特許第5697390号(P5697390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697390
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】キーキャップ及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20150319BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20150319BHJP
   B29C 45/27 20060101ALI20150319BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20150319BHJP
   H01H 11/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B29C45/16
   B29C45/17
   B29C45/27
   G06F3/02 310F
   H01H11/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-216799(P2010-216799)
(22)【出願日】2010年9月28日
(65)【公開番号】特開2012-71449(P2012-71449A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2013年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】勝部 利幸
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−184819(JP,A)
【文献】 特開平07−088884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/84
G06F 3/02
H01H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色の樹脂からなる一次成型品と前記一次成型品の上に無色の樹脂からなる二次成型品を形成したキーキャップであって、
前記キーキャップの四辺のうちの少なくとも一辺において、側面視で、前記二次成型品の外形の側面下端が前記一次成型品の外形の側面下端と一致することを特徴とするキーキャップ
【請求項2】
前記キーキャップの四辺のうちのゲート口側の辺は、側面視で、前記一次成型品の外形の側面下端と前記二次成型品の外形の側面下端との間に所定の間隔を有することを特徴とする請求項1記載のキーキャップ。
【請求項3】
前記一次成型品の一部が除去されて文字もしくは記号が形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のキーキャップ。
【請求項4】
内型と第一の外型とを組み合わせて有色の樹脂からなる一次成型品を形成し、前記内型と第二の外型とを組み合わせて前記一次成型品の上に無色の樹脂からなる二次成型品を形成するキーキャップの製造方法であって、
前記第一の外型として、側面視で、側面下端が前記キーキャップの四辺の外形の側面下端と一致する金型を用いて前記一次成型品を形成し、
前記第二の外型として、側面視で、前記一次成型品との間に連続的に形成される空間の側面下端が前記キーキャップの四辺の外形の側面下端と一致する金型を用いて前記一次成型品の上に前記二次成型品を形成することを特徴とするキーキャップの製造方法。
【請求項5】
前記第一の外型として、前記キーキャップの四辺のうちのゲート口側の辺が、側面視で、側面下端が前記キーキャップの四辺の外形の側面下端から所定の間隔を有する金型を用いて前記一次成型品を形成することを特徴とする請求項4記載のキーキャップの製造方法。
【請求項6】
前記一次成型品及び前記二次成型品の二色成型後の成型品において、前記一次成型品にレーザー光を照射して前記一次成型品を溶融して文字もしくは記号を形成することを特徴とする請求項4又は5記載のキーキャップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーキャップ及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)のキーボードに用いられるキーキャップの成型方法としては、樹脂を内型及び外型を用いるモールド成型方法の他、内型と第一の外型とを組み合わせて有色の樹脂からなる一次成型品を形成し、内型と第二の外型とを組み合わせて一次成型品の表面上に無色の樹脂からなる二次成型品を被着成型する二色モールド成型方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−178426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4(a)は、一般の二色モールド成形方法により形成されたキーキャップの平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線断面図であり、図4(c)は、図4(a)のIVc−IVc線断面図である。
このキーキャップ10は、有色の樹脂からなる一次成型品1の上に透明な樹脂からなる二次成型品2が形成され、二次成型品2の上に文字が印刷されている。
【0005】
しかしながら、二色モールド成形方法により形成されたキーキャップ10は、一次成型品1の周囲及び上面が透明な二次成型品2で覆われているためユーザーから見て本来の大きさより小さく見え、キーキャップ10が打ちづらく感じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、本来の大きさに見えるキーキャップ及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、有色の樹脂からなる一次成型品と前記一次成型品の上に無色の樹脂からなる二次成型品を形成したキーキャップであって、前記キーキャップの四辺のうちの少なくとも一辺において、側面視で、前記二次成型品の外形の側面下端が前記一次成型品の外形の側面下端と一致することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本来の大きさに見えるキーキャップ及び製造方法の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るキーキャップの一実施の形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のIb−Ib線断面図であり、(c)は、(a)のIc−1c線断面図である。
図2】(a)〜(h)は、本発明に係るキーキャップの製造方法の一実施の形態を示す工程図である。
図3】(a)〜(d)は、図2(a)〜(g)に示した工程により得られたキーキャップに文字や符号を形成する方法の一例を示す工程図である。
図4】(a)は、一般の二色モールド成形方法により形成されたキーキャップの平面図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb線断面図であり、(c)は、(a)のIVc−IVc線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明に係るキーキャップの一実施の形態を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線断面図であり、図1(c)は、図1(a)のIc−1c線断面図である。
<工 程>
本実施形態のキーキャップ20は、内型と第一の外型とを組み合わせて有色の樹脂からなる一次成型品25を形成し、内型と第二の外型とを組み合わせて一次成型品25の上に無色の樹脂からなる二次成型品27を形成したものである。
キーキャップ20は、一次成型品25の斜面25a〜25dのうち有色の溶融樹脂のゲート口側の斜面25dに隣接する斜面25a、25bが第二の外型の斜面(二次成型品の斜面27a、27bでもある)の下端境界、すなわち外形の側面下端28a、28cと一致し、二次成型品27の斜面27a〜27dのうちゲート口側の斜面27dと隣接する斜面27a、27bが一次成型品25の斜面25a、25bの下端境界、すなわち外形の側面下端28a、28cと一致するように形成したものである。
【0016】
キーキャップ20の四辺のうちの少なくとも一辺において、側面視で、二次成型品25の外形の側面下端が一次成型品25の外形の側面下端28a、28cと一致する。これにより、ユーザーからキーボードのキーキャップ20を見たときにキーキャップ20の二次成型品27の斜面27a、27bが全部見えるので、一般の二色モールド成型方法により形成されたキーキャップ10より大きく見える。
【0017】
<工 程>
図2(a)〜(h)は、本発明に係るキーキャップの製造方法の一実施の形態を示す工程図である。
内型21の上に第一の外型22を重ね合わせ、ゲート口23に射出成形用のノズル24を固定する(図2(a))。
【0018】
ノズル24から内型21と外型22との間の空間に、ゲート口23を介して有色の溶融樹脂25を注入する(図2(b))。
【0019】
溶融樹脂25の注入後、内型21及び外型22を冷却(もしくは自然冷却)して硬化することにより一次成型品25が形成される(図2(c))。
【0020】
第1の外型22を内型21から外し、内型21の上に第二の外型26を重ね合わせる(図2(d))。
【0021】
内型21の上に外型26を重ね合わせ、ゲート口27にノズル24を固定する。ここで、ゲート口27は、図ではゲート口23の上に位置しているが、実際にはゲート27はゲート23と同じ高さになっており、説明上ゲート23の上に記載している(図2(e))。
【0022】
一次成型品25と外型26との間の空間にゲート口27を介して透明の溶融樹脂27を注入する。
【0023】
ここで、第一の外型22として、キーキャップ20の四辺のうちのゲート口23側の辺(またはゲート口側の辺及びゲート口側の辺に対向する辺)が、側面視で、側面下端がキーキャップ20の四辺の外形の側面下端から所定の間隔(例えば、0.5〜1.0mm)を有する金型を用いて一次成型品25を形成することにより、ゲート口27から注入された溶融樹脂27が隅々まで十分に充填されるという効果を奏する(図2(f))。
【0024】
溶融樹脂27の注入後、内型21及び外型26を冷却(もしくは自然冷却)して硬化することにより一次成型品25の上に二次成型品27が形成される(図2(g))。
内型21から一次成型品25に二次成型品27が被着形成された成型品を取り外し、ランナー29を切除することでキーキャップ20が得られる(図2(h))。
【0025】
このようにして形成されたキーキャップ20は、一次成型品25及び二次成型品27の少なくとも斜面25a、25b、27a、27bの側面下端28a、28cが一致しているので、有色層である一次成型品25が小さく見えることがなく、キーの打ちづらさが解消する。
【0026】
図3(a)〜(d)は、図2(a)〜(g)に示した工程により得られたキーキャップに文字や符号を形成する方法の一例を示す工程図である。
キーキャップ20の一次成型品25側にレーザー光源30を準備する(図3(a))。
レーザー光源30からキャップ20の一次成型品25の文字もしくは符号を形成する箇所にレーザー光30aを照射して一次成型品25を加熱溶融(蒸発)することにより除去する(図3(b))。
レーザー光30aの照射後(図3(c))、文字もしくは符号が形成されたキーキャップ20が得られる(図3(d))。
このようにして形成されたキーキャップ20は、文字もしくは符号が形成された一次成型品25が透明な樹脂からなる二次成型品27で覆われているので、キータッチにより文字や符号が消えることがない。
【0027】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。例えば、上述の説明では、一次成型品の斜面のうち有色の溶融樹脂のゲート口側の斜面に隣接する斜面が第二の外型の斜面の下端境界と一致し、二次成型品の斜面のうちゲート口側の斜面と隣接する斜面が一次成型品の斜面の下端境界と一致するように形成した点について説明したが、本発明ではこれに限定されず、有色の溶融樹脂のゲート口側の斜面に対向する斜面が第二の外型の斜面の下端境界と一致し、無色の溶融樹脂のゲート口側の斜面に対向する斜面が一次成型品の斜面の下端境界と一致するように形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
20 キーキャップ
21 内型
22 第一の外型
23 ゲート口
24 ノズル
25 一次成型品
25a〜25d、27a〜27d 斜面
25L 有色の溶融樹脂
26 第二の外型
27 二次成型品
27L 透明の溶融樹脂
28a〜28c キーキャップの外形の側面下端(斜面の下端境界)
29 ランナー
図1
図2
図3
図4