特許第5697266号(P5697266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5697266二次元コード画像表示方法、データ放送システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697266
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】二次元コード画像表示方法、データ放送システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/435 20110101AFI20150319BHJP
   H04N 21/235 20110101ALI20150319BHJP
【FI】
   H04N21/435
   H04N21/235
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-217383(P2012-217383)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72714(P2014-72714A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2014年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500545001
【氏名又は名称】株式会社フォアキャスト・コミュニケーションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】313000601
【氏名又は名称】日本テレビ放送網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】清水 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 徹
(72)【発明者】
【氏名】川邊 裕介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 貴之
【審査官】 鍬 利孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−037961(JP,A)
【文献】 特開2009−077006(JP,A)
【文献】 特開2010−140152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひとつの素材を1セル×n(nは6,7,8,9のいずれかひとつ)セルの横長の素材とし、前記素材の各セルに配置される白黒の二次元配列パターンの全てを表す2個の素材画像パターンのうちセルの合計数が異なる2つ以上の素材毎の素材画像パターンと、二次元コードデータに変換する所定の情報に応じて用いる素材を選択し、選択した素材の素材画像パターンを用いて二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信し、
デジタル放送受信機は、前記データ放送を受信し、前記命令記述に基づいて、前記所定の情報を二次元コードデータに変換し、前記所定の情報に応じて前記素材を選択し、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記選択した素材の前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成し、二次元コード画像を表示する
二次元コード画像表示方法。
【請求項2】
前記所定の情報が、受信機を識別する識別情報、または、双方向通信に用いられる情報である請求項1に記載の二次元コード画像表示方法。
【請求項3】
ひとつの素材を1セル×n(nは6,7,8,9のいずれかひとつ)セルの横長の素材とし、前記素材の各セルに配置される白黒の二次元配列パターンの全てを表す2個の素材画像パターンのうちセルの合計数が異なる2つ以上の素材毎の素材画像パターンと、二次元コードデータに変換する所定の情報に応じて用いる素材を選択し、選択した素材の素材画像パターンを用いて二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信し、
前記命令記述は、デジタル放送受信機に、前記所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記所定の情報に応じて前記素材を選択させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記選択した素材の前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させるものである
二次元コード画像表示方法。
【請求項4】
前記所定の情報が、受信機を識別する識別情報、または、双方向通信に用いられる情報である請求項3に記載の二次元コード画像表示方法。
【請求項5】
ひとつの素材を1セル×n(nは6,7,8,9のいずれかひとつ)セルの横長の素材とし、前記素材の各セルに配置される白黒の二次元配列パターンの全てを表す2個の素材画像パターンのうちセルの合計数が異なる2つ以上の素材毎の素材画像パターンと、二次元コードデータに変換する所定の情報に応じて用いる素材を選択し、選択した素材の素材画像パターンを用いて二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信する放送局と、
前記データ放送を受信し、前記命令記述に基づいて、前記所定の情報を二次元コードデータに変換し、前記所定の情報に応じて前記素材を選択し、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記選択した素材の前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成し、二次元コード画像を表示するデジタル放送受信機と
を有するデータ放送システム。
【請求項6】
前記所定の情報が、受信機を識別する識別情報、または、双方向通信に用いられる情報である請求項5に記載のデータ放送システム。
【請求項7】
ひとつの素材を1セル×n(nは6,7,8,9のいずれかひとつ)セルの横長の素材とし、前記素材の各セルに配置される白黒の二次元配列パターンの全てを表す2個の素材画像パターンのうちセルの合計数が異なる2つ以上の素材毎の素材画像パターンと、二次元コードデータに変換する所定の情報に応じて用いる素材を選択し、選択した素材の素材画像パターンを用いて二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信する手段を有し、
前記命令記述は、デジタル放送受信機に、前記所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記所定の情報に応じて前記素材を選択させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記選択した素材の前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させるものである
放送局。
【請求項8】
前記所定の情報が、受信機を識別する識別情報、または、双方向通信に用いられる情報である請求項7に記載の放送局。
【請求項9】
放送により取得した、ひとつの素材を1セル×n(nは6,7,8,9のいずれかひとつ)セルの横長の素材とし、前記素材の各セルに配置される白黒の二次元配列パターンの全てを表す2個の素材画像パターンのうちセルの合計数が異なる2つ以上の素材毎の素材画像パターンのいずれかを用いて、二次元コード画像を表示させるプログラムであって、
所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記放送により取得した2つ以上の素材のうちから前記所定の情報に応じて素材を選択させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記選択した素材の前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させる処理を
コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信機に、所定の情報を埋め込んだ二次元コードを表示させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送網が整備されるにしたがって、デジタルテレビを用いて、データ放送番組の利用が盛んになっている。たとえば、テレビ局が送出したURLを埋め込んだバーコードのテレビ映像信号を、テレビは受信しバーコードを表示させ、携帯電話機がこれを撮影してURLを取得して総合予約センタサーバにアクセスすることで、予約を行わせるサービス等である。
【0003】
ところで、データ放送番組は、ARIB(日本電波産業会)が定めるデータ放送運用規定「ARIB-STD-B24」に則って、データ放送画面を作成している。そして、データ放送の1画面に保持可能なDOM要素数は、512までとBMLの運用規定を定めている。
【0004】
そこで、上記の運用規定の中で、双方向サービスに必要な情報(視聴者情報や視聴者が作成した情報)をバーコードに反映することができる二次元コードを生成する技術が、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1の技術は、2×2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す画像パターンデータ(素材データ)をデータ放送で放送する。そして、受信機側は、二次元コードデータを生成し、この二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、素材データを組み合わせることによって生成するものである。これにより、データ放送上で1辺のセル数が25セルを超える二次元コードの生成を、試みている。尚、セルとは、二次元コード画像を構成する白または黒の正方形画像である。
【0006】
尚、二次元コードの仕様として、二次元コード1型(21×21セル)、二次元コード2型(25×25セル)、二次元コード3型(29×29セル)、二次元コード4型(33×33セル)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−077006号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】標準規格名「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式」、標準規格番号「ARIB-STD-B24」、発行:日本電波産業会(ARIB)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、データ放送運用規定「ARIB-STD-B24」には、要素数や素材数の制限の他にノード数の制限が規定されており、ノード数の上限は1024個である。しかし、ノードの数え方に明確な定義はされていない。
【0010】
このような状況において、特許文献1の技術は、二次元コードの型が2、3、4、5と型が上がるに従って1辺のセルの数が増加すると、要素数も増加する。例えば、3型の二次元コードであれば、29×29のセルを15×15個の素材データで埋めることになるので、その要素数は225個となる。更に、4型の二次元コードであれば、33×33のセルを17×17個の素材データで埋めることになるので、その要素数は289個となる。このように、二次元コードの型式が高くなるほど、その要素数は増加する。そして、ノード数は要素数に比例して増加するので、結果として、二次元コードの型式が高くなるほど、ノード数は増加し、ノードの数え方によってはノードの上限である1024個を超えてしまう。これは、一部の受信機では解釈の違いによっては二次元コード画像の提示に失敗する可能性があることを意味している。
【0011】
一方、テレビ放送事業者にとって、地上デジタル放送、BS/CSのデジタル放送において、放送されたデータ放送番組が全受信機で正常に提示できることが必要であり、提示できないという放送事故を避けなければならない。
【0012】
そこで、本発明は上記課題に鑑みて発明されたものであって、1辺のセル数が多い二次元コードであっても、データ放送のノード数の制限に違反せずに二次元コードを生成する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンと、二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信し、デジタル放送受信機は、前記データ放送を受信し、前記命令記述に基づいて、所定の情報を二次元コードデータに変換し、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成し、二次元コード画像を表示する二次元コード画像表示方法である。
【0014】
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンと、二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信し、前記命令記述は、デジタル放送受信機に、所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させるものである二次元コード画像表示方法である。
【0015】
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンと、二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信する放送局と、前記データ放送を受信し、前記命令記述に基づいて、所定の情報を二次元コードデータに変換し、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成し、二次元コード画像を表示するデジタル放送受信機とを有するデータ放送システムである。
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンと、二次元コード画像の生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信する手段を有し、前記命令記述は、デジタル放送受信機に、所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させるものである放送局である。
【0016】
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンを含み、所定の情報を二次元コードデータに変換させ、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成させ、二次元コード画像を表示させる処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、データ放送のノード数の制限に違反せずに二次元コード画像を生成することができる。何故なら、素材画像パターンの数は増加するが、要素数は減少し、結果としてノード数の増加を抑制することができ、かつ、要素数もARIBの規定を超えることはないからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は1セル×9セルの素材画像パターンの例を示したものである。
図2図2は4型の二次元コード画像(33セル×33セル)の場合の例を示した図である。
図3図3は本発明の実施の形態における二次元コード生成システムの概要を説明する図である。
図4図4は放送局1のブロック図である。
図5図5はデジタル放送受信機2のブロック図である。
図6図6は本発明による二次元コード作成表示システムの全体の動作のフローチャートである。
図7図7は二次元コード画像を生成する動作のフローチャートである。
図8図8はスクリプトの一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、セルの合計数がn(n=6,7,8,9)個であり、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンと、二次元コード画像データの生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述とをデータ放送を用いて送信し、デジタル放送受信機は、前記命令記述に基づいて、所定の情報を二次元コードデータに変換し、前記二次元コードデータに対応する二次元コード画像を、前記素材画像パターンを組み合わせることによって生成し、前記デジタル放送受信機は、生成した二次元コード画像を表示する。
【0020】
ここで、本発明の最も特徴的なことは、二次元コード画像を生成する素材画像パターンとして、合計数がn(n=6,7,8,9)個のセルをひとつの素材とし、2の白黒2値のすべての二次元配列パターンを表す素材画像パターンを用いることである。尚、セルとは、二次元コード画像を構成する白または黒の正方形画像である。
【0021】
素材の例としては、例えば、1セル×6セル、1セル×7セル、1セル×8セル、1セル×9セルの横長の素材、2セル×3セル、3セル×3セルの素材がある。そして、1セル×6セルの素材の場合には2=64個の素材画像パターンがあり、1セル×7セルの素材の場合には2=128個の素材画像パターンがあり、1セル×8セルの素材の場合には2=256個の素材画像パターンがあり、1セル×9セルの素材の場合には2=512個の素材画像パターンがある。
尚、1セル×6セル、1セル×7セル、1セル×8セル、1セル×9セルの横長の素材は、二次元コードの元となる二次元コードデータを、それに対応する素材画像パターンの画像に置換していく際に、データの先頭から横長のセル分毎に区切ることができるので、2セル×3セル、3セル×3セルの素材画像パターンよりも、受信機側の処理負担を軽減することができる。
【0022】
図1は、1セル×9セルの素材画像パターンの例を示したものである。素材画像パターンは、ファイル名称情報と画像データとから構成される。画像データは、二値画素データ(白画素または黒画素)が組み合わさった集合体である。
【0023】
図1の例では、白セルまたは黒セルが1セル×9セルに配置されて、配置された二値画素の値に対応付けたファイル名称がつけられている。例えば、白セルの値は、「1」であり、また、黒セルの値は、「0」であるとすると、最初の素材画像パターンは、9つの白セルが配列されているので、ファイル名称は、「111111111.png」である。2番目の画像パターンは、最初だけに黒セルが配列されているので、ファイル名称は、「011111111.png」である。そして、このような素材画像パターンが512個用意される。
【0024】
次に、所定の情報から変換された二次元コードデータを、それに対応する素材画像パターンの画像に置換していく。例えば、二次元コードデータが「011111111」であるならば、二次元コードデータ「011111111」をファイル名称「011111111.png」の画像である「黒、白、白、白、白、白、白、白、白」に置換する。この処理を、全ての二次元コード画像のセルが埋まるまで行い、二次元コード画像を生成する。
【0025】
図2は、4型の二次元コード画像(33セル×33セル)の場合の例を示した図である。4型の二次元コード画像の場合、1セル×9セルの素材画像パターンを用いる場合、行方向に33個、列方向に4個、合計132個の素材画像パターンの画像で埋められることになる。二次元コードデータの(9行、1列)〜(9行、9列)に対応する二次元コードデータ「000000100」は、素材画像パターンのファイル名「000000100.png」の画像である「黒、黒、黒、黒、黒、黒、白、黒、黒」に置換する。
【0026】
尚、4型の二次元コード画像(33セル×33セル)の場合、1辺が33セル分しかなく、34セル目、35セル目、36セル目の二次元コードデータがない。行方向に4個の素材画像パターンの画像が並ぶと、3セル分余ることになる(9セル×4個−33セル=3セル)。そこで、行方向の最後の素材画像パターンは、最後の3セルが「白」の素材画像パターンとなる。例えば、図2の例では、(1行、28列)〜(1行、33列)に対応する二次元コードデータ「000000」であるが、この二次元コードデータ「000000」を、「000000111」とし、「000000111.png」の画像である「黒、黒、黒、黒、黒、黒、白、白、白」に置換する。
【0027】
このように、本発明では、特許文献1に記載された技術と比較して、素材数は増加するが、要素数は減らすことができる。例えば、4型の二次元コードの場合、特許文献1の技術では、33×33のセルを17×17個の素材データで埋めることになるので、その要素数は289個となる。一方、本発明では、33×33のセルを33×4の素材データで埋めることになるので、その要素数は132個となる。このように、本発明は、素材画像パターンの数は増加するが、要素数は減少し、結果としてノード数の増加を抑制することができ、かつ、要素数もARIBの規定を超えることはない。
【0028】
以下、具体的な本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、1セル×9セルの素材を素材画像パターンに用いて、4型の二次元コード画像を生成して表示する場合を説明する。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態における二次元コード生成システムの概要を説明する図である。二次元コード生成システムは、放送局1と、デジタル放送受信機2とから構成される。
【0030】
図4は放送局1のブロック図である。放送局1は、素材画像パターンと、二次元コード画像データの生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述であるBML等とを含むBMLコンテンツを送出するデータ放送送出部10と、データ放送送出部10から送出された素材画像パターン及びBMLコンテンツと本線側の映像・音声とを多重化して放送する放送部11とを有する。
【0031】
図5はデジタル放送受信機2のブロック図である。視聴者が利用するデジタル放送受信機2は、BS/CS110°アンテナやUHFアンテナに接続されている。そして、受信部20と、制御部21と、二次元コード画像生成部22と、表示部23とを有する。
【0032】
制御部21は、テレビリモコンからの情報の受付や、生成された二次元コード画像の表示部23への表示等の各種の制御を行う。
【0033】
二次元コード画像生成部22は、メモリ領域を備える。メモリ領域には、受信したデータ放送のBMLコンテンツが格納され、BMLスクリプトを解釈することで、所定の情報を変換した二次元コード画像を生成する。尚、ここで、所定の情報とは、例えば、双方通信に必要なURL等の情報や、Bcasカードの識別番号、視聴者が入力したパスワード等である。
【0034】
次に、本実施の形態の全体の動作を説明する。図6は、本発明による二次元コード作成表示システムの全体の動作のフローチャートである。
【0035】
放送局1は、1セル×9セルの素材の場合には2=512通りの素材画像パターンと、二次元コード画像データの生成をデジタル放送受信機に実行させる命令記述であるBMLコンテンツとを放送する(Step 100)。
【0036】
デジタル放送受信機2は、データ放送を選局すると、BMLコンテンツがデジタル放送受信機の作業メモリにキャッシュ(記憶)される(Step 101)。
【0037】
二次元コード画像生成部22は、作業メモリにキャッシュされたBMLコンテンツから該当するスクリプトを読み込んで、以下の処理を実行する。
【0038】
二次元コードに埋め込む情報を読み込む(Step 102)。
【0039】
二次元コード生成スクリプトは、二次元コードデータを生成する(Step 103)。
【0040】
変換スクリプトは、1セル×9セルの画像パターンを用いて、二次元コードデータを画像オブジェクト(二次元コード画像)に変換する(Step 104)。つまり、1セル×9セルの画像パターンを用いることで、33セル×33セルの二次元コードは、33×4個の画像オブジェクトで表現することができる。ちなみに、4型の二次元コード(33セル×33セル)のQRコード(登録商標)では、埋め込み可能な文字数は、バイナリ表記で78文字である。
【0041】
BMLブラウザは、画像オブジェクトの画像パターン(二次元コード画像)をデジタル放送受信機2の表示部23に表示させる(Step 105)。
【0042】
続いて、上述したStep 102からStep 104の動作、すなわち、二次元コード画像を生成する動作について詳細に説明する。
【0043】
図7は、二次元コード画像を生成する動作のフローチャートである。
【0044】
まず、33行×4列=132個のオブジェクト素材を、リセットする(ステップ 200)。すなわち、全てが白の素材画像パターンにする。
【0045】
生成された33セル×33セルの二次元コードデータを取得する(ステップ 201)。
【0046】
行方向のカウンタ「j」の値を初期化(値=「0」)する(ステップ 202)。
【0047】
列方向のカウンタ「i」の値を初期化(値=「0」)する(ステップ 203)。
【0048】
カウンタ「j」の値が「33」より小さいかを判定する(ステップ 204)。小さければ、ステップ 205に進む。小さくなければ、終了する。
【0049】
カウンタ「i」の値が「33」より小さいかを判定する(ステップ 205)。小さければ、ステップ 206に進む。小さくなければ、jに1を加算して、ステップ 203に戻る。
【0050】
ステップ 206において、記憶領域にある二次元コードデータ配列の(i+0,j)(i+1,j),(i+2,j)…(i+7,j),(i+8,j)から、1か0の値を取り出して、ファイル名の高い位から割り当ててゆく。尚、iが33を超えた場合、すなわち、i方向の配列値が存在しない場合は、割り当てをしない。そして、フィル名に対応する素材画像に置換する。
【0051】
続いて、iに9を加算して(ステップ 207)、ステップ205に戻る。
【0052】
図8は上述した動作を実行するスクリプトの一例を示したものである。
【0053】
以上の如く、1セル×9セルの素材画像パターンを用いることで、33セル×33セルを、33×4=132個の素材データで埋めることになるので、その要素数は132個となる。一方、特許文献1のように、2セル×2セルの素材画像パターンを用いる場合、33セル×33セルを、17×17=289個の素材データで埋めることになるので、その要素数は289個となる。よって、本発明によれば、要素数を少なくすることができ、結果としてノード数の増大を抑えることができる。尚、上述した実施の形態では、1セル×9セルの例を説明したが、1セル×6セル、1セル×7セル、1セル×8セルの横長の素材、2セル×3セル、3セル×3セルの素材の素材画像パターンも同様であることは言うまでもない。
【0054】
更に、上記実施の形態では、1種類の素材の素材画像パターンを用いる例を説明したが、これに限られず、複数の素材の素材画像パターンを用いても良い。
【0055】
具体的には、現状のデジタル放送はARIB方式がかなりのシェアを占めているが、今後はIPTV方式や新RMP方式での受信シェアが拡がってくるものと考えられる。しかし、各方式では端末IDの桁数が違っているため、二次元コードの型が異なることが想定される。そこで、データ放送コンテンツとして、二次元コードの異なる型を、一つのコンテンツに共存させるハイブリットな方法が必要となってくる。
【0056】
一方、ARIBで規定されているコンテンツ素材数の上限(768個)であるが、ARIBで規定されている内容は、一度にメモリロックできる素材数として明記されている。従って、データ放送コンテンツが、例えば、3型の1セル×8セルの素材画像パターン(素材パターン数256個)と、4型の1セル×9セルの素材画像パターン(素材パターン数512個)の両方を保持したとしても、コンテンツの作り方として両方を同時にロックしなければARIB規定に抵触することはない。
【0057】
例えば、テレビ受信機の端末IDを暗号化して冗長性を持たせることを考慮すると、二次元コードの型は、ARIB方式は16進12桁であるので3型、IPTV方式は16進16桁であるので3型、新RMP方式は16進24桁であるので4型とすることが考えられる。
【0058】
そこで、二次元コードを用いるデータ放送コンテンツでは、3型と4型とを共存させるため、BMLコンテンツに、複数の種類の素材の素材画像パターン(3型の1セル×8セルの素材画像パターン(素材パターン数256個)と、4型の1セル×9セルの素材画像パターン(素材パターン数512個))を含めるとともに、テレビ受信機の端末IDを識別してそれに合った型の二次元コードを生成するスクリプトを含める。
【0059】
以上のような構成にすれば、複数の方式にも柔軟に本発明を適用することができる。
【0060】
尚、上述した実施の形態では、各部をハードウェアで構成したが、上述した動作の処理を情報処理装置(CPU)に行わせるプログラムによっても構成できる。
【0061】
以上好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【符号の説明】
【0062】
1 放送局
2 デジタル放送受信機
10 データ放送送出部
11 放送部
20 受信部
21 制御部
22 二次元コード画像生成部
23 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8