(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多数個の遊技玉を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに貯留された遊技玉を1列に整列して流下させる整列通路と、該整列通路により1列に整列された遊技玉を定められた数だけ払出す払出し部と、を備え、前記貯留タンクおよび前記整列通路をほぼ同一傾斜として連設した玉払出し装置であって、
前記整列通路は、前記貯留タンクからの通路幅を徐々に狭くする絞り部と、該絞り部からの玉の流下方向を変化させる通路角度変化部と、該通路角度変化部からの複数段の玉が1列で1段の玉となるその端部の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容する流下制限部と、
前記流下制限部からほぼ垂直方向に設けられた降下通路と、を備え、
前記払出し部は、前記降下通路を介して前記流下制限部に接続され、
前記流下制限部は、前記降下通路により落下される玉の直前の該流下制限部における最端玉、または、該最端玉から1つ上流の玉が前記上下2段の三角状態の玉の下流側の玉を構成するように、所定形状の第1の整列ガイドをその上部に備え、
前記通路角度変化部は、該通路角度変化部の上面に前記絞り部からの玉を、溢れることなく下流に導く第2の整列ガイドをその上部に備えることを特徴とする玉払出し装置。
多数個の遊技玉を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに貯留された遊技玉を1列に整列して流下させる整列通路と、該整列通路により1列に整列された遊技玉を定められた数だけ払出す払出し部と、を備え、前記貯留タンクおよび前記整列通路をほぼ同一傾斜として連設した玉払出し装置であって、
前記整列通路は、前記貯留タンクからの通路幅を徐々に狭くする絞り部と、該絞り部からの玉の流下方向を変化させる通路角度変化部と、該通路角度変化部からの複数段の玉が1列で1段の玉となるその端部の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容する流下制限部と、を備え、
前記払出し部は、前記流下制限部に直接接続され、
前記流下制限部は、前記払出し部により流れが制御される玉の直前の該流下制限部における最端玉、または、該最端玉から1つ上流の玉が前記上下2段の三角状態の玉の下流側の玉を構成するように、所定形状の第1の整列ガイドをその上部に備え、
前記第1の整列ガイドは、玉の流れに対して中央部が上方に膨らんだ内面を有し、
前記通路角度変化部は、該通路角度変化部の上面に前記絞り部からの玉を、溢れることなく下流に導く第2の整列ガイドをその上部に備えることを特徴とする玉払出し装置。
多数個の遊技玉を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに貯留された遊技玉を1列に整列して流下させる整列通路と、該整列通路により1列に整列された遊技玉を定められた数だけ払出す払出し部と、を備え、前記貯留タンクおよび前記整列通路をほぼ同一傾斜として連設した玉払出し装置であって、
前記整列通路は、前記貯留タンクからの通路幅を徐々に狭くする絞り部と、該絞り部からの玉の流下方向を変化させる通路角度変化部と、該通路角度変化部からの複数段の玉が1列で1段の玉となるその端部の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容する流下制限部と、
前記流下制限部からほぼ垂直方向に設けられた降下通路と、を備え、
前記絞り部は、下流に行くに従って傾斜角度が急になる一側面を有し、概ね玉1個分の通路幅まで徐々にその幅を狭くするようになっており、
前記払出し部は、前記降下通路を介して接続され、
前記流下制限部は、前記降下通路により落下される玉の直前の該流下制限部における最端玉、または、該最端玉から1つ上流の玉が前記上下2段の三角状態の玉の下流側の玉を構成するように、所定形状の第1の整列ガイドをその上部に備え、
前記通路角度変化部は、該通路角度変化部の上面に前記絞り部からの玉を、溢れることなく下流に導く第2の整列ガイドをその上部に備えることを特徴とする玉払出し装置。
【実施例】
【0019】
図1は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例が適用されたパチンコ遊技機の背面図であり、また、
図2は
図1に示すパチンコ遊技機における玉払出し装置を示す斜視図である。
図1および
図2において、参照符号100はパチンコ遊技機、110は玉払出し装置、そして、120は基板部を示している。
【0020】
図1に示されるように、玉払出し装置(タンク一体型玉払出し装置)110は、遊技機(遊技台)100における遊技台盤面の裏側(背面)上部に配設され、その下側中央部には大型の表示装置や制御部等を備えた基板部120が配設されている。
【0021】
玉払出し装置110の貯留タンク1の上面開口部と対向する上方には、図示しない補給シュートが設けられ、この補給シュートを介して玉払出し装置110に上方から玉が補給されるように構成されている。また、本第1実施例においては、玉払出し装置110の下方に玉降下通路4が接続され、この玉降下通路4を通じて玉は遊技台の前面下部に位置する受皿(上皿または下皿)へと払出される。
【0022】
玉払出し装置110には、玉降下通路4との接続部近傍において、遊技台盤面の裏面との間に空隙130が形成され、回路基板等を設けることができるようになっている。
【0023】
図3は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例を示す外観斜視図であり、また、
図4は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の分解斜視図である。
【0024】
図3および
図4に示されるように、本第1実施例において、玉払出し装置110は、図示しない補給シュートから補給された玉を貯留する貯留タンク1、貯留タンク1から流下する玉を一列に整列する整列通路2、および、整列された玉を所定個数払出す払出し部3を備えて構成される。
【0025】
ここで、本第1実施例の玉払出し装置110は、貯留タンク1,整列通路2および払出し部3をほぼ同一傾斜として一体的に形成することで、コンパクトなタンク一体型玉払出し装置となっている。
【0026】
貯留タンク1は、上面を開放した箱形状を有し、この上面開放部に対して上方の図示しない補給機構から玉が補給され、その貯留タンク1に多数個の玉が貯留されるように構成されている。そして、貯留タンク1に貯留された玉は、自重により上流側から下流側の払出し部3へと転動して導かれるようになっている。すなわち、玉を上流側から下流側へ円滑に通過させるために、払出し部3の前段には整列通路2が形成されている。
【0027】
整列通路2は、貯留タンク1から払出し部3までの整列レール200、並びに、通路ガイド232および233により形成される、絞り部21、通路角度変化部22および流下制限部23を備える。なお、絞り部21における整列レール200の所定位置の下方には、貯留タンク1における玉(待機状態の玉)の有無を検出する玉有無検知センサ24が取り付けられている。なお、参照符号234は、回路基板35と駆動モータ31を覆うカバーを示している。
【0028】
絞り部21は、貯留タンク1からの通路幅を徐々に狭くして玉を通路角度変化部22へ導く部分であり、通路角度変化部22は、絞り部21からの通路角度を変化させて流下制限部23へ導く部分であり、そして、流下制限部23は、通路角度変化部22から払出し部3へ向かう端部の直前まで流下状態を制御して玉を連続的に払出し部3に供給する部分である。
【0029】
ここで、絞り部21の上方には天板11が配設され、また、通路角度変化部22の上方には整列ガイド(第2の整列ガイド)221が配設され、そして、流下制限部23の上方にも整列ガイド(第1の整列ガイド)231が配設されている。
【0030】
払出し部3は、貯留タンク1から整列通路2を介して供給される玉を1個ずつ送出する回転部材であるスプロケット32、払出し信号に基づいてスプロケット32を駆動する駆動モータ31、および、送出された玉を計数する玉計数センサ34を備えている。なお、
図4において、参照符号35は、駆動モータ31を制御する回路基板を示し、また、33は、玉降下通路4において、玉払出し時に玉が流下する玉降下通路玉払出し通路と玉抜き時に玉が流下する玉抜き通路とを切り替えるための玉抜きガイドを示している。
【0031】
図5は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の貯留タンクにおける玉(P)の流下を説明するための図、
図6は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例における流下制限部および払出し部に玉を流した様子を示す図、そして、
図7は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の断面図である。また、
図8は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の上面図であり、そして、
図9は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例を貯留タンクのガイド板(天板)を一部切断して示す斜視図である。なお、
図5においても、貯留タンクの天板はその一部が切断されている。
【0032】
ここで、
図6(a)は玉払出し装置110の全体構成を示す斜視図であり、また、
図6(b)は通路角度変化部22,流下制限部23および払出し部3を拡大して示す斜視図であり、通路ガイド232の一部を切断して示すものである。さらに、
図7(a)は玉が無い状態の玉払出し装置110の断面(縦断面)を示し、また、
図7(b)は貯留タンク1に玉Pを半分程度満たした状態の玉払出し装置110の断面を示している。
【0033】
図5,
図6(a),
図7(a),
図8および
図9に示されるように、整列通路2は、貯留タンク1と一体的に形成され、この貯留タンク1の先端部から払出し部3まで細長い整列通路2が連続している。
【0034】
上流側の貯留タンク1内のタンク底面から下流側の払出し部3の玉を払出す底面にかけては、同一方向に緩やかに傾斜する、すなわち、
図7(a)に示されるように、左から右へ行くに従って低くなる同一傾斜通路Lが形成される。
【0035】
この同一傾斜通路Lは、貯留タンク1,整列通路2および払出し部3の順に玉Pを転動して通過させる各通路の底面を、同一方向の緩やかな傾斜角度に設定して接続するものである。これにより、玉Pは、自重により上流側から下流側へと緩やかに転動する。
【0036】
ここで、同一傾斜通路Lの傾斜角度が小さければ玉の転動速度は遅くなり、下流側への玉Pの供給が滞りやすくなる。これに対して、同一傾斜通路Lの傾斜角度が大きいと、連なって流下する玉Pへの重力による負荷が過剰になりやすくなるので、同一傾斜通路Lの傾斜角度は、例えば、5〜8度程度の緩やかな角度に設定して転動させるのが好ましい。これにより、同一傾斜通路Lを転動する玉Pは、安定して流下することになる。
【0037】
なお、同一傾斜通路Lは、斜め下向きに直進する通路であるため縦(高さ)方向よりも横方向に長く延びる。そのため、高さ方向の占有場所(占有容積)を小さくすることができ、高さ方向の長さを短縮したコンパクトな玉払出し装置を構成することが可能になる。
【0038】
図5および
図7(b)に示されるように、上述した貯留タンク1は、貯留した多数個の玉Pを自重により転動させて下流側へと導くようになっており、この貯留タンク1からの玉Pは、絞り部21,通路角度変化部22および流下制限部23を介して払出し部3へ導かれる。
【0039】
図6および
図7に示されるように、貯留タンク1の下流側上部には、天板11が設けられ、貯留タンク1内の上方から重なって移動する玉Pの上層部を受止め、山積み状態にある玉Pの上層部の流れを阻止し、下部層の玉Pだけを流下させることで玉数を十分に減らして下流側に供給するようになっている。
【0040】
これにより、下流側への玉圧を軽減することができ、貯留タンク1から整列通路2側への玉Pの供給に適した円滑な流れを確保することが可能になる。さらに、整列ガイド(第2の整列ガイド)221により3段積み状態で流下してくる玉Pを、2段の三角状態の玉流れへと整列し、払出し部3へ流下させている。
【0041】
本第1実施例において、払出し部3は、貯留タンク1の同一傾斜方向の下流側で流下制限部23に直接接続するように配置され、貯留タンク1から供給された玉を、図示しない制御部の入力信号に基づいた規定個数の玉を、玉降下通路4を介してパチンコ遊技機100の前面下部に位置する受け皿へと払出すものである。
【0042】
次に、本第1実施例の玉払出し装置(タンク一体型玉払出し装置)110における玉の払出し処理動作を説明する。
【0043】
まず、パチンコ遊技機100の背面側上部に設置されたタンク一体型玉払出し装置110の貯留タンク1には、多数個の玉が払出し待機された状態で貯留されている。
【0044】
この待機状態から、今、パチンコ遊技機の全体を制御するメイン制御部から玉の払出し信号が入力されて駆動モータ31が駆動されると、この駆動に基づいて上流側の貯留タンク1では、玉Pが自重により同一傾斜通路Lの上流側の高い位置から下流側の低い位置へと導かれる。
【0045】
一方、貯留タンク1の下流側にあっては、天板11によって貯留タンク1内の上層部の玉を受止めて、その上層部の流れを制限し、下層部の玉Pだけを通過させる。
【0046】
その後、玉Pは同一傾斜通路Lを通って流下し、整列通路2へと至る。この整列通路2によって、不規則に貯留されている玉が整列された後、該整列通路2から下流側の払出し部3へと導かれる。
【0047】
また、同一傾斜通路Lの中間位置に該当する整列通路2、すなわち、絞り部22において、玉Pは、玉の払出し毎に1列に整列された状態で流下し、流下制限部23を介して払出し部3へ導かれる。
【0048】
払出し部3において、玉Pは、スプロケット32の回転に伴って連続して順次送り出され、このスプロケット32の回転駆動/停止の制御により、定められた数の玉が払出される。そして、払出された玉は、玉降下通路4を介してパチンコ遊技機100の前面側の上皿または下皿へと払出される。
【0049】
図10は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の絞り部における玉の流下を説明するための図であり、また、
図11は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の絞り部の形状を説明するための図である。
【0050】
ここで、
図10および
図11では、貯留タンク1の天板(ガイド板)11はその一部が切断されている。また、
図11において、
図11(a)は玉払出し装置の上面図を示し、
図11(b−1)および
図11(b−3),
図11(c−1)および
図11(c−3)並びに
図11(d−1)および
図11(d−3)は、それぞれ
図11(a)におけるL−L線,N−N線並びにR−R線にそった断面図を示し、そして、
図11(b−2),
図11(c−2)並びに
図11(d−2)は、それぞれ
図11(a)におけるL−L線,N−N線並びにR−R線の位置に玉Pがある状態を示す上面図である。なお、
図11(b−3),
図11(c−3)および
図11(d−3)における破線は、絞り部21の側面211(211b,211c,211d)に曲面形状が無い場合を示すものである。
【0051】
まず、絞り部21は、貯留タンク1にランダム状態で積載された玉Pを1列の玉の流れに整列させるものであり、以下に説明する形状とすることで、上流からの玉圧を受け止めると共に、玉の流下できる領域を絞り込むようになっている。
【0052】
図10および
図11に示されるように、整列通路2の上流部を構成する絞り部21は、貯留タンク1からの通路幅を徐々に狭くするものであり、その形状は、一方の側面211の曲面が下流に行くに従って垂直に近づくようになっている。
【0053】
具体的に、
図11(b−1)〜
図11(b−3)に示されるように、絞り部21の上流部であるL−L線の位置では、側面211bの傾斜は緩やかになっているが、
図11(c−1)〜
図11(c−3)に示されるように、絞り部21の中流部であるN−N線の位置では、側面211cの傾斜は急になり、そして、
図11(d−1)〜
図11(d−3)に示されるように、絞り部21の下流部であるR−R線の位置では、側面211dの傾斜はさらに垂直に近づくようになり、これによって玉Pの通路を絞り込むようになっている。さらに、上述した絞り部21の側面211bの形状によって、玉の通路が1列に絞り込まれると共に、1段目の玉(下の玉)の上に2段目の玉が乗るようになっている。
【0054】
すなわち、絞り部21の一方の側面(玉通路側壁の一方へ傾斜している傾斜面)211は、玉1個分の通路幅まで徐々にその幅を狭くすると共に、傾斜角度が急になるような形状とされていて、玉Pを1列で複数段の玉流れへと整列させるようになっている。なお、図示した絞り部21の形状は、単なる一例であり、様々に変形させることができるのはいうまでもない。
【0055】
上述した絞り部21により1列に絞り込まれた玉Pは、通路角度を変化させる通路角度変化部22を通った後、流下制限部23に導かれる。
【0056】
図12は本発明に係る玉払出し装置の第1実施例の流下制限部23における玉の流れを説明するための図である。ここで、
図12(a)は第1の待機状態を示す図、
図12(b)は第1の待機状態から玉Pをリリースする状態を示す図、
図12(c)は第2の待機状態を示す図、
図12(d)は第1の待機状態を説明するための図、そして、
図12(e)は第2の待機状態を説明するための図である。
【0057】
前述したように、本第1実施例の玉払出し装置は、装置のコンパクト化を図るために、貯留タンク1から流下する玉Pを整列させる整列通路2以降(絞り部21よりも下流)を1列としたタンク一体型玉払出し装置として構成している。
【0058】
ここで、流下制限部23において、スプロケット32内の玉P0の直前の玉(流下制限部23における最も端の玉(最端玉):第1の玉)をP1とし、この最端玉P1から上流へ続く第2,第3,第4,第5,…の玉を順にP2,P3,P4,P5,…とする。
【0059】
まず、
図12(a)に示されるように、第1の待機状態の流下制限部23においては、所定形状(玉の流れに対して中央部が上方に膨らんだ内面を有する形状)の整列ガイド(第1の整列ガイド)231により、第1〜第3の玉P1〜P3により上下2段の三角状態が形成され、下流側の払出し部3のスプロケット32に順次玉Pが供給されるようになっている。
【0060】
すなわち、流下制限部23は、払出し部3により流れが制御される玉P0の直前の流下制限部23における最端玉P1が、上下2段の三角状態の玉(P1〜P3)の下流側の玉を構成するように、玉の流れに対して中央部が上方に膨らんだ内面を有する整列ガイド231をその上部に備えている。なお、整列ガイド231の形状は、図示した形状に限定されず、流下制限部23において、その端部の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容するような形状であれば、様々に変形することができる。
【0061】
具体的に、
図12(d)に示されるように、第1および第3の玉P1およびP3の中心を結ぶ直線CL1と、第1および第2の玉P1およびP2の中心を結ぶ直線CL2とのなす角度θは、例えば、20度〜60度の範囲とされ、第1の玉P1と第2の玉P2の距離を短縮するようになっている。なお、
図12(d)では、角度θが約40度、すなわち、第1の玉P1の中心と第2の玉P2の中心との水平方向の距離が約6.8mmとなっている。
【0062】
なお、第3の玉P3の上流側では、それぞれ上下2段の三角状態(P3〜P5,P5〜P7,…)が形成されることになる。
【0063】
そして、
図12(b)に示されるように、
図12(a)に示す第1の待機状態におけるスプロケット32内の玉P0は、スプロケット32の回転により払出し通路4を介して遊技台の前面下部に位置する受皿へと払出される。
【0064】
次に、
図12(c)に示されるように、第2の待機状態の流下制限部23においては、第1の玉P1と第2の玉P2は1段となっているが、所定形状の整列ガイド231により、第2〜第4の玉P2〜P4は上下2段の三角状態を形成し、下流側の払出し部3のスプロケット32に順次供給されるようになっている。なお、第4の玉P4の上流側では、それぞれ上下2段の三角状態(P4〜P6,P6〜P8,…)が形成されることになる。
【0065】
すなわち、流下制限部23は、払出し部3により流れが制御される玉P0の直前の流下制限部23における最端玉P1から1つ上流の玉P2、上下2段の三角状態の玉(P2〜P4)の下流側の玉を構成するように、所定形状の整列ガイド231をその上部に備えている。
【0066】
図12(e)に示されるように、第1の玉P1の中心と第2の玉P2の中心との水平方向の距離は約10.8mmとなっているが、第2〜第4の玉P2〜P4が上下2段の三角状態を形成するようになっている。なお、第2の待機状態において、スプロケット32内の玉P0が払出されると、例えば、
図12(a)に示される第1の待機状態になり、流下制限部23では、これら第1および第2の待機状態がランダム繰り返されることになる。
【0067】
すなわち、
図12(d)および
図12(e)の比較から分かるように、待機状態として
図12(a)に示す第1の待機状態とすることにより、
図12(c)に示す第2の待機状態よりも払出し部3の直前の玉の距離(P1とP2間の水平方向の距離)を10.8mmから6.8mmへと短縮することができ、それだけ早く次の玉を払出し部3のスプロケット32に供給することができ、その結果として玉の供給量を増加することが可能になる。
【0068】
このように、本第1実施例によれば、第1の整列ガイド231により、流下制限部23における最端玉P1、または、該最端玉P1から1つ上流の玉P2が上下2段の三角状態の玉(P1〜P3またはP2〜P4)の下流側の玉を構成することになる。すなわち、流下制限部23において、通路角度変化部22から払出し部3に向かう払出し部3のスプロケット23の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容するようになっており、これにより、玉の供給量を増やして安定した払出しを実現することが可能になる。
【0069】
上述した第1の待機状態による玉の流下を維持するには、流下制限部23の上流にあたる整列通路(通路角度変化部22)も重要になる。すなわち、通路底面210と第1の整列ガイド231との縦方向の2段の玉詰まりに関しては、2段目の玉流れが安定しない(2段目(上段)の玉が1段目(下段)の玉の上を転がる)ことが大きな要因である。
【0070】
ところで、単純に玉の供給量を増加させるには、貯留タンク1から払出し部3までを直線状に構成し、玉圧をかけることが効果的であると想像することができる。しかしながら、このような直線状の構成では、2段目の玉にも圧力がかかることで、1段目の玉の上を転がるなどして玉流れが安定せず、結果として玉詰まりの要因となってしまう。
【0071】
そこで、本実施例では、玉の流下方向を変化させる通路角度変化部22を設けるようになっている。この通路角度変化部22を通過する玉は、通路の側壁に当接して転がるため、前走する玉にかかる玉圧が直線状の通路を転がる場合に比べて減圧され(小さくなり)、2段目の玉が1段目の玉の上を転がることなく安定した状態、すなわち、前述した上下2段の三角状態が安定的に保たれて、その状態を維持したまま流下制限部23へ流下する。
【0072】
例えば、約7度の通路底面210の傾斜角度(水平面に対して、通路底面210が下流に約7度の角度だけ下がっている)に対して、通路角度変化部22は流下方向に対して約31度の角度(
図8中のδを参照)だけ通路の角度を変化させるようになっている。この通路の角度は、鋭角(例えば、15度)に設定すると、玉圧が増え2段目の玉が1段目の玉の上を転がることが生じやすくなり安定した三角状態を維持することが難しくなる。一方、通路の角度を鈍角(例えば、50度)に設定すると、玉圧は小さくなるが玉の流れが減速され、玉の供給が追いつかず玉通路を1列で構成することが達成できない。
【0073】
なお、通路角度変化部22の変化角度δは、同一傾斜通路Lの傾斜角度と相関関係があり、例えば、通路底面210の傾斜角度が5度〜8度の場合、通路角度変化部22の変化角度δは25度〜45度程度が好ましい。
【0074】
このように、本第1実施例によれば、タンク一体型玉払出し装置においても、十分な量の玉の安定した供給を損なうことなく、1列通路を採用して占有容積を低減することが可能になる。
【0075】
図1〜
図12を参照して説明した第1実施例の玉払出し装置は、払出し部3が、流下制限部23に直接接続されたタンク一体型玉払出し装置であるが、本発明の適用はこのようなタンク一体型玉払出し装置に限定されるものではなく、払出し部が、降下通路を介して流下制限部に接続される玉払出し装置に対しても適用することができる。
【0076】
図13は本発明に係る玉払出し装置の第2実施例が適用されたパチンコ遊技機の背面図であり、また、
図14は本発明に係る玉払出し装置の第2実施例を示す外観斜視図である。
【0077】
図13および
図14と、前述した
図1および
図3との比較から明らかなように、本第2実施例の玉払出し装置110’は、整列通路2(流下制限部23)と払出し部30(3)との間にほぼ垂直方向に設けられた降下通路25を挿入し、払出し部30(3)を貯留タンク1よりも低い位置、すなわち、受皿とほぼ同じ或いは少し高い位置に設けるようになっている。なお、降下通路25は、例えば、
図1における払出し通路4に相当している。
【0078】
すなわち、本第2実施例では、流下制限部23の最端玉(第1の玉)P1’が直接払出し部3(スプロケット32)に供給されるのではなく、降下通路25を介して払出し部3に供給されるようになっているが、貯留タンク1および整列通路2の構成は、実質的に第1実施例と同様であり、その詳細な説明は省略する。さらに、払出し部3の構成も、降下通路25を介して供給される玉Pを処理する以外は、同じ構成となっている。
【0079】
図15は本発明に係る玉払出し装置の第2実施例の流下制限部における玉の流れを説明するための図であり、前述した
図12に対応するものである。ここで、
図15(a)は第1の待機状態を示す図、
図15(b)は第1の待機状態から玉Pをリリースする状態を示す図、
図15(c)は第2の待機状態を示す図、
図15(d)は第1の待機状態を説明するための図、そして、
図15(e)は第2の待機状態を説明するための図である。なお、
図15(a)〜
図15(e)における玉P0’,P1’,P2’,P3’,…は、
図12(a)〜
図12(e)における玉P0,P1,P2,P3,…に対応している。
【0080】
図15(a)〜
図15(e)と前述した
図12(a)〜
図12(e)との比較から明らかなように、本第2実施例の玉払出し装置においても、第1の整列ガイド231’により、流下制限部23における最端玉P1’、または、該最端玉P1’から1つ上流の玉P2’が上下2段の三角状態の玉(P1’〜P3’またはP2’〜P4’)の下流側の玉を構成することになる。すなわち、流下制限部23において、通路角度変化部22から払出し部3に向かう降下通路25の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容するようになっており、これにより、玉の供給量を増やして安定した払出しを実現することが可能になる。
【0081】
図16は本発明に係る玉払出し装置の第2実施例に玉を満たした状態の断面図であり、
図16(a)は遊技台盤面に平行した面で貯留タンク1および整列通路2を切断した状態を示す断面図であり、
図16(b)は遊技台盤面に直交する面で降下通路25および払出し部3を切断した状態を示す断面図である。
【0082】
図16(b)に示されるように、降下通路25は、下流に行くに従って間隔が広くなる蛇行した形状として構成されているが、この降下通路25の形状は適宜変形することができる。また、整列ガイド221および231’の形状等も様々に変形することができるのはいうまでもない。
【0083】
このように、本発明に係る玉払出し装置の実施例によれば、1列の玉通路で構成された玉払出し装置の整列通路において、流下制限部により絞り部からの通路角度を変化させる通路角度変化部から払出し部に向かう端部の直前まで上下2段の三角状態での玉の流下を許容するようになっている。これにより、十分な量の玉の安定した供給を損なうことなく、1列通路を採用して占有容積を低減することのできる玉払出し装置および該玉払出し装置を備えた遊技機を提供することが可能になる。