特許第5697277号(P5697277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697277
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ばね組立体
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/12 20060101AFI20150319BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   F16F1/12 K
   F16F1/06 N
   F16F1/06 K
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-503467(P2013-503467)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(86)【国際出願番号】JP2012055030
(87)【国際公開番号】WO2012121072
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2013年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2011-47522(P2011-47522)
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】笛木 寿恵
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024278(JP,A)
【文献】 特開2007−292271(JP,A)
【文献】 特開2006−037953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/12
F16F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製基板にコイルばねの座巻部が固定されたばね組立体であって、
前記樹脂製基板に、前記コイルばねの座巻部が嵌め込まれる支持凸部を有し、
当該支持凸部は、先端部が前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力に抗して撓まない剛性を有しており、基端から前記先端部に至るまでの領域に、前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力により弾性的に撓む弾性撓み領域を形成しており、
さらに、当該支持凸部は、前記コイルばね嵌め込み前は、表面及び裏面のいずれにも径方向への凹凸がなく、前記コイルばねの座巻部が当該支持凸部の弾性撓み領域に到達すると、前記コイルばねの座巻部から受ける径方向内向きのばね力によって、当該領域が弾性的に撓んで同方向へ縮径してくびれた状態となるように構成されており、
前記コイルばねは、座巻部が中間巻部よりも縮径してあり、且つ座巻部の内径は前記支持凸部の先端部の外径より小さく、中間巻部の内径は前記支持凸部の先端部の外径より大きく形成してあり、前記支持凸部の先端部に対して弾性的に拡開して嵌め込まれる構造となっているばね組立体。
【請求項2】
支持凸部は、少なくとも前記弾性撓み領域の内部が中空となっており、且つ当該領域の周壁は薄肉に形成することで、前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力により弾性的に撓む構造としてある請求項1のばね組立体。
【請求項3】
前記支持凸部は、少なくとも前記弾性撓み領域の内部が中空となっており、且つ当該領域の周壁に軸方向のスリットを複数本形成することで、前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力により弾性的に撓む構造としてある請求項1のばね組立体。
【請求項4】
樹脂製基板にコイルばねの座巻部が固定されたばね組立体であって、
前記樹脂製基板に、前記コイルばねの座巻部が嵌め込まれる支持凹部を有し、
当該支持凹部は、開口縁部が前記コイルばねの座巻部による径方向外向きのばね力に抗して撓まない剛性を有しており、底部から前記開口縁部に至るまでの領域に、前記コイルばねの座巻部による径方向外向きのばね力により弾性的に撓む弾性撓み領域を形成しており、
さらに、当該支持凹部は、前記コイルばね嵌め込み前は、表面及び裏面のいずれにも径方向への凹凸がなく、前記コイルばねの座巻部が当該支持凹部の弾性撓み領域に到達すると、前記コイルばねの座巻部から受ける径方向外向きのばね力によって、当該領域が弾性的に撓んで同方向へ拡径して膨らんだ状態となるように構成されており、
前記コイルばねは、座巻部が中間巻部よりも拡径してあり、且つ座巻部の外径は前記支持凹部の内径より大きく、中間巻部の外径は前記支持凹部の内径より小さく形成してあり、前記支持凹部の開口縁部に対して弾性的に縮径して嵌め込まれる構造となっているばね組立体。
【請求項5】
支持凹部は、少なくとも前記弾性撓み領域を薄肉の円筒壁により形成することで、前記コイルばねの座巻部による径方向外向きのばね力により弾性的に撓む構造としてある請求項4のばね組立体。
【請求項6】
前記支持凹部は、少なくとも前記弾性撓み領域が円筒壁で形成されており、且つ当該円筒壁に軸方向のスリットを複数本形成することで、前記コイルばねの座巻部による径方向外向きのばね力により弾性的に撓む構造としてある請求項4のばね組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車の自動変速機のクラッチ機構における多板クラッチピストンの戻しばね手段などとして使用されるばね組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来のこの種のばね組立体(スプリング組立体)を開示している。同文献1に開示されたばね組立体は、具体的には図示しないが、2枚のスプリングリテーナ(R1、R2)が合成樹脂材で形成されている。各スプリングリテーナ(R1、R2)には、取付け部(2)が突出して形成してあり、この取付け部(2)にコイルばね(1)を嵌め込んだ後に、取付け部(2)を熱かしめして基部にくびれ(3)を形成することで、コイルばね(1)の抜け止めとしている。
なお、括弧内の符号は、特許文献1に記載された符号である。
【0003】
このような構成の従来技術にあっては、上述したとおり、スプリングリテーナ(R1、R2)の取付け部(2)に嵌め込んだコイルばね(1)の抜けを防止するために、取付け部(2)を熱かしめする作業工程が必要となり、作業工数の増加に伴う作業の煩雑化やサイクルタイムの遅延が問題となる。さらに、取付け部(29)を加熱し押し潰すための機器(かしめ装置)が必要となるので、設備コストが高価格化する問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−126189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、熱かしめの作業を必要とすることなく、樹脂製基板に形成した支持凸部や支持凹部にコイルばねの座巻部を嵌め込むだけで、コイルばねの抜けを抑制することができるばね組立体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、樹脂製基板にコイルばねの座巻部が固定されたばね組立体であって、
前記樹脂製基板に、前記コイルばねの座巻部が嵌め込まれる支持凸部を有し、
当該支持凸部は、先端部が前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力に抗して撓まない剛性を有しており、基端から前記先端部に至るまでの領域に、前記コイルばねの座巻部による径方向内向きのばね力によって弾性的に撓む弾性撓み領域を形成した構成としてある。
【0007】
上述した構成の本発明によれば、コイルばねの座巻部を支持凸部に嵌め込むと、まず支持突部の先端部では、剛性が高いため、コイルばねの座巻部が押し拡げられた状態で進んでいく。そして、コイルばねの座巻部が支持凸部の弾性撓み領域に到達すると、コイルばねの座巻部から受ける径方向内向きのばね力によって、当該領域が弾性的に撓んで同方向へ縮径してくびれた状態となる。これにより、コイルばねの座巻部に引き抜き力が作用しても、支持凸部の先端部がストッパとなって抜けが抑制される。
よって、本発明によれば、熱かしめの作業を必要とすることなく、樹脂製基板に形成した支持凸部や支持凹部にコイルばねの座巻部を嵌め込むだけで、コイルばねの抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係るばね組立体を、自動車の自動変速機のクラッチ機構における多板クラッチピストンの戻しばね構造に適用したときの概要を示す分解斜視図である。
図2図2Aは、発明の第1実施形態に係るばね組立体の全体構造を示す底面図である。図2Bは、同じくA−A線断面図である。
図3図3A図3Cは、本発明の第1実施形態に係るばね組立体における支持凸部の構成と作用を説明するための要部拡大断面図である。
図4図4A図4Cは、本発明の第2実施形態に係るばね組立体における支持凹部の構成と作用を説明するための要部拡大断面図である。
図5図5は、本発明に係る第1実施形態の変形例を示す斜視図である。
図6図6は、本発明に係る第1実施形態の応用例を示す正面断面図である。
図7図7は、本発明に係る第2実施形態の応用例を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0009】
1:樹脂製基板、2:コイルばね、2a:座巻部、2b:中間巻部、3:第2のコイルばね、
10:支持凸部、11:先端部、12:基端から先端部に至るまでの領域、13:溝、14:弾性撓み領域、
30:支持凹部、31:開口縁部、32:底部から開口縁部に至るまでの領域、33:弾性撓み領域、34:突起
40:周壁、41:スリット、42:弾性撓み領域、43:支持壁
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るばね組立体を、自動車の自動変速機のクラッチ機構における多板クラッチピストンの戻しばね構造に適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係るばね組立体の用途がこれに限定されるものではないことは勿論である。
【0011】
図1は、本発明に係るばね組立体を、自動車の自動変速機のクラッチ機構における多板クラッチピストンの戻しばね構造に適用したときの概要を示す分解斜視図である。
自動車の自動変速機のクラッチ機構における多板クラッチピストンの戻しばね構造に適用されるばね組立体は、円環状をした一対の樹脂製基板1と、複数本のコイルばね2とを部品として、各コイルばね2の両端にある座巻部が、それぞれ各樹脂製基板1に一定の間隔を保って固定された構造となっている。
【0012】
〔第1実施形態〕
図2A図2Bは本発明の第1実施形態に係るばね組立体の全体構造を示す図であり、図3A図3Cは同ばね組立体の要部を拡大して示す図である。
本実施形態のばね組立体では、樹脂製基板1に複数の支持凸部10を形成してある。これら複数の支持凸部10は、コイルばね2の座巻部2aを嵌め込み固定するためのもので、樹脂製基板1の表面に、円周上に一定の間隔をおいて、突き出して形成されている。
【0013】
支持凸部10は、外周面が円周面状に形成されており、当該外周面にコイルばね2の座巻部2aを先端から軸方向に嵌め込んで嵌合固定する構成となっている。
図3A図3Cに拡大して示すように、支持凸部10の先端部(領域)11は、中実となっており、コイルばね2が嵌め込まれる際に、コイルばね2の座巻部2aによる径方向内向きのばね力に抗して撓まない剛性を有している。
【0014】
一方、支持凸部10の基端から先端部11に至るまでの領域12は、樹脂製基板1の裏面側から軸方向に延びる溝13の存在によって中空となっている。そして、その領域12内に弾性撓み領域14が形成してある。この弾性撓み領域14は、周壁を薄肉に形成して、コイルばね2が嵌め込まれる際に、コイルばね2の座巻部2aによる径方向内向きのばね力によって弾性的に撓むような構造となっている。このように、支持凸部10の弾性撓み領域14を中空形状にしてその周壁を薄肉とするだけの簡単な構造で、当該領域14を形成することができる。この弾性撓み領域14は、支持凸部10の基端から先端部11に至るまでの領域12における全部又は一部のいずれであってもよい。
【0015】
コイルばね2は、両端の各一巻目である座巻部2aが、その他の中間巻部2bよりも縮径してある。この座巻部2aの内径は、支持凸部10の外径よりも小さくなっており、支持凸部10の先端部11に対して弾性的に拡開して嵌め込まれる。一方、コイルばね2の中間巻部2bの内径は、支持凸部10の外径よりも大きくし、この中間巻部2bと支持凸部10との間に隙間が形成されるようにしてある。これにより、中間巻部2bのばね特性が支持凸部10により影響を受けることがなくなり、安定したばね特性を保持することができる。
【0016】
次に、図3A図3Cを参照して、本実施形態に係るばね組立体の作用を説明する。
図3Aに示すように、樹脂製基板1に形成した支持凸部10の先端部11に対して、コイルばね2の座巻部2aを対向して配置し、支持凸部10の軸方向に向かってコイルばね2を嵌め込んでいく。そうすると、図3Bに示すように、コイルばね2の座巻部2aが、支持凸部10の先端部11に当接し、弾性的に拡開しながら嵌め込まれていく。支持凸部10の先端部11は、コイルばね2の座巻部2aから径方向内向きのばね力を受けても撓まない剛性を有している。
【0017】
コイルばね2をさらに嵌め込んでいくと、図3Cに示すように、座巻部2aが支持凸部10の弾性撓み領域14に到達する。弾性撓み領域14は、コイルばね2の座巻部2aから径方向内向きのばね力を受けると、当該ばね力によって弾性的に撓んで、同方向へ縮径してくびれた状態となる。これにより、コイルばね2の座巻部2aに引き抜き力が作用しても、支持凸部10の先端部11がストッパとなって抜けが抑制される。
なお、支持凸部10における弾性撓み領域14の撓み量(縮径量)が僅かで、肉眼ではくびれが認識できないこともある。
【0018】
支持凸部10を含む樹脂製基板1は、表面および裏面のいずれにも横方向への凹凸を無くし、縦方向に開閉する金型のみで樹脂成形できる形状としてある。これにより、横方向に開閉するスライダ金型が不要となるため、金型コストが格段に安価となるばかりか、作業性も向上する。
比較対象として、特開2009−68590号公報に開示されたスプリングユニットでは、装着係止突部の外周面に凹凸があり、これを樹脂成形する場合は、縦方向に開閉する主金型と横方向へ開閉するスライダ金型を組み合わせる必要がある。
【0019】
〔第2実施形態〕
図4A図4Cは本発明の第2実施形態に係るばね組立体の要部を拡大して示す図である。
本実施形態のばね組立体では、樹脂製基板1に複数の支持凹部30を形成してある。これら複数の支持凹部30は、コイルばね2の座巻部2aを嵌め込み固定するためのもので、樹脂製基板1の表面に、円周上に一定の間隔をおいて形成されている。
【0020】
支持凹部30は、内周面が円周面状に形成されており、当該内周面にコイルばね2の座巻部2aを先端から軸方向に嵌め込んで嵌合固定する構成となっている。
図4A図4Cに拡大して示すように、支持凹部30の開口縁部31は、樹脂製基板1における基部1aに囲まれているため、コイルばね2が嵌め込まれる際に、コイルばね2の座巻部2aによる径方向外向きのばね力に抗して撓まない剛性を有している。
【0021】
一方、支持凹部30の底部から開口縁部31に至るまでの領域32は、樹脂製基板1の裏面側に延出する円筒壁で形成してある。そして、その領域32内に弾性撓み領域33が形成してある。この弾性撓み領域33は、円筒壁を薄肉に形成して、コイルばね2が嵌め込まれる際に、コイルばね2の座巻部2aによる径方向外向きのばね力によって弾性的に撓むような構造となっている。このように、支持凹部30の弾性撓み領域33を薄肉の円筒壁により形成するだけの簡単な構造で、当該領域を形成することができる。この弾性撓み領域33は、支持凹部30の底部から開口縁部31に至るまでの領域32における全部又は一部のいずれであってもよい。
【0022】
コイルばね2は、両端の各一巻目である座巻部2aが、その他の中間巻部2bよりも拡径してある。この座巻部2aの外径は、支持凹部30の内径よりも大きくなっており、支持凹部30の開口縁部31に対して弾性的に縮径して嵌め込まれる。一方、コイルばね2の中間巻部2bの外径は、支持凹部30の内径よりも小さくし、この中間巻部2bと支持凹部30との間に隙間が形成されるようにしてある。これにより、中間巻部2bのばね特性が支持凹部30により影響を受けることがなくなり、安定したばね特性を保持することができる。
【0023】
次に、図4A図4Cを参照して、本実施形態に係るばね組立体の作用を説明する。
図4Aに示すように、樹脂製基板1に形成した支持凹部30の開口縁部31に対して、コイルばね2の座巻部2aを対向して配置し、支持凹部30の軸方向に向かってコイルばね2を嵌め込んでいく。そうすると、図4Bに示すように、コイルばね2の座巻部2aが、支持凹部30の開口縁部31に当接し、弾性的に縮径しながら嵌め込まれていく。支持凹部30の開口縁部31は、コイルばね2の座巻部2aから径方向外向きのばね力を受けても撓まない剛性を有している。
【0024】
コイルばね2をさらに嵌め込んでいくと、図4Cに示すように、座巻部2aが支持凹部30の弾性撓み領域33に到達する。弾性撓み領域33は、コイルばね2の座巻部2aから径方向外向きのばね力を受けると、当該ばね力によって弾性的に撓んで、同方向へ拡径して膨らんだ状態となる。これにより、コイルばね2の座巻部2aに引き抜き力が作用しても、支持凹部30の開口縁部31がストッパとなって抜けが抑制される。
なお、支持凹部30における弾性撓み領域33の撓み量(縮径量)が僅かで、肉眼では膨らみが認識できないこともある。
【0025】
本実施形態でも、支持凹部30を含む樹脂製基板1は、表面および裏面のいずれにも横方向への凹凸を無くし、縦方向に開閉する金型のみで樹脂成形できる形状としてある。これにより、横方向に開閉するスライダ金型が不要となるため、金型コストが格段に安価となるばかりか、作業性も向上する。
【0026】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形又は応用が可能である。
例えば、上述した第1実施形態の変形例として、図5に示すように、支持凸部10の内部を中空とし、かつ周壁40に軸方向のスリット41を複数本形成することで、当該周壁40に弾性撓み領域42を形成し、同領域42をコイルばね2の座巻部2aによる径方向内向きのばね力によって弾性的に撓む構造とすることもできる。
【0027】
同様に、図では示さないが、上述した第1実施形態の変形例として、支持凹部30の円筒壁に軸方向のスリットを複数本形成することで、当該円筒壁に弾性撓み領域を形成し、同領域をコイルばね2の座巻部2aによる径方向外向きのばね力によって弾性的に撓む構造とすることもできる。
【0028】
図6は上述した第1実施形態の応用例であり、支持凸部10の高さを延ばして、コイルばね2の中間巻部2bに対する座屈防止用の支持壁43を形成した構成となっている。
支持壁43とコイルばね2の中間巻部2bとの間には僅かながら隙間を設けてばね特性への影響を無くすことが好ましい。そして、コイルばね2が横方向に撓んだとき、支持壁43に当接して座屈が防止される。
弾性撓み領域14の強度が不足するときは、同領域14がコイルばね2のばね力によって弾性的に撓み可能な範囲で、中空部内周面に軸方向のリブを設ける等して補強してもよい。
【0029】
図7は、上述した第2実施形態の応用例であり、支持凹部30に座巻部2aが固定されたコイルばね2の内側に、直径の小さな第2のコイルばね3を挿入配置して、樹脂製基板1に対するばね付勢力を高めた構成となっている。また、樹脂製基板1における支持凹部30の内底面中央部には、第2のコイルばね3を位置決めする突起34が形成してある。第2のコイルばね3は、両端部を突起34に遊嵌してセンタリングされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7