特許第5697234号(P5697234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697234
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】炊飯釜
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A47J27/14 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-213317(P2010-213317)
(22)【出願日】2010年9月24日
(65)【公開番号】特開2012-65860(P2012-65860A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今泉 唯晴
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−061275(JP,A)
【文献】 実開昭59−184730(JP,U)
【文献】 特開昭61−253789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯釜を搬送手段で搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱して連続炊飯を行う連続炊飯装置に用いられる炊飯釜であって、
底板と、
この底板の外周端部に立設された側板とを備え、
前記底板は、熱膨張により前記底板の下面が前記加熱手段に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部を有し、
前記凸板部は、
第1線状凸板部分と、
この第1線状凸板部分と交差する第2線状凸板部分とを有し、
前記第1線状凸板部分と前記第2線状凸板部分との交差部分が、前記底板のうちで最も高い位置に位置し、
前記加熱手段による加熱時には、前記第1線状凸板部分および前記第2線状凸板部分が前記交差部分によって上方へ誘導される
ことを特徴とする炊飯釜。
【請求項2】
第1線状凸板部分は、上方に凸状で断面逆V字状であり、
第2線状凸板部分は、上方に凸状で断面逆V字状で、底板の中央位置で前記第1線状凸板部分と交差する
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯釜。
【請求項3】
第1線状凸板部分および第2線状凸板部分は、いずれも交差部分側に向かって徐々に上り傾斜する傾斜状に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の炊飯釜。
【請求項4】
第1線状凸板部分および第2線状凸板部分は、長方形状の底板の対角線に沿って位置する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の炊飯釜。
【請求項5】
底板の凸板部は、前記底板の中央位置を中心として放射状に位置する追加線状凸板部分を有する
ことを特徴とする請求項ないし4のいずれか一記載の炊飯釜。
【請求項6】
炊飯釜を搬送手段で搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱して連続炊飯を行う連続炊飯装置に用いられる炊飯釜であって、
底板と、
この底板の外周端部に立設された側板とを備え、
前記底板は、熱膨張により前記底板の下面が前記加熱手段に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部を有し、
前記側板は、内側方に凸状の線状凸板部を有する
ことを特徴とする炊飯釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続炊飯を行う連続炊飯装置に用いられる炊飯釜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された連続炊飯装置が知られている。
【0003】
この連続炊飯装置は、炊飯釜を搬送手段で搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱して連続炊飯を行うものである。そして、この連続炊飯装置に用いられる従来の炊飯釜は、例えば長方形状の底板と、この底板の外周端部に立設された4つの側板と、両側の側板の上端部に外側方に向かって突設された取手とを備えている。なお、連続炊飯装置の加熱手段は、例えば誘導加熱(Induction Heating:IH)式のもので、炊飯釜の底板を加熱する底板加熱部と、炊飯釜の側板を加熱する側板加熱部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−310437号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の炊飯釜では、連続炊飯時において、炊飯釜の底板が加熱手段の底板加熱部による加熱により下方に熱膨張するため、底板の下面が加熱手段の底板加熱部に接触してしまい、搬送手段による炊飯釜の移動に支障をきたすおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、搬送手段による炊飯釜の移動に支障をきたすことを防止できる炊飯釜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の炊飯釜は、炊飯釜を搬送手段で搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱して連続炊飯を行う連続炊飯装置に用いられる炊飯釜であって、底板と、この底板の外周端部に立設された側板とを備え、前記底板は、熱膨張により前記底板の下面が前記加熱手段に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部を有し、前記凸板部は、第1線状凸板部分と、この第1線状凸板部分と交差する第2線状凸板部分とを有し、前記第1線状凸板部分と前記第2線状凸板部分との交差部分が、前記底板のうちで最も高い位置に位置し、前記加熱手段による加熱時には、前記第1線状凸板部分および前記第2線状凸板部分が前記交差部分によって上方へ誘導されるものである。
【0008】
請求項2記載の炊飯釜は、請求項1記載の炊飯釜において、第1線状凸板部分は、上方に凸状で断面逆V字状であり、第2線状凸板部分は、上方に凸状で断面逆V字状で、底板の中央位置で前記第1線状凸板部分と交差するものである。
【0009】
請求項3記載の炊飯釜は、請求項1または2記載の炊飯釜において、第1線状凸板部分および第2線状凸板部分は、いずれも交差部分側に向かって徐々に上り傾斜する傾斜状に形成されているものである。
【0010】
請求項4記載の炊飯釜は、請求項1ないし3のいずれか一記載の炊飯釜において、第1線状凸板部分および第2線状凸板部分は、長方形状の底板の対角線に沿って位置するものである。
【0011】
請求項5記載の炊飯釜は、請求項ないし4のいずれか一記載の炊飯釜において、底板の凸板部は、前記底板の中央位置を中心として放射状に位置する追加線状凸板部分を有するものである。
【0012】
請求項6記載の炊飯釜は、炊飯釜を搬送手段で搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱して連続炊飯を行う連続炊飯装置に用いられる炊飯釜であって、底板と、この底板の外周端部に立設された側板とを備え、前記底板は、熱膨張により前記底板の下面が前記加熱手段に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部を有し、前記側板は、内側方に凸状の線状凸板部を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、底板は熱膨張により底板の下面が加熱手段に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部を有するため、底板の下面が加熱手段に接触することを防止でき、搬送手段による炊飯釜の移動に支障をきたすことを防止できる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る炊飯釜の平面図である。
図2】同上炊飯釜の一部切欠き正面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4】同上炊飯釜の底板の第1線状凸板部分の端面図である。
図5図1のB−B断面図である。
図6】蓋の平面図である。
図7】同上蓋の一部切欠き正面図である。
図8】連続炊飯装置の正面図である。
図9図8のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図8および図9において、1は連続炊飯装置で、この連続炊飯装置1は、蓋3がセットされた状態で互いに隣接して連なった複数の炊飯釜2を、搬送手段4で搬送方向(図1中、左方向)に間欠的に移動(タクト移動)させながら加熱手段5で加熱して、連続炊飯を行う業務用連続炊飯機である。
【0017】
連続炊飯装置1は、炊飯釜2が移動して通過する細長いトンネル状の釜移動空間である加熱室10を有する装置本体11を備え、この装置本体11に搬送手段4および加熱手段5等が設けられている。なお、加熱室10の一端が釜投入口12となっており、加熱室10の他端が釜排出口13となっている。
【0018】
搬送手段4は、駆動モータ15からの動力に基づいて回転する複数の回転体であるスプロケット16と、これらスプロケット16に回行可能に掛け渡され炊飯釜2を加熱室10を通過するように搬送方向に移動させる左右1対の搬送用無端体であるチェーン17とを有している。チェーン17の上側の往路部18は装置本体11の上フレーム19に設けられた往路側案内部20によって案内されながら移動し、チェーン17の下側の復路部21は装置本体11の下フレーム22に設けられた復路側案内部23によって案内されながら移動するようになっている。
【0019】
加熱手段5は、例えば磁力線によって炊飯釜2に渦電流を発生させて加熱する誘導加熱式(IH式)のもので、加熱室10の底面に沿って配設され炊飯釜2の底板41を加熱する底板加熱部31と、加熱室10の側面に沿って配設され炊飯釜2の左右両側(搬送方向左右)の側板42を加熱する側板加熱部32とを有している。
【0020】
底板加熱部31は、搬送方向に並ぶ複数の底板用誘導加熱コイル33と、これら底板用誘導加熱コイル33の上面を覆う水平状のカバー板(トッププレート)34とを有している。側板加熱部32は、搬送方向に並ぶ複数の側板用誘導加熱コイル35と、これら側板用誘導加熱コイル35の内側面を覆う鉛直状(鉛直方向に対してやや傾斜した傾斜状を含む)のカバー板36とを有している。カバー板34,36は、例えば平板状の強化ガラス板にて構成されている。また、加熱コイル33,35は、例えば1個の炊飯釜2の大きさに対応する矩形板状に形成され、装置本体11のコイル取付部37に取り付けられている。
【0021】
なお、加熱手段5による加熱にて熱膨張(熱変形)する前の炊飯釜2の底面(底板本体部46の下面)と底板加熱部31のカバー板34の上面との間の距離Sは、例えば5mmである(図9参照)。
【0022】
ここで、このような誘導加熱式の連続炊飯装置1に用いられる誘導加熱用の炊飯釜2の具体的形状について説明する。
【0023】
炊飯釜2は、図1ないし図5に示されるように、例えば外側がステンレス鋼板で内側がアルミニウム板であるクラッド鋼板によって、上方に向かって開口する長方形状の上面開口部40を有する箱形状に形成されたものである。
【0024】
炊飯釜2は、平面視で長方形状、すなわち例えば各辺の長さ(例えば500mm)が同じ正方形状をなす底板41と、この底板41の外周端部(辺部)に湾曲板44を介して立設された鉛直状(鉛直方向に対して外側方にやや傾斜した傾斜状を含む)の4つの側板42と、左右両側(搬送方向左右)の側板42の上端部に外側方に向かって水平状に突設されチェーン17の往路部18上に載置される取手43とを備えている。
【0025】
そして、炊飯釜2は、連続炊飯時には両取手43が搬送手段4のチェーン17の往路部18上に載置されることにより両チェーン17の往路部18で支持された状態となり、チェーン17の回行によりその状態のまま搬送方向に搬送される。この際、底板41は、加熱手段5の底板加熱部31の上面の上方近傍位置を移動する。
【0026】
底板41は、連続炊飯時における加熱手段5の加熱による底板41の熱膨張により底板41の下面が加熱手段5の底板加熱部31の上面(カバー板34の上面)に接触することを防止するための上方に凸状の凸板部(折り部)45を有している。
【0027】
つまり、底板41は、熱膨張する前の状態で水平な平板状をなす底板本体部46と、この底板本体部46に折り曲げ(例えばブレーキプレス等のプレス加工)によって一体に設けられこの底板本体部46から上方に向かって突出する折曲板状の凸板部45とにて構成されている。
【0028】
凸板部45は、底板41の一の対角線に沿ってこの一の対角線の一端近傍から他端近傍まで連続して直線状に位置する上方に凸状で断面逆V字状の第1線状凸板部分51と、底板41の他の対角線に沿ってこの他の対角線の一端近傍から他端近傍まで連続して直線状に位置し底板41の中央位置で第1線状凸板部分51と直交状に交差する上方に凸状で断面逆V字状の第2線状凸板部分52とを有している。つまり、凸板部45は、底板本体部46に一体に設けられた平面視でX字状をなす第1線状凸板部分51と第2線状凸板部分52とを有している。
【0029】
そして、第1線状凸板部分51と第2線状凸板部分52とが直交状に交差する上方に凸状の4角錐面状の交差部分53が、底板41のうちで最も高い位置に位置している。つまり、第1線状凸板部分51の長手方向中央部を構成する交差部分53が第1線状凸板部分51の他の部分よりも上方に突出して位置し、同様に、第2線状凸板部分52の長手方向中央部を構成する交差部分53が第2線状凸板部分52の他の部分よりも上方に突出して位置している。なお、第1線状凸板部分51の長手方向中央部が第2線状凸板部分52の長手方向中央部を構成して交差部分53となっている。
【0030】
第1線状凸板部分51および第2線状凸板部分52は、いずれも長手方向中央側つまり交差部分53側に向かって緩やかな角度で徐々に上り傾斜する傾斜状に形成されている。例えば図示しないが、線状凸板部分51,52のうちの交差部分53以外の部分を水平状に形成してもよい。
【0031】
なお、図4に示されるように、熱膨張する前の交差部分53の頭頂点部53aの下面と底板本体部46の下面との間の距離aは、例えば10mmである。熱膨張する前の第1線状凸板部分51の交差部分53以外の部分の下面と底板本体部46の下面との間の距離bは、例えば4.5〜6mmである。また、図5に示されるように、熱膨張する前の第1線状凸板部分51の交差部分53以外の部分の幅寸法cは、例えば20mmである。なお、第1線状凸板部分51と第2線状凸板部分52とは同一形状であり、第2線状凸板部分52の寸法は第1線状凸板部分51の寸法と同じである。
【0032】
また、凸板部45は、第1線状凸板部分51および第2線状凸板部分52と交差することなく、これら両線状凸板部分51,52の間において底板41の中央位置(交差部分53)を中心として放射状に位置し底板本体部46の下方への熱膨張を抑制する上方に凸状で断面逆V字状の複数、すなわち例えば90度等間隔をおいた4本の同一形状の追加線状凸板部分55を有している。
【0033】
追加線状凸板部分55は、底板本体部46に一体に設けられ、底板41の辺部に対して直交状でその辺部の長手方向中央近傍から交差部分53近傍まで連続して直線状に位置している。そして、同一直線上の前後2本の追加線状凸板部分55が搬送方向に沿って位置し、同一直線上の左右2本の追加線状凸板部分55が搬送方向に対して直交する方向に沿って位置している。なお、追加線状凸板部分55と第1線状凸板部分51とがなす角度αは、例えば45度である(図1参照)。
【0034】
また、直交した2本の線状凸板部分51,52と4本の追加線状凸板部分55とは、繋がっておらず、非連続である。つまり、交差部分53と追加線状凸板部分55の交差部分53側の内端部との間には、底板本体部46の一部(プレス加工されていない部分)46aが存在している。
【0035】
側板42は、底板41の辺部に湾曲板44を介して鉛直状に立設され熱膨張する前の状態で平板状をなす矩形板状の側板本体部61を有している。そして、側板本体部61の上部には、この側板本体部61から内側方に向かって突出する折曲板状の線状凸板部62が折り曲げ(例えばブレーキプレス等のプレス加工)によって一体に設けられている。つまり、4つの各側板42は、側板本体部61の長手方向一端近傍から長手方向他端近傍まで連続して水平な直線状に位置し側板本体部61の内側方への熱膨張を抑制する内側方に凸状で断面倒V字状の1本の線状凸板部62を有している。また、側板本体部61の上端部には、蓋3が載置される蓋載置部63が一体に設けられている。
【0036】
また、蓋3は、図6および図7に示されるように、平面視で長方形状、すなわち例えば各辺の長さが同じ正方形状をなす板状の蓋本体66と、この蓋本体66の上面に上方に向かって突設された蓋取手67とを備えている。そして、蓋本体66の外周端部が炊飯釜2の側板42の蓋載置部63上に載置されることにより蓋3が炊飯釜2にセットされ、この蓋3にて炊飯釜2の上面開口部40が閉鎖される。
【0037】
次に、連続炊飯装置1を使用して連続炊飯を行う場合について説明する。
【0038】
洗米および水が入れられて蓋3がセットされた炊飯釜2は、図示しない投入用搬送手段によって釜投入口12から加熱室10内に順次投入される。
【0039】
投入された炊飯釜2は、加熱室10内において搬送手段4のチェーン17によって搬送方向にタクト移動しながら、加熱手段5によって加熱される。
【0040】
つまり、炊飯釜2の底板41は、加熱手段5の底板加熱部31によって誘導加熱され、かつ、炊飯釜2の側板42は、加熱手段5の側板加熱部32によって誘導加熱される。
【0041】
この加熱手段5による加熱時において、炊飯釜2の底板41は、熱膨張して下方へ膨らもうとするが、この底板41の下方への熱膨張は、第1線状凸板部分51、第2線状凸板部分52および追加線状凸板部分55にて構成された凸板部45によって抑制される。その結果、底板本体部46が下方へ少し熱膨張したとしても、底板本体部46の下面が加熱手段5の底板加熱部31のカバー板34の上面に接触するようなことはなく、また底板本体部46の下面と加熱手段5の底板加熱部31のカバー板34の上面の間の距離が適正範囲内に維持される。
【0042】
このとき、第1線状凸板部分51および第2線状凸板部分52は、交差部分53によって上方へ誘導されるようにして上方に熱膨張する(図4の2点鎖線参照)。つまり、底板41の中央位置で最も高く突出した交差部分53には、上向きの力が作用するため、両線状凸板部分51,52および底板本体部46のうち両線状凸板部分51,52に近接した部分は、下方へ熱膨張せず、上方に向かって熱膨張する。なお、熱膨張に基づく頭頂点部53aの上動距離は例えば1mm程度であるが、図4では強調して図示されている。
【0043】
また、炊飯釜2の側板42は、熱膨張して内側方へ膨らもうとするが、この側板42の内側方への熱膨張は、線状凸板部62によって抑制される。その結果、底板41が側板42側から受ける下向きの力が減少して底板41の下方への熱膨張が抑制され、また側板42の側板本体部61の外側面と加熱手段5の側板加熱部32のカバー板36の内側面との間の距離が適正範囲内に維持される。
【0044】
こうして加熱されて所定の炊飯処理が完了した炊飯釜2は、図示しない排出用搬送手段によって釜排出口13から加熱室10外へ順次排出され、次工程に搬送されていく。
【0045】
そして、このような炊飯釜2によれば、底板41は、熱膨張により底板41の下面が加熱手段5の底板加熱部31の上面に接触することを防止するための凸板部45を有するため、底板41の下面が加熱手段5の底板加熱部31の上面に接触することを防止でき、搬送手段4による炊飯釜2の移動に支障をきたすことを防止でき、よって、搬送手段4で炊飯釜2を搬送方向に適切に移動させることができる。
【0046】
また、底板41の凸板部45は、底板41の対角線に沿ったX字状をなす第1線状凸板部分51および第2線状凸板部分52を有し、これら第1線状凸板部分51と第2線状凸板部分52との交差部分53が底板41のうちで最も高い位置に位置するため、両線状凸板部分51,52が交差部分53によって上方へ誘導されるようにして上方に熱膨張することとなり、底板41の下方への熱膨張を広範囲において効果的に抑制でき、底板41の下面が加熱手段5の底板加熱部31に接触することを適切かつ効果的に防止できる。
【0047】
さらに、底板41の凸板部45は、底板41の中央位置を中心として放射状に位置する追加線状凸板部分55を有するため、X字状の線状凸板部分51,52のみならず、追加線状凸板部分55によっても底板41の下方への熱膨張を抑制でき、底板41の下面が加熱手段5の底板加熱部31に接触することをより一層適切に防止できる。
【0048】
また、側板42は内側方に凸状の線状凸板部62を有するため、この線状凸板部62によって側板42の内側方への熱膨張を抑制でき、よって、底板41の下面が加熱手段の底板加熱部31に接触することをより一層適切に防止できる。
【0049】
なお、連続炊飯装置1の加熱手段5は、IH式のものには限定されず、例えばガスバーナ式のものや、赤外線ヒータ式のもの等でもよい。
【0050】
また、炊飯釜2の底板41の凸板部45は、追加線状凸板部分55を有さず、互いに交差する線状凸板部分51,52のみを有するものでもよい。
【0051】
さらに、底板41の凸板部45は、例えば円形環状や長方形環状等の環状に形成されたものでもよく、また環状と直線状とを組み合わせたもの等でもよい。
【0052】
また、線状凸板部分51,52と追加線状凸板部分55とが非連続な構成には限定されず、例えば追加線状凸板部分55の内端部が交差部分53に繋がった構成等でもよい。
【0053】
さらに、各側板42ごとに線状凸板部62が1本ずつ形成された構成には限定されず、例えば各側板42ごとに線状凸板部62が複数本ずつ形成された構成等でもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 連続炊飯装置
2 炊飯釜
4 搬送手段
5 加熱手段
41 底板
42 側板
45 凸板部
51 第1線状凸板部分
52 第2線状凸板部分
53 交差部分
55 追加線状凸板部分
62 線状凸板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9