(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回路基板の実装面上に配される電気コネクタと、該電気コネクタに接続される平型導体とを備える上記電気コネクタと上記平型導体との組立体であって、上記平型導体は、絶縁シートに回路部を設けて形成されていて、前後方向に延びる本体部と、該本体部から前方へ向けて延出する部分に補強板が貼付された接続部とを有し、上記電気コネクタは、上記平型導体の上記接続部を受け入れるための受入空間が後方に開口していると共に後半部が上方に開放して形成されたハウジングと、上記回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として上記ハウジングに配列保持され上記平型導体の上記接続部が接続される複数の端子とを有する上記電気コネクタと上記平型導体との組立体において、
上記平型導体は、上記端子の配列方向と同一方向をなす幅方向で上記接続部の両方の側端で上記幅方向外方に延出してから前方へ向け延びることで該側端との間に間隙をもって位置する腕状の被案内部を有し、該被案内部は上記補強板の一部の領域で形成されていて前端が接続部の前端よりも前方に位置しており、上記電気コネクタの上記ハウジングは、上記端子の配列方向で上記平型導体の上記被案内部と対応して上記受入空間の両方の側方位置で上記被案内部の両面を案内する案内部が受入空間よりも前方の位置から後方へ向け開口してスリットとして形成されていることを特徴とする電気コネクタと平型導体との組立体。
回路基板の実装面上に配され、平型導体が接続される電気コネクタであって、絶縁シートに回路部を設けて形成されていて前後方向に延びる上記平型導体の本体部から前方へ向けて延出する部分に補強板が貼付された接続部を受け入れるための受入空間が後方に開口していると共に後半部が上方に開放して形成されたハウジングと、上記回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として上記ハウジングに配列保持され接触部が上記受入空間内に位置している複数の端子と、開位置と閉位置の間でハウジングに対して回動可能で、開位置で上方に延びる姿勢のもとで平型導体の接続部が端子の接触部へ向け上記受入空間へ進入することを許容する可動部材とを有する上記電気コネクタにおいて、
上記ハウジングは、上記受入空間の両方の側方に位置する側壁に、上記平型導体を案内するための案内部が後方に開口して形成されており、該案内部は、上記端子の配列方向と同一方向をなす上記平型導体の幅方向における該平型導体の上記接続部の両方の側端で上記幅方向外方に延出してから前方へ向け延びることで該側端との間に間隙をもって位置する腕状の被案内部と上記端子の配列方向で対応して位置していて、上記被案内部の両面を案内するように被案内部の厚みより大きい寸法のスリットとして受入空間よりも前方の位置から後方へ向け開口して形成されており、少なくとも上記端子に相当する位置よりも前方に延びていることを特徴とする電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、平型導体が回路基板の実装面上の電気コネクタに接続される際、該平型導体は、該平型導体の後端側をもち上げるような傾斜姿勢のもとで電気コネクタに向けてもたらされることが多い。上述の特許文献1では、平型導体の冗長部は、電気コネクタの幅方向にて該電気コネクタの側壁外面の側方、すなわち該電気コネクタの外部に位置しているので、上記冗長部の厚さ方向では該電気コネクタから何ら規制を受けていない。したがって、この特許文献1では、平型導体の接続直前にて、該平型導体の傾斜姿勢が不安定となり、該平型導体を円滑に電気コネクタに挿入しにくい。
【0007】
このような事情に鑑みて、本発明は、電気コネクタに平型導体を接続する際の該平型導体の傾斜姿勢を安定させ、該平型導体を電気コネクタとの接続位置に円滑かつ確実にもたらすことが可能な電気コネクタと平型導体との組立体および電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<第一発明>
第一発明に係る電気コネクタと平型導体との組立体は、回路基板の実装面上に配される電気コネクタと、該電気コネクタに接続される平型導体とを備える上記電気コネクタと上記平型導体との組立体であって、上記平型導体は、
絶縁シートに回路部を設けて形成されていて、前後方向に延びる本体部と、該本体部から前方へ向けて延出する
部分に補強板が貼付された接続部とを有し、上記電気コネクタは、上記平型導体の上記接続部を受け入れるための受入空間が後方に開口して
いると共に後半部が上方に開放して形成されたハウジングと、上記回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として上記ハウジングに配列保持され上記平型導体の上記接続部が接続される複数の端子とを有している。
【0009】
かかる電気コネクタと平型導体との組立体において、本発明では、上記平型導体は、上記端子の配列方向と同一方向をなす幅方向で上記接続部の両方の側端
で上記幅方向外方に延出してから前方へ向け延びることで該側端との間に間隙をもって位置
する腕状の被案内部を有し、該被案内部は上記補強板の一部の領域で形成されていて前端が接続部の前端よりも前方に位置しており、上記電気コネクタの上記ハウジングは、上記端子の配列方向で上記平型導体の上記被案内部と対応して上記受入空間の両方の側方位置で上記被案内部の両面を案内する案内部が
受入空間よりも前方の位置から後方へ向け開口して
スリットとして形成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、平型導体の接続過程にて、電気コネクタの案内部が該平型導体の被案内部の両面を案内することにより、該被案内部の面が傾斜姿勢の規制を受ける。この結果、平型導体全体の傾斜姿勢が安定するので、該平型導体の接続部が電気コネクタの端子との接続位置に円滑かつ確実にもたらされる。
【0011】
平型導体の被案内部の前端は、接続部よりも前端よりも前方に位置していることとしてもよい。上記被案内部をこのような構成とすることにより、平型導体の接続過程にて、該平型導体の接続部が電気コネクタの受入空間に進入するのに先立って、まず、平型導体の被案内部が電気コネクタの案内部に進入する。この結果、被案内部が案内部によって案内されている状態で、接続部が電気コネクタの受入空間に進入するので、該接続部を端子との接続位置に、より円滑かつ確実にもたらされる。
【0012】
電気コネクタのハウジングの案内部は、端子の配列方向で外方へ向けても開口していることとしてもよい。上記案内部をこのような構成とすることにより、平型導体の接続過程にて、電気コネクタの側方から被案内部を目視できるので、被案内部が確実に案内されていることを確認できる。
【0013】
<第二発明>
第二発明に係る電気コネクタは、回路基板の実装面上に配され、平型導体が接続される電気コネクタであって、
絶縁シートに回路部を設けて形成されていて前後方向に延びる上記平型導体の本体部から前方へ向けて延出する
部分に補強板が貼付された接続部を受け入れるための受入空間が後方に開口して
いると共に後半部が上方に開放して形成されたハウジングと、上記回路基板の実装面に対して平行な一方向を配列方向として上記ハウジングに配列保持され
接触部が上記受入空間内に位置している複数の端子と
、開位置と閉位置の間でハウジングに対して回動可能で、開位置で上方に延びる姿勢のもとで平型導体の接続部が端子の接触部へ向け上記受入空間へ進入することを許容する可動部材とを有している。
【0014】
かかる電気コネクタにおいて、上記ハウジングは、上記受入空間の両方の側方
に位置
する側壁に、上記平型導体を案内するための案内部が後方に開口して形成されており、該案内部は、上記端子の配列方向と同一方向をなす上記平型導体の幅方向における該平型導体の上記接続部の両方の側端
で上記幅方向外方に延出してから前方へ向け延びることで該側端との間に間隙をも
って位置する腕状の被案内部と上記端子の配列方向で対応して位置していて、上記被案内部の両面を案内するように被案内部の厚みより大きい寸法のスリットとして
受入空間よりも前方の位置から後方へ向け開口して形成されており、少なくとも上記端子に相当する位置よりも前方に延びているようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、平型導体の接続過程にて、電気コネクタの案内部が該平型導体の被案内部の両面を案内することにより、該被案内部の面が傾斜姿勢の規制を受けるので、平型導体全体の傾斜姿勢が安定する。この結果、平型導体の接続部を電気コネクタの端子との接続位置に円滑かつ確実にもたらすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
本実施形態に係る電気コネクタと平型導体との組立体は、回路基板(図示せず)の実装面上に配される電気コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」という)と、該コネクタ1に接続される平型導体60とを備えている。
図1は、コネクタ1と平型導体60とが互いに接続されていない状態で示された斜視図である。
図2は、端子配列方向に対して直角な面でのコネクタ1の断面図であり、(A)は案内部15の位置、(B)は第一端子20の位置、(C)は第二端子30の位置、(D)は第三端子40の位置での断面を示している。
【0019】
まず、コネクタ1の説明に先立って、平型導体60について説明する。
図1に見られるように、平型導体60は、部材としては、前後方向に延びる帯状の絶縁シートに回路部(図示せず)が形成されたケーブル60Aと、該ケーブル60Aの前端側部分(
図1にて右上側の部分)の上面に貼付された電気絶縁材製の補強板60Bとから成っている。また、平型導体60は、形態としては、
図1にて一点鎖線で示されるように、後述の本体部61と、接続部62と、被案内部63とを形成している。ケーブル60Aの上記回路部は、上記絶縁シート内部に埋設されて、平型導体60の幅方向に配列されており、前後方向で平型導体60の前端位置まで延びている。また、該回路部は、前端側部分だけが上記接続部62の絶縁シートの下面で露呈しており、後述するコネクタ1の端子20,30,40と接触可能となっている。
【0020】
このような構成の平型導体60は、前後方向に延びる本体部61と、該本体部61から前方へ向けて延出する接続部62と、上記幅方向での本体部61の両側端から前方へ向けて延出する被案内部63とを有している。具体的には、
図1に示されるように、接続部62は、平型導体60の前端側でコネクタ1と接続される部分であり、本体部61は、上記接続部62より後方にあって、コネクタ1との接続状態にて該コネクタ1外に位置する部分である。
【0021】
接続部62は、該接続部62の前端側位置で両側端から平型導体60の幅方向で外方へ向けて突出する耳状の被係止部62Aが形成されている。被係止部62Aは、後述するコネクタ1の係止部(図示せず)に対して後方(平型導体60の抜出方向であり、
図1にて左下方)で係止して、コネクタ1からの平型導体60の不用意な抜けを防止する機能を有している。
【0022】
被案内部63は、
図1に見られるように、本体部61の前端側位置で該本体部61の両側端から平型導体60の幅方向での外方へ向けて延びてから前方へ向けて延びており、上方から見てL字状をなしている。また、被案内部63は、前方へ延びる部分の内側端63Aが接続部62の両側端のそれぞれと間隙をもつように位置しており、該被案内部63の前端が接続部62の前端よりも前方に位置している。被案内部63は、後述する電気コネクタ1の案内部15へ挿入され、その挿入の際に該案内部15により上下方向および端子配列方向に案内されるようになっている。
【0023】
このような構成の平型導体60は、ケーブル60Aの前端側部分の上面に補強板材を貼付した後、ケーブル60Aの前端側部分および上記補強板材を一括して打抜加工を施すことにより作られる。本実施形態では、被係止部62Aを含む接続部62はケーブル60Aおよび補強板60Bの二層から成り、被案内部63は補強板60Bのみの一層から成っている。なお、接続部が二層そして被案内部が一層で構成されることは必須ではなく、該被係止部および被案内部は一層であっても二層であってもよい。また、本実施形態では、平型導体60に補強板60Bが設けられていることとしたが、補強板は必須の構成ではない。例えば、補強板を設けることなく、ケーブル60Aの絶縁シート自体に上述の形状の被係止部および被案内部を形成してもよい。
【0024】
次に、コネクタ1の構成を説明する。コネクタ1は、平型導体60の幅方向と同一方向を長手方向として延びるハウジング10と、該長手方向でハウジング10に配列保持される複数の第一端子20、第二端子30および第三端子40(
図2(B)〜(D)参照)と、上記長手方向に延び後述の開位置と閉位置との間で回動可能に支持された可動部材50とを備えている。以下、第一端子20、第二端子30および第三端子40を、特に区別する必要がない場合には、「端子20,30,40」と総称する。
【0025】
ハウジング10は、電気絶縁材で作られており、
図1に見られるように、該ハウジング10の長手方向(以下、「端子配列方向」という)での両端に位置する側壁11同士間に、平型導体60の接続部62と対応して、該接続部62を受け入れるための受入空間12が形成されている。該受入空間12は、端子配列方向全域にわたって、後方に開口しているとともに、後半部が上方に開放されており、平型導体60の接続部62を斜め上後方から受け入れることが可能となっている(
図4,5参照)。
【0026】
図1に見られるように、ハウジング10は、複数の端子20,30,40をそれぞれ保持するための端子保持溝13が、端子配列方向に配列形成されている。
図2(B)〜(D)に見られるように、該端子保持溝13は、ハウジング10の前端寄り位置(
図2(B)〜(D)で右端寄り位置)で上下方向に延びる縦溝部分と該ハウジング10の底壁14に沿って前後方向に延びる横溝部分とを有しており、端子配列方向から見て、全体として略L字状をなしているとともに、前後方向に貫通している。
【0027】
また、ハウジング10は、端子配列方向での受入空間12の両端寄り位置、換言すると、端子配列方向で平型導体60の被係止部62A(
図1参照)と対応する位置で、
図2(B)〜(D)に見られるように、底壁14から受入空間12へ向けて上方に突出する係止突起16が形成されている。該係止突起16は、後方に向かうにつれて下方へ傾斜する誘込斜面16Aを有しており、該誘込斜面16Aで平型導体60の被係止部62Aを前方へ向けて案内するようになっている。また、係止突起16は、前端面が前後方向に対して直角をなす係止面16Bとして形成されていて、該係止面16Bで平型導体60の被係止部62Aと後方(平型導体60の抜出方向)に係止するようになっている。また、ハウジング10は、受入空間12の両端寄り位置にて、係止突起16の上方に、後方へ向かうにつれて上方に傾斜する斜面17が形成されている。換言すると、係止突起16の上方には、後方へ向かうにつれて上方に拡がる空間12Aが形成されている。
【0028】
図1に見られるように、端子配列方向で受入空間12の両方の側方位置に設けられた側壁11は、同方向で平型導体60の被案内部63に対応して位置しており、上下方向に対して直角な方向に拡がるスリット状の案内部15が、前後方向に貫通するとともに端子配列方向で外方へ向けても開口して形成されている。後述するように、案内部15は、平型導体60の被案内部63を後方から受け入れるとともに、上下方向そして端子配列方向での移動を規制して、該被案内部63を挿入案内する。
【0029】
案内部15の内壁面は、上下方向に対して直角をなし互いに対向する上側内壁面15Aおよび下側内壁面15B(
図2(A)参照)、そして端子配列方向に対して直角をなす側方内壁面15C(
図1参照)から成る。案内部15は、そのスリットの隙間の寸法、すなわち上側内壁面15Aと下側内壁面15Bとの間の距離が平型導体60の被案内部63の厚さ寸法よりも若干大きくなっている。
【0030】
図2(A)によく見られるように、上側内壁面15Aは、前後方向全域にわたって、上下方向に対して直角な面として形成されていて、平型導体60の被案内部63を前後方向に案内するための同方向での寸法が最大限に確保されている。また、上下方向に対して直角な面が前後方向で十分大きく形成されている場合には、上側内壁面の後端寄り位置に、後方へ向かうにつれて上方へ傾斜する誘込斜面を形成することにより、平型導体60の被案内部63をより円滑に導入そして案内できるようにしてもよい。
図2(A)によく見られるように、案内部15の下側内壁面15Bは、後端寄り位置にて、後方に向かうにつれて下方へ傾斜する誘込斜面15B−1が形成されている。また、端子配列方向の両端側に位置する二つの案内部15の側方内壁面15C(
図1参照)同士間の距離は、平型導体60の幅方向で対向する二つの被案内部63の内側端63A(
図1参照)同士間の距離よりも若干小さくなっている。
【0031】
図2(B)〜(D)に見られるように、第一端子20、第二端子30および第三端子40は、互いに形状の異なる端子であるが、いずれも金属板の平坦な板面を維持して板厚方向に打ち抜かれて作られている。該第一端子20、第二端子30および第三端子40は、それぞれの板面が端子配列方向に対して直角をなした姿勢で、端子配列方向で混在するようにしてハウジング10に配列されている。本実施形態では、ハウジング10に対して、第一端子20は後方から、そして第二端子30および第三端子40は前方から、端子保持溝13内に圧入して取り付けられている。以下、
図2(B)〜(D)に基づいて、第一端子20、第二端子30、第三端子40のそれぞれの形状を説明する。
【0032】
第一端子20は、
図2(B)に見られるように、ハウジング10の前方寄り位置で端子保持溝13内を上下方向に延びる基部21と、該基部21の上端位置、中間位置および下端位置からそれぞれ後方へ向けて延びる上腕部22、中間腕部23および下腕部24とを有している。
【0033】
上腕部22は、後端部が受入空間12内に位置しており、該後端部には、後述の可動部材50の第一軸部54を回動可能に規制するための支持凹部22Aが下方へ向けて開口して形成されている。中間腕部23は、基部21寄り部分で後方に向かうにつれて下方へ傾斜するように延びてからハウジング10の底壁14に沿って端子保持溝13内で後方へ向けて延びており、上下方向に弾性変位可能となっている。該中間腕部23の後端部には上方へ向けて突出する接触突部23Aが形成されている。該接触突部23Aは、端子保持溝13から突出して受入空間12内に位置していて、平型導体60の接続部62と接触可能となっている。
【0034】
下腕部24は、ハウジング10の底壁14に沿って端子保持溝13内で後方へ向けて直状に延びている。該下腕部24の後端部は、下方に向けて端子保持溝13外に延出する接続部24Aが形成されており、該接続部24Aが回路基板の対応回路部(図示せず)と半田接続されるようになっている。
【0035】
第二端子30は、
図2(C)に見られるように、ハウジング10の前方寄り位置で端子保持溝13内を上下方向に延びる基部31と、該基部31の上端位置および下端位置からそれぞれ後方へ向けて延びる上腕部32および下腕部33と、基部31の下端位置から前方へ向けて延びる接続部34とを有している。
【0036】
上腕部32は、後端部が受入空間12内に位置しており、該後端部には、後述の可動部材50の第二軸部を回動可能に規制するための支持凹部32Aが後方へ向けて開口して形成されている。下腕部33は、端子保持溝13内で、後方に向かうにつれて上方へ傾斜するように延びており、上下方向に弾性変位可能となっている。該下腕部33の後端部には上方へ向けて突出する接触突部33Aが形成されている。該接触突部33Aは、端子保持溝13から突出して受入空間12内に位置していて、平型導体60の接続部62と接触可能となっている。該接触突部33Aは、第一端子20の接触突部23Aよりも前方に位置している。接続部34は、基部31の下端位置から前方へ向けて端子保持溝13外へクランク状に延出しており、回路基板の対応回路部(図示せず)と半田接続されるようになっている。
【0037】
第三端子40は、
図2(D)に見られるように、ハウジング10の前方寄り位置で端子保持溝13内を上下方向に延びる基部41と、該基部41の上端位置、中間位置および下端位置からそれぞれ後方へ向けて延びる上腕部42、中間腕部43および下腕部44と、基部41の下端位置から前方へ向けて延びる接続部45とを有している。
【0038】
上腕部42および中間腕部43は、それぞれの後端部が受入空間12内に位置しており、後端部同士間で後述の可動部材50の第三軸部56を回動可能に規制している。下腕部44は、端子保持溝13内で、後方に向かうにつれて上方へ傾斜するように延びており、上下方向に弾性変位可能となっている。該下腕部44の後端部には上方へ向けて突出する接触突部44Aが形成されている。該接触突部44Aは、端子保持溝13から突出して受入空間12内に位置していて、平型導体60の接続部62と接触可能となっている。該接触突部44Aは、前後方向で第二端子30の接触突部33Aと同位置に設けられている。接続部45は、基部41の下端位置から前方へ向けて端子保持溝13外へクランク状に延出しており、回路基板の対応回路部(図示せず)と半田接続されるようになっている。
【0039】
次に、可動部材50の構成を説明する。可動部材50は、電気絶縁材で作られており、
図1に見られるように、端子配列方向にてハウジング10の受入空間12とほぼ同じ寸法で延びている。可動部材50は、端子配列方向に見て、上下方向に延びた姿勢をなす開位置(
図2〜6参照)と、前後方向に延びた姿勢をなす閉位置(
図7参照)との間で回動可能となっている。可動部材50が開位置にあるときは、受入空間12への平型導体60の接続部62の挿入が許容され、可動部材50が閉位置にあるときは、受入空間12に挿入された接続部62が可動部材50によって端子20,30,40の接触突部23A,33A,44Aへ向けて圧せられる。
【0040】
図2(B)〜(D)によく見られるように、可動部材50は、端子配列方向にて端子20,30,40と対応する位置で、開位置にある状態での下部にスリット状の溝部51,52,53がそれぞれ形成されている。また、該溝部51,52,53のそれぞれにおいて、互いに対向する溝内壁面(紙面に対して直角な面)同士を連結する第一軸部54、第二軸部55および第三軸部56が島状に形成されている。第一軸部54、第二軸部55および第三軸部56は、端子配列方向から見て、同位置に形成されており、可動部材50の回動中心をなしている。
【0041】
図2(B)〜(D)に見られるように、第一軸部54、第二軸部55および第三軸部56は、それぞれ第一端子20の支持凹部22A内、第二端子30の支持凹部32A内そして第三端子40の上腕部42と中間腕部43の後端部同士間に位置していて、回動可能に、且つ、外れないように規制されている。また、本実施形態では、可動部材50は、端子配列方向での側端位置に設けられた被ロック部(図示せず)が、ハウジング10の両側壁11の互いに対向する壁面(受入空間12側の壁面)に設けられたロック部(図示せず)に係合することによって、開位置或いは閉位置にロックされるようになっている。
【0042】
次に、
図3〜5に基づいて、コネクタ1と平型導体60との接続動作を説明する。
図3〜5では、端子配列方向に対して直角な断面として、コネクタ1の案内部15の位置での断面と、第一端子20の位置での断面を示している。該第二端子30および第三端子40の位置での接続動作は、第一端子20の位置での接続動作と同様であるので、該第二端子30および第三端子40の位置での断面の図示は省略する。
【0043】
まず、コネクタ1の端子20,30,40の接続部24A,34,45を回路基板の対応回路部と半田接続することにより、コネクタ1を該回路基板の実装面に配置する。また、コネクタ1の可動部材50を開位置に位置させておく。次に、
図3(A)〜(C)に見られるように、平型導体60を、該平型導体60の後端側がもち上げられ回路基板に対して傾斜した姿勢(以下、「傾斜姿勢」という)で、コネクタ1の後上方に位置させる。
【0044】
次に、
図4(A)〜(C)に見られるように、上記傾斜姿勢を維持したまま、平型導体60をコネクタ1の後上方から該コネクタ1へ向けて移動させる。本実施形態では、平型導体60は、被案内部63の前端が接続部62の前端よりも前方に位置しているので、
図4(B)と
図4(C)とを比較すると判るように、被案内部63は、接続部62がコネクタ1の受入空間12に到達するのに先立って、コネクタ1の案内部15の後端側の開口部(以下、「後端開口部」という)に到達する。また、本実施形態では、側壁11の後端側には誘込斜面15B−1が形成されていて、案内部15の上記後端開口部が広くなっている。したがって、該後端開口部に被案内部63を容易に位置させることができ、また、被案内部63を誘込斜面15B−1で案内させて案内部15の奥部へ容易に挿入できる。
【0045】
次に、
図5(A)〜(C)に見られるように、平型導体60をさらに前方へ向けて移動させる。
図5(B)に見られるように、平型導体60の被案内部63は、案内部15内を前方へ向けて進入するとき、該被案内部63の両面(上面および下面)がコネクタ1の案内部15の上側内壁面15Aおよび下側内壁面15Bに規制されて案内される。このように、被案内部63の両面が案内されることにより、被案内部63の傾斜姿勢が規制されるので、平型導体60全体の傾斜姿勢が安定する。また、被案内部63の両面が案内部15で案内されながら前進するにつれて、平型導体60全体が、回路基板に対する傾斜角度を徐々に減少させ、該回路基板に対して平行な姿勢に近づく。
【0046】
一方、平型導体60の被係止部62Aは、
図5(A),(C)では変位していない状態で図示されているが、実際には、係止突起16の案内面16Aに当接した後、該被係止部62Aの側端が上方へもち上がるようにして該案内面16Aに沿って変位して、該案内面16Aに摺接しながら前方へ案内される。被係止部62Aの上述の変位は、係止突起16の上方に形成された空間12Aによって許容される。
【0047】
また、本実施形態では、被案内部63は、該被案内部63の内側端63A(
図1参照)が、案内部15の側方内壁面15C(
図1参照)に近接して対面するので、平型導体60の幅方向での移動も該側方内壁面15Cによって規制される。このように、本実施形態では、平型導体60の被案内部63は案内部15の内壁面によって上下方向および上記幅方向での移動が規制された状態で案内されるので、接続部62が受入空間12に対して位置決めされ、コネクタ1の受入空間12内へ接続部62を円滑かつ確実に導入することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、案内部15は、コネクタ1の幅方向での外方へ向けて開口しているので、平型導体60の接続過程にて、該被案内部63が案内部15によって確実に案内されていることを目視により確認できる。
【0049】
さらに平型導体60を挿入すると、
図6(C)に見られるように、接続部62が可動部材50と第一端子20の接触突部23Aとの間に進入する。接続部62の下面が第一端子20の接触突部23Aに当接することにより、中間腕部23が下方へ向けて弾性変位する。この状態にて、接続部62の下面で露呈する回路部(図示せず)が接触突部23Aに接圧をもって接触する。第二端子30および第三端子40においても、上述した第一端子20と同様に、接続部62の回路部が第二端子30の接触突部33Aおよび第三端子の接触突部44Aと接圧をもって接触する。この結果、平型導体60が仮保持される。受入空間12への接続部62の挿入は、
図6(C)に見られるように、該接続部62の前端が受入空間12の前壁面に当接することにより完了する。
【0050】
受入空間12への接続部62の挿入が完了した時点において、
図6(B)に見られるように、被案内部63の前端は、案内部15の前端位置に達する。また、平型導体60の被係止部62A(
図1参照)は、コネクタ1のハウジング10の係止突起16を乗り越えて、自由状態に戻り、該係止突起16の前方に位置する。この結果、該被係止部62Aがその後端で上記係止突起16の係止面16Bに対して係止可能となり、平型導体60の不用意な抜けが防止される。
【0051】
次に、開位置にある可動部材50を回動させて、
図7(A)〜(C)に見られるように、閉位置にもたらす。
図7(C)によく見られるように、可動部材50は、閉位置にて、平型導体60の接続部62を第一端子20の接触突部23Aへ向けて上方から圧する。この結果、第一端子20の中間腕部23の下方への弾性変位量が増加して、接続部62の回路部(図示せず)と第一端子20の接触突部23Aとが接圧が高まり、電気的に導通された状態が確実に維持される。第二端子30および第三端子40においても、上述した第一端子20と同様に、接続部62の回路部と、第二端子30の接触突部33Aおよび第三端子40の接触突部44Aとの接圧が高められる。このように可動部材50が閉位置にもたらされることにより、コネクタ1と平型導体60との接続動作が完了する。
【0052】
既述したように、本実施形態によれば、平型導体60の接続過程にて、該平型導体60の被案内部63の面の傾斜姿勢が規制を受けることにより、平型導体60全体の傾斜姿勢が安定するので、平型導体60の接続部62をコネクタ1の端子20,30、40との接続位置に円滑かつ確実にもたらすことができる。
【0053】
また、平型導体60の傾斜姿勢が安定する結果、平型導体60の接続過程にて、該平型導体60の接続部62の回路部が端子20,30,40の接触突部23A,33A,44Aに対して、過剰に傾斜した姿勢をもって当接することがなくなる。したがって、該接触突部23A,33A,44Aとの当接により回路部が折れ曲がったり、削られたりすることを防止できる。
【0054】
本実施形態では、平型導体60の被案内部63の前端が接続部62の前端よりも前方に位置していることとしたが、変形例として、被案内部の前端が接続部の前端と同位置にあってもよく、また、後方に位置していてもよい。例えば、被案内部の前端が接続部の前端よりも後方に位置している場合には、平型導体の接続過程にて、コネクタの案内部への被案内部の挿入に先立って、接続部の前端が、該コネクタの受入空間の後端側の開口部にもたらされる。この結果、平型導体の傾斜姿勢が規制されて、該平型導体がおおまかに位置決めされる。次に、上記被案内部が上記案内部に挿入されると、平型導体がより正確に位置決めされる。
【0055】
本実施形態では、平型導体60の被案内部63が接続部62の両方の側端のそれぞれと間隙をもって位置するとともに、コネクタ1の案内部15が受入空間12の両方の側方位置に設けられることとしたが、これに代えて、平型導体の被案内部が接続部の一方の側端と間隙をもって位置するとともに、コネクタの案内部が上記被案内部と対応して受入空間の一方の側方位置に設けられていてもよい。
【0056】
本実施形態では、コネクタ1の案内部15は、コネクタの幅方向での外方へ向けて開口していることとしたが、これに代えて、案内部は、例えば上記外方へ向けて開口することなく前後方向に貫通した孔部として形成されていてもよい。
【0057】
本実施形態では、コネクタ1に形成された係止突起16と平型導体60の被係止部62Aとが係止することとしたが、係止突起および被係止部は必須の構成ではなく、設けられていなくてもよい。