(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、山留壁使用の立坑内から元押ジャッキを用いて行う推進工事では、例えば
図10に示すように、発進立坑101内の壁面に対して支圧壁102が配置されている。
【0003】
この支圧壁102に連設された状態で底面に発進架台103が載置され、更に、発進架台103上に、その基端が支圧壁102に支持された状態で元押ジャッキ104が設置されている。
【0004】
そして、元押ジャッキ104の対向壁面には坑口105が開口され、この元押ジャッキ104で掘進機106の基端が押し出されることで掘進機106先端の掘削カッター107が坑口105内を通過して地山110内を掘進させる構成とされている。
【0005】
ここで、支圧壁の施工は、
図11に示すように、推進管の口径(800〜3000mm)に合わせて型枠を組立て、生コンクリートを打設して養生をした後に、型枠を取り外してコンクリートによる支圧壁102が成型される。更に、元押しジャッキ104が当接する箇所に押角(鋼材よりなる梁)108が取り付けられた構成とされる。
【0006】
例えば、口径が3000mmの推進工事における支圧壁では、コンクリート体積が略35m
3となり、施工日数は型枠組立2日、生コンクリート打設1日、生コンクリート養生10日ほどの日数が掛かり、更に推進管工事終了による支圧壁の解体撤去に5日程度の日数が掛かることになる。
【0007】
また、コンクリートの解体には大きな騒音、振動と多量の粉じんが発生することで作業環境は苛酷となり、地域住民の方に我慢を強いることとなる。
【0008】
更に、解体されたコンクリートは、産業廃棄物として処理されるが、例えば口径が3000mmの推進工事における支圧壁では重量にして80トン程になり、産業廃棄物の運搬及び処理に多額の費用が掛かる。
【0009】
ここで、型枠によるコンクリート支圧壁の代わりとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。具体的には、特許文献1に記載された推進用ジャッキの支圧ブロックは、
図12に示すように、平面形状を台形にした枠体111内にコンクリートモルタル112が充填されている。
【0010】
更に、その上面には凸部113を、又下面には凸部113と嵌合する形状の凹部(図示せず。)が設けられる。また、枠体111と連繋した吊下げブロック取付用ボックス115がコンクリートモルタルの充填部の上面に埋設されると共に、枠体111の外周の任意の場所に重畳物連結部116が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら特許文献1の支圧ブロックは、例えば推進管の口径が2400〜3000mmの場合では、幅長さが約4000mm、奥行き長さ約800mm及び厚さ約500mm、重量約4.5トンなる。
【0013】
このような支圧ブロックを複数段積み上げなければならず、その運搬と大型クレーンによる積み上げ、撤去作業には非常に手間が掛かる問題がある。
【0014】
また、推進管の口径(800〜3000mm)に合わせて数種類の大きさの支圧ブロックを用意しなければならず、更に掘進機による推進距離の長さや地山圧に応じて支圧ブロックを複数列配置する場合も生じるために在庫数を確保しなければならない問題がある。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、推進管の口径に合わせてH型鋼材の積み上げによる支圧壁の設置を実現可能とした推進工法の支圧壁及び支圧壁の施工方法並びにH型鋼材を積み上げるための積層用ピースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明に係る推進工法の支圧壁は、第1のH型鋼材と、前記第1のH型鋼材のフランジ端に沿って、そのフランジ端同士が突き合わせ状に積み重ねられた第2のH型鋼材と、前記積み重ねられた第1のH型鋼材のフランジ間に形成される第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成される第2の領域に及んだ状態で位置すると共に、フランジ間の長さと略同じ長さを有した積層用ピースを備える。
【0017】
ここで、第1のH型鋼材のフランジ間に形成される第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成される第2の領域に及んだ状態で位置すると共に、フランジ間の長さと略同じ長さを有した積層用ピースを備えることによって、それぞれのH型鋼材を積層用ピースで係合することができ、任意高さまで一体的に積み上げることが可能となる。
【0018】
また、積層用ピースが第1のH型鋼材のフランジ間に形成される第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成される第2の領域に及んだ状態で位置することで、H型鋼材に加わる元押ジャッキによる荷重に対して対抗することが可能となる。
【0019】
更に、積層用ピースと第1のH型鋼材及び第2のH型鋼材のフランジとの間にクリアランスが形成された場合には、H型鋼材に加わる元押ジャッキの荷重によりH型鋼材が弾性変形して積層用ピースと密着するが、支圧壁を解体する際にはH型鋼材が復元し容易に取り外すことが可能となる。
【0020】
また、積層用ピースと第1のH型鋼材のフランジとを係留するための係止手段を備える場合には、積層用ピースをH型鋼材の任意の位置に確実に配置することが可能となる。
【0021】
また、係止手段が、積層用ピースにピン貫通孔が形成された突起部と、少なくとも第1のH型鋼材のフランジに穿孔されるピン挿入用穴と、ピン貫通孔とピン挿入用穴に連通状に挿通可能な係止用ピンを有する場合には、積層用ピースとフランジとの係止が係止用ピンの着脱により容易に行うことができる。
【0022】
また、H型鋼材が複数列併設され場合には、推進管の口径と推進距離、あるいは地山圧に合わせた支圧壁を構築することができる。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る支圧壁の施工方法は、発進立孔の山留壁に対して、第1のH型鋼材を、そのフランジ面が接するように配置する工程と、前記第1のH型鋼材のフランジ端に沿って、第2のH型鋼材のフランジ端が突き合わせ状に積み重ねる工程と、前記第1のH型鋼材及び第2のH型鋼材のフランジ間の長さと略同じ長さを有した積層用ピースを、積み重ねられた第1のH型鋼材のフランジ間に形成された第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成された第2の領域に及んだ状態で嵌め入れる工程とを備える。
【0024】
ここで、第1のH型鋼材及び第2のH型鋼材のフランジ間の長さと略同じ長さを有した積層用ピースを、積み重ねられた第1のH型鋼材のフランジ間に形成された第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成された第2の領域に及んだ状態で嵌め入れることによって、積み重ねられるH型鋼材が積層用ピースで互いに係合することで任意高さまで一体的に積み上げることが可能となる。
【0025】
また、山留壁の種類、あるいは山留壁の施工精度によってはH型鋼材のフランジ面と山留壁の接面には空隙が生じる。
ここで、山留壁とフランジ面との空隙内に、その空隙の大きさに応じてセメントミルク、モルタル、あるいはコンクリートによる間詰材を充填することで支圧壁と山留壁とを一体とすることが可能となる。
【0026】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る積層用ピースは、そのフランジ端同士が突き合わせ状に積み重ねられた第1のH型鋼材と第2のH型鋼材のフランジ間に形成された第1の領域と第2の領域空間内に及んだ状態で位置すると共に、フランジ間の長さと略同じ長さを有する構成とされる。
【0027】
ここで、積層用ピースが第1のH型鋼材のフランジ間に形成される第1の領域と、第2のH型鋼材のフランジ間に形成される第2の領域に及んだ状態で位置するような構成とすることで、積み重ねられるH型鋼材が積層用ピースで互いに係合することができ、任意高さまで一体的に積み上げることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の推進工法の支圧壁によれば、推進管の口径に合わせてH型鋼材を積層用ピースによって積み上げることで支圧壁の設置が可能となる。
【0029】
また、本発明の支圧壁の施工方法によれば、H型鋼材を積層用ピースによって積み上げることで小型クレーンにて容易に支圧壁の施工が可能となると共に、推進工事完了後の解体を小型クレーン容易に行うことができる。
【0030】
また、本発明の積層用ピースによれば、積み上げるH型鋼材のフランジ間に積層用ピースを嵌め入れることで確実に耐久性に優れた軽量の支圧壁の設置が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0033】
図1(
図1(イ)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の一例を説明するための正面模式図を示し、
図1(ロ)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の一例を説明するための側面模式図を示す。)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の一例を説明するための模式図である。
【0034】
ここで示す支圧壁1は、発進立坑2内の坑口(図示せず。)に対向した山留壁3面に接した状態で発進立坑2内の底面4上に配置されている。
【0035】
更に、支圧壁1の両側上下方向に沿って鋼材より形成される剛性体の押角5が取り付けられ、この押角5に複数本(本実施例では4本)の元押ジャッキ6が配置された構成とされている。
【0036】
この、支圧壁1は底面4上に推進管の口径(800〜3000mm)に合わせて所定長さとされたH型鋼材7と、積み重ねられるH型鋼材7との連結部材としての積層用ピース8とで構成されている。
【0037】
ここで、本実施例では、例えば山留を構築する場合の柱や梁として市販、あるいはレンタルされている
図2に示す様なH型鋼材を用いている。
【0038】
本実施例のH型鋼材7は、一定幅を有するフランジ9、9との間にウエブ10が接続されている。更に、H型鋼材7のフランジ9、9には、その長手方向に沿って両側位置にボルト挿通用穴11が一定間隔ごとに穿孔されている。
【0039】
また、H型鋼材7の両側端には接続板12が設けられ、この接続板12にボルト、ナット(図示せず。)等により連結可能とされる連結穴13が穿孔されている。
この接続板12により長さ調整用として補助H型鋼材Bを連結することができ、推進管の口径(800〜3000mm)に応じてH型鋼材7の長さを調整することが可能となる。
【0040】
また、H型鋼材7を2列、あるいは3列に配置する場合には、それぞれのH型鋼材7のフランジ9、9のボルト挿通用穴11を合わせた状態でボルト・ナット(図示せず。)を挿通して締結する。
【0041】
ここで、山留壁3に接するように立設される支圧壁1は、山留壁の種類及び山留壁の施工精度によっては支圧壁1を構成するH型鋼材7のフランジ9面との間に空隙が生じることになる。
【0042】
従って、山留壁3と支圧壁1とを一体とするために、空隙が小さい場合にはセメントミルクやモルタル、あるいは空隙が大きい場合にはコンクリートによる間詰材23を充填する。
【0043】
なお、間詰材23を空隙に充填する場合には、H型鋼材のフランジ面にビニール(図示せず。)を覆着してH型鋼材7内に間詰材23が流入しないようにする。
【0044】
また、積層用ピース8は、
図3に示すように、鋼材で形成されると共に、H型鋼材7のフランジ9、9及びウエブ10との間の空間内に嵌め入れ可能な立方体形状とされている。更に、内部は中空状とされると共に、H型鋼材7の長手方向に沿ったコーナーがテーパー状に形成されている。
【0045】
更に、積層用ピース8のH型鋼材の長手方向に沿った長さは、押角幅と略同じ長さとされている。また、積層用ピース8の両側端面には、H型鋼材7のボルト挿通用穴11の高さ位置に突起部14が全部で4個突設され、この突起部14には、ピン貫通孔15が開口されている。
【0046】
また、積層用ピース8は、その横幅長さが、フランジ9、9間長さより若干小さく構成されることで、H型鋼材7のフランジ9、9の壁面との間にクリアランスが形成される。
【0047】
次に、
図4(
図4(イ)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの嵌め入れ状態の一例を説明するための側面模式図を示し、
図4(ロ)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の組立て構造の一例を説明するための側面模式図を示す。)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の組立て構造の一例を説明するための模式図である。
【0048】
ここで、
図4(イ)に示すように、底面(図示せず。)上にフランジ9、9が鉛直方向となるように第1のH型鋼材7Aが載置される。この第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9とウエブ10との間に形成される第1の領域16内の押角(図示せず。)が取り付けられる位置に積層用ピース8が嵌め入れられる。
【0049】
そして、この積層用ピース8の突起部14のピン貫通孔15とフランジ9、9のボルト挿通用穴11とを合わせた状態で係止用ピン19が挿通される。この場合には、フランジ9、9のボルト挿通用穴11内に挿入される係止用ピン19の先端がフランジ9、9の外面より突出しないような構成とされている。
【0050】
このようにして第1のH型鋼材7Aの第1の領域16内に積層用ピース8が嵌め入れられることで、第1の領域16上に積層用ピース8の上半分が突出することとなる。
【0051】
また、第1のH型鋼材7A上には、第2のH型鋼材7Bが積み重ねられる。この第2のH型鋼材7Bは、第1のH型鋼材7Aと同様な形状とされると共に、第1のH型鋼材7Bと積み重ねられる側のフランジ9、9及びウエブ10との間に第2の領域17が形成されている。
【0052】
ここで、
図4(ロ)に示すように、第1の領域16上に突出される積層用ピース8の上半分を第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9の下端が突き合わせられるようにして載置される。この場合に、第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上に突出される積層用ピース8が第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9間の第2の領域17内に嵌め入れられた構成とされている。
【0053】
このようにして第1のH型鋼材7Aの第1の領域16と第2のH型鋼材7Bの第2の領域17に及んだ状態で積層用ピース8が嵌め入れられることで第1のH型鋼材7A上に第2のH型鋼材7Bを積み重ねることが可能となる。
【0054】
次に、
図5は本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための立体模式図である。
【0055】
ここで示す積層用ピース8Aは、その横幅長さが、フランジ9、9間長さより若干小さく構成されると共に、H型鋼材の長手方向に沿った長さは押角幅と略同じ長さとされた長方体形状とされている。
【0056】
更に、H型鋼材の長手方向に直交状とされる積層用ピース8Aの各辺にはガイド部材18が延設されている。このガイド部材18の両側端はテーパー状に形成されることでH型鋼材のフランジ間にスムーズに嵌め入れることができる。
【0057】
ここで、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例では、
図6に示すように、第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9とウエブ10との間に形成される第1の領域16内に積層用ピース8Aのガイド部材18が第1のH型鋼材7Aの長手方向に対して直交状となるように嵌め入れられる(
図6(イ)及び
図6(ロ)参照。)。
【0058】
そして、第1の領域16上に突出される積層用ピース8の上半分を第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9の下端が突き合わせられるようにして載置される(
図6(イ)及び
図6(ロ)参照。)。
【0059】
また、
図7(
図7(イ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための立体模式図を示し、
図7(ロ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例の使用状態を説明するための模式を示す。)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための模式図である。
【0060】
ここで示す積層用ピース8Bは、
図7(イ)に示すように、その横幅長さが、フランジ9、9間長さより若干小さく構成されると共に、H型鋼材の長手方向に沿った長さは押角幅と略同じ長さとされた長方体形状とされている。
【0061】
更に、H型鋼材の長手方向に直交状とされる積層用ピース8Bの上辺にはガイド部材18が延設されている。このガイド部材18の両側端はテーパー状に形成されることでH型鋼材のフランジ間にスムーズに嵌め入れることができる。
【0062】
また、H型鋼材の長手方向に直交状とされる積層用ピース8Bの下部端面には、突起部14が全部で4個突設され、この突起部14には、ピン貫通孔15が開口されている。
【0063】
ここで、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例では、
図7(ロ)に示すように、第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9とウエブ10との間に形成される第1の領域16内に積層用ピース8Bが嵌め入れられる。
【0064】
そして、この積層用ピース8Bの突起部14のピン貫通孔15とフランジ9、9のボルト挿通用穴11とを合わせた状態で係止用ピン19が挿通される。
【0065】
更に、第1の領域16上に突出される積層用ピース8Bの上半分を第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9の下端が突き合わせられるようにして載置される。この第2のH型鋼材7B内に積層用ピース8Bの上半分を嵌め入れる際に、ガイド部材18の両側端はテーパー状に形成されることでスムーズに嵌め入れることができる。
【0066】
また、
図8(
図8(イ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための立体模式図を示し、
図8(ロ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例の使用状態を説明するための模式を示す。)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための模式図である。
【0067】
ここで示す積層用ピース8Cは、
図8(イ)に示すように、その横幅長さが、フランジ9、9間長さより若干小さく構成されると共に、H型鋼材の長手方向に沿った長さは押角幅と略同じ長さとされた長方体形状とされている。
【0068】
更に、H型鋼材の長手方向に直交状とされる積層用ピース8Cの上辺にはガイド部材18が延設されている。このガイド部材18の両側端はテーパー状に形成されることでH型鋼材のフランジ間にスムーズに嵌め入れることができる。
【0069】
また、積層用ピース8CのH型鋼材の長手方向に沿った側面の略中央には鍔部20が突設されている。
【0070】
ここで、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例では、
図8(ロ)に示すように、第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9とウエブ10との間に形成される第1の領域16内に積層用ピース8Cが嵌め入れられる。この場合に積層用ピース8Cの側面の鍔部20が第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って載置される。
【0071】
そして、第1の領域16上に突出される積層用ピース8Cの上半分を第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って鍔部20を第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9の下端で挟んだ状態で載置される。
【0072】
これにより、積層用ピース8Cは鍔部20が第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9及び第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9によって挟持されることで、積層用ピース8Cは第1のH型鋼材7Aの第1の領域16と第2のH型鋼材7Bの第2の領域17に及んだ状態で固定される。
【0073】
また、
図9(
図9(イ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための立体模式図を示し、
図9(ロ)は、本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例の使用状態を説明するための模式を示す。)は本発明を適用した推進工法の支圧壁の積層用ピースの他の例を説明するための模式図である。
【0074】
ここで示す積層用ピース8Dは、
図9(イ)に示すように、その横幅長さが、フランジ9、9間長さより若干小さく構成されると共に、各コーナーがテーパー状に形成される少なくも2枚の介装板部22、22より構成される。
【0075】
この介装板部22、22のH型鋼材の長手方向に直交状とされる両側面の下部両側端に突起部14が全部で4個突設され、この突起部14には、ピン貫通孔15が開口されている。
【0076】
ここで、
図9(ロ)に示すように、第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9とウエブ10との間に形成される第1の領域16内に第1のH型鋼材7Aの長手方向に直交状となるように介装板部22、22が嵌め入れられる。
【0077】
また、介装板部22、22間の距離は押角幅と略同じ長さとされ、更に、介装板部22、22の突起部14のピン貫通孔15とフランジ9、9のボルト挿通用穴11とを合わせた状態で係止用ピン19が挿通される。
【0078】
そして、第1のH型鋼材7Aの第1の領域16上に突出される介装板部22、22の上半分を第1のH型鋼材7Aのフランジ9、9上端に沿って第2のH型鋼材7Bのフランジ9、9の下端が突き合わせられるようにして載置される。この第2のH型鋼材7B内に積層用ピース8Dの上半分を嵌め入れる際に、ガイド部材18の両側端はテーパー状に形成されることでスムーズに嵌め入れることができる。
【0079】
これにより、介装板部22、22より構成される積層用ピース8Dは、第1のH型鋼材7Aの第1の領域16と第2のH型鋼材7Bの第2の領域17に及んだ状態で固定される。
【0080】
なお、本実施例では積層用ピースと第1のH型鋼材及び第2のH型鋼材のフランジとの間にクリアランスが形成される場合について詳述するものであるが、必ずしもクリアランスを設ける必要性はない。
【0081】
例えば、クリアランスを設けない場合でも第1のH型鋼材及び第2のH型鋼材のフランジとの間に積層用ピースを嵌め入れることは可能ではあるが、解体撤去時に積層用ピースが抜け難くなるという点においてクリアランスを設けた構成とすることが好ましい。
【0082】
また、本実施例では積層用ピースと第1のH型鋼材のフランジとを係留するための係止手段を設ける場合について詳述するものであるが、必ずしも係止手段を設ける必要性はない。
【0083】
例えば、前記
図5において詳述するように第1のH型鋼材のフランジとの間にウエブ上に載置する構成であっても構わないが、押角位置での配置を確実にするという点において係止手段を設ける機構を採用した方が好ましい。
【0084】
また、本実施例では係止手段は、係止用ピンにより積層用ピースと第1のH型鋼材のフランジとを係止させる機構について詳述するものであるが、必ずしも係止用ピンによる係止機構を設ける必要性はない。
【0085】
例えば、前記
図7において詳述するような係止手段などH型鋼材の積み重ね、あるいは解体時において容易に着脱できる係止機構を採用した方が好ましい。
【0086】
また、本実施例ではH型鋼材が2列併設された場合について詳述するものであるが、必ずしも2列併設する必要性はない。
【0087】
例えば、推進管の口径、推進距離、あるいは推進工事での地質に応じてH型鋼材を一列、または3列に併設することが好ましい。
【0088】
以上の構成よりなる本発明では、現地で調達可能なH型鋼材を支圧壁として用いることで小型クレーンによる組立、あるいは解体がスムーズに行うことが可能となり作業性が非常に向上する。
【0089】
また、H型鋼材の押角位置に積層用ピースを配置することで、元押ジャッキによるH型鋼材のウエブ方向への圧力に対抗することが可能となる。