(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697303
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ファンブレードのアセンブリ及びそのダンパのアセンブリ、ファンブレードダンパ及びダンパの較正方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/34 20060101AFI20150319BHJP
F01D 5/26 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
F04D29/34 F
F01D5/26
F04D29/34 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2008-288423(P2008-288423)
(22)【出願日】2008年11月11日
(65)【公開番号】特開2009-121473(P2009-121473A)
(43)【公開日】2009年6月4日
【審査請求日】2011年10月17日
(31)【優先権主張番号】0707923
(32)【優先日】2007年11月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100140523
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 千尋
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(72)【発明者】
【氏名】ジエローム・ポール・マルソー・マセ
(72)【発明者】
【氏名】テイエリー・ニトル
(72)【発明者】
【氏名】パトリツク・ジヤン−ルイ・ルゲザ
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表平08−503532(JP,A)
【文献】
特開平07−109902(JP,A)
【文献】
特開2007−332963(JP,A)
【文献】
特開2005−113916(JP,A)
【文献】
特開2006−329187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/34
F01D 5/26
F01D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン及びファンブレードダンパを有するターボジェットのファンブレードアセンブリであって、ファンブレードが、根元部及びプラットフォームを備え、ファンブレードダンパが、プラットフォームの下側面に形成されたハウジング内に取り付けられるのに適しており、前記ハウジングが、ブレード根元部の延在方向に垂直な上流側面を備え、ファンブレードダンパが、第1の部分がハウジングの上流側面に平行であり且つ第2の部分が前記上流側面に対して傾斜している前縁を備え、前記第1の部分および前記第2の部分が、ファンブレードダンパの幅方向に互いに隣接している、アセンブリ。
【請求項2】
上流側面に平行な部分が、ハウジングの上流側面に当接している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前縁の平行部分と傾斜部分との間に形成された角度(α)が、10°から20°の間である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
傾斜部分が、平坦面を形成している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
傾斜部分が、曲面を形成している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
傾斜部分の尾根が、丸みがある、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
ファンブレードダンパが、その外面において、少なくとも1つの金属製の接触領域を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のファンブレードアセンブリを実現するように構成されたターボジェットのファンブレードダンパであって、X方向軸に沿って長さが、Y方向軸に沿って幅が、Z方向軸に沿って高さが延在しており、
前記ファンブレードダンパが、軸Xに関して前部及び後部をその長さ方向に備え、上側右傾斜面及び上側左傾斜面を備える上側面を備え、ファンブレードダンパの前部の前方に形成されている前縁が、軸Xに対して横方向である第1の部分と、前記第1の部分に対し、ファンブレードのハウジングに関して下流側に傾斜している第2の部分とを備える、ファンブレードダンパ。
【請求項9】
ファンを有するターボジェットのファンブレードとともに、請求項1に記載のアセンブリを形成するように配置されている、請求項8に記載のダンパ。
【請求項10】
ファンと重量予備部分を備えるファンブレードダンパとを有するターボジェットのファンブレードアセンブリのダンパの較正方法であって、
ファンブレードダンパの参照重量Mrefが決定され、
ファンブレードダンパの有効重量Meffが測定され、
切り取られたファンブレードダンパの重量が参照重量Mrefと等しくなるように重量予備部分が切り取られ、切り取られた後のファンブレードダンパが、請求項8に記載のファンブレードダンパの外形を示す、方法。
【請求項11】
重量予備部分が、ファンブレードダンパの前端に配置されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ファンブレードダンパが、請求項8に記載のファンブレードダンパである、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボジェット、特にフロントファンを有するターボジェットの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ツインスプールターボジェットは、機能的には、ガスの流れ方向における上流から下流にかけて、ケーシング内のファンと、コンプレッサと、燃焼チャンバと、タービンと、排気ノズルとを備える。低圧及び高圧の2つのスプールは、互いに独立して回転し、同軸である。ターボジェットは、高圧HPコンプレッサの上流に低圧BPコンプレッサを備えるとともに、BPタービンの上流にHPタービンを備える。「内部」もしくは「外部」、又は、「内側」もしくは「外側」は、説明において、エンジンの軸に関して、エンジンに対して半径方向内部もしくは外部、又は、エンジンに対して半径方向内側もしくは外側を意味する。
【0003】
ファンは、ブレードとともに設けられて低圧ロータトラニオンを介して低圧シャフトに固定的に取り付けられたファンディスクを備える。各ファンブレードは、エンジン内に半径方向に延在し、外側から内側にかけて、エアフォイルと、プラットフォームと、ファンディスクの溝に係合するように配置された根元部とを備える。
【0004】
ブレードがファンケーシング内で回転するとき、ブレードは、振動する傾向にあり、それらの摩耗を加速して耐用年数を低減する。この摩耗を制限するために、ブレードのプラットフォームの下方に振動を吸収するためにダンパを置く慣習が知られている。
【0005】
ダンパは、エンジンが回転する間にダンパがプラットフォームを押圧するように、2つの隣接するブレードに跨って、プラットフォームの下方に置かれた剛性部品である。
【0006】
2つの隣接するブレード間の任意の相対的な移動は、ブレードとダンパとの接触面間に摩擦を生じさせる。この摩擦は、振動エネルギーの消散に寄与する。
【0007】
EP1291492は、ブレードのプラットフォームの下方に形成されたハウジング内に保持されたダンパを教示している。接触要素は、ダンパの正確な位置決めを確実にするためにダンパの面上に配置されている。ダンパの近接した取り付けは、接触面間の面間(flat−to−flat)圧力を阻止する。
【0008】
そのハウジング内へのダンパの取り付けの質は、上記ダンパの製造許容誤差に依存する。ダンパの追加の厚みは、不完全な位置決めと、そのダンパを有するブレードの早期の摩耗とを生じさせる。
【0009】
ダンパが取り付け工程の間に正確に位置決めされることもまた可能であるが、ダンパは、エンジンが動作しているときに移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1291492号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それらの形状により、ダンパは、ブレードの回転効果のもとに、ブレードのプラットフォームに配置されたハウジングの上流側に当接して侵入するために上流に引き出され、ハウジングの上流側においてダンパとプラットフォームとの間にピボット接触が引き起こされる。このピボットまわりのダンパの回転は、面間圧力を阻止し、ダンパ及びブレードの摩耗を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の目的は、部品の耐用年数を増加させるために部品の摩耗を制限することである。
【0013】
さらに、ターボジェットの種類に応じて、ファンブレードダンパは、異なる重量を有さなければならない。所望の重量のダンパを得るために、標準重量のダンパは経験的な手法で機械加工される。この機械加工又は較正の作業は、一律な方法では実施されず、簡便且つ低コストで再現することはできない。
【0014】
本発明の第2の目的は、簡便且つ再現可能な方法で、ブレードのプラットフォームに対するダンパの位置決めを変化させることなく、ダンパの重量を較正することである。
【0015】
これらの目的を達成して上述した不都合を解決するために、本出願人は、ファン及びファンブレードダンパを有するターボジェットのファンブレードアセンブリであって、ファンブレードは、根元部及びプラットフォームを備え、ファンブレードダンパは、プラットフォームの下側面に形成されたハウジング内に取り付けられるのに適しており、上記ハウジングは、ブレード根元部に垂直な上流側面を備え、ダンパは、第1の部分がハウジングの上流側面に平行であり且つ第2の部分が上記上流側面に対して傾斜している前縁を備える、アセンブリを提案する。
【0016】
好ましくは、上流側面に平行な部分は、ハウジングの上流側面に当接している。
【0017】
さらに好ましくは、前縁の平行部分と傾斜部分との間に形成された角度は、10°から20°の間である。
【0018】
本発明の特徴によれば、傾斜部分は、平坦面を形成している。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、傾斜部分は、
曲面を形成している。
【0020】
さらに好ましくは、傾斜部分の尾根は、丸みを有する。
【0021】
さらに好ましくは、ダンパは、その外面において、少なくとも1つの金属製の接触領域を備える。
【0022】
本発明はまた、X方向軸に沿って長さが、Y方向軸に沿って幅が、Z方向軸に沿って高さが延在しており、第1の前部及び軸Xに関して多角形断面の第2の後部を、その長さ方向に備えるターボジェットのファンブレードダンパに関し、ダンパは、上側右傾斜面及び上側左傾斜面を備える上側面を備え、ダンパの第1の前部の前方に形成されている前縁は、軸Xに対して横方向である第1の面と、上記第1の面に対して傾斜している第2の面とを備える。
【0023】
本発明はまた、ファンと重量予備部分(volume)を備えるファンブレードダンパとを有するターボジェットのファンブレードアセンブリのダンパの較正方法に関し、本方法において、
ダンパの参照重量Mrefが決定され、
ダンパの有効重量Meffが測定され、
切り取られたダンパの重量が参照重量Mrefと等しくなるように重量予備部分が切り取られる。
【0024】
適切には、重量予備部分は、ダンパの前端に配置されている。
【0025】
本発明は、添付された図面の補助をともなってよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(X、Y、Z)で方向付けられた座標系におけ
るダンパの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ターボジェットは、機能的には、ガスの流れ方向における上流から下流にかけて、ケーシング内のファンと、コンプレッサと、燃焼チャンバと、タービンと、排気ノズル上流とを備える。ファンは、ブレードが取り付けられたファンディスクを備える。ブレードは、互いに隣接して、ディスクの周囲に円周方向に置かれる。
【0028】
「内部」もしくは「外部」、又は、「内側」もしくは「外側」は、説明において、エンジンの軸に関して、エンジンに対して半径方向内部もしくは外部、又は、エンジンに対して半径方向内側もしくは外側を意味する。「左」又は「右」は、説明において、エンジンの左又は右を意味する。方向は、エンジンの軸に関して考慮され、上流から下流へと向けられる。
【0029】
ダンパ20は、ファンブレー
ドのプラットフォー
ムの下方に収容されている。
【0030】
ブレー
ドは、エンジン内に半径方向に延在し、外側から内側にかけて、エアフォイ
ルと、プラットフォー
ムと、ファンディスクに取り付けられるように配置された根元
部とを備える
。プラットフォー
ムは、エアフォイ
ルの両側に横方向に延在し、右側プラットフォー
ムと左側プラットフォー
ムとからなる
。右側プラットフォー
ムは、左側プラットフォー
ムよりも広い。
【0031】
ダンパ20は、ファンディスクに対して円周方向に取り付けられた2つのブレー
ドのプラットフォー
ムの下方に置かれている。第1のブレー
ドのプラットフォー
ムの右側プラットフォー
ムは、第2のブレー
ドの隣接するプラットフォー
ムの左側プラットフォー
ムと接触している。
【0032】
ダンパ20は、プラットフォー
ムの下方に形成されたハウジン
グ内に収容されている。ハウジン
グは、第1の右側プラットフォー
ムの下方及び第2の左側プラットフォー
ムの下方にそれぞれ形成された2つの部分を備える。ハウジン
グは、ダンパ20が上記ハウジン
グ内に都合よく収容されているときにダンパ20がプラットフォー
ムの下側面と面間接触するように配置されている。
【0033】
図
1を参照すると、ダンパ20は、X方向軸に沿って長さが、Y方向軸に沿って幅が、Z方向軸に沿って高さが延在している。ダンパは、第1の前部25と、第1の前部25に対して上方にオフセットしている第2の後部26とを、その長さ方向に備える。
【0034】
前後は、X方向軸に関して定義され、軸Xは、前から後ろに向けられる。ダンパの底(下側部)及び上(上側部)は、Z方向軸に関して定義され、軸Zは、底から上に向けられる。左右方向は、Y方向軸に関して定義され、軸Yは、右から左に向けられる。
【0035】
したがって、ダンパ20がそのハウジン
グ内に位置決めされるとき、軸Xは、エンジンの軸に略平行であり、前後方向は、それぞれ、上流及び下流方向に対応する。
【0036】
前部25及び後部26は、それぞれ、軸Xに関して多角形断面を有し、第1の部分25の断面は、軸Xの方向に増加している。
【0037】
ダンパの非平行側面20D、20Gは、面(X、Z)に対して傾斜しており、側面20D、20Gの間の距離は、後部26に対して前部25においてより短い。側面20D、20Gは、下側面20Iを構成する面(X、Y)に直交している。
【0038】
上側面20Sは、面(X、Y)に対して傾斜しており、上側面20Sと下側面20Iとの間の距離は、後部26に対して前部25においてより短い。
【0039】
ダンパ20の上側面20Sは、傾斜しており接合尾根28によって離隔されている右上側面及び左上側面を備える
。ダンパ20の左右上側面は、それぞれ、右側プラットフォー
ムの下側面及び左側プラットフォー
ムの下側面と接触しており、接合尾根28は、隣接するプラットフォー
ムの側プラットフォー
ムの間の接触領域と一致して配置されている。
【0040】
前縁21は、ダンパの第1の前部25の前方に形成されている。前縁21は、軸Xに関して第1の横断面21Aを備えるとともに、上記第1の面21Aに関して第2の傾斜面21Bを備える。後縁22はまた、後部26の後方に形成されている。
【0041】
いったんダンパ20がハウジン
グ内に位置決めされると、ハウジン
グは、プラットフォー
ムに平行に延在する。ブレードのハウジン
グは、根元
部に垂直な上流側
面を備え、ダンパ20の前縁21は、上記側
面に当接する。
【0042】
図
1を参照すると、2つの部分25、26は、プラットフォー
ムに略平行である。前部25及び後部26は、それぞれ、それらの外面に、金属から作られてブレー
ドのプラットフォー
ムの内面と接触するために配置された2つの接触要素251、261を備える。これらの金属接触要素251、261は、ブレー
ドの間隙に起因する振動を吸収するのを可能とする
。接触要素251、261は、略矩形である。
【0043】
ダンパ20は、主にプラスチック材料から作られる。他の合成材料が同様に適合可能であることはいうまでもない。
【0044】
図
1を参照すると、ダンパ20の前部25は、その前端において、前縁21によってその前端で終端とされている、予備部分27と称される重量予備部分27を備える。
【0045】
予備部分27は、ダンパ20の重量を較正するために切り取られるために用意されている。
【0046】
ダンパ20の製造中におけるダンパ20の鋳造後に、ダンパ20の前縁21は、ダンパがそのハウジン
グ内にあるときに軸Xを横断して上流側
面に平行な単一面を備える。予備部分27は、所望の重量に較正されたダンパ20を得るために切り取られる。
【0047】
ダンパ20は、ダンパ20の前縁21上に、軸Xに関して第1の横断面21Aに対応する、ハウジングの上流側
面に平行な部分を配置するとともに、第2の傾斜面21Bに対応する、ハウジングの上流側
面に対する傾斜部分を配置するために、予備部分27の前縁21において切り取られる。
【0048】
図
1を参照すると、前縁21の傾斜部分21Bは、平行部分21Aの左にある。傾斜部分21Bは、上流側
面と接触せず、これにより、ダンパ20とブレー
ドとの間にピボット接触が引き起こされるのを阻止する。次いで、ダンパ20は、エンジンが動作しているときにはハウジン
グ内で移動することができない。
【0049】
第1の例示的な実施形態:予備部分の直線的な切り取り
第1の例示的な実施形態において
、予備部分27は、直線的な様式で切り取られる又は面取りされる。傾斜部分21Bと平行部分21Aとの間に形成される切り取り角度αは、10°から20°の間であり、好ましくは14°である。
【0050】
ユーザは、ダンパ20の上側面について、ダンパ20の左縁に延在する直線とダンパ20の前縁21の平行部分21Aに延在する直線との交差点に対応する仮想点PVを定義する
。点PVは、ダンパ20が切り取られる前のダンパ20の隅部に対応している。
【0051】
ユーザは、仮想点PVまでのダンパ20の左縁に延在する距離に対応する第1の長手方向面取り距離BLを定義する。ユーザはまた、仮想点PVまでのダンパ20の前縁の平行部分に延在する距離に対応する第2の横方向面取り距離BTを定義する。この場合、長手方向面取り距離BLは、横方向面取り距離BTよりも短い。
【0052】
したがって、ダンパ20とプラットフォー
ムとの間の接触領域は、ハウジン
グの上流側
面において低減する。
【0053】
第1の長手方向面取り距離BLの長さは、3.5mmから7mmの間であり、好ましくは5.8mmである。
【0054】
第2の横方向面取り距離BTの長さは、18mmから22mmの間であり、好ましくは20.3mmである。
【0055】
第2の例示的な実施形態:予備部分の丸みのある切り取り
ユーザは
、半径が0.5mから0.6mの間である球形をともなうダンパ20の交差点に沿って予備部分27の凹状丸みのある切り取りを作る。
【0056】
各切り取りについて、ユーザは、ダンパ20の傾斜部分21Bの尾根211の放射を作り出し、放射は、尾根211がミリメートルオーダー(この場合、1mm)の半径を有するように丸み付けすることによって尾根211を平滑にすることに本質がある。
【0057】
これら全ての切り取り及び放射は、ダンパ20がプラットフォー
ムに静止して上記部品間の接触領域を移動させ、ブレードの早期の摩耗を生じさせるのを阻止することができる。切り取りは、上流接触を制限し且つダンパの重量を較正するように行われる。
【0058】
ダンパ20の較正方法に応じて、ユーザは、そのブレードに設けられたファンディスクが平衡を保つようにダンパ20の参照重量Mrefを決定する。ユーザは、製造後にダンパ20の有効重量Meffを測定する。一般に、有効重量Meffは、参照重量Mrefよりも重い。次いで、ユーザは、切り取られたダンパ20の重量が参照重量Mrefと等しくなるように重量予備部分27を切り取る。
【0059】
ダンパの切り取りは、その位置決め及び較正という2つの不都合を同時に解決するのを可能とする。
【0060】
いったん切り取られると、ダンパ20は、そのハウジン
グ内に収容され、前縁21の平行部分21Aは、上流側
面に当接し、左側面20Gは、ブレー
ド根元
部に当接し、右側面20Dは、
他のブレー
ド根元
部に当接する。ダンパ20は、ブレー
ドとファンディスクとの間に固定される。
【0061】
ダンパ20は、従来技術のものと同じ金型を用いて製造される。したがって、上記ダンパを製造するための製造ラインを変える必要がない。
【0062】
有利には、同じエンジンにおいて同じブレードのセットについて、従来技術及び本発明に係るダンパを用いることが可能である。したがって、既に流通しているエンジンについて、摩耗したダンパを本発明に係るダンパに置換することが可能である。本発明の利点は、即時のものであり、エンジンの構造的な変更を必要としない。
【符号の説明】
【0063】
20 ダンパ
20D、20G 非平行側面
20I 下側面
20S 上側面
21 前縁
21A 第1の横断面
21B 第2の傾斜面
22 後縁
25 第1の前部
26 第2の後部
27 重量予備部分
28 接合尾根
211 尾根
251、261 接触要素