(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不平衡給電材と、前記不平衡給電材の外周面の外側に配置された導体管とを備え、前記不平衡給電材が、所定長さの給電部と、前記給電部につながる所定長さの無給電部とを有するアンテナにおいて、
前記不平衡給電材が、第1導体と、前記第1導体の外周面を包被する第1絶縁体と、前記第1絶縁体の外周面を包被する第2導体と、前記第2導体の外周面を包被する第2絶縁体とのうちの少なくとも第1および第2導体と第1絶縁体とから作られ、前記不平衡給電材の給電部が、前記第1導体と前記第1絶縁体とから形成され、前記不平衡給電材の無給電部が、前記第1および第2導体と前記第1および第2絶縁体とのうちの少なくとも第1および第2導体と第1絶縁体とから形成され、
前記導体管が、前記不平衡給電材の給電部の外側に位置してその給電部を覆う共振用導体管と、前記不平衡給電材の無給電部の外側に位置してその無給電部を覆うグランド用導体管とから形成され、それら導体管と前記不平衡給電材とが、固定手段を介して電気的に固定され、前記不平衡給電材の給電部が、前記共振用導体管からその長さ方向外方へ所定寸法露出する露出部分を有し、前記不平衡給電材の給電部の露出部分では、前記第1導体が前記第1絶縁体からその長さ方向外方へ所定長さ露出していることを特徴とするアンテナ。
前記グランド用導体管の内周面から前記不平衡給電材の無給電部の外周面までの離間距離が、前記共振用導体管の内周面から前記不平衡給電材の給電部の中心までの離間距離よりも大きい請求項3に記載のアンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のアンテナは、第2導体管をその長さ方向へ移動させることで、共振周波数を変えることができるが、その使用周波数帯域(被周波数帯域)がアンテナとして使用可能な周波数帯域のうちの10%程度をカバーしているに過ぎず、使用周波数帯域を広げることが難しく、広帯域(ワイドバンド)における使用ができない。また、このアンテナは、その使用周波数帯域を高い方へ移動させることや使用周波数帯域を低い方へ移動させることができない。
【0005】
本発明の目的は、広い帯域において使用することができ、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができるアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、不平衡給電材と不平衡給電材の外周面の外側に配置された導体管とを備え、不平衡給電材が、所定長さの給電部と給電部につながる所定長さの無給電部とを有するアンテナである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、
不平衡給電材が、第1導体と、第1導体の外周面を包被する第1絶縁体と、第1絶縁体の外周面を包被する第2導体と、第2導体の外周面を包被する第2絶縁体とのうちの少なくとも第1および第2導体と第1絶縁体とから作られ、不平衡給電材の給電部が、第1導体と第1絶縁体とから形成され、不平衡給電材の無給電部が、第1および第2導体と第1および第2絶縁体とのうちの少なくとも第1および第2導体と第1絶縁体とから形成され、導体管が、不平衡給電材の給電部の外側に位置してその給電部を覆う共振用導体管と、不平衡給電材の無給電部の外側に位置してその無給電部を覆うグランド用導体管とから形成され、それら導体管と不平衡給電材とが固定手段を介して電気的に固定され、不平衡給電
材の給電部が共振用導体管からその長さ方向外方へ所定寸法露出する露出部分を
有し、不平衡給電材の給電部の露出部分では、第1導体が第1絶縁体からその長さ方向外方へ所定長さ露出していることにある。
【0008】
本発明の一例としては、グランド用導体管の内周面から不平衡給電材の無給電部の外周面までの離間距離が8〜12mmの範囲にある。
【0009】
本発明の他の一例としては、共振用導体管の内周面から不平衡給電材の給電部の中心までの離間距離が4〜10mmの範囲にある。
【0010】
本発明の他の一例としては、グランド用導体管の内周面から不平衡給電材の無給電部の外周面までの離間距離が共振用導体管の内周面から不平衡給電材の給電部の中心までの離間距離よりも大きい。
【0011】
本発明の他の一例として、給電部において第1絶縁体から露出する第1導体には、所定長さの第3導体が電気的に固定されている。
【0012】
本発明の他の一例として、給電部において第1絶縁体から露出する第1導体には、所定長さの第3絶縁体が固定されている。
【0013】
本発明の他の一例としては、共振用導体管とグランド用導体管と給電部の露出部分とが所定の誘電率を有するカバー部材によって包被されている。
【0014】
本発明の他の一例としては、カバー部材が熱可塑性合成樹脂から作られている。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるアンテナは、
不平衡給電材の給電部が第1導体と第1絶縁体とから形成され、不平衡給電材の無給電部が第1および第2導体と第1および第2絶縁体とのうちの少なくとも第1および第2導体と第1絶縁体とから形成されており、給電部とそれを覆う共振用導体管とが管内共振するとともに、無給電部とそれを覆うグランド用導体管とが共振して複数の共振周波数を得ることが可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を広げることができる。アンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。アンテナは、共振用導体管の給電部を覆う寸法を自由に設定することができるとともに、グランド用導体管の無給電部を覆う寸法を自由に設定することができるから、共振用導体管の給電部を覆う寸法のみを変更することができ、グランド用導体管の無給電部を覆う寸法のみを変更することができることはもちろん、それら寸法の両者を変更することができる。アンテナは、共振用導体管の給電部を覆う寸法とグランド用導体管の無給電部を覆う寸法とのうちの少なくとも一方の寸法を変更することで、その使用周波数帯域を高い方と低い方とのいずれかへ移動させることができ、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができる。
アンテナは、不平衡給電材の給電部において第1導体が第1絶縁体からその長さ方向外方へ所定長さ露出しているから、給電部と共振用導体管との共振点を高い方へ移動させることができ、それによってアンテナの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができる。アンテナは、給電部における第1導体の露出長さを変更することで、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができる。
【0016】
グランド用導体管の内周面から不平衡給電材の無給電部の外周面までの離間距離が8〜12mmの範囲にあるアンテナは、離間距離をその範囲にすることで、無給電部とそれを覆うグランド用導体管との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、無給電部とグランド用導体管とを効率よく共振させることができる。アンテナは、給電部と共振用導体管とが効率よく共振するとともに、無給電部とグランド用導体管とが効率よく共振することで、複数の共振周波数を得ることが可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を大幅に広げることができる。このアンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。
【0017】
共振用導体管の内周面から不平衡給電材の給電部の中心までの距離が4〜10mmの範囲にあるアンテナは、離間距離をその範囲にすることで、給電部とそれを覆う共振用導体管との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部と共振用導体管とを効率よく共振させることができる。アンテナは、給電部と共振用導体管とが効率よく共振するとともに、無給電部とグランド用導体管とが効率よく共振することで、複数の共振周波数を得ることが可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を大幅に広げることができる。このアンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。
【0018】
グランド用導体管の内周面から不平衡給電材の無給電部の外周面までの距離が共振用導体管の内周面から不平衡給電材の給電部の外周面までの距離よりも大きいアンテナは、給電部と共振用導体管との電波の反射効率(共振効率)や無給電部とグランド用導体管との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部と共振用導体管とを効率よく共振させることができるとともに、無給電部とグランド用導体管とを効率よく共振させることができる。アンテナは、給電部と共振用導体管とが効率よく共振するとともに、無給電部とグランド用導体管とが効率よく共振することで、複数の共振周波数を得ることが可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を大幅に広げることができる。このアンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。
【0019】
第1絶縁体から露出する第1導体に所定長さの第3導体が電気的に固定されたアンテナは、使用周波数帯域内でVSWR(電圧定在波比)を高い周波数において最適化することができるとともに、給電部と共振用導体管との共振点を高い方へ移動させることができ、それによってアンテナの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができる。アンテナは、第1導体に固定する第3導体の長さを変更することで、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができる。アンテナは、給電部とそれを覆う共振用導体管とが確実に共振するとともに、無給電部とそれを覆うグランド用導体管とが確実に共振して複数の共振周波数を得ることは可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を広げることができ、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができる。
【0020】
第1絶縁体から露出する第1導体に所定長さの第3絶縁体が固定されたアンテナは、使用周波数帯域内でVSWR(電圧定在波比)を低い周波数において最適化することができるとともに、給電部と共振用導体管との管内共振の共振波長を長くすることができ、それによって使用周波数帯域を低い方へ移動させることができる。アンテナは、第1導体に固定する第3絶縁体の長さを変更することで、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができる。アンテナは、給電部とそれを覆う共振用導体管とが確実に共振するとともに、無給電部とそれを覆うグランド用導体管とが確実に共振して複数の共振周波数を得ることは可能であり、それによってそれによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナにおける使用周波数帯域を広げることができ、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができる。
【0021】
共振用導体管とグランド用導体管と給電部の露出部分とが所定の誘電率を有するカバー部材によって包被されているアンテナは、カバー部材が有する誘電率によってアンテナにおける使用周波数帯域が低い周波数帯域へ拡大し、カバー部材を使用しない場合と比較してアンテナにおけるに使用周波数帯域をさらに広げることができる。このアンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。
【0022】
カバー部材が熱可塑性合成樹脂から作られているアンテナは、熱可塑性合成樹脂が所定の誘電率を有し、その誘電率によってアンテナにおける使用周波数帯域が低い周波数帯域へ拡大し、カバー部材を使用しない場合と比較してアンテナにおけるに使用周波数帯域をさらに広げることができる。このアンテナは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
アンテナの一例を示す
図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかるアンテナ(スリーブアンテナ)の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、
図1の2−2線矢視断面図であり、
図3は、固定手段の一例を示す図である。
図4は、固定手段の他の一例を示す図であり、
図5は、離間距離L3,L4と使用周波数帯域との相関関係を示す図である。
図2では、長さ方向を矢印Aで示し、径方向を矢印Bで示す。
図1,2では、固定手段の図示を省略している。
図2では、不平衡給電材11を切断しない状態で示す。
【0025】
アンテナ10Aは、長さ方向へ延びる不平衡給電材11(同軸ケーブルまたはセミリジットケーブル)と、共振用導体管12(スリーブ)およびグランド用導体管13(スリーブ)と、接続用導体ガイド14(接続用導体管)とから形成されている。共振用導体管12とグランド用導体管13とは、不平衡給電材11の外周面の外側に配置され、長さ方向へ延びている。
【0026】
不平衡給電材11は、第1導体15(中心金属導体)と、第1導体15の外周面を包被する第1絶縁体16と、第1絶縁体16の外周面を包被する第2導体17(外側金属導体)とから作られている。不平衡給電材11では、第1導体15の外周面と第1絶縁体16の内周面とが固着され、第1絶縁体16の外周面と第2導体17の内周面とが固着されている。不平衡給電材11は、約λ/4の長さに設定された給電部18Aと、給電部18Aにつながる所定長さの無給電部19とを有する。給電部18Aは、第1導体15と第1絶縁体16とから形成され、無給電部19は、第1導体15と第1絶縁体16と第2導体17とから形成されている。
【0027】
なお、不平衡給電材11は、第1導体15や第1絶縁体16、第2導体17に加え、第2導体17の外周面を包被する第2絶縁体(図示せず)を備えていてもよい。この場合、第2導体17の外周面と第2絶縁体の内周面とが固着され、無給電部19が第1導体15と第1絶縁体16と第2導体17と第2絶縁体とから形成される。第1および第2導体15,17には、アルミニウムや銅等の導電性金属を使用することができ、第1および第2絶縁体16には、熱可塑性合成樹脂(特にプラスチック系の誘電率を有するフッ素樹脂)を使用することができる。
【0028】
共振用導体管12は、導電性金属(アルミニウムや銅等)から作られ、円筒状に成型されている。共振用導体管12は、不平衡給電材11の給電部18Aの外周面の外側に位置し、給電部18Aの外周面を覆っている。共振用導体管12の内側には、不平衡給電材11の給電部18Aが挿通されている。給電部18Aは、共振用導体管12から導体管12の長さ方向外方(長さ方向前方)へ所定寸法露出した露出部分20と、共振用導体管12の内側に延びていて全体が導体管12に包囲された所定寸法の非露出部分21とに区分される。
【0029】
グランド用導体管13は、導電性金属(アルミニウムや銅等)から作られ、円筒状に成型されている。グランド用導体管13は、不平衡給電材11の無給電部19の外周面の外側に位置し、無給電部19の外周面を覆っている。グランド用導体管13の内側には、無給電部19が挿通されている。無給電部19は、グランド用導体管13から導体管13の長さ方向外方(長さ方向後方)へ所定寸法露出した露出部分22と、グランド用導体管13の内側に延びていて全体が導体管13に包囲された所定寸法の非露出部分23とに区分される。グランド用導体管13から露出する露出部分22の後端には、コネクタ24が取り付けられている。
【0030】
接続用導体ガイド14は、導電性金属(アルミニウムや銅等)から作られ、円筒状に成型されている。接続用導体ガイド14は、不平衡給電材11と共振用導体管12との間に介在するとともに、不平衡給電材11とグランド用導体管13との間に介在している。接続用導体ガイド14は、その内周面が不平衡給電材11の外周面(第2導体17の外周面)に固定手段を介して電気的に固定され、その外周面が共振用導体管11の内周面に固定手段を介して電気的に固定され、さらに、その外周面がグランド用導体管13の内周面に固定手段を介して電気的に固定されている。
【0031】
固定手段の一例としては、
図3に示すように、ビス25を利用することができる。共振用導体管12やグランド用導体管13、接続用導体ガイド14には、それらの径方向へ貫通するビス孔26が形成されている。ビス孔26には、ビス25の螺子山が嵌合する螺子溝(図示せず)が作られている。ビス25をビス孔26にねじ込むと、ビス25の螺子山がビス孔26の螺子溝に嵌合しつつ、ビス25がそれら導体管12,13やガイド14のビス孔26に次第に進入する。ビス25がビス孔26に進入すると、ビス25によってそれら導体管12,13とガイド14とが連結され、ビス25がガイド14を不平衡給電材11の外周面(第2導体17の外周面)に押し当て、ガイド14と不平衡給電材11とが固定され、それら導体管12,13とガイド14とが固定される。ビス25を利用してそれらを固定すると、不平衡給電材11とそれら導体管12,13とがガイド14を介して導通する。
【0032】
固定手段の他の一例としては、
図4に示すように、銀粉や銅粉等の導電性フィラーまたはカーボンファイバーを含む導電性接着剤27を利用することができる。接続用導体ガイド14の内周面と不平衡給電材11の外周面(第2導体17の外周面)とが導電性接着剤27によって固定され、ガイド14の外周面と共振用導体管12の内周面とが導電性接着剤27によって固定され、ガイド14の外周面とグランド用導体管13の内周面とが導電性接着剤27によって固定される。接着剤27を利用してそれらを固定すると、不平衡給電材11とそれら導体管12,13とがガイド14を介して導通する。
【0033】
アンテナ10Aは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1やグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2を自由に設定することができる。アンテナ10Aでは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1のみを変更することができ、グランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2のみを変更することができることはもちろん、それら寸法L1,L2の両者を変更することができる。
【0034】
共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1の変更には、共振用導体管12の長さ寸法を変更する場合、共振用導体管12のガイド14に対する固定位置を長さ方向前方または後方へ移動させる場合、または、それらの両者を併用する場合がある。グランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2の変更には、グランド用導体管13の長さ寸法を変更する場合、グランド用導体管13のガイド14に対する固定位置を長さ方向前方または後方へ移動させる場合、または、それらの両者を併用する場合がある。
【0035】
アンテナ10Aでは、グランド用導体管13の内周面と不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)との間に所定のスペース28が形成され、共振用導体管12の内周面と不平衡給電材11の給電部18Aの外周面(第1絶縁体16の外周面)との間に所定のスペース29が形成されている。グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)までの離間距離L3は、8〜12mmの範囲、最も好ましくは10mmである。このアンテナ10Aでは、共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4が離間距離L3と略同一である。
【0036】
アンテナ10Aは、離間距離L3を8〜12mmの範囲、好ましくは10mmにすることで、グランド用導体管13と無給電部19との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、グランド用導体管13と無給電部19とを効率よく共振させることができる。また、共振用導体管12と給電部18Aとの電波の反射効率(共振効率)が向上し、共振用導体管12と給電部18Aとを効率よく共振させることができる。なお、不平衡給電材11の無給電部19が第1および第2導体15,17と第1および第2絶縁体16とから形成される場合、離間距離L3は、グランド用導体管13の内周面から第2導体17の外周面までの寸法となる。
【0037】
離間距離L3が8mm未満では、グランド用導体管13と不平衡給電材11の無給電部19との共振が不十分になるとともに、共振用導体管12と不平衡給電材11の給電部18Aとの共振が不十分になり、複数の共振周波数を得ることができず、アンテナ10Aにおける周波数帯域を広げることができない。離間距離L3が12mmを超過すると、アンテナ10Aにおける周波数帯域が最も広い状態で飽和し、それ以上アンテナ10Aの周波数帯域を広げることができないのみならず、離間距離L3を大きくし過ぎると、グランド用導体管13と不平衡給電材11の無給電部19とを共振させることができない場合があるとともに、共振用導体管12と不平衡給電材11の給電部18Aとを管内共振させることができない場合がある。
【0038】
アンテナ10Aは、
図5に示すように、離間距離L3が略0.2mm(a点)から大きくなるにつれて使用周波数帯域が急勾配に広がり、離間距離L3が略10mm(b点)で使用周波数帯域が最も広い状態となり、離間距離L3がそれ以上大きくなったとしても、アンテナ10Aの使用周波数帯域は略一定となる。また、離間距離L4が略0.2mm(a点)から大きくなるにつれて使用周波数帯域が急勾配に広がり、離間距離L4が略6mm(b点)で使用周波数帯域が最も広い状態となり、離間距離L4がそれ以上大きくなったとしても、アンテナ10Aの使用周波数帯域は略一定となる。
【0039】
アンテナ10Aは、離間距離L3,L4が8〜12mmの範囲にあり、給電部18Aとそれを覆う共振用導体管12とが確実に管内共振するとともに、無給電部19とそれを覆うグランド用導体管13とが確実に共振して複数の共振周波数を得ることは可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナ10Aにおける使用周波数帯域を広げることができる。アンテナ10Aは、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。アンテナ10Aは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1とグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2とのうちの少なくとも一方の寸法L1,L2を変更することで、その使用周波数帯域を高い方と低い方とへ自由に移動させることができる。
【0040】
たとえば、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1を図示のそれよりも長くすると、給電部18Aと共振用導体管12との共振点が高い方へ移動し、それによってアンテナ10Aの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができる。逆に共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1を図示のそれよりも短くすると、給電部18Aと共振用導体管12との管内共振の波長が長くなり、アンテナ10Aの使用周波数帯域を低い方へ移動させることができる。また、グランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2を図示のそれよりも長くすると、無給電部19とグランド用導体管13との共振波長が長くなり、アンテナ10Aの使用周波数帯域を低い方へ移動させることができる。逆にグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2を図示のそれよりも短くすると、無給電部19とグランド用導体管13との共振点が高い方へ移動し、それによってアンテナ10Aの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができる。
【0041】
図6は、他の一例として示すアンテナ10Bの斜視図であり、
図7は、
図6の7−7線矢視断面図である。
図7では、長さ方向を矢印Aで示し、径方向を矢印Bで示す。
図6,7では、固定手段の図示を省略している。
図7では、不平衡給電材11を切断しない状態で示す。アンテナ10Bは、長さ方向へ延びる不平衡給電材11(同軸ケーブルまたはセミリジットケーブル)と、共振用導体管12(スリーブ)およびグランド用導体管13(スリーブ)と、接続用導体ガイド14(接続用導体管)とから形成されている。このアンテナ10Bが
図1のそれと異なるところは接続用導体ガイド14の径方向の厚み寸法に差が形成されている点にあり、その他の構成は
図1のアンテナ10Aのそれらと同一であるから、
図1のアンテナ10Aの説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことで、このアンテナ10Bのその他の構成の説明は省略する。
【0042】
アンテナ10Bでは、グランド用導体管13の内周面と不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)との間に所定のスペース28が形成され、共振用導体管12の内周面と不平衡給電材11の給電部18Aの外周面(第1絶縁体16の外周面)との間に所定のスペース29が形成されている。接続用導体ガイド14は、共振用導体管12を固定する前部30の径方向の厚み寸法L5がグランド用導体管13を固定する後部31の径方向の厚み寸法L6よりも小さい。ゆえに、アンテナ10Bでは、グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)までの離間距離L3が共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4よりも大きくなっている。
【0043】
共振用導体管12のガイド14への固定やグランド用導体管13のガイド14への固定は、ビス25を利用した
図3の固定手段または導電性接着剤27を利用した
図4の固定手段が用いられる。グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)までの離間距離L3は、8〜12mmの範囲、最も好ましくは10mmである。共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4は、4〜10mmの範囲、最も好ましくは6mmである。
【0044】
アンテナ10Bは、離間距離L3を8〜12mmの範囲、好ましくは10mmにすることで、無給電部19とグランド用導体管13との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、無給電部19とグランド用導体管13とを効率よく共振させることができる。また、離間距離L4を4〜10mmの範囲、好ましくは6mmにすることで、給電部18と共振用導体管12との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部18と共振用導体管12とを効率よく共振させることができる。なお、不平衡給電材11の無給電部19が第1および第2導体15,17と第1および第2絶縁体16とから形成される場合、離間距離L3は、グランド用導体管13の内周面から第2導体17の外周面までの寸法となる。
【0045】
離間距離L3を前記範囲にする理由は、
図1のアンテナ10Aのそれと同一である。離間距離L4が6mm未満では、共振用導体管12と不平衡給電材11の給電部18Aとの共振が不十分となり、複数の共振周波数を発生させることができず、アンテナ10Bにおける周波数帯域を広げることができない。離間距離L4が10mmを超過すると、アンテナ10Bにおける周波数帯域が最も広い状態で飽和し、それ以上アンテナ10Bにおける周波数帯域を広げることができないのみならず、離間距離L4を大きくし過ぎると、共振用導体管12と不平衡給電材11の給電部18Aとを共振させることができない場合がある。なお、離間距離L3,L4と使用周波数帯域との相関関係は、
図5を援用することで、その説明は省略する。
【0046】
アンテナ10Bは、
図1のアンテナ10Aと同様に、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1やグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2を自由に設定することができる。アンテナ10Bでは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1のみを変更することができ、グランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2のみを変更することができることはもちろん、それら寸法L1,L2の両者を変更することができる。アンテナ10Bは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1とグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2とのうちの少なくとも一方の寸法L1,L2を変更することで、その使用周波数帯域を高い方と低い方とへ自由に移動させることができる。
【0047】
アンテナ10Bは、
図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。アンテナ10Bは、グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面までの離間距離L3を共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4よりも大きくすることで、給電部18Aと共振用導体管12との電波の反射効率(共振効率)や無給電部19とグランド用導体管13との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部18Aと共振用導体管12とを効率よく共振させることができるとともに、無給電部19とグランド用導体管13とを効率よく共振させることができる。
【0048】
アンテナ10Bは、離間距離L3が8〜12mmの範囲、好ましくは10mm、離間距離L4が4〜10mmの範囲、好ましくは6mmであり、給電部18Aとそれを覆う共振用導体管12とが確実に共振するとともに、無給電部19とそれを覆うグランド用導体管13とが確実に共振して複数の共振周波数を得ることが可能であり、それによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナ10Bにおける使用周波数帯域を大幅に広げることができ、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができる。
【0049】
図8は、他の一例として示すアンテナ10Cの斜視図であり、
図9は、
図8の9−9線矢視断面図である。
図9では、長さ方向を矢印Aで示し、径方向を矢印Bで示す。
図8,9では、固定手段の図示を省略している。
図9では、不平衡給電材11を切断しない状態で示す。アンテナ10Cは、長さ方向へ延びる不平衡給電材11(同軸ケーブルまたはセミリジットケーブル)と、共振用導体管12(スリーブ)およびグランド用導体管13(スリーブ)と、接続用導体ガイド14(接続用導体管)とから形成されている。このアンテナ10Cが
図1のそれと異なるところは共振用導体管12のガイド14に固定される部分32の径方向の厚み寸法L7がグランド用導体管13のガイド14に固定される部分33の径方向の厚み寸法L8よりも小さい点にあり、その他の構成は
図1のアンテナ10Aのそれらと同一であるから、
図1のアンテナ10Aの説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことで、このアンテナ10Cのその他の構成の説明は省略する。
【0050】
アンテナ10Cでは、グランド用導体管13の内周面と不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)との間に所定のスペース28が形成され、共振用導体管12の内周面と不平衡給電材11の給電部18Aの外周面(第1絶縁体16の外周面)との間に所定のスペース29が形成されている。共振用導体管12は、ガイド14に固定される部分32の径方向の厚み寸法L7がグランド用導体管13のガイド14に固定される部分33の径方向の厚み寸法L8よりも小さい。ゆえに、アンテナ10Cでは、グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)までの離間距離L3が共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4よりも大きくなっている。
【0051】
共振用導体管12のガイド14への固定やグランド用導体管13のガイド14への固定は、ビス25を利用した
図3の固定手段または導電性接着剤27を利用した
図4の固定手段が用いられる。グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面(第2導体17の外周面)までの離間距離L3は、8〜12mmの範囲、最も好ましくは10mmである。共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心(第1導体15の中心)までの離間距離L4は、4〜10mmの範囲、最も好ましくは6mmである。
【0052】
アンテナ10Cは、離間距離L3を8〜12mmの範囲、好ましくは10mmにすることで、無給電部19とグランド用導体管13との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、無給電部19とグランド用導体管13とを効率よく共振させることができる。また、離間距離L4を4〜10mmの範囲、好ましくは6mmにすることで、給電部18Aと共振用導体管12との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部18Aと共振用導体管12とを効率よく共振させることができる。離間距離L3,L4を前記範囲にする理由は、
図1や
図6のアンテナ10A,10Bのそれらと同一である。なお、離間距離L3,L4と使用周波数帯域との相関関係は、
図5を援用することで、その説明は省略する。
【0053】
アンテナ10Cは、
図1のアンテナ10Aと同様に、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1やグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2を自由に設定することができる。アンテナ10Cでは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1のみを変更することができ、グランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2のみを変更することができることはもちろん、それら寸法L1,L2の両者を変更することができる。アンテナ10Cは、共振用導体管12の給電部18Aを覆う寸法L1とグランド用導体管13の無給電部19を覆う寸法L2とのうちの少なくとも一方の寸法L1,L2を変更することで、その使用周波数帯域を高い方と低い方とへ自由に移動させることができる。
【0054】
アンテナ10Cは、
図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。アンテナ10Cは、グランド用導体管13の内周面から不平衡給電材11の無給電部19の外周面までの離間距離L3を共振用導体管12の内周面から不平衡給電材11の給電部18Aの中心までの離間距離L4よりも大きくすることで、給電部18Aと共振用導体管12との電波の反射効率(共振効率)や無給電部19とグランド用導体管13との電波の反射効率(共振効率)が最適となり、給電部18Aと共振用導体管12とを効率よく共振させることができるとともに、無給電部19とグランド用導体管13とを効率よく共振させることができる。
【0055】
アンテナ10Cは、離間距離L3が8〜12mmの範囲、好ましくは10mm離間距離L4が4〜10mmの範囲、好ましくは6mmであり、給電部18Aとそれを覆う共振用導体管12とが確実に共振するとともに、無給電部19とそれを覆うグランド用導体管13とが確実に共振して複数の共振周波数を得ることは可能であり、それによってそれによって複数の使用周波数が隣り合い、アンテナ10Cにおける使用周波数帯域を大幅に広げることができ、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができる。
【0056】
図10は、一例として示す給電部18Bの斜視図である。
図10では、給電部18Bおよび共振用導体管12の一部のみを示し、その他の図示を省略している。給電部18Bのうちの共振用導体管12から長さ方向外方(前方)へ露出する露出部分20は、第1導体15のみから形成された前方部位34と、第1導体15と第1絶縁体16とから形成され後方部位35とを有する。ゆえに、給電部18Bでは、第1導体15が第1絶縁体16からその長さ方向外方へ所定長さ露出している。なお、この給電部18Bを有するアンテナのその他の構成は、
図1、
図6、
図8のいずれかの態様のアンテナ10A,10B,10Cのそれを使用することができる。
【0057】
図10の給電部18Bを有するアンテナ10A,10B,10Cは、給電部18Aの全体が第1導体15と第1絶縁体16とから形成された場合と比較し、給電部18Bと共振用導体管12との共振点が高い方へ移動する。なお、給電部18Bにおける第1導体15の露出長さL9を大きくすると、共振点の高位への移動を大きくすることができ、給電部18Bにおける第1導体15の露出長さL9を小さくすると、共振点の高位への移動を小さくすることができる。
【0058】
この給電部18Bを有するアンテナ10A,10B,10Cは、
図1、
図6、
図8のアンテナ10A,10B,10Cが有する効果に加え、以下の効果を有する。アンテナ10A,10B,10Cは、給電部18Bにおいて第1導体15を所定長さ露出させることで、共振点を高い方へ移動させることができ、それによってアンテナ10A,10B,10Cの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができる。アンテナ10A,10B,10Cは、給電部18Bにおける第1導体15の露出長さL9を変更することで、使用周波数帯域の高低を自由に調節することができる。
【0059】
図11は、他の一例として示す給電部18Cの斜視図である。
図11では、給電部18Cおよび共振用導体管12の一部のみを示し、その他の図示を省略している。給電部18Cのうちの共振用導体管12から長さ方向外方(前方)へ露出する露出部分20は、第1導体15のみから形成された前方部位34と、第1導体15と第1絶縁体16とから形成され後方部位35とを有する。ゆえに、給電部18Cでは、第1導体15が第1絶縁体16からその長さ方向外方へ所定長さ露出している。前方部位34(第1絶縁体16から露出する第1導体15)には、所定長さの第3金属導体管36(第3導体)が電気的に固定されている。第3金属導体管36は、アルミニウムや銅等から作られている。なお、この給電部18Cを有するアンテナのその他の構成は、
図1、
図6、
図8のいずれかの態様のアンテナ10A,10B,10Cのそれを使用することができる。
【0060】
図11の給電部18Cを有するアンテナ10A,10B,10Cは、露出部分20が第1導体15と第1絶縁体16とから形成された場合や露出部分20が第1導体15のみから形成された場合と比較し、給電部18Cと共振用導体管12との管内共振点が高い方へ移動する。なお、前方部位34(第1導体15)に固定する第3金属導体管36の長さL10を大きくすると、使用帯域内において高い周波数部分のVSWRを最適化することができる。
【0061】
この給電部18Cを有するアンテナ10A,10B,10Cは、
図1、
図6、
図8のアンテナ10A,10B,10Cが有する効果に加え、以下の効果を有する。アンテナ10A,10B,10Cは、給電部18Cにおいて第1導体15を露出させるとともに、第1導体15が露出した前方部位34に第3金属導体管36(第3導体)を固定することで、給電部18Cと共振用導体管12との共振点を高い方へ移動させることができ、それによってアンテナ10A,10B,10Cの使用周波数帯域を高い方へ移動させることができるとともに、使用帯域内において高い周波数部分のVSWRを最適化することができる。アンテナ10A,10B,10Cは、前方部位34(第1導体15)に固定する第3金属導体管36の長さL10を変更することで、使用周波数帯域のVSWRを自由に調節することができる。
【0062】
図12は、他の一例として示す給電部18Dの斜視図である。
図12では、給電部18Dおよび共振用導体管12の一部のみを示し、その他の図示を省略している。給電部18Dのうちの共振用導体管12から長さ方向外方(前方)へ露出する露出部分20は、第1導体15のみから形成された前方部位34と、第1導体15と第1絶縁体16とから形成され後方部位35とを有する。ゆえに、給電部18Dでは、第1導体15が第1絶縁体16からその長さ方向外方へ所定長さ露出している。前方部位34(第1絶縁体16から露出する第1導体15)には、所定長さの第3絶縁体37が固定されている。第3絶縁体37には、熱可塑性合成樹脂(特にプラスチック系の誘電率を有するフッ素樹脂)を使用することができる。なお、この給電部を有するアンテナのその他の構成は、
図1、
図6、
図8のいずれかの態様のアンテナ10A,10B,10Cのそれを使用することができる。
【0063】
図12の給電部18Dを有するアンテナ10A,10B,10Cは、露出部分20が第1導体15のみから形成された場合と比較し、給電部18Dと共振用導体管12との管内共振波長が長くなる。なお、前方部位34(第1導体15)に固定する第3絶縁体37の長さL11を大きくすると、共振波長の長さをより長くすることができ、前方部位34(第1導体15)に固定する第3絶縁体37の長さL11を小さくすると、共振波長の長さを短くすることができる。
【0064】
この給電部18Dを有するアンテナ10A,10B,10Cは、
図1、
図6、
図8のアンテナ10A,10B,10Cが有する効果に加え、以下の効果を有する。アンテナ10A,10B,10Cは、給電部18Dにおいて第1導体15を露出させるとともに、第1導体15が露出した前方部位34に第3絶縁体37を固定することで、給電部18Dと共振用導体管12との管内共振波長を長くすることができ、それによって使用周波数帯域内において低い周波数部分のVSWRを最適化することができる。アンテナ10A,10B,10Cは、前方部位34(第1導体15)に固定する第3絶縁体37の長さL11を変更することで、使用周波数帯域のVSWRを自由に調節することができる。
【0065】
図13は、VSWR(電圧定在波比)と使用帯域との相関関係を示す図であり、
図14,15は、アンテナ10A,10B,10Cの3平面(XY面、YZ面、ZX面)の周り方向において計測した電波強度を示す図である。
図14は、XY面アンテナ特性の周り方向(0°〜360°)の電波強度の計測結果を示し、
図15は、YZ面またはZX面アンテナ特性の周り方向(0°〜360°)の電波強度の計測結果を示す。
【0066】
それら図示のアンテナ10A,10B,10Cは、
図13に示すように、使用周波数が約2.0GHz〜約6.0GHzにおいてVSWR(電圧定在波比)が3以下であり、高いVSWR(電圧定在波比)を維持した状態で、広い使用周波数帯域を持っていることが分かる。また、
図14に示すように、XY面アンテナ特性の周り方向(0°〜360°)の電波強度が略真円を画き、
図15に示すように、YZ面またはZX面アンテナ特性の周り方向(0°〜360°)の電波強度がバタフライ型を画いており、それらアンテナ10A,10B,10Cが良好な指向性を有していることが分かる。
【0067】
図16は、一例として示すカバー付きアンテナ40の斜視図であり、
図17は、一例として示すカバー部材41の斜視図である。
図18は、カバー部材41にアンテナ10Aを設置した状態で示すカバー付きアンテナ40の斜視図であり、
図19は、カバー付きアンテナ40のVSWR(電圧定在波比)と使用帯域との相関関係を示す図である。カバー付きアンテナ40は、アンテナ10Aとカバー部材41とから形成されている。アンテナ10Aは
図1のそれと同一であるから、その説明は省略する。
【0068】
カバー部材41は、所定の誘電率を有する熱可塑性合成樹脂から作られ、先端部が閉鎖された円筒状に成型加工されている。カバー部材41は、
図17に示すように、その円周が略半分になるように2つ(半身)に分割されている。カバー部材41の内部には、アンテナ10Aの共振用導体管12およびグランド用導体管13を支持する第1支持部42と、アンテナ10Aの給電部18Aの露出部分20を支持する第2支持部43とが形成されている。第1支持部42の直径は、共振用導体管12やグランド用導体管13のそれと略同一またはそれら管12,13のそれよりもわずかに大きい。カバー部材41は、アンテナ10Aの無給電部19の露出部分22の一部を除くアンテナ10Aの残余の部分を覆うことが可能な長さ寸法を有する。
【0069】
図18に示すように、カバー部材41の内部にアンテナ10Aを設置すると、アンテナ10Aの共振用導体管12およびグランド用導体管13が第1支持部42に嵌入し、露出部分20が第2支持部43に嵌入する。アンテナ10Aをカバー部材41に設置した後、カバー部材41の半身を旋回させると、カバー部材41の半身どうしが互いに対向して円筒状のカバー部材41が形成され、アンテナ10Aの共振用導体管12の全域とグランド用導体管13の全域と給電部18Aの露出部分20の全域とがカバー部材41によって包被される。
【0070】
カバー付きアンテナ40では、カバー部材41の第1支持部42の内周面が共振用導体管12およびグランド用導体管13の外周面に当接し、それら管12,13がカバー部材41の第1支持部42に固定されるとともに、カバー部材41の第2支持部43が給電部18Aの露出部分20に当接し、露出部分20が第2支持部43に固定される。カバー部材41は、その半身どうしの当接部分が接着剤(図示せず)によって固定され、筒状に保持される。また、その半身どうしがビス(図示せず)によって固定され、筒状に保持される。
【0071】
このカバー付きアンテナ40は、アンテナ10A単体と比較し、
図19に点線で示すように、使用可能な周波数帯域が低い周波数において広がり、その使用周波数においてVSWR(電圧定在波比)が3以下であり、高いVSWR(電圧定在波比)を維持した状態で、広い使用周波数帯域を持っていることが分かる。なお、カバー付きアンテナ40において、カバー部材41に設置可能なアンテナは
図1のそれに限らず、
図6や
図8のアンテナ10B,10Cをカバー部材41に設置してカバー付きアンテナ40にすることもできる。
【0072】
カバー付きアンテナ40は、カバー部材41が有する誘電率によってアンテナ10Aにおける使用周波数帯域が低い周波数帯域へ拡大し、カバー部材41を使用しない場合と比較してアンテナ10Aにおけるに使用周波数帯域をさらに広げることができる。カバー付きアンテナ40は、使用可能な周波数帯域のうちのすべての帯域において電波を送信または受信することができ、広帯域(ワイドバンド)における使用が可能である。