(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697667
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】制振シムを含む、航空機ターボ機械ステータのための翼付きリング用の外側シェルセクタ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/54 20060101AFI20150319BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20150319BHJP
F01D 9/04 20060101ALI20150319BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
F04D29/54 F
F04D29/66 L
F01D9/04
F01D9/02 104
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-522172(P2012-522172)
(86)(22)【出願日】2010年7月29日
(65)【公表番号】特表2013-501181(P2013-501181A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2010061037
(87)【国際公開番号】WO2011012679
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年7月25日
(31)【優先権主張番号】0955439
(32)【優先日】2009年7月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドウズシユ,ロラン・ジル
(72)【発明者】
【氏名】カパラ,パトリツク・エドモン
(72)【発明者】
【氏名】ゼデイ,サミール
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−128251(JP,A)
【文献】
米国特許第02661147(US,A)
【文献】
特開2008−002460(JP,A)
【文献】
特開昭52−039807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機ターボ機械の圧縮機ステータに設置されるように設計された翼付きリングセクタ(20)であって、
外側シェルセクタ(28)を形成する組立体と、内側シェルセクタ(24)と、互いから接線方向の間隔を置いて、かつ外側シェルセクタを形成する組立体と内側シェルセクタとの間に挿入された複数の翼(18)とを備えており、前記翼が、外側シェルセクタを形成する組立体と内側シェルセクタとの各々に固定されており、外側シェルセクタ(28)を形成する前記組立体が、第1に、前記組立体の接線方向(22)に沿って互いから間隔を置いて複数の基本セクタ(30)を、第2に、各々がこれに関連する前記接線方向に沿って直接連続して配置された2つの基本セクタの間に挿入される、複数の制振シム(34)を備えており、
各制振シム(34)の輪郭が、基本セクタ(30)の輪郭とほぼ同じであり、
前記制振シム(34)が、前記組立体のほぼ斜め方向に沿って延在することを特徴とする、前記セクタ。
【請求項2】
前記シムが、前記接線方向(22)に沿って互いに向かい合い、かつ前記シムと関連する前記2つの基本セクタ(30)に各々設けられる2つの平行で平らな摩擦面(38)と接触していることを余儀なくさせられ、前記シム(34)が、互いに平行な、かつ基本セクタの2つの対応する摩擦面と協働する2つの相補形の平らな摩擦面(40)を有することを特徴とする、請求項1に記載のセクタ。
【請求項3】
前記シム(34)には、圧縮機またはタービンステータの然るべき位置にこれを保持するようにフック(48,50)が設けられることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のセクタ。
【請求項4】
基本セクタ(30)が、前記制振シム(34)で完全に塞がれる半径方向スリット(32)によって互いから分離されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの翼付きリングセクタを備えた圧縮機ステータを備える航空機ターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、好ましくはターボジェットまたはターボプロップタイプの航空機ターボ機械に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、この種のターボ機械の圧縮機またはタービンステータに、より正確には、複数のステータ翼と、翼を支持し、かつそれぞれ内側におよび外側にターボ機械を通過する一次流れを半径方向に画定するように設計される2つの同心シェルとを備える、翼付きリングセクタに関する。この種の翼付きリングは、通常、端と端をつないで配置されるいくつかのセクタを用いて作られ、通常、ガイドベーンまたはノズルとして圧縮機またはタービンに使用される。
【背景技術】
【0003】
ターボ機械は、通常、連続して低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼室、高圧タービン、および低圧タービンを備えている。圧縮機およびタービンは、円周方向の間隔を置いて可動翼のいくつかの列を備え、これらの列は、やはり円周方向の間隔を置いて固定翼の列によって分離される。現代のターボ機械では、高い動的応力が、ガイドベーンおよびノズルに加えられる。技術進歩により、等しいかまたはよりよい性能を得るために段の数の減少がもたらされ、その結果、それぞれの段により高い負荷が生じる。さらに、製造技術の変化により、部品の数の減少がもたらされており、それにより、部品の間の連結部の減衰効果が低減される。これは、特に、振動エネルギーの散逸の大きな源を排除するアブレイダブルカートリッジろう付け技術が使用される場合が該当する。
【0004】
仏国特許出願公開第2902843号明細書は、斜めまたは他の方向にスリットまたは半径方向カットを使用することによって、外側シェルセクタを、接線方向に沿って互いから一定の間隔で基本セクタに分断することによってこの振動問題を解決する手段を開示しており、各基本セクタは、翼付きリングセクタの単一の翼を支持する。さらに、ストリップの形の減衰インサートが、基本セクタの間に挿入される。動作原理は、構造体の動的挙動に剛性非線形性を導入することに基づいている。この非線形性は、システムの閾値振動レベルによって起動される。この振動活動により、翼の基本セクタと減衰インサートとの間に相対運動が生じる。この相対運動により、減衰インサートの接着の連続する損失と回復、およびその結果として、システムの局所的剛性の連続的変化が生じる。したがって、振動活動を引き起こすモード(複数可)は、関連する固有振動数の持続的な変化によって混乱させられる。システムの共振は、動的システムの状態の連続的変化のゆえに引き起こされ得ない。これにより、システムの振動振幅が低減される。
【0005】
それにもかかわらず、たとえこの解決策が振動の低減に関して満足のいくものであっても、これは改善され得る。さらに、仏国特許出願公開第2902843号明細書に開示されているこの解決策では、減衰インサートは、空気力学的な流路と圧縮機の外側との間の圧力勾配の効果により基本セクタの摩擦面に接触して保持され、その結果、これらのインサートに半径方向内向きの力を加える。欠点は、この圧力勾配が、インサートを摩擦面と満足のいくように強制的に接触させるには十分ではあり得ないということである。この場合には、結果は、起こり得る空気流路の非漏出性の損失だけでなく、まず第1に制振性能の低下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2902843号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この解決策のもつ他の欠点は、翼付きリングセクタの翼のうちの1つが過負荷になるということである。翼に加えられる空気力学的な力は、接線方向に間隔を置いて配置される基本セクタの中のセグメント化により、外側シェルセクタにおいて抵抗され得ない接線方向成分を含んでいる。したがって、これらの接線方向成分は、合成され、翼付きリングセクタの内側シェルセクタを通過してから、リングセクタに取り付けられる回転防止ストップ部に隣接して配置される翼を通過する。したがって、外側シェルセクタが接線方向に沿って静的な力を伝達することができないことにより、この翼は、非常に高い負荷が掛けられる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、先行技術による実施形態で生じる上述の問題を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを達成するための本発明の第1の目的は、航空機ターボ機械の圧縮機またはタービンステータに使用される翼付きリングセクタ用の外側シェルセクタを形成する組立体であり、前記外側シェルセクタが、第1に、前記組立体の接線方向に沿って互いから間隔を置いて複数の基本セクタを、および第2に、それらのうちのそれぞれが前記接線方向に沿って直接連続して配置される、これと関連する2つの基本セクタの間に挿入される制振シムを備える組立体である。
【0010】
本発明によれば、各制振シムの輪郭は、基本セクタの輪郭とほぼ同じである。
【0011】
シムの特定の輪郭のため、シムと基本セクタとの間の摩擦界面が大きく、それにより、減衰効果の改善になる。
【0012】
さらに、シムが基本セクタの摩擦面と接触することを余儀なくさせられることは、空気力学的な流路と圧縮機またはタービンの外側との間の圧力差から独立して、これらの要素の間の完全なシールとなり得る。このシールは、ほぼ接線方向に沿って基本セクタの摩擦面に力を加えるシムを有する構造によって得られる。摩擦面およびシムを互いに接触させる力が、基本セクタに対して、ステータ翼に加えられる空気力学的な力の接線方向成分を加えることによって強調されるので、このシールは動作時にさらに強化されることに留意されたい。
【0013】
翼に加えられる空気力学的な力の接線方向成分に関して、本発明の本質的な利点の1つは、外側シェルセクタが制振シムの特定の位置決めにより接線方向に沿って非常に大きく補強されるので、たとえこれがこの方向に沿ってセクタに分離されても、この成分は外側シェルセクタを形成する組立体を通過し得るということにあることに留意されたい。結果は、それによってほぼ一様に負荷を掛けられる翼について過負荷が全くないことである。
【0014】
最後に、基本セクタの輪郭とほぼ同じ輪郭を採用することによって、空気流路とも呼ばれる一次環状流れの外側半径方向境界画定部が、互いから間隔を置いて基本セクタの間に完全に再現されることに留意されたい。
【0015】
前記シムは、前記接線方向に沿って互いに向かい合い、かつ前記シムと関連する前記2つの基本セクタに設けられる2つの平行で平らな摩擦面と接触して当たっており、前記シムは、互いに平行な、かつ基本セクタの2つの対応する摩擦面と協働する2つの相補形の平らな摩擦面を有することが好ましい。摩擦面と相補形の摩擦面との間の平らな接触部分は、摩擦によって満足な振動の減衰を与える。また、直線状のスリット、換言すればその内側に対応するシムが後にはめ込まれる、決定された面にスリットを得るために、たとえば単一の切断動作によって、単一の機械加工操作時に同時に2つの摩擦面を作ることも可能である。これは、本発明による組立体を製造するのを非常に簡単にし、それにより、重要なコストおよび時間の節約になる。
【0016】
前記シムには、圧縮機またはタービンステータの然るべき位置にこれを保持するようにフックが設けられ、したがって、これらのフックは基本セクタに固定されるフックと同じ輪郭を有することが好ましい。
【0017】
基本セクタは、前記制振シムで完全に塞がれる半径方向スリットによって互いから分離されることが好ましい。
【0018】
前記制振シムは、前記組立体のほぼ軸方向または斜め方向に沿って延在することが好ましい。
【0019】
この発明の他の目的は、上で説明したような外側シェルセクタを形成する組立体と、内側シェルセクタと、互いから接線方向の間隔を置いて、かつ外側シェルセクタを形成する組立体と内側シェルセクタとの間に挿入される複数の翼とを備える、航空機ターボ機械の圧縮機またはタービンステータに取り付けられるように設計される翼付きリングセクタに適用される。この場合には、各基本セクタは、本発明の範囲の外側に広がることなく、単一のステータ翼、または多分いくつかの翼を担持することになる。
【0020】
翼付きリングは、圧縮機のガイドベーンまたはタービンのノズルを形成することができる。
【0021】
さらに、リングセクタは、5°と60°との間の角度範囲にわたって延在することが好ましいが、翼付きリング全体を形成するように360°と同程度であり得る。
【0022】
本発明の他の目的は、上で説明したような少なくとも1つの翼付きリングセクタを備えた圧縮機またはタービンステータを備える航空機ターボ機械である。
【0023】
本発明の他の利点および特徴は、下で述べられる詳細な非限定的な説明で明らかになる。
【0024】
この説明は、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明による1つまたはいくつかの翼付きリングセクタを備えたターボ機械の概略断面図である。
【
図2】
図1に示されるターボ機械の高圧圧縮機の一部を示す断面図であり、この発明による翼付きリングセクタを含む図である。
【
図3】先の図に示される翼付きリングセクタの斜視図であり、セクタがこの発明の好ましい実施形態から成る図である。
【
図4】先の図に示される翼付きリングセクタの一部の軸方向図である。
【
図5】
図4の線V−Vに沿った、先の図に示される翼付きリングセクタのシムおよび基本セクタの輪郭図である。
【
図6a】先の図に示される翼付きリングセクタの製造プロセスの一ステップを概略的に示す図である。
【
図6b】先の図に示される翼付きリングセクタの製造プロセスの一ステップを概略的に示す図である。
【
図6c】先の図に示される翼付きリングセクタの製造プロセスの一ステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず第1に
図1を参照して、図は、本発明が適用できる航空機ターボジェット100を示している。これは、上流から下流方向に沿って順に、低圧圧縮機2、高圧圧縮機4、環状燃焼室6、高圧タービン8、および低圧タービン10を備えている。
【0027】
図2は、高圧圧縮機4の一部を示している。知られている方法で、圧縮機は、ステータ翼の列14と、圧縮機の軸線12に平行な軸方向で交互するロータ翼の列16とを備える。軸線12の周りに円周方向に/接線方向に配置されるステータ翼18は、好ましくは円周方向22に沿ってセクタで構成される、翼付きリング20と称するステータの一部に含まれる。したがって、翼付きリングセクタ20を指す次に述べることでは、このセクタ20は、好ましくは5°と60°との間の角度範囲、場合によっては翼付きリング全体を形成するようにほぼ360°にわたって延在することが理解される。
【0028】
したがって、タービンノズルまたは圧縮機ガイドベーンのすべてまたは一部を形成するセクタ20は、ターボ機械を通過する一次環状流れ26を半径方向に画定する内表面を形成する内側シェルセクタ24を備え、このシェルセクタ24は、ステータ翼18の固定された根元部を支持する。これらの翼18に加えて、セクタ20はまた、一次環状流れを半径方向に画定する外表面を形成する外側シェルセクタ28を形成し、かつ翼18の固定された頂部を支持する組立体を備える。
【0029】
この点で、セクタ20はまた、回転ブレードを支持するロータ段16によって支持され、かつ当該セクタ20の下流側に配置されるシール装置31によって接触される環状シールトラックを形成する半径方向内側アブレイダブル被覆部29などの、シェルセクタ24に取り付けられる知られている追加要素を備えることに留意されたい。回転シール装置31は、知られているラビリンスまたはリップシール型のシール装置である。
【0030】
図3は、翼付きリングセクタ20を示している。説明した好ましい実施形態では、タービンノズルまたは圧縮機ガイドベーン全体は、複数のこれらのセクタ20を端と端をつないで配置することによって得られ、したがって、それぞれは、この翼付きリングの角度的または円周方向部分を形成する。角度セクタ20(その1つだけが、
図3で見られ得る)は、それらを互いに連結する任意の剛体的かつ直接的な機械的リンクを持たないことが好ましく、それらの隣接する端部は、隙間有りまたは隙間無しで単に互いにそれぞれ向かい合わせに配置される。
【0031】
より具体的には、
図3および
図4を参照して、図は、内側リングセクタ24が単一の部品で作られ、セグメント化されないことを示している。他方では、外側シェルセクタ28を形成する組立体28は、真っ直ぐな半径方向のまたは僅かに斜めのスリット32によってセグメント化されて、接線方向22に沿って互いから間隔を置いて基本セクタ30になり、したがって、直接連続したセクタ30の間で隙間を作り出す。各スリット32は、2つの直接連続した翼18の間の中間直線に沿って作られ、それによって、各基本セクタ30は、単一の固定ステータ翼18を支持する。セクタ20の端部に配置される2つの基本セクタ30のうちの1つは、半径方向外側に突出する回転ストップ部33を支持し、それは、知られている方法で圧縮機ステータの他の部分と協働する。
【0032】
また、組立体28は、直接連続した基本セクタ30の間にはめ込まれる制振シム34を備えている。
【0033】
より正確には、各制振シム34は、接線方向22に沿って互いに向かい合う2つの平らな平行摩擦面38の間にはめ込まれ、シムと関連する2つの基本セクタの互いに向かい合う対応する接線方向端部に設置される。同様に、各シム34は、互いに平行な、かつまた平行でこれらが協働する2つの対応する平らな摩擦面38と接触する、2つの相補形の平らな摩擦面40を有する。
【0034】
したがって、摩擦面38の形状と相補形の形状を有する各シム34は、2つの直接連続する基本セクタ30の間に押し込まれる。
【0035】
各対の2つの摩擦面38と摩擦面40の間の接触は、シム34がその2つの関連する基本セクタ30の間で適切な位置に配置されるとすぐに得られることが好ましい。したがって、シム34は、基本セクタの摩擦面38と接触してほぼ接線方向に方向付けられる力を加え、その結果、それらの相補形の平らな摩擦面40が生じる。これらの力は、基本セクタに対して、ステータ翼に加えられる空気力学的な力の接線方向成分を追加的に加えることによって、動作時に増加されることが有利である。
【0036】
図5に概略的に示されるように、本発明の特別な特徴の1つは、シム34の輪郭が基本セクタの輪郭とほぼ同じであり、この同じ輪郭が外側シェルセクタの輪郭に対応するということにある。この開示では、輪郭は、断面図が
図5に示されているが、接線方向22に沿って見られる要素の全体的な形状を指している。
【0037】
このように、基本セクタ30と同様に、各シム34の下面46は、空気流路の外側半径方向境界画定部としての機能を果たす。したがって、シム34およびセクタ30に形成されるこれらの表面46の連続から成る空気流路の全体的環状境界画定表面は、連続した表面46の間にいかなる段もないので空気力学的な観点からほぼ連続的である。
【0038】
また、各シム34および各セクタ30は、圧縮機ステータのもう1つの部分に対して然るべき位置にこれを保持するフックを、より正確には、前方に突出する固定用フック48および後方に突出する固定用フック50を備えている。
図2に示されるように、フック48およびフック50は、ステータのこの他の部分にセクタ20を固定するように、圧縮機ステータのもう1つの部分に設けられる対応する環状スリット52およびスリット54にはめ込まれる。
【0039】
スリット32を完全に塞ぐシム34は、文書仏国特許FR−A−2902843号明細書に開示されるシムについて上で説明した物理的原理に基づいて、摩擦面38と接触して摩擦によって制振機能を実行する。また、これらは、シール機能と、ステータ翼に加えられる空気力学的な力の接線方向成分が通過するようになっている機能とを実行する。より一般的にはこの点で、各シム34は、これが挿入される2つの基本セクタ30の間で接線方向力を伝達することができる。
【0040】
基本セクタ30およびシム34に使用される材料の性質は、ほぼ同じ、好ましくは金属性であり、基本セクタ30ではなくてシムが優先的に摩耗するように選択される。
【0041】
また、厚さにやはり対応する、接線方向に沿った各シムの大きさと各基本セクタの大きさとの比は、0.5と1の間にあることに留意されたい。
【0042】
図6aから
図6cは、翼付きリングセクタ20の製造のためのプロセスを概略的に示している。まず第1に
図6aで見ることができるように、一体の組立体100が、内側シェルセクタ24、外側シェルセクタ28、およびステータ翼18を形成する鋳込みまたは機械加工によって作られる。次のステップは、簡単で費用のかからない機械加工によって、
図6bに概略的に示されるように基本セクタ30を得るように、外側シェルセクタ28に真っ直ぐな半径方向スリット32を作ることである。たとえば、これらのスリット32は、単にセクタ28を切断することによって作られ得る。
【0043】
最後に、
図6cは、それらの対応する穴の中に単にシムを摺動させることによって、制振シム34を、摩擦面を形成するスリット32の適切な位置に設置することから成る最終ステップを示している。
【0044】
正確な摺動調整隙間は、2つの摩擦面38の間に単に力を強制することによって、このシムをそのスリットに保持しながら各シムをその関連するスリットに挿入することを比較的容易にするのに好まれることに留意されたい。
【0045】
明らかに、当業者は、単に非限定的な例を用いて上で説明したような本発明のさまざまな改変を行うこともできる。