(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端に可撓部分を有するカテーテルシャフトと、撚り線から構成され、前記カテーテルシャフトの可撓部分を撓ませるために当該カテーテルシャフトの内部に挿通され、その後端を引張操作することができる操作用ワイヤとを有し、
前記カテーテルシャフトの少なくとも可撓部分はマルチルーメン構造体であり、
前記可撓部分に形成された複数のルーメンのうちの少なくとも1つに前記操作用ワイヤが挿通され、
前記可撓部分には、前記カテーテルシャフトの中心軸および前記操作用ワイヤが挿通されたルーメンの中心軸を含む第1仮想平面に対して直交する平面であって前記カテーテルシャフトの中心軸を含む第2仮想平面を、前記カテーテルシャフトの中心軸を中心に前記撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(但し、0°<θ<90°である。)回転してなる第3仮想平面上に各々の中心軸を有し、前記カテーテルシャフトの中心軸を挟んで対向配置された2つのルーメンの各々に、高剛性部材としてインナーチューブが配置されていることを特徴とする先端偏向操作可能カテーテル。
前記可撓部分に形成された複数のルーメンのうち、前記カテーテルシャフトの中心軸を挟んで対向配置された2つのルーメンの各々に前記操作用ワイヤが挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の先端偏向操作可能カテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
本発明の先端偏向操作可能カテーテルの一実施形態に係る電極カテーテル100は、例えば、心臓における不整脈の診断または治療に用いられる。
図1〜
図3に示す本実施形態の電極カテーテル100は、先端可撓部分10Aを有するカテーテルシャフト10と、このカテーテルシャフト10の先端に接続された灌注部材20と、この灌注部材20の先端に固定された先端電極30と、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aに装着された3つのリング状電極32と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを第1方向(
図1および
図2において矢印Aで示す方向)に撓ませるために、カテーテルシャフト10の内部に挿通され、その先端が灌注部材20に接続固定され、その後端を引張操作することができる第1操作用ワイヤ41と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを第2方向(
図1および
図2において矢印Bで示す方向)に撓ませるために、カテーテルシャフト10の内部に挿通され、その先端が灌注部材20に接続固定され、その後端を引張操作することができる第2操作用ワイヤ42と、カテーテルシャフト10の軸方向に沿って可撓部分10Aの内部に配置された首振り用の板バネ60と、カテーテルシャフト10の後端に装着された制御ハンドル70と、灌注用液体の注入管80とを有し;
カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aは、ルーメン11L〜16Lを形成するための6つのルーメンチューブ11〜16がバインダ樹脂によって結着固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり;
先端可撓部分10Aには、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕、第1操作用ワイヤ41が挿通されたルーメン11Lの中心軸〔M
11〕および第2操作用ワイヤ42が挿通されたルーメン12Lの中心軸〔M
12〕を含む第1仮想平面P1に対して直交する平面であってカテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を含む第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を中心に撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(本実施形態においてθ=45°である。)回転してなる第3仮想平面P3上に中心軸〔M
51〕を有する流路形成用のインナーチューブ51(高剛性部材)と、この第3仮想平面P3上に中心軸〔M
52〕を有する流路形成用のインナーチューブ52(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を挟んで対向配置されている。
【0031】
本実施形態の電極カテーテル100は、カテーテルシャフト10と、カテーテルシャフト10の先端に固定された灌注部材20と、灌注部材20の先端に固定された先端電極30と、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aに装着されたリング状電極32と、カテーテルシャフト10の内部に挿通された第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42と、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aに配置された板バネ60と、カテーテルシャフト10の後端に装着された制御ハンドル70と、灌注用液体の注入管80とを備えている。
【0032】
電極カテーテル100を構成するカテーテルシャフト10の先端領域は、先端可撓部分10Aとなっている。
ここに、「先端可撓部分」とは、操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤ41または第2操作用ワイヤ42)の後端を引張操作することにより撓む(曲がる)ことのできるカテーテルシャフトの先端部分をいう。
【0033】
カテーテルシャフト10の外径は、通常0.6〜3mmとされ、好ましくは1.3〜2.4mmとされる。
カテーテルシャフト10の長さは、通常400〜1500mmとされ、好ましくは700〜1200mmとされる。
先端可撓部分10Aの長さは、例えば30〜300mmとされ、好ましくは50〜250mmとされる。
【0034】
カテーテルシャフト10の後端には制御ハンドル70が装着されている。制御ハンドル70内には、複数の端子を備えたコネクタ(図示省略)が設けられ、コネクタの端子には、先端電極30および3つのリング状電極32の各々に接続されたリード線(
図2に示したリード線30Lおよびリード線32L)が接続されている。
また、制御ハンドル70には、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを曲げるときの引張操作を行うための摘み75が装着してある。
【0035】
図1に示した注入管80は、制御ハンドル70の内部を通ってカテーテルシャフト10に接続されており、この注入管80を通って、カテーテルシャフト10の内部(流路形成用のインナーチューブ51および52の内部)に灌注用の液体が供給される。
ここに、「液体」としては、生理食塩水を例示することができる。
【0036】
カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aはマルチルーメン構造体からなる。
図2に示すように、先端可撓部分10Aは、バインダ樹脂によりルーメンチューブ11〜16が固定されてなるインナー(コア)部18と、インナー部18を被覆する樹脂からなるアウター(シェル)部19とからなり、インナー部18を構成するルーメンチューブ11〜16の各々の内部においてルーメン11L〜16Lが形成されている。
【0037】
インナー部18を構成するバインダ樹脂のD硬度〔デュロメータ(Dタイプ)によって測定される硬度〕としては、例えば40以下とされ、好ましくは25〜35とされる。
インナー部18を構成するバインダ樹脂の曲げ弾性率(JIS K 7171に準拠して測定される曲げ弾性率)としては、例えば80MPa以下とされ、好ましくは10〜30MPaとされる。
インナー部18を構成する樹脂材料としては、ナイロン樹脂、ポリエーテルブロックポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。
【0038】
先端可撓部分10Aに形成されたルーメン11Lおよび12Lは、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を挟んで対向配置されており、ルーメン11L(ルーメンチューブ11)の中心軸〔M
11〕およびルーメン12L(ルーメンチューブ12)の中心軸〔M
12〕は、第1仮想平面P1上に位置している。
ルーメン11Lおよび12Lの内径としては、0.15〜0.50mmであることが好ましく、更に好ましくは0.20〜0.40mmとされる。
【0039】
図2に示すように、ルーメン11Lには、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを、矢印Aで示す第1方向に撓ませるための第1操作用ワイヤ41が挿通されている。第1操作用ワイヤ41は、カテーテルシャフト10の内部(先端可撓部分10Aにおいてはルーメン11L)に軸方向に移動可能に挿通されている。
第1操作用ワイヤ41の先端は灌注部材20に接続固定されている。また、第1操作用ワイヤ41の後端は、制御ハンドル70の摘み75に接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0040】
また、ルーメン12Lには、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを、矢印Bで示す第2方向に撓ませるための第2操作用ワイヤ42が挿通されている。第2操作用ワイヤ42は、カテーテルシャフト10の内部(先端可撓部分10Aにおいてはルーメン12L)に軸方向に移動可能に挿通されている。
第2操作用ワイヤ42の先端は灌注部材20に接続固定されている。また、第2操作用ワイヤ42の後端は、制御ハンドル70の摘み75に接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0041】
第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42は、それぞれ、S撚りの撚り線から構成されている。
第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42として撚り線を使用することにより、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aに柔軟性を持たせることができるともに、第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42の各々の後端を制御ハンドル70の摘み75に接続するときの作業性を向上させることができる。
第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42を構成する撚り線としては、例えばステンレスやNi−Ti系超弾性合金などからなる複数本の金属素線を撚り合わせることにより形成することができる。
【0042】
第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42を構成する撚り線の外径としては、例えば0.10〜0.30mmとされ、好ましくは0.15〜0.25mmとされ、好適な一例を示せば0.20mmである。
第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42を形成するための金属素線の外径としては、例えば0.03〜0.1mmとされ、好ましくは0.04〜0.07mmとされる。
この撚り線を構成する素線の数としては、例えば7〜19本とされ、好適な一例を示せば7本である。
【0043】
図2および
図3に示すように、先端可撓部分10Aの内部には、第2仮想平面P2上においてカテーテルシャフト10の軸方向に延びる板バネ60が配置されている。
本実施形態において、第2仮想平面P2は、第1仮想平面P1に対して直交する平面であって、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を含む仮想平面である。
先端可撓部分10Aの内部に板バネ60を配置することにより、先端可撓部分10Aは、板バネ60の平面(第2仮想平面P2)と垂直方向に撓みやすくなっている。
【0044】
先端可撓部分10Aに形成されたルーメン13Lおよび14Lは、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を挟んで対向配置されており、ルーメン13L(ルーメンチューブ13)の中心軸〔M
13〕およびルーメン14L(ルーメンチューブ14)の中心軸〔M
14〕は、第3仮想平面P3上に位置している。
【0045】
本実施形態において、第3仮想平面P3は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を中心に、第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42を構成する撚り線の撚り方向と同一の方向(
図2において反時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
なお、「撚り線の撚り方向」は、この撚り線により構成される操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42)の先端側における撚り方向(撚り合わされる素線の回転方向)であり、操作用ワイヤの後端を引張操作するときに、当該操作用ワイヤの先端側が回転する方向(撚りが解ける方向)とは反対の方向である。
【0046】
ルーメン13Lおよび14Lの内径としては、0.25〜1.00mmであることが好ましく、更に好ましくは0.40〜0.90mmとされる。
【0047】
図2に示すように、ルーメン13Lには、高剛性部材として流路形成用のインナーチューブ51(以下、「流路形成用チューブ51」という。)が挿通されており、その中心軸〔M
51〕は、ルーメン13Lの中心軸〔M
13〕と一致している。
また、ルーメン14Lには、高剛性部材として流路形成用のインナーチューブ52(以下、「流路形成用チューブ52」という。)が挿通されており、その中心軸〔M
52〕は、ルーメン14Lの中心軸〔M
14〕と一致している。
【0048】
流路形成用チューブ51および52の内部には、灌注用の液体(生理食塩水)が流通される。
流路形成用チューブ51および52の内部に液体を流通させることにより、灌注用液体のシール性(ルーメンからの液体の漏れ出し防止効果)を向上させることができる。
【0049】
高剛性部材である流路形成用チューブ51および52の構成材料としては、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびナイロン11などの樹脂材料、並びにステンレスおよびNi−Ti系超弾性合金などの金属材料を使用することができる。
【0050】
流路形成用チューブ51および52を構成する樹脂のD硬度としては、例えば72以上とされ、好ましくは77〜95とされる。
流路形成用チューブ51および52を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば1,500〜19,000MPaとされ、好ましくは2,000〜7,000MPaとされる。
流路形成用チューブ51および52の内径としては、0.20〜0.95mmであることが好ましく、更に好ましくは0.30〜0.80mmとされる。
流路形成用チューブ51および52の肉厚としては、通常10〜100μmとされ、好ましくは20〜80μmとされる。
【0051】
第3仮想平面P3上に各々の中心軸〔M
51〕および〔M
52〕が位置する流路形成用チューブ51および52が、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aは、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となる。
すなわち、第3仮想平面P3に沿って先端可撓部分10Aを撓ませるときの抗力が、この先端可撓部分10Aを第3仮想平面P3に垂直な方向に撓ませるときの抗力より格段に大きくなり、先端可撓部分10Aは、第3仮想平面P3に沿って撓みにくく、第3仮想平面P3に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0052】
先端可撓部分10Aに形成されたルーメン15Lおよび16Lは、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を挟んで対向配置されており、ルーメン15L(ルーメンチューブ15)の中心軸〔M
15〕およびルーメン16L(ルーメンチューブ16)の中心軸〔M
16〕は、第4仮想平面P4上に位置している。
【0053】
本実施形態において、第4仮想平面P4は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を中心に、第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)とは反対方向(
図2において時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
ルーメン15Lおよび16Lの内径は、ルーメン13Lおよび14Lの内径と同一である。
【0054】
図2に示すように、ルーメン15Lには、
図1に示したリング状電極32のリード線32Lが挿通されており、ルーメン16Lには、先端電極30のリード線30Lが挿通されている。
【0055】
ルーメン11L〜16Lを形成するルーメンチューブ11〜16は、樹脂から構成されている。
ルーメンチューブ11〜16を構成する樹脂としては、インナー部18を構成するバインダ樹脂と同等またはそれ以上の剛性(D硬度・曲げ弾性率)を有することが好ましい。
ルーメンチューブ11〜16を構成する樹脂のD硬度としては、例えば80以下とされ、好ましくは50〜75とされる。
ルーメンチューブ11〜16を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば15〜1,000MPaとされ、好ましくは100〜800MPaとされる。
ルーメンチューブ11〜16の肉厚としては、通常10〜50μmとされ、好ましくは20〜40μmとされる。
【0056】
ルーメンチューブ11〜16を構成する樹脂材料としては、上記の硬度条件を具備するものであって、チューブ状に成形可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、フッ素樹脂、ナイロン11/ナイロン12などのナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを使用することができるが、チューブ内(ルーメン)の潤滑性(操作用ワイヤなどの挿通される部材の移動容易性)に優れている観点からフッ素樹脂からなるものが好ましい。
具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)などを例示することができる。
【0057】
先端可撓部分10Aのアウター部19は、インナー部18を被覆する樹脂材料からなる。
図3に示すように、このアウター部19は、先端可撓部分10Aを構成するとともに、先端可撓部分10Aよりも後端側において、カテーテルシャフト10(チューブ部材)を構成している。
【0058】
ここに、先端可撓部分10Aのアウター部19を構成する樹脂のD硬度としては、例えば35〜63とされる。
なお、アウター部19(先端可撓部分10Aの構成部分および先端可撓部分10Aよりも後端側の部分)は、軸方向に沿って同じ物性のチューブで構成されていてもよいが、後端側に向かって段階的に剛性(硬度)が高くなっていることが好ましい。
アウター部19の肉厚としては、カテーテルシャフト10の外径の3〜15%程度であることが好ましい。
アウター部19を構成する樹脂材料としては、熱可塑性ポリアミド系エラストマーを挙げることができ、ポリエーテルブロックアミド共重合体であることが好ましい。
【0059】
図3に示すように、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aよりも後端側の部分は中空のチューブ部材(アウター部19に相当するチューブ部材によるシングルルーメン構造体)で構成されている。
また、先端可撓部分10Aよりも後端側の部分の内部には、コイルチューブ54が装着されている。
このコイルチューブ54は、断面平角または円形の線材をコイル状に巻回してチューブを構成してあり、第1操作用ワイヤ41または第2操作用ワイヤ42に作用する引張力の反力を受けるようになっている。
これにより、第1操作用ワイヤ41または第2操作用ワイヤ42に引張力を作用させたときに、当該コイルチューブ54が装着されているカテーテルシャフト10の部分(先端可撓部分10Aより後端側の部分)が撓むことを抑制することができる。
【0060】
カテーテルシャフト10の先端には、灌注部材20が接続固定されている。
灌注部材20には、カテーテルシャフト10(流路形成用チューブ51および52の内部)から供給される液体を先端電極30の表面に噴射(灌注)するための複数(例えば8つ)の灌注用開口(図示省略)が、灌注部材20の外周に沿って等角度間隔に配置されている。
【0061】
灌注部材20の先端には先端電極30が接続固定されている。
また、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aにはリング状電極32が装着されている。
先端電極30およびリング状電極32の固定方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着などの方法を挙げることができる。
【0062】
先端電極30およびリング状電極32は、例えばアルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、電気伝導性の良好な金属で構成される。なお、X線に対する造影性を良好に持たせるためには、白金などで構成されることが好ましい。
先端電極30およびリング状電極32の外径としては特に限定されないが、カテーテルシャフト10の外径と同程度であることが好ましい。
【0063】
本実施形態の電極カテーテル100を構成する制御ハンドル70の摘み75を、
図1に示すA1方向に回転させることにより、第1操作用ワイヤ41の引張操作が行われる。
第1操作用ワイヤ41の引張操作時(先端偏向操作時)において、S撚りの撚り線からなる第1操作用ワイヤ41の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向〔
図2において矢印r1で示す方向(時計回り)〕に回転する。
【0064】
ここに、第1操作用ワイヤ41の先端は灌注部材20に接続固定されているので、第1操作用ワイヤ41からの回転トルクは灌注部材20に伝達される。
このため、仮に、先端可撓部分10Aのルーメン13Lおよび14Lの各々に、流路形成用チューブのような高剛性部材が挿通されていない場合には、灌注部材20および灌注部材20が固定されているカテーテルシャフト10(先端可撓部分10A)の先端側は、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を中心に、第1操作用ワイヤ41の回転方向と同一の方向〔
図2において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分10Aの後端側は、先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分10Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印A’に示した方向に撓むことになる。
【0065】
然るに、本実施形態の電極カテーテル100においては、ルーメン13Lおよび14Lの各々に、高剛性部材である流路形成用チューブ51および52が挿通されている(中心軸〔M
10〕を挟んで第3仮想平面P3上に対向配置されている)ことにより、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第1操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分10Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図2において矢印A”に示した方向に撓むことになる)ので、第1操作用ワイヤ41の引張操作時において、先端可撓部分10Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分10Aを第1仮想平面P1に沿って矢印Aで示した第1方向に撓ませること(先端を偏向させること)ができる。
【0066】
また、本実施形態の電極カテーテル100を構成する制御ハンドル70の摘み75を、
図1に示すB1方向に回転させることで、第2操作用ワイヤ42の引張操作が行われる。
第2操作用ワイヤ42の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第2操作用ワイヤ42の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向〔
図2において矢印r2で示す方向(時計回り)〕に回転する。
【0067】
ここに、第2操作用ワイヤ42の先端は灌注部材20に接続固定されているので、第2操作用ワイヤ42からの回転トルクは灌注部材20に伝達される。
このため、仮に、先端可撓部分10Aのルーメン13Lおよび14Lの各々に、流路形成用チューブのような高剛性部材が挿通されていない場合には、灌注部材20および灌注部材20が固定されているカテーテルシャフト10(先端可撓部分10A)の先端側は、カテーテルシャフト10の中心軸〔M
10〕を中心に、第2操作用ワイヤ42の回転方向と同一の方向〔
図2において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分10Aの後端側は、先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分10Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印B’に示した方向に撓むことになる。
【0068】
然るに、本実施形態の電極カテーテル100においては、ルーメン13Lおよび14Lの各々に、高剛性部材である流路形成用チューブ51および52が挿通されている(中心軸〔M
10〕を挟んで第3仮想平面P3上に対向配置されている)ことにより、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第2操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分10Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図2において矢印B”に示した方向に撓むことになる)ので、第2操作用ワイヤ42の引張操作時において、先端可撓部分10Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分10Aを第1仮想平面P1に沿って矢印Bで示した第2方向に撓ませること(先端を偏向させること)ができる。
【0069】
なお、制御ハンドル70を軸回りに回転させることにより、体腔内に挿入された状態で、電極カテーテル100に対する第1方向および第2方向の向きを自由に設定することができる。
【0070】
本実施形態の電極カテーテル100によれば、第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42が撚り線から構成されているものでありながら、第1操作用ワイヤ41または第2操作用ワイヤ42の後端を引張操作することにより、先端可撓部分10Aの形状を実質的に同一平面(第1仮想平面P1)上で変化させて、オペレータが意図する方向(第1仮想平面P1に沿って第1方向または第2方向)に確実に撓ませることができる。
【0071】
<第2本実施形態>
図4および
図5に示す本実施形態の電極カテーテル200は、先端可撓部分210Aを有するカテーテルシャフト210と、このカテーテルシャフト210の先端に固定された先端電極230と、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aに装着された3つのリング状電極232と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aを第1方向(
図4および
図5において矢印Aで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト210の内部に挿通され、その先端が先端電極230に接続固定され、その後端を引張操作することができる第1操作用ワイヤ241と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aを第2方向(
図4および
図5において矢印Bで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト210の内部に挿通され、その先端が先端電極230に接続固定され、その後端を引張操作することができる第2操作用ワイヤ242と、カテーテルシャフト210の軸方向に沿って可撓部分210Aの内部に配置された板バネ260と、カテーテルシャフト210の後端に装着された制御ハンドル270とを有し;
カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aは、ルーメン211L〜216Lを形成するための6つのルーメンチューブ211〜216がバインダ樹脂により固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり;
先端可撓部分210Aには、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕、第1操作用ワイヤ241が挿通されたルーメン211Lの中心軸〔M
211 〕および第2操作用ワイヤ242が挿通されたルーメン212Lの中心軸〔M
212 〕を含む第1仮想平面P1に対して直交する平面であってカテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を含む第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を中心に撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(本実施形態においてθ=45°である。)回転してなる第3仮想平面P3上に中心軸〔M
213 〕を有する高剛性ルーメンチューブ213(高剛性部材)と、この第3仮想平面P3上に中心軸〔M
214 〕を有する高剛性ルーメンチューブ214(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を挟んで対向配置されている。
【0072】
本実施形態の電極カテーテル200は、カテーテルシャフト210と、カテーテルシャフト210の先端に固定された先端電極230と、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aに装着されたリング状電極232と、カテーテルシャフト210の内部に挿通された第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242と、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aに配置された板バネ260と、カテーテルシャフト210の後端に装着された制御ハンドル270とを備えている。
【0073】
電極カテーテル200を構成するカテーテルシャフト210の先端領域は、先端可撓部分210Aとなっている。
【0074】
カテーテルシャフト210の後端には制御ハンドル270が装着されている。
制御ハンドル270は、第1実施形態の電極カテーテル100を構成する制御ハンドル70と同様の構成であり、制御ハンドル270には、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aを曲げるときの引張操作を行うための摘み275が装着してある。
【0075】
カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aはマルチルーメン構造体からなる。
図5に示すように、先端可撓部分210Aは、バインダ樹脂によってルーメンチューブ211〜216が固定されてなるインナー(コア)部218と、インナー部218を被覆する樹脂からなるアウター(シェル)部219とからなり、インナー部218を構成するルーメンチューブ211〜216の各々の内部に、ルーメン211L〜216Lが形成されている。
【0076】
インナー部218およびアウター部219を構成する樹脂の物性および種類としては、第1実施形態における先端可撓部分10Aを構成するインナー部18およびアウター部19を構成する樹脂と同様である。
【0077】
先端可撓部分210Aに形成されたルーメン211Lおよび212Lは、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン211L(ルーメンチューブ211)の中心軸〔M
211 〕およびルーメン212L(ルーメンチューブ212)の中心軸〔M
212 〕は、第1仮想平面P1上に位置している。
【0078】
図5に示すように、ルーメン211Lには、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aを矢印Aで示す第1方向に撓ませるための第1操作用ワイヤ241が挿通されている。また、ルーメン212Lには、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aを矢印Bで示す第2方向に撓ませるための第2操作用ワイヤ242が挿通されている。
また、先端可撓部分210Aの内部には、第2仮想平面P2上においてカテーテルシャフト210の軸方向に延びる板バネ260が配置されている。
本実施形態において、第2仮想平面P2は、第1仮想平面P1に対して直交する平面であって、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を含む仮想平面である。
【0079】
第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242は、第1実施形態における第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42と同様に撚り線(S撚り)から構成されている。第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242の先端は、それぞれ、先端電極230に接続固定され、これらの後端は、それぞれ、制御ハンドル270の摘み275に接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0080】
先端可撓部分210Aに形成されたルーメン213Lおよび214Lは、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン213L(高剛性ルーメンチューブ213)の中心軸〔M
213 〕およびルーメン214L(高剛性ルーメンチューブ214)の中心軸〔M
214 〕は、第3仮想平面P3上に位置している。
本実施形態において、第3仮想平面P3は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を中心に、第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)と同一の方向(
図5において反時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
【0081】
先端可撓部分210Aに形成されたルーメン215Lおよび216Lは、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン215L(ルーメンチューブ215)の中心軸〔M
215 〕およびルーメン216L(ルーメンチューブ216)の中心軸〔M
216 〕は、第4仮想平面P4上に位置している。
本実施形態において、第4仮想平面P4は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を中心に、第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)とは反対方向(
図5において時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
図5に示すように、ルーメン215Lには、
図1に示したリング状電極232のリード線232Lが挿通されており、ルーメン216Lには、先端電極230のリード線230Lが挿通されている。
【0082】
ルーメン211L〜216Lを形成するルーメンチューブ211〜216は、樹脂から構成されている。
【0083】
ルーメンチューブ211、212、215および216を構成する樹脂としては、インナー部218を構成するバインダ樹脂と同等またはそれ以上の剛性を有することが好ましい。
ルーメンチューブ211、212、215および216を構成する樹脂のD硬度としては、例えば80以下とされ、好ましくは50〜75とされる。
ルーメンチューブ211、212、215および216を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば15〜1,000MPaとされ、好ましくは100〜800MPaとされる。
ルーメンチューブ211、212、215および216を構成する樹脂材料としては、第1実施形態におけるルーメンチューブ11〜16を構成するものと同様の樹脂を挙げることができる。
【0084】
ルーメン213Lを形成する高剛性ルーメンチューブ213およびルーメン214Lを形成する高剛性ルーメンチューブ214は、バインダ樹脂および他のルーメンチューブ(ルーメンチューブ211、212、215および216)を構成する樹脂よりも高い剛性の樹脂からなる高剛性部材である。
【0085】
高剛性ルーメンチューブ213および214を構成する樹脂材料としては、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびナイロン11などを挙げることができる。
高剛性ルーメンチューブ213および214を構成する樹脂のD硬度は、ルーメンチューブ211、212、215および216を構成する樹脂のD硬度より高く、例えば72以上とされ、好ましくは77〜95とされる。
高剛性ルーメンチューブ213および214を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば1,500〜19,000MPaとされ、好ましくは2,000〜7,000MPaとされる。
【0086】
ルーメンチューブ211〜216の肉厚としては、通常20〜60μmとされ、好ましくは30〜50μmとされる。
【0087】
各々の中心軸〔M
213 〕および〔M
214 〕が第3仮想平面P3上に位置している高剛性ルーメンチューブ213および214が、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aは、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となる。
すなわち、第3仮想平面P3に沿って先端可撓部分210Aを撓ませるときの抗力が、この先端可撓部分210Aを第3仮想平面P3に垂直な方向に撓ませるときの抗力より格段に大きくなり、先端可撓部分210Aは第3仮想平面P3に沿って撓みにくく、第3仮想平面P3に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0088】
本実施形態の電極カテーテル200において、カテーテルシャフト210の先端可撓部分210Aよりも後端側の部分は、第1実施形態の電極カテーテル100と同様に、中空のチューブ部材(アウター部219に相当するチューブ部材によるシングルルーメン構造体)で構成されている。また、先端可撓部分210Aより後端側の部分の内部にはコイルチューブが装着されている。
【0089】
本実施形態の電極カテーテル200を構成する制御ハンドル270の摘み275を、
図4に示すA1方向に回転させることにより、第1操作用ワイヤ241の引張操作が行われる。第1操作用ワイヤ241の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第1操作用ワイヤ241の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図5において時計回り)に回転する。
【0090】
ここに、第1操作用ワイヤ241の先端は先端電極230に接続固定されているので、第1操作用ワイヤ241からの回転トルクは先端電極230に伝達される。
このため、仮に、ルーメン213Lおよび214Lを形成するルーメンチューブが高剛性部材ではなく、ルーメンチューブ215および216と同等の剛性を有する場合には、先端電極230および先端電極230が固定されているカテーテルシャフト210(先端可撓部分210A)の先端側は、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を中心に、第1操作用ワイヤ241の回転方向と同一の方向〔
図5において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分210Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分210Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印A’に示した方向に撓むことになる。
【0091】
然るに、本実施形態の電極カテーテル200においては、ルーメン213Lおよび214Lが、それぞれ、高剛性ルーメンチューブ213および214(高剛性部材)により形成されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第1操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分210Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図5において矢印A”に示した方向に撓むことになる)ので、第1操作用ワイヤ241の引張操作時において、先端可撓部分210Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩れのない先端可撓部分210Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Aで示した第1方向に撓ませることができる。
【0092】
また、本実施形態の電極カテーテル200を構成する制御ハンドル270の摘み275を、
図4に示すB1方向に回転させることにより、第2操作用ワイヤ242の引張操作が行われる。第2操作用ワイヤ242の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第2操作用ワイヤ242の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図5において時計回り)に回転する。
【0093】
ここに、第2操作用ワイヤ242の先端は先端電極230に接続固定されているので、第2操作用ワイヤ242からの回転トルクは先端電極230に伝達される。
このため、仮に、ルーメン213Lおよび214Lを形成するルーメンチューブが高剛性部材ではなく、ルーメンチューブ215および216と同等の剛性を有する場合には、先端電極230および先端電極230が固定されているカテーテルシャフト210(先端可撓部分210A)の先端側は、カテーテルシャフト210の中心軸〔M
210 〕を中心に、第2操作用ワイヤ242の回転方向と同一の方向〔
図5において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分210Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分210Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印B’に示した方向に撓むことになる。
【0094】
然るに、本実施形態の電極カテーテル200においては、ルーメン213Lおよび214Lが、それぞれ、高剛性ルーメンチューブ213および214(高剛性部材)により形成されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第2操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分210Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図5において矢印B”に示した方向に撓むことになる)ので、第2操作用ワイヤ242の引張操作時において、先端可撓部分210Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分210Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Bで示した第2方向に撓ませることができる。
【0095】
本実施形態の電極カテーテル200によれば、第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242が撚り線から構成されているものでありながら、第1操作用ワイヤ241または第2操作用ワイヤ242の後端を引張操作することにより、先端可撓部分210Aの形状を実質的に同一平面(第1仮想平面P1)上で変化させて、オペレータが意図する方向(第1方向または第2方向)に確実に撓ませることができる。
【0096】
<第3実施形態>
先端可撓部分の横断面形状を
図6に示す本実施形態の電極カテーテル300は、先端可撓部分310Aを有するカテーテルシャフト310と、このカテーテルシャフト310の先端に固定された先端電極と、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aに装着された3つのリング状電極と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aを第1方向(
図6において矢印Aで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト310の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第1操作用ワイヤ341と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aを第2方向(
図6において矢印Bで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト310の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第2操作用ワイヤ342と、カテーテルシャフト310の軸方向に沿って可撓部分310Aの内部に配置された板バネ360と、カテーテルシャフト310の後端に装着された制御ハンドルとを有し;
カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aは、ルーメン311L〜316Lを形成するための6つのルーメンチューブ311〜316がバインダ樹脂318によって固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり;
先端可撓部分310Aには、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕、第1操作用ワイヤ341が挿通されたルーメン311Lの中心軸〔M
311 〕および第2操作用ワイヤ342が挿通されたルーメン312Lの中心軸〔M
312 〕を含む第1仮想平面P1に対して直交する平面であってカテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を含む第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を中心に撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(本実施形態においてθ=45°である。)回転してなる第3仮想平面P3上に中心軸〔M
355 〕を有する棒状の剛性体355(高剛性部材)と、この第3仮想平面P3上に中心軸〔M
356 〕を有する棒状の剛性体356(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト310の構成樹脂(バインダ樹脂318)に埋設された状態で、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されている。
【0097】
本実施形態の電極カテーテル300は、カテーテルシャフト310と、カテーテルシャフト310の先端に固定された先端電極と、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aに装着されたリング状電極と、カテーテルシャフト310の内部に挿通された第1操作用ワイヤ341および第2操作用ワイヤ342と、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aに配置された板バネ360と、カテーテルシャフト310の後端に装着された制御ハンドルとを備えている。
なお、本実施形態の電極カテーテル300の外観形状は、
図4に示した第2実施形態の電極カテーテル200と同様である。
また、電極カテーテル300を構成する先端電極、リング状電極および制御ハンドルは、第2実施形態における先端電極230、リング状電極232および制御ハンドル270と同様の構成である。
【0098】
電極カテーテル300を構成するカテーテルシャフト310の先端領域は、先端可撓部分310Aとなっている。
カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aは、ルーメンチューブ311〜316がバインダ樹脂318によって固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり、これらルーメンチューブ311〜316の各々の内部にルーメン311L〜316Lが形成されている。
【0099】
先端可撓部分310Aに形成されたルーメン311Lおよび312Lは、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン311L(ルーメンチューブ311)の中心軸〔M
311 〕およびルーメン312L(ルーメンチューブ312)の中心軸〔M
312 〕は第1仮想平面P1上に位置している。
【0100】
ルーメン311Lには、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aを矢印Aで示す第1方向に撓ませるための第1操作用ワイヤ341が挿通されている。また、ルーメン312Lには、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aを矢印Bで示す第2方向に撓ませるための第2操作用ワイヤ342が挿通されている。
また、先端可撓部分310Aの内部には、第2仮想平面P2上においてカテーテルシャフト310の軸方向に延びる板バネ360が配置されている。
本実施形態において、第2仮想平面P2は、第1仮想平面P1に対して直交する平面であって、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を含む仮想平面である。
【0101】
第1操作用ワイヤ341および第2操作用ワイヤ342は、第1実施形態における第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42と同様に撚り線(S撚り)から構成されている。第1操作用ワイヤ341および第2操作用ワイヤ342の先端は、それぞれ、先端電極に接続固定され、これらの後端は、それぞれ、制御ハンドルの摘みに接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0102】
先端可撓部分310Aに形成されたルーメン313Lおよび314Lは、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン313L(ルーメンチューブ313)の中心軸〔M
313 〕およびルーメン314L(ルーメンチューブ314)の中心軸〔M
314 〕は、第3仮想平面P3上に位置している。
本実施形態において、第3仮想平面P3は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を中心に、第1操作用ワイヤ341および第2操作用ワイヤ342を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)と同一方向(
図6において反時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
【0103】
先端可撓部分310Aに形成されたルーメン315Lおよび316Lは、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン315L(ルーメンチューブ315)の中心軸〔M
315 〕およびルーメン316L(ルーメンチューブ316)の中心軸〔M
316 〕は、第4仮想平面P4上に位置している。
本実施形態において、第4仮想平面P4は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を中心に、第1操作用ワイヤ241および第2操作用ワイヤ242を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)とは反対の方向(
図6において時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
図6に示すように、ルーメン315Lには、
図1に示したリング状電極のリード線332Lが挿通されており、ルーメン316Lには、先端電極のリード線330Lが挿通されている。
【0104】
ルーメン311L〜316Lを形成するルーメンチューブ311〜316は、樹脂から構成されている。
ルーメンチューブ311〜316を構成する樹脂としては、バインダ樹脂318と同等またはそれ以上の剛性を有することが好ましい。
ルーメンチューブ311〜316を構成する樹脂のD硬度としては、例えば80以下とされ、好ましくは50〜75とされる。
ルーメンチューブ311〜316を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば15〜1,000MPaとされ、好ましくは100〜800MPaとされる。
ルーメンチューブ311〜316を構成する樹脂材料としては、第1実施形態におけるルーメンチューブ11〜16を構成するものと同様の樹脂を挙げることができる。
【0105】
カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aには、第3仮想平面P3上であってルーメン313Lの外周側に中心軸〔M
355 〕を有する棒状の剛性体355(高剛性部材)と、第3仮想平面P3上であってルーメン314Lの外周側に中心軸〔M
356 〕を有する棒状の剛性体356(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト310の構成樹脂(バインダ樹脂318)に埋設された状態で、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されている。
ここに、剛性体355および356は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびナイロン11などの樹脂材料、並びにステンレスおよびNi−Ti系超弾性合金などの金属材料から構成された棒バネからなる。
【0106】
各々の中心軸〔M
355 〕および〔M
356 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体355および356が、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト310の先端可撓部分310Aは、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となる。
すなわち、第3仮想平面P3に沿って先端可撓部分310Aを撓ませるときの抗力が、この先端可撓部分310Aを第3仮想平面P3に垂直な方向に撓ませるときの抗力より格段に大きくなり、先端可撓部分310Aは第3仮想平面P3に沿って撓みにくく、第4仮想平面P4に沿って、第3仮想平面P3に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0107】
電極カテーテル300を構成する第1操作用ワイヤ341の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第1操作用ワイヤ341の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図6において時計回り)に回転する。
【0108】
ここに、第1操作用ワイヤ341の先端は先端電極に接続固定されているので、第1操作用ワイヤ341からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、上記のような剛性体が対向配置されていない場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト310(先端可撓部分310A)の先端側は、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を中心に、第1操作用ワイヤ341の回転方向と同一の方向〔
図6において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分310Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分310Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印A’に示した方向に撓むことになる。
【0109】
然るに、本実施形態の電極カテーテル300においては、各々の中心軸〔M
355 〕および〔M
356 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体355および356(高剛性部材)が、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第1操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分310Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図6において矢印A”に示した方向に撓むことになる)ので、第1操作用ワイヤ341の引張操作時において、先端可撓部分310Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分310Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Aで示した第1方向に撓ませることができる。
【0110】
また、電極カテーテル300を構成する第2操作用ワイヤ342の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第2操作用ワイヤ342の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図6において時計回り)に回転する。
【0111】
ここに、第2操作用ワイヤ342の先端は先端電極に接続固定されているので、第2操作用ワイヤ342からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、上記のような剛性体が対向配置されていない場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト310(先端可撓部分310A)の先端側は、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を中心に、第2操作用ワイヤ342の回転方向と同一の方向〔
図6において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分310Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分310Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印B’に示した方向に撓むことになる。
【0112】
然るに、本実施形態の電極カテーテル300においては、各々の中心軸〔M
355 〕および〔M
356 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体355および356(高剛性部材)が、カテーテルシャフト310の中心軸〔M
310 〕を挟んで対向配置されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第2操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分310Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図6において矢印B”に示した方向に撓むことになる)ので、第2操作用ワイヤ342の引張操作時において、先端可撓部分310Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分310Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Bで示した第2方向に撓ませることができる。
【0113】
本実施形態の電極カテーテル300によれば、第1操作用ワイヤ341および第2操作用ワイヤ342が撚り線から構成されているものでありながら、第1操作用ワイヤ341または第2操作用ワイヤ342の後端を引張操作することにより、先端可撓部分310Aの形状を実質的に同一平面(第1仮想平面P1)上で変化させて、オペレータが意図する方向(第1方向または第2方向)に確実に撓ませることができる。
【0114】
<第4実施形態>
先端可撓部分の横断面形状を
図7に示す本実施形態の電極カテーテル400は、先端可撓部分410Aを有するカテーテルシャフト410と、このカテーテルシャフト410の先端に固定された先端電極と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aを第1方向(
図7において矢印Aで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト410の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第1操作用ワイヤ441と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aを第2方向(
図7において矢印Bで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト410の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第2操作用ワイヤ442と、カテーテルシャフト410の後端に装着された制御ハンドルとを有し;
カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aは、中央ルーメン419Lを形成するためのルーメンチューブ419と、中央ルーメン419Lの周囲に45°間隔で配列された8つのサブルーメン411L〜418Lを形成するためのルーメンチューブ411〜418とがバインダ樹脂によって固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり;
先端可撓部分410Aには、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕、第1操作用ワイヤ441が挿通されたサブルーメン411Lの中心軸〔M
411 〕および第2操作用ワイヤ442が挿通されたサブルーメン415Lの中心軸〔M
415 〕を含む第1仮想平面P1に対して直交する平面であってカテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を含む第2仮想平面P2上に中心軸〔M
413 〕を有する高剛性ルーメンチューブ413(高剛性部材)と、第2仮想平面P2上に中心軸〔M
417 〕を有する高剛性ルーメンチューブ417(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されているとともに;
第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を中心に撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(本実施形態においてθ=45°である。)回転してなる第3仮想平面P3上に中心軸〔M
412 〕を有する高剛性ルーメンチューブ412(高剛性部材)と、第3仮想平面P3上に中心軸〔M
416 〕を有する高剛性ルーメンチューブ416(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されている。
【0115】
本実施形態の電極カテーテル400は、カテーテルシャフト410と、カテーテルシャフト410の先端に固定された先端電極と、カテーテルシャフト410の内部に挿通された第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442と、カテーテルシャフト410の後端に装着された制御ハンドルとを備えている。
なお、本実施形態の電極カテーテル400の外観形状は、
図4に示した第2実施形態の電極カテーテル200と同様である。
また、電極カテーテル400を構成する先端電極および制御ハンドルは、第2実施形態における先端電極230および制御ハンドル270と同様の構成である。
【0116】
電極カテーテル400を構成するカテーテルシャフト410の先端領域は、先端可撓部分410Aとなっている。
カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aはマルチルーメン構造体からなる。
図7に示すように、先端可撓部分410Aは、バインダ樹脂によってルーメンチューブ411〜419が固定されてなるインナー(コア)部428と、インナー部428を被覆する樹脂からなるアウター(シェル)部429とからなり、インナー部428を構成するルーメンチューブ419の内部に中央ルーメン419Lが形成され、ルーメンチューブ411〜418の各々の内部に、サブルーメン411L〜418Lが形成されている。
【0117】
先端可撓部分410Aに形成された中央ルーメン419Lには、先端電極などのリード線(図示省略)が挿通されている。
【0118】
先端可撓部分410Aに形成されたサブルーメン411Lおよびサブルーメン415Lは、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されている。
サブルーメン411L(ルーメンチューブ411)の中心軸〔M
411 〕およびサブルーメン415L(ルーメンチューブ415)の中心軸〔M
415 〕は、第1仮想平面P1上に位置している。
【0119】
サブルーメン411Lには、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aを矢印Aで示す第1方向に撓ませるための第1操作用ワイヤ441が挿通されている。また、サブルーメン415Lには、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aを矢印Bで示す第2方向に撓ませるための第2操作用ワイヤ442が挿通されている。
【0120】
第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442は、第1実施形態における第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42と同様に撚り線(S撚り)から構成されている。第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442の先端は、それぞれ、先端電極に接続固定され、これらの後端は、それぞれ、制御ハンドルの摘みに接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0121】
先端可撓部分410Aに形成されたサブルーメン413Lおよびサブルーメン417Lは、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されている。
サブルーメン413L(高剛性ルーメンチューブ413)の中心軸〔M
413 〕およびサブルーメン417L(高剛性ルーメンチューブ417)の中心軸〔M
417 〕は、第2仮想平面P2上に位置している。
本実施形態において、第2仮想平面P2は、第1仮想平面P1に対して直交する平面であって、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を含む仮想平面である。
【0122】
先端可撓部分410Aに形成されたサブルーメン412Lおよびサブルーメン416Lは、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されている。
サブルーメン412L(高剛性ルーメンチューブ412)の中心軸〔M
412 〕およびサブルーメン416L(高剛性ルーメンチューブ416)の中心軸〔M
416 〕は、第3仮想平面P3上に位置している。
本実施形態において、第3仮想平面P3は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を中心に、第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)と同一方向(
図7において反時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
【0123】
先端可撓部分410Aに形成されたサブルーメン414Lおよびサブルーメン418Lは、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されている。
サブルーメン414L(ルーメンチューブ414)の中心軸〔M
414 〕およびサブルーメン418L(ルーメンチューブ418)の中心軸〔M
418 〕は、第4仮想平面P4上に位置している。
本実施形態において、第4仮想平面P4は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を中心に、第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)とは反対の方向(
図7において時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
【0124】
サブルーメン411L〜418Lおよび中央ルーメン419Lの各々を形成するルーメンチューブ411〜419は樹脂から構成されている。
サブルーメン411L、414L、415L、418Lおよび中央ルーメン419Lの各々を形成するためのルーメンチューブ411、414、415、418および419を構成する樹脂としては、バインダ樹脂と同等またはそれ以上の剛性を有することが好ましい。
ルーメンチューブ411、414、415、418および419を構成する樹脂のD硬度としては、例えば80以下とされ、好ましくは50〜75とされる。
ルーメンチューブ411、414、415、418および419を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば15〜1,000MPaとされ、好ましくは100〜800MPaとされる。
ルーメンチューブ411、414、415、419を構成する樹脂材料としては、第1実施形態におけるルーメンチューブ11〜16を構成するものと同様の樹脂を挙げることができる。
【0125】
サブルーメン412L、413L、416Lおよび417Lを形成する高剛性ルーメンチューブ412、413、416および417は、バインダ樹脂並びにルーメンチューブ411、414、415、418および419を構成する樹脂よりも高い剛性の樹脂からなる高剛性部材である。
【0126】
高剛性ルーメンチューブ412、413、416および417を構成する樹脂材料としては、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびナイロン11などを挙げることができる。
高剛性ルーメンチューブ412、413、416および417を構成する樹脂のD硬度は、ルーメンチューブ411、414、415、418および419を構成する樹脂のD硬度より高く、例えば72以上とされ、好ましくは77〜95とされる。
高剛性ルーメンチューブ412、413、416および417を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば1,500〜19,000MPaとされ、好ましくは2,000〜7,000MPaとされる。
【0127】
各々の中心軸〔M
413 〕および〔M
417 〕が第2仮想平面P2上に位置している高剛性ルーメンチューブ413および417が、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aは、第2仮想平面P2上に板バネが存在しているのと近似した形態となり、先端可撓部分410Aの内部に板バネを配置しなくても、第2仮想平面P2に沿って撓みにくく、第1仮想平面P1に沿って、第2仮想平面P2に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0128】
また、各々の中心軸〔M
412 〕および〔M
416 〕が第3仮想平面P3上に位置している高剛性ルーメンチューブ412および416が、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト410の先端可撓部分410Aは第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となり、第3仮想平面P3に沿って撓みにくく、第3仮想平面P3に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0129】
電極カテーテル400を構成する第1操作用ワイヤ441の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第1操作用ワイヤ441の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図7において時計回り)に回転する。
【0130】
ここに、第1操作用ワイヤ441の先端は先端電極に接続固定されているので、第1操作用ワイヤ441からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、サブルーメン412Lおよび416Lを形成するルーメンチューブが高剛性部材ではなく、ルーメンチューブ414および418と同等の剛性を有する場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト410(先端可撓部分410A)の先端側は、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を中心に、第1操作用ワイヤ441の回転方向と同一の方向〔
図7において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分410Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分410Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印A’に示した方向に撓むことになる。
【0131】
然るに、本実施形態の電極カテーテル400においては、サブルーメン412Lおよび416Lが、それぞれ、高剛性ルーメンチューブ412および416(高剛性部材)により形成されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第1操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分410Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図7において矢印A”に示した方向に撓むことになる)ので、第1操作用ワイヤ441の引張操作時において、先端可撓部分410Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分410Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Aで示した第1方向に撓ませることができる。
【0132】
また、電極カテーテル400を構成する第2操作用ワイヤ442の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第2操作用ワイヤ442の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図7において時計回り)に回転する。
【0133】
ここに、第2操作用ワイヤ442の先端は先端電極に接続固定されているので、第2操作用ワイヤ442からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、サブルーメン412Lおよび416Lを形成するルーメンチューブが高剛性部材ではなく、ルーメンチューブ414および418と同等の剛性を有する場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト410(先端可撓部分410A)の先端側は、カテーテルシャフト410の中心軸〔M
410 〕を中心に、第2操作用ワイヤ442の回転方向と同一の方向〔
図7において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分410Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分410Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印B’に示した方向に撓むことになる。
【0134】
然るに、本実施形態の電極カテーテル400においては、サブルーメン412Lおよび416Lが、それぞれ、高剛性ルーメンチューブ412および416(高剛性部材)により形成されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第2操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分410Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図7において矢印B”に示した方向に撓むことになる)ので、第2操作用ワイヤ442の引張操作時において、先端可撓部分410Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分410Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Bで示した第2方向に撓ませることができる。
【0135】
本実施形態の電極カテーテル400によれば、第1操作用ワイヤ441および第2操作用ワイヤ442が撚り線から構成されているものでありながら、第1操作用ワイヤ441または第2操作用ワイヤ442の後端を引張操作することにより、先端可撓部分410Aの形状を実質的に同一平面(第1仮想平面P1)上で変化させて、オペレータが意図する方向(第1方向または第2方向)に確実に撓ませることができる。
【0136】
<第5実施形態>
先端可撓部分の横断面形状を
図8に示す本実施形態の電極カテーテル500は、先端可撓部分510Aを有するカテーテルシャフト510と、このカテーテルシャフト510の先端に固定された先端電極と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aを第1方向(
図8において矢印Aで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト510の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第1操作用ワイヤ541と、撚り線(S撚り)から構成され、カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aを第2方向(
図8において矢印Bで示す方向)に撓ませるためにカテーテルシャフト510の内部に挿通され、その先端が先端電極に接続固定され、その後端を引張操作することができる第2操作用ワイヤ542と、カテーテルシャフト510の後端に装着された制御ハンドルとを有し;
カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aは、ルーメン511L〜514Lを形成するための4つのルーメンチューブ511〜514がバインダ樹脂によって固定された状態で配置されてなるマルチルーメン構造体であり;
先端可撓部分510Aには、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕、第1操作用ワイヤ541が挿通されたルーメン511Lの中心軸〔M
511 〕および第2操作用ワイヤ542が挿通されたルーメン512Lの中心軸〔M
512 〕を含む第1仮想平面P1に対して直交する平面であってカテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を含む第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を中心に撚り線の撚り方向と同一の方向に一定の角度(θ)(本実施形態においてθ=45°である。)回転してなる第3仮想平面P3上に中心軸〔M
551 〕を有する棒状の剛性体551(高剛性部材)と、この第3仮想平面P3上に中心軸〔M
552 〕を有する棒状の剛性体552(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト510の構成樹脂に埋設された状態で、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されている。
【0137】
本実施形態の電極カテーテル500は、カテーテルシャフト510と、カテーテルシャフト510の先端に固定された先端電極と、カテーテルシャフト510の内部に挿通された第1操作用ワイヤ541および第2操作用ワイヤ542と、カテーテルシャフト510の後端に装着された制御ハンドルとを備えている。
なお、本実施形態の電極カテーテル500の外観形状は、
図4に示した第2実施形態の電極カテーテル200と同様である。
また、電極カテーテル500を構成する先端電極および制御ハンドルは、第2実施形態における先端電極230および制御ハンドル270と同様の構成である。
【0138】
電極カテーテル500を構成するカテーテルシャフト510の先端領域は、先端可撓部分510Aとなっている。
カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aはマルチルーメン構造体からなる。
図8に示すように、先端可撓部分510Aは、バインダ樹脂によってルーメンチューブ511〜514が固定されてなるインナー(コア)部518と、インナー部518を被覆する樹脂からなるアウター(シェル)部519とからなり、ルーメンチューブ511〜514の各々の内部にルーメン511L〜514Lが形成されている。
【0139】
先端可撓部分510Aに形成されたルーメン511Lおよび512Lは、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン511L(ルーメンチューブ511)の中心軸〔M
511 〕およびルーメン512L(ルーメンチューブ512)の中心軸〔M
512 〕は、第1仮想平面P1上に位置している。
【0140】
ルーメン511Lには、カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aを矢印Aで示す第1方向に撓ませるための第1操作用ワイヤ541が挿通されている。また、ルーメン512Lには、カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aを矢印Bで示す第2方向に撓ませるための第2操作用ワイヤ542が挿通されている。
【0141】
第1操作用ワイヤ541および第2操作用ワイヤ542は、第1実施形態における第1操作用ワイヤ41および第2操作用ワイヤ42と同様に撚り線(S撚り)から構成されている。第1操作用ワイヤ541および第2操作用ワイヤ542の先端は、それぞれ、先端電極に接続固定され、これらの後端は、それぞれ、制御ハンドルの摘みに接続されることによって引張操作が可能になっている。
【0142】
先端可撓部分510Aに形成されたルーメン513Lおよび514Lは、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されており、ルーメン513L(ルーメンチューブ513)の中心軸〔M
513 〕およびルーメン514L(ルーメンチューブ514)の中心軸〔M
514 〕は、第2仮想平面P2上に位置している。
本実施形態において、第2仮想平面P2は、第1仮想平面P1に対して直交する平面であって、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を含む仮想平面である。
【0143】
ルーメン511L〜514Lを形成するルーメンチューブ511〜514は、樹脂から構成されている。
ルーメンチューブ511〜514を構成する樹脂としては、バインダ樹脂と同等またはそれ以上の剛性を有することが好ましい。
ルーメンチューブ511〜514を構成する樹脂のD硬度としては、例えば80以下とされ、好ましくは50〜75とされる。
ルーメンチューブ511〜514を構成する樹脂の曲げ弾性率としては、例えば15〜1,000MPaとされ、好ましくは100〜800MPaとされる。
ルーメンチューブ511〜514を構成する樹脂材料としては、第1実施形態におけるルーメンチューブ11〜16を構成するものと同様の樹脂を挙げることができる。
【0144】
カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aには、第3仮想平面P3上に中心軸〔M
551 〕を有する棒状の剛性体551(高剛性部材)と、第3仮想平面P3上に中心軸〔M
552 〕を有する棒状の剛性体552(高剛性部材)とが、カテーテルシャフト510の構成樹脂に埋設された状態で、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されている。
本実施形態において、第3仮想平面P3は、第2仮想平面P2を、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を中心に、第1操作用ワイヤ541および第2操作用ワイヤ542を構成する撚り線の撚り方向(先端側における撚り方向)と同一方向(
図8において反時計回り)に45°回転してなる仮想平面である。
【0145】
各々の中心軸〔M
551 〕および〔M
552 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体551および552が、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されていることにより、カテーテルシャフト510の先端可撓部分510Aは、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となる。
すなわち、第3仮想平面P3に沿って先端可撓部分510Aを撓ませるときの抗力が、この先端可撓部分510Aを第3仮想平面P3に垂直な方向に撓ませるときの抗力より格段に大きくなり、先端可撓部分510Aは第3仮想平面P3に沿って撓みにくく、第3仮想平面P3に垂直な方向に撓みやすくなっている。
【0146】
電極カテーテル500を構成する第1操作用ワイヤ541の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第1操作用ワイヤ541の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図8において時計回り)に回転する。
【0147】
ここに、第1操作用ワイヤ541の先端は先端電極に接続固定されているので、第1操作用ワイヤ541からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、上記のような剛性体が対向配置されていない場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト510(先端可撓部分510A)の先端側は、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を中心に、第1操作用ワイヤ541の回転方向と同一の方向〔
図8において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分510Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分510Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印A’に示した方向に撓むことになる。
【0148】
然るに、本実施形態の電極カテーテル500においては、各々の中心軸〔M
551 〕および〔M
552 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体551および552(高剛性部材)が、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第1操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分510Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図8において矢印A”に示した方向に撓むことになる)ので、第1操作用ワイヤ541の引張操作時において、先端可撓部分510Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分510Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Aで示した第1方向に撓ませることができる。
【0149】
また、電極カテーテル500を構成する第2操作用ワイヤ542の引張操作時において、S撚りの撚り線からなる第2操作用ワイヤ542の先端側は、撚り線の撚りが解ける方向(
図8において時計回り)に回転する。
【0150】
ここに、第2操作用ワイヤ542の先端は先端電極に接続固定されているので、第2操作用ワイヤ542からの回転トルクは先端電極に伝達される。
このため、仮に、上記のような剛性体が対向配置されていない場合には、先端電極および先端電極が固定されているカテーテルシャフト510(先端可撓部分510A)の先端側は、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を中心に、第2操作用ワイヤ542の回転方向と同一の方向〔
図8において矢印Rで示す方向(時計回り)〕に回転する。
一方、先端可撓部分510Aの後端側は先端側のように自由に回転することができず、これにより、先端可撓部分510Aは、矢印Rで示す方向に捩じれながら、例えば、同図において矢印B’に示した方向に撓むことになる。
【0151】
然るに、本実施形態の電極カテーテル500においては、各々の中心軸〔M
551 〕および〔M
552 〕が第3仮想平面P3上に位置している剛性体551および552(高剛性部材)が、カテーテルシャフト510の中心軸〔M
510 〕を挟んで対向配置されて、第3仮想平面P3上に板バネが存在しているのと近似した形態となっている(このような形態において、単線から構成される第2操作用ワイヤを用いる場合には、先端可撓部分510Aは、反時計回りに捩じれながら、例えば、
図8において矢印B”に示した方向に撓むことになる)ので、第2操作用ワイヤ542の引張操作時において、先端可撓部分510Aが矢印Rで示す方向(時計回り)に捩じれることを抑制・阻止することができ、この結果、捩じれのない先端可撓部分510Aを、第1仮想平面P1に沿って矢印Bで示した第2方向に撓ませることができる。
【0152】
本実施形態の電極カテーテル500によれば、第1操作用ワイヤ541および第2操作用ワイヤ542が撚り線から構成されているものでありながら、第1操作用ワイヤ541または第2操作用ワイヤ542の後端を引張操作することにより、先端可撓部分510Aの形状を実質的に同一平面(第1仮想平面P1)上で変化させて、オペレータが意図する方向(第1方向または第2方向)に確実に撓ませることができる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の先端偏向操作可能カテーテルはこれらに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
例えば、第2仮想平面P2と、第3仮想平面P3とのなす角度(θ)は45°でなくともよく、0°<θ<90°が成立する範囲で適宜調整することができる。
但し、先端可撓部分の形状の平面性を十分に確保する観点から、角度(θ)は20〜70°であることが好ましく、更に好ましくは30〜60°、特に好ましくは40〜50°とされる。
【0154】
また、操作用ワイヤを構成する撚り線として、Z撚りの撚り線を使用してもよい。
また、操作用ワイヤの数が1本のシングルバイデレクションタイプの先端偏向操作可能カテーテルであってもよい。
また、本発明の先端偏向操作可能カテーテルの実施形態として、電極カテーテルを挙げて説明したが、本発明は、ガイドカテーテル(ガイディングカテーテル)、血管造影用カテーテル、シースカテーテル(シースイントロデューサー)、マイクロカテーテル、貫通カテーテルなどにも適用することが可能である。