特許第5697539号(P5697539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697539
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/14 20060101AFI20150319BHJP
   F16H 59/70 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   G01D5/14 E
   F16H59/70
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-116635(P2011-116635)
(22)【出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2011-257391(P2011-257391A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2014年1月10日
(31)【優先権主張番号】10 2010 029 870.0
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ルートヴィヒ・ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・シュンク
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−544183(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19522840(DE,A1)
【文献】 特開平5−113303(JP,A)
【文献】 特開平4−131509(JP,A)
【文献】 実開平2−29304(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00− 5/252
G01D 5/39− 5/62
G01B 7/00− 7/34
F16H59/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸回りに回転しつつ軸方向へ変位する測定対象物(2)の軸方向位置を検出するセンサ(1)において、
第1の要素(6)と、磁気部材(7)を有する検出部(5)とを設け、位置信号の発出のために、線状の相対変位時に前記第1の要素(6)と協働しつつ該第1の要素(6)に対して所定の線状の変位を行う第2の要素(8)を前記磁気部材(7)によって形成し、位置信号の発出のために、前記測定対象物(2)による線状の相対変位によって前記第2の要素(8)を非接触に連行するよう構成したことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記検出部(5)における前記第2の要素(8)を前記磁気部材(7)のみで形成したことを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1の要素(6)及び前記第2の要素(8)によって誘導式、静電容量型又は磁気式の前記検出部(5)を形成可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1の要素(6)によって測定センサ又は第1の電極(16)を形成するとともに、前記第2の要素(8)によって、位置信号の発出のために前記測定センサと協働する当該センサ(1)の操作部材又は前記検出部(5)における第2の電極(17)を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第2の要素(8)によって誘導式の当該センサ(1)のダンパ部材(10)を形成するとともに、平面状のコイル(9)を前記第1の要素(6)に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第2の要素(8)をセンサケーシング(12)内に収容するとともに、この第2の要素(8)を、該センサケーシング(12)に対して所定の線状の変位を行うようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第2の要素(8)を、前記第1の要素(6)に対して所定の線状の変位を行うよう、前記センサケーシング(12)によってガイドしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1の要素(6)のみに、又は前記第1の要素(6)及び前記第2の要素(8)にセンサ電子回路(11)を接続するとともに、該センサ電子回路(11)を前記第1の要素(6)及び前記第2の要素(8)と共に前記センサケーシング(12)内に収容したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のセンサ(1)と、該センサ(1)の近傍に配置された測定対象物(2)を備えて成るセンサ−測定対象物配置構造において、
前記センサ(1)における前記第2の要素(2)を前記測定対象物(2)により非接触に磁気によって前記測定対象物(2)の軸方向(X)に連行させるよう構成したことを特徴とするセンサ−測定対象物配置構造。
【請求項10】
前記第2の要素(8)を連行するために、前記測定対象物(2)を、その少なくとも一部について磁化可能に形成したことを特徴とする請求項9記載のセンサ−測定対象物配置構造。
【請求項11】
前記測定対象物(2)を軸中心線(A)回りに回転可能に支持しつつその軸方向(X)へ変位可能に配置し、前記軸方向(X)を、前記第2の要素(8)が前記第1の要素(6)に対する所定の線状の変位を行う方向に一致させたことを特徴とする請求項9又は10記載のセンサ−測定対象物配置構造。
【請求項12】
シャフト(4)回りに回転可能に支持されつつ軸方向に変位可能なプーリ(3a)を備えた無段変速機において、
前記プーリ(3a)の軸方向位置を検出するために、請求項1〜11のいずれかに記載のセンサ(1)を当該無段変速機に配置し、前記プーリ(3a)を前記測定対象物(2)としたことを特徴とする無段変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載したセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばCVTと呼ばれる無段変速機(以下「CVT」という。)のプーリなどの軸中心線あるいはシャフト回りに回転しつつ軸方向に摺動するよう支持された物体の軸方向位置を検出するために、従来技術である特許文献1に装置が開示されている。このような公知の装置においては、プーリは、例えば当該プーリの周囲面において均等に配分された複数の台形状のマーカが塗布又は設置され、当該プーリの周方向の幅がその軸方向延長部に沿って変化するよう形成されている。
【0003】
このプーリの軸方向への変位時には、接触式の信号発出装置において、プーリの実際の位置に応じた異なる形状の信号が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第19522840号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように形成されたこのようなセンサ装置は、コストがかかるものであり、大きなコストの犠牲の下にのみ得ることができるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、上記のような従来技術における欠点を克服し、軸回りに回転する測定対象物の軸方向位置を適用かつ容易にコストをかけずに検出することが可能なセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1記載の発明により達成される。
【0008】
すなわち、本発明は、回転軸回りに回転しつつ軸方向へ変位する測定対象物の軸方向位置を検出するセンサにおいて、第1の要素と、磁気部材を有する検出部とを設け、位置信号の発出のために、線状の相対変位時に前記第1の要素と協働しつつ該第1の要素に対して所定の線状の変位を行う第2の要素を前記磁気部材によって形成し、位置信号の発出のために、特に前記測定対象物による線状の相対変位によって前記第2の要素を非接触に連行するよう構成したことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、前記検出部における前記第2の要素を前記磁気部材のみで形成したことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の他の実施形態は、前記第1の要素及び前記第2の要素によって誘導式、静電容量型又は磁気式の前記検出部を形成したことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の一実施形態は、前記第1の要素によって測定センサ又は第1の電極を形成するとともに、前記第2の要素によって、位置信号の発出のために前記測定センサと協働する当該センサの操作部材又は前記検出部における第2の電極を形成したことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の一実施形態は、前記第2の要素によって誘導式の当該センサを形成するとともに、特に平面状のコイルを前記第1の要素に設けたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の一実施形態は、前記第2の要素をセンサケーシング内に収容するとともに、この第2の要素を、特に該センサケーシングに対して所定の線状の変位を行うようにしたことを特徴としている。このとき、前記第1の要素は、前記センサケーシングに対して特に位置的に正確に配置されている。
【0014】
また、本発明の一実施形態は、前記第2の要素を、前記第1の要素に対して所定の線状の変位を行うよう、前記センサケーシングによってガイドしたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明の一実施形態は、前記第1の要素のみに、又は前記第1の要素及び前記第2の要素にセンサ電子回路を接続するとともに、該センサ電子回路を前記第1の要素及び前記第2の要素と共に前記センサケーシング内に収容したことを特徴としている。
【0016】
また、センサ−測定対象物配置構造についての本発明は、本発明によるセンサと、該センサの近傍に配置された測定対象物を備えて成るセンサ−測定対象物配置構造において、前記センサにおける前記第2の要素を前記測定対象物により非接触に磁気によって特に前記測定対象物の軸方向に連行させるよう構成したことを特徴としている。
【0017】
また、センサ−測定対象物配置構造についての本発明による一実施形態は、前記第2の要素連行するために、前記測定対象物を、その少なくとも一部について磁化可能に形成したことを特徴としている。
【0018】
また、センサ−測定対象物配置構造についての本発明による一実施形態は、前記測定対象物を軸中心線回りに回転可能に支持しつつその軸方向へ変位可能に配置し、前記軸方向を、前記第2の要素が前記第1の要素に対する所定の線状の変位を行う方向に一致させたことを特徴としている。
【0019】
さらに、無段変速機(CVT)についての本発明は、シャフト回りに回転可能に支持されつつ軸方向に変位可能なプーリを備えた無段変速機において、前記プーリの軸方向位置を検出するために、本発明によるセンサを当該無段変速機に配置し、前記プーリを前記測定対象物としたことを特徴としている。
【0020】
なお、本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面に基づく実施の形態の説明及び特許請求の範囲に記載されている。また、本発明の範囲を逸脱しない限り、各実施の形態を組み合わせることも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、軸回りに回転する測定対象物の軸方向位置を適用かつ容易にコストをかけずに検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態における、軸方向に変位可能な測定対象物に配置されたセンサの断面図である。
図2】CVTのプーリとして形成された軸方向に変位可能な測定対象物に配置された図1におけるセンサを示す図である。
図3】本発明の他の実施形態におけるセンサの断面図である。
図4】本発明の他の実施形態におけるセンサを示す図である。
図5図1の誘導式位置センサを透過して見る図である(センサは、軸方向に変位可能なCVTのプーリに隣接して配置されている。)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1には本発明によるセンサ1が例示されており、このセンサ1は、軸中心線A(図2)回りに回転可能に配置されつつ軸方向に変位する(図2における矢印X)測定対象物2の軸方向位置を検出するものである。本発明においては、このセンサ1は、少なくとも部分的に磁化可能な測定対象物2(特に強磁性または難治性の測定対象物2)と、当該測定対象物2の位置を検出するために相互に作用するものとなっている。本発明において、このセンサ1は、位置検出のために線状に変位(軸方向に摺動)するのに適したものとなっている。なお、測定対象物2は、例えばCVTの図2に示すようなテーパディスクあるいはプーリ3aである。
【0025】
このような公知のCVTは、それぞれ1つのシャフト4を有する互いに軸方向Xにおいて対抗するプーリ3a,3bの2つの対(図2では1つの対のみ図示している。)を備えている。また、この2つの対の間ではベルトあるいはチェーンがガイド可能あるいはガイドされるように成っており、1つの対における2つのプーリ3a,3bの間でのベルトあるいはチェーンの動作半径は、CVTの変速比が(無段階に)調整可能なよう、プーリ3a,3bの軸方向間隔によって調整可能となっている。
【0026】
CVTにおいては、各対におけるプーリ3aは、その軸方向Xにおいて他方のプーリ3bに対して近接又は離間するよう特にその回転時に変位可能となっている。このように変位可能なプーリ3aあるいは測定対象物2の実際の軸方向位置は、特に実際のCVTの変速比を推定するために、リニア位置センサとして形成された本発明によるセンサ1によって検出される。
【0027】
本発明において、センサ1は第1の要素6と磁気部材7を有する検出部5を備えており、線状の相対移動において位置信号を発出するための第1の要素6と協働しつつ第1の要素6に対して相対的に線状に変位可能な、検出部5における第2の要素8が形成されている。ここで、この第2の要素8は、線状の相対運動の結果、位置信号を発出するために、特に測定対象物2によって非接触に(特に磁気的に)連行されるようになっている。
【0028】
また、センサ1における第1の要素6は、該第1の要素6とセンサ1における第2の要素8の間の相対的な線状の変位により位置信号が発出されるようセンサ1における第2の要素8と協働する。すなわち、第1の要素6及び第2の要素8は、共にセンサ1における1つの位置検出部すなわち検出部5を形成している。第1の要素6に対する第2の要素8の相対変位時には、これら第1の要素6及び第2の要素8によって、これら第1の要素6と第2の要素8の相対位置に相当する位置信号がセンサ1内に生成される。このとき、本発明においては、第2の要素8が第1の要素に対して所定量だけ相対的に線状に変位可能となっている。すなわち、第2の要素8は、所定の始点から所定の終点まで所定の移動量だけ第1の要素6に対して変位するようになっている。
【0029】
これは、例えばセンサ1が有するガイドによって行うことができ、このガイドによって、第2の要素8は第1の要素6に対して相対変位可能にガイドされることになる。この第2の要素8は、第1の要素に対して特に所定の線状の変位のみ可能となっている。すなわち、第2の要素8は、第1の要素6に対してその他の相対変位はできないようになっている(線状の変位のみ可能)。
【0030】
第1の要素6及び第2の要素8は、測定チェーン内の第1のリンク部として、検出部5を形成している。このとき、第2の要素8は磁気部材7のみで形成されており、非接触の連行、あるいは非接触の連行及び位置信号の発出が行えるようになっている。また、磁気部材7によって、第2の要素の、例えば第1の要素6に対する所定の線状の動作がなされるようになっている。
【0031】
第2の要素8は、例えば測定センサである第1の要素6と共に位置信号の発出するために動作し、例えば、第1の要素6と共に操作部材を形成している。また、上記に代えて、第1の要素6は例えば検出部5の第1のセンサ電極であり、この第1のセンサ電極は、センサ用電子回路に接続されている。一方、上記に代えて、この第1の要素6と協働する第2の要素8は例えば検出部5における別の第2のセンサ電極を形成しており、この第2のセンサ電極は、線状の相対変位に基づく位置信号の発出のために、検出部5における上記第1のセンサ電極と協働するようになっている。
【0032】
また、第2の要素8は、例えば永久磁石又は電磁石で形成された磁気部材7によって、第1の要素6に対して特に測定対象物2によって連行されて非接触に所定の線状の変位できるよう構成されている。ここで、第2の要素8のこの磁気部材7は連行可能な部材を形成しており、この部材は、磁気部材7と測定対象物2の間に作用する磁気的な吸引力により、第2の要素8の所定の移動範囲内で線状に変位可能となっている。すなわち、測定対象物2により、磁気的かつ非接触にすなわち間接的に連行可能となっている。
【0033】
ところで、図に基づき、本発明によるセンサ1の種々の実施形態を以下に説明する。
【0034】
<実施の形態1>
図1には本発明によるセンサ1が示されており、この線さは、誘導式センサとして形成されている。また、このセンサ1における第1の要素6及び第2の要素8は、誘導式の検出部5を形成している。第1の要素6は例えば1つ又は複数の平面状のコイル9で形成されており、このコイル9は、位置信号の発出のために第2の要素8と協働するようになっている。また、第2の要素8は、磁気部材7によって第1の要素6に対して非接触に所定の線状の運動が可能な操作部材を形成している。
【0035】
このような操作部材あるいは第2の要素8を形成するために、例えばダンパ部材10が磁気部材7に結合されているか、又はこれに変えてダンパ部材10が磁気部材7に統合されている。なお、ダンパ部材10は例えば金属板などであり、このようなダンパ部材10(例えばひし形の金属板)は、例えば図5に示されている。また、このようなダンパ部材10は、磁気部材7における測定センサあるいは第1の要素6に対向する側面に配置されている。
【0036】
また、例えば図5に示すように特に線状の相対変位方向に互いに隣接して設けられた第1の要素6における複数のコイル9には、高周波交流電流が印加される。そして、この高周波交流電流はダンパ部材10内で渦電流を発生させ、この渦電流によりコイル9の緩衝すなわちインダクタンスが変化する。そして、これを解析することにより、ダンパ部材10の位置すなわち第2の要素8の少なくとも1つのコイル9に対する相対位置に対応して位置信号の出力が可能となる。
【0037】
また、コイル9はセンサ電子回路11に電気的に接続されており、このセンサ電子回路11は、電力をコイル9へ供給し、かつ、第1の要素6と第2の要素8により生成されたこれらの相対位置に相当する測定信号を例えば処理するものである。
【0038】
第2の要素8は、その所定の線状の変位経路に沿って、その始点と終点の間において第1の要素6との間に特に一定の間隔(図1における径方向)を有している。したがって、この間隔のばらつきによって測定信号の発出に不都合な影響が生じることはない。また、測定対象物2によって非接触に連行される第2の要素8における磁気部材7により、センサ1は、測定対象物2との間に比較的大きな間隔があるとしても、正確な位置検出を行うことが可能である。
【0039】
図1に示されたセンサ1の実施形態においては、特に統合的なセンサコンポーネント(センサ電子回路11、第1の要素6及び第2の要素8)をケーシングあるいはセンサケーシング12内に収容するのが好ましい。このとき、センサケーシング12は保護機能及び場合によってはサポート機能のほかに、例えば第2の要素8における磁気部材7のガイド部を形成している。そして、このガイド部により、第2の要素8が第1の要素6に対して所定の線状の移動を行うことが可能となっている。
【0040】
また、第1の要素は、例えばセンサ電子回路11を実装した回路基板によって、センサケーシング12に対して不動に該センサケーシング12に結合されるか、あるいはセンサケーシング12内に収容されている。一方、第2の要素8は、第1の要素6に対して線状に変位するようセンサケーシング12内に配置されている。すなわち、第2の要素8は、センサケーシング12に対して所定の線状の変位が可能となっている。この第2の要素8の所定の線状の変位の始点及び終点を含む経路にはセンサケーシング下部12aの壁面部が設けられている。このセンサケーシング下部12aは、例えばその断面部において、ガイドすべき第2の要素8(例えばその磁気部材7)のガイド部に対応している。
【0041】
また、センサ1(図1)は、第2の要素8の第1の要素6に対する所定の線状の変位方向が測定対象物2の軸方向における変位方向と一致するよう配向されつつ測定対象物2にに配置されている。さらに、磁気部材7は、測定対象物2によって非接触に連行されるよう、特に強磁性又は軟磁性の測定対象物2に対して径方向に隣接して配置されている。測定対象物2の変位時に、第2の要素8は、測定対象物2と共に第1の要素6に対してX方向に線状に変位する。そして、この変位は、前面側のセンサケーシング壁部における第1のセンサケーシング壁部12bと第2のセンサケーシング壁部12cの間で特に第1の要素6に平行かつこれと一定の間隔を保持してなされる。
【0042】
本発明においては、一般的に、軸部材7あるいは第2の要素8の第1の要素6に対する所定の返上の変位は、測定対象物2の軸方向変位の範囲(位置検出がなされる範囲)内において可能となっている。
【0043】
<実施の形態2>
図3には本実施の形態によるセンサ1の断面が示されており、ここでは、第2の要素8が、磁気部材7によって第1の要素6に対して所定の線状の変位をするよう形成されている。ここでは、このセンサ1が変位量を検出するためにガイド部材13を備えており、このガイド部材13は、線状の変位経路(例えばレールなど)方向に延在しているとともに、磁気部材7のガイド部材14(例えば溝など)と協働するようになっている。
【0044】
この図3に示された実施の形態においては、磁気部材7が検出部5における第2の要素8を形成している。このような実施の形態においては、第1の要素6(例えばホール素子)は、操作部材としての磁気要素7に対して非接触に連行可能に所定の線状の変位が可能となっている。また、少なくとも1つの方向成分(例えば径方向)についてホール素子(例えば横断検知器の形状のホールIC)によって検出可能な磁場を生じさせることが考えられる。また、これに代えて、第1の要素6及び第2の要素8によって例えば磁気抵抗センサを形成するようにしてもよい。一般的には、第1の要素6及び第2の要素8あるいは磁気部材7によって例えば磁気検出部が形成される。
【0045】
<実施の形態3>
図4には本実施の形態が示されており、本実施の形態においては、センサ1が例えば静電容量型のセンサとして形成されている。また、第1の要素6は棒状の第1の電極16として形成されており、この第1の電極16は、センサ電子回路11に特に固定されて結合されている。また、静電容量型の検出部5における第2の要素8は位置信号の発出のために中空管として形成された第2の電極17と協働するようになっている。この第2の電極17には磁気部材7が第2の要素8を形成しつつ固結されているか、又は磁気部材7が第2の電極17に統合されている。
【0046】
したがって、第2の電極17は、測定対象物2による磁気部材7の非接触の連行時に第1の電極16に対して所定の線状の変位が可能となっている。このとき、第1の電極16及び第2の電極17によって形成されるコンデンサあるいは静電容量型のセンサの静電容量は、挿入状態(Eintauchzustand)に応じて、測定対象物2の位置に相当する相対位置をセンサ電子回路11によって検出できるよう変化する。
【0047】
このような実施形態においては、所定の線状の相対変位は、例えば、第2の要素8が例えば誘電体を有する第1の要素6と接触しつつ当該第1の要素6を案内することで達成される。このとき、第1の電極すなわち第1の要素6は、例えば垂直方向に延在するセンサ電子回路11において支持されているとともに(変位開始時)、支持されていない周端部には第2の電極17のためのストッパを備えている(不図示の変位終点)。なお、このストッパは、第2の電極17を第1の電極16において保持するものとなっている。また、この実施形態の場合、センサケーシング12は不要である。
【0048】
本発明によるセンサ1によれば、当該センサ1の測定対象物2あるいは特に回転構成部材に対する間隔が比較的大きくても、位置の測定が可能である。回転速度の補償がなされ、振動の原因となる軸受の劣化を解消することができる。また、本発明において、互いに相対変位する2つの部材の位置信号の発出に用いる検出部あるいはセンサについては、これを様々に形成することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 センサ
2 測定対象物
3a,3b プーリ(テーパディスク)
4 シャフト
5 検出部
6 第1の要素(位置信号発出部)
7 磁気部材
8 第2の要素
9 コイル
10 ダンパ部材(緩衝部材)
11 センサ電子回路
12 センサケーシング
12a センサケーシング下部
12b 第1のセンサケーシング壁部
12c 第2のセンサケーシング壁部
13,14 ガイド部材
15 ホール素子
16 第1の電極
17 第2の電極
17a 電気配線
A 軸中心線
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5