特許第5697263号(P5697263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社昭電の特許一覧

<>
  • 特許5697263-通信用サージ保護素子の異常検出回路 図000002
  • 特許5697263-通信用サージ保護素子の異常検出回路 図000003
  • 特許5697263-通信用サージ保護素子の異常検出回路 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697263
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】通信用サージ保護素子の異常検出回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H02H9/04 A
   H02H9/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-137601(P2012-137601)
(22)【出願日】2012年6月19日
(65)【公開番号】特開2014-3806(P2014-3806A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】垣内 健介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和裕
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−024521(JP,A)
【文献】 特開平07−230733(JP,A)
【文献】 特開2002−223327(JP,A)
【文献】 特開平05−199655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の通信線に入力側が接続されたダイオードブリッジの出力側に通信用サージ保護素子の両端をそれぞれ接続し、前記サージ保護素子の一端を第1のダイオードのカソードに接続してそのアノードを接地端子に接続すると共に、前記サージ保護素子の他端を第2のダイオードのアノードに接続してそのカソードを前記接地端子に接続することにより通信用サージ保護回路を構成し、
前記サージ保護素子の一端にカソードが接続された第3のダイオードと前記サージ保護素子の他端にアノードが接続された第4のダイオードとを介して前記サージ保護素子に直流電源電圧を印加したときに前記サージ保護素子に流れる漏れ電流によってスイッチ素子をオンさせ、このスイッチ素子に直列接続された表示素子により異常表示を行うことを特徴とする通信用サージ保護素子の異常検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載した異常検出回路において、
入力部及び出力部を備え、かつ、前記スイッチ素子に前記入力部が直列接続され、前記スイッチ素子がオンして前記入力部に異常検出電流が流れた時に前記出力部を動作させて警報を出力させるためのリレーを備えたことを特徴とする通信用サージ保護素子の異常検出回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載した異常検出回路において、
前記直流電源、前記第3のダイオード、前記サージ保護素子、及び前記第4のダイオードの直列回路に、更に定電流素子を直列に挿入したことを特徴とする通信用サージ保護素子の異常検出回路。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した異常検出回路において、
前記表示素子、前記スイッチ素子、前記第3のダイオード、前記サージ保護素子、及び前記第4のダイオードを少なくとも含む異常検出部を、前記直流電源に対して複数、並列に接続したことを特徴とする通信用サージ保護素子の異常検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の通信線に接続されて雷サージから通信機器や計装機器等を保護するための通信用サージ保護素子の異常検出回路に関し、詳しくは、サージ保護素子の劣化を容易に検出可能とした異常検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のサージ保護素子は、雷サージ電流が繰り返し流れ、また、経年的な使用に伴って特性が劣化することにより、漏れ電流が増加して発熱し、いわゆる熱破壊に至る場合がある。
このため、例えば、特許文献1に示すように、サージ保護素子の寿命を予測してその交換を促すようにした回路が提案されている。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された異常検出回路であり、図において、Lは通信線、1は図示されていない負荷を制御するための端末、2は端末1の通信を制御する伝送ユニット、3は通信線Lに加わった雷サージを接地側にバイパスさせるための避雷器、4は避雷器3の状態を表示する表示器である。なお、避雷器3は、端末1及び表示器4からある程度離れた遠隔地に設けられている。
【0004】
避雷器3は、通信線Lに接続されたバリスタ31と、バリスタ31に流れる電流を検出する電流センサ32と、電流センサ32の出力信号(サージ電流値)をディジタル信号に変換するA/D変換器33と、サージ発生回数を記憶するメモリ35と、サージ発生回数の演算や表示器4に対する通信制御等を行うCPU34と、通信線Lとの間のインターフェース機能を有する通信ドライバ回路36と、を備えている。
【0005】
この従来技術では、CPU34により、A/D変換器33の出力信号を閾値と比較してサージ発生回数を求め、メモリ35に記憶されたサージ発生回数をインクリメントして更新すると共に、更新されたサージ発生回数を、通信ドライバ回路36を介して表示器4により表示している。
以上のような動作により、表示器4に表示されたサージ発生回数からバリスタ31の寿命を予測することができ、バリスタ31が熱破壊を起こす以前にその交換を促すことができる。
【0006】
なお、配電系統に接続された避雷素子の劣化表示装置として、例えば、特許文献2に記載されたものが知られている。
この劣化表示装置は、配電系統の接地線に接続された避雷素子の漏れ電流によりコンデンサを充電し、このコンデンサの電圧がダイアックのトリガ電圧を超えるとダイアックが導通してサイリスタのゲート信号を発生させ、サイリスタに直列接続された表示器を駆動して避雷素子の劣化表示を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−19069号公報(段落[0023]〜[0054]、図1等)。
【特許文献2】特開平6−5350号公報(段落[0013]〜[0015]、図1等)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された従来技術では、サージ発生回数をカウントし、これを表示するためにA/D変換器33やCPU34、通信ドライバ回路36等が必要であり、これらが回路構成の複雑化やコスト高を招くという問題がある。
また、特許文献2に記載された従来技術は、開閉サージ電流や雷サージ電流が流れたときに誤って劣化表示するのを防止するため、前記コンデンサの前段にツェナーダイオードを設けなければならず、やはり回路構成が複雑になるという問題があった。
更に、これらの特許文献1,2には、単一の直流電源を用いて複数のバリスタまたは避雷素子の劣化表示を行う技術については何ら言及されていない。
【0009】
そこで本発明の解決課題は、簡単な回路構成により、複数のサージ保護素子を対象として劣化等の異常を容易に検出可能にした通信用サージ保護素子の異常検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、一対の通信線に入力側が接続されたダイオードブリッジの出力側に通信用サージ保護素子の両端をそれぞれ接続し、前記サージ保護素子の一端を第1のダイオードのカソードに接続してそのアノードを接地端子に接続すると共に、前記サージ保護素子の他端を第2のダイオードのアノードに接続してそのカソードを前記接地端子に接続することにより通信用サージ保護回路を構成し、
前記サージ保護素子の一端にカソードが接続された第3のダイオードと前記サージ保護素子の他端にアノードが接続された第4のダイオードとを介して前記サージ保護素子に直流電源電圧を印加したときに前記サージ保護素子に流れる漏れ電流によってスイッチ素子をオンさせ、このスイッチ素子に直列接続された表示素子により異常表示を行うものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した異常検出回路において、入力部及び出力部を備え、かつ、前記スイッチ素子に前記入力部が直列接続され、前記スイッチ素子がオンして前記入力部に異常検出電流が流れた時に前記出力部を動作させて警報を出力させるためのリレーを備えたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した異常検出回路において、前記直流電源、前記第3のダイオード、前記サージ保護素子、及び前記第4のダイオードの直列回路に、更に定電流素子を直列に挿入したものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した異常検出回路において、前記表示素子、前記スイッチ素子、前記第3のダイオード、前記サージ保護素子、及び前記第4のダイオードを少なくとも含む異常検出部を、前記直流電源に対して複数、並列に接続したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バリスタ等のサージ保護素子に常時、直流電源電圧を印加し、その漏れ電流が所定値を超えたときにスイッチ素子をオンして異常表示を行うため、簡単な回路構成によってサージ保護素子の劣化等による異常を検出することができる。
また、単一の直流電源を用いて複数の異常検出部に電源電圧を供給することにより、複数の通信回線にそれぞれ設けられたサージ保護素子の異常を一括して監視することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態が適用される通信用サージ保護回路の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る異常検出回路の構成図である。
図3】従来技術を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、本実施形態が適用される通信用サージ保護回路の構成図である。図1において、100は通信用サージ保護回路、110は入力端子L1,L2及び出力端子T1,T2を有する一対の通信線である。
【0017】
一対の通信線110には、ダイオードD1〜D4からなるダイオードブリッジ102の入力端子がそれぞれ接続され、その出力端子の間には、バリスタ等のサージ保護素子101が接続されている。
サージ保護素子101の両端には、第1,第2のダイオードD5,D6の各一端がそれぞれ接続され、これらのダイオードD5,D6の各他端は接地端子Eに共通接続されている。
また、サージ保護素子101の両端には、図示の極性で接続された第3,第4のダイオードD7,D8を介して、後述する異常検出回路が接続されている。
【0018】
上記構成の通信用サージ保護回路100では、通信線110に侵入した雷サージ電流がダイオードブリッジ102及びサージ保護素子101を介して接地端子Eに流れるので、出力端子T1,T2に接続された各種の通信機器や計装機器等に流入するおそれがなく、これらを雷サージから保護することができる。
【0019】
次に、図2は本実施形態に係る異常検出回路を示しており、この異常検出回路は、図1に示した通信用サージ保護回路100及びダイオードD7,D8とその周辺回路とによって構成されている。なお、図2において、サージ保護素子101以外の通信用サージ保護回路100の構成部品は図示を省略してある。
【0020】
図2において、異常検出部150は、通信用サージ保護回路100ごとに設けられており、後述するバッテリーB及びリレーRyの直列回路に対して、複数の異常検出部150が並列に接続されている。この異常検出部150とバッテリーB及びリレーRyにより、本実施形態に係る異常検出回路が構成される。
すなわち、異常を監視するべき通信回線ごとに図1の通信用サージ保護回路100が接続され、図2の異常検出回路によって複数の通信回線におけるサージ保護素子101の異常を一括して検出可能となっている。
【0021】
図2に示すように、直流電源としてのバッテリーBと、フォトMOS(Photo-MOS)リレー等からなるリレーRyとの直列回路の両端には、電流制限用の抵抗Rと、発光ダイオードD10と、スイッチ素子としてサイリスタTHが直列に接続されている。ここで、リレーRyは、入力部及び出力部を備えている。
また、バッテリーBの正極には定電流ダイオードや抵抗等からなる定電流素子CRDの一端が接続され、その他端は前記ダイオードD7のアノード、カソードを介してサージ保護素子101の一端に接続されている。そして、サージ保護素子101の他端は前記ダイオードD8のアノードに接続され、そのカソードは前記サイリスタTHのゲートに接続されている。
上記構成において、サイリスタTHに代わるスイッチ素子として、トランジスタを用いてもよい。
【0022】
次に、この実施形態の動作を説明する。
図1の通信用サージ保護回路100による雷サージの吸収動作は前述したとおりであり、サージ保護素子101が雷サージを繰り返し吸収し、また、長期にわたって使用されることにより、サージ保護素子101の特性が劣化して正常時の抵抗値が低下する。このため、図2の異常検出回路では、バッテリーB→定電流素子CRD→ダイオードD7→サージ保護素子101→ダイオードD8→リレーRyの入力部の経路で漏れ電流が流れる。なお、ここでは、漏れ電流が流れるようなサージ保護素子101の特性の劣化、故障等を、サージ保護素子101の「異常」というものとする。
【0023】
そして、サージ保護素子101の漏れ電流、つまりサイリスタTHのゲート電流が、定電流素子CRDにより設定された所定値を超えるとサイリスタTHがオンし、バッテリーB→抵抗R→発光ダイオードD10→サイリスタTH→リレーRyの入力部の経路で異常検出電流が流れる。
このため、発光ダイオードD10が点灯してサージ保護素子101の劣化を視覚的に表示すると共に、リレーRyの出力部の動作により接点出力や音声による警報を発生させることができる。
【0024】
この実施形態によれば、ダイオードD7,D8を介してバッテリーBに接続されるサージ保護素子101の両端が、ダイオードブリッジ102を介して通信線110に接続されているので、サージ保護素子101を通信線110側及び接地側から直流的に浮かせて接続することができる。これにより、サージ保護素子101に直流電源電圧を常時印加して漏れ電流を検出する異常検出動作が、通信線110ひいては送受信される信号に悪影響を及ぼすことがない。
また、図2に示したように、バッテリーBとリレーRyとの直列回路に対して異常検出部150を複数、並列に接続することで、複数の通信回線にそれぞれ配置されたサージ保護素子101の異常を一括して監視することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
100:通信用サージ保護回路
101:サージ保護素子
102:ダイオードブリッジ
110:通信線
150:異常検出部
D1〜D8:ダイオード
L1,L2:入力端子
T1,T2:出力端子
E:接地端子
Ry:リレー
B:バッテリー
R:抵抗
CRD:定電流素子
D10:発光ダイオード
TH:サイリスタ
図1
図2
図3