特許第5697470号(P5697470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697470
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】白板紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/00 20060101AFI20150319BHJP
   D21H 19/38 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   D21H27/00 E
   D21H19/38
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-18735(P2011-18735)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-158844(P2012-158844A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241810
【氏名又は名称】北越紀州製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 篤
(72)【発明者】
【氏名】安藤 邦宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 克弥
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勤
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0202347(US,A1)
【文献】 特開平06−073689(JP,A)
【文献】 特開2008−231586(JP,A)
【文献】 特開2009−041131(JP,A)
【文献】 特開平06−041896(JP,A)
【文献】 特開平06−073690(JP,A)
【文献】 特開2005−298998(JP,A)
【文献】 特開2010−285696(JP,A)
【文献】 特開2005−256234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層抄構造の白板紙であって、
表層および裏層としてパルプを含有する白層、その内側に白層のパルプよりも白色度の低い古紙パルプを含有する白下層、更に内側に古紙パルプを含有する中層を含む多層の抄合わせで構成され、
上記白層が、BET比表面積6.0m/g以上、10.0m/g未満である軽質炭酸カルシウムを白層のパルプ量に対して3質量%以上、10質量%未満内添して構成されていることを特徴とする白板紙。
【請求項2】
表層および裏層として広葉樹晒硫酸塩パルプ(L−BKP)を全パルプ中70質量%以上含むパルプを含有する白層、その内側に白層のパルプよりも白色度の低い古紙パルプを含有する白下層、更に内側にさらに白下層のパルプよりも白色度の低い古紙パルプを含有する1層以上の中層を含む多層の抄合わせで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の白板紙。
【請求項3】
前記白層が、米坪20〜60g/m、白色度が70〜85%であり、
前記白下層が、米坪50〜80g/m、白色度が55〜75%であり、
前記中層が、米坪50〜110g/m、白色度が45〜60%であることを特徴とする請求項1または2に記載の白板紙。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の白板紙に顔料として湿式重質炭酸カルシウムを主体とした塗料を塗布乾燥してえられたことを特徴とする白板紙。
【請求項5】
前記塗料が、ブレード又はロッドコーターで塗布されたことを特徴とする請求項4に記載の白板紙。
【請求項6】
白層、白下層、および中層がパルプを主成分とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の白板紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白板紙、特に中層に古紙パルプを使用した白板紙に関し、見た目の白色ムラの目立たない白紙外観を有する白板紙に関する。
【背景技術】
【0002】
白板紙は、印刷されパッケージ用として使用される。したがって、白板紙への印刷適正や、白板紙が白色であること共に、白色ムラがないことも重要な課題となる。ここで、白板紙は坪量150g/m以上の厚紙であり、一般的には3層〜9層の多層構造からなる。例えば、白層、白下層、中層と呼ばれる多層が合わされることによって製造される。具体的には、最表層は白層と呼ばれる白色度の高い晒パルプを使用した層、ついで白層に接する内側の白下層と呼ばれる比較的白色度の高い古紙を使用した層、更に内側には中層と呼ばれる古紙パルプを使用した層で構成されている。この構成により、古紙利用を図りつつも、白色の白板紙を得ることができる。しかしながら、白層又は白下層によっても中層古紙の暗灰色の隠蔽が十分でなく、見た目の白色ムラを生じるという問題があった。
【0003】
そこで、白層、白下層の米坪範囲、及び白層白色度と白下層白色度の差を規定することにより白板紙の白色ムラを少なくする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、パルプに比べて安価でより白色度の高い填料を白層に添加しづらくなるという、問題がある。又、白層に灰分として白色顔料を白層のパルプ量に対して10重量%以上抄き込む方法(例えば、特許文献2)も記載されている。しかし白層への多量な顔料添加は紙力の低下が顕著となり、印刷時に紙表面の粉落ち(ピッキング)や断裁面から紙粉が脱落する恐れがあるため、顔料の添加量は少量に限られてしまう。顔料として隠蔽効果の低いタルクを使用する場合には白板紙の白色ムラを改善する効果は限られたものとなってしまうという、問題がある。
【0004】
印刷適性の付与、白紙表面の白色性・見た目の白色ムラを改善する目的で白板紙に顔料塗工層を設けた塗工白板紙が製造される。塗工液に高隠蔽性を有する酸化チタン等の無機顔料を使用する方法(例えば、特許文献3)が開示されている。しかし、高価な酸化チタンを多量に用いる必要があり、製造コストの問題がある。又、白板紙は米坪が高いためにその部分的な坪量変動も大きく、ブレード又はロッドコーター等の所謂平滑化コーターでの塗工では部分的な塗工量変動も起きやすく、酸化チタンを用いた高隠蔽性な塗料を用いても塗工白板紙の見た目の白色ムラを解消するには至らない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−298998号公報
【特許文献2】特開平6−41896号公報
【特許文献3】特開2006−328574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表面の見た目の白色ムラを減少させた白板紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。即ち、本発明は炭酸カルシウムを白層のパルプ量に対して3質量%以上、10質量%未満内添して構成された白層であることを特徴とする白板紙である。
【0008】
さらに、本発明においては、白層に内添する炭酸カルシウムがBET比表面積6.0m/g以上、10.0m/g未満であることが好ましい。さらに、本発明は、前記発明の白板紙の上に顔料として湿式重質炭酸カルシウムを主体とした塗料を塗布乾燥して得られる白板紙である。
【発明の効果】
【0009】
本発明であれば、印刷時に紙表面から紙粉が脱落する恐れが少なく、見た目の白色ムラのない白板紙が得られる。これにより、例えば白板紙の美粧性を向上させたり、顔料を主体とする塗被層を設けた白板紙を製造しても見た目の白色ムラを改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0011】
本発明の白板紙は、表層又は裏層としてバージンパルプや白色度の高い漂白古紙パルプを含有する白層、その内側に白層のパルプよりも白色度の低い古紙パルプを含有する白下層、更に内側に古紙パルプを含有する中層と呼ばれる多層の抄合わせで構成される。具体的には米坪50g/m〜110g/mで白色度45%〜60%の中層、米坪50g/m〜80g/mで白色度55%〜75%の白下層、米坪20g/m〜60g/mで白色度70%〜85%の白層で構成される。白板紙は本の表紙、紙器と用途が広く、そのため米坪は150g/m〜600g/mと広範囲に及ぶ。白板紙の米坪を変更するには古紙の有効利用、製造コストの削減の観点から、主に中層の層数、米坪を変動させて対応すればよい。又、用途によっては表裏の白色度に差が無い白板紙や、表側の白色度は高いが裏側の白色度は低い白板紙等が要望され、通常、表側の白層米坪と裏側の白層米坪に差をつけたり、或いは表側と裏側への塗料塗被量を変える事で調整する。例えば、表側の白層米坪を25〜45g/m、裏側の白層米坪を20〜30g/mとすることができる。
【0012】
一方、白板紙の白色度や見た目の白色ムラは用途によって必要とされる度合いが異なる。美粧な紙器に利用される場合は白色度が高く、また、視感による白色ムラの少ない白板紙が必要とされる。白色度や見た目の白色ムラを調整するには主に白層の米坪を調整する事もできる。白層米坪を多くする事により白色度の向上、白色ムラの改善がなされるが、一方では古紙が有効に利用できずコストも削減できない。白層の役割として、米坪を維持したままで白色度が高く、白色ムラを目立たなくするために隠蔽性が高い事を望まれる。
【0013】
塗料を塗布する白板紙の場合において、最近では塗料を構成する顔料として高固形分化、ストリーク等の操業性改善やコスト改善を目指し、湿式重質炭酸カルシウムを多用する場合が多くなっている。従来のクレーを主体とした板紙塗料に比べて、湿式重質炭酸カルシウムを利用した塗料は白色度は高くなるものの隠蔽性が劣る傾向が有り、白板紙の白色ムラを改善する事がより一層望まれている。
【0014】
白色度を維持しながら紙の隠蔽性を高くするには、内添填料としてカオリン、タルク、炭酸カルシウム、チタン等を用いる事が知られている。カオリンは隠蔽性が高いものの白色度が炭酸カルシウムには及ばず、又、コストも割高である。タルクは白色度が炭酸カルシウムに及ばず隠蔽性も劣る。チタンは白色、隠蔽性に最も優れているが、抄紙ワイヤー上での歩留りが低い事と高価である難点がある。炭酸カルシウムは白色度、隠蔽性の点から割安で利用しやすい内添填料である。しかしながら、特に顔料としてクレーを主体とする塗料を塗布する従来の板紙の製造においては、板紙の白層に炭酸カルシウムを内添填料として利用する事は従来から行われていなかった。この理由として、前述したようにクレーを主顔料とした塗被層の隠蔽性が高いことから内添に炭酸カルシウムを使う必要性が低かった事、内添に炭酸カルシウムを使用すると従来からある酸性ロジンサイズではサイズ性が低下しやすい事、内添に炭酸カルシウムを使用すると歩留りが低下しやすい事などが挙げられる。特に、古紙を利用する中層の白水が黒ずんでいるためその影響を受けけやすく、白層に炭酸カルシウムを使用しても白色度の改善が得られないと考えられていた。本発明では白色度と隠蔽性に優れた性能を持つ炭酸カルシウムを白層に内添することで、白色度と白色ムラを改善するものである。
【0015】
本発明の白板紙は、白層に炭酸カルシウムの白層のパルプ量に対して3質量%以上、10質量%未満の内添を必須条件とする。炭酸カルシウムが白層のパルプ量に対して3質量%未満である場合、炭酸カルシウムによる白色度の向上、隠蔽力の改善に乏しく、見た目の白色ムラを改善する事は出来ない。一方、炭酸カルシウムが白層のパルプ量に対して10質量%以上内添される場合、白色度の向上、隠ぺい力の改善に伴い見た目の白色ムラは顕著に改善されるものの、印刷時に紙表面から紙粉が脱落する恐れがある。
【0016】
さらに本発明は、白層に内添する炭酸カルシウムがBET法による比表面積が6.0m/g以上、10.0m/g未満である軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。炭酸カルシウムには石灰石を乾式又は湿式にて粉砕処理して得られる重質炭酸カルシウムと、石灰石をキルン等で一旦焼成して生石灰とし、次いで水に消和、炭酸ガスを吹き込んで炭酸化反応により合成される軽質炭酸カルシウムとに大別できる。重質炭酸カルシウムは白色度がタルク、カオリンクレーに比較して白色度が高く、見た目の白色ムラの改善もなされる。又、ワイヤー磨耗性が高い填料ではあるが、抄造速度の比較的遅い白板紙抄紙機においては内添に利用することも可能である。軽質炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムに比べて更に白色度及び隠蔽性が高く、ワイヤー磨耗性も低く内添に好適である。しかし、軽質炭酸カルシウムのBET比表面積6.0m/g未満の場合は見た目の白色ムラを改善する効果が小さくなる傾向がある。BET比表面積10.0m/g以上の軽質炭酸カルシウムは白色ムラの改善効果が著しいが、軽質炭酸カルシウムの粒径が細かくなり、紙層強度も低下する事から印刷時に紙表面から紙粉が脱落する恐れがある。
【0017】
本発明の白層で主に用いられる原料パルプは、特に限定されない。例えば、木材繊維、靭皮繊維、靭皮繊維等からなる天然パルプを主体とする広葉樹晒硫酸塩パルプ(L−BKP)を主成分として使用すれば良い。これ以外の木材パルプの具体例として、針葉樹晒硫酸塩パルプ(N−BKP)、針葉樹晒亜硫酸塩パルプ(N−BSP)、広葉樹晒亜硫酸塩パルプ(L−BSP)等がある。他に機械パルプ(GP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)も用途に応じて任意の割合で配合することができる。本発明においては、例えば、全パルプ中、広葉樹晒硫酸塩パルプ(L−BKP)を70質量%以上、例えば、75〜98質量%含むことができる。また、パルプのフリーネス(カナダ標準濾水度、CSF)は250〜600ccに調整することが好ましい。
【0018】
白下層には白層のパルプよりも白色度の低い古紙パルプ、中層には更に白色度の低い古紙パルプが使用されるが、パルプのフリーネスは特に制限されない。また、特に填料添加についても紙層強度が低下しない範囲の添加であれば特に制限されるものではない。
【0019】
白層、白下層、中層には本発明の効果を損なわない範囲内で凝集助剤、紙力増強剤、色味付け染・顔料、サイズ剤を使用できる。また、抄紙時の操業性を向上させるために歩留り向上剤、濾水向上剤、消泡剤を適宜用いる事ができる。これらは、本発明においては、例えば、白層のパルプ量に対して0.001〜5質量%添加することができる。具体的には、凝集助剤としては、硫酸バンドが挙げられ、本発明においては、例えば、白層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。紙力増強剤としては、ポリアクリルアマイドが挙げられ、本発明においては、例えば、白層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。サイズ剤としては、中性ロジンが挙げられ、例えば、白層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。
【0020】
白層、白下層、中層がそれぞれ抄紙され、そして、抄合わせされて白板紙が製造される。この白板紙には印刷適性の付与等の目的で顔料塗工層が設けられる場合もある。顔料塗工層は顔料と接着剤からなる塗料を塗被・乾燥する事により形成される。
【0021】
顔料としては湿式重質炭酸カルシウム、クレー、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメント等の公知公用の顔料が組み合わせて適宜使用されるが、主として湿式重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。固形分64%以上でも流動性が優れストリークの発生が抑制されるように、湿式重質炭酸カルシウムを少なくとも顔料中60質量%以上用いることができ、好ましくは、65〜95質量%用いると良い。
【0022】
接着剤としてはスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が上げられ、単独、又は二種以上混合して使用される。接着剤の使用量は、例えば、顔料100質量部に対して5〜30質量部とすることができる。
【0023】
その他、必要に応じて、塗料中には分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水などのpH調整剤、消泡剤、着色染・顔料、耐水化剤、流動改質剤等を適宜使用する事もできる。
【0024】
白板紙への顔料塗工層の形成は一般に下塗り層、上塗り層の二層が形成される。通常下塗り層では乾燥質量で5g/m〜15g/m、上塗り層で5g/m〜13g/mの範囲で塗被される。また、片面塗被白板紙の場合には、塗工層を二層形成した反対面にも印刷適性付与の目的、及び製品のカール防止の目的により乾燥質量で5g/m〜15g/mの塗工層が一層設けられるのが一般的である。
【0025】
下塗り層及び上塗り層を形成する塗工装置としては限定されるものではないが、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、カーテンコーター及びゲートロールコーター、サイザーなどのロールコーターなどが適宜組み合わせて使用することができる。下塗り形成装置としてはロッドコーター、下塗り塗被層を設けた紙への上塗り形成装置としてはロッドコーター、ブレードコーターを使用することが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部および%とあるのはそれぞれ固形分質量部、固形分質量%を示す。
【0027】
白板紙の評価方法は次の方法による。
白色度の測定:JIS P−8148 2001に準拠
白色ムラ:視感により評価
○:白色ムラを感じにくい
○△:白色ムラを僅かに感じるが市場性はあり
△:白色ムラを僅かに感じ、用途によっては市場性なし
×:白色ムラがひどく、市場性なし
印刷時の紙粉脱落評価:明製作所製 RI印刷試験機を用い、東洋インキ株式会社製 SMX−25タックインキを0.4cc用いて60rpmにて印刷
目視による評価
○:紙粉が発生しない
○△:紙粉が僅かに発生するが市場性はあり
△:紙粉が僅かに発生し、用途によっては市場性なし
×:紙粉が発生し、市場性なし
それぞれの実施例、比較例の評価結果は表1に示す。
【0028】
【表1】
【実施例1】
【0029】
白層に広葉樹パルプ(L−BKP)90%と針葉樹パルプ(N−BKP)10%からなるCSF350ccに調整されたパルプと、白層のパルプ量に対して軽質炭酸カルシウムTP121−6S(奥多摩工業株式会社製 BET比表面積 7.0m/g)を4%混合したものを用い、白下層には脱墨漂白古紙を未叩解で用い、中層には脱墨した雑誌古紙パルプを用いて短網組み合わせ型抄紙機によって全米坪400g/mの白板紙を抄紙した。表側白層の米坪は35g/m、白色度は78%、白下層の米坪は70g/m、白色度は66%、中層の米坪は100g/m、白色度は55%で2層、裏側の白下層の米坪は70g/m、白色度は66%、裏側の白層の米坪は25g/m、白色度は78%であった。白層には紙力増強剤としてポリアクリルアマイド(荒川化学工業株式会社製 ポリストロン619)を白層のパルプ量に対して0.2%、凝集助剤として硫酸バンドを白層のパルプ量に対して0.2%、サイズ剤として中性ロジン(星光PMC株式会社製 CC−1401)を白層のパルプ量に対して0.3%、歩留り向上剤(栗田工業株式会社製 HH220)を白層のパルプ量に対して300ppm添加した。この白板紙に、下塗りの顔料としてカオリン〔ケイミン社製 ハイドラスパース〕全顔料中20部、全顔料中湿式重質炭酸カルシウム〔株式会社イメリスミネラメズジャパン製 カービタル60〕80部、接着剤として顔料に対して15部及び顔料に対してリン酸エステル化澱粉3部からなる塗料をロッドコーターにて固形分10g/mとなるように塗布、乾燥した。次いで上塗りの顔料としてカオリン〔カダム社製 アマゾンSB〕全顔料中30部、湿式重質炭酸カルシウム〔株式会社イメリスミネラメズジャパン製 カービタル90〕全顔料中60部、酸化チタン〔デュポン社製 RPS−Vantage〕全顔料中10部を含有し、接着剤として顔料に対して15部のSBRラテックスからなる塗料をロッドコーターにて固形分10g/mとなるように塗布、乾燥した。反対面側は、上記上塗り塗料をロッドコーターにて固形分10g/mとなるように塗布、乾燥した。
【実施例2】
【0030】
白層への軽質炭酸カルシウムの添加率を9%とした以外は実施例1と同様にして得た。
【実施例3】
【0031】
白層へ内添する軽質炭酸カルシウムを試作品A(BET比表面積 9.5m/g)とした以外は実施例1と同様にして得た。
【実施例4】
【0032】
白層へ内添する軽質炭酸カルシウム試作品B(BET比表面積 6m/g)とし、添加率を9%にした以外は実施例1と同様にして得た。
【比較例1】
【0033】
白層へタルクを白層のパルプ量に対して10%添加し、酸性ロジンサイズ剤(星光PMC株式会社 AL1212)を対パルプ0.3%添加し、硫酸バンドを対パルプ1%添加した以外は実施例1と同様にして得た。
【比較例2】
【0034】
白層へ内添する軽質炭酸カルシウムTP121−6S(BET比表面積 7m/g)を10.5%とした以外は実施例1と同様にして得た。
【比較例3】
【0035】
白層へ内添する軽質炭酸カルシウムTP121−6S(BET比表面積 7m/g)を2%とした以外は実施例1と同様にして得た。
【比較例4】
【0036】
白層へ軽質炭酸カルシウム試作品C(BET比表面積 5m/g)を9%添加した以外は実施例1と同様にして得た。
【比較例5】
【0037】
白層へ軽質炭酸カルシウム試作品D(BET比表面積 11m/g)を9%添加した以外は実施例1と同様にして得た。