(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697673
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】密封された高周波フロントエンド
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20150319BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20150319BHJP
G01S 13/90 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
G01S7/03 C
H01Q1/40
!G01S13/90
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-532453(P2012-532453)
(86)(22)【出願日】2010年9月18日
(65)【公表番号】特表2013-507602(P2013-507602A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】DE2010001105
(87)【国際公開番号】WO2011042000
(87)【国際公開日】20110414
【審査請求日】2013年7月17日
(31)【優先権主張番号】102009048838.3
(32)【優先日】2009年10月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501477864
【氏名又は名称】イーエイーディーエス、ドイチュラント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】EADS DEUTSCHLAND GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100146123
【弁理士】
【氏名又は名称】木本 大介
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ‐ペーター、フェルドレ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト、シェーンリナー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ、プレヒテル
(72)【発明者】
【氏名】ヨルク、ザンダー
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−068907(JP,A)
【文献】
特開2007−202130(JP,A)
【文献】
特開平05−226487(JP,A)
【文献】
特開2000−208654(JP,A)
【文献】
特開2004−028980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の基板(2)に対して重ねられた第1の基板(1)を含み、前記第1の基板及び前記第2の基板が電子部品(3,4)を支持するマルチレイヤ構造を備える高周波フロントエンドであって、
各々の前記基板は、円周方向の縁に沿ってL型端部を有する平板の形状を有し、各々の前記基板は、他方の基板に対向する各々の前記L型端部に形成された円周方向の溝(7)を備え、前記構造はさらに、前記基板間に配置された密封素子(5)を備え、前記密封素子(5)は各々の前記基板の前記円周方向の溝に係合し、且つ、前記基板間にギャップ(S)ができ、前記基板と前記密封素子とにより内部空間(I)が形成されるような高さを有し、前記基板は互いに接合される、ことを特徴とする高周波フロントエンド。
【請求項2】
半田ボール(6)が、前記ギャップ(S)に挿入される、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波フロントエンド。
【請求項3】
前記密封素子は、各々の前記基板の前記円周方向の溝内に半田付けされる、又は、接着される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フロントエンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1記載のマルチレイヤ構造における高周波(HF)フロントエンドに関する。この高周波(HF)フロントエンドは、送信/受信モジュール、送信モジュール、又は受信モジュールに、用いられるように構成される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、レーダシステムのアクティブ電子操縦アンテナ(AESA:active electronically steerable antennas)、合成開口レーダ(SAR:synthetic aperture rader)、電子兵器(EW:electronic warfare)、又はオペレーションコマンドシステムだけでなく、ナビゲーションシステム及び通信システムにも、使用可能である。考えられるプラットフォームは、陸上システム及び海上システム、航空機、衛星、無人機、及びミサイルに加えて、建築システム又は自動車システムである。これらのモジュールのマルチレイヤ構造は、モジュールの高度な小型化だけでなく、モジュールの等角配置、及び/又は、構造的に集積されたアンテナアレイにとって、必要条件である。
【0003】
レーダシステム用送信/受信モジュールが、欧州特許EP1328042B1号から公知になっており、このレーダシステム用送信/受信モジュールは、上下に積み重ねられた複数の基板層から構成され、この複数の基板層は、半田ボールによって接合されている。半田ボールは有限であるため、ギャップが、隣接する基板層の間に残る。水分及び他の混入物が、これらのギャップを通して、モジュールの内部に浸透することができ、このことが、モジュール内の個別部品(例えば、電気部品)の電気的機能に影響を及ぼし得るか、又は、個別部品にダメージを与えて、全体の欠陥を助長させる。EP1328042B1号に記載された各層間のソルダー接続にもかかわらず、モジュールの内部を密封することは、保証されていない。しかしながら、この密封は、宇宙旅行アプリケーション用モジュール及び厳しい環境下のプラットフォーム用モジュールを使用するために、必要である。
【0004】
厳しい影響からの保護は、外部の手段(例えば、追加の溶接された保護ケース)によって、可能になるが、この外部の手段は、送信/受信モジュールの断面の寸法を増加させる。また、機械的な力が、溶接中の上記保護ケースの変形に起因して、マルチレイヤ構造に加わり、このことが、モジュールの長期間の安定性に影響を及ぼすか、又は、モジュール層間の半田接合を破壊し得る。また、上記保護ケース(例えば、プラスティック(例えば、ポリマー)製のケース)は、限定的な密封のみを可能にするが、それは、完全な密封ではない。また、上記プラスティックは、規定時間を超えてガス抜きをするので、部品と、基板に対する部品の接合と、にダメージを与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、密封された内部空間を有する包括的なHFフロントエンド(例えば、集積されたラジエータ素子を有する送信/受信モジュール)を提供することである。
【0006】
この目的は、請求項
1に従うHFフロントエンドによって、達成される。好適な本発明の実施形態は、従属項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のHFフロントエンドは、マルチレイヤ構造において実施形態され、且つ、電子部品を含み、マルチレイヤ構造は、相互に重ねられ、且つ、当該部品を支持する、第1及び第2の基板を備えている。当該モジュールは、各々の基板が、
円周方向の縁に沿ってL型端部を有する平板の形状を有し、各々の前記基板は、他方の基板に対向する
各々の前記L型端部に形成された円周方向の溝を有し、この構造はさらに、基板間に配置され
た密封素子を備え、密封素子は各々の基板の溝に係合し、且つ、基板間にギャップができ、基板と密封素子とにより内部空間が形成されるような高さを有し、基板は互いに接合される。
【0009】
本発明は、添付の図面を用いて、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】内部領域において連続する溝を有する第1実施形態の発明に係るHFフロントエンドの概略的側面図。
【
図1c】第1実施形態
におけるフレーム素子の概略図。
【
図2】外部領域において連続する溝を有す
る発明に係るHFフロントエンドの
第2実施形態の一部の概略図。
【
図3】
本発明の実施形態ではないが、本発明を理解する上で有益なHFフロントエンドの概略的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るHFフロントエンドの第1実施形態が、
図1aに示されている。
図1aは、上下に重ねられた2つの基板1,2を示しており、各基板1,2は、(少なくとも)1つの部品3,4(例えば、増幅器、位相シフタ、振幅制御器、送信受信切換器(サーキュレータ)、制御装置(例えば、特定用途回路ASIC若しくはFPGA)、又はアンテナ素子)を支持する。各基板1,2は、基板の周辺に沿って適切に連続する溝7を含んでいる。フレーム密封素子5(好ましくは、金属、又は外部硬化を有するプラスティック)は、この溝7に挿入される(
図1c)。このフレーム素子5は、2つの隣接する基板1,2の溝7に係合する。フレーム素子5は、溝に対して、適切に、半田付け又は接着される(
図1bのコンタクト領域9を参照)。
【0012】
フレーム素子5の高さHは、2つの基板1,2間のギャップSができるように、適切に選択される。フレーム素子5の高さHは、ギャップSの大きさに適合されるが、これは、隣接する基板1,2間の電気的接続及び熱的接続を形成するために、半田ボールを溶解することによるものである。半田ボール6とフレーム素子5との間の電気的接続は、回避されるべきであり、回避できなければ、電気的にショートした回路をもたらす場合があるので、HFフロントエンドの欠陥となる。
【0013】
図1bは、2つのモジュール基板1,2の内部領域におけるコンタクト領域9に接合されたフレーム素子5を有する配置を示している。この配置は、隣接するモジュール層1,2の内部領域のために、密封を実施する。
【0014】
図1aは、また、オープンな内部空間Iが、使用されるフレーム素子5を有する隣接基板1,2の2つの部品3,4間に形成されることを、示している。半田ボール6が、外部領域に配置されることで、(例えば、個別のモジュール層の電気的機能をテストするためのモジュールを準備した後に)電気的手段に対してアクセス可能にすることが好ましい。この接続領域におけるファウリングの可能性が、この配置の欠点であり、電気的動作の劣化又は欠陥をもたらし得る。このことは、適切な環境技術制約(例えば、エアフィルタ)によって、防止することができる。
【0015】
図2は、
図1aにおける領域Aに対応する、本発明
の第2実施形態におけるHFフロントエンドの断面を示しており、溝7が、基板の外部領域に連続する(即ち、内部領域Iから外側を向く)点が、異なっている。次いで、フレーム素子5は、2つのモジュール基板1,2の外部領域において図示されたコンタクト領域9に、接合される。この配置は、隣接する基板1,2(モジュール層)の内部領域Iのための密封をもたらす。半田ボール6は、保護された内部領域に位置するので、その後の電気的手段に対しては、アクセス不可能である。完全なモジュール設計及び集積された部品が好ましいが、これは、十分な密封が得られるためである。追加の環境制約は、必要ない。
【0016】
本発明
の実施形態ではないが、それにもかかわらず本発明を理解する上で有益な他のHFフロントエンドの第2実施形態が、
図3に示されている。同一の部品には、それぞれ、
図1において同一の参照符号が付されている。
図3の
HFフロントエンドは、オープンフレーム素子が用いられていない代わりに、クローズド素子8(例えば、金属カバー)が用いられているという点において、
図1及び2に示される実施形態と異なる。
【0017】
カバー素子8は、本質的には、モジュール基板の各内部空間が、個別に閉じられることにより、密封されることを特徴とする。また、隣接する基板1,2の隣接内部空間Iは、互いに分断されるので、様々なモジュール基板上の部品の電磁結合が防止される。カバー素子8は、例えば、薄い金属帯板であっても良く、これにより、従来の製造方法(例えば、コンタクト領域9に対する、半田付け又は接着)を用いて、基板1,2の溝7に対して接合することができる。
図3のHFフロントエンドは、個々の基板の密封に加えて、追加の利点を提供するものであり、例えば、
− 半田ボールを用いた個々の基板の電気的接続の前の、閉じられた基板を用いた予備的な電気的テスト、
− 半田ボールの半田をはずした後の、個々の基板を取り替えることによる修理オプション、
− 改善された集積部品(例えば、集積部品内で新しい技術の結果として得られる回路)を個々の基板と取り替えることによる、個々の基板の単純なモダニゼーション、
− 標準化されたモジュール基板とアプリケーション依存のモジュール基板との組合せによる、モジュール式のアンテナ構造、
− 適切なモジュール基板を組み合わせることによって、送信/受信モジュール、送信モジュール、又は受信モジュールを実現する、モジュール式のモジュール構造。また、集積された放熱素子を有する最上級のモジュール基板は、アプリケーションに応じて、全体モジュール内に集積されても良いし、省略されても良い。