特許第5697619号(P5697619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697619
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】プリンタシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20150319BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G06F3/12 D
   G06F3/12 K
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-38497(P2012-38497)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-173253(P2013-173253A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2013年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 洋之
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−134562(JP,A)
【文献】 特開2001−075764(JP,A)
【文献】 特開平11−353141(JP,A)
【文献】 特開平07−319645(JP,A)
【文献】 特開2010−052421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 3/54
G06F 3/12
H04N 1/00
G03G 21/00
G07G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータから送信されてきた親印刷データの印刷指示を受け印刷を行う第1の印刷部を有する親プリンタ部と、
この親プリンタ部に接続され前記ホストコンピュータから前記親プリンタ部を介して送信されてきた子印刷データの印刷を行う第2の印刷部を有する子プリンタ部と、
を備え、
前記第2の印刷部において印刷障害が生じたとき、前記子印刷データを前記親プリンタ部に送り返し、前記第1の印刷部で当該子印刷データの印刷を行う第1の制御部と、を更に備えたプリンタシステム。
【請求項2】
前記子プリンタ部は、前記第1の印刷部において印刷障害が生じたとき、前記第2の印刷部で前記親印刷データの印刷を行う請求項1記載のプリンタシステム。
【請求項3】
前記親プリンタ部は、前記第1の印刷部における印刷障害を検知する第1の印刷障害検知部を有する請求項2記載のプリンタシステム。
【請求項4】
前記子プリンタ部は、前記第2の印刷部における印刷障害を検知する第2の印刷障害検知部を更に有する請求項1乃至3のいずれか一に記載のプリンタシステム。
【請求項5】
ホストコンピュータから送信されてきた親印刷データを処理する親プリンタ部と、この親プリンタ部からの印刷データを受けて処理する子プリンタ部を有するプリンタシステムであって、
前記親プリンタ部は、
ホストコンピュータから送信されてきた印刷データを含むコマンドを受信するコマンド受信部と、
このコマンド受信部により受信されたコマンドに含まれる印刷データが親プリンタ部で印刷を行う親印刷データであるときこの親印刷データの印刷を行う第1の印刷部と、
前記コマンド受信部により受信されたコマンドに含まれる印刷データが子プリンタ部で印刷を行う子印刷データであるときのこの子印刷データを前記子プリンタ部へ伝送する印刷データ伝送部と、
前記子プリンタ部からのデータを受信する子データ受信部と、
前記ホストコンピュータにデータを送信するデータ送信部を有し、
前記子プリンタ部は、
前記印刷データ伝送部から伝送されてきた前記子印刷データを印刷する第2の印刷部と、
前記子データ受信部にデータを伝送する子データ伝送部と、
を有し、
前記第2の印刷部において印刷障害が生じたとき前記子印刷データを前記親プリンタ部に送り返し、第1の印刷部により当該子印刷データの印刷を行う第1の制御部と、を更に備えたプリンタシステム。
【請求項6】
前記子プリンタ部は、前記第1の印刷部において印刷障害が生じたとき、前記第2の印刷部で前記親印刷データの印刷を行う第2の制御部と、を更に備えた請求項5記載のプリンタシステム。
【請求項7】
前記親プリンタ部は、前記第1の印刷部における印刷障害を検知する第1の印刷障害検知部を有する請求項6記載のプリンタシステム。
【請求項8】
前記子プリンタ部は、前記第2の印刷部における印刷障害を検知する第2の印刷障害検知部を更に有する請求項5乃至7のいずれか一に記載のプリンタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばホストコンピュータに対して、上位の親プリンタ部とこのプリンタ部の制御のもとに作動する下位の子プリンタ部から成るプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプリンタがネットワークに接続されている場合に、指定されたプリンタが印刷中などで印刷できない場合に、そのジョブを他の空いているプリンタに転送してそのプリンタで印刷することは知られている。また、異なる種類のラベルを印刷できる複数のプリンタ機構を有するプリンタ装置も知られている。
【0003】
しかし、前者では、プリンタ毎に信号送信受信装置が必要であり、全体のシステムとしては高価になってしまう。また、後者では、複数のプリンタ機構は種類の異なるラベルを印刷するためにあり、一方のプリンタ機構で印刷できない場合に他のプリンタ機構で印刷することはできず、利便性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−353141号公報
【特許文献2】特開平7−319645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題にかんがみてなされたもので、全体のシステムとしては高額とならずしかも、印刷機構の一部に障害が生じても印刷が可能で利便性を向上させたプリンタシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態のプリンタシステムは、ホストコンピュータから送信されてきた親印刷データの印刷指示を受け印刷を行う第1の印刷部を有する親プリンタ部と、この親プリンタ部に接続され前記ホストコンピュータから前記親プリンタ部を介して送信されてきた子印刷データの印刷を行う第2の印刷部を有する子プリンタ部と、を備え、前記第2の印刷部において印刷障害が生じたとき、前記子印刷データを前記親プリンタ部に送り返し、前記第1の印刷部で当該子印刷データの印刷を行う第1の制御部と、を更に備える
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態のプリンタシステムの構成とホストコンピュータの関係を示す図である。
図2図1に示す実施形態における親プリンタ部と子プリンタ部の構成例を示す図である。
図3】一実施形態の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。一実施形態のプリンタシステムの構成例とホストコンピュータの関係を図1に示す。図1において、プリンタシステム11は、ホストコンピュータ12から印刷に関する指示などの印刷(情報)データを受信する。プリンタシステム11は、上位に位置する親プリンタ部13と、この親プリンタ部13に接続され、下位に位置する子プリンタ部14とを有する。ここで、プリンタシステム11を構成する親プリンタ部13と子プリンタ部14はほぼ一体となっており、ホストコンピュータ12とも近くに設けられていることを想定している。
【0009】
親プリンタ部13は、ホストコンピュータ12からの自己に対する印刷指示に基づいて印刷処理を行うと共に、子プリンタ部14への印刷指示に対して印刷データ(子プリンタ部14にて印刷を行うデータ)などを子プリンタ部14に送るとともに、子プリンタ部14からの情報を受信してホストコンピュータ12に送る。したがって、子プリンタ部14は、ホストコンピュータ12との通信機能(信号送受信機能)を有せず、印刷指示は親プリンタ部13から受け取って印刷処理を行い、またホストコンピュータ12への情報は、親プリンタ部13に送り、親プリンタ部13は、子プリンタ部14から受けた情報をホストコンピュータ12に送信する。親プリンタ部13で印刷障害が発生したときには、子プリンタ部14で印刷を行う。この実施形態では、子プリンタ部14で印刷障害が発生した時にも親プリンタ部13で印刷を行うようにしている。しかし、親プリンタ部13で印刷障害が発生したときのみ子プリンタ部14で印刷するようにしてもよい。
【0010】
プリンタシステム11の構成例を図2に示す。親プリンタ部13は、ホストコンピュータ12からの印刷指示、印刷データ、その他の制御信号を含むコマンドを受信するコマンド受信部20と、このコマンド受信部20で受信したコマンドを解析し、親プリンタ部13での印刷を指示するものかそれとも子プリンタ部14での印刷を指示するものかを識別するコマンド識別部21と、コマンド識別部21において識別された印刷データを親印刷データと子印刷データを区別して一旦記憶する印刷データ一時記憶部21mと、コマンド識別部21で印刷データが親印刷データであった場合にこの親印刷データを印刷する印刷部22と、コマンド識別部21で識別された印刷データが子プリンタ部14で印刷を指示するものであった場合に、その子印刷データを子プリンタ部14に伝送する印刷データ伝送部23と、印刷部22における印刷状態を監視し、紙詰まりなどの印刷障害が生じたときにこれを検知する印刷障害検知部24と、子プリンタ部14から送られてくる子データを受信する子データ受信部25と、印刷部22での印刷が終了したこと、印刷障害検知部24で印刷の障害が検知されたこと及び子データ受信部25で受信した子データをホストコンピュータ12に送信するデータ送信部26とを有する。
【0011】
印刷障害検知部24において印刷部22の印刷障害が検知され、親印刷データ(親プリンタ部13で印刷するデータ)を印刷できないときには、印刷障害検知部24は、その旨を示す制御信号を印刷データ一時記憶部21mに送る。この制御信号を受けた印刷データ一時記憶部21mは印刷部22で印刷できなかった親印刷データを印刷データ伝送部23に送り、このデータを子プリンタ部14に伝送する。
【0012】
子プリンタ部14は、親プリンタ部13の印刷データ伝送部23から伝送されてきた子印刷データを印刷する印刷部27と、印刷部27における印刷障害を検知する印刷障害検知部28と、印刷部27において印刷が終了したこと、印刷障害検知部28で印刷の障害を検知したことなどを親プリンタ部13の子データ受信部25に伝送する子データ伝送部29を有する。
【0013】
なお、印刷障害検知部24,28において検知する印刷障害には、紙詰まりなど故障対応などが必要な状態のほか、用紙やトナーが切れたことなどの状態も含まれる。これらの場合には、親プリンタ部13や子プリンタ部14の外面に、別途、設けたランプを点灯させることなどにより、それらの状態を操作者に知らせる。
【0014】
また、子データ伝送部29からは、印刷障害検知部28により印刷部27に印刷障害が発生したことを検知し、印刷部27において印刷が行えない場合にその旨の印刷障害を意味する障害データを子データ受信部25に送る。子データ受信部25は、印刷データ一時記憶部21mに制御信号を送り、印刷データ一時記憶部21mに一時記憶されていた子印刷データを親プリンタ部13の印刷部22において、印刷する。
【0015】
このようにして、親プリンタ部13における印刷障害が、印刷障害検知部24で検知されたときには、その親印刷データが印刷データ一時記憶部21mから読み出されて印刷データ伝送部23を介して子プリンタ部14の印刷部27で印刷される。一方、子プリンタ部14における印刷障害が、印刷障害検知部28で検知されたときには、子データ伝送部29から子データ受信部25にその旨の制御信号が送られ、印刷障害となっている子印刷データが印刷データ一時記憶部21mから読み出されて親プリンタ部13の印刷部22に送られここで印刷される。
【0016】
次にこの実施形態の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。まずステップS301では、ホストコンピュータ12から送られてきたコマンドを、親プリンタ部13のコマンド受信部20において受信する。このコマンドには、印刷データ、印刷データの親子の別、その他の制御データが含まれる。コマンド受信部20で受信されたコマンドは、コマンド識別部21で印刷データの親子の別が識別され、印刷データはステップS302で印刷データ一時記憶部21mに一時記憶される。このとき、印刷データの親子の別も記憶される。
【0017】
そして、ステップS303で、コマンド識別部21において印刷データが子印刷データかそれとも、親印刷データかが識別されて、子印刷データでなければ、即ち親印刷データであれば(S303;N)、印刷部22に送られる。そして、ステップS304で印刷障害検知部24において、印刷障害があるか判定される。印刷部22に紙詰まりなどの印刷障害がなければ(S304;N)、次のステップS305で印刷がなされる。
【0018】
一方、ステップS304で印刷障害検知部24により印刷障害があることが検知される(S304;Y)と、ステップS306で子プリンタ部14に印刷部27で印刷することを要求する。
【0019】
具体的には、印刷障害検知部24からその旨の制御信号が印刷データ一時記憶部21mに送られ、印刷データ一時記憶部21mに記憶されている親印刷データが読み出されて、ステップS307で、印刷データ伝送部23を介して子プリンタ部14の印刷部27に送られる。次のステップS308で、印刷部27にて印刷がなされる。この場合には、本来親プリンタ部13において印刷されるべき親印刷データが、その印刷部22に印刷障害が生じているために、子プリンタ部14の印刷部27で印刷されたことになる。
【0020】
また、ステップS303でコマンド識別部21において印刷データが子印刷データであることが識別された場合には、子印刷データは印刷データ伝送部23を介して子プリンタ部14に伝送され(ステップS310)、印刷が開始される。ステップS311では、印刷障害検知部28が印刷部27を監視しており、ここで、紙詰まりなどの印刷障害があるか検知される。
【0021】
印刷障害検知部28により、印刷部27の印刷に障害がないことが検知されると、ステップS312で、印刷部27において子印刷データの印刷を行う。
【0022】
一方、ステップS311で印刷障害検知部28により印刷部27における印刷障害が検知されると、ステップS313で、印刷部22における印刷を親プリンタ部13に要求することになる。具体的には、印刷障害検知部28からその旨の制御信号が子データ伝送部29に送られ、親プリンタ部13の子データ受信部25に伝送される。子データ受信部25は、この制御信号を受けて印刷データ一時記憶部21mに、先に子プリンタ部14に伝送した子印刷データを読み出すよう指示する。
【0023】
次のステップS314で、印刷データ一時記憶部21mから当該子印刷データが読み出され、印刷部22に送られて印刷される(ステップS315)。
【0024】
このようにして印刷部22,27において親印刷データや子印刷データが印刷されると、ステップS316でデータ送信部26からその旨の情報データがホストコンピュータ12に送信される。
【0025】
この実施形態によれば、ホストコンピュータ12と通信を行うコマンド受信部20及びデータ送信部26は親プリンタ部13にのみ設けられており、子プリンタ部14には設けられていない。したがって、プリンタシステムとしては、高価にならない。また、親プリンタ部あるいは子プリンタ部で印刷障害が発生したときには、子プリンタ部あるいは親プリンタ部で印刷が可能であり、利便性を向上させることができる。
【0026】
上記実施形態では、ホストコンピュータとプリンタシステムは近くにあることを想定していたが、ネットワークを介して遠くに設けられていてもよい。
【0027】
上記実施形態では、ホストコンピュータ12から送信されてきた印刷データをすべて一旦、印刷データ一時記憶部21mに記憶させ、子プリンタ部14の印刷部27で印刷障害が発生したとき、この印刷データ一時記憶部21mから該当する子印刷データを子プリンタ部14に再送する構成としていた。しかし、子プリンタ部14の印刷部27で印刷障害が発生したときに、その子印刷データを子データ伝送部29から親プリンタ部13に送り返して、親プリンタ部13の印刷部22で印刷するようにしてもよい。このようにすれば、印刷データ一時記憶部21mを不要とすることが可能となる。
【0028】
上記実施形態では、親プリンタ部13の印刷部にて印刷障害が生じた場合に、子プリンタ部14の印刷部22において親印刷データの印刷を行い、また子プリンタ部14の印刷部27」にて印刷障害が生じた場合に、親プリンタ部13の印刷部22において子印刷データの印刷を行うことが可能な構成のプリンタシステムについて説明した。しかし本発明のプリンタシステムは、親プリンタ部の印刷部にて印刷障害が生じた場合に、子プリンタ部の印刷部において親印刷データの印刷を行うだけの構成としてもよい。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
11・・・・プリンタシステム
12・・・・ホストコンピュータ
13・・・・親プリンタ部
14・・・・子プリンタ部
20・・・・コマンド受信部
21・・・・コマンド識別部
21m・・・・印刷データ一時記憶部
22,27・・・・印刷部
23・・・・印刷データ伝送部
24,28・・・・印刷障害検知部
25・・・・子データ受信部
26・・・・データ送信部
29・・・・子データ伝送部
図1
図2
図3