特許第5697415号(P5697415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧 ▶ 五洋建設株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社不動テトラの特許一覧 ▶ 錦城護謨株式会社の特許一覧 ▶ ケミカルグラウト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000002
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000003
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000004
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000005
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000006
  • 特許5697415-汚染土壌の浄化方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697415
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】汚染土壌の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/00 20060101AFI20150319BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20150319BHJP
   B09C 1/08 20060101ALI20150319BHJP
   C02F 3/00 20060101ALI20150319BHJP
   C02F 1/70 20060101ALI20150319BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B09B5/00 S
   B09B3/00 304K
   C02F3/00 DZAB
   C02F1/70 Z
   C02F1/72 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-260807(P2010-260807)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-110813(P2012-110813A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(73)【特許権者】
【識別番号】591159675
【氏名又は名称】錦城護謨株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390002233
【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 良一
(72)【発明者】
【氏名】水野 正彦
(72)【発明者】
【氏名】岩本 達之
(72)【発明者】
【氏名】川端 淳一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 智勝
(72)【発明者】
【氏名】日高 征俊
(72)【発明者】
【氏名】辻村 崇
(72)【発明者】
【氏名】白神 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】行川 昌利
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−021280(JP,A)
【文献】 特開2007−260610(JP,A)
【文献】 特開2010−029843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/00−1/10
B09B 1/00−5/00
C02F 1/68−1/78,3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原位置での汚染土壌の浄化方法であって、
前記汚染土壌に、揚水用と注水用とに単独で切り替え可能な複数のドレーン材を前記汚染土壌の全域に埋設する工程(a)と、
前記複数のドレーン材に対し、揚水量と注水量とが適切なバランスとなるように揚水用と注水用のそれぞれのドレーン材の本数を設定し、また、未浄化部分が処理されるような流れが形成されるように揚水用と注水用のそれぞれのドレーン材の位置を設定して、揚水用と注水用とに区分けする工程(b)と、
前記複数のドレーン材のうち少なくとも揚水用として用いるドレーン材の上端にホースを有するキャップが設けられ、前記キャップを介して揚水用のドレーン材に接続された真空ポンプを用いて負圧をかけることにより前記汚染土壌内から前記揚水用のドレーン材を介して地下水を揚水しつつ、注水用のドレーン材を介して前記汚染土壌内に所定の流体を注水し、前記汚染土壌内に水循環の流れを形成する工程(c)と、
揚水した前記地下水を所定の性能を有する水処理施設において処理する工程(d)と、
を具備し、
前記ドレーン材がペーパードレーンまたはプラスチックドレーンであり、
揚水後の汚染物質の濃度が所定の基準を満たすものとなった後、揚水および注水を一旦停止し、残った未浄化部分の浄化を行うため前記工程(b)から前記工程(d)を繰り返すことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
全ての前記複数のドレーン材は、前記真空ポンプおよび給水槽に接続されたバルブに、ドレーン材上端に設けられた前記キャップを介して接続され、
前記複数のドレーン材は、前記バルブによって前記所定の流体の出入りを切り替えることにより、揚水用と注水用とに切り替えが可能であることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
前記複数のドレーン材は、揚水用として用いるドレーン材の上端に設けられた前記キャップと、注水用として用いるドレーン材の上端に設置された湛水槽とを撤去した後、前記複数のドレーン材を揚水用と注水用とに再度区分けしてキャップおよび湛水槽を移設することにより、揚水用と注水用とに切り替えが可能であることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項4】
前記地下水の揚水量、前記所定の流体の注水量、前記所定の流体の圧力、前記汚染物質の濃度、前記汚染土壌の間隙水圧をモニタリングすることにより、揚水量と注水量とを適切なバランスに保つことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項5】
前記所定の流体は、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の汚染土壌の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌の浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、揮発性や非揮発性の汚染物質によって汚染された土壌を原位置で除去する方法として、(1)地盤に注入井戸および吸入井戸を設け、注入井戸から蒸気を注入する一方で、吸入井戸から吸引を行なって汚染物質を取り出す方法があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、(2)地盤に浄化用液体を注入して地下水を真空吸引する方法があった。(2)の方法では、例えば、地盤に注入井戸とドレイン管とを設けて、注入井戸に浄化用液体を注入し、ドレイン管を介して地下水を吸引していた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公報第4042969号
【特許文献2】特開2007−260610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粘性土質等の透水性の低い地盤に保持された汚染物質を除去する場合、(1)の方法は、地下水の吸引速度が遅く、汚染物質の除去に時間がかかるという問題点があった。(2)の方法は、この問題点を解決するものであるが、汚染物質を含む領域が広範囲にわたる場合、複数の井戸を形成するには多大な時間と費用がかかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、状況に応じて揚水位置と注水位置とを容易に切り替えて、効率的に汚染物質を除去できる汚染土壌の浄化方法を提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、原位置での汚染土壌の浄化方法であって、前記汚染土壌に、揚水用と注水用とに単独で切り替え可能な複数のドレーン材を前記汚染土壌の全域に埋設する工程(a)と、前記複数のドレーン材に対し、揚水量と注水量とが適切なバランスとなるように揚水用と注水用のそれぞれのドレーン材の本数を設定し、また、未浄化部分が処理されるような流れが形成されるように揚水用と注水用のそれぞれのドレーン材の位置を設定して、揚水用と注水用とに区分けする工程(b)と、前記複数のドレーン材のうち少なくとも揚水用として用いるドレーン材の上端にホースを有するキャップが設けられ、前記キャップを介して揚水用のドレーン材に接続された真空ポンプを用いて負圧をかけることにより前記汚染土壌内から前記揚水用のドレーン材を介して地下水を揚水しつつ、注水用のドレーン材を介して前記汚染土壌内に所定の流体を注水し、前記汚染土壌内に水循環の流れを形成する工程(c)と、揚水した前記地下水を所定の性能を有する水処理施設において処理する工程(d)と、を具備し、前記ドレーン材がペーパードレーンまたはプラスチックドレーンであり、揚水後の汚染物質の濃度が所定の基準を満たすものとなった後、揚水および注水を一旦停止し、残った未浄化部分の浄化を行うため前記工程(b)から前記工程(d)を繰り返すことを特徴とする汚染土壌の浄化方法である。
【0008】
本発明では、専用の打設機を用いて容易に打設できるドレーン材を用いて揚水および注水を行なうため、井戸を設置する場合と比較して、揚水・注水作業以前の準備に要する工期の短縮および費用の削減が可能である。また、ドレーン材は打設深度の設定が容易であるため、地層構造が複雑な場合でも対応しやすい。本発明では、揚水により地盤に負圧が発生するため、所定の流体を低圧で容易に注入できる。本発明では、必要に応じてドレーン材を揚水用と注水用とに再度区分けし、工程(b)以降を複数回繰り返す。
【0009】
本発明では、例えば、全ての複数のドレーン材の上端にホースを有するキャップが設けられ、各ドレーン材は、真空ポンプおよび給水槽に接続されたバルブにキャップを介して接続される。各ドレーン材は、バルブによって所定の流体の出入りを切り替えることにより、揚水用と注水用とに切り替えが可能である。
【0010】
本発明では、複数のドレーン材のうち、揚水用として用いるドレーン材の上端のみにホースを有するキャップが設けられ、注水用として用いるドレーン材の上端に湛水槽が設けられる場合もある。この場合、複数のドレーン材は、キャップと湛水槽とを撤去した後、注水用と揚水用とに再度区分けしてキャップおよび湛水槽を設けることにより、揚水用と注水用とに切り替えが可能である。
【0011】
各ドレーン材を揚水用と注水用とに単独で切り替えることにより、汚染土壌・地下水領域の状況に応じて揚水位置と注水位置とを容易に切り替えることができる。汚染物質の処理の状況に応じてドレーン材の揚水位置と注水位置とを切り替え、適切な水循環の流れを形成して浄化処理を繰り返すことにより、汚染土壌・地下水領域の全域を効率よく確実に浄化できる。本発明では、各ドレーン材を揚水用と注水用とに切り替えることにより水流を逆転できるので、ドレーン材の目詰まりを防止できる。
【0012】
工程(c)では、地下水の揚水量、所定の流体の注水量、所定の流体の圧力、汚染物質の濃度、前記汚染土壌・地下水領域の間隙水圧をモニタリングすることにより、揚水量と注水量とを適切なバランスに保つ。揚水量と注水量との適切なバランスを維持することにより、汚染領域内の地下水の循環を促進し、地下水の効率的な浄化を図ることができる。また、揚水と同時に注水を行うことにより揚水時の負圧による地盤の圧密を抑制できる。
【0013】
ドレーン材は、ペーパードレーンまたはプラスチックドレーンとする。ペーパードレーンまたはプラスチックドレーンを用いることにより、ドレーン材を密集させた状態で任意の位置に配置できる。
【0014】
ドレーン材は、例えば、生分解性素材からなる。生分解性の素材を用いることにより、土壌の浄化後にドレーン材を抜かずに残置できる。所定の流体は、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含むことが望ましい。これらの浄化剤を含むことにより、地下水を効率的に浄化できる。
【0015】
所定の流体として、水又は浄化剤を含む流体を用いる場合、工程(d)では、揚水した地下水の揚水直後の汚染物質の濃度と水処理後の汚染物質の濃度を計測することにより、浄化の管理を行なう。このような浄化の管理を行なうことで、浄化の効果を確実に判断できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、状況に応じて揚水位置と注水位置とを容易に切り替えて、効率的に汚染物質を除去できる汚染土壌の浄化方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】地下水浄化システム1の垂直断面図
図2】地下水浄化システム1の平面図
図3】地下水浄化システム1の水平断面図
図4】ドレーン材7の他の配置を示す図
図5】地下水浄化システム1aの垂直断面図
図6】汚染領域37の中間部に透水層39がある場合の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、地下水浄化システム1の垂直断面図を、図2は、地下水浄化システム1の平面図を示す。図1は、図2に示す矢印A−Aによる断面図である。
【0019】
図1に示すように、地下水浄化システム1は、地盤3の汚染土壌・地下水領域5付近に設置される。地下水浄化システム1は、シール層4、複数のドレーン材7、バルブ25、注水管23a、排水管23b、給水槽9、真空ポンプ27、水処理施設29等からなる。
【0020】
図2に示すように、ドレーン材7は、汚染土壌・地下水領域5内に、平面的に見て千鳥状に配置される。図1に示すように、ドレーン材7は、地盤3の表面に設けられたシール層4の下面に上端11が位置するように、汚染土壌・地下水領域5内に埋設される。ドレーン材7は、例えば、ペーパードレーンまたはプラスチックドレーンとする。ドレーン材7は、例えば、生分解性素材からなる。
【0021】
全てのドレーン材7の上端11には、ホース20を有するキャップ17が設けられる。キャップ17は、気密性を有するものとする。ホース20は、バルブ25に接続される。
【0022】
全てのバルブ25には、注水ホース21aおよび排水ホース21bが接続される。注水ホース21aは、注水管23aの枝管である。排水ホース21bは、排水管23bの枝管である。注水管23aは、給水槽9に接続される。排水管23bは、真空ポンプ27および水処理施設29に接続される。
【0023】
各ドレーン材7は、それぞれに接続されたバルブ25によって流体の出入りを切り替えることにより、単独で揚水用と注水用とに切り替えが可能である。ドレーン材7を注水用ドレーン材7aとして用いる場合には、バルブ25によって排水ホース21b側の流れが遮断される。ドレーン材7を排水用ドレーン材7bとして用いる場合には、バルブ25によって注水ホース21a側の流れが遮断される。
【0024】
次に、地下水浄化システム1を用いて汚染土壌・地下水領域5を浄化する方法について説明する。汚染土壌・地下水領域5を浄化するには、まず、汚染土壌・地下水領域5に複数のドレーン材7を埋設し、地下水浄化システム1を構築する。そして、複数のドレーン材7を注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとに区分けする。注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとは、例えば、図2に示すように1列ずつ交互に配置される。
【0025】
次に、真空ポンプ27を用いた揚水により汚染土壌・地下水領域5内に負圧をかけ、汚染土壌・地下水領域5内から揚水用ドレーン材7b、排水ホース21b、排水管23bを介して地下水を揚水する。同時に、給水槽9から注水管23a、注水ホース21b、注水用ドレーン材7aを介して汚染土壌・地下水領域5内に所定の流体を注水し、汚染土壌・地下水領域5内に複数の水循環の流れを形成する。水循環の流れは、例えば、注入側で所定の流体に混入したトレーサを揚水側で採取することにより、確認できる。
【0026】
地下水浄化システム1では、地下水の揚水量、汚染物質濃度、所定の流体の注水量、所定の流体の圧力、汚染土壌・地下水領域5の間隙水圧をモニタリングする。これにより、汚染土壌・地下水領域5の、揚水用ドレーン材7bからの揚水量と注水用ドレーン材7aからの注水量とを適切なバランスに保つ。モニタリングは、例えば、ドレーン材7の先端13に設けられた所定のセンサ(図示せず)を用いて行なう。
【0027】
揚水した地下水は、所定の性能を有する水処理施設29において処理する。所定の流体は、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含む。地下水浄化システム1では、揚水した地下水の揚水直後の汚染物質の濃度と水処理後の汚染物質の濃度を計測することにより、浄化の管理を行なう。
【0028】
地下水浄化システム1では、例えば揚水後の汚染物質の濃度が所定の基準を満たすものとなった後、真空ポンプ27を用いた揚水および給水槽9からの注水を一旦停止する。そして、汚染土壌・地下水領域5の状況に応じて、複数のドレーン材7を注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとに再度区分けし、区分けを変更するドレーン材7のバルブ25を切り替える。その後、再び真空ポンプ27を用いた揚水および給水槽9からの注水を行い、揚水した地下水を水処理施設29において処理する。
【0029】
汚染土壌・地下水領域5を浄化する際には、必要に応じて、ドレーン材7の区分け、真空ポンプ27を用いた揚水および給水槽9からの注水、揚水した地下水の処理を繰り返す。
【0030】
ドレーン材7を区分けする際、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bの本数は、揚水量と注水量とが適切なバランスとなるように設定する。また、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bの位置は、水循環の流れが汚染物質の処理の進み具合に応じて適切に形成されるように、すなわち、未浄化部分が処理されるような流れが形成されるように設定する。上述したように、各ドレーン材7は、それぞれに接続されたバルブ25を切り替えることにより、単独で揚水用と注水用とに切り替えられる。地下水浄化システム1では、ドレーン材7を揚水用と注水用とに局所的に切り替えることができる。
【0031】
このように、第1の実施の形態によれば、専用の打設機を用いて容易に打設できるドレーン材7を用いて揚水および注水を行なうため、井戸を設置する場合と比較して、揚水・注水作業以前の準備に要する工期の短縮および費用の削減が可能である。また、ドレーン材7は打設深度の設定が容易であるため、汚染土壌・地下水領域5の地層構造が複雑な場合にも対応しやすい。
【0032】
第1の実施の形態では、揚水により汚染土壌・地下水領域5に負圧が発生するため、所定の流体を低圧で容易に注入できる。また、バルブ25により各ドレーン材7を揚水用と注水用とに切り替えることにより、汚染土壌・地下水領域5の状況に応じて揚水位置と注水位置とを容易に切り替えることができる。汚染物質の処理の状況に応じてドレーン材7の揚水位置と注水位置とを切り替え、適切な水循環の流れを形成して浄化処理を繰り返すことにより、汚染土壌・地下水領域5の全域にわたって効率よく浄化できる。例えば、初回の浄化処理の際に揚水位置と注水位置との間に透水性の悪い部位があり未浄化部分が残っても、次回以降の処理の際に未浄化部分の処理が進むように流水方向を変えて浄化を行うことができるので、確実に浄化が可能となる。第1の実施の形態では、各ドレーン材7を揚水用と注水用とに切り替えることにより水流を逆転できるので、ドレーン材7の目詰まりを防止できる。
【0033】
第1の実施の形態では、地下水の揚水量、所定の流体の注水量、所定の流体の圧力、汚染物質濃度、汚染土壌・地下水領域5の間隙水圧をモニタリングし、揚水量と注水量とを適切なバランスに保つ。これにより、汚染領域内の地下水の循環を促進し、地下水の効率的な浄化を図ることができる。また、揚水と同時に注水を行うことにより、揚水時の負圧作用による土層の不要な圧密を抑制できる。
【0034】
第1の実施の形態では、ドレーン材7をペーパードレーンまたはプラスチックドレーンとすることにより、ドレーン材7を密集させた状態で任意の位置に配置できる。ドレーン材7を平面的に細かく配置することで、汚染土壌・地下水領域5の透水係数が小さい場合でも、地下水を効率的に浄化できる。また、ドレーン材7に生分解性の素材を用いることにより、土壌の浄化後にドレーン材7を抜かずに残置できる。
【0035】
第1の実施の形態では、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含む流体を汚染土壌・地下水領域5に注水することにより、地下水を効率的に浄化できる。また、揚水した地下水の揚水直後の汚染物質の濃度と水処理後の汚染物質の濃度を計測して浄化の管理を行なうことで、浄化の効果を確実に判断できる。
【0036】
なお、第1の実施の形態では、汚染土壌・地下水領域5の浄化を開始する際に、図2に示すように、注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとを1列ずつ交互に配置したが、浄化開始時の注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとの配置はこれに限らない。地下水浄化システム1では、揚水量と注水量とが適切なバランスとなり、水循環の流れが適切に形成されるように、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bを局所的に配置したり、切り替えたりすることが可能である。
【0037】
図3は、地下水浄化システム1の水平断面図を示す。図3に示すように、地下水浄化システム1では、例えば、1本のドレーン材7を揚水用ドレーン材7bとし、残りを注水用ドレーン材7aとして、揚水用ドレーン材7bの位置を順次変えながら、真空ポンプ27を用いた揚水および給水槽9からの注水、揚水した地下水の処理を繰り返してもよい。
【0038】
第1の実施の形態では、複数のドレーン材7を千鳥状に配置したが、ドレーン材7の配置はこれに限らない。図4は、ドレーン材7の他の配置を示す図である。図4に示すように、複数のドレーン材7を格子状に配置してもよい。ドレーン材7の配置は、汚染土壌・地下水領域5の汚染の状況に合わせて決定すればよい。第1の実施の形態では、給水槽9を用いてドレーン材7への注水を行なったが、給水槽以外に給水ポンプや注水ポンプを使用してもよい。
【0039】
次に、第2の実施の形態について説明する。図5は、地下水浄化システム1aの垂直断面図を示す。図5の(a)図は、注水用ドレーン材7aを含む位置での垂直断面図、図5の(b)図は、揚水用ドレーン材7bを含む位置での垂直断面図である。
【0040】
図5に示すように、地下水浄化システム1aは、第1の実施の形態の地下水浄化システム1と同様に、地盤3の汚染土壌・地下水領域5付近に設置される。地下水浄化システム1aは、シール層4、複数のドレーン材7、排水管19、湛水槽15、真空ポンプ27、水処理施設29等からなる。地下水浄化システム1aでは、例えば、汚染土壌・地下水領域5内に複数のドレーン材7が平面的に見て千鳥状に配置される。
【0041】
図5に示すように、ドレーン材7は、地盤3の表面に設けられたシール層4下部の汚染領域上面に上端11が位置するように、汚染土壌・地下水領域5内に埋設される。ドレーン材7は、例えば、ペーパードレーンまたはプラスチックドレーンとする。ドレーン材7は、例えば、生分解性素材からなる。
【0042】
図5の(a)図に示すように、注水用ドレーン材7aの上端11には、注水ホース22aおよびバルブ24を介して、湛水槽15が設置される。バルブ24は、湛水槽15から注水ホース22aへの注水の開始と停止とを切り替える。図5の(b)図に示すように、揚水用ドレーン材7bの上端11には、排水ホース22bを有するキャップ17が設けられる。キャップ17は、気密性を有するものとする。排水ホース22bは、排水管19に接続される。排水管19は、真空ポンプ27および水処理施設29に接続される。
【0043】
各ドレーン材7は、湛水槽15やキャップ17を撤去し、移設することにより、単独で揚水用と注水用とに切り替えが可能である。
【0044】
次に、地下水浄化システム1aを用いて汚染土壌・地下水領域5を浄化する方法について説明する。汚染土壌・地下水領域5を浄化するには、まず、汚染土壌・地下水領域5に複数のドレーン材7を埋設し、地下水浄化システム1aを構築する。そして、複数のドレーン材7を注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとに区分けする。注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとは、例えば、1列ずつ交互に配置される。
【0045】
次に、真空ポンプ27を用いた揚水により汚染土壌・地下水領域5内に負圧をかけ、汚染土壌・地下水領域5内から揚水用ドレーン材7b、排水ホース22b、排水管19を介して地下水を揚水する。同時に、湛水槽15からバルブ24、注水ホース22a、注水用ドレーン材7aを介して汚染土壌・地下水領域5内に所定の流体を注水し、汚染土壌・地下水領域5内に複数の水循環の流れを形成する。水循環の流れは、例えば、注入側で所定の流体に混入したトレーサを揚水側で採取することにより、確認できる。
【0046】
地下水浄化システム1aでは、地下水の揚水量、所定の流体の注水量、所定の流体の圧力、汚染物質の濃度、汚染土壌・地下水領域5の間隙水圧をモニタリングする。これにより、揚水用ドレーン材7bからの揚水量と注水用ドレーン材7aからの注水量とを適切なバランスに保つ。モニタリングは、例えば、ドレーン材7の先端13に設けられた所定のセンサ(図示せず)を用いて行なう。
【0047】
揚水した地下水は、所定の性能を有する水処理施設29において処理する。所定の流体は、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含む。地下水浄化システム1aでは、揚水した地下水の揚水直後の汚染物質の濃度と水処理後の汚染物質の濃度を計測することにより、浄化の管理を行なう。
【0048】
地下水浄化システム1aでは、例えば水処理後の水質や汚染物質の濃度が所定の基準を満たすものとなった後、真空ポンプ27を用いた揚水および湛水槽15からの注水を一旦停止する。そして、ドレーン材7から湛水槽15やキャップ17等を撤去し、汚染土壌・地下水領域5の状況に応じてドレーン材7を注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとに再度区分けした後、湛水槽15やキャップ17等を適宜移設する。その後、再び真空ポンプ27を用いた揚水および湛水槽15からの注水を行い、揚水した地下水を水処理施設29において処理する。
【0049】
汚染土壌・地下水領域5を浄化する際には、必要に応じて、ドレーン材7の区分け、真空ポンプ27を用いた揚水および湛水槽15からの注水、揚水した地下水の処理を繰り返す。
【0050】
ドレーン材7を区分けする際、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bの本数は、揚水量と注水量とが適切なバランスとなるように設定する。また、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bの位置は、水循環の流れが汚染物質の処理の進み具合に応じて適切に形成されるように、すなわち、未浄化部分が処理されるような流れが形成されるように設定する。上述したように、各ドレーン材7は、湛水槽15やキャップ17等を撤去して移設することにより、単独で揚水用と注水用とに切り替えられる。地下水浄化システム1aでは、ドレーン材7を揚水用と注水用とに局所的に切り替えることができる。
【0051】
このように、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、専用の打設機を用いて容易に打設できるドレーン材7を用いて揚水および注水を行なうため、井戸を設置する場合と比較して、揚水・注水作業以前の準備に要する工期の短縮および費用の削減が可能である。また、ドレーン材7は打設深度の設定が容易であるため、汚染土壌・地下水領域5の地層構造が複雑な場合にも対応しやすい。
【0052】
第2の実施の形態においても、揚水により汚染土壌・地下水領域5に負圧が発生するため、所定の流体を低圧で容易に注入できる。また、給水槽9やキャップ17を撤去して移設し、各ドレーン材7を揚水用と注水用とに切り替えることにより、汚染土壌・地下水領域5の状況に応じて揚水位置と注水位置とを容易に切り替えることができる。汚染物質の処理の状況に応じてドレーン材7の揚水位置と注水位置とを切り替え、適切な水循環の流れを形成して浄化処理を繰り返すことにより、汚染土壌・地下水領域5の全域にわたって効率よく浄化できる。例えば、初回の浄化処理の際に揚水位置と注水位置との間に透水性の悪い部位があり未浄化部分が残っても、次回以降の処理の際に未浄化部分の処理が進むように流水方向を変えて浄化を行うことができるので、確実に浄化が可能となる。第2の実施の形態では、各ドレーン材7を揚水用と注水用とに切り替えることにより水流を逆転できるので、ドレーン材7の目詰まりを防止できる。
【0053】
第2の実施の形態においても、地下水の揚水量、所定の流体の注水量、所定の流体の圧力、汚染物質の濃度、汚染土壌・地下水領域5の間隙水圧をモニタリングし、揚水量と注水量とを適切なバランスに保つ。これにより、汚染領域内の地下水の循環を促進し、地下水の効率的な浄化を図ることができる。また、揚水と同時に注水を行うことにより、揚水時の負圧作用による土層の不要な圧密を抑制できる。
【0054】
第2の実施の形態においても、ドレーン材7をペーパードレーンまたはプラスチックドレーンとすることにより、ドレーン材7を密集させた状態で任意の位置に配置できる。ドレーン材7を平面的に細かく配置することで、汚染土壌・地下水領域5の透水係数が小さい場合でも、地下水を効率的に浄化できる。また、ドレーン材7に生分解性の素材を用いることにより、土壌の浄化後にドレーン材7を抜かずに残置できる。
【0055】
第2の実施の形態においても、水又は酸化剤、微生物活性剤、還元剤のうち少なくとも1つの浄化剤を含む流体を汚染土壌・地下水領域5に注水することにより、地下水を効率的に浄化できる。また、揚水した地下水の揚水直後の汚染物質の濃度と水処理後の汚染物質の濃度を計測して浄化の管理を行なうことで、浄化の効果を確実に判断できる。
【0056】
なお、第2の実施の形態では、汚染土壌・地下水領域5の浄化を開始する際に、注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとを1列ずつ交互に配置したが、第1の実施の形態と同様に、浄化開始時の注水用ドレーン材7aと揚水用ドレーン材7bとの配置はこれに限らない。地下水浄化システム1aでは、揚水量と注水量とが適切なバランスとなり、水循環の流れが適切に形成されるように、注水用ドレーン材7a、揚水用ドレーン材7bを局所的に配置したり、切り替えたりすることが可能である。
【0057】
地下水浄化システム1aでは、例えば、1本のドレーン材7を揚水用ドレーン材7bとし、残りを注水用ドレーン材7aとして、揚水用ドレーン材7bの位置を順次変えながら、真空ポンプ27を用いた揚水および湛水槽15からの揚水、注水した地下水の処理を繰り返してもよい。また、ドレーン材7の平面配置は、千鳥状に限らず、汚染土壌・地下水領域5の汚染の状況に合わせて決定すればよい。
【0058】
第1および第2の実施の形態は、汚染土壌・地下水領域5の汚染領域の上部や中間部に透水層がある場合にも適用できる。図6は、汚染領域37の中間部に透水層39がある場合の例を示す図である。図6に示すように、汚染土壌・地下水領域5内に透水層39がある場合には、ドレーン材7の外周面41に不透水加工43を施す。これにより、負圧を効率的にかけることができる。
【0059】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0060】
1………地下水浄化システム
5………汚染土壌・地下水領域
7………ドレーン材
7a………注水用ドレーン材
7b………揚水用ドレーン材
9………給水槽
11………上端
15………湛水槽
17………キャップ
19、23b………排水管
20………ホース
23a………注水管
25………バルブ
27………真空ポンプ
29………水処理施設
41………外周面
43………不透水加工
図1
図2
図3
図4
図5
図6