(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697594
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】エンジン用燃料噴射システム
(51)【国際特許分類】
F02M 37/06 20060101AFI20150319BHJP
F02M 51/00 20060101ALI20150319BHJP
F02D 3/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
F02M37/06 A
F02M37/06 Z
F02M51/00 G
F02D3/00 A
F02D3/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-511833(P2011-511833)
(86)(22)【出願日】2009年5月28日
(65)【公表番号】特表2011-522161(P2011-522161A)
(43)【公表日】2011年7月28日
(86)【国際出願番号】US2009045530
(87)【国際公開番号】WO2009155074
(87)【国際公開日】20091223
【審査請求日】2012年5月28日
(31)【優先権主張番号】61/056,695
(32)【優先日】2008年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509032416
【氏名又は名称】ピーシー/アールシー プロダクツ エル.エル.シー.
【氏名又は名称原語表記】PC/RC PRODUCTS L.L.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス ティー ベリストリ
(72)【発明者】
【氏名】メイゼン エー ハッジ
【審査官】
赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05832896(US,A)
【文献】
特開2005−140027(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0000487(US,A1)
【文献】
米国特許第05003952(US,A)
【文献】
米国特許第05003953(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0039526(US,A1)
【文献】
特開平05−106517(JP,A)
【文献】
特表2009−545700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/06
F02M 51/00
F02D 3/00〜7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射システムの動作を制御するECUであって、ECUにはエンジン温度と吸気温度、スロットル位置、およびエンジン回転数が入力され、パルス幅が変調された燃料バルブに対する制御を実現するECUと、
ECUと動作可能に連係するエンジンの最大速度を制御する電子ガバナーシステムと、
エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
を備えるエンジン用燃料噴射システムであって、
上記燃料ポンプは、
エンジンの回転にともなって発生する圧力波を導入する空気室と、
燃料ポンプ吸い込み口室、燃料ポンプ室及び燃料ポンプ排出口室からなる燃料ポンプ本体と、
上記空気室に導入された圧力波の振動を上記燃料ポンプ室へ伝達する増圧装置と
を備え、
上記燃料ポンプ室に伝達された上記振動によって上記燃料ポンプ吸い込み口室から上記燃料ポンプ室に吸い込まれた燃料を上記燃料ポンプ排出口室へ排出する構成にし、
上記増圧装置は、
上記空気室に設けるとともに上記圧力波で振動する空気室振動板と、
上記燃料ポンプ室に設けるとともに上記空気室振動板よりも当該燃料ポンプ室における受圧面積を小さくした燃料ポンプ振動板と、
上記空気室振動板と上記燃料ポンプ振動板とに連結した増圧器ピンとを備え、
上記増圧器ピンによって、上記空気室に導入された上記圧力を増圧して上記燃料ポンプ振動板に伝達するエンジン用燃料噴射システム。
【請求項2】
上記ポンプ室と空気室との間には低減器室を構成する低減器板を設け、
この低減器板には、上記燃料ポンプ振動板で塞がれる燃料ポンプ室側の開口と、この燃料ポンプ室側の開口よりも開口直径を大きくするとともに、上記空気室振動板で塞がれる空気室側の開口とを備え、
上記低減器板は、上記空気室側の開口直径を上記ポンプ室側の開口直径まで減少させ、
これら燃料ポンプ室側の開口と空気室側の開口との直径差を上記低減器室で吸収する構成にした請求項1に記載のエンジン用燃料噴射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年5月28日出願の米国仮出願第61/056,695号に基づき優先権を主張し、その明細書はこの援用をもって本願に含まれる。
【0002】
(著作権に関する陳述)
この特許文献が開示する一部は、著作権保護下にある素材または資料を含む。この著作権者は、何れの特許文献または特許開示による複写に対して、これが特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されるので、異議はないが、それ以外においては如何なる場合でも著作権に関わる全権利を保持するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、4ストロークのバッテリーレス単気筒および2気筒炭化水素エンジン用燃料噴射システムに関する。このシステムは、4サイクルエンジンの燃料噴射の制御を低コストで総合的に解決し、変動する負荷および環境条件に係わりなくこれらのエンジンを最適なまたは略最適な性能特性で動作可能にする多数の機能を内蔵する。
【0004】
出願人の譲受人は、特に2サイクルエンジンに適用可能な特定技術の適用に関する2009年1月30日出願の米国特許出願12/375,898号を譲渡された所有者である。出願番号12/375,898号の明細書はこの援用をもって本願に含まれる。この開示は、2サイクルエンジンにおいては良好に機能できるが、4サイクルエンジンに応用し転用することが困難な低コストの組立品を用いる取り組みに伴う特殊な問題について論じている。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、概説すると、好適実施形態は、全体的に統合された低圧電子燃料噴射システム(EFI)と関連する構成要素とを4ストロークバッテリーレスの単気筒または2気筒炭化水素エンジン用に提供する。
【0006】
EFIシステムの構成要素には、ECUの装置およびソフトウェアと、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)と、燃料インジェクタと、一体型燃料ポンプ/増圧器およびレギュレータを有するスロットル本体と、必要なセンサ(スロットル位置センサ(TPS)、エンジン温度、吸気温度、エンジン回転数センサおよび電子ガバナーとを含む。システムは、モニタリング、図表作成、構成、およびシステムアルゴリズムの変更が可能なインターフェースソフトウェア(GUI)を用いて、従来のRS−232接続を介しての通信が可能である。
【0007】
本開示およびその好適実施形態の上述した目的、その他の目的、特徴および利点は、添付した図面に関連した下記の説明を読めば、更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の一部を成す添付図面を示す。
【
図1】
図1は、本発明のシステムのための制御方法の実施形態の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムに用いる電子制御ユニット(ECU)の一好適実施形態の概略図である。
【
図3】(A)は、発電コイルの実施形態の一例の斜視図である。 (B)は、本発明の発電システムで用いるレギュレータ基板に組み込まれた
図3Aの発電コイルの実施形態の一例を示す斜視図である。 (C)は、フライホイールと発電充電モジュールの一体化を示す実施形態の一例の斜視図である。 (D)は、本発明のシステムにシステムの始動で利用可能な最大電力を供給させ、正常運転モード時に低電力に切り替えさせる
図3(B)に示すレギュレータ基板の実施形態の一例を示す模式図である。
【
図4A】
図4Aは、増圧器モジュールを内蔵する燃料パルスポンプアセンブリの実施形態の一例の分解図であり、増圧器モジュールは、一実施形態の燃料ポンプアセンブリに、モータクランク室の低圧を高くなるように昇圧させ燃料を適正に送り出させるが、出力圧の値は増圧器の形状と配置により異なり、実質的にはエンジン動作のための圧力の倍数になることもある。
【
図5A】
図5Aは、本発明のシステムで用いる一体型スロットル本体の実施形態の一例の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、電子ガバナーの閉ループ制御または実施形態を説明する模式図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の電子ガバナーの応答時間を示す模式図である。
【
図6D】
図6Dは、本発明の電子ガバナーで用いるロタリーソレノイドの実施形態の一例を示す斜視図である。
【
図6E】
図6Eは、電子ガバナーを
図1に示すシステムのスロットル本体と一体化する一方法を示す断面図である。
【
図7A】
図7Aは、ECUに対する制御およびECUによる制御を説明する速度信号および対応するトリガ信号を示す模式図であり、ECUは本発明のシステムが、4ストローク適用時に1サイクルおきに燃料を噴射できるようにする。
【
図7B】
図7Bは、本発明の電子ガバナーにより制御されるような点火タイミング、燃料噴射タイミングおよびスロットル板位置を含む本発明のシステムにおいて用いる種々な制御信号を説明する模式図である。 各図面において同じ参照番号は同じ部位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は一般に電子燃料調整システムに関し、特に、好適実施形態においては、大きさが比較的小さい4ストロークエンジンであり。例えば、パワーウォッシャー、小型発電機やそのようなものに応用される小型内燃機関用の電子燃料調整システムに関する。本発明はこれらの応用に関して詳細に説明されているが、当業者はここで説明する発明の態様の応用範囲が広いことを認識するはずである。
【0010】
以下の詳細な説明は本開示を一例として例示するものであり、本開示を限定するものではない。なお、本開示の様々な態様は個別にまたは組み合わせても実行することができる。
【0011】
本説明は、私たちが新規で非自明であると確信する開発技術を当業者が行い利用できるように分かりやすく説明し、本明細書で説明する発明の原理を実行するための最適な様態であると現在思われるものを含むシステムの実施形態、変更、変形、代替および用途を幾つか説明する。その構成要素或いは機能および/または実施形態を説明するにあたり、「一つの(a,an)」、「その(the)」および「前記の(said)」という冠詞は、一つまた複数の構成要素または機能が存在することを意味するものである。「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は包括的であり、具体的に説明したもの以外に他の構成要素または機能が存在することを意味するものである。
【0012】
図1において、参照番号1は、以下に説明するような本開示の好適実施形態が適用される4サイクルエンジン用の燃料システムの実施形態の一例を示す。特に、本開示は、従来技術の装置のキャブレターシステムに代わること、そして、従来技術の製品構成の全体的な設計アウトライン内においてこの置換が達成できることを目的とする。エンジン2はピストン11を収容するエンジンブロック12を有し、クランクシャフト7に取り付けられたフライホイール3(
図2)を含む。エンジン始動時において従来のローププルを引くことによりフライホイール3をまず動作させる。エンジン2が適用される装置の例には、タンク4から供給する供給路5とタンク4へ戻す戻り路6とを有する燃料タンク4が設けられる。供給路5はスロットル本体10(
図5A)および関連部品と動作可能に接続されるが、その一体化についてはより詳細に後述する。
【0013】
電子制御装置(以下ECU)42は、エンジン2の動作を制御するために用いる。一般的には、イグニションモジュール40は、より詳細に後述する目的のためにフライホイール3と連係する。いずれにしても、イグニションモジュール40はECU42に電力を供給し、ECU42が少なくとも一つのインジェクタ45の動作とスパークのタイミング、および、その結果の点火と以下に述べる多数のパラメータに基づくチャンバ14内の燃料とを制御することが好ましい。モジュール40は、調整基板32に取り付けられた(
図3A〜
図3D)発電コイル31を含む。フライホイール3は、このフライホイール3に連係した磁石を有し、フライホイールの回転によりモジュール40がECU42に電力を供給する。本開示の発明的な原理には、最小空間条件でエンジン2の寿命の間確実に、そして、従来技術の現行のキャブレター設計に迫るコストでこの動作を実現する方法がある。これを統合的アプローチで達成する。
【0014】
さて、
図5Aにおいて、好適実施形態のスロットル本体10は、複数の構成要素をそこに取り付けられるようにしたハウジング100を含む。図示のように、スロットル本体10の一体化は、本明細書で説明するシステムが適用される製品の全体構成にほとんど変更を加えることなく従来技術のキャブレター型システムから本明細書で説明する燃料システム1に置換することを可能にするという点において、本開示の重要な機能である。スロットル本体10のスロットル本体ハウジング100は、プラスチック材で構成されることが好ましいが、本開示の様々な実施形態において、例えば、アルミニウムなどのような他の材料を用いてもよい。
【0015】
スロットル本体10のハウジング100は、電子制御ユニット(ECU)42と、ポンプアセンブリ84bと、プライマアセンンブリ29と、燃料噴射アセンブリ45と、スロットルアセンブリ13と、燃料圧力レギュレータアセンブリ20と、これらを装着する電子ガバナー61とを有する。必要に応じて、これら構成要素の全てをスロットル本体10に事前に組み付けておき、その組立品をエンジン2に取り付けることもできる。当業者が明らかになるように、スロットル本体10にはその内部に配置した多数の通路が形成されており、スロットル本体10とここで説明する様々な構成要素とは共に、エンジン2を動作させるために、この構成要素間を流れ、主として燃焼室14に流入する燃料の流れを制御するように構成される。これら通路には、吸気温度センサ通路が含まれる。この吸気温度センサ通路は、ECU42の回路基板60に装着された空気温度センサ167に吸気温度を確実に突き止めさせるものである。特定の設計形状でスロットル本体10のハウジング100を示したが、必要に応じて、他の設計輪郭のものを用いてもよい。
【0016】
当業者が明らかになるように、本開示は、4ストロークのバッテリーレス単気筒または2気筒ガソリンエンジンのための一体型低圧電子燃料噴射システムを提供する。このシステムの構成要素には、ECU42の装置、ソフトウェア、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、燃料インジェクタアセンブリ45、一体型燃料ポンプ増圧器およびレギュレータ20を有するスロットル本体10、および必要なセンサが含まれる。この必要なセンサには、例えば、スロットル位置センサ(tps)50、エンジン温度センサ51、吸気温度センサ167、エンジン回転数センサ52、および電子ガバナー53が含まれる。
【0017】
図2に示すように、本開示のECU42は発電回路25により駆動する。エンジン2のフライホイールを回転させるだけで、ECUとエンジン2に対する初期制御シーケンスとの駆動に十分は電気エネルギーをシステム1に発生させることができる。これまで、最少数のローププルでエンジンを始動することにより、類似した応用への現行の全検査条件下でエンジンの始動と駆動の双方を行っていた。
図3Dに示すブリッジ回路36は、適切なコストでこれらの機能を実現する。
【0018】
さて、
図4Aにおいて、ECU42は、エンジンを駆動する動作条件を検知し、これらの測定値に基づき一意の重複しない数個の構成要素と共にエンジンへの燃料供給を制御することにより、エンジン2の動作を制御する。これらのうち、エンジン2へ燃料を供給するための燃料ポンプ20が一体的に配置されている。
図4(A〜C)に示すようにポンプ20は3つの主要部からなる。主要部とは、燃料ポンプ本体(30)、低減器板(70)およびポンプ空気室ベース(130)である。各主要部はそれぞれのチャンバと連結される。空気室(150)はポンプ空気室ベース(130)と空気室振動板(90)とで構成される。空気室(150)は、エンジン回転の圧力波と一致する圧力波を発生するエンジン(2)の各部と接続される。少なくとも2つのソースは条件を満たした。
【0019】
エンジン(2)のクランク室とエンジン吸気口とがある。クランク室パルスの使用が好ましいが、他の適切なパルスを用いることもできることを当業者は認識している。次いで、圧力パルスは空気室吸気口(140)と空気室(150)に伝達される。これらのパルスは2つの正負の圧力波から成るが、現在のエンジンはブリーザを利用する。ブリーザには、クランク室内で通常の負の圧力を発生させるなどのように空気を一方向に規制するブリーザチェック弁(図示せず)を装着する。通常の負の圧力に対応するために、空気室振動板(90)には、増圧器ピン(80)と、円板座金(81)と、ばねキャップ(82)と、ばねキャップ座金(83)と、 ばね(87)とが取り付けられる。ばね(87)は、負の圧力に対向する空気室振動板(90)を付勢することにより、圧力波が正になり始めたときに空気室振動板(90)をリセットするように作用する。
【0020】
この圧力の差異および空気室振動板(90)のばねリセットは、運動を引き起こす。運動は増圧器ピン(80)に伝わり、 増圧器ピン(80)は低減器板(70)を通過し、燃料ポンプ振動板(16)に接続する。低減器板(70)は2つの異なる直径を有する。
すなわち、空気室(150)側に大きい直径が形成され、燃料ポンプ室(160)側に小さい直径が形成される。そして、この組み合わせは、クランク室からの低い圧力を燃料システム(1)で用いる適度な圧力に増圧するように作用する。低減器室(190)は、空気室(150)と燃料ポンプ室(160)との間の直径差を吸収する必要がある。燃料ポンプ振動板(16)は増圧器ピン(80)により動かされる。
【0021】
動きは増圧器ピン(80)から燃料ポンプ振動板(16)上に伝達される。燃料ポンプ振動板(16)が動くときに、圧力波が燃料ポンプ室(160)内に発生し、燃料は燃料ポンプ室排出口チェック弁(22)および燃料ポンプ室吸込み口チェック弁(21)により一方向に送られる。燃料は燃料タンク(4)から燃料ポンプ吸込み口(23)に供給され、燃料ポンプ吸込み口室17内に送られる。
【0022】
燃料ポンプ室(160)内の圧力が低くなると、燃料ポンプ室吸込み口チェック弁21が開き、燃料は燃料ポンプ吸込み口室17から燃料ポンプ室(160)内に移動する。燃料ポンプ振動板(16)が逆に動くと、燃料ポンプ室(160)の圧力は燃料ポンプ室吸込み口チェック弁(21)を閉じさせ、燃料ポンプ室排出口チェック弁(22)を開かせる。すると、燃料が燃料ポンプ室(160)から燃料ポンプ排出口室(180)内に移動し、プロセスは終了し次回の開始に備える。本開示の重要な概念の一つにおいて、弱い信号パルスを用いてエンジン2を駆動し、エンジン2に燃料を供給する能力がある。
【0023】
本開示の別の特徴は、電子ガバナー60を内蔵しエンジン回転数を制御することである。電子ガバナー60に対する制御ループ(
図6A)とは、所望のRPMの入力、PI制御ループ、計算されたRPMの測定値、続いて、スロットル角度コマンドを生成する線形化段のものを含む。所望のRPMコマンドの入力は50Hz/60Hzジェネレータ、即ち、3000RPM/3600RPM、に必要とされるなどのような静的値とすることができ、或いは、ユーザからの動的コマンドとすることができる。どちらにしても、制御ループはRPMエラーを強制的にゼロにするスロットル角度コマンドを生成することになる。
【0024】
電子ガバナー制御ループは、ECU42のマイクロプロセッサにおいてデジタル処理で演算される。サンプリングしたRPMエラー(Nset−N)を乗じた比例ゲイン(Kp)と累積したRPMエラー(Nset−N)dtを乗じた積分ゲイン(Ki)を利用することにより、マイクロプロセッサは、RPMエラーを常に最小限にする一方、動作点を常に調整することができる。
図6Cは、RPMコマンドの2000RPMから3000RPMの変化に応じた模擬制御ループを示す。
【0025】
PIループからのスロットル角度コマンドはPWMジェネレータに入力する前に線形化され、ロタリーソレノイド64(
図6D)の非線形応答を補償する。ロタリーソレノイドの中には、広く開いたスロットル位置付近での移動度と比べると閉位置での移動度の一度当たりに必要とする動きが少ないものがあるので、こうしたことは必要である。これは、主に、ロタリーソレノイド64の戻りばね65により生じる。次いで、線形化スロットル角度コマンドはパルス幅変調ブロックに渡される。パルス幅変調ブロックでは、スロットルプレート66と動作可能に接続されたロタリーソレノイド64を駆動するために用いるパルス幅を変動した一連のパルスにコマンドを変換する。このようにして、エンジン2の速度は従来技術の機械的に制御(governed)された配置構成を必要とすることなく電子的に制御される。
【0026】
当業者が明らかになるように、システム1の様々な動作を制御する際にECU42が受信および生成した動作信号を
図7Aおよび7Bに例示的に示す。
【0027】
実現するための多数の変形を行うことが可能であり、こうした変形は電子ガバナーに同様の結果をもたらす。例えば、(1)ロタリーソレノイドはステッパーまたはDC電動機と取り替えて、(2)制御ループの帯域幅をより高くでき、スロットル角度コマンドおよびスロットル位置センサフィードバックを利用する内部PIまたはPID制御ループを実現することができ、(3)スロットルプレートPWM駆動信号をHブリッジ駆動またはアナログ駆動信号に置き換えてもよく、(4)マイクロプロセッサはDSP(デジタル信号プロセッサ)、FPGA(フィールドプログラミングゲートアレイ)、またはその他の計算デバイスと置き換えても良く、(5)制御ループを、例えば比例項のみを用いて実現することができる。
【0028】
当業者が明らかなように、本開示の様態は、コンピュータ実装プロセスおよびそのプロセスを実践する装置で実施することができる。また、本開示の様態はフレキシブルディスク、CD−ROM、ハードドライブまたはその他のコンピュータ読取可能な記憶媒体などのような有形の媒体に埋め込まれた命令を含むコンピュータプログラムコードの形態で具体化もできる。この場合、コンピュータプログラムコードが、コンピュータ、マイクロプロセッサまたは論理回路などのような電子デバイスまたはECUの他の形態にロードされ、これにより実行されるとき、そのデバイスは、本発明を実施するための装置となる。
【0029】
上記の観点で、本開示の複数の目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かる。本発明の範囲から逸脱することなく上記構造において様々な変更が成し得るので、上記説明に包含または添付図面に示された全事項は、例示として、制限を意味するものではないと解釈されることを意図する。