特許第5697272号(P5697272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5697272主磁極とシールドを備えた垂直磁気記録用磁気ヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697272
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】主磁極とシールドを備えた垂直磁気記録用磁気ヘッド
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   G11B5/31 F
   G11B5/31 A
   G11B5/31 Q
【請求項の数】14
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-150288(P2013-150288)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-26714(P2014-26714A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2013年7月19日
(31)【優先権主張番号】13/556,784
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/556,654
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500475649
【氏名又は名称】ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500393893
【氏名又は名称】新科實業有限公司
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107559
【弁理士】
【氏名又は名称】星宮 勝美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 芳高
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】種村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 達也
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−197619(JP,A)
【文献】 特開2010−157303(JP,A)
【文献】 特開昭60−243812(JP,A)
【文献】 特開2002−025011(JP,A)
【文献】 特開2007−242220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する第1および第2のコイルと、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、前記第1および第2のコイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって前記情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する主磁極と、
磁性材料よりなり、前記媒体対向面に配置された端面を有する記録シールドと、
非磁性材料よりなり、前記主磁極と前記記録シールドとの間に配置されたギャップ部と、
磁性材料よりなり前記記録シールドに磁気的に接続され、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の後側に配置された第1のヨーク層と、
磁性材料よりなり前記記録シールドに磁気的に接続され、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の前側に配置された第2のヨーク層と、
前記媒体対向面から離れた位置に配置され、前記主磁極と前記第2のヨーク層とを磁気的に連結する第1の連結部と、
前記媒体対向面から離れた位置に配置され、前記主磁極に接することなく前記第1のヨーク層と前記第2のヨーク層とを磁気的に連結する第2の連結部とを備えた垂直磁気記録用磁気ヘッドであって、
前記記録シールドの端面は、前記主磁極の前記端面に対して前記記録媒体の進行方向の前側に配置された第1の端面部分を含み、
前記第1のコイルは、前記第1の連結部の周りに巻回され、且つその一部が前記第1の連結部と第2の連結部の間を通過し、
前記第2のコイルは、前記第2の連結部の周りに巻回されていることを特徴とする垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項2】
前記第2の連結部は、前記第1の連結部に対して、前記媒体対向面からより遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項3】
前記第2のコイルは、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の後側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項4】
前記第2のコイルは、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の前側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項5】
前記媒体対向面に配置された前記主磁極の端面と交差し、前記記録媒体の進行方向に垂直な仮想の平面を想定したとき、前記第2のコイルの少なくとも一部は、前記仮想の平面と交差する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項6】
前記第2のコイルの巻き数は、前記第1のコイルの巻き数以上であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項7】
前記第2のコイルの巻き数は、前記第1のコイルの巻き数よりも多いことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項8】
前記記録シールドの端面は、更に、第2、第3および第4の端面部分を含み、前記第2の端面部分は、前記主磁極の前記端面に対して前記記録媒体の進行方向の後側に配置され、前記第3および第4の端面部分は、前記主磁極の前記端面に対してトラック幅方向の両側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項9】
更に、前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する第3のコイルを備え、
前記主磁極は、前記第1、第2および第3のコイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させ、
前記第3のコイルは、前記第2の連結部の周りに巻回され、
前記第2および第3のコイルは、互いに前記記録媒体の進行方向における異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項10】
前記第2のコイルは、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の後側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項11】
前記第3のコイルは、前記主磁極に対して前記記録媒体の進行方向の前側に配置されていることを特徴とする請求項10記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項12】
前記媒体対向面に配置された前記主磁極の端面と交差し、前記記録媒体の進行方向に垂直な仮想の平面を想定したとき、前記第3のコイルの少なくとも一部は、前記仮想の平面と交差する位置に配置されていることを特徴とする請求項10記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項13】
前記第2のコイルの巻き数および前記第3のコイルの巻き数は、前記第1のコイルの巻き数以上であることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【請求項14】
前記第2のコイルの巻き数は、前記第1のコイルの巻き数よりも多く、前記第3のコイルの巻き数は、前記第1のコイルの巻き数以上であることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録方式によって記録媒体に情報を記録するために用いられる垂直磁気記録用磁気ヘッドに関し、特に、主磁極とシールドを備えた垂直磁気記録用磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録再生装置における記録方式には、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手磁気記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直磁気記録方式とがある。垂直磁気記録方式は、長手磁気記録方式に比べて、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくく、高い線記録密度を実現することが可能であると言われている。
【0003】
一般的に、垂直磁気記録用の磁気ヘッドとしては、長手磁気記録用の磁気ヘッドと同様に、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッド部と、書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッド部とを、基板の上面上に積層した構造のものが用いられる。記録ヘッド部は、記録媒体の面に対して垂直な方向の記録磁界を発生する主磁極を備えている。主磁極は、例えば、一端部が記録媒体に対向する媒体対向面に配置されたトラック幅規定部と、このトラック幅規定部の他端部に連結され、トラック幅規定部よりも大きな幅を有する幅広部とを有している。トラック幅規定部は、ほぼ一定の幅を有している。垂直磁気記録方式の記録ヘッド部には、高記録密度化のために、トラック幅の縮小と、記録特性、例えば重ね書きの性能を表わすオーバーライト特性の向上が求められる。
【0004】
ところで、ハードディスク装置等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドは、一般的に、スライダに設けられる。スライダは、上記媒体対向面を有している。この媒体対向面は、空気流入端(リーディング端)と空気流出端(トレーリング端)とを有している。そして、空気流入端から媒体対向面と記録媒体との間に流入する空気流によって、スライダは記録媒体の表面からわずかに浮上するようになっている。
【0005】
ここで、基準の位置に対して、よりリーディング端に近い位置をリーディング側と定義し、基準の位置に対して、よりトレーリング端に近い位置をトレーリング側と定義する。リーディング側は、スライダに対する記録媒体の進行方向の後側である。トレーリング側は、スライダに対する記録媒体の進行方向の前側である。
【0006】
スライダにおいて、一般的に、磁気ヘッドは媒体対向面におけるトレーリング端近傍に配置される。磁気ディスク装置において、磁気ヘッドの位置決めは、例えばロータリーアクチュエータによって行なわれる。この場合、磁気ヘッドは、ロータリーアクチュエータの回転中心を中心とした円軌道に沿って記録媒体上を移動する。このような磁気ディスク装置では、磁気ヘッドのトラック横断方向の位置に応じて、スキューと呼ばれる、円形のトラックの接線に対する磁気ヘッドの傾きが生じる。
【0007】
特に、長手磁気記録方式に比べて記録媒体への書き込み能力が高い垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置では、上述のスキューが生じると、あるトラックへの信号の記録時に、記録対象のトラックに隣接する1以上のトラックに記録された信号が消去されたり減衰したりする現象(以下、隣接トラック消去と言う。)が生じる場合がある。高記録密度化のためには、隣接トラック消去の発生を抑制する必要がある。
【0008】
上述のようなスキューに起因した隣接トラック消去の発生を抑制すると共に記録密度を向上させる技術としては、主磁極の近傍に記録シールドを設ける技術が有効である。例えば、特許文献1,2には、媒体対向面において主磁極の端面の周りを囲むように配置された端面を有する記録シールドを備えた磁気ヘッドが開示されている。
【0009】
一般的に、記録シールドを備えた磁気ヘッドでは、主磁極のうちの媒体対向面から離れた部分と記録シールドとを接続する1つ以上の帰磁路部が設けられる。1つ以上の帰磁路部は、主磁極との間に1つ以上の空間を形成する。そして、この1つ以上の空間を通過するようにコイルが設けられる。記録シールドと1つ以上の帰磁路部は、主磁極の端面より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込んで、この磁束が記録媒体に達することを阻止する機能を有している。また、記録シールドと1つ以上の帰磁路部は、主磁極の端面より発生されて、記録媒体を磁化した磁束を、主磁極に還流させる機能も有している。記録シールドを備えた磁気ヘッドによれば、隣接トラック消去の発生を抑制することが可能になると共に、記録密度のより一層の向上が可能になる。
【0010】
特許文献1,2には、上記1つ以上の帰磁路部として、主磁極のトレーリング側に配置された帰磁路部と、主磁極のリーディング側に配置された帰磁路部とを備えた磁気ヘッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,954,340B2号明細書
【特許文献2】特開2005−182987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、記録媒体に記録される記録ビットの端部の位置は、媒体対向面に配置された主磁極の端面のうち、トレーリング側の端部の位置によって決まる。そのため、記録ビットの端部の位置を精度よく規定するためには、記録シールドの端面は、主磁極の端面のトレーリング側に配置された端面部分を含むことが有効である。
【0013】
また、記録密度を高めるために記録信号の周波数が高くなってくると、磁気ヘッドには、主磁極の端面より発生される磁束の方向の変化の速度の向上が求められる。記録シールドを備えた磁気ヘッドでは、この要求に応えるためには、上述のように、記録シールドの端面が主磁極の端面のトレーリング側に配置された端面部分を含むことに加え、主磁極のトレーリング側に配置された帰磁路部を設け、この帰磁路部の長さを短くすることが有効である。そのためには、主磁極と帰磁路部との間に形成される空間を通過するコイルの巻き数を少なくすることが有効である。しかし、そうすると、コイルによる起磁力が不足して、主磁極から十分な大きさの記録磁界を発生させることができなくなるおそれがある。
【0014】
このように、従来は、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側(トレーリング側)に配置されて、主磁極のうちの媒体対向面から離れた部分と記録シールドとを接続する磁路の長さを短くしながら、主磁極から十分な大きさの記録磁界を発生させることが難しかった。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置されて、主磁極のうちの媒体対向面から離れた部分と記録シールドとを接続する磁路の長さを短くしながら、主磁極から十分な大きさの記録磁界を発生させることができるようにした垂直磁気記録用磁気ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、第1および第2のコイルと、主磁極と、磁性材料よりなる記録シールドと、非磁性材料よりなるギャップ部と、磁性材料よりなり記録シールドに磁気的に接続された第1および第2のヨーク層と、第1および第2の連結部とを備えている。第1および第2のコイルは、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。主磁極は、媒体対向面に配置された端面を有し、第1および第2のコイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。記録シールドは、媒体対向面に配置された端面を有している。ギャップ部は、主磁極と記録シールドとの間に配置されている。
【0017】
第1のヨーク層は、主磁極に対して記録媒体の進行方向の後側に配置されている。第2のヨーク層は、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置されている。第1の連結部は、媒体対向面から離れた位置に配置され、主磁極と第2のヨーク層とを磁気的に連結している。第2の連結部は、媒体対向面から離れた位置に配置され、主磁極に接することなく第1のヨーク層と第2のヨーク層とを磁気的に連結している。
【0018】
記録シールドの端面は、主磁極の端面に対して記録媒体の進行方向の前側に配置された第1の端面部分を含んでいる。第1のコイルは、第1の連結部の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部と第2の連結部の間を通過している。第2のコイルは、第2の連結部の周りに巻回されている。
【0019】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、第2の連結部は、第1の連結部に対して、媒体対向面からより遠い位置に配置されていてもよい。
【0020】
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、第2のコイルは、主磁極に対して記録媒体の進行方向の後側に配置されていてもよいし、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置されていてもよい。また、媒体対向面に配置された主磁極の端面と交差し、記録媒体の進行方向に垂直な仮想の平面を想定したとき、第2のコイルの少なくとも一部は、仮想の平面と交差する位置に配置されていてもよい。
【0021】
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、第2のコイルの巻き数は、第1のコイルの巻き数以上であってもよいし、第1のコイルの巻き数よりも多くてもよい。
【0022】
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、記録シールドの端面は、更に、第2、第3および第4の端面部分を含んでいてもよい。第2の端面部分は、主磁極の端面に対して記録媒体の進行方向の後側に配置されている。第3および第4の端面部分は、主磁極の端面に対してトラック幅方向の両側に配置されている。
【0023】
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドは、更に、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する第3のコイルを備えていてもよい。この場合、主磁極は、第1、第2および第3のコイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させる。第3のコイルは、第2の連結部の周りに巻回されている。第2および第3のコイルは、互いに記録媒体の進行方向における異なる位置に配置されている。
【0024】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドが第3のコイルを備えている場合、第2のコイルは、主磁極に対して記録媒体の進行方向の後側に配置されていてもよい。この場合、第3のコイルは、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置されていてもよい。あるいは、媒体対向面に配置された主磁極の端面と交差し、記録媒体の進行方向に垂直な仮想の平面を想定したとき、第3のコイルの少なくとも一部は、仮想の平面と交差する位置に配置されていてもよい。
【0025】
また、第2のコイルの巻き数および第3のコイルの巻き数は、第1のコイルの巻き数以上であってもよい。あるいは、第2のコイルの巻き数は、第1のコイルの巻き数よりも多く、第3のコイルの巻き数は、第1のコイルの巻き数以上であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドでは、記録シールドから主磁極に至る第1および第2の磁路が形成される。第1の磁路は、第2のヨーク層および第1の連結部を経由する。この第1の磁路は、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置されて、主磁極のうちの媒体対向面から離れた部分と記録シールドとを接続する。第2の磁路は、第1のヨーク層、第2の連結部、第2のヨーク層および第1の連結部を経由する。第1のコイルは、第1の連結部の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部と第2の連結部の間を通過している。第2のコイルは、第2の連結部の周りに巻回されている。これにより、第1のコイルの巻き数を少なくして第1の磁路の長さを短くしても、第1のコイルの起磁力および第2のコイルの起磁力によって、主磁極から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になる。このように、本発明によれば、主磁極に対して記録媒体の進行方向の前側に配置された第1の磁路の長さを短くしながら、主磁極から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層を示す平面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層を示す平面図である。
図8】本発明の第3の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図9】本発明の第3の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
図11】本発明の第4の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図12】本発明の第4の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1および第2のコイルを示す平面図である。
図13】本発明の第5の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図14】本発明の第5の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図15】本発明の第6の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図16】本発明の第6の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図17】本発明の第6の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
図18】本発明の第7の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図19】本発明の第8の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図20】本発明の第8の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層と第2のコイルの第1層を示す平面図である。
図21】本発明の第8の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層と第2のコイルの第2層を示す平面図である。
図22】本発明の第9の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図23】本発明の第9の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図24】本発明の第10の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図25】本発明の第10の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図26】本発明の第10の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1および第3のコイルを示す平面図である。
図27】本発明の第11の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図28】本発明の第11の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図29】本発明の第11の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。
図30】本発明の第11の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
図31】本発明の第12の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図32】本発明の第12の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。
図33】本発明の第12の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
図34】本発明の第13の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図35】本発明の第14の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図36】本発明の第14の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図37】本発明の第14の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層と第3のコイルの第1層を示す平面図である。
図38】本発明の第14の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層と第3のコイルの第2層を示す平面図である。
図39】本発明の第15の実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。
図40】本発明の第15の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
図41】本発明の第15の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。
図42】本発明の第15の実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッドの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。図1において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図2は、本実施の形態に係る磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図3は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図4は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。図2ないし図4において記号TWで示す矢印は、トラック幅方向を表している。
【0029】
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッドと記す。)は、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなり、上面1aを有する基板1と、この基板1の上面1a上に配置されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる第1の再生シールド層3と、第1の再生シールド層3を覆うように配置された絶縁膜である第1の再生シールドギャップ膜4と、この第1の再生シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に配置された絶縁膜である第2の再生シールドギャップ膜6と、この第2の再生シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる第2の再生シールド層7とを備えている。
【0030】
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面80に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。
【0031】
第1の再生シールド層3から第2の再生シールド層7までの部分は、再生ヘッド部8を構成する。磁気ヘッドは、更に、第2の再生シールド層7の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層71と、再生ヘッド部8および絶縁層71の周囲において基板1の上面1aの上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層72とを備えている。絶縁層71,72は、例えばアルミナによって形成されている。絶縁層71,72の上面は平坦化されている。
【0032】
磁気ヘッドは、更に、絶縁層71,72の上に配置された記録ヘッド部9を備えている。記録ヘッド部9は、第1のコイル21と、第2のコイル11と、リード層10,20と、主磁極15と、記録シールド16と、ギャップ部17と、第1のヨーク層30と、第2のヨーク層40とを有している。第1のコイル21、第2のコイル11およびリード層10,20は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。第1のコイル21と第2のコイル11は、直列または並列に接続されている。主磁極15は、媒体対向面80に配置された端面を有し、第1のコイル21および第2のコイル11によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。図1は、媒体対向面80に配置された主磁極15の端面と交差し、媒体対向面80および基板1の上面1aに垂直な断面(以下、主断面と言う。)を示している。リード層10,20は、第1のコイル21と第2のコイル11に通電するために用いられる。
【0033】
記録シールド16は、媒体対向面80に配置された端面を有している。記録シールド16の端面は、第1ないし第4の端面部分16Aa,16Ba,16Ca,16Daを含んでいる。第1の端面部分16Aaは、主磁極15の端面に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第2の端面部分16Baは、主磁極15の端面に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。第3および第4の端面部分16Ca,16Daは、主磁極15の端面に対してトラック幅方向TWの両側に配置されている。媒体対向面80において、第1ないし第4の端面部分16Aa,16Ba,16Ca,16Daは、主磁極15の端面の周りを囲むように配置されている。
【0034】
記録シールド16は、磁性材料によって形成されている。記録シールド16の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0035】
第1のヨーク層30と第2のヨーク層40は、いずれも記録シールド16に磁気的に接続されている。第1のヨーク層30は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。第2のヨーク層40は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第1および第2のヨーク層30,40は、それぞれ磁性材料によって形成されている。第1および第2のヨーク層30,40の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0036】
記録ヘッド部9は、更に、第1の連結部41と、第2の連結部31とを有している。第1の連結部41は、媒体対向面80から離れた位置に配置され、主磁極15と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。第2の連結部31は、媒体対向面80から離れた位置に配置され、主磁極15に接することなく第1のヨーク層30と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。図1に示した例では、第2の連結部31は、第1の連結部41に対して、媒体対向面80からより遠い位置に配置されている。
【0037】
第1の連結部41および第2の連結部31は、それぞれ磁性材料によって形成されている。第1の連結部41および第2の連結部31の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。第1の連結部41は、1つの磁性層42によって構成されている。第2の連結部31は、磁性層32,33,34,35,36を含んでいる。
【0038】
記録ヘッド部9は、更に、第1のヨーク層30と記録シールド16とを磁気的に連結する磁性材料よりなる磁性層38,39を有している。磁性層38,39の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0039】
第1のヨーク層30は、絶縁層71の上に配置されている。磁性層32,38は、いずれも第1のヨーク層30の上に配置されている。磁性層38は、媒体対向面80の近傍に配置されている。磁性層32は、磁性層38に対して、媒体対向面80からより遠い位置に配置されている。第1のヨーク層30および磁性層38は、それぞれ、媒体対向面80に向いた端面を有し、これらの端面は、媒体対向面80から離れた位置に配置されている。第2のコイル11は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。リード層10は、第2のコイル11に連続している。図3では、第2のコイル11とリード層10の境界を点線で示している。
【0040】
磁気ヘッドは、更に、第1のヨーク層30の周囲において絶縁層71,72の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層51と、磁性層32,38の周囲において第1のヨーク層30および絶縁層51の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層52とを備えている。第2のコイル11およびリード層10は、絶縁層52の上に配置されている。絶縁層51,52は、例えばアルミナによって形成されている。
【0041】
磁気ヘッドは、更に、第2のコイル11の巻線間ならびに第2のコイル11、リード層10および磁性層32の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層53と、磁性層38および絶縁層53の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層54とを備えている。第2のコイル11、リード層10、磁性層32,38および絶縁層53,54の上面は平坦化されている。絶縁層53は、例えばフォトレジストによって形成されている。絶縁層54は、例えばアルミナによって形成されている。
【0042】
磁性層33は、磁性層32の上に配置されている。磁性層39は、磁性層38および絶縁層54の上に配置されている。磁性層39は、媒体対向面80に配置された端面を有している。磁気ヘッドは、更に、第2のコイル11、リード層10および絶縁層53,54の上面の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層55と、磁性層33,39の周囲において絶縁層55の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層56とを備えている。磁性層33,39および絶縁層56の上面は平坦化されている。絶縁層55,56は、例えばアルミナによって形成されている。
【0043】
図2に示したように、記録シールド16は、第1のシールド16Aと、第2のシールド16Bと、2つのサイドシールド16C,16Dとを有している。2つのサイドシールド16C,16Dは、主磁極15のトラック幅方向TWの両側に配置されている。第1のシールド16Aは、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第2のシールド16Bは、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。サイドシールド16C,16Dは、第1のシールド16Aと第2のシールド16Bを磁気的に連結している。
【0044】
図1および図2に示したように、第1のシールド16Aは、第1の端面部分16Aaと、下面と、上面と、第1の端面部分16Aaと上面とを接続する接続面とを有している。第1のシールド16Aの接続面における任意の位置の媒体対向面80からの距離は、任意の位置が基板1の上面1aから離れるに従って大きくなっている。図2に示したように、第2のシールド16Bは、第2の端面部分16Baを有している。サイドシールド16Cは、第3の端面部分16Caを有している。サイドシールド16Dは、第4の端面部分16Daを有している。
【0045】
第2のシールド16Bは、磁性層39の上に配置されている。磁性層34は、磁性層33の上に配置されている。磁気ヘッドは、更に、非磁性材料よりなる非磁性層57を備えている。非磁性層57は、第2のシールド16Bおよび磁性層34の周囲において、磁性層39の上面の一部および絶縁層56の上面の上に配置されている。非磁性層57は、例えばアルミナによって形成されている。
【0046】
主磁極15は、記録媒体の進行方向Tの前側の端に位置する面である上面(図1参照)と、上面とは反対側の下端部(図1参照)と、トラック幅方向TWの両側に配置された第1および第2の側部(図2参照)とを有している。サイドシールド16Cは、主磁極15の第1の側部に対向する第1の側壁を有している。サイドシールド16Dは、主磁極15の第2の側部に対向する第2の側壁を有している。
【0047】
ギャップ部17は、主磁極15と記録シールド16との間に設けられている。磁気ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、その一部がギャップ部17の一部を構成する第1のギャップ層19と、非磁性材料よりなり、その一部がギャップ部17の他の一部を構成する第2のギャップ層18とを備えている。第1のギャップ層19のうち、ギャップ部17の一部を構成する部分は、主磁極15と第1のシールド16Aとの間に配置されている。第2のギャップ層18のうち、ギャップ部17の他の一部を構成する部分は、主磁極15と第2のシールド16Bおよびサイドシールド16C,16Dとの間に配置されている。
【0048】
サイドシールド16C,16Dは、第2のシールド16Bの上に配置され、第2のシールド16Bの上面に接している。第2のギャップ層18は、サイドシールド16C,16Dの側壁、第2のシールド16Bおよび非磁性層57の上面に沿って配置されている。第2のギャップ層18は、非磁性材料によって形成されている。第2のギャップ層18を構成する非磁性材料は、絶縁材料でもよいし、非磁性金属材料でもよい。第2のギャップ層18を構成する絶縁材料としては、例えばアルミナが用いられる。第2のギャップ層18を構成する非磁性金属材料としては、例えばRuが用いられる。
【0049】
主磁極15は、第2のシールド16Bおよび非磁性層57の上面と主磁極15との間に第2のギャップ層18が介在するように、第2のシールド16Bおよび非磁性層57の上に配置されている。また、図2に示したように、主磁極15とサイドシールド16C,16Dとの間にも、第2のギャップ層18が介在している。
【0050】
主磁極15は、金属磁性材料によって形成されている。主磁極15の材料としては、例えば、NiFe、CoNiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。主磁極15の形状については、後で詳しく説明する。
【0051】
磁性層35は、磁性層34の上に配置されている。磁気ヘッドは、更に、主磁極15、サイドシールド16C,16Dおよび磁性層35の周囲に配置された非磁性材料よりなる非磁性層61を備えている。本実施の形態では、特に、非磁性層61は、アルミナ等の非磁性絶縁材料よりなる。
【0052】
磁気ヘッドは、更に、媒体対向面80から離れた位置において、主磁極15の上面の一部の上に配置された非磁性金属材料よりなる非磁性金属層58と、この非磁性金属層58の上面の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層59とを備えている。非磁性金属層58は、例えばRu、NiCrまたはNiCuによって形成されている。絶縁層59は、例えばアルミナによって形成されている。
【0053】
第1のギャップ層19は、主磁極15、非磁性金属層58および絶縁層59を覆うように配置されている。第1のギャップ層19は、非磁性材料によって形成されている。第1のギャップ層19の材料は、アルミナ等の非磁性絶縁材料でもよいし、Ru、NiCu、Ta、W、NiB、NiP等の非磁性導電材料でもよい。
【0054】
第1のシールド16Aは、サイドシールド16C,16Dおよび第1のギャップ層19の上に配置され、サイドシールド16C,16Dおよび第1のギャップ層19の上面に接している。媒体対向面80において、第1のシールド16Aの第1の端面部分16Aaの一部は、主磁極15の端面に対して、第1のギャップ層19の厚みによる所定の間隔を開けて配置されている。第1のギャップ層19の厚みは、5〜60nmの範囲内であることが好ましく、例えば30〜60nmの範囲内である。主磁極15の端面は、第1のギャップ層19に隣接する辺を有し、この辺はトラック幅を規定している。
【0055】
磁性層36は、磁性層35の上に配置されている。磁性層42は、媒体対向面80から離れた位置において主磁極15の上に配置されている。第1のコイル21は、リード層20に連続している。図4では、第1のコイル21とリード層20の境界を点線で示している。また、第1のコイル21は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)の間を通過している。
【0056】
磁気ヘッドは、更に、絶縁材料よりなる絶縁膜62および絶縁層63,64を備えている。絶縁膜62は、第1のコイル21およびリード層20のそれぞれの上面以外の面に接するように設けられている。絶縁層63は、第1のコイル21、リード層20、第1のシールド16Aおよび磁性層36の周囲に配置されている。第1のコイル21、リード層20、第1のシールド16A、磁性層36,42、絶縁膜62および絶縁層63の上面は平坦化されている。絶縁層64は、第1のコイル21、リード層20および絶縁膜62の上面の上に配置されている。絶縁膜62および絶縁層63,64は、例えばアルミナによって形成されている。
【0057】
第2のヨーク層40は、第1のシールド16A、磁性層36,42および絶縁層64の上に配置されている。また、第2のヨーク層40は、媒体対向面80に向いた端面を有し、この端面は、媒体対向面80から離れた位置に配置されている。第2のヨーク層40の端面における任意の位置の媒体対向面80からの距離は、任意の位置が基板1の上面1aから離れるに従って大きくなっている。
【0058】
磁気ヘッドは、更に、第2のヨーク層40の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層68と、非磁性材料よりなり、記録ヘッド部9を覆うように配置された保護層70とを備えている。絶縁層68は、例えばアルミナによって形成されている。保護層70は、例えば、アルミナ等の無機絶縁材料によって形成されている。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面80と再生ヘッド部8と記録ヘッド部9とを備えている。再生ヘッド部8と記録ヘッド部9は、基板1の上に積層されている。再生ヘッド部8は、記録ヘッド部9に対して、記録媒体の進行方向Tの後側(リーディング側)に配置されている。
【0060】
記録ヘッド部9は、第1のコイル21と、第2のコイル11と、リード層10,20と、主磁極15と、記録シールド16と、ギャップ部17と、第1のヨーク層30と、第2のヨーク層40と、第1の連結部41と、第2の連結部31と、磁性層38,39とを有している。記録シールド16は、第1のシールド16Aと、第2のシールド16Bと、2つのサイドシールド16C,16Dとを有している。ギャップ部17は、第1のギャップ層19の一部および第2のギャップ層18の一部によって構成されている。
【0061】
第1のヨーク層30は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。また、第1のヨーク層30は、磁性層38,39を介して記録シールド16の第2のシールド16Bに磁気的に接続されている。第2のヨーク層40は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。また、第2のヨーク層40は、記録シールド16の第1のシールド16Aに磁気的に接続されている。
【0062】
第1の連結部41は、主磁極15と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。第2の連結部31は、第1のヨーク層30と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。
【0063】
次に、図1図3および図4を参照して、第1のコイル21および第2のコイル11について詳しく説明する。図1に示したように、第2のコイル11は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。図3に示したように、第2のコイル11は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。図3に示した例では、第2のコイル11は、第2の連結部31(磁性層32)に約2回巻かれている。また、第2のコイル11は、第1のコイル21に電気的に接続されたコイル接続部11Sを有している。上方から見て、第2のコイル11は、コイル接続部11Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。
【0064】
図4に示したように、第1のコイル21は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)の間を通過している。図4に示した例では、第1のコイル21は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。
【0065】
また、第1のコイル21は、第2のコイル11のコイル接続部11Sに電気的に接続されたコイル接続部21Eを有している。上方から見て、第1のコイル21は、リード層20との境界からコイル接続部21Eに向かって反時計回り方向に巻かれている。コイル接続部21Eは、第1のコイル21と第2のコイル11との間の複数の層を貫通する図示しない柱状の接続層を介してコイル接続部11Sに電気的に接続されている。接続層は、銅等の導電材料によって形成されている。図3および図4に示した例では、第1のコイル21と第2のコイル11は、直列に接続されている。
【0066】
次に、図1ないし図4を参照して、主磁極15の形状について詳しく説明する。図3および図4に示したように、主磁極15は、媒体対向面80に配置された端面とその反対側の端部とを有するトラック幅規定部15Aと、トラック幅規定部15Aの端部に接続された幅広部15Bとを含んでいる。また、図1および図2に示したように、主磁極15は、記録媒体の進行方向Tの前側の端に位置する面である上面と、上面とは反対側の下端部と、第1の側部と、第2の側部とを有している。幅広部15Bにおける上面のトラック幅方向TWの幅は、トラック幅規定部15Aにおける上面のトラック幅方向TWの幅よりも大きい。
【0067】
トラック幅規定部15Aにおける上面のトラック幅方向TWの幅は、媒体対向面80からの距離によらずにほぼ一定である。幅広部15Bにおける上面のトラック幅方向TWの幅は、例えば、トラック幅規定部15Aとの境界位置ではトラック幅規定部15Aにおける上面のトラック幅方向TWの幅と等しく、媒体対向面80から離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。ここで、媒体対向面80に垂直な方向についてのトラック幅規定部15Aの長さをネックハイトと呼ぶ。ネックハイトは、例えば0〜0.3μmの範囲内である。ネックハイトが0の場合は、トラック幅規定部15Aがなく、幅広部15Bの端面が媒体対向面80に配置される。
【0068】
主磁極15の上面は、媒体対向面80に近い順に、連続するように配置された第1の部分、第2の部分、第3の部分および第4の部分を含んでいる。第1の部分は、媒体対向面80に配置された第1の端部と、その反対側の第2の端部とを有している。第2の部分は、第1の部分の第2の端部に接続されている。第3の部分は、第2の部分に接続された第1の端部と、第1の端部よりも媒体対向面80からより遠い位置に配置された第2の端部とを有している。第4の部分は、第3の部分の第2の端部に接続されている。第1および第3の部分は、それぞれ、その第2の端部がその第1の端部に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されるように傾斜している。第2および第4の部分は、実質的に媒体対向面80に垂直な方向に延在している。第1のシールド16Aの下面は、ギャップ部17の一部を構成する第1のギャップ層19を介して、主磁極15の上面の第1の部分に対向する部分を含んでいる。
【0069】
主磁極15の下端部は、媒体対向面80に近い順に、連続するように配置された第1の部分、第2の部分、第3の部分および第4の部分を含んでいる。第1の部分は、媒体対向面80に配置された第1の端部と、その反対側の第2の端部とを有している。第2の部分は、第1の部分の第2の端部に接続されている。第3の部分は、第2の部分に接続された第1の端部と、第1の端部よりも媒体対向面80からより遠い位置に配置された第2の端部とを有している。第1ないし第3の部分は、2つの面が交わってできるエッジでもよいし、2つの面を連結する面でもよい。第4の部分は、第3の部分の第2の端部に接続された面である。第1および第3の部分は、それぞれ、その第2の端部がその第1の端部に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されるように傾斜している。第2および第4の部分は、実質的に媒体対向面80に垂直な方向に延在している。
【0070】
媒体対向面80に配置された主磁極15の端面は、第1のギャップ層19に隣接する第1の辺と、第1の辺の一端部に接続された第2の辺と、第1の辺の他端部に接続された第3の辺とを有している。第1の辺はトラック幅を規定する。記録媒体に記録される記録ビットの端部の位置は、第1の辺の位置によって決まる。媒体対向面80に配置された主磁極15の端面のトラック幅方向TWの幅は、第1の辺から離れるに従って、すなわち基板1の上面1aに近づくに従って小さくなっている。第2の辺と第3の辺がそれぞれ基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、例えば7°〜17°の範囲内であり、10°〜15°の範囲内であることが好ましい。第1の辺の長さは、例えば0.05〜0.20μmの範囲内である。
【0071】
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの作用および効果について説明する。この磁気ヘッドでは、記録ヘッド部9によって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッド部8によって、記録媒体に記録されている情報を再生する。記録ヘッド部9において、第1のコイル21および第2のコイル11は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。第1のコイル21によって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第2のコイル11によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。従って、主磁極15は、第1のコイル21によって発生された磁界に対応する磁束と第2のコイル11によって発生された磁界に対応する磁束とを通過させる。
【0072】
なお、第1のコイル21および第2のコイル11は、直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。いずれにしても、主磁極15において、第1のコイル21によって発生された磁界に対応する磁束と第2のコイル11によって発生された磁界に対応する磁束が同じ方向に流れるように、第1のコイル21および第2のコイル11は接続される。
【0073】
主磁極15は、上述のように第1のコイル21および第2のコイル11によって発生された磁界に対応する磁束を通過させて、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0074】
記録シールド16は、磁気ヘッドの外部から磁気ヘッドに印加された外乱磁界を取り込む。これにより、外乱磁界が主磁極15に集中して取り込まれることによって記録媒体に対して誤った記録が行なわれることを防止することができる。また、記録シールド16は、主磁極15の端面より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込んで、この磁束が記録媒体に達することを阻止する機能を有している。
【0075】
また、記録シールド16、第1のヨーク層30、第2のヨーク層40、第1の連結部41、第2の連結部31および磁性層38,39は、主磁極15の端面より発生されて、記録媒体を磁化した磁束を還流させる機能を有している。具体的に説明すると、主磁極15の端面より発生されて、記録媒体を磁化した磁束の一部は、記録シールド16、第2のヨーク層40および第1の連結部41(磁性層42)を経由する第1の磁路を通過して主磁極15に還流する。また、主磁極15の端面より発生されて、記録媒体を磁化した磁束の他の一部は、記録シールド16、磁性層39,38、第1のヨーク層30、第2の連結部31(磁性層32〜36)、第2のヨーク層40および第1の連結部41を経由する第2の磁路を通過して主磁極15に還流する。このように、本実施の形態では、記録シールド16から主磁極15に至る第1および第2の磁路が形成される。第1の磁路は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されて、主磁極15のうちの媒体対向面80から離れた部分と記録シールド16とを接続する。
【0076】
記録シールド16は、第1のシールド16Aと、第2のシールド16Bと、2つのサイドシールド16C,16Dとを有している。これにより、本実施の形態によれば、主磁極15の端面に対して記録媒体の進行方向Tの前側および後側ならびにトラック幅方向TWの両側において、主磁極15の端面より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込んで、この磁束が記録媒体に達することを抑制することができる。その結果、本実施の形態によれば、スキューに起因した隣接トラック消去の発生を抑制することができる。第1および第2のシールド16A,16Bは、スキューに起因した隣接トラック消去の発生を抑制することに寄与する他に、記録磁界の勾配を大きくすることに寄与する。サイドシールド16C,16Dは、特に隣接トラック消去を抑制することへの寄与が大きい。このような記録シールド16の機能により、本実施の形態によれば、記録密度を高めることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、図2に示したように、媒体対向面80において、トラック幅方向TWにおける主磁極15の第1および第2の側部の間隔すなわち主磁極15の端面の幅は、基板1の上面1aに近づくに従って小さくなっている。本実施の形態によれば、この特徴によっても、スキューに起因した隣接トラック消去の発生を抑制することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、媒体対向面80において、トラック幅方向TWにおけるサイドシールド16C,16Dにおける第1および第2の側壁の間隔は、主磁極15の第1および第2の側部の間隔と同様に、基板1の上面1aに近づくに従って小さくなっている。従って、本実施の形態によれば、媒体対向面80において、第1の側部と第1の側壁との間隔、ならびに第2の側部と第2の側壁との間隔を、小さく、且つ均一にすることが可能になる。これにより、サイドシールド16C,16Dによって、主磁極15の端面より発生されてトラック幅方向TWの両側に広がる磁束を、効果的に取り込むことができる。その結果、本実施の形態によれば、特にサイドシールド16C,16Dの機能を高めることが可能になり、スキューに起因した隣接トラック消去の発生をより効果的に抑制することが可能になる。
【0079】
記録シールド16の機能を効果的に発揮させるためには、記録シールド16によって多くの磁束を取り込めることが重要である。そのため、本実施の形態のように、磁気ヘッドが、記録シールド16から主磁極15に至る第1および第2の磁路を備えることは有効である。
【0080】
また、本実施の形態では、主磁極15の上面は、その第2の端部がその第1の端部に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されるように傾斜した第1および第3の部分を含み、主磁極15の下端部は、その第2の端部がその第1の端部に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されるように傾斜した第1および第3の部分を含んでいる。これにより、本実施の形態によれば、媒体対向面80における主磁極15の厚みを小さくすることができることから、スキューに起因した隣接トラック消去の発生を抑制することができる。また、媒体対向面80から離れた位置では主磁極15の厚みを大きくすることができることから、主磁極15によって多くの磁束を媒体対向面80まで導くことができ、その結果、オーバーライト特性等の記録特性を向上させることができる。
【0081】
また、記録密度を高めるために記録信号の周波数が高くなってくると、磁気ヘッドには、主磁極15の端面より発生される磁束の方向の変化の速度の向上が求められる。また、記録ビットの端部の位置は、媒体対向面80に配置された主磁極15の端面のうち、記録媒体の進行方向Tの前側に配置された端部の位置によって決まる。そのため、記録密度を高めるためには、主磁極15の端面より発生される磁束の方向の変化の速度の向上と共に、第1のシールド16Aを通過する磁束の方向の変化の速度の向上も求められる。この要求に応えるためには、第1のシールド16Aと主磁極15を経由する磁路の長さを短くすることが有効である。本実施の形態では、主磁極15と第1のシールド16Aとを接続する第1の磁路を設けることによって、第1の磁路が設けられていない場合に比べて、上記の磁路の長さを短くすることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、主磁極15、ギャップ部17(ギャップ層19の一部)、記録シールド16および第1の磁路(第2のヨーク層40および第1の連結部41)は、これらによって囲まれた空間を形成する。この空間を通過する第1のコイル21の巻き数は約1回である。本実施の形態によれば、第1のコイル21の巻き数を少なくすることによって、第1の磁路の長さをより短くすることが可能になる。これにより、主磁極15の端面より発生される磁束の方向の変化の速度と、第1のシールド16Aを通過する磁束の方向の変化の速度の両方を向上させることができ、その結果、記録密度を高めることが可能になる。
【0083】
しかし、第1のコイル21の巻き数を少なくしただけでは、第1のコイル21による起磁力が小さくなって、主磁極15から十分な大きさの記録磁界を発生させることができなくなるおそれがある。これに対し、本実施の形態では、第1の磁路および第1のコイル21に加えて、第2の磁路および第2のコイル11が設けられている。これにより、第1のコイル21の巻き数を少なくして第1の磁路の長さを短くしても、第1のコイル21の起磁力および第2のコイル11の起磁力によって、主磁極15から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になる。
【0084】
本実施の形態では、特に、第2のコイル11の巻き数は約2回であり、第1のコイル21の巻き数は約1回である。ここで、第2のコイル11が設けられておらず、第1のコイル21の巻き数が3回である比較例の磁気ヘッドを考える。比較例の磁気ヘッドのその他の構成は、本実施の形態に係る磁気ヘッドと同様である。本実施の形態における第1のコイル21および第2のコイル11による合計の起磁力は、比較例の磁気ヘッドにおける第1のコイル21による起磁力とほぼ等しくなる。一方、本実施の形態では、比較例の磁気ヘッドに比べて、第1のコイル21の巻き数が少ないことから、第1の磁路の長さを短くすることができる。このようにして、本実施の形態によれば、主磁極15から発生される記録磁界の大きさを比較例の磁気ヘッドと同等にしながら、比較例の磁気ヘッドよりも、第1の磁路の長さを短くすることができる。
【0085】
また、本実施の形態では、第1のコイル21の巻き数に制約されることなく、第2のコイル11の巻き数を多くすることができる。第2のコイル11の巻き数は、第1のコイル21の巻き数以上であってもよいし、第1のコイル21の巻き数よりも多くてもよい。そして、このように第2のコイル11の巻き数を多くすることによって、第2のコイル11による起磁力を大きくすることが可能になる。
【0086】
特に、本実施の形態では、第2の連結部31は、第1の連結部41に対して、媒体対向面80からより遠い位置に配置されている。これにより、容易に、第2の連結部31の周りに巻回される第2のコイル11の巻き数を多くすることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、第2のコイル11は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。従って、第1のコイル21の配置に制約されることなく、第2のコイル11を配置することができる。これによって、容易に、第2のコイル11の巻き数を多くすることができる。
【0088】
以上のことから、本実施の形態によれば、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置された第1の磁路の長さを短くしながら、主磁極15から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になる。
【0089】
[第2の実施の形態]
次に、図5ないし図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図5は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図5は前記主断面を示している。図6は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層を示す平面図である。図7は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層を示す平面図である。
【0090】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第1の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、第1の連結部41は、磁性層42に加えて、磁性層42の上に配置された磁性層43を含んでいる。また、第2の連結部31は、磁性層32〜36に加えて、磁性層36の上に配置された磁性層37を含んでいる。また、記録ヘッド部9は、第1のシールド16Aの上に積層された磁性材料よりなる磁性層44を有している。磁性層44は、媒体対向面80に向いた端面を有し、この端面は、媒体対向面80から離れた位置に配置されている。磁性層44の端面における任意の位置の媒体対向面80からの距離は、任意の位置が基板1の上面1aから離れるに従って大きくなっている。磁性層44の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第1の実施の形態における第1のコイル21の代わりに、第1層22Aおよび第2層22Bを有する第1のコイル22を有している。第1のコイル22は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0092】
第1層22Aの、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第1の実施の形態における第1のコイル21と同様である。すなわち、第1層22Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図6に示した例では、第1層22Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。
【0093】
また、第1層22Aは、第2層22Bに電気的に接続されたコイル接続部22ASと、第2のコイル11のコイル接続部11S(図3参照)に電気的に接続されたコイル接続部22AEとを有している。上方から見て、第1層22Aは、コイル接続部22ASからコイル接続部22AEに向かって反時計回り方向に巻かれている。コイル接続部22AEは、第1の実施の形態で説明した接続層を介してコイル接続部11Sに電気的に接続されている。
【0094】
図7に示したように、第2層22Bは、リード層20に連続している。図7では、第2層22Bとリード層20の境界を点線で示している。また、第2層22Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層43)と第2の連結部31(磁性層37)との間を通過している。図7に示した例では、第2層22Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに約1回巻かれている。
【0095】
また、第2層22Bは、第1層22Aのコイル接続部22ASに電気的に接続されたコイル接続部22BEを有している。上方から見て、第2層22Bは、リード層20との境界からコイル接続部22BEに向かって反時計回り方向に巻かれている。
【0096】
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、絶縁材料よりなる絶縁膜65および絶縁層66,67を備えている。絶縁膜65は、第2層22Bおよびリード層20のそれぞれの上面以外の面に接するように設けられている。絶縁層66は、第2層22B、リード層20および磁性層37,44の周囲に配置されている。第2層22B、リード層20、磁性層37,43,44、絶縁膜65および絶縁層66の上面は平坦化されている。絶縁層67は、第2層22B、リード層20および絶縁膜65の上面の上に配置されている。絶縁膜65および絶縁層66,67は、例えばアルミナによって形成されている。
【0097】
絶縁層64および絶縁膜65には、第1層22Aのコイル接続部22ASを露出させる開口部が形成されている。第2層22Bのコイル接続部22BEは、絶縁層64および絶縁膜65に形成された開口部を通して、コイル接続部22ASに電気的に接続されている。
【0098】
また、本実施の形態では、第2のヨーク層40は、磁性層37,43,44および絶縁層67の上に配置されている。第1の連結部41(磁性層42,43)は、主磁極15と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。第2の連結部31(磁性層32〜37)は、第1のヨーク層30と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。磁性層44は、記録シールド16の第1のシールド16Aと第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。
【0099】
本実施の形態では、第1のコイル22の第1層22Aと第2層22Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0100】
[第3の実施の形態]
次に、図8ないし図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図8は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図8は前記主断面を示している。図9は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図10は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【0101】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第1の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第1の実施の形態における第1のコイル21および第2のコイル11の代わりに、第1のコイル23および第2のコイル12を有している。第1のコイル23および第2のコイル12は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。
【0102】
第2のコイル12の、主磁極15、第2の連結部31(磁性層32)およびリード層10に対する位置関係は、第1の実施の形態における第2のコイル11と同様である。すなわち、第2のコイル12は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置され、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。図9に示した例では、第2のコイル12は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに約4回巻かれている。リード層10は、第2のコイル12に連続している。図9では、第2のコイル12とリード層10の境界を点線で示している。また、第2のコイル12は、第1のコイル23に電気的に接続されたコイル接続部12Sを有している。上方から見て、第2のコイル12は、コイル接続部12Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。
【0103】
第1のコイル23の、リード層20、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第1の実施の形態における第1のコイル21と同様である。すなわち、第1のコイル23は、リード層20に連続している。図10では、第1のコイル23とリード層20の境界を点線で示している。また、第1のコイル23は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図10に示した例では、第1のコイル23は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約2回巻かれている。また、第1のコイル23は、第2のコイル12のコイル接続部12Sに電気的に接続されたコイル接続部23Eを有している。上方から見て、第1のコイル23は、リード層20との境界からコイル接続部23Eに向かって反時計回り方向に巻かれている。
【0104】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、更に、前記主断面から離れた位置において第1のコイル23と第2のコイル12の間に配置されたリード層81を有している。リード層81は、銅等の導電材料によって形成されている。図10に示したように、リード層81は、媒体対向面80に垂直な方向に延びている。第1のコイル23のコイル接続部23Eは、第1のコイル23と第2のコイル12との間の複数の層を貫通する図示しない柱状の接続層とリード層81を介して、第2のコイル12のコイル接続部12Sに電気的に接続されている。接続層とリード層81は直列に接続されている。この場合、リード層81がコイル接続部12Sに直接接続され、接続層がリード層81とコイル接続部23Eとを接続していてもよい。あるいは、リード層81がコイル接続部23Eに直接接続され、接続層がリード層81とコイル接続部12Sとを接続していてもよい。
【0105】
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、第1のコイル23の巻線間に配置された絶縁材料よりなる絶縁層69を備えている。絶縁層69は、例えばフォトレジストによって形成されている。
【0106】
また、本実施の形態では、主磁極15の上面は、第1の実施の形態で説明した第1ないし第4の部分のうち、第2および第3の部分を含んでいない。主磁極15の上面において、第4の部分は、第1の部分の第2の端部に接続されている。
【0107】
本実施の形態では、第1のコイル23によって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第2のコイル12によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0108】
[第4の実施の形態]
次に、図11および図12を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図11は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図11は前記主断面を示している。図12は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1および第2のコイルを示す平面図である。
【0109】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第1の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、磁性層32,33,38,39および絶縁層52〜56が設けられていない。本実施の形態における第1のヨーク層30は、媒体対向面80に配置された端面を有すると共に、記録シールド16の第2のシールド16Bに接し、第2のシールド16Bに磁気的に接続されている。磁性層34は、第1のヨーク層30の上面に接している。
【0110】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第1の実施の形態における第1のコイル21および第2のコイル11の代わりに、第1のコイル24および第2のコイル25を有している。図12では、第1のコイル24、第2のコイル25およびリード層20の境界を点線で示している。第1および第2のコイル24,25は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。
【0111】
第1のコイル24の、リード層20、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第1の実施の形態における第1のコイル21と同様である。すなわち、第1のコイル24は、リード層20に連続している。また、第1のコイル24は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図12に示した例では、第1のコイル24は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。
【0112】
第2のコイル25は、第1のコイル24に連続し、第2の連結部31(磁性層36)の周りに巻回されている。図12に示した例では、第2のコイル25は、第2の連結部31(磁性層36)の周りに約1回巻かれている。また、第2のコイル25は、リード層10に電気的に接続されたコイル接続部25Eを有している。
【0113】
上方から見て、第1のコイル24は、リード層20との境界から第2のコイル25との境界に向かって反時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第2のコイル25は、第1のコイル24との境界からコイル接続部25Eに向かって時計回り方向に巻かれている。第1および第2のコイル24,25の巻線間、ならびに、第1のコイル24および第2のコイル25の周囲には、絶縁層63が配置されている。
【0114】
なお、リード層10は、第1および第2のコイル24,25よりも基板1の上面1aにより近い位置に配置されていてもよいし、第1および第2のコイル24,25よりも基板1の上面1aからより遠い位置に配置されていてもよい。
【0115】
本実施の形態では、第2のコイル25は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第1のコイル24によって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第2のコイル25によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。
【0116】
本実施の形態では、第1の実施の形態において第2のコイル11が主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されていることによる効果は得られない。その代わり、本実施の形態によれば、再生ヘッド部8と主磁極15との間にコイルが存在しないことから、再生ヘッド部8と主磁極15との間の距離を小さくすることが可能になる。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0117】
[第5の実施の形態]
次に、図13および図14を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図13は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図13は前記主断面を示している。図14は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
【0118】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第4の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第4の実施の形態における第1のコイル24の代わりに、第1の実施の形態における第1のコイル21を有している。
【0119】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第4の実施の形態における第2のコイル25の代わりに、第2のコイル26を有している。ここで、媒体対向面80に配置された主磁極15の端面と交差し、記録媒体の進行方向Tに垂直な仮想の平面を想定する。第2のコイル26は、上記仮想の平面と交差する位置に配置されている。第2のコイル26は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0120】
図14に示したように、第2のコイル26は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに巻回されている。図14に示した例では、第2のコイル26は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに約1回巻かれている。リード層10は、第2のコイル26に連続している。図14では、第2のコイル26とリード層10の境界を点線で示している。
【0121】
また、第2のコイル26は、第1のコイル21のコイル接続部21E(図4参照)に電気的に接続されたコイル接続部26Sを有している。上方から見て、第2のコイル26は、コイル接続部26Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。
【0122】
第1のコイル21と第2のコイル26の間には、絶縁膜62が介在している。絶縁膜62には、コイル接続部26Sを露出させる開口部が形成されている。コイル接続部26Sは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部21Eに電気的に接続されている。
【0123】
第2のコイル26およびリード層10の周囲には、非磁性層61が配置されている。また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、第2のコイル26およびリード層10と、主磁極15、第2のギャップ層18、磁性層35および非磁性層57との間に介在する絶縁材料よりなる絶縁膜60を備えている。絶縁膜60は、例えばアルミナによって形成されている。
【0124】
本実施の形態では、第2のコイル26によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第4の実施の形態と同様である。
【0125】
[第6の実施の形態]
次に、図15ないし図17を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図15は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図15は前記主断面を示している。図16は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図17は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【0126】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第5の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第5の実施の形態における第2のコイル26の代わりに、第2のコイル27を有している。第2のコイル27は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0127】
第2のコイル27の、主磁極15および第2の連結部31(磁性層35)に対する位置関係は、第5の実施の形態における第2のコイル26と同様である。すなわち、第2のコイル27は、第5の実施の形態で説明した仮想の平面と交差する位置に配置されている。また、第2のコイル27は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに巻回されている。図16に示した例では、第2のコイル27は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに約2回巻かれている。第2のコイル27の巻線間および周囲には、非磁性層61が配置されている。
【0128】
また、本実施の形態では、リード層10は、第1のコイル21およびリード層20と同一平面上に位置する。第2のコイル27は、第1のコイル21のコイル接続部21Eに電気的に接続されたコイル接続部27Sと、リード層10に電気的に接続されたコイル接続部27Eとを有している。上方から見て、第2のコイル27は、コイル接続部27Sからコイル接続部27Eに向かって時計回り方向に巻かれている。なお、リード層10は、第2のコイル27よりも基板1の上面1aにより近い位置に配置されていてもよい。
【0129】
第1のコイル21およびリード層10と、第2のコイル27との間には、絶縁膜62が介在している。絶縁膜62には、コイル接続部27S,27Eを露出させる開口部が形成されている。コイル接続部27Sは、絶縁膜62に形成された開口部のうちの1つを通して、コイル接続部21Eに電気的に接続されている。なお、図17に示したように、本実施の形態では、コイル接続部21Eは、第1の実施の形態における図4に示した位置とは異なる位置に配置されている。コイル接続部27Eは、絶縁膜62に形成された開口部のうちの他の1つを通して、リード層10に電気的に接続されている。
【0130】
本実施の形態では、第2のコイル27によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第5の実施の形態と同様である。
【0131】
[第7の実施の形態]
次に、図18を参照して、本発明の第7の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図18は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図18は前記主断面を示している。
【0132】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第5の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第5の実施の形態における第1のコイル21の代わりに、第4の実施の形態における第1のコイル24を有している。また、記録ヘッド部9は、第5の実施の形態における第2のコイル26の代わりに、第1層26Aおよび第2層25Bを有する第2のコイルを有している。第1層26Aの形状および配置は、第5の実施の形態における第2のコイル26と同じである。第2層25Bの形状および配置は、第4の実施の形態における第2のコイル25と同じである。また、第2のコイルは、第1層26Aに設けられたコイル接続部26S(図14参照)と、第2層25Bに設けられたコイル接続部25E(図12参照)とを有している。コイル接続部25Eは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部26Sに電気的に接続されている。本実施の形態では、第2のコイルの一部である第1層26Aが、第5の実施の形態で説明した仮想の平面と交差する位置に配置されている。
【0133】
本実施の形態では、第2のコイルの第1層26Aと第2層25Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4または第5の実施の形態と同様である。
【0134】
[第8の実施の形態]
次に、図19ないし図21を参照して、本発明の第8の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図19は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図19は前記主断面を示している。図20は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層と第2のコイルの第1層を示す平面図である。図21は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層と第2のコイルの第2層を示す平面図である。
【0135】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第2の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、第4の実施の形態と同様に、磁性層32,33,38,39および絶縁層52〜56が設けられていない。本実施の形態における第1のヨーク層30の形状および配置は、第4の実施の形態と同じである。
【0136】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第2の実施の形態における第1のコイル22および第2のコイル11の代わりに、第1のコイル28および第2のコイル29を有している。第1のコイル28は、第1層28Aと第2層28Bとを有している。第2のコイル29は、第1層29Aと第2層29Bとを有している。第1および第2のコイル28,29は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。
【0137】
図20は、第1のコイル28の第1層28Aと第2のコイル29の第1層29Aを示す平面図である。第1層28A,29Aは、同一平面上に位置し、互いに連続している。図20では、第1層28A,29Aの境界を点線で示している。
【0138】
第1層28Aの、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第2の実施の形態における第1層22Aと同様である。すなわち、第1層28Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図20に示した例では、第1層28Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。また、第1のコイル28は、第1層28Aに設けられたコイル接続部28ASを有している。
【0139】
第1層29Aは、第2の連結部31(磁性層36)の周りに巻回されている。図20に示した例では、第1層29Aは、第2の連結部31(磁性層36)の周りに約1回巻かれている。また、第2のコイル29は、第1層29Aに設けられたコイル接続部29AEを有している。
【0140】
上方から見て、第1層28Aは、コイル接続部28ASから第1層29Aとの境界に向かって反時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第1層29Aは、第1層28Aとの境界からコイル接続部29AEに向かって時計回り方向に巻かれている。第1層28A,29Aの巻線間および周囲には、絶縁層63が配置されている。
【0141】
また、本実施の形態では、リード層10は、第1層28A,29Aよりも基板1の上面1aにより近い位置に配置されている。第1層29Aに設けられたコイル接続部29AEは、リード層10に電気的に接続されている。
【0142】
図21は、第1のコイル28の第2層28Bと第2のコイル29の第2層29Bを示す平面図である。第2層28B,29Bおよびリード層20は、同一平面上に位置し、互いに連続している。図21では、第2層28B,29Bおよびリード層20の境界を点線で示している。
【0143】
第2層29Bは、第2の連結部31(磁性層37)の周りに巻回されている。図21に示した例では、第2層29Bは、第2の連結部31(磁性層37)の周りに約1回巻かれている。
【0144】
第2層28Bの、第1の連結部41(磁性層43)および第2の連結部31(磁性層37)に対する位置関係は、第2の実施の形態における第2層22Bと同様である。すなわち、第2層28Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層43)と第2の連結部31(磁性層37)との間を通過している。図21に示した例では、第2層28Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに約1回巻かれている。また、第1のコイル28は、第2層28Bに設けられたコイル接続部28BEを有している。
【0145】
上方から見て、第2層29Bは、リード層20との境界から第2層28Bとの境界に向かって時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第2層28Bは、第2層29Bとの境界からコイル接続部29BEに向かって反時計回り方向に巻かれている。第2層28B,29Bの巻線間および周囲には、絶縁層66が配置されている。
【0146】
第1層28Aと第2層28Bの間には、絶縁層64および絶縁膜65が介在している。絶縁層64および絶縁膜65には、第1層28Aに設けられたコイル接続部28ASを露出させる開口部が形成されている。コイル接続部28BEは、絶縁層64および絶縁膜65に形成された開口部を通して、コイル接続部28ASに電気的に接続されている。
【0147】
本実施の形態では、第2のコイル29は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第1のコイル28の第1層28Aと第2層28Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第2のコイル29の第1層29Aと第2層29Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2または第4の実施の形態と同様である。
【0148】
[第9の実施の形態]
次に、図22および図23を参照して、本発明の第9の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図22は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図22は前記主断面を示している。図23は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。
【0149】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第6の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第6の実施の形態における第1のコイル21の代わりに、第3の実施の形態における第1のコイル23を有している。第1のコイル23のコイル接続部23E(図10参照)は、絶縁膜62に形成された開口部を通して、第2のコイル27のコイル接続部27Sに電気的に接続されている。なお、図23に示したように、本実施の形態では、第2のコイル27のコイル接続部27Eは、第6の実施の形態における図16に示した位置とは異なる位置に配置されている。また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、第3の実施の形態で説明した絶縁層69を備えている。
【0150】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3または第6の実施の形態と同様である。
【0151】
[第10の実施の形態]
次に、図24ないし図26を参照して、本発明の第10の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図24は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図24は前記主断面を示している。図25は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図26は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1および第3のコイルを示す平面図である。
【0152】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第1の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第1の実施の形態における第1のコイル21および第2のコイル11の代わりに、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122を備えている。第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122は、銅等の導電材料によって形成されている。第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122は、直列または並列に接続されている。主磁極15は、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122によって発生された磁界に対応する磁束を通過させる。リード層10,20は、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122に通電するために用いられる。
【0153】
第1のコイル121は、リード層20に連続している。また、第1のコイル121は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)の間を通過している。第3のコイル122は、第1のコイル121に連続し、第2の連結部31(磁性層36)の周りに巻回されている。図26では、第1のコイル121、第3のコイル122およびリード層20の境界を点線で示している。
【0154】
絶縁膜62は、第1のコイル121、第3のコイル122およびリード層20のそれぞれの上面以外の面に接するように設けられている。絶縁層63は、第1のコイル121、第3のコイル122、リード層20、第1のシールド16Aおよび磁性層36の周囲に配置されている。第1のコイル121、第3のコイル122、リード層20、第1のシールド16A、磁性層36,42、絶縁膜62および絶縁層63の上面は平坦化されている。絶縁層64は、第1のコイル121、第3のコイル122、リード層20および絶縁膜62の上面の上に配置されている。
【0155】
次に、図24図25および図26を参照して、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122について詳しく説明する。図24に示したように、第2のコイル111は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。図25に示したように、第2のコイル111は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。図25に示した例では、第2のコイル111は、第2の連結部31(磁性層32)に約3回巻かれている。また、第2のコイル111は、第3のコイル122に電気的に接続されたコイル接続部111Sを有している。上方から見て、第2のコイル111は、コイル接続部111Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。
【0156】
図26に示したように、第1のコイル121は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)の間を通過している。図26に示した例では、第1のコイル121は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。
【0157】
図24に示したように、第2のコイル111および第3のコイル122は、互いに記録媒体の進行方向Tにおける異なる位置に配置されている。本実施の形態では、特に、第3のコイル122は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。また、前述のように、第3のコイル122は、第1のコイル121に連続し、第2の連結部31(磁性層36)の周りに巻回されている。図26に示した例では、第3のコイル122は、第2の連結部31(磁性層36)の周りに約1回巻かれている。
【0158】
また、第3のコイル122は、第2のコイル111のコイル接続部111Sに電気的に接続されたコイル接続部122Eを有している。コイル接続部122Eは、第3のコイル122と第2のコイル111との間の複数の層を貫通する図示しない柱状の接続層を介してコイル接続部111Sに電気的に接続されている。接続層は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0159】
上方から見て、第1のコイル121は、リード層20との境界から第3のコイル122との境界に向かって反時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第3のコイル122は、第1のコイル121との境界からコイル接続部122Eに向かって時計回り方向に巻かれている。
【0160】
図25および図26に示した例では、第1のコイル121、第3のコイル122および第2のコイル111は、この順に直列に接続されている。
【0161】
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの作用および効果について説明する。記録ヘッド部9において、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。第1のコイル121によって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第2のコイル111と第3のコイル122によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。従って、主磁極15は、第1のコイル121によって発生された磁界に対応する磁束、第2のコイル111によって発生された磁界に対応する磁束および第3のコイル122によって発生された磁界に対応する磁束を通過させる。
【0162】
なお、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122は、直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。いずれにしても、主磁極15において、第1のコイル121によって発生された磁界に対応する磁束、第2のコイル111によって発生された磁界に対応する磁束、および第3のコイル122によって発生された磁界に対応する磁束が同じ方向に流れるように、第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122は接続される。
【0163】
主磁極15は、上述のように第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122によって発生された磁界に対応する磁束を通過させて、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0164】
本実施の形態では、第1の磁路および第1のコイル121に加えて、第2の磁路、第2のコイル111および第3のコイル122が設けられている。これにより、第1のコイル121の巻き数を少なくして第1の磁路の長さを短くしても、第1のコイル121の起磁力、第2のコイル111の起磁力および第3のコイル122の起磁力によって、主磁極15から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になる。
【0165】
本実施の形態では、特に、第2のコイル111の巻き数は約3回であり、第3のコイル122の巻き数は約1回であり、第1のコイル121の巻き数は約1回である。ここで、第2のコイル111および第3のコイル122が設けられておらず、第1のコイル121の巻き数が5回である比較例の磁気ヘッドを考える。比較例の磁気ヘッドのその他の構成は、本実施の形態に係る磁気ヘッドと同様である。本実施の形態における第1のコイル121、第2のコイル111および第3のコイル122による合計の起磁力は、比較例の磁気ヘッドにおける第1のコイル121による起磁力とほぼ等しくなる。一方、本実施の形態では、比較例の磁気ヘッドに比べて、第1のコイル121の巻き数が少ないことから、第1の磁路の長さを短くすることができる。このようにして、本実施の形態によれば、主磁極15から発生される記録磁界の大きさを比較例の磁気ヘッドと同等にしながら、比較例の磁気ヘッドよりも、第1の磁路の長さを短くすることができる。
【0166】
また、本実施の形態では、第1のコイル121の巻き数に制約されることなく、第2のコイル111の巻き数および第3のコイル122の巻き数を多くすることができる。第2のコイル111の巻き数および第3のコイル122の巻き数は、第1のコイル121の巻き数以上であってもよい。あるいは、第2のコイル111の巻き数は、第1のコイル121の巻き数よりも多く、第3のコイル122の巻き数は、第1のコイル121の巻き数以上であってもよい。そして、このように第2のコイル111の巻き数および第3のコイル122の巻き数を多くすることによって、第2のコイル111による起磁力および第3のコイル122による起磁力を大きくすることが可能になる。
【0167】
特に、本実施の形態では、第2の連結部31は、第1の連結部41に対して、媒体対向面80からより遠い位置に配置されている。これにより、容易に、第2の連結部31の周りに巻回される第2および第3のコイル111,122の巻き数を多くすることができる。
【0168】
また、本実施の形態では、第2のコイル111は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置されている。従って、第1のコイル121の配置に制約されることなく、第2のコイル111を配置することができる。これによって、容易に、第2のコイル111の巻き数を多くすることができる。
【0169】
また、本実施の形態では、第2および第3のコイル111,122は、互いに記録媒体の進行方向Tにおける異なる位置に配置されている。これにより、第2および第3のコイル111,122のそれぞれの巻き数を多くすることができる。
【0170】
以上のことから、本実施の形態によれば、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置された第1の磁路の長さを短くしながら、主磁極15から十分な大きさの記録磁界を発生させることが可能になる。
【0171】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0172】
[第11の実施の形態]
次に、図27ないし図30を参照して、本発明の第11の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図27は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図27は前記主断面を示している。図28は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図29は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。図30は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【0173】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第10の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第10の実施の形態における第1のコイル121および第3のコイル122の代わりに、第1のコイル123および第3のコイル124を有している。ここで、媒体対向面80に配置された主磁極15の端面と交差し、記録媒体の進行方向Tに垂直な仮想の平面を想定する。第3のコイル124は、上記仮想の平面と交差する位置に配置されている。第1および第3のコイル123,124は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。
【0174】
図29に示したように、第3のコイル124は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに巻回されている。図29に示した例では、第3のコイル124は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに約1回巻かれている。
【0175】
また、第3のコイル124は、第1のコイル123に電気的に接続されたコイル接続部124Sと、第2のコイル111のコイル接続部111Sに電気的に接続されたコイル接続部124Eとを有している。上方から見て、第3のコイル124は、コイル接続部124Sからコイル接続部124Eに向かって時計回り方向に巻かれている。コイル接続部124Eは、第10の実施の形態で説明した接続層を介して第2のコイル111のコイル接続部111Sに電気的に接続されている。なお、図28に示したように、本実施の形態では、コイル接続部111Sは、第10の実施の形態における図25に示した位置とは異なる位置に配置されている。
【0176】
第3のコイル124の周囲には、非磁性層61が配置されている。また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、第3のコイル124と、主磁極15、第2のギャップ層18、磁性層35および非磁性層57との間に介在する絶縁材料よりなる絶縁膜60を備えている。絶縁膜60は、例えばアルミナによって形成されている。
【0177】
第1のコイル123の、リード層20、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第10の実施の形態における第1のコイル121と同様である。すなわち、第1のコイル123は、リード層20に連続している。図30では、第1のコイル123とリード層20の境界を点線で示している。また、第1のコイル123は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図30に示した例では、第1のコイル123は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。また、第1のコイル123は、第3のコイル124のコイル接続部124Sに電気的に接続されたコイル接続部123Eを有している。上方から見て、第1のコイル123は、リード層20との境界からコイル接続部123Eに向かって反時計回り方向に巻かれている。
【0178】
第1のコイル123と第3のコイル124との間には、絶縁膜62が介在している。絶縁膜62には、第3のコイル124のコイル接続部124Sを露出させる開口部が形成されている。第1のコイル123のコイル接続部123Eは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部124Sに電気的に接続されている。
【0179】
本実施の形態では、第1のコイル123によって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第3のコイル124によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第10の実施の形態と同様である。
【0180】
[第12の実施の形態]
次に、図31ないし図33を参照して、本発明の第12の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図31は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図31は前記主断面を示している。図32は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。図33は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【0181】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第11の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第11の実施の形態における第3のコイル124の代わりに、第3のコイル125を有している。第3のコイル125は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0182】
第3のコイル125の、主磁極15および第2の連結部31(磁性層35)に対する位置関係は、第11の実施の形態における第3のコイル124と同様である。すなわち、第3のコイル125は、第11の実施の形態で説明した仮想の平面と交差する位置に配置されている。また、第3のコイル125は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに巻回されている。図32に示した例では、第3のコイル125は、第2の連結部31(磁性層35)の周りに約2回巻かれている。第3のコイル125の巻線間および周囲には、非磁性層61が配置されている。
【0183】
また、第3のコイル125は、第1のコイル123のコイル接続部123Eに電気的に接続されたコイル接続部125Sと、第2のコイル111のコイル接続部111Sに電気的に接続されたコイル接続部125Eとを有している。上方から見て、第3のコイル125は、コイル接続部125Sからコイル接続部125Eに向かって時計回り方向に巻かれている。
【0184】
第1のコイル123と第3のコイル125との間には、絶縁膜62が介在している。絶縁膜62には、第3のコイル125のコイル接続部125Sを露出させる開口部が形成されている。コイル接続部123Eは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部125Sに電気的に接続されている。なお、図33に示したように、本実施の形態では、コイル接続部123Eは、第11の実施の形態における図30に示した位置とは異なる位置に配置されている。
【0185】
コイル接続部125Eは、第10の実施の形態で説明した接続層を介してコイル接続部111Sに電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、コイル接続部111Sは、第10の実施の形態における図25に示した位置に配置されている。
【0186】
本実施の形態では、第3のコイル125によって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第11の実施の形態と同様である。
【0187】
[第13の実施の形態]
次に、図34を参照して、本発明の第13の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図34は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図34は前記主断面を示している。
【0188】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第11の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第11の実施の形態における第1のコイル123の代わりに、第10の実施の形態における第1のコイル121を有している。また、記録ヘッド部9は、第11の実施の形態における第3のコイル124の代わりに、第1層124Aおよび第2層122Bを有する第3のコイルを有している。第1層124Aの形状および配置は、第11の実施の形態における第3のコイル124と同じである。第2層122Bの形状および配置は、第10の実施の形態における第3のコイル122と同じである。本実施の形態では、第3のコイルの一部である第1層124Aが、第11の実施の形態で説明した仮想の平面と交差する位置に配置されている。
【0189】
また、第3のコイルは、第1層124Aに設けられたコイル接続部124S,124E(図29参照)と、第2層122Bに設けられたコイル接続部122E(図26参照)とを有している。コイル接続部122Eは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部124Sに電気的に接続されている。コイル接続部124Eは、第11の実施の形態(第10の実施の形態)で説明した接続層を介して第2のコイル111のコイル接続部111S(図28参照)に電気的に接続されている。
【0190】
本実施の形態では、第3のコイルの第1層124Aと第2層122Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第10または第11の実施の形態と同様である。
【0191】
[第14の実施の形態]
次に、図35ないし図38を参照して、本発明の第14の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図35は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図35は前記主断面を示している。図36は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図37は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第1層と第3のコイルの第1層を示す平面図である。図38は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルの第2層と第3のコイルの第2層を示す平面図である。
【0192】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第10の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第10の実施の形態における第2のコイル111の代わりに、第2のコイル112を有している。第2のコイル112は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0193】
第2のコイル112の、主磁極15、第2の連結部31(磁性層32)およびリード層10に対する位置関係は、第10の実施の形態における第2のコイル111と同様である。すなわち、第2のコイル112は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置され、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。図36に示した例では、第2のコイル112は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに約2回巻かれている。リード層10は、第2のコイル112に連続している。図36では、第2のコイル112とリード層10の境界を点線で示している。また、第2のコイル112は、後述する第3のコイルの第1層に電気的に接続されたコイル接続部112Sを有している。上方から見て、第2のコイル112は、コイル接続部112Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。
【0194】
また、本実施の形態では、第1の連結部41は、磁性層42に加えて、磁性層42の上に配置された磁性層43を含んでいる。また、第2の連結部31は、磁性層32〜36に加えて、磁性層36の上に配置された磁性層37を含んでいる。また、記録ヘッド部9は、第1のシールド16Aの上に積層された磁性材料よりなる磁性層44を有している。磁性層44は、媒体対向面80に向いた端面を有し、この端面は、媒体対向面80から離れた位置に配置されている。磁性層44の端面における任意の位置の媒体対向面80からの距離は、任意の位置が基板1の上面1aから離れるに従って大きくなっている。磁性層44の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0195】
また、本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第10の実施の形態における第1のコイル121および第3のコイル122の代わりに、第1のコイル126および第3のコイル127を有している。第1のコイル126は、第1層126Aと第2層126Bとを有している。第3のコイル127は、第1層127Aと第2層127Bとを有している。第1および第3のコイル126,127は、いずれも、銅等の導電材料によって形成されている。
【0196】
図37は、第1のコイル126の第1層126Aと第3のコイル127の第1層127Aを示す平面図である。第1層126A,127Aは、同一平面上に位置し、互いに連続している。図37では、第1層126A,127Aの境界を点線で示している。
【0197】
第1層126Aの、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第10の実施の形態における第1のコイル121と同様である。すなわち、第1層126Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。図37に示した例では、第1層126Aは、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約1回巻かれている。また、第1のコイル126は、第1層126Aに設けられたコイル接続部126ASを有している。
【0198】
第1層127Aの、第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第10の実施の形態における第3のコイル122と同様である。すなわち、第1層127Aは、第2の連結部31(磁性層36)の周りに巻回されている。図37に示した例では、第1層127Aは、第2の連結部31(磁性層36)の周りに約1回巻かれている。また、第3のコイル127は、第1層127Aに設けられたコイル接続部127AEを有している。コイル接続部127AEは、第10の実施の形態で説明した接続層を介して第2のコイル112のコイル接続部112Sに電気的に接続されている。
【0199】
上方から見て、第1層126Aは、コイル接続部126ASから第1層127Aとの境界に向かって反時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第1層127Aは、第1層126Aとの境界からコイル接続部127AEに向かって時計回り方向に巻かれている。第1層126A,127Aの巻線間および周囲には、絶縁層63が配置されている。
【0200】
図38は、第1のコイル126の第2層126Bと第3のコイル127の第2層127Bを示す平面図である。第2層126B,127Bおよびリード層20は、同一平面上に位置し、互いに連続している。図38では、第2層126B,127Bおよびリード層20の境界を点線で示している。
【0201】
第2層127Bは、第2の連結部31(磁性層37)の周りに巻回されている。図38に示した例では、第2層127Bは、第2の連結部31(磁性層37)の周りに約1回巻かれている。
【0202】
第2層126Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層43)と第2の連結部31(磁性層37)との間を通過している。図38に示した例では、第2層126Bは、第1の連結部41(磁性層43)の周りに約1回巻かれている。また、第1のコイル126は、第2層126Bに設けられたコイル接続部126BEを有している。
【0203】
上方から見て、第2層127Bは、リード層20との境界から第2層126Bとの境界に向かって時計回り方向に巻かれている。上方から見て、第2層126Bは、第2層127Bとの境界からコイル接続部126BEに向かって反時計回り方向に巻かれている。
【0204】
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、更に、絶縁材料よりなる絶縁膜65および絶縁層66,67を備えている。絶縁膜65は、第2層126B,127Bおよびリード層20と、磁性層37,43,44および絶縁層64との間に介在している。絶縁層66は、第2層126B,127B、リード層20および磁性層37,44の周囲に配置されている。第2層126B,127B、リード層20、磁性層37,43,44、絶縁膜65および絶縁層66の上面は平坦化されている。絶縁層67は、第2層126B,127B、リード層20および絶縁膜65の上面の上に配置されている。絶縁膜65および絶縁層66,67は、例えばアルミナによって形成されている。
【0205】
第1層126Aと第2層126Bの間には、絶縁層64および絶縁膜65が介在している。絶縁層64および絶縁膜65には、第1層126Aに設けられたコイル接続部126ASを露出させる開口部が形成されている。第2層126Bに設けられたコイル接続部126BEは、絶縁層64および絶縁膜65に形成された開口部を通して、コイル接続部126ASに電気的に接続されている。
【0206】
本実施の形態では、第2のヨーク層40は、磁性層37,43,44および絶縁層67の上に配置されている。第1の連結部41(磁性層42,43)は、主磁極15と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。第2の連結部31(磁性層32〜37)は、第1のヨーク層30と第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。磁性層44は、記録シールド16の第1のシールド16Aと第2のヨーク層40とを磁気的に連結している。
【0207】
本実施の形態では、第3のコイル127は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。第1のコイル126の第1層126Aと第2層126Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第1の連結部41と主磁極15を通過する。第3のコイル127の第1層127Aと第2層127Bによって発生された磁界に対応する磁束は、第2の連結部31、第2のヨーク層40、第1の連結部41および主磁極15を通過する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第10の実施の形態と同様である。
【0208】
[第15の実施の形態]
次に、図39ないし図42を参照して、本発明の第15の実施の形態に係る磁気ヘッドについて説明する。図39は、本実施の形態に係る磁気ヘッドを示す断面図である。なお、図39は前記主断面を示している。図40は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第2のコイルを示す平面図である。図41は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第3のコイルを示す平面図である。図42は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける第1のコイルを示す平面図である。
【0209】
本実施の形態に係る磁気ヘッドは、以下の点で第12の実施の形態に係る磁気ヘッドと異なっている。本実施の形態では、記録ヘッド部9は、第12の実施の形態における第1のコイル123および第2のコイル111の代わりに、第1のコイル128および第2のコイル113を有している。第1のコイル128および第2のコイル113は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0210】
第2のコイル113の、主磁極15、第2の連結部31(磁性層32)およびリード層10に対する位置関係は、第12の実施の形態における第2のコイル111と同様である。すなわち、第2のコイル113は、主磁極15に対して記録媒体の進行方向Tの後側に配置され、第2の連結部31(磁性層32)の周りに巻回されている。図40に示した例では、第2のコイル113は、第2の連結部31(磁性層32)の周りに約4回巻かれている。リード層10は、第2のコイル113に連続している。図40では、第2のコイル113とリード層10の境界を点線で示している。
【0211】
また、第2のコイル113は、第3のコイル125のコイル接続部125Eに電気的に接続されたコイル接続部113Sを有している。上方から見て、第2のコイル113は、コイル接続部113Sからリード層10との境界に向かって時計回り方向に巻かれている。コイル接続部125Eは、第12の実施の形態(第10の実施の形態)で説明した接続層を介してコイル接続部113Sに電気的に接続されている。
【0212】
第1のコイル128の、リード層20、第1の連結部41(磁性層42)および第2の連結部31(磁性層36)に対する位置関係は、第12の実施の形態における第1のコイル123と同様である。すなわち、第1のコイル128は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部41(磁性層42)と第2の連結部31(磁性層36)との間を通過している。リード層20は、第1のコイル128に連続している。図42では、第1のコイル128とリード層20の境界を点線で示している。図42に示した例では、第1のコイル128は、第1の連結部41(磁性層42)の周りに約2回巻かれている。
【0213】
また、第1のコイル128は、第3のコイル125のコイル接続部125Sに電気的に接続されたコイル接続部128Eを有している。上方から見て、第1のコイル128は、リード層20との境界からコイル接続部128Eに向かって反時計回り方向に巻かれている。また、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、第1のコイル128の巻線間に配置された絶縁材料よりなる絶縁層69を備えている。絶縁層69は、例えばフォトレジストによって形成されている。
【0214】
第1のコイル128と第3のコイル125の間には、絶縁膜62が介在している。絶縁膜62には、第3のコイル125のコイル接続部125Sを露出させる開口部が形成されている。第1のコイル128のコイル接続部128Eは、絶縁膜62に形成された開口部を通して、コイル接続部125Sに電気的に接続されている。なお、図41に示したように、本実施の形態では、コイル接続部125Sは、第12の実施の形態における図32に示した位置とは異なる位置に配置されている。
【0215】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第12の実施の形態と同様である。
【0216】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第2の連結部31は、第1の連結部41に対して、トラック幅方向の両側の少なくとも一方に配置されていてもよい。
【0217】
また、第1のコイルは、それぞれ第1の連結部の周りに巻回され、且つその一部が第1の連結部と第2の連結部の間を通過するように、3層以上積層されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0218】
11…第2のコイル、15…主磁極、16…記録シールド、21…第1のコイル、30…第1のヨーク層、31…第2の連結部、40…第2のヨーク層、41…第1の連結部。
図1
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