特許第5697275号(P5697275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697275
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】電池ユニット及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H01M2/10 P
   H01M2/10 M
   H01M2/10 E
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-500779(P2013-500779)
(86)(22)【出願日】2011年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2011054049
(87)【国際公開番号】WO2012114489
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2013年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】谷井 恵一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】竹内 恭平
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 剛大
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6109530(US,A)
【文献】 特開2005−19320(JP,A)
【文献】 特開2004−273368(JP,A)
【文献】 特開2009−87554(JP,A)
【文献】 実開平5−84147(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3159789(JP,U)
【文献】 特開2010−205700(JP,A)
【文献】 特開平11−233088(JP,A)
【文献】 特開2007−257849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01L 23/00
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び底面を有するコイン状の扁平形電池と、
前記扁平形電池の上面及び底面のうち一方の面に対して固定される基板と、を備え、
前記基板における前記扁平形電池側の面には、保護回路部品が実装されていて、
前記基板における前記扁平形電池とは反対側の面には、該扁平形電池の正極側と電気的に接続された正極端子と、該扁平形電池の負極側と電気的に接続された負極端子とが形成されていて、
前記正極端子と前記負極端子との間は前記保護回路部品で電気的に保護されている、電池ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ユニットにおいて、
前記扁平形電池は、有底筒状の外装缶と、該外装缶の開口側を覆う封口缶とを有し、
前記基板は、前記封口缶によって構成される前記上面上に固定されている、電池ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電池ユニットにおいて、
前記正極端子は、前記封口缶及び該封口缶に嵌合される前記外装缶の外周側部分のいずれか一方に電気的に接続されていて、
前記負極端子は、前記封口缶及び前記外装缶の外周側部分のうち前記正極端子が電気的に接続されていない他方に、電気的に接続されている、電池ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記基板は、前記扁平形電池との間に前記保護回路部品が該扁平形電池と接触しないような間隔を有するように、前記扁平形電池に対して固定されている、電池ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の電池ユニットにおいて、
前記基板と前記扁平形電池との間には、前記間隔を形成するようなスペーサが配置されている、電池ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記基板は、前記扁平形電池上に配置した状態で、該扁平形電池の外形と同等の形状及び大きさを有する、電池ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記扁平形電池及び前記基板によって構成される積層体の少なくとも側面が樹脂部材によって覆われている、電池ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の電池ユニットにおいて、
前記積層体の両端面の外周側も前記樹脂部材によって覆われている、電池ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載の電池ユニットを収納可能な筐体を備えていて、
前記筐体には、前記電池ユニットの前記正極端子及び負極端子が露出するように、複数の開口部が形成されている、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形電池を備えた電池ユニット及び該電池ユニットを装着可能な電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池と保護回路等とをユニット化した構成は知られている。このような構成としては、例えば特開2009−152183号公報に開示されるように、電池ケース上に保護回路等を配置した構成が知られている。
【発明の開示】
【0003】
ところで、上述の構成の場合には、比較的、サイズが大きい電池パックを用いているため、電池ケース上に保護回路を配置するためのスペースが存在する。しかしながら、電池をコイン型電池などの扁平形電池によって構成すると、該扁平形電池は電池パックに比べて非常に小型であるため、保護回路や端子等を設けた基板が扁平形電池よりも大きくなる可能性がある。そうすると、電池ユニット全体として大型化し、扁平形電池を用いるような小型機器への適用が難しくなる場合がある。
【0004】
そのため、本発明では、扁平形電池と回路が形成された基板とを備えた電池ユニットにおいて、電池ユニット全体としてコンパクト化を図れるような構成を得ることを目的とする。
【0005】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットは、上面及び底面を有する扁平形状の扁平形電池と、前記扁平形電池の上面及び底面のうち一方の面に対して固定される基板と、を備え、前記基板における前記扁平形電池側の面には、回路部品が実装されていて、前記基板における前記扁平形電池とは反対側の面には、該扁平形電池の正極側と電気的に接続された正極端子と、該扁平形電池の負極側と電気的に接続された負極端子とが形成されている(第1の構成)。
【0006】
以上の構成により、基板が扁平形電池の一方の面に対して固定されるため、該基板及び扁平形電池をそれらの厚み方向にコンパクトに配置することができる。しかも、基板における扁平形電池とは反対側の面に正極端子及び負極端子が設けられるため、基板及び扁平形電池の積層方向から見て、正極端子及び負極端子を扁平形電池と重なる位置に形成することが可能になる。これにより、扁平形電池と基板とを備えた電池ユニットにおいて、該扁平形電池の径方向のサイズのコンパクト化を図れる。
【0007】
また、基板の扁平形電池側の面に回路部品を実装することにより、該基板における扁平形電池とは反対側の面に正極端子及び負極端子を形成できるため、電池ユニットの薄型化が可能になる。しかも、上述のように、基板の扁平形電池側の面に回路部品を実装することで、電池交換等の際に、ユーザーが回路部品に直接触れるのを防止できる。
【0008】
前記第1の構成において、前記扁平形電池は、有底筒状の外装缶と、該外装缶の開口側を覆う封口缶とを有し、前記基板は、前記封口缶によって構成される前記上面上に固定されている(第2の構成)。一般的に、扁平形電池は、外装缶よりも封口缶の方が変形を生じにくい。そのため、上述のように封口缶によって構成される上面上に基板を固定することで、該基板が扁平形電池の変形による影響を受けるのを防止できる。すなわち、上述のような構成にすることで、扁平形電池が変形した場合でも、基板と扁平形電池との電気的な接触を確保することができる。
【0009】
前記第2の構成において、前記正極端子は、前記封口缶及び該封口缶に嵌合される前記外装缶の外周側部分のいずれか一方に電気的に接続されていて、前記負極端子は、前記封口缶及び前記外装缶の外周側部分のうち前記正極端子が電気的に接続されていない他方に、電気的に接続されている(第3の構成)。
【0010】
こうすることで、正極端子及び負極端子を、封口缶及び外装缶に対して電気的に接続することができる。これにより、上述の第1及び第2の構成を実現することができる。
【0011】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記基板は、前記扁平形電池との間に前記回路部品が該扁平形電池と接触しないような間隔を有するように、前記扁平形電池に対して固定されている(第4の構成)。
【0012】
これにより、基板に実装された回路部品と扁平形電池とは、該回路部品と扁平形電池とが接触しないような間隔を有するため、扁平形電池が多少変形した場合でも、回路部品が扁平形電池と接触して変形するのを防止できる。
【0013】
前記第4の構成において、前記基板と前記扁平形電池との間には、前記間隔を形成するようなスペーサが配置されている(第5の構成)。これにより、上述の第4の構成を容易に実現することができる。
【0014】
前記第1から第5の構成のうちいずれか一つの構成において、前記基板は、前記扁平形電池上に配置した状態で、該扁平形電池の外形と同等の形状及び大きさを有する(第6の構成)。こうすることで、扁平形電池上に基板が固定された電池ユニットの小型化を図ることができる。
【0015】
前記第1から第6の構成のうちいずれか一つの構成において、前記扁平形電池及び前記基板によって構成される積層体の少なくとも側面が樹脂部材によって覆われている(第7の構成)。こうすることで、扁平形電池及び基板からなる積層体の強度向上を図れるとともに、該積層体の側面の外観の向上も図れる。
【0016】
前記第7の構成において、前記積層体の両端面の外周側も前記樹脂部材によって覆われている(第8の構成)。これにより、樹脂部材によって積層体を厚み方向に保持できるため、該積層体の強度をより向上することができる。しかも、上述の構成により、積層体の端面に、樹脂部材の厚み分の段差が形成されることになるため、電池ユニットを例えば平板等の上に載置した場合に、該電池ユニットの端面(特に、基板表面)が直接、平板等に接触するのを防止できる。よって、基板上に形成した正極端子及び負極端子が損傷を受けるのをより確実に防止できる。
【0017】
本発明の一実施形態にかかる電気機器は、請求項1から8のいずれか一つに記載の電池ユニットを収納可能な筐体を備えていて、前記筐体には、前記電池ユニットの前記正極端子及び負極端子が露出するように、複数の開口部が形成されている(第9の構成)。
【0018】
以上の構成により、電気機器の筐体に電池ユニットの正極端子及び負極端子が露出するため、該電気機器に電池ユニットを装着した状態で該電池ユニットの充電を行うことが可能になる。
【0019】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットによれば、扁平形電池と回路が形成された基板とを備えた電池ユニット全体のコンパクト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る電池ユニットの概略構成を示す図である。
図2図2は、電池ユニットの上面図である。
図3図3は、扁平形電池の概略構成を示す断面図である。
図4図4は、スペーサの概略構成を示す図である。
図5図5は、電池ユニットを電気機器内に装着した状態を示す図である。
図6図6は、電池ユニットの製造方法の一例において、回路部を形成する様子を示す図である。
図7図7は、電池ユニットの製造方法の一例において、回路部に対して扁平形電池を組み付ける様子を示す図である。
図8図8は、実施形態の変形例に係る電池ユニットに用いられるスペーサの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態にかかる電池ユニット1の概略構成を示す図である。この電池ユニット1は、コイン状の扁平形電池2と回路部3とが一体化されたユニットである。電池ユニット1は、例えば、歩数計、補聴器、自動車用の電子キー、ICタグ、センサユニットなど、コイン型電池を使用する小型機器に電源として使用される。
【0023】
具体的には、図1に示すように、電池ユニット1は、扁平形電池2の上面上に、回路部3が積層された状態で例えば弾性接着剤によって接着固定されている。この回路部3は、扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て、該扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有する。これにより、扁平形電池2と回路部3とを厚み方向にコンパクトに配置しつつ、電池ユニット1の大きさを扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て該扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさにすることができる。なお、扁平形電池2と回路部3との接着に弾性接着剤を用いることで、熱変形量が異なる部材同士を接続する場合でも、接着剤によって部材同士をより確実に接着することができる。
【0024】
また、詳しくは後述するが、回路部3の回路基板61における扁平形電池2とは反対側の面に、後述する各種の端子66〜69が形成されている。これにより、電池ユニット1では、図1に示すように扁平形電池2と回路部3とを組み合わせた状態で、図2に示すように、各種端子66〜69のみ(図1には、出力端子67及び充電端子68のみを図示)が露出した状態となる。
【0025】
さらに、図1に示すように、扁平形電池2と回路部3とを積層した状態で固定することによって構成される積層体の側面は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)など、熱によって収縮する樹脂材料からなるチューブ4(樹脂部材)によって覆われている。このチューブ4は、積層体の側面だけでなく該積層体の両端面の外周側(回路部3の基板61の外周側及び扁平形電池2の外装缶10の底面外周側)も覆っている。これにより、前記積層体の強度の向上を図れるとともに、該積層体の側面の外観の向上も図れる。また、チューブ4の厚みの分だけ、積層体の端面に段差が形成されるため、該積層体の端面に位置する回路部3の外表面に形成される各種端子66〜69が、チューブ4よりも内方に位置し、該各種端子66〜69が損傷を受けにくくなる。
【0026】
以下で、図1から図4を用いて、扁平形電池2及び回路部3の詳しい構成について説明する。
【0027】
扁平形電池2は、図3に示すように、有底円筒状の外装缶としての正極缶10と、該正極缶10の開口を覆う封口缶としての負極缶20と、正極缶10の外周側と負極缶20の外周側との間に配置されるガスケット30と、正極缶10及び負極缶20の間に形成される空間内に収納される電極体40とを備えている。したがって、扁平形電池2は、正極缶10と負極缶20とを合わせることによって、全体が扁平なコイン状となる。正極缶10と負極缶20との間に形成される空間内には、電極体40以外に、非水電解液(図示省略)も封入されている。なお、本実施形態において、扁平形電池2は、リチウムイオン電池として構成されている。
【0028】
正極缶10は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。正極缶10は、円形状の底部11と、その外周に該底部11と連続して形成される円筒状の周壁部12とを備えている。この周壁部12は、縦断面視(図1に図示した状態)で、底部11の外周端からほぼ垂直に延びるように設けられている。正極缶10は、後述するように、負極缶20との間にガスケット30を挟んだ状態で、周壁部12の開口端側が内側に折り曲げられて、該負極缶20に対してかしめられている。よって、正極缶10の底部11によって、扁平形電池2の底面が構成される。
【0029】
負極缶20も、正極缶10と同様、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。負極缶20は、正極缶10の周壁部12よりも外形が小さい円筒状の周壁部22と、その一方の開口を塞ぐ円形状の平面部21と、を有している。よって、負極缶20の平面部21によって、扁平形電池2の上面が構成される。
【0030】
負極缶20の周壁部22も、正極缶10と同様、縦断面視で、平面部21に対してほぼ垂直に延びるように設けられている。周壁部22には、平面部21側の基端部22aに比べて径が段状に大きくなる拡径部22bが形成されている。すなわち、周壁部22には、基端部22aと拡径部22bとの間に段部22cが形成されている。図3に示すように、この段部22cに対して、正極缶10の周壁部12の開口端側が折り曲げられてかしめられている。すなわち、正極缶10は、その周壁部12の開口端側が負極缶20の段部22cに嵌合されている。
【0031】
図1に示すように、回路部3は、回路基板61と、該回路基板61上に実装される複数の回路部品62とを備えている。複数の回路部品62は、回路基板61の一面側にまとめて実装されている。回路部品62としては、例えば、保護回路を構成する保護ICや、充電回路を構成する充電IC、電圧変換を行うDC/DCコンバータなどがある。このDC/DCコンバータを電池ユニット1内に設けることで、扁平形電池2の定格電圧が、使用する電気機器の定格電圧と異なる場合であっても、該電気機器の定格電圧に合わせて電池ユニット1から電圧を出力することが可能となる。よって、様々な定格電圧の扁平形電池を用いて電池ユニット1を構成することが可能になる。なお、詳しくは説明しないが、回路部3は、扁平形電池2の残量検知のために、該扁平形電池2の残容量が少なくなった場合に出力電圧を変更するように構成されている。
【0032】
回路基板61は、平面視で、扁平形電池2の外形と同等の形状(円形)及び大きさを有するように形成されている。これにより、回路基板61によって電池ユニット1が扁平形電池2の直径よりも大型化するのを防止できる。なお、本実施形態では、回路基板61は、平板状に形成されているが、この限りではなく、後述するスペーサ71と一体に形成されていてもよい。
【0033】
回路基板61において回路部品62が実装されていない側の面には、GND端子66(負極端子)、出力端子67(正極端子)、充電端子68(正極端子)及び充電表示信号端子69が設けられている(図2参照)。すなわち、回路基板61には、図1に示すように、一面側に複数の回路部品62が実装されている一方、他面側には各種端子66〜69がまとめて設けられている。また、回路基板61には、複数のスルーホールが形成されていて、該スルーホール内に充填される金属材料によって、該回路基板61上に実装された回路部品62と各種端子66〜69とが電気的に接続されている。
【0034】
ここで、図2に示すように、各種端子66〜69は、出力端子67と充電端子68とを容易に区別できるように、出力端子67と隣りの端子(GND端子66)との距離が、充電端子68と隣りの端子(充電表示信号端子69)との距離よりも大きくなっている。
【0035】
また、図1に示すように、回路基板61において回路部品62が実装されている面には、扁平形電池2の負極缶20(負極側)に接続される接続端子63と、該扁平形電池2の正極缶10(正極側)に接続される接続ピン64とが設けられている。これらの接続端子63及び接続ピン64は、扁平形電池2と回路基板61上の回路部品62とを電気的に接続するように構成されている。これにより、回路基板61上に形成された各種端子66〜69も、接続端子63及び接続ピン64を介して扁平形電池2に電気的に接続されている。
【0036】
接続端子63は、例えば銅などの導電性の金属材料からなる部材であり、上述のような扁平形電池2と回路基板61との電気的な接続を行う接続部材としての役割だけでなく、扁平形電池2と回路基板61との間でスペーサとしての役割も果たす。すなわち、接続端子63は、回路部品62よりも高さが高くなるように形成されており、これにより、回路基板61と扁平形電池2との間に挟まれた状態で、該回路基板61及び扁平形電池2に電気的に接続されている。なお、この実施形態では、接続端子63を、スペーサとしても兼用しているが、該接続端子63とは別にスペーサを設けてもよい。
【0037】
接続ピン64は、例えば銅などの導電性の金属材料からなる部材であり、細長いピン状に形成されている。この実施形態では、図1に示すように、接続ピン64は、扁平形電池2を挟んで対向する位置に2つ、設けられている。このように、接続ピン64を、複数、設けることで、回路基板61と扁平形電池2とをより確実に電気的に接続することができる。なお、設ける接続ピン64の数は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0038】
回路基板61は、扁平形電池2の負極缶20上に、スペーサ71を介して保持されている。具体的には、回路基板61は、スペーサ71によって扁平形電池2の負極缶20から所定の間隔を有するように配置された状態で、弾性接着剤によって該負極缶20に対して接着固定されている。よって、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填された状態である。このように、扁平形電池2において変形が生じにくい負極缶20に、回路基板61を設けることで、該扁平形電池2が変形を生じた場合でも回路基板61と扁平形電池2との電気的な接続を確保することが可能になる。
【0039】
スペーサ71は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)やフェノール樹脂などの樹脂材料からなる部材であり、図4に示すように、略ドーナツ形状を有している。スペーサ71は、図1に示すように、扁平形電池2の負極缶20と正極缶10との段差部分を埋めるように、該段差部分に沿って外周側部分が肉厚に形成されている。すなわち、スペーサ71は、その外周側部分が、正極缶10における負極缶20とのかしめ部分(以下、肩部ともいう)まで延びるように形成されている。また、スペーサ71は、扁平形電池2と回路基板61との間に回路部品62が扁平形電池2と接触しない所定の間隔が形成されるような厚みを有している。これにより、扁平形電池2が変形を生じても、該扁平形電池2に回路部品62が接触するのを防止することができ、該回路部品62が損傷を受けるのを防止できる。
【0040】
回路基板61は、略ドーナツ状のスペーサ71の内側に回路部品62が位置するように、該スペーサ71に対して重ね合わされる(図1参照)。これにより、回路部品62が実装された回路基板61を、扁平形電池2に対してコンパクトに配置することができる。また、上述のような構成にすることで、回路部品62が電池ユニット1の外に露出しないため、ユーザー等が回路部品62に触れるのを防止できる。
【0041】
なお、上述のとおり、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填されているため、略ドーナツ状のスペーサ71の内方に配置された回路部品62の周囲にも弾性接着剤が充填された状態である。
【0042】
また、スペーサ71の外周側には、図1及び図4に示すように、上述の接続ピン64が挿通するための貫通穴71aが形成されている。この貫通穴71aは、図1に示すように、スペーサ71の肉厚の外周部分に形成されている。これにより、該貫通穴71aを挿通した接続ピン64は、扁平形電池2において負極缶20にかしめられた正極缶10の肩部分に接触する。
【0043】
上述のような構成を有する電池ユニット1を、歩数計や補聴器などの小型の電気機器100内に配置した状態を図5に示す。この電気機器100の筐体101には、電池ユニット1のGND端子66及び充電端子68が露出するような開口部101aが形成されている。このような開口部101aを設けることにより、電気機器100の筐体101内に電池ユニット1を装着した状態で、該電池ユニット1の充電が可能になる。よって、電池ユニット1を充電する際に、該電池ユニット1を電気機器100から取り外す必要がなくなるため、充電時の手間を軽減することができる。
【0044】
(電池ユニット1の製造方法)
次に、上述のような構成を有する電池ユニット1の製造方法について、図6及び図7を用いて説明する。
【0045】
まず、図6に示すように、回路基板61の一面側に、複数の回路部品62を実装するとともに、接続端子63及び接続ピン64を設ける。このとき、回路基板61の他面側には、各種端子66〜69を形成する。
【0046】
そして、図6に示すように、回路基板61を、前記一面側が上側になるように配置して、該回路基板61に、弾性接着剤によってスペーサ71を接着固定する。
【0047】
その後、回路基板61及びスペーサ71上に弾性接着剤等を塗布し(図示省略)、図7に示すように、扁平形電池2を、負極缶20が下側に位置する状態で該回路基板61及びスペーサ71上に取り付ける。そして、弾性接着剤を乾燥させて、扁平形電池2、スペーサ71及び回路基板61を一体化する。なお、回路基板61及びスペーサ71に弾性接着剤を塗布する場合には、接続端子63及び接続ピン64の先端側に弾性接着剤が付着しないように注意する必要がある。また、正極缶10の肩部分に位置付けられるスペーサ71上にも弾性接着剤を塗布しないようにする。こうすることで、扁平形電池2の内部の圧力上昇によるかしめ部分の変形が阻害されるのを防止できる。
【0048】
その後、上述のようにして形成された扁平形電池2及び回路部3の積層体の側面に、チューブ4を嵌めて、加熱することにより、該チューブ4を収縮させる。なお、このチューブ4は、積層体の側面に嵌められた状態で、該積層体の両端面の外周側の一部も覆うような長さを有する。
【0049】
これにより、図1に示すような構成の電池ユニット1が得られる。
【0050】
(実施形態の効果)
以上より、この実施形態によれば、扁平形電池2に回路部3を取り付けて一体化することにより、電池ユニット1を構成した。そして、回路部3の回路基板61において、扁平形電池2とは反対側の面に各種端子66〜69をまとめて設けることで、平面視で該扁平形電池2と重なる位置に各種端子66〜69を設けることが可能になり、電池ユニット1の小型化を図れる。しかも、回路基板61において扁平形電池2側の面に回路部品62をまとめて実装することで、電池ユニット1の外部に回路部品62等が露出するのを防止できる。これにより、電池ユニット1に触れるユーザーが、回路部品62等に直接、触れるのを防止できる。
【0051】
また、扁平形電池2のうち変形が小さい負極缶20上に回路部3を設けることで、該扁平形電池2と回路部3との電気的な接続が、扁平形電池2の変形によって切断されるのを防止できる。すなわち、回路部3を負極缶20上に設けることで、扁平形電池2が変形を生じた場合でも、回路部3と扁平形電池2との電気的な接続を確保することができる。
【0052】
さらに、回路基板61と扁平形電池2との間に、回路部品62が該扁平形電池2と接触しないような間隔が形成されるように、スペーサ71を設けることで、扁平形電池2が変形した場合でも、回路部品62が該扁平形電池2に接触するのを防止することができる。
【0053】
また、扁平形電池2と回路部3とからなる積層体の側面を、樹脂製のチューブ4によって覆うことで、該積層体の強度向上を図れるとともに、該積層体の側面の外観の向上を図れる。さらに、チューブ4によって前記積層体の端面に段差が形成されるため、回路部3の回路基板61上の各種端子66〜69が損傷を受けるのを低減することができる。
【0054】
(実施形態の変形例)
図8に、上述の実施形態の変形例に係る電池ユニットで用いるスペーサ81の概略構成を示す。この変形例では、スペーサ81の構成以外は、上述の実施形態と同様の構成を有するため、該実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
具体的には、図8に示すように、スペーサ81は、円形状の外側リブ81aと、該外側リブ81a内に十字状に設けられた内側リブ81bとを有する。スペーサ81において、これらの外側リブ81aと内側リブ81bとは一体形成されている。
【0056】
この変形例では、回路部品62は、回路基板61を上述のスペーサ81に組み合わせた状態で、該スペーサ81の外側リブ81a内に位置し且つ内側リブ81bを避けるように、回路基板61上に実装される。
【0057】
スペーサ81を上述のような構成にすることで、該スペーサ81の剛性を高めることができ、回路基板61と扁平形電池2との間隔をスペーサ81によってより確実に確保することができる。
【0058】
なお、スペーサ81の内側リブ81bの本数は、1本から3本であってもよく、5本以上であってもよい。
【0059】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0060】
前記実施形態では、回路基板61と扁平形電池2との間に間隔を設けるために、スペーサ71,81を用いている。しかしながら、スペーサ71,81を設けることなく、接着剤によって前記間隔を形成してもよい。この場合には、電池ユニットを形成する際に、回路部3と扁平形電池2との間に間隔が生じるように少なくとも一方を保持すればよい。
【0061】
前記実施形態では、円形状のスペーサ71,81を用いているが、この限りではなく、回路基板61と扁平形電池2との間に間隔を形成するスペーサとして機能すれば、スペーサはどのような形状であってもよい。
【0062】
前記実施形態では、回路部3及び扁平形電池2の積層体の側面をチューブ4で覆っているが、この限りではなく、チューブ4によって覆わなくてもよい。こうすることで、チューブ4を設けない分、電池ユニットの小型化を図れる。また、前記実施形態のようなチューブを用いるのではなく、前記積層体の側面を樹脂材料によってコーティングしてもよい。
【0063】
前記実施形態では、回路基板61は扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有するが、この限りではなく、回路基板61は、扁平形電池2よりも小さくても良いし、大きくても良い。また、回路基板61は、円形以外の形状であってもよい。
【0064】
前記実施形態では、回路部3の回路部品62と扁平形電池2との間に所定の間隔を設けているが、この限りではなく、間隔を設けないようにしてもよい。また、回路部3を、扁平形電池2の封口缶である負極缶20側ではなく、外装缶である正極缶10側に配置してもよい。
【0065】
前記実施形態では、扁平形電池2と回路部3とを弾性接着剤によって接着固定しているが、この限りではなく、導電性テープなどの他の接着部材を用いて両者を固定してもよい。
【0066】
前記実施形態では、外装缶を正極缶10とし、封口缶を負極缶20としているが、この限りではなく、外装缶を負極缶とし、封口缶を正極缶としてもよい。
【0067】
前記実施形態では、扁平形電池2をリチウムイオン電池として構成している。しかしながら、扁平形電池2は、充電可能な2次電池であれば、リチウムイオン電池以外の電池であってもよい。また、扁平形電池2は、1次電池であってもよい。扁平形電池2が1次電池の場合には、回路部として例えばキャパシタなどが実装される。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明による電池ユニットは、回路が形成された基板と小型機器に装着される扁平形電池とを備えた構成に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8