(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載の製造方法において、前記複数の第1ビアのうち互いに隣り合う前記第1ビアは、前記検査用配線層の前記複数の検査配線のうちの異なる検査配線に接続していることを特徴とする製造方法。
【背景技術】
【0002】
ビルドアップ方式でフレキシブル配線基板を多層化する従来方法の一例(後述の特許文献1を参照。)を
図9を用いて説明する。
図9(A)は多層フレキシブル配線基板の製造途中の断面図である。仮基板10の上に仮固定用の接着層12を設けて、その上に、第1絶縁フィルム14、第1絶縁接着層16、第2絶縁フィルム18、第2絶縁接着層20、及び、第3絶縁フィルム22を積層する。それらの積層の途中で、無電界めっき法を用いて、ビア24、第1配線層26、ビア28、第2配線層30、及び、ビア32を形成する。ビア32の上端に上部端子34を形成する。次に、仮基板10と仮固定用の接着層12を除去して、
図9(B)に示すように、下方のビア24を露出させる。そのビア24の表面に下部端子25を形成する。これで多層フレキシブル配線基板が完成する。
【0003】
この多層フレキシブル配線基板について配線の電気的な検査を実施するには、例えば、次のような手順をとる。
図9(B)の完成状態において、配線のオープン欠陥(すなわち断線)を検査するには、ひとつの配線経路に属する下部端子25と上部端子34を選択して、それらの端子に一対の検査プローブを当てて、それらの端子間の導通状態を調べる。導通があれば正常である。導通がなければ、配線経路のどこかにオープン欠陥があると判定する。このようなオープン検査を、すべての配線経路に対して実施する。一方、配線のショート欠陥(すなわち短絡)を検査するには、異なる配線経路に属する(すなわち、互いに導通するはずのない)二つの端子(下部端子25と上部端子34の組み合わせでも、下部端子25同士でも、上部端子34同士でも構わない。)を選択して、それらの端子に一対の検査プローブを当てて、それらの端子間の導通状態を調べる。導通がなければ正常である。導通があれば、一方の端子が属する配線経路と、他方の端子が属する別の配線経路との間に、ショート欠陥があると判定する。このようなショート検査を、短絡するおそれのある(例えば、隣り合う)一対の配線経路のすべての組み合わせで実施する。
【0004】
ところで、多層フレキシブル配線基板の場合、完成後のオープン・ショート検査で配線欠陥を見つけたとしても、積層が済んでいるので、積層内部の欠陥部分のリペア(修理)が困難である。そこで、多層配線の製造途中において、配線の各層を製造した直後にその配線を検査することが考えられる。この点を検討すると、
図9(A)において、例えば、第1配線層26を形成した直後にショート検査を実施しようと思えば、それは可能である。具体的には、第1配線層26として形成された配線パターンのうち、異なる配線経路に属する二つの配線に、一対の検査プローブを接触させれば、それらの配線経路間のショート検査が可能である。しかし、オープン検査は不可能である。その理由は、配線経路の一方の端部である下方のビア24が、多層配線の製造途中では外部に露出していないからである。すなわち、露出していない下方のビア24には検査プローブを当てることができない。
【0005】
次に、上述の無電解めっき法ではなくて、電気めっき法を用いてビルドアップ方式でフレキシブル配線基板を多層化する従来方法(後述の特許文献2を参照。)を説明する。
図9(C)はこの方法で作られた多層フレキシブル配線基板の製造途中の断面図である。
図9(A)と異なる点は、最下層の仮基板10が導電性であることと、この仮基板10にビア24が電気的に接続していることと、仮基板10に通電しながら電気めっき法で下方のビア24から上端のビア32までの配線経路を形成していくことである。多層配線を製造したら、仮基板10と仮固定用の接着層12を除去して、
図9(B)と同じ完成状態となる。
【0006】
図9(C)に示す電気めっき法を用いた場合、
図9(A)の例とは逆に、多層配線の製造途中において、オープン検査は可能であるが、ショート検査は不可能である。この点を以下に説明する。第1配線層26を形成した直後の状態を考えると、下方のビア24は導電性の仮基板10に電気的に接続している。したがって、仮基板10と、製造途中の上面に露出している第1配線層26との間で、導通検査を実施できる。これにより、配線経路のオープン検査が可能である。しかし、ショート検査は不可能である。その理由は、製造途中では、電気めっきを可能とするためにすべての配線経路が最下層の仮基板10に電気的に接続しているからである。すなわち、本来は導通するはずのない異なる配線経路が仮基板10を経由して互いに導通状態になっており、ショート欠陥を見つけることができない。
【0007】
このように、上述の二つの製造方法のどちらを採用しても、多層配線の製造途中においてオープン検査とショート検査のどちらかが不可能になる。ゆえに、製造途中でオープン検査とショート検査の両方が可能な多層フレキシブル配線基板の製造方法が望まれる。
【0008】
そこで、多層配線基板を製造途中で検査できる従来技術を探すと、後述の特許文献3がある。この特許文献3は、セラミック基板の上にビルドアップ方式で多層配線を形成する技術において、セラミック基板の内部に、検査用の内部導体層を設けている。この内部導体層を利用して、多層配線を形成する途中で、各配線層の異常を検査できる。ただし、内部導体層と配線経路との間の「静電容量」に基づいて配線の異常を判定しているので、次のような困難さがある。静電容量に基づく異常判定をするには、規格配線の静電容量実測値と検査対象配線の静電容量実測値とを比較するか、または、静電容量の理論計算値と実測値とを比較する必要がある。この場合、正常値からの静電容量変化が小さい配線欠損の場合は、正確な判定が困難である。例えば、測定点から遠い配線末端部分でのオープン欠陥は静電容量変化が小さい。また、ビア単体など配線長が短い部分でのショート欠陥は静電容量変化が小さい。このような欠陥は静電容量に基づく判定では検出が難しい。これに比べると、電気的な導通の有無による検査は、欠陥の有無が明瞭なので、電気的な導通の有無を利用して、製造途中でオープン・ショート検査が可能な多層フレキシブル配線基板の製造方法が望まれる。
【0009】
ところで、本発明は、「検査専用の配線パターンを用いて配線検査を実施して、最後には検査専用の配線パターンを除去する」ことに関係しているが、この点は後述の特許文献4に記載されている。この特許文献4は、多層配線基板の製造方法及び試験方法を開示している。その要点を説明すると、試験用の内部ダミー配線を多層配線の中に作り込んで、その内部ダミー配線を、最上部の上部ダミー配線と接続する。上部ダミー配線は、多数の配線をひとつ置きにつなぐように一対の櫛歯状のパターンとする(特許文献4の
図11を参照)。これにより、互いに隣接する配線が異なる櫛歯状パターンに接続される。この状態で、二つの櫛歯状パターン間でショート検査を実施すれば、互いに隣接する配線の間でのショート検査を一括して実施できる。検査後には、上部ダミー配線(櫛歯状パターン)を除去する。
【0010】
この特許文献4に記載の方法を用いれば、一対の検査プローブを二つの櫛歯状パターンに接触させるだけで、多数の配線について一括したショート検査が可能である。しかし、多層配線の製造途中で検査することは不可能である。その理由は、多層配線が完成してから、その最上部に櫛歯状パターンを形成しているからである。さらに、別の問題として、多層配線基板の内部に内部ダミー配線が余剰配線として残り、余剰の静電容量が発生して、電気的特性の劣化が予想される。
【0011】
また、「検査専用の配線パターンを用いて配線検査を実施して、最後には検査専用の配線パターンを除去する」ことに関する別の従来例が後述の特許文献5に記載されている。この特許文献5は、セラミック基板の上に多層配線を形成して、それを検査する方法を開示している。その要点を説明すると、セラミック基板の一方の側に試験用パターンを形成し、他方の側に多層配線を形成する。多層配線の一部は試験用パターンを介して互いに接続している。セラミック基板の片側(多層配線を形成した側)にプローブ・ヘッドを接触させて多層配線の短絡や断線を検査する。検査後に、試験用パターンを研磨工程で除去する。
【0012】
この特許文献5は多層配線は開示しているが、その多層配線の製造方法は開示していない。したがって、製造途中で配線層毎に検査が可能かどうかは不明である。当然ながら、特許文献5は、多層配線をその製造途中で検査することには触れていない。
【0013】
さらに、本発明は、多層フレキシブル配線基板を備えたプローブカードにも関係しているが、そのようなプローブカードは、例えば、後述の特許文献6に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳しく説明する。
図1〜5は本発明の製造方法の一実施例の手順を示す断面図である。その手順を順を追って説明する。
図1(A)に示すように、ステンレス製の仮ベース36の上に、この仮ベース36から剥離可能な導電性の犠牲層38を形成する。具体的には、仮ベース36(ステンレス製)の表面に酸化膜が存在したままの状態で、その上にニッケルめっきと銅めっきを形成する。この複合めっき層が犠牲層38である。この複合めっき層は酸化膜の上に形成されているので、剥離可能である。
【0023】
次に、
図1(B)に示すように、犠牲層38と仮ベース36の上に、絶縁性の接着層40を介して絶縁フィルム42を貼り付ける。絶縁フィルム42は多層フレキシブル配線基板のベース材となるものである。絶縁フィルム42は本発明における第2絶縁層に該当する。
【0024】
次に、
図1(C)に示すように、絶縁フィルム42と接着層40にレーザでビアホール44を形成する。
【0025】
次に、
図1(D)に示すように、そのビアホールを埋めるように、電気めっき法によりビア46を形成する。ビア46は犠牲層38に電気的に接続している。ビア46はニッケルめっき層の上に銅めっき層を形成したものである。厚み数μmのニッケルめっき層は犠牲層38の側に位置しており、このニッケルめっき層は、犠牲層38を除去するときに一緒に除去される。ビア46は本発明における第1ビアに該当する。ビア46の表面に貴金属めっき48(例えば、金めっき)を形成する。
【0026】
次に、
図1(E)に示すように、絶縁フィルム42と貴金属めっき48の上に、アディティブ法を用いて検査用配線層50(例えば、銅製)を形成する。アディティブ法は、例えば、次のように実施する。絶縁フィルム42と貴金属めっき48の上にスパッタリング法で薄い金属膜を形成する。その上に、めっきレジストで必要な部分をマスクしてから、電気めっきを施して検査用配線層50を形成する。めっきレジストを除去してから、検査用配線層50をマスクとしてスパッタリング膜をエッチング除去する。
【0027】
検査用配線層50は、互いに絶縁された複数の検査配線を含んでいる。
図6は検査用配線層のパターンの一例を示す平面図である。この例では、検査用配線層は第1検査配線52と第2検査配線54を含んでいる。第1検査配線52は、多数のビアのうち、ひとつ置きのビア群46aに接続している(実際には貴金属めっきを介して接続している)。第2検査配線54は、第1検査配線52に接続していない別のひとつ置きのビア群46bに接続している。第1検査配線52は、面積の広い第1検査端子56を含んでおり、第2検査配線54は、面積の広い第2検査端子58を含んでいる。このような検査用配線層を用いると、ビア間のピッチが狭くてビアに検査プローブを接触させることが難しい場合でも、面積の広い検査端子56,58に検査プローブを接触させることができる。
【0028】
図2(A)に示すように、
図1(E)の状態に対して、検査用配線層50と絶縁フィルム42の上に、絶縁性の接着層60を介して接着層保持基材62(例えば、ポリイミド)を貼り付ける。接着層保持基材62と接着層60は本発明における第1絶縁層の一部に該当する。そして、犠牲層38から接着層保持基材62までの積層体を、仮ベース36から剥離する。仮ベース36から剥離した積層体を上下反転した状態を
図2(B)に示す。
【0029】
次に、
図2(C)に示すように、
図2(B)に示す積層体を、絶縁性の接着層64を介して仮基板66に貼り付ける。接着層64は剥離除去可能な接着層であり、本発明における第1絶縁層の一部に該当する。
【0030】
次に、
図2(C)において、犠牲層38をエッチングで除去する。犠牲層38の除去方法は、具体的には次のとおりである。
図2(C)において、犠牲層38の表面はニッケルめっきである。まず、ニッケルのみを溶かすエッチング液を用いてニッケル部分を除去し、次に、その下の銅めっきの部分を、銅のみを溶かすエッチング液を用いて除去する。ビア46の犠牲層38側はニッケルめっき層で形成されているので、銅のエッチング液を用いて犠牲層38を溶かすときに、ビア46はエッチングされずに残る。犠牲層38を除去したら、次に、接着層40を溶剤で除去する。最後に、手研磨でビア46の表面側のニッケルめっきを除去する。犠牲層38と接着層40を除去した状態を
図2(D)に示す。これが本発明における基礎部分に該当する。最下層は仮基板66であり、最上層は絶縁フィルム42である。絶縁フィルム42から複数のビア46(ビア群46aと46b)が露出している。内部には検査用配線層50(52,54)があり、その第1検査配線52と第2検査配線54(
図6を参照)がビア群46a,46bに電気的に接続している。
【0031】
犠牲層38を除去する方法として、上述のようにニッケル・ストッパを用いる方法の代わりに、CMP(化学機械研磨)法を用いることもできる。CMP法を用いる方法は次のとおりである。まず、ビア46はニッケルめっきと銅めっきの積層構造にする必要はなく、銅めっき層だけでビア46を形成する。そして、
図2(C)において、接着層40を溶剤で除去する。その際、犠牲層38の下には溶剤が入っていかないので、犠牲層38の下の接着層40は残る。その状態でCMP法で研磨すると、犠牲層38のみが除去され、ビア46の周囲の接着層40だけが残った状態で研磨が終了する。その後、残った接着層40を溶剤で除去する。
【0032】
ニッケル・ストッパ法またはCMP法で犠牲層38を除去したら、
図3(A)に示すように、絶縁フィルム42にレーザで開口68を形成して、検査用配線層の第1検査配線52及び第2検査配線54の一部を露出させ、その露出部分を第1検査端子56及び第2検査端子58とする。
【0033】
次に、
図3(B)に示すように、第1検査端子56と第2検査端子58にめっき用電極68を接触させて、検査用配線層の第1検査配線52及び第2検査配線54、並びに、ビア群46a,46bに通電しながら、電気めっき法により、絶縁フィルム42の上に第1配線層70(例えば、銅製)を形成する。
【0034】
次に、
図3(C)に示すように、第1検査端子56に第1検査プローブ72を接触させ、第2検査端子58に第2検査プローブ74を接触させて、ビア群46aから第1配線層70に至る配線経路と、ビア群46bから第1配線層70に至る別の配線経路との間で、ショート検査を実施する。導通がなければ正常であり、導通があれば、それらの配線経路の間でショート欠陥(短絡)が生じていると判定する。そのようなショート欠陥が見つかれば、その段階でリペア(修理)を行う。
図6に示すように、第1検査配線52はひとつ置きのビア群46aに接続しており、第2検査配線54は別のひとつ置きのビア群46bに接続しているので、隣り合うビアは、異なる検査配線に接続している。したがって、第1検査配線52と第2検査配線54の間でショート検査を行うことで、隣り合うビアに接続する配線経路同士のすべてのショート検査を一括して行うことができる。
【0035】
上述のショート検査において、ショート欠陥が存在すると判明した場合に、どの部分にショート欠陥があるかを特定するには、例えば、顕微鏡等を用いた目視検査で最終的に確認する。上述の
図6に示すような検査配線パターンを用いる場合には、第1検査端子56につながる配線経路と第2検査端子58につながる配線経路との間のすべての箇所を確認することが必要である。これに対して、検査配線パターンを複数の領域に分けて、各領域ごとに1対の検査端子を設けるようにすれば、ショート欠陥が判明した領域だけについてショート箇所を調べればよく、ショート箇所の特定が容易になる。
【0036】
ショート検査が終了したら、
図3(D)に示すように、第1配線層70と絶縁フィルム42の上に、絶縁性の接着層76を介して絶縁フィルム78を貼り付ける。絶縁フィルム78と接着層76は本発明における第3絶縁層に該当する。次に、絶縁フィルム78と接着層76にレーザで開口80を形成して、検査端子56,58を露出させる。また、絶縁フィルム78と接着層76にレーザでビアホール81を形成する。
【0037】
次に、
図4(A)に示すように、検査端子56,58(
図3(D)を参照)にめっき用電極68を接触させて、検査用配線層の第1検査配線52及び第2検査配線54、ビア群46a,46b、並びに、第1配線層70に通電しながら、電気めっき法により、ビアホール81(
図3(D)を参照)を埋めるようにビア82(例えば、銅製)を形成する。このビア82を形成する工程を利用して、以下に述べるように、第1配線層70のオープン検査を実施する。第1配線層70にオープン欠陥が存在すると、そのオープン欠陥よりも先に位置するビアホール81のところには電気が通じていないので、そのビアホール81にはビア82が形成されない。したがって、ビアホール81にビア82が形成されたかどうかを、顕微鏡等を用いて目視で確認することで、第1配線層70におけるオープン欠陥の有無を一括して確認できる。オープン欠陥を見つけた場合は、ビア82が形成されないビアホールに関係する配線領域について、レーザ等を用いて接着層76と絶縁フィルム78を取り除いて、第1配線層70のオープン箇所を金属ペースト等を用いて修理することができる。
【0038】
次に、
図4(B)に示すように、第1検査端子と第2検査端子にめっき用電極68を接触させて、検査用配線層の第1検査配線52と第2検査配線54、ビア46、第1配線層70、及び、ビア82に通電しながら、電気めっき法により、絶縁フィルム78の上に第2配線層84(例えば、銅製)を形成する。
【0039】
次に、
図4(C)に示すように、第1検査端子に第1検査プローブ72を接触させ、第2検査端子に第2検査プローブ74を接触させて、ビア群46aから第2配線層84に至る配線経路と、ビア群46bから第2配線層84に至る別の配線経路との間で、ショート検査を実施する。
【0040】
次に、
図4(D)に示すように、第2配線層84と絶縁フィルム78の上に、絶縁性の接着層86を介して絶縁フィルム88を貼り付ける。絶縁フィルム88と接着層86は本発明における最上部の絶縁層に該当する。次に、絶縁フィルム88と接着層86にレーザで開口90を形成して、検査端子56,58を露出させる。また、絶縁フィルム88と接着層86にレーザでビアホール91を形成する。
【0041】
次に、
図5(A)に示すように、検査端子56,58(
図4(D)を参照)にめっき用電極68を接触させて、検査用配線層の第1検査配線52及び第2検査配線54、ビア群46a,46b、第1配線層70、ビア82、並びに、第2配線層84に通電しながら、電気めっき法により、ビアホール91(
図4(D)を参照)を埋めるようにビア92(例えば、銅製)を形成する。このビア92を形成する工程を利用して、上述のビア82の形成の場合と同様に、第2配線層84のオープン検査を実施する。
【0042】
第3配線層以降の配線層が必要であれば、第2配線層までと同様の工程を繰り返す。この実施例の説明では、説明の簡便さのために、第2配線層を最終の配線層とする。したがって、ビア92は本発明における最上部のビアに該当する。
【0043】
次に、
図5(B)に示すように、検査端子56,58(
図4(D)を参照)にめっき用電極68を接触させて、最上部のビア92の表面に電気めっき法により上部端子94を形成する。
【0044】
次に、最下部の仮基板66から接着層64のところで多層配線部を剥離し、さらに、その多層配線部から接着層64、接着層保持基材62、及び、接着層60を溶解除去する。除去後の状態を
図5(C)に示す。
【0045】
次に、
図5(C)において、検査用配線層50を選択エッチング法で除去する。この選択エッチング法では、検査用配線層50は溶けるがビア46の表面の貴金属めっき48が溶けないようなエッチング液を使う。このエッチングによりビア46上の貴金属めっき48が露出して、これが下部端子となる。
【0046】
次に、
図5(D)に示すように、多層フレキシブル配線配線基板の周囲を切断線96のところで切断して、不要な端部を除去する。これで多層フレキシブル配線基板が完成する。
【0047】
図7と
図8に示すフローチャートは、これまでに説明してきた手順をまとめたものである。このフローチャートを用いて製造手順をおさらいする。
図7のフローチャートにおいて、「基礎部分の製造」の工程(ステップS10)は
図1(A)〜
図2(E)を参照して説明した工程である。これを詳しく示したものが
図8のフローチャートである。
【0048】
図8のフローチャートにおいて、「仮ベース上に犠牲層を形成」の工程(ステップS28)は
図1(A)を参照して説明した工程であり、仮ベース36の上に犠牲層38を形成する。「第1ビアの形成」の工程(ステップS30)は
図1(C)〜(D)を参照して説明した工程であり、ビアホール44にビア46を埋め込む。「貴金属めっき」の工程(ステップS32)は
図1(D)を参照して説明した工程であり、ビア46の表面に貴金属めっき48を形成する。「検査用配線層の形成」の工程(ステップS34)は
図1(E)を参照して説明した工程であり、絶縁フィルム42の上に検査用配線層50を形成する。「第1絶縁層の形成」の工程(ステップS36)は
図2(A)を参照して説明した工程であり、検査用配線層50の上に接着層60を介して接着層保持基材62を貼り付ける。「仮ベースからの剥離」の工程(ステップS38)は
図2(A)〜(B)を参照して説明した工程であり、犠牲層38から接着層保持基材62までの積層体を仮ベース36から剥離する。「仮基板の貼り付け」の工程(ステップS40)は
図2(C)を参照して説明した工程であり、上述の積層体を接着層64を介して仮基板66に貼り付ける。「犠牲層の除去」の工程(ステップS42)は
図2(C)〜(D)を参照して説明した工程であり、犠牲層38をエッチング法で除去する。
【0049】
図7のフローチャートに戻って、「検査端子の形成」の工程(ステップS12)は
図3(A)を参照して説明した工程であり、第1検査配線52及び第2検査配線54の一部を露出させて第1検査端子56及び第2検査端子58を形成する。「配線層の形成」の工程(ステップS14)は
図3(B)を参照して説明した工程であり、電気めっき法により第1配線層70を形成する。「ショート検査」の工程(ステップS16)は
図3(C)を参照して説明した工程であり、検査プローブ72,74を用いて第1配線層70のショート検査を実施する。「ビアの形成」の工程(ステップS18)は
図3(D)〜
図4(A)を参照して説明した工程であり、電気めっき法によりビア82を形成する。「オープン検査」の工程(ステップS20)は
図4(A)を参照して説明した工程であり、ビア82の形成の有無を確認することで、第1配線層70のオープン検査を実施する。「最上部の配線層か?」の工程(ステップS22)は、最上部の配線層かどうかを判断する工程であり、最上部の配線層でない場合は、次の配線層について、上述のステップS14〜S20を繰り返す。第2配線層についての繰り返しは、
図4(B)〜
図5(A)を参照して説明した工程である。最上部の配線層である場合は、「最上部構造の形成」の工程(ステップS24)を実施する。この「最上部構造の形成」の工程は、
図5(B)で説明した工程であり、最上部のビア92の表面に電気めっき法により上部端子94を形成する。「仮基板と検査用配線層の除去」の工程(ステップS26)は
図5(C)〜(D)を参照して説明した工程であり、仮基板66から多層配線部を剥離し、さらに、検査用配線層50を選択エッチング法で除去する。
【0050】
上述の実施例は配線層の数は2層であるが、3層以上の任意の層数とすることができる。
【0051】
図10は本発明のプローブカードの一実施例の縦断面図である。このプローブカードは上述の製造方法で製造された多層フレキシブル配線基板を備えるものである。
図10において、プローブカードは、その主要な構成部品として、リジッド配線基板100と支持板102とばね部材104とブロック106と多層フレキシブル配線基板108を備えている。このプローブカードの基本的な構造は上述の特許文献6に開示されているものである。本発明のプローブカードと特許文献6に開示されたプローブカードとの違いは、本発明のプローブカードに搭載された多層フレキシブル配線基板108が、これまでに説明してきた製造方法で製造されたものであることである。
図11は多層フレキシブル配線基板108の平面図である。
【0052】
図10と
図11において、多層フレキシブル配線基板108は、その外縁部において、上部端子109(
図5(D)の上部端子94に相当)がリジッド配線基板100の配線路(図示せず)に電気的に接続されている。また、多層フレキシブル配線基板108の中央部の接触子領域110には多数のプローブ112が固定されている。これらのプローブ112は、多層フレキシブル配線基板108の下部端子(
図5(D)の貴金属めっき48に相当)に固定されている。