(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアゾール容器又はポンプ式噴霧容器の上端部に設けられている内容液の排出用ステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液がその噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、
前記噴射ボタンが下方部分に位置する基礎部(11)と、基礎部(11)の上方に位置する押下部(12)と、前記基礎部(11)と押下部(12)を接続するロック部(15)とからなり、
前記ロック部(15)が前記基礎部(11)及び押下部(12)と連接切取部(15u, 15d)を介して一体的に成形され、
且つ、前記ロック部(15)が、押下部(12)の後方側の一部を除きそのほぼ全周に渡り囲繞するように設けられ、ロック部(15)の後方側に位置する両端部が外側に折曲して延長する摘み部(16, 16)を有し、
前記基礎部(11)の下端周縁部が容器上端部の排出用ステムの外側の周縁部と係合してキャップ機能を有し、
前記押下部(12)は、排出用ステムと連結する導通路(12p) を有し、この導通路(12p) の出口が噴射口(12n)を成し、
前記ロック部(15)を、その連接切取部(15u, 15d)を千切り取り、基礎部(11)及び押下部(12)と分離することによって、押下部(12)が押し下げられる状態となることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタン。
前記ロック部(15)の両摘み部(16, 16)の間隔部に対応する基礎部(11)の上端縁部に凹所(11m) を形成したことを特徴とする請求項1に記載の噴霧容器用噴射ボタン。
前記押下部(12)の上端部前方側に形成されている噴射口(12n)に対応するロック部(15)の部位を下方に湾曲させて下方湾曲部(15j)を形成し、この下方湾曲部(15j)に対応する基礎部(11)の上端縁部にも凹所(11j) を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の噴射容器用噴射ボタン。
前記連接切取部が複数の接続部(15u, 15u, …, 15d, 15d,…)からなり、この接続部(15u, 15u, …, 15d, 15d,…)を含み前記噴射ボタンが合成樹脂製の一体成形のものから成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の噴霧容器用噴射ボタン。
エアゾール容器又はポンプ式噴霧容器の上端部に設けられている内容液の排出用ステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液がその噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンであって、
前記噴射ボタンが下方部分に位置する基礎部(11)と、基礎部(11)の上方に位置する押下部(12)と、前記基礎部(11)と押下部(12)の間に位置するロック部(15)とからなり、
このロック部(15)は、その一部が切断された切欠部を有して前記押下部(12)の下方外周壁面を囲繞するように配置され、
前記基礎部(11)の下端周縁部が容器上端部の排出用ステムの外側の周縁部と係合してキャップ機能を有し、
前記押下部(12)は、排出用ステムと連結する導通路(12p) を有し、この導通路(12p) の出口が噴射口(12n)を成す噴霧容器用噴射ボタンの製造方法において、
前記ロック部(15)は前記押下部(12)と連接切取部(15u)を介して接続され、
この連接切取部が複数の接続部(15u, 15u, …)からなり、
これら複数の接続部(15u, 15u, …)と前記押下部(12)と基礎部(11)とを接続する成形用接続部(30, 31)を複数設けた外型と内型からなる金型を使用し、
かかる金型内に合成樹脂を充填し、固化した後、内型を取り除くことにより前記成形用接続部(30, 31)の一部又は全部が切断され、前記基礎部(11)、押下部(12)及びロック部(15)が一体成形されることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明においては、上記出願に係る発明と異なり、エアゾール容器の上端部の内容液排出用ステムに装着する噴射ボタンの創案をその目的としており、この噴射ボタンが同時に容器のキャップの役目をも担い、且つロック手段をも有し、更にはそのエアゾール製品が未使用であることをシュリンクパック包装なしに容易に確認できるようにすること、即ちバージンシールの機能をも兼ね備えることをその第一の課題とするものである。
しかも、その構造を極めて簡易なものとして、製造容易、製造コストの低減化をも念頭に入れてその創案をすることがその課題となる。これによりシュリンク用フィルムの不使用による省資源にも寄与できることとなるのである。
更に、本発明においては、エアゾール容器等の開封後使用中においても、噴射ボタンのロックを容易に行うことができることもその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器又はポンプ式噴霧容器の上端部に設けられている内容液の排出用ステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液がその噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、前記噴射ボタンが下方部分に位置する基礎部と、基礎部の上方に位置する押下部と、前記基礎部と押下部を接続するロック部とからなり、前記ロック部が前記基礎部及び押下部と連接切取部を介して一体的に成形され、前記基礎部の下端周縁部が容器上端部の排出用ステムの外側の周縁部と係合してキャップ機能を有し、前記押下部は、排出用ステムと連結する導通路を有し、この導通路の出口が噴射口を成し、前記ロック部を、その連接切取部を千切り取り、基礎部及び押下部と分離することによって、押下部が押し下げられる状態となることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0006】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記連接切取部が複数の接続部からなり、この接続部を含み前記噴射ボタンが合成樹脂製の一体成形のものから成ることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0007】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記ロック部が、押下部の後方側の一部を除きそのほぼ全周に渡り囲繞するように設けられ、ロック部の後方側に位置する両端部が外側に折曲して延長する摘み部を有していることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0008】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、前記ロック部の両摘み部の間隔部に対応する基礎部の上端縁部に凹所を形成したことを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0009】
本発明の第5のものは、上記何れかの発明において、前記押下部の上端部前方側に形成されている噴射口に対応するロック部の部位を下方に湾曲させて下方湾曲部を形成し、この下方湾曲部に対応する基礎部の上端縁部にも凹所を形成したことを特徴とする噴射容器用噴射ボタンである。
【0010】
本発明の第6のものは、エアゾール容器又はポンプ式噴霧容器の上端部に設けられている内容液の排出用ステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液がその噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、前記噴射ボタンが下方部分に位置する基礎部と、基礎部の上方に位置する押下部と、前記基礎部と押下部の間に位置するロック部とからなり、このロック部は、その一部が切断された切欠部を有して前記押下部の下方外周壁面を囲繞するように配置され、前記押下部と連接切取部を介して一体的に成形され、且つ、ロック部の一部に下方に延長する延長係合部を有し、前記延長係合部と係合する係合受部を前記基礎部の対応部位に設け、前記基礎部の下端周縁部が容器上端部の排出用ステムの外側の周縁部と係合してキャップ機能を有し、前記押下部は、排出用ステムと連結する導通路を有し、この導通路の出口が噴射口を成し、前記押下部を周方向に回動させることによって連接切取部を切断して押下部とロック部を分離することができ、これによってロック部を取り外して押下部が押し下げられる状態となることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0011】
本発明の第7のものは、上記第6の発明において、前記連接切取部が複数の接続部からなり、この噴射ボタンを成形するに際して、前記押下部と基礎部とを接続する成形用接続部を複数設けた外型と内型からなる金型を使用し、かかる金型内に合成樹脂を充填し、固化した後、内型を取り除くことにより前記成形用接続部の一部又は全部が切断され、一体成形されることを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【0012】
本発明の第8のものは、上記第6又は第7の発明において、前記ロック部の切欠部が噴射口側の前方に設けられ、ロック部の延長係合部をその反対側の後方側に配置し、更に、ロック部の外周面の適宜位置に複数の突条部を形成したことを特徴とする噴霧容器用噴射ボタンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、噴射ボタンが同時に容器のキャップの役目を担う事が可能となる。
そして、ロック部と基礎部及び押下部を接続する連接切取部を千切って、これら基礎部と押下部からロック部を切り離すことによって、押下部の押し下げが可能となり、容器の内容液を外部に噴霧することが可能となる。
このように、本発明に係る噴射ボタンは、ロック部を切り離すことにより使用可能となるために、このロック部が切り取られる前の状態において、その未使用状態を確認することができ、バージンシールの役目も担う事となるのである。
更に、本発明に係る噴射ボタンは、ロック部が切り取られる前の状態でバージン性を維持できるために、その容器全体を樹脂フィルムによるシュリンクパック等を行う必要が無くなり、省資源にも寄与することとなるのである。
また、ロック部を切り離した後の使用中においても、このロック部を利用して、使用後に再度押下部と基礎部との間に嵌合することにより、ロック手段として用いることも可能となるものである。
【0014】
本発明の第2のものにおいては、上記第1の発明の効果に加えて、その噴射ボタンの全体が合成樹脂の一体成形により製作されているために、製造容易、コスト削減、取り扱いも簡便なものとなる。
【0015】
本発明の第3のものにおいては、ロック部の後方側の両端部に摘み部を設けているために、このロック部を基礎部及び押下部から切り離す際に便利なものとなる。
【0016】
本発明の第4のものにおいては、ロック部の両摘み部の間隔に対応する基礎部の上端縁部に凹所を設けたことにより、この部分に指先を挿入し易くなり、ロック部をより容易に引き千切ることができることとなる。
これにより、ロック部の上下方向の幅をより小さく設計することも可能となり、ロック部の上下の幅を自在に設計することが可能となる、同時に押下部の各種の押し下げストローク幅に対応することができる。
【0017】
本発明の第5のものにおいては、押下部の上端部前方側に形成されている噴射口に対応するロック部の部位を下方に湾曲させて下方湾曲部を形成し、この下方湾曲部に対応する基礎部の上端縁部にも凹所を形成したことにより、押下部に設けられている噴射口の位置や大きさ等に適合させてロック部も形成することができ、各種の形状の押下部に対応してロック部の設計を自由に行うことができるものとなる。
【0018】
本発明の第6のものにおいては、前記第1の発明と同一の効果を発揮するものであるが、この第6の発明では、ロック部が押下部とのみ連接切取部を介して一体的にに成形され、ロック部の一部に下方に延長する延長係合部を設け、この延長係合部が基礎部の係合受部と係合するために、使用に際して、押下部を周方向に回動させることによってロック部との連接切取部が切断され、ロック部を取り外すことができるものである。
即ち、前記第1の発明では、ロック部自体を基礎部と押下部から千切り取るのであるが、この第6の発明では、押下部を周方向に回動させるだけで押下部とロック部との連接が分離されるのである。
【0019】
本発明の第7のものにおいては、上記第2の発明と同様に、その製造に際して一体的に製造できることを限定したものである。
即ち、この発明においては、ロック部は押下部にのみ連接切取部を介して接続しており、基礎部は押下部と複数の成形用接続部によって接続されている。
この成形用接続部の一部は、その設ける位置により内型を取り除く際に分断されるが、他の一部は残るため、成形完成後にその一部残された成形用接続部により押下部と基礎部とは接続した状態を維持する。
また、この成形用接続部の全部が、前記内型の除去により分断されてもよく、この場合には押下部と基礎部とは分離した状態で完成する。
このように構成することにより、本発明に係る噴射ボタンは一体成形が可能となり、従来のようにロック部を後から組み合わせ、アッセンブリを行うのでなく、これを成形段階でアッセンブリ完成状態となすことができるものである。
従って、この第7の発明においても、前記第2の発明と同様に、一体成形可能で、製作容易、コスト削減、取扱い便利なものとなる。
【0020】
本発明の第8のものにおいては、ロック部の切欠部と延長係合部との位置を特定し、その形態を更に限定したものである。
即ち、その切欠部を噴射口側の前方に設け、延長係合部をその反対側の後方側に配置して、噴射口の設計の自由度を高め、またロック部の外周に設けた複数の突条部によって、このロック部を押下部の外周壁面から取り外したり或いは取り付けたりする操作をより容易なものとしたのである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の噴霧容器用噴射ボタンに係る一実施形態の外観を示す全体斜視図である。
本発明に係る噴射ボタン10は、ポリプロピレン又はポリエチレン等の合成樹脂からなる一体成形ものであり、その全体形状は底面が開口した略円筒形状を有し、その下方の基礎部11と、上方の押下部12と、両者の中間に位置するロック部15とから構成されている。
【0023】
基礎部11は、この
図1には明瞭に現れていないが、その下端面が開口し、この下端開口部の周縁部が、図示はしていないエアゾール容器等の上端部の周縁部と係合し、固定されるものである。
このエアゾール容器等の上端部の中央部には、容器の内容液を排出するための排出用ステムが設けられており、この排出用ステムの上端部に、後述する押下部12の内部に設けられている導通路の導入口と嵌合するのである。
【0024】
押下部12は、噴射ボタン10の上端部に位置しており、上記した通り、その内部にはエアゾール容器の内容液を外部に噴霧するための導通路が設けられ、その導通路の出口が噴射口12nを形成する。
ロック部15は、上記の基礎部11と押下部12の両者を連結するものであり、このロック部15は、押下部12の下方外周部を囲繞するように配置され、その上端縁で押下部12と複数の接続部15u、15u、…を介して連接しており、その下端縁で基礎部11と複数の接続部15d、15d、…を介して連接している。
これらの接続部は、所定同一間隔で形成されている。
【0025】
これらの接続部15u、15dは、手で力を加えることにより容易に引き千切ることができ、これらが連接切取部を構成するものである。
ロック部15の後方側は、連続しておらず、その両端部が後方に折曲されて摘み部16、16が形成されている。
これら両摘み部16、16の何れか一方を指でつまんで、ロック部15を基礎部11及び押下部12から引き千切って、分離することができるように形成している。
【0026】
ロック部15が分離されると、押下部12は下方に押し下げることが可能となり、この押下部12を指で下方に押し下げることにより、容器上端部に形成されている内容液排出用ステムを押し下げることとなり、容器の内容液を外部に排出させ、噴霧することができることとなる。
ロック部15が分離されて、エアゾール容器等の使用が開始された後は、容器の不使用時には、このロック部15を押下部12と基礎部11との間に嵌合させて、押下部12のロック手段として使用することができる。
【0027】
図2は、上記実施形態に係る噴射ボタンを図示しており、その(A)が正面図、その(B)が右側面図、その(C)が平面図、その(D)が背面図である。
これらの図から各構成部材の関係及び構成を見て取ることができる。
基礎部11は、最下方に位置し、その外径が最も大きく、その下端開口部11kが図示はしていない容器の上端部と係合し、固定される。
この基礎部11の上端部は、内向きに折曲して平面部11hが形成されており、この平面部11hにロック部15の下端縁に設けられた接続部15dが連接されている。
【0028】
この平面部11hの前方側には、凹所11jが形成され、ロック部15の下方湾曲部15jと形状的に適合するように形成されている(正面図(A)を参照)。
これは、押下部12の前方に設けられている噴射口12nの部分の形状に適合させるために、ロック部15の前方部分を下方に退避するように形成しているためである。
これにより、ロック部15の上下方向の長さ(幅)を適宜確保している。
【0029】
押下部12は、噴射ボタン10の上方に位置するが、その形態は、下方が略円筒形状の下方筒体部を有し、その上端部に天部12tが形成され、この天部12tの外径が下方筒体部の外径よりも大きいサイズとなっている。
この天部12tの下端面の外周縁部に適宜間隔で複数の接続部15uが設けられ、この複数の接続部15uを介してロック部15が連接している。
従って、ロック部15は、押下部12の下方筒体部の外側にこれを囲繞するように配置されており、このロック部15の上端縁で、複数の接続部15uを介して押下部12と連接し、その下端縁で、複数の接続部15dを介して基礎部11と連接しているのである。
この部分の状態は、次図の断面図でより明瞭となる。
【0030】
ロック部15は、上記した通り、押下部12の下方筒体部の外周に配置されているが、そのロック部15の後方側は連続しておらずに分離されており、その両端部が後方に折曲して延長され、摘み部16、16を形成している。
これらの両摘み部16、16の何れか一方を指でつまんで外側に力を加えることにより、ロック部15が、基礎部11及び押下部12から引き千切られ、分離されるのである。
【0031】
ここで、背面図(D)から見て取れるように、摘み部16、16の間隔の下方部分に対応する基礎部15の上端の平面部11hに凹所11mが形成されている。
この凹所11mの存在により、ロック部15の摘み部16を指でつまんで引き千切る際に容易に行うことが可能となるのである。
というのも、例えばこの摘み部16を親指と人差し指で把持する際に、ロック部15の上下の幅は狭いために、この凹所11mの存在により、この部分に親指を容易に挿入して摘み部16を容易に把持することができることとなるからである。
これにより、ロック部15の上下の幅を可能な限り狭いものとすることが可能となるのであり、押下部12の押し下げストロークにも適宜対応することが可能となるのである。
【0032】
図3は、上記実施形態に係る噴射ボタンの縦断面図を示し、エアソール容器との係合関係を示すものである。
この図から見て取れるように、本発明に係る噴射ボタン10は、容器Cの上端部中央に位置する内容液の排出用ステムSの上端部と、押下部12内の導通路12pの導入口12qとが嵌合して連結し、基礎部11の下端開口部11kの開口縁部が容器Cの上端の周縁部Eと係合して、固定されるのである。
【0033】
ロック部15も、この図から良く見て取れるように、押下部12の下方筒体部12cの外側でこれを囲繞するように配置され、その上端縁及び下端縁で、接続部15u、15dを介して押下部12と基礎部11に連接している。
上方の接続部15uは、押下部12の天部12tの外周部下面で連接し、下方の接続部15dは、基礎部11の上端の平面部11hの部分で連接していることをこの
図3から見て取ることができる。
【0034】
このロック部15の摘み部16を指で把持して引き千切ることにより、ロック部15は、基礎部11と押下部12とから分離されるのである。
ロック部15が分離されることにより、押下部12の押し下げが可能となり、容器C内の内容液をその噴射口12nから外部に噴霧することが可能となる。
そして、容器開封後使用中の際には、このロック部15を基礎部11と押下部12との間に嵌合することにより、これを押下部12のロック手段として使用することが可能となるのである。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る噴射ボタン20を図示しており、その(A)が正面図、その(B)が右側面図、その(C)が平面図、その(D)が背面図である。
これらの図から各構成部材の関係及び構成を見て取ることができる。
基礎部11は、最下方に位置し、その外径が最も大きく、その下端開口部11kが図示はしていない容器の上端部と係合し、固定される。
【0036】
押下部12は、噴射ボタン20の上方に位置するが、その形態は、下方が略円筒形状の下方筒体部を有し、その上端部に天部12tが形成され、この天部12tの外径が下方筒体部の外径よりも大きいサイズとなっている。
この天部12tの下端面の外周縁部に適宜間隔で複数の接続部(連接切取部)15uが設けられ、この複数の接続部15uを介してロック部15が連接している。
従って、ロック部15は、押下部12の下方筒体部の外側にこれを囲繞するように配置されており、このロック部15の上端縁で、複数の接続部15uを介して押下部12と連接しているのである。
この部分の状態は、次図の断面図でより明瞭となる。
【0037】
ロック部15は、上記した通り、押下部12の下方筒体部の外周に配置されているが、そのロック部15の前方側は連続しておらずに分離され、切欠部29が設けられている。
またロック部15の後方側には、下方に延長する延長係合部27が設けられ、この延長係合部27に適合する係合受部17が基礎部11に形成されている。
これにより、ロック部15は、周方向に回動しないように構成されている。
この構成により、押下部12を強制的に周方向に回動しても、ロック部は周方向に回動せず、それ故接続部15uが切断せられるのである。
尚、
図4中、30は、押下部12と基礎部11とを連接する前方接続部(成形用接続部)を示しており、これについては後の
図6で更に説明する。
また、26は、ロック部15の外周に設けた突条部を示している。
【0038】
図5は、上記第2実施形態に係る噴射ボタンの中央縦断面図を示し、その(A)が正面方向から見たもの、その(B)が右側面方向から見たものである。
この図から見て取れるように、本第2実施形態に係る噴射ボタン20は、容器の上端部中央に位置する内容液の排出用ステムの上端部と、押下部12内の導通路12pの導入口12qとが嵌合して連結し、基礎部11の下端開口部11kの開口縁部が容器の上端の周縁部と係合して、固定されるのである。
【0039】
ロック部15も、この図から良く見て取れるように、押下部12の下方筒体部12cの外側でこれを囲繞するように配置され、その上端縁で、接続部15uを介して押下部12に連接している。
接続部15uは、押下部12の天部12tの外周部下面で連接していることをこの
図5から見て取ることができる。
【0040】
そして、押下部12を把持して周方向に強制的に回動すると、ロック部15は、その後方の延長係合部27が基礎部11の係合受部17と係合しているために、押下部12と共に回動することはなく、それ故、押下部12とロック部15とを連接する接続部15uは切断されることとなる。
これによりロック部15を押下部12の下方筒体部12cから取り外して、押下部12を下方に押し下げ、容器内の内容液を噴射口12nから噴霧することができる。
【0041】
このロック部15の外周面には突状部26が複数設けられているために、ロック部15を押下部12から取り外す際に便利なものと成る。
そして、容器開封後使用中の際には、このロック部15を基礎部11と押下部12との間に嵌合することにより、これを押下部12のロック手段として使用することが可能となるのである。
図5(B)中、押下部12と基礎部11を連接する前方接続部30は、上記のように押下部12を強制的に回動することにより、接続部15uと共に切断されるものである。
【0042】
図6は、この第2実施形態に係る噴射ボタン20の底面図である。
この図と先の
図5とを利用して、本発明の製造方法について簡単に説明する。
本発明に係る噴射ボタンは、外型と内型の金型を用いて一体成形により製作している。
前記第1の実施形態においては、ロック部がその上端部と下端部でそれぞれ押下部と基礎部とで接続部を介して連接していたために、一体成形するのに何ら問題はなかったが、この第2実施形態では、ロック部15が押下部12にのみ連接しているために、その一体成形に多少の工夫が必要と成る。
【0043】
即ち、外型と内型の両金型を用いて合成樹脂を充填して一体成形するためには、これら押下部、ロック部及び基礎部がそれぞれ接続状態になければならない。
ロック部と押下部とは連接しているが、基礎部が上記第1実施形態のようにロック部と連接していないために、この第2の実施形態では、押下部12と基礎部11とを4つの整形用接続部31、31、…、及び前方接続部30によって連接したのである。
【0044】
図5(A)においては、成形用接続部31の図示は、
図6の位置と整合していないが、その断面を明瞭に図示するために、その位置を変更して図示している。
このように、成形用接続部31は、基礎部11の内壁上端部と押下部12の下方筒体部12cとの間に4つ介在させている。
金型に合成樹脂を充填して、固化した後に、内型を取り除くことにより、これら成形用接続部31は何れも切断されることとなるが、前方側接続部30のみは、そのまま押下部12と基礎部11とを連接した状態を維持するものである。
【0045】
そして、最終的に使用に際しては、押下部12を強制回動することによって、この前方接続部30も切断されて、ロック部15を取り除いて押下部12を押し下げて、内容液を噴霧可能となるのである。
尚、この前方接続部30は、これを設けずに実施することも可能である。
即ち、押下部12と基礎部11を接続する4つの成形用接続部31を設け、内型を外型から取り除く際に、これら4つの成形用接続部31が切断され、一体成形完了後、基礎部11と押下部12とが分離状態となっていてもよいのである。
この場合には、成形用接続部31の全てが内型を取り除く際に切断されることとなるのである。
【0046】
以上、実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更が可能となる。
まず、本発明に係る噴射ボタンは、エアゾール容器或いはポンプ式噴霧容器の何れのタイプのものにも適用することができる。
噴射ボタンの大きさ、形態等は、エアゾール容器又はポンプ式噴霧容器の上端部の形態に適合させて適宜設計変更することができる。
【0047】
第1実施形態では、ロック部が押下部及び基礎部と連接する連接切取部は、適宜所定間隔で所定数の接続部として形成しているが、この間隔や数も全く自由に設定することができる。
この連接切取部は、上記実施形態では、複数の接続部によって断続的に構成したが、これをロック部の上端縁及び下端縁の全体に渡り連続的に形成することもできる。というのもこの連接切取部の厚みを薄くすることにより容易に切り取ることが可能だからである。
【0048】
連接切取部が連接する押下部の位置及び基礎部の位置も自由に設計することが可能である。
上記第1実施形態では、上方の接続部は、押下部の天部下面に連接し、下方の接続部は、基礎部の上端の平面部に連接しているが、これらを押下部の下方筒体部に、また基礎部の外周側面部と連接することも可能である。
これらの接続部は、押下部及び基礎部の形態に応じて適宜最も適切な位置で連接することが可能だからである。
【0049】
他方、連接切取部は、第2実施形態のように、押下部とロック部のみを連接し、接続するものであってもよい。
但し、その際は、ロック部が回動しないように、延長係合部をその一部に設ける必要がある。
というのも、押下部を強制回動して連接切取部を切断するため、ロック部が共に回動しないようにする手段が必要だからである。
第2実施形態における成形用接続部の数、位置、その形態等も自由に設計することができる。
また、前方接続部の形態も自由に設計することができ、ロック部外周面に設ける突条部の数や形状等も自由に設計変更することができる。
【0050】
以上、本発明は、ロック部を容器に固定される基礎部と内容液を噴射させるための押下部との間に一体的に形成し、これを指等で千切ることにより、或いは、押下部を強制回動させて切断することにより、使用が可能となるものであって、各種の噴霧容器の上端部に装着して固定することによって、噴射ボタンを押し下げることを不能としてロック手段付きのものと成し、且つこれにより製品のバージン性を保証して合成樹脂フィルム等のシュリンクパック等の加工をも不要とし、使用中はロック部が噴射ボタンのロック手段をも兼ねた極めて画期的な噴霧容器用の噴射ボタンを提供することができたものである。