離や蓋用の側壁板B4の脱落等を防止することができる。
【0044】
側壁板Bと前壁板A1及び後壁板A2の各接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面をテープ5で美麗に仕上げる際、中芯1C,2Cの一部を目視可能な露出部位を除いてテープ5で被覆処理してあるので、ダンボール製であることを外部から容易に目視確認するための窓部6を簡単、容易に構成することができる。
【0045】
それ故に、木箱のような外観と頑丈さを有するダンボール製の包装箱を輸出用梱包材として用いる場合でも、燻蒸等の消毒処理が不要なダンボール製であることを簡単に目視確認することができるので、ダンボール製であることの証明手続きの簡略化を図ることができる。
【0046】
テープ5の一例としては、クラフト紙に糊材を塗布して乾燥させたガムテープ(水テープ)や粘着テープ等がある。
【0047】
尚、上述の実施形態では、箱体の外面の一部にダンボールの特徴的構成である中芯1C,2Cの一部を外部から視認するための窓部6を構成するにあたって、中芯1C,2Cの一部を外部から目視可能な露出部位を形成したが、この露出部位を透明なテープやフイルム等で密封被覆してもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、包装箱を輸出用梱包材として用いる場合の形態について説明したが、輸出用梱包材に用いない場合には、ダンボール製であることを外部から容易に目視確認するための窓部6を省略し、中芯1C,2Cが外部に露出しない状態でテープ5にて被覆処理するとよい。
【0049】
さらに、上述の実施形態では、各側壁板B1〜B4を、第2ダンボール2の中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向が前壁板A1及び後壁板A2の接合面1bに対して直交し、且つ、第2ダンボール2の積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で配設したが、各側壁板B1〜B4を、第2ダンボール2の中芯2Cで形成される細管状孔2Eの軸線方向が前壁板A1及び後壁板A2の接合面1bと平行で、且つ、第2ダンボール2の積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で配設してもよい。
【0050】
〔第2実施形態〕
図6図7は、ダンボール製の包装箱の箱形態を変えた別実施形態を示す。この実施形態では、前壁板A1と後壁板A2とを、側壁板Bの厚みに略相当する連結長さを備え、且つ、前壁板A1と後壁板A2との境界線P1,P2において直角に折り曲げ可能なダンボール製の繋ぎ板A3を介して一体形成してある。
【0051】
この繋ぎ板A3は、前壁板A1及び後壁板A2を構成する3層構造の強化ダンボール(3Aフルート)における積層方向の一端側のAフルートAFを使用して一体的に構成されている。
【0052】
そして、後壁板A2の内面に、4側辺に沿って四つの側壁板B1〜B4を接着剤で固着し、四つの側壁板B1〜B4で区画された収納空間Sに被包装物を収納したのち、蓋となる前壁板A1を繋ぎ板A3との境界線P1,P2に沿って折り曲げ、この折り曲げられた前壁板A1と四つの側壁板B1〜B4とを接着剤やテープ等で固着する。
【0053】
この第2実施形態では、後壁板A2と四つの側壁板B1〜B4とから箱本体Mが構成され、前壁板A1が蓋に構成されている。
【0054】
箱本体Mを構成する後壁板A2と各側壁板B1〜B4との各接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面を、必要に応じて中芯1C,2Cの一部を外部から視認可能な状態(窓部6を形成した状態)でテープ5にて被覆処理する。
【0055】
また、箱本体Mの収納空間Sに被包装物を収納し、蓋となる前壁板A1を四つの側壁板B1〜B4に当接又は接着した箱状態においても、箱本体Mと蓋用の前壁板A1との接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面を、必要に応じて中芯1C,2Cの一部を外部から視認可能な状態(窓部6を形成した状態)でテープ5にて被覆処理する。
【0056】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0057】
〔第3実施形態〕
図8図9は、ダンボール製の包装箱の箱形態を変えた別実施形態を示す。この実施形態では、前壁板A1の内面に、それの外周縁に沿って4つの側壁板B1〜B4が接着剤で固着されているとともに、後壁板A2には、前壁板A1の側壁板B1〜B4に内嵌可能な状態で4つの側壁板B1〜B4が接着剤で固着されている。
【0058】
この第3実施形態では、後壁板A2と四つの側壁板B1〜B4とから収納空間Sを備えた箱本体Mが構成され、前壁板A1と四つの側壁板B1〜B4とから蓋が構成されている。
【0059】
そして、箱本体Mの収納空間Sに被包装物を収納し、この箱本体Mの小寸法側の側壁板B1〜B4に対して、蓋の大寸法側の側壁板B1〜B4を外嵌装着し、箱本体Mを構成する後壁板A2と蓋を構成する側壁板B1〜B4の先端との接合面や中芯1C,2Cの露出部分等を含む箱外面の被覆処理対象面を、必要に応じて中芯1C,2Cの一部を外部から視認可能な状態(窓部6を形成した状態)でテープ5にて被覆処理する。
【0060】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0061】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前壁板A1及び後壁板A2の構成基材となる第1ダンボール1を3層構造の強化ダンボールから構成し、箱体の各側面毎に分離形成されている各側壁板Bの構成基材となる第2ダンボール2を、ABフルートABFの7層構造から構成したが、前記前壁板A1及び後壁板A2の構成基材となる第1ダンボール1を2層構造の強化ダンボールから構成し、各側壁板Bの構成基材となる第2ダンボール2を3層構造の強化ダンボールから構成してもよい。
さらに、前壁板A1及び後壁板A2の構成基材となる第1ダンボール1としては、上述の3層構造又は2層構造の強化ダンボールに限定されるものではなく、中芯1Cの厚みを太くしたり、或いは、ポリアクリルアミドや変性でん粉等の紙力増強剤を添加するなどして、一般的なダンボール(Aフルート)AFよりも耐圧強度が高くなる強化処理が施されている場合には、一層構造の第1ダンボール1であってもよい。
要するに、複数の側壁板Bの構成基材となる第2ダンボール2としては、前壁板A1及び後壁板A2の構成基材となる第1ダンボール1よりも表裏のライナー間の中芯の層数が多いものであればよい。
【0062】
(2)上述の第1実施形態では、直方体状の包装箱について説明したが、三角形、五角形、六角形、八角形等の多角形の箱体であれば、本発明の技術を適用することができる。
【0063】
(3)上述の第1実施形態では、蓋用の側壁板B4を箱本体Mの嵌合凹部3に脱着可能に装着維持する装着維持手段4を面ファスナーから構成したが、この装着維持手段4をボタン等から構成してもよい。
【0064】
(4)一つの収納空間Sを形成してある包装箱について説明したが、二個以上の収納空間S備えた包装箱で上述の第1実施形態では、あってもよい。
【0065】
(5)上述の第1実施形態では、第1ダンボール1の中芯1C及び第2ダンボール2の中芯2Cを波形状に構成したが、ハニカム状に構成してもよい。
【0066】
(6)上述の第1実施形態では、収納空間Sの前壁内面A1aと後壁内面A2a及び周壁内面Baの各々をダンボールで形成したが、この前壁内面A1aと後壁内面A2a及び周壁内面Baの各々に、ゴムや発泡材等の緩衝材を付設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、収納空間を有するダンボール製の包装箱に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 :第1ダンボール
1A :ライナー
1B :ライナー
1C :中芯
2 :第2ダンボール
2A :ライナー
2B :ライナー
2C :中芯
2E :細管状孔
3 :嵌合凹部
4 :装着維持手段
5 :テープ
A1 :前壁板
A1a:前壁内面
A2 :後壁板
A2a:後壁内面
B :側壁板
B1 :側壁板
B2 :側壁板
B3 :側壁板
B4 :側壁板
Ba :周壁内面
M :箱本体
S :収納空間

【要約】
【課題】 ダンボールの特徴である軽量化を確保しながら耐圧強度を高め、収納空間に収納されている被包装物を良好に保護する。
【解決手段】 収納空間Sの前壁内面A1a及び後壁内面を形成する前壁板A1及び後壁板A2を、表裏のライナー1A,1B間に中芯を形成してある第1ダンボール1から構成し、収納空間Sの周壁内面Baを形成する状態で箱体の各側面毎に分離形成された複数の側壁板Bを、表裏のライナー2A,2B間の中芯の層数が第1ダンボール1よりも多い第2ダンボール2から構成し、複数の側壁板Bを、第2ダンボール2の積層方向が夫々の側面に対して直交する向き姿勢で、且つ、隣接する端部同士を第2ダンボール2の層厚で突き合せて配設してある。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9