(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697613
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】補助モータ付き手動巻上機
(51)【国際特許分類】
B66D 3/18 20060101AFI20150319BHJP
B66D 3/20 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
B66D3/18 C
B66D3/20 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-12891(P2012-12891)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-151347(P2013-151347A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(74)【代理人】
【識別番号】100105223
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 謙秀
(72)【発明者】
【氏名】河西 貴幸
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭47−6016(JP,Y1)
【文献】
特開2002−362883(JP,A)
【文献】
特開2009−220953(JP,A)
【文献】
特開2000−26076(JP,A)
【文献】
特開2006−248692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 3/16−3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り荷を保持するメカニカルブレーキ機構と
操作者の巻き上げ手引き力を補助する補助モータ付き手動巻上機において、
前記メカニカルブレーキ機構は、外周に雄ネジが螺刻されたブレーキ軸と、前記ブレーキ軸に螺合する雌ネジを有する駆動部材と、前記ブレーキ軸の外周に嵌合された受圧部材と、前記駆動部材と前記受圧部材間にブレーキ板に挟まれ前記ブレーキ軸に回転可能に配置され、回転規制手段により、巻き下げ方向への回転が規制される制動部材を備え、前記操作者の巻き上げ手引き力を手引き力伝達機構を介して前記駆動部材に伝達し、
前記補助モータの回転を補助動力伝達機構を介して前記メカニカルブレーキ機構の制動部材に伝達することを特徴とする補助モータ付き手動巻上機。
【請求項2】
前記回転規制手段は、制動部材の外周に配置された歯部と爪からなるラチェット機構であることを特徴とする請求項1記載の補助モータ付き手動巻上機。
【請求項3】
前記回転規制手段は、補助動力伝達機構に配置された第1ワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項1記載の補助モータ付き手動巻上機。
【請求項4】
前記補助動力伝達機構は、前記補助モータの巻き上げ回転方向の回転力のみを制動部材に伝達する第2ワンウェイクラッチを備えていることを特徴とする請求項1記載の補助モータ付き手動巻上機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助モータ付き手動巻上機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドホイールの回転を伝達機構を介して駆動軸に伝達し、駆動軸に回転自在に外装した減速機構を介してロードシーブを回転するチェーンブロックにおいて、ハンドホイールに加わるトルクに応じて作動するトルク応答レバーと、駆動軸と連係する補助モータを設け、トルク応答レバーの動作により補助モータの駆動を制御するようにした補助モータ付きチェーンブロックは本出願人においてすでに提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−362883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記補助モータ付きチェーンブロックは、荷の巻き下げ時など、手動によるハンドホイール回動時には、電磁クラッチにより補助モータと駆動軸の連係を切ることにより、補助モータはハンドホイール回動時の抵抗にならないため、補助モータを装置しない手動チェーンブロックと同じ力で作業を行うことができ、一方、ハンドホイールに高トルクが加わった場合には、トルク応答レバーにより、補助モータを作動し、同時に電磁クラッチを作動し、補助モータのアシストにより、減速装置を介してロードシーブを駆動するもので、巻き上げ操作時の負荷の軽減を自動的に行うことができるが、ハンドホイールと電動補助モータとの連結をON−OFFをするために、電磁クラッチ手段を用いているため、高価でかつ構成が複雑であるという課題を有していた。
【0005】
すなわち、従来の、駆動軸に補助動力伝達機構を介して補助モータの駆動力を伝達する方法では、ハンドホイール等が巻き下げ方向に回動すると、何らかのクラッチ手段がなければ補助モータも回転するので、そのままでは操作性が悪く、ハンドホイールと補助モータの切り離しを行うため高価な電磁クラッチ等が必要であり、操作者が違和感なく連結切り離しする制御は難しいものだった。
【0006】
本発明は、補助モータ付手動巻上機において、電磁クラッチ手段など、高価な切換手段を必要とせず、かつ、構成が簡単な補助モータ付き手動巻上機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、吊り荷を保持するメカニカルブレーキ機構と
操作者の巻き上げ手引き力を補助する補助モータ付き手動巻上機において、
前記メカニカルブレーキ機構は、外周に雄ネジが螺刻されたブレーキ軸と、前記ブレーキ軸に螺合する雌ネジを有する駆動部材と、前記ブレーキ軸の外周に嵌合された受圧部材と、前記駆動部材と前記受圧部材間にブレーキ板に挟まれ前記ブレーキ軸に回転可能に配置され、回転規制手段により、巻き下げ方向への回転が規制される制動部材を備え、前記操作者の巻き上げ手引き力を手引き力伝達機構を介して前記駆動部材に伝達し、
前記補助モータの回転を補助動力伝達機構を介して前記メカニカルブレーキ機構の制動手段に伝達することを特徴とする。
【0008】
また、前記回転規制手段は、制動部材の外周に配置された歯部と爪からなるラチェット機構であることを特徴とする。
【0009】
また、前記回転規制手段は、補助動力伝達機構に配置された第1ワンウェイクラッチであることを特徴とする。
【0010】
また、前記補助動力伝達機構は、前記補助モータの巻き上げ回転方向の回転力のみを制動部材に伝達する第2ワンウェイクラッチを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、吊り荷を保持するメカニカルブレーキ機構と操作者の巻き上げ手引き力を補助する補助モータ付き手動巻上機において、前記メカニカルブレーキ機構は、外周に雄ネジが螺刻されたブレーキ軸と、前記ブレーキ軸に螺合する雌ネジを有する駆動部材と、前記ブレーキ軸の外周に嵌合された受圧部材と、前記駆動部材と前記受圧部材間にブレーキ板に挟まれ前記ブレーキ軸に回転可能に配置され、回転規制手段により、巻き下げ方向への回転が規制される制動部材を備え、前記操作者の巻き上げ手引き力を手引き力伝達機構を介して前記駆動部材に伝達し、前記補助モータの回転を補助動力伝達機構を介して前記メカニカルブレーキ機構の制動手段に伝達する構成としたので、従来装置のように高価な電磁ブレーキ手段を必要とせず、また複雑なクラッチ機構を必要としないため、故障の少ない電動補助モータ付チェーンブロックを提供することができる。また、補助モータの補助動力伝達機構に補助モータの巻き上げ回転方向の回転力のみを制動部材に伝達する第2ワンウェイクラッチを設けたので、低負荷の巻き上げ操作時においても、補助モータがハンドホイールの回転の抵抗とならない補助モータ付き手動巻上機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の補助モータ付き手動巻上機を示す斜視図。
【
図4】実施の形態1の補助動力伝達機構を示す詳細説明図。
【
図6】巻き上げ動作時の動力伝達を示すシステム構成図。
【
図7】巻き下げ動作時の動力伝達を示すシステム構成図。
【
図8】本発明の第2実施例の補助モータ付き手動巻上機を示す斜視図。
【
図10】他の実施の形態の補助動力伝達機構を示す詳細説明図。
【
図11】他の実施の形態の補助動力伝達機構を示す詳細説明図。
【
図12】他の実施の形態の補助動力伝達機構を示す詳細説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
図1〜
図5を参照して本発明の第1実施の形態の補助モータ付き手動巻上機について説明する。
【0014】
図において、1は手引き力を入力するハンドホイール、2はハンドホイール1の内側に設けた内歯車、3は前記内歯車2と噛合し回転する遊星歯車、4は遊星歯車3と噛合し、支持軸5にスプライン5aで連結されたサンギア、6は遊星歯車のキヤリア、6aはキヤリア6に固設けられ、キヤリア6と一体で回転する出力部材で、第一実施の形態では、遊星歯車の回転軸の一端に一体的に形成されている。内歯車2、遊星歯車3、サンギア4、及びキヤリア6で遊星歯車機構を構成し、ハンドホイール1から出力軸6aで手引き力伝達機構を構成する。
【0015】
7は出力部材6aに連結され雌ネジ7aを有する駆動部材、8はブレーキ板、9は両側にブレーキ板8が配設された制動部材である。10、10aは制動部材9の外周に設けられ、回転規制手段であるワンウェイクラッチとして作用する歯部と爪で、歯部10に並設して大径スプロケット19aが制動部材9の外周に設けられている。歯部10と爪10aでラチェット機構を構成する。
【0016】
11は受圧部材で、12は雄ネジ12aが螺刻され、前記駆動部材7の雌ネジ7aと螺合するブレーキ軸で、駆動部材7とブレーキ軸12に働らくねじ作用で、ブレーキ板8と制動部材9をブレーキ軸12に嵌合固定された受圧部材11に押圧することで、ブレーキ軸12と制動部材9は一体となる。駆動部材7、ブレーキ板8、制動部材9、受圧部材11及びブレーキ軸12でメカニカルブレーキを構成する。13はロードシーブ、14はロードギヤ、15はブレーキ軸12の端部に連結された小歯車と噛合する減速歯車である。
【0017】
次に、補助モータと補助動力伝達機構について説明する。16は補助モータ、17aは補助モータ16の出力軸16aの端部に設けられた小径ギヤ、17bは小径ギヤ17aと噛合する大径ギヤ、18は前記大径ギヤ17bを軸承し、端部は小径スプロケット19bを有する伝達軸、20は前記制動部材9に設けた大径スプロケット19aと小径スプロケット19b間に張設されたチェーン、21は前記大径ギヤ17bと伝達軸18間に嵌装され、補助モータの巻き上げ回転方向の回転力のみを制動部材9に伝達する第2ワンウェイクラッチで、ハンドホイール1による巻上方向の回転が補助モータ16による巻上方向の回転を上回った時に空転し、補助モータ16が制動部材9の回転の抵抗とならないように作用する。出力軸16a、小径ギヤ17a、大径ギヤ17b、伝達軸18、大径スプロケット19a、小径スプロケット19b、チェーン20で補助動力伝達機構を構成する。
【0018】
次に、22は前記遊星歯車機構の支持軸5の端部に設けられたトルク応答レバー、23はトルク応答レバー22の作動部、24はトルク応答レバー22の作動部23に作用して一方向に付勢する調整バネ、25はトルク応答レバー22のストッパー、26はトルク応答レバー22の作動量を検出するポテンションメータで、前記トルク応答レバー22からポテンションメータ26が巻き上げ手引力検出手段を構成する。
【0019】
前記遊星歯車機構のサンギヤ4は、前記調整バネ24とストッパ25により支持軸5を介して回転が規制されている。巻き上げ負荷が低負荷の場合にハンドホイール1を手動により巻き上げ方向に回動すると、内歯車2が回転し、遊星歯車3、キャリア6を介して出力部材6aを回転し、出力部材6aに連結している駆動部材7を回転し、制動部材9と受圧部材11とブレーキ軸12が一体となって回転し、減速歯車15と中間ギヤ(開示せず)を介してロードギヤ14を回転し、ロードシーブ13を回転する。
【0020】
一方、巻き上げ負荷が調整バネ24の付勢力によって定まる所定の負荷を上まわる負荷の場合は、ハンドホイール1を手動により巻き上げ方向に回動すると、低負荷の場合と同様に、手引き力伝達機構とメカニカルブレーキ機構と減速歯車機構の遊星歯車機構で伝達するトルクに応じてトルク応答レバーが調整バネ24の付勢力に抗して所定量回転し、この回転量をポテンショメータ26で検知することで、ハンドホイール1に加えられた負荷、すなわち、巻き上げ手引き力の有無と大きさを検出する。
【0021】
ポテンショメータ26により検出された巻き上げ手引き力が一定値に達すると、コントローラ(図示せず)により補助モータ16が回転し、補助モータ16の出力軸16aに固設された小径ギヤ17aと大径ギヤ17b間で減速され、第2ワンウェイクラッチ21を介して伝達軸18を回転し、伝達軸18に設けた小径スプロケット19bを回転し、チェーン20を介して大径スプロケット19aを回転し、制動部材9を回転する。
【0022】
ハンドホイール1からの巻き上げ方向への回転は、前記の通り、遊星歯車機構(内歯車2、遊星歯車3)、出力部材6aを介して駆動部材7を回転し、ブレーキ板8、制動部材9、受圧部材11とブレーキ軸12がねじの作用で締めつけられ一体となっており、メカニカルブレーキ機構を構成する制動部材9において、ハンドホイール1からの手動による入力トルクと補助モータ16からの補助トルクが重畳され、ブレーキ軸12、減速歯車15等を介してロードシーブ13に伝達され、補助モータ16のアシストによる荷の巻き上げが行われる。
【0023】
次に
図6、7に示すシステム構成図を参照し、本実施の形態のチェーンブロックの動作について説明する。
【0024】
図6に示す荷の巻き上げ時には、まず、ハンドホイール1を手動により荷物の巻き上げ方向に回転し、荷物の荷重等により、ハンドホイール1のトルクが一定値以上になると、サンギヤ4を介してトルク応答レバー22を回動し、ポテンショメータ26によりトルクが検出され、検出されたトルクが一定値以上の場合は、コントローラ(図示せず)を介して補助モータ16を作動し、小径ギヤ17a、大径ギヤ17bを介して伝達軸18を回転し、小径スプロケット19b、大径スプロケット19a間に張設されるチェーン20で制動部材9を回転し、ハンドホイール1からの入力トルクと補助モータ16からの補助トルクが制動部材9で重畳されて、受圧部材11、ブレーキ軸12から減速歯車15、ロードギヤ14を介してロードシーブ13を回転する。また、上記した巻き上げ動作時に、ハンドホイール1の回転が補助モータ16の回転を上回った時には、伝達軸18に設けたワンウェイクラッチ21で大径ギヤ17bが空転することで、補助モータ16の回転は制動部材9の回転の抵抗とならない。
【0025】
図7に示す荷の巻き下げ時には、ハンドホイール1を巻き下げ方向に回転すると、メカニカルブレーキ機構の制動部材9を締め付ける力が弛緩することで、ブレーキ軸12は吊り荷の負荷によって巻き下げ方向に回転する。この巻き下げ動作時には、トルク応答レバー22の回転は、ストッパー25により規制されているためハンドホイールに加えられた巻き下げ手引力は検出されず、補助モータ16は作動しない。また、ワンウェイクラッチとして作用する制動部材9の外周に設けられた歯部10は爪10aにより巻き下げ方向には回転しないため、補助動力伝達機構も回転しないので前記補助モータ16はハンドホイール1の巻き下げ方向の回動抵抗とはならず、従来の手動チェーンブロックと同じ力で巻き下げ操作を行うことができる。
[実施の形態2]
次に、
図8〜12を参照して他の実施の形態について説明する。
【0026】
実施の形態1においては、制動部材9と補助動力伝達機構は、制動部材9に設けられ、ワンウェイクラッチとして作用する歯部10と、爪10aにより巻き下げ方向への回転を規制しているが、本実施の形態では、制動部材9は、歯部10と爪10aを備えず、制動部材9の巻き下げ方向への回転を規制するワンウェイクラッチを補助モータ16の補助動力伝達機構に設けた構成としている。
【0027】
図8、9において、制動部材9は外周に大径スプロケット10を備える円板状体であり、その他の構成は
図1、2と同一であり説明を省略する。
【0028】
図10において、27aは補助モータ16の出力軸16aの軸受け部に取設された第1ワンウェイクラッチで、ワンウェイクラッチ27aは出力軸16aの巻き上げ方向の回転を許容し巻き下げ方向への回転を規制することで、制動部材9の巻き下げ方向への回転を規制する。また、21は伝達軸18に設けられた第2ワンウェイクラッチで、ハンドホイール1による巻き上げ方向の回転が補助モータ16による巻き上げ方向の回転を上回った時、または、軽負荷時で補助モータ16が作動しない時に空転し、補助モータ16の回転が制動部材9の回転の抵抗とならないように作用する。
【0029】
図11において、27bは小径スプロケット19bのボス部外周に設けられた第1ワンウェイクラッチで、小径スプロケット19bの巻き上げ方向の回転を許容し、巻き下げ方向の回転を規制し、制動部材9の巻き下げ方向の回転を規制する。
図12において、27cは大径ギヤ17bに突出部28を設け、突出部28と支持フレーム29の軸受け部29a間に設けた第1ワンウェイクラッチで、大径ギヤ17bの巻き上げ方向への回転を許容し、巻き下げ方向への回転を規制し制動部材9の巻き下げ方向の回転を規制する。前記実施の形態1、2において、手動巻上機として、手動チェーンブロックを用いて説明したが、この形態に限定されるものではなく、レバーホイストや手動ウィンチ他の手動巻上機であってもよい。また、手引力検出手段として、トルク応答レバー22〜ポテンションメータ26を用いて説明したが、この形態に限定されない。
【0030】
本発明によると、補助モータ付き手動巻上機のメカニカルブレーキ機構は、外周に雄ネジ12aが螺刻されたブレーキ軸12と、前記ブレーキ軸12に螺合する雌ネジ7aを有する駆動部材7と、前記ブレーキ軸12の外周に嵌装された受圧部材11と、前記駆動部材7と前記受圧部材11間にブレーキ板8に挟まれ前記ブレーキ軸12に回転可能に配置され、ワンウェイクラッチである歯部10、爪10aまたは第1ワンウェイクラッチ27a〜27cにより、巻き下げ方向への回転が規制される制動部材9を備え、前記操作者の巻き上げ手引き力を手引き力伝達機構を介して前記駆動部材に伝達し、前記補助モータの回転を補助動力伝達機構を介して前記メカニカルブレーキ機構の制動手段に伝達する構成とし、巻き下げ操作時に補助モータ16の切り放し不要としたので、従来装置のように高価な電磁ブレーキ手段等を必要とせず、また複雑なクラッチ機構を必要としないため、故障の少ない補助モータ付手動巻上機を提供することができる。また、補助モータの補助動力伝達機構にハンドホイールによる回転が補助モータによる回転を上回ったときに空転するワンウェイクラッチを設けたので、巻き上げ操作時においても、補助モータの回転がハンドホイール1の回転の抵抗とならない補助モータ付き手動巻上機を提供することができる。また、制動手段9の回転規制を制動手段9の外周に設けたワンウェイクラッチから補助動力伝達機構の第1ワンウェイクラッチに変更することで、メカニカルブレーキ機構を小形化することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ハンドホイール
3 遊星歯車
4 サンギヤ
6 キャリア
6a 出力部材
7 駆動部材
7a 雌ネジ
8 ブレーキ板
9 制動部材
10 歯部
10a 爪
11 受圧部材
12 ブレーキ軸
12a 雄ネジ
13 ロードシーブ
16 補助モータ
16a 出力軸
17a 小径ギヤ
17b 大径ギヤ
18 伝達軸
19a 大径スプロケット
19b 小径スプロケット
20 チェーン
21 第2ワンウェイクラッチ
22 トルク応答レバー
26 ポテンションメータ
27a、27b、27c 第1ワンウェイクラッチ
28 突出部