特許第5697684号(P5697684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許5697684個別的なステープル高さ調節及び触覚フィードバックを伴う外科用ステープラー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697684
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】個別的なステープル高さ調節及び触覚フィードバックを伴う外科用ステープラー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A61B17/11 310
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-543177(P2012-543177)
(86)(22)【出願日】2010年12月6日
(65)【公表番号】特表2013-513432(P2013-513432A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】US2010059034
(87)【国際公開番号】WO2011071793
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】12/635,415
(32)【優先日】2009年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジングマン・アーロン・オー
【審査官】 堀川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05915616(US,A)
【文献】 特開2009−213893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラーであって、
本体であって、
ハンドル部と、
前記ハンドル部から延在するシャフト部と、を備える、本体と、
前記シャフト部に解放可能に結合するステープリングヘッドアセンブリであって、前記ステープリングヘッドアセンブリが、
1つ又は2つ以上の外科用ステープルを支持するためのステープルカートリッジと、
前記ステープルに係合し、前記ステープルカートリッジから前記ステープルを推進するための、少なくとも1つのステープル推進装置と、を備える、ステープリングヘッドアセンブリと、
前記ステープル推進装置に、推進運動を適用するための推進システムと、
前記ステープルカートリッジに向かう及び前記ステープルカートリッジから離れる軸方向移動のために、前記ステープルカートリッジに対して可動に支持されるアンビルと、
前記ステープルカートリッジに対して、前記アンビルの軸方向位置を選択的に調節するためのアンビル調節アセンブリであって、前記アンビル調節アセンブリが、調節シャフトと、それと一緒に移動するように前記調節シャフトに結合されるトロカールと、を備え、前記トロカールが前記アンビルに着脱可能に取り付けられるように構成され、前記調節シャフト又は前記本体のうちの一方は係合部を備え、前記調節シャフト又は前記本体のうちのもう一方は、
少なくとも1つの傾斜部と、少なくとも1つの平坦部と、前記少なくとも1つの傾斜部から前記少なくとも1つの平坦部を分離する少なくとも1つの区切りと、を備える、螺旋面を備え、前記調節シャフトが回転された際に前記調節シャフトを前記本体に対して移動させるように、前記少なくとも1つの傾斜部が前記係合部と動作可能に係合するように構成される、アンビル調節アセンブリと、を備えており、
使用者が前記調節シャフトを回転させる間に前記区切りが前記係合部を通過した際に、前記区切りは前記使用者に触覚フィードバックを提供する、
外科用ステープラー。
【請求項2】
前記本体に可動に結合されるトリガを更に備え、前記トリガが、前記トリガが移動されると前記推進システムを作動させるように構成され、前記調節シャフトが、第1の幅を画定する第1の部分と、第2の幅を画定する第2の部分と、を備え、前記トリガが、所定の寸法を有する開口部を画定するロックアウトステムを更に備え、前記開口部は、前記トリガの操作によって前記調節シャフトの一部に係合するように構成されており、前記開口部の前記寸法は、前記第1の幅より小さいが、前記開口部の前記寸法は前記第2の幅より大きいか又は等しい、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの区切りが隆起である、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの区切りが突出部である、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
前記螺旋面が表面トポグラフィーを画定し、前記少なくとも1つの区切りが、前記表面トポグラフィーにおける断絶部である、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの傾斜部が、前記調節シャフトの軸線に対して90度未満の角度で傾斜し、前記少なくとも1つの平坦部が、前記調節シャフトの軸線に実質的に垂直である、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの平坦部と相関する前記調節シャフト上の視覚的しるしを更に備える、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項8】
外科用ステープラーであって、
本体と、
前記本体に動作可能に結合されるステープリングヘッドと、
前記ステープリングヘッドに向かう及び前記ステープリングヘッドから離れる選択的移動のために、前記ステープリングヘッドに対して可動に支持されるアンビルと、
前記アンビルの位置を前記ステープリングヘッドに対して選択的に調節するように、前記本体によって支持される調節シャフトであって、前記調節シャフト又は前記本体のうちの一方は係合部を備え、前記調節シャフト又は前記本体のうちのもう一方は、
第1の部分及び第2の部分を備える螺旋面であって、前記調節シャフトが回転された際に前記調節シャフトを前記本体に対して移動させるように、前記第1の部分が前記係合部と動作可能に係合するように構成される、螺旋面と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを分離する少なくとも1つの区切りと、を備える、調節シャフトと、を備えており、
使用者が前記調節シャフトを回転させる間に前記区切りが前記係合部を通過した際に、前記区切りは前記使用者に触覚フィードバックを提供する、
外科用ステープラー。
【請求項9】
前記少なくとも1つの区切りが隆起である、請求項8に記載の外科用ステープラー。
【請求項10】
前記少なくとも1つの区切りが突出部である、請求項8に記載の外科用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般に外科用ステープラーに関し、より具体的には、個別的なステープル高さ調節を含む円形ステープラーに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の外科的手技において、外科用ステープルの使用は、組織を接合する好ましい方法となりつつあり、したがって、特別に構成された外科用ステープラーが、それらの用途のために開発されてきた。例えば、吻合術として知られる外科的手技で使用するために、腔内又は円形ステープラーが開発されてきた。吻合術を実施するために有用な円形ステープラーは、例えば、米国特許第5,104,025号、同第5,205,459号、同第5,285,945号、及び同第5,309,927号、並びに米国特許出願第12/408,905号に開示されており、これらはそれぞれ、その各全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
吻合術の一形態に、患部が切除された後に腸の各区分が互いに接合される外科的手技が含まれる。この手技は、2つの管状区分の各端部を再び接合して連続的な管状経路を形成することを必要とする。以前は、この外科的手技は、労力と時間を要する手術であった。外科医は、腸の端部を正確に切断し位置合わせし、端部を多数の縫合糸で接合する間、その位置合わせを維持しなければならなかった。円形ステープラーの開発により、この吻合手技は大いに簡潔となり、また吻合術を実施するのに要する時間も短縮されてきた。
【0004】
一般に、従来の円形ステープラーは、典型的には、近位の作動機構とシャフトに装着された遠位のステープリング機構とを有する細長いシャフトからなる。遠位のステープリング機構は、概して、同心円状の配列として構成された複数のステープルを収容する固定型ステープリングカートリッジからなる。丸形の切断ナイフが、カートリッジ内で軸方向に移動できるように、カートリッジ内部でステープルに同心円状に装着される。ステープルアンビルと着脱可能に結合するように適合された可動トロカールシャフトが、カートリッジの中央から軸方向に延びる。アンビルは、ステープルをアンビルの中へと推進するとき、ステープルの端部を成形するように構成されている。ステープルカートリッジの遠位面とステープルアンビルとの距離は、トロカールの軸方向移動を制御するための、ステープラーシャフトの近位端部に装着された調節機構によって制御される。作動機構が外科医によって始動されると、ステープルカートリッジとステープルアンビルとの間に締め付けられた組織が同時にステープル留めされ切断される。
【0005】
一般に、外科的な接合ステープル手術の実施においては、2つの部分からなる管腔又は管状組織、例えば、腸組織を、ステープルの環によって互いに付着する。2つの部分からなる管状組織は、末端部同士で付着されてもよく、又は管状組織の一方が、管状組織のもう一方の側面に成形された開口部の周囲に沿って付着されてもよい。ステープリング器具を用いた吻合術の実施において、2つの部分からなる管状組織は、アンビルとステープルカートリッジとの間で併せて締め付けられる。ステープルプッシャは、ステープルを組織の中へ推進し、アンビルに対してステープルを成形するように前進する。同様に、円形ナイフは、アンビルとステープルホルダとの間の、締め付けられた余分な組織を切断するように前進する。その結果、ドーナツ形の組織区分が各管腔から切り取られ、アンビルシャフト上に残る。ステープルの円形環によって接合された管状組織は、アンビルシャフトを遠位に前進させ、ステープルホルダからアンビルを遠ざけることによって、締め付けを解かれる。ステープリング器具は、ステープルの環で付着された管状組織部分間の円形開口部を通じてアンビルを引っ張ることによって、除去される。
【0006】
更に、円形ステープラーを使用して下部結腸の手技を実施するとき、腸は、典型的には、除去される腸の患部の両側に2列のステープルを配置した状態で、通常の外科用ステープラーを使用してステープル留めされる。標的の区分は、その隣り合う端部がステープル留めされるときに同時に切断される。患部が除去された後、外科医は典型的には、ステープル線の近位側の、管腔の近位部分にアンビルを挿入する。これは、外科医によって近位側の管腔に切り込まれた入口にアンビルヘッドを挿入することによって行われる。ときには、アンビルは、アンビルヘッドをステープラーの遠位端部に置き、器具を直腸に通って挿入することによって、経肛門的に置くことができる。次いで外科医は、縫糸又は他の通常の結束装置を使用して、腸の近位端部をアンビルシャフトに結び付ける。外科医は次に、結び目に隣接する余分な組織を切断し、ステープラーのトロカールシャフトにアンビルを取り付ける。外科医は次いで、アンビルとカートリッジとの間隙を閉ざし、それによって、その間隙内で腸の近位端部と遠位端部を締め付ける。外科医は次に、ステープラーを作動させて、複数列のステープルを、腸の両端部を貫いて推進させて成形させ、それによって両端部を接合し、管状の通路を形成する。同時に、ステープルを推進させて成形するとき、同心の円形ナイフの刃を腸組織の端部を貫いて推進させ、ステープルの内側の列に隣接する端部を切断する。外科医は次いで、腸からステープラーを回収し、手技が完了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の外科的手技の間、ステープルが組織内に保たれ、漏れや出血を防ぎ、組織の回復を促進する「組織間」接触を達成するようなステープル高さの範囲内に、ステープルを適正に成形することが望ましい。一般に、アンビルとカートリッジとの間の距離又は間隙を制御することによって、より良好なステープリング及び回復結果を得ることができる。幾つかの外科用ステープラーは、ステープル高さを示す読取表示部を備えているが、外科医は手術の最中に、多くの異なる項目に着目しなければならない場合がある。更に、一度アンビルを適正に位置付けすると、発射の間アンビルは動かないことが必要であり、そうでなければ適正なステープルの成形に悪影響を及ぼしかねない。
【0008】
上述の考察は、現在の分野を説明することのみを意図したものであり、「特許請求の範囲」を否定するものとみなされるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
種々の実施形態において、外科用ステープラーが提供される。少なくとも1つの実施形態において、外科用ステープラーは、本体、ステープリングヘッドアセンブリ、推進システム、アンビル、及びアンビル調節アセンブリを備えることができる。これらの実施形態において、本体は、ハンドル部と、ハンドル部から延在するシャフト部と、を備えることができる。更に、これらの実施形態において、ステープリングヘッドアセンブリはシャフト部に解放可能に結合されてもよく、ステープルヘッドアセンブリはまた、1つ又は2つ以上の外科用ステープルを支持するためのステープルカートリッジと、ステープルに係合し、ステープルカートリッジからステープルを推進するための、少なくとも1つのステープル推進装置と、を備えることができる。更に、これらの実施形態において、推進システムは、ステープル推進装置に推進運動を適用するように構成されてもよい。加えて、これらの実施形態において、アンビルは、ステープルカートリッジに向かう及びステープルカートリッジから離れる軸方向移動のために、ステープルカートリッジに対して可動に支持されてもよい。また、これらの実施形態において、アンビル調節アセンブリは、ステープルカートリッジに対して、アンビルの軸方向位置を選択的に調節するように構成されてもよい。更に、これらの実施形態において、アンビル調節アセンブリは、調節シャフトと、それと一緒に移動するように調節シャフトに結合されるトロカールと、を備えることができ、トロカールはアンビルに着脱可能に取り付けられるように構成され得る。更に、これらの実施形態において、調節シャフト又は本体のうちの一方は係合部を含むことができ、調節シャフト又は本体のうちのもう一方は、少なくとも1つの傾斜部と、少なくとも1つの平坦部と、少なくとも1つの傾斜部から少なくとも1つの平坦部を分離する少なくとも1つの区切りと、を備える、螺旋面を備えることができる。加えて、これらの実施形態において、少なくとも1つの傾斜部は、調節シャフトが回転されると、係合部と動作可能に係合し、調節シャフトを本体に対して移動させるように、構成されてもよい。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、本体と、本体に動作可能に結合されるステープリングヘッドと、ステープリングヘッドに向かう及びステープリングヘッドから離れる選択的移動のために、ステープリングヘッドに対して可動に支持されるアンビルと、アンビルの位置をステープリングヘッドに対して選択的に調節するように、本体によって支持されるアンビル調節シャフトと、を備え得る、外科用ステープラーが提供される。更に、これらの実施形態において、調節シャフト又は本体のうちの一方は係合部を含むことができ、調節シャフト又は本体のうちのもう一方は、第1の部分と第2の部分とを備える螺旋面を含むことができる。更に、これらの実施形態において、第1の部分は、調節シャフトが回転されると、係合部と動作可能に係合し、調節シャフトを本体に対して移動させるように、構成されてもよい。加えて、これらの実施形態において、少なくとも1つの区切りは第1の部分と第2の部分とを分離することができる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、本体と、本体に動作可能に結合されるステープリングヘッドと、ステープリングヘッドに向かう及びステープリングヘッドから離れる選択的移動のために、ステープリングヘッドに対して可動に支持されるアンビルと、ステープリングヘッドに対してアンビルの位置を選択的に調節するように本体によって支持されるアンビル調節シャフトと、を備え得る、外科用ステープラーが提供される。更に、これらの実施形態において、調節シャフト又は本体のうちの一方は係合部を備えることができ、調節シャフト又は本体のうちのもう一方は、少なくとも1つの傾斜部と少なくとも1つの平坦部とを含む螺旋面を備えることができる。更に、これらの実施形態において、少なくとも1つの傾斜部は、調節シャフトが回転されると、係合部と動作可能に係合し、調節シャフトを本体に対して移動させるように、構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここに記載される実施形態の新規な特徴は、添付の「特許請求の範囲」で詳細に示される。これらの実施形態は、しかしながら、編成及び操作方法のいずれに関しても、以下の添付の図面と共に考慮される以下の説明を参照することによってよりよく理解され得る。
図1】は、円形ステープリングヘッド及び第1の位置におけるアンビルを含む、外科用ステープラーの非限定的な実施形態の透視図。
図2】第2の位置に示されたアンビルを伴う、図1の外科用ステープラーの透視図。
図3図1の外科用ステープラーの分解図。
図4】本体内部のステープラーの構成要素をよりよく説明するために、ステープラーの本体を点線で示した、図1の外科用ステープラーの透視図。
図5図1の外科用ステープラーの断面図。
図6図1の外科用ステープラーのアンビルの背面斜視図。
図7A図1の外科用ステープラーのステープリングヘッドアセンブリの正面斜視図。
図7B図7Aのステープリングヘッドアセンブリのステープルカートリッジの背面斜視図。2つのステープルは、カートリッジのステープル空洞部から取り外された状態で示されている。
図7C図7Aのステープリングヘッドアセンブリの切断部材及びステープル推進装置の正面斜視図。
図8図1の外科用ステープラーのアンビル調節シャフトの側面図。
図9図8のアンビル調節シャフトの一部の透視図。
図10A図8のアンビル調節シャフトの一部の一連の側面図。各々はシャフトがその長手方向軸の周りを回転する際の螺旋面の進行を示す。
図10B図8のアンビル調節シャフトの一部の一連の側面図。各々はシャフトがその長手方向軸の周りを回転する際の螺旋面の進行を示す。
図10C図8のアンビル調節シャフトの一部の一連の側面図。各々はシャフトがその長手方向軸の周りを回転する際の螺旋面の進行を示す。
図11A図1の外科用ステープラーのアンビル及びステープリングヘッドアセンブリの一連の側面図。それぞれ図10A〜10Cに示されるシャフト位置とそれぞれに相関する、個別的なステープル成形高さを示す。
図11B図1の外科用ステープラーのアンビル及びステープリングヘッドアセンブリの一連の側面図。それぞれ図10A〜10Cに示されるシャフト位置とそれぞれに相関する、個別的なステープル成形高さを示す。
図11C図1の外科用ステープラーのアンビル及びステープリングヘッドアセンブリの一連の側面図。それぞれ図10A〜10Cに示されるシャフト位置とそれぞれに相関する、個別的なステープル成形高さを示す。
図12】参照用しるしを含む、アンビル調節シャフトの一部の非限定的な実施形態。
図13図12の調節シャフトの一部の、3つの参照用しるし。
図14図1の外科用ステープラーのトリガの背面斜視図。トリガはロックアウトステムを含む。
図15図3の外科用ステープラーの一部の正面斜視図。推進バンド及び調節シャフトにそれぞれ接続する、トリガ及びロックアウトステムを示す。
図16】直線シャフト部を含む外科用ステープラーの、非限定的な実施形態の透視図。
図17図16の外科用ステープラーのアンビル調節シャフトの側面図。
図18図16の外科用ステープラーの推進バーの透視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される装置及び方法の、構造、機能、製造、及び使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の実施形態を以後記載する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な実施形態であり、これらの実施形態の範囲は、「特許請求の範囲」によってのみ定義されることが、当業者には理解されよう。1つの実施形態に関連して示され又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。更に、方法内での工程の順序付けが記されている箇所において、不合理でない限り、又は記載された順序が明確に必要とされてない限り、そのような順序付けは並べ替えられてもよく、工程は必要に応じて同時に実施されてもよい。そのような修正及び変形は、添付の「特許請求の範囲」に含まれることが意図される。
【0014】
次の説明において、同様の参照文字は複数の見解全体にわたって、同様の又は対応する部品を指定する。また次の説明において、「前方」、「後方」、「前部」、「後部」、「右」、「左」、「上」、「下」、「上方に」、「下方に」、「近位に」、「遠位に」等の用語は便宜上の語であると理解するべきであり、用語を限定するものと解釈するべきではない。下記の説明は、種々の実施形態を説明する目的のためであり、添付の「特許請求の範囲」を限定することを意図したものではない。
【0015】
種々の実施形態は、一般に、組織を密封するように構成される種々の外科用ステープラーに関し、少なくとも1つの実施形態においては、組織を切断するようにも構成される。そのような外科用ステープラーは、肛門、口、及び/又は膣といった、生来の開口部を通じてか、又は体壁を貫通して切断された切断部を通じて、機能するように構成されてもよい。更に、そのような外科用ステープラーは、腹腔鏡器具を含む内視鏡器具として設計されてもよい。
【0016】
次に、1つの非限定的な実施形態に着目し、図1〜4に示されるように、管状又は円形の本体10、本体10に動作可能に結合するステープリングヘッド30、アンビル50、本体10によって支持されるアンビル調節シャフト70、及び本体10に動作可能に結合するトリガ90を含む、円形ステープラー1が提供される。アンビル50は、ステープリングヘッドアセンブリ30に向かう及びステープリングヘッドアセンブリ30から離れる選択的移動のために、ステープリングヘッドアセンブリに対して可動に支持されてもよい。更に、アンビル調節シャフト70は、ステープリングヘッドに対してアンビルの位置を選択的に調節するように、本体10によって支持されてもよい。したがって、下記により詳細に説明されるように、調節シャフト70はアンビル50に動作可能に結合し、同一の動作を起こしてもよい。例えば、調節シャフト70は、調節シャフトの握り部79を介して、時計回り「CW」方向といった第1の回転方向に、その長手方向軸の周りを回転し、シャフト70とアンビル50とを、本体10に対して、図1に示される第1の位置から図2に示される第2の位置へと遠位方向「DD」へと、移動又は並進してもよい。同様に、調節シャフト70は、反時計回り「CCW」といった第2の回転方向に回転し、シャフト70とアンビル50とを、本体10に対して、図2に示される第2の位置から図1に示される第1の位置へと、近位方向「PD」へ移動又は並進させてもよい。アンビル50は、外科用ステープラー1によって許容されるように、図1〜2に示される位置の間、又はその外側の、いかなる場所にも位置付けられ得ることを理解するべきである。更に、少なくとも1つの実施形態において、下記により詳細に説明されるように、調節シャフト70は、アンビル50を、ステープリングヘッドからの少なくとも1つの所定の距離へ移動させるように、及び/又はユーザーに触覚フィードバックを提供するように、構成されてもよい。
【0017】
トリガ90が始動されると、推進システムは、ステープル31(図3及び7B参照)が、ステープリングヘッド30からアンビル50と接触する成形へと発射され得るように、本体10内で作動されてもよい。同時に、ヘッド30内に動作可能に支持された切断部材32(図7C参照)が作動し、ステープル留めされた組織の周辺部に保持された組織を切断する。次いで、ステープラー10が組織を通って引き抜かれ、ステープル留めされた組織が所定の位置において残る。更に、トリガ90は、レバー92が強く握られるか、ないしは本体10に向かってヒンジピン93の周囲に移動すると、レバー91が本体10から離れて戻るようにバイアスがかけられ、ナイフ70がレバー92の解放に応じて自動的に引き戻されるような、レバー92から延在するバネ91を含んでもよい。
【0018】
図3を参照すると、本体10は、ハンドル部11及び湾曲シャフト部12を含んでもよい。本実施形態は湾曲シャフト部12を説明しているが、シャフト部は直線又は線状であってもよい(例えば、下述の図16を参照)。ハンドル部11は、サドルアタッチメント13を介して、トリガ90を受容するように適合されてもよく、サドルアタッチメント13はヒンジピン93を受容する穴16(図3参照)を更に含んでもよく、ヒンジピン93はトリガ90の穴96内にも同様に受容され得る。ハンドル部11は更に、本体10の最上部に、トリガ90の一部がそこを通じて位置付けされ得る、開口部14を画定してもよい。例えば、カム表面94及びロックアウトステム95は、開口部14を通じて延在してもよい。下記により詳細に説明されるように、カム表面94は、トリガ90がハンドル部11に対して移動すると推進システムを作動させるように構成されてもよく、ロックアウトステム95は、ステープルがアンビル50とステープリングヘッド30との間に成形され得るように、アンビル50が適正な位置に置かれる前の、切断部材32及び/又はステープル31の不慮の発射を予防する。
【0019】
図3及び4を参照すると、推進システムは、本体のシャフト部12内部に、トリガのカム表面94とステープリングヘッド30のタブ36との間に軸方向に延在する、推進バンド80を含んでもよい。推進バンド80は、近位推進面81と遠位推進面82とを含んでもよい。したがってトリガの作動は、推進バンド80がアンビル50に向かって、又はアンビル50から離れて軸方向に移動するように、カム表面94を回転させ近位推進面81を押し出させてもよい。ステープリングヘッドのタブ36は、推進バンドの遠位推進面82の内部に結合されてもよく、タブ36を、解放可能に受容するような切欠の形状をとってもよい。
【0020】
図4及び7A〜7Cを参照すると、ステープリングヘッド30は、1つ又は2つ以上のステープル31を支持するためのステープルカートリッジ33と、ステープル31と係合し、カートリッジ33からステープル31を推進するための少なくとも1つのステープル推進装置34と、例えばナイフといった、ステープリングヘッド30内に可動に支持される切断部材32と、を含む、アセンブリを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、ステープル推進装置34及び切断部材32は一体化して連結及び/又は成形される。例えば、ステープル推進装置34及び切断部材33は芯35から延在してもよく、それらの各々は同一の材料から成形されてもよい。いずれにしても、ステープルカートリッジ33及び/又はアンビル50に向かう推進バンド80の作動は、芯35から延在するステープリングヘッドのタブ36を、したがって切断部材32及びステープル推進装置34を、アンビル50に向かって移動させ得る。更に、ステープリングヘッド30はまた、ステープルカートリッジ33を保持し、ステープル推進装置34、切断部材32、及び/又はそれらを通す芯35を、可動に受容するように構成される、ケース39を備えてもよい。ケース39は加えて、柔軟に屈折し、ステープリングヘッド30を、その中に形成された対応する穴15(図3参照)において本体のシャフト部12に解放可能に取り付けることを可能にするように構成される、解放ボタン37を含んでもよい。したがって、図4を参照すると、ステープリングヘッド30は、ボタン37を押し、次いで、タブ36が推進バンド80の遠位推進面82によって形成された切欠から解放されるようにヘッド30を回し、最後に、ステープリングヘッド30を本体10から離して引くことによって、取り外され得る。
【0021】
次にアンビル50の調節に着目し、また図3を参照すると、種々の実施形態において、及び上述の通り、アンビル50は、アンビルがステープルカートリッジ33に向かって、またステープルカートリッジ33から離れて、軸方向に移動できるように、ステープルカートリッジ33に対して可動に支持されてもよい。より詳細には、外科用ステープラー1は、ステープルカートリッジ33に対して、アンビル50の軸方向位置を選択的に調節するための、アンビル調節アセンブリを備えてもよい。アンビル調節アセンブリは、調節シャフト70と、それと一緒に移動するために調節シャフト70に結合されたトロカール73と、を備えてもよい。調節シャフト70は、近位部70a及び遠位部70bを含んでもよく、それらはシャフト70を形成するように一緒に連結されてもよい。別の方法としては、近位部及び遠位部70a、70bは、一体型であり、同一の材料片から一体化して成形されてもよい(例えば、図17に描写され、また下述される、調節シャフト170を参照)。加えて、調節シャフト70は更に、留められてもよく、ないしはアンビル調節バンド72の近位端に自在に連結されてもよい、遠位部70bに配置された環状溝71を含んでもよい。自在に連結されることによって、調節バンド72は、調節シャフト70が回転する間に回転せず、しかしながら依然として、調節バンド72はシャフト70に沿って並進し得るということを理解するべきである。調節バンド72の遠位端はまた、トロカール73に取り付けられてもよい。したがって、本体10に対する調節シャフト70の軸方向の移動又は並進は、トロカール73を同様に、本体10に対して軸方向に移動又は並進させ得る。
【0022】
図3及び4を参照すると、アンビル調節バンド72及び推進バンド80のうちの一方又は双方は、屈曲しているか、ないしは本体10に向かって突出する、タブ83及び84をそれぞれ含んでもよい。タブ83、84は、バンド72、80を、空隙を埋め、その中に適正な軸方向位置を保ちながら、本体の湾曲シャフト部12を通って移動させるのに役立ち得る。
【0023】
更に、図3及び6を参照すると、当該技術分野において既知である通り、トロカール73は、アンビル及び/又はトロカールに結合されたバネ板又はバネクリップ55によって、アンビル50に着脱可能に取り付けられてもよい。換言すれば、アンビルは、バネクリップ55を押すか、引くか、ないしは別の方法で操作することによって、トロカールから除去されてもよい。反対に、トロカールは、バネクリップ55がトロカール上にアンビルを解放可能に保持するようにトロカールをアンビルへと移動させることによって、アンビルへ嵌入されてもよい。したがって、本体10に対するアンビル調節シャフト70の軸方向移動は、同様に、アンビル50を本体10に対して軸方向に移動又は並進させ得る。更に、アンビルはまた、アンビル本体52(図3参照)に結合される囲い板53と、上述の通り切断部材32を発射する間にせん断されるワッシャ54と、を含んでもよい。ワッシャ54はプラスチック製であってよく、また切り取られる組織に接する切断面として機能し得る。
【0024】
次に図3〜5を参照すると、アンビル調節シャフト70は、上述される通りシャフト70が本体10に対して並進するように、回転するように構成されてもよい。より詳細において、及び少なくとも1つの実施形態において、アンビル調節シャフト70は、例えば、本体10に当該本体内の穴を介して固定されるネジピン75といった、本体10の係合部と動作可能に係合する螺旋面74を備えてもよい。螺旋面74は、その中にピン75の少なくとも一部を受容するように寸法決めされ構成された調節シャフト70内に、形成されたチャネルによって、画定されてもよい。アンビル調節シャフト70は、螺旋面74がピン75に接触しピン75の上を移動するように、その長手方向軸L(図8参照)の周りを回転してもよく、それによって、アンビル調節シャフト70を本体10に対して並進させ得る。本実施形態においてはピン75が説明されているが、例えば突出部、ネジ山、及び類似のものといった、任意の他の好適なネジ山嵌合部又は構成要素は、ピン75の代わりに又は追加として、螺旋面と係合するために使用されてもよい。いずれにしても、調節シャフト70をその長手方向軸の周りに回転させることにより、シャフト70と、したがってトロカール73及びアンビル50と、を本体10及び/又はステープリングヘッド30に対して、軸方向に並進又は移動させることが同様に可能である。
【0025】
上述のように、種々の実施形態において、調節シャフト70は、アンビル50をステープリングヘッド30からの少なくとも1つの所定の距離へ移動させるように、構成されてよい。より詳細には、次に調節シャフト70のみを示した図8に着目し、調節シャフトの螺旋面74は、少なくとも1つの傾斜部と少なくとも1つの平坦部とを含んでもよい。例えば、螺旋面74は、第1の傾斜部74aと、第2の単一又は複数の平坦部74bと、を備えてもよい。区切り76といった、少なくとも1つの区切りも、傾斜部74aと平坦部74bとを分離してもよい。下記により詳細に説明される通り、傾斜部74aは、調節シャフトを本体10に対して並進させることができ(図4参照)、平坦部74bは、アンビル50のステープリングヘッド30からの位置を維持するように所定の距離を提供することができ(図2参照)、区切り76は、傾斜部と平坦部との間の遷移部と同様に、アンビル調節シャフト70を回転させるユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。更に、少なくとも1つの実施形態において、傾斜部74aは少なくとも部分的に螺旋形状であってもよい。
【0026】
続いて、図8に点線で示される円は、図9及び10A〜10Cに示されるアンビル調節シャフト70のおおよその部分を表す。次に図9に着目し、螺旋面74の傾斜部74aは、少なくとも1つの平坦部に通じ得る。説明される通り、また少なくとも1つの実施形態において、螺旋面74は更に、3つの平坦部、第1の平坦部74b’、第2の平坦部74b’’、及び第3の平坦部74b’’’を備えてもよい。アンビル調節シャフト70をその長手方向軸の周りで回転させることによって、シャフト70が本体10(図5参照)に対して並進するように、螺旋面74をピン75(同じく、図5参照)に沿って通過させることができる。更に、シャフト70が時計回りCWに回転すると、例えば、螺旋面74は、ピン75が傾斜部と接触し、次いで第1の平坦部74b’と接触するように、ピン75に沿って移動してもよい。次いで、シャフト70が更に時計回りCWに回転すると、ピンは第2の平坦部74b’’と接触することができる。その後、シャフト70を時計回りCWに更に回転させると、ピンを第3の平坦部74b’’’と接触させることができる。下記により詳細に説明される通り、傾斜部74aと比較して、各平坦部は異なる角度構成であってよい。
【0027】
更に、各平坦部74b’、74b’’、及び74b’’’は、所定の個別的なステープル成形高さを提供するように、アンビル調節シャフト70に沿って異なる長手方向位置にあってもよい。例えば、図10Aを参照すると、第1の平坦部74b’は、シャフトアセンブリの横の出っ張り77からの第1の距離Lにあってよい。第2の平坦部74b’’は、横の出っ張り77からの第2の距離Lにあってよく、また第3の平坦部74b’’’は、横の出っ張り77からの第3の距離Lにあってよい。横の出っ張り77を含む、いずれの参照点又は面も、上述の距離を確立するために使用されてよい。いずれにしても、第1の距離Lは、第2の距離Lより大きくてもよく、またそれは第3の距離Lより大きくてもよく、又はL>L>Lであってもよい。あるいは、次に示されるが、例えば、L>L>L、L>L>L、L>L>L、L>L>L、又はL>L>Lといったように、距離は他の比較順序であってもよい。更に、各平坦部距離L、L、及びLは、それらの対応する平坦部74b’、74b’’、及び74b’’’にわたって均一であってもよい。換言すれば、図10Bを参照すると、例えば、螺旋面の傾斜部74aは、調節シャフトの長手方向軸Lに対して90度より小さい傾斜又は螺旋角度αで傾斜してもよく、各平坦部(例えば、図10Bの74b’’)は、長手方向軸Lに実質的に垂直であるか、又は軸Lに対して約90度である角度θを画定してもよい。そうでなければ、更に、図9及び10A〜10Cを参照すると、平坦部74b’、74b’’、74b’’’は、下述される通り、所定の個別的なステープル高さを画定する刻みであってもよい。長手方向軸Lに対して上述の角度を測定するとき、そのような測定は、螺旋面74の一部に接線方向である平面と、当該平面及び長手方向軸Lの交点とに対してなされるということを理解するべきであり、明瞭化のために、長手方向軸Lを図10A〜10Cに示されるアンビル調節シャフトの長さにわたって示す。例えば、図10Bを再び参照し、螺旋角度αは、図10Bのページの平面に垂直である接線面「TP」と、長手方向軸Lとの間で画定される。
【0028】
次に図11A〜11Cに着目し、ステープリングヘッド30及びアンビル50を、シャフトの螺旋面の平坦部74b’、74b’’及び74b’’’と相互に関連する種々の位置において示す。例えば、個別的なステープル成形高さD、D、及びDは、アンビル50のステープル成形面51とステープルカートリッジ33のステープル射出面38との間で画定され得る。第1の高さDは、第2の高さDより大きくてもよく、またそれは第3の距離D、又はD>D>Dより大きくてもよい。図10A〜10C、及び11A〜11Cを集合的に参照し、各平坦部74b’、74b’’、及び/又は74b’’’は、平坦部がピン75(図5参照)に沿って移動するように調節シャフト70が回転する間、アンビル50が、それぞれのステープル成形高さD、D、及び/又はDで保持されることを可能にし得る。例えば、各平坦部74b’、74b’’、74b’’’は、約60度のシャフト回転の期間に対するアンビルの位置を維持するように設計されてもよい。換言すれば、各平坦部の表面に沿って走る弧は、約60度の角度にわたって広がってもよい。
【0029】
図9及び10A〜10Cを参照すると、種々の実施形態において、少なくとも1つの遷移部は、各平坦部74b’、74b’’、及び/又は74b’’’を分離し、それによって、アンビル調節シャフト70が、ピン75(図5参照)に対して別の位置へ前進されることを可能にし得る。少なくとも1つの実施形態において、遷移部は、別の傾斜部、及び/又は部分的な螺旋状の表面を含んでもよい。しかしながら、少なくとも1つの他の実施形態において、遷移部はまた、少なくとも1つの区切りを含んでもよい。図10A〜10Cから分かるように、第1の区切り76’は、螺旋面の傾斜部74aと第1の平坦部74b’とを分離してもよく、第2の区切り76’’は、第1の平坦部74b’と第2の平坦部74b’’とを分離してもよく、第3の区切り76’’’は、第2の平坦部74b’’と第3の平坦部74b’’’とを分離してもよい。上述の通り、各区切り76’、76’’、及び/又は76’’’は、ユーザーがアンビル調節シャフトを回転させる間に、ユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。
【0030】
より詳細には、図9及び10A〜10Cを参照すると、各区切り76’、76’’、及び/又は76’’’は、螺旋面に隆起又は突出部を備えてもよい。換言すれば、螺旋面74は、傾斜部74aと、平坦部74b’、74b’’、及び74b’’’と、を含む、表面トポグラフィーを画定し、各区切り76’、76’’、及び/又は76’’’はそれぞれに、上述の部分の間の、表面トポグラフィーにおける断絶部であってよい。また、区切り76’、76’’、及び/又は76’’’を除いて、螺旋面74のいかなる部分上においても、表面トポグラフィーは滑らかであってよい。例えば、図5、9、及び10A〜10Cを参照すると、螺旋面の傾斜部74aは、アンビル調節シャフト70が本体10に対して回転する時に、螺旋面74がピン75を比較的滑らかに越えて移動し得るように、滑らかなトポグラフィーを含んでもよい。しかしながら、ピン75が傾斜部74aの末端部に到達すると、表面トポグラフィーは、第1の区切り76’によって断絶され得る。したがって、螺旋面74がピン75を越えて前進するとともに、シャフト70が回転するのに伴って滑らかに本体10から近位側に延在し得る調節シャフト70は、区切り76’における螺旋面74の表面トポグラフィーの断絶部によって、第1の区切り76’がピン75に接触するときに、突然に又は断続的に、飛び越えるか、押すか、又は引くか、ないしは別の方法で、ユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。ピン75を通過する第1の区切り76’の動作は、シャフト70を回転させるユーザーに、第1の個別的なステープル成形高さD図11A参照)が到達され、ピン75が第1の平坦部74b’において受容されているという指示を提供することができる。停留期間中のシャフト70の継続的な回転は、上述の通り、約60度であってよいが、第1のステープル成形高さDを調節することはできない。したがって、ユーザーは、シャフト70が更に回転し、別の区切りがピン75と接触するようになるまで、第1のステープル成形高さDは変化しないことをユーザーが知っている限り、アンビル調節シャフト70が置かれている正確な回転位置に必ずしも集中する必要はない。更に、ユーザーは、ピン75を第1の区切り76’と第2の区切り76’’との間で、第1の平坦部74b’に沿って相対的に移動させるように、アンビル調節シャフト70を左右に回転させてもよい。区切りが第1の平坦部74b’の表面から突出しているため、ユーザーは、ピン75が、第1の平坦部74b’のそれぞれに対応する末端部において、いつ第1又は第2の区切り76’、76’’に接触したかを、アンビル調節シャフト70を通じて感じることができ、それによって、ユーザーに、第1のステープル成形高さDが到達されたことを確信させることができる。
【0031】
図5、9、及び10A〜10Cを参照すると、仮にユーザーが、ステープル成形高さを、第1のステープル成形高さDから第2のステープル成形高さD図11A〜11B参照)へと変化させたければ、ユーザーは、第2の区切り76’’がピン75に接触するように、アンビル調節シャフト70を更に回転させることができる。ピン75が第1の平坦部74b’の末端部に到達するとき、表面トポグラフィーは、第2の区切り76’’によって断絶されてもよい。したがって、螺旋面74がピン75を越えて前進するとともに、ピン75が第1の平坦部74b’に接触するのに伴い滑らかに回転し得る調節シャフト70は、区切り76’’’における螺旋面74の表面トポグラフィーの断絶部によって、第2の区切り76’’がピン75に接触するときに、突然に又は断続的に、飛び越えるか、押すか、又は引くか、ないしは別の方法で、ユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。ピン75を通過する第2の区切り76’’の動作は、シャフト70を回転させるユーザーに、第2の個別的なステープル成形高さD図11B参照)が到達され、ピン75が第2の平坦部74b’’において受容されているという指示を提供することができる。停留期間中のシャフト70の継続的な回転は、上述の通り、約60度であってよいが、第2のステープル成形高さDを調節することはできない。したがって、ユーザーは、シャフト70が更に回転され、別の区切りがピン75と接触するようになるまで、第2のステープル成形高さDは変化しないことをユーザーが知っている限り、アンビル調節シャフト70が置かれている正確な回転位置に必ずしも集中する必要はない。更に、ユーザーは、ピン75を第2の区切り76’’と第3の区切り76’’’との間で、第2の平坦部74b’’に沿って相対的に移動させるように、アンビル調節シャフト70を左右に回転させてもよい。区切りが第2の平坦部74b’’の表面から突出しているため、ユーザーは、ピン75が、第2の平坦部74b’’のそれぞれに対応する末端部において、いつ第2又は第3の区切り76’’、76’’’に接触したかを、アンビル調節シャフト70を通じて感じることができ、それによって、ユーザーに、第2のステープル成形高さDが到達されたことを確信させることができる。
【0032】
同様に、図5、9、及び10A〜10Cを参照すると、仮にユーザーが、ステープル成形高さを、第2のステープル成形高さDから第3のステープル成形高さD図11B〜11C参照)へと変化させたければ、ユーザーは、第3の区切り76’’’がピン75に接触するように、アンビル調節シャフト70を更に回転させることができる。ピン75が第2の平坦部74b’’の末端部に到達するとき、表面トポグラフィーは、第3の区切り76’’’によって断絶されてもよい。したがって、螺旋面74がピン75を越えて前進するとともに、ピン75が第2の平坦部74b’’に接触するのに伴い滑らかに回転し得る調節シャフト70は、区切り76’’’における螺旋面74の表面トポグラフィーの断絶部によって、第3の区切り76’’’がピン75に接触するときに、突然に又は断続的に、飛び越えるか、押すか、又は引くか、ないしは別の方法で、ユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。ピン75を通過する第3の区切り76’’’の動作は、シャフト70を回転させるユーザーに、第3の個別的なステープル成形高さD図11C参照)が到達され、ピン75が第3の平坦部74b’’’において受容されているという指示を提供することができる。停留期間中のシャフト70の継続的な回転は、上述の通り、約60度であってよいが、第3のステープル成形高さDを調節することはできない。したがって、ユーザーは、シャフト70が更に回転され、停止装置78がピン75と接触し、その結果、ピン75が停止装置78に向かって螺旋面74に対して更に移動することを防ぐようになるまで、第3のステープル成形高さDは変化しないことをユーザーが知っている限り、アンビル調節シャフト70が置かれている正確な回転位置に必ずしも集中する必要はない。停止装置78は、第3の区切り部分74b’’’の末端に形成された壁であってよい。更に、ユーザーは、ピン75を第3の区切り76’’’と停止装置78との間で、第3の平坦部74b’’’に沿って相対的に移動させるように、アンビル調節シャフト70を左右に回転させてもよい。停止装置及び区切り76’’’が、第3の平坦部74b’’の表面から突出しているため、ユーザーは、ピン75が、第3の平坦部74b’’’のそれぞれに対応する末端部において、いつ第3の区切り76’’’又は停止装置78に接触したかを、アンビル調節シャフト70を通じて感じることができ、それによって、ユーザーに、第3のステープル成形高さDが到達されたことを確信させることができる。
【0033】
種々の実施形態において、図9及び15を参照すると、例えば、螺旋面74は、傾斜部74aにわたって閉じられていてもよく、また平坦部74b’、74b’’、74b’’’にわたって開かれていてもよい。換言すれば、螺旋面の平坦部は、近位壁のみを含むのに対し、螺旋面の傾斜部は、近位壁及び遠位壁を含んでもよい。使用する際、上述される通り(図11A〜11C参照)、アンビル50が、ヘッド30からの適正なステープル成形高さにあるときに、アンビル50とステープリングヘッド30との間の締め付けられた組織によって、ピン75は、平坦部に反してバイアスがかけられてもよい。
【0034】
上述の少なくとも1つの実施形態は、区切り76’、76’’、及び/又は76’’’を、螺旋面74における隆起又は突出部として形成されるように示しているが、区切りはまた、螺旋面における刻み目の形状をとってもよい。同様に、区切りは、調節シャフト70から分離した、当該シャフトに取り付けられ得る、部品であってもよい。いずれにしても、区切りは、ユーザーがシャフト70を回転させるのに伴って、ユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。更に、区切りは、傾斜部74aを第1の平坦部74b’から分離する等と示されているが、螺旋面は、単一又は複数の平坦部を含まなくてもよい。そのような実施形態において、螺旋面は、所望の間隔で、少なくとも1つの区切りによって分離される、複数の傾斜部を備えてもよい。したがって、ユーザーは、いつ、適正なステープル成形高さが、アンビル50とステープルカートリッジ33との間(例えば、図11A参照)で獲得されたかということを、触覚フィードバックを介して通知され得る。
【0035】
触覚フィードバックに加えて、外科用ステープラー1は、上述のステープル成形高さがいつ到達されたかという指示をユーザーに提供するための、視覚的参照用しるしを含んでもよい。例えば、次に図12〜13を参照すると、アンビル調節シャフト70は、本体10上のマーク86を介して、D、D、D図11A〜11C参照)といった、個別的なステープル成形高さがいつ到達されたかという指示を提供する、シャフトの表面に印刷された、又は形成された、参照用しるし85を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、それぞれのステープル成形高さは、2.5mm、1.8mm、及び1.0mmであってよく、参照用しるし85はそれらを表示してもよい。いずれにしても、視覚的しるし、区切り、及び/又は平坦部を、上述の通り、アンビル調節シャフト70へ組み込むことは、シャフトから分離するステープル高さ表示機構に対する必要性を、除去することができる。
【0036】
加えて、上述の少なくとも1つの実施形態は、螺旋面74を、アンビル調節シャフト70に形成されたチャネルによって画定されるように説明しているが、螺旋面は、少なくとも1つの実施形態において、別の方法としては、アンビル調節シャフト70から突出するネジ山によって画定されてもよい。そのような実施形態において、ピン75が採用されてもよく、又は例えば、本体10の内部から突出するフォークといった、ネジ山嵌合要素が、螺旋面と係合するために使用されてもよい。
【0037】
更に、上述の螺旋面74は、アンビル調節シャフト70の一部であるように説明されているが、そのような螺旋面は、別の方法としては、本体10の一部であってもよいということを理解するべきである。そのような実施形態において、ピン又は他のネジ山係合要素といった、係合部は、本体10の代わりに調節シャフト70へ、同様に固定されるであろう。いずれにしても、シャフト70の回転は、シャフト70と、したがってアンビル50とが、本体10及び/又はステープリングヘッド30に対して並進するように、螺旋面を、係合部に対して回転させ得る。
【0038】
種々の実施形態において、上述された通り、また図5を参照すると、アンビル50がステープルカートリッジ33から適正な距離になるまで、トリガ90は、調節シャフト70と協働し、トリガ90が実質的に本体10に向かって移動することを防ぎ、ないしは別の方法で、ステープル推進装置34及び/又は切断部材32が作動するのを防ぎ、それによって、外科用ステープラー1の不慮の発射を防いでもよい。換言すれば、トリガは、ロックアウトを含んでもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、図8を参照すると、作動シャフト70は、第1の幅Wを画定する、第1の近位部70aと、第2の幅Wを画定する、第2の遠位部70bと、を備えてもよい。更に、図14を参照すると、トリガ90は、レバー92から延在するロックアウトステム95を備えてもよく、ステム95は、寸法Sを有する開口部97を画定する。ロックアウトステムは、2つの歯を有するフォーク、又はヨークに類似していてもよい。いずれにしても、開口部97の寸法Sは、近位部70a第1の幅Wよりも小さく、しかし、開口部97の寸法Sは、遠位部70bの第2の幅Wより大きいか又は等しく、あるいはW>S≧Wであってよい。
【0039】
次に図15を参照すると、ロックアウトステム95は、ステム95がシャフトの近位部70aかシャフトの遠位部70bかのどちらかに係合するように動作可能であるように、本体の開口部14を貫通して位置付けられてもよい。ロックアウトステム95が、長手方向に近位部70a上に位置付けられると、ロックアウトステム95とシャフトの近位部70aとの間の干渉によって、トリガレバー92が、実質的に本体10に向かって移動することを防ぐことができる。換言すれば、近位部の幅W図8参照)が、ロックアウトステムの開口部97(図14参照)の寸法Sより大きいため、トリガレバー92が推進バンド80を作動させることを防ぎ、従って上述の通り、ステープル31及び/又は切断部材32(図3参照)の不慮の発射を防ぐことができる。しかしながら、ロックアウトステム95が長手方向に遠位部70b上に位置付けられると、ロックアウトステム95とシャフトの遠位部70bとの間の干渉が無いため、トリガレバー92は、実質的に本体に10に向かって移動することが可能になる。換言すれば、遠位部の幅W図8参照)が、ロックアウトステムの開口部97(図14参照)の寸法Sより小さいか又は等しいため、トリガレバー92は、移動し、推進バンド80を作動させることができ、従って上述の通り、ステープル31及び/又は切断部材32(図3参照)を発射することができる。そのような実施形態において、開口部97は、シャフトの遠位部70bを受容し、遠位部70bが開口部97の末端部に到達するまで、レバー92が、本体10に向かって移動することを可能にし得る。
【0040】
更に、図15を参照すると、シャフトの遠位部70bは、遠位部70bが適正なステープル成形高さと相互に関連するように、アンビル調節シャフト70に沿って位置付けられてもよい。例えば、遠位部70bは、ピン75が、第1の平坦部74b’といった、平坦部に受容されているとき、ロックアウトステム95が、遠位部70b上に長手方向に位置付けられるように、シャフト70に沿って軸方向に位置付けられてもよい。したがって、ロックアウトステム95は、トリガ90から分離したロックアウトレバー又はロックアウト機構を必要とせずに、所望のステープル成形高さが到達されているときにのみ、ステープル推進装置34及び/又は切断部材32(図3参照)が発射されることを可能にし得る。更に、図14を参照すると、ロックアウトステム95は、一体型であり、トリガバネ91と同一の材料片から一体化して成形されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの実施形態において、ロックアウトステム95、トリガバネ91、及びレバー92は、一体型であり、同一の材料片から一体化して成形されてもよい。
【0041】
種々の実施形態において、また上述の通り、外科用ステープラーは、上述の説明の通りに、湾曲である代わりに直線であってもよい。したがって、次に図16を参照すると、外科用ステープラー101が示される。外科用ステープラー101は、上述のものと同様に、本体110、ステープリングヘッド130、アンビル150、アンビル調節シャフト170、及びトリガ190を備えることができる。しかしながら、本体110のシャフト部112は直線であってもよい。更に、ステープリングヘッド130及びアンビル150は、線状で、本体110から離れて軸方向に突出してもよい。図1及び図16にそれぞれ示される、外科用ステープラー1及び101を参照すると、上述の通り、各ステープリングヘッド30、130は、外科用ステープラーの本体10、110から除去され得るため、ステープリングヘッド30、130と、アンビル50、150とは、例えば、互いに入れ替え可能であるということに留意すべきである。更に、他のステープリングヘッドとアンビルとの構成が、上述のヘッド30、130、及びアンビル50、150に加えて、採用されてもよい。
【0042】
同様に、図17を参照すると、アンビル調節シャフト170及びトロカール173は、一体型であり、同一の材料片から一体化して成形されてもよい。したがって、シャフトの遠位部170bは、近位部170aから突出し、トロカール173に隣接してもよい。更に、図18を参照すると、推進バー180が示される。推進バーは、トリガ190(図16参照)の動きが、推進バー180をステープリングヘッド130に向かって作動させ、そこからステープルを射出、及び/又は切断部材(図示せず)を作動させることを可能にすることができる。手短に述べると、推進バーは、細長く、略管状形状であり、近位推進面181と、遠位推進面182と、を含んでもよい。図16及び18を参照すると、近位推進面181は、トリガ190からの推進運動を受容するように構成されてもよく、遠位推進面182は、上述のように、ステープリングヘッド130内のステープル推進装置及び/又は切断部材(図示せず)と係合するように構成されてもよい。同様に、推進バー180は、アンビル調節シャフト170(図17参照)を受容するように適合される、通路187を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、ステープラー101は、切断部材を含まなくてもよく、主に、組織を切除するのではなく、組織をステープル留めするか又は密封するように機能してもよい。
【0043】
上述の直線ステープラー101及び湾曲ステープラー1(ぞれぞれ、図16及び1を参照)は、類似した従来の市販の外科用ステープラーよりも、著しく少ない構成要素を含み得るということが、評価されるべきである。例えば、直線外科用ステープラー101、特にアンビル調節シャフトを参照すると、握り部179と、閉鎖ネジ又は螺旋面174と、トロカール173とを、1つの統合構成要素であるアンビル調節シャフト170へと組み合わせることで、外科用ステープラーの部品総数が低減される。傾斜部174aと平坦部174bとを螺旋面174へと組み合わせることで、構成要素の総数の更なる低減が獲得されてもよい。上述のように、螺旋面の傾斜部174aは、本体110に対して、シャフト170の始めのコース軸方向の動きを可能にし、平坦部174bは、アンビル150とステープリングヘッド130との間に、少なくとも1つの個別的な所定のステープル成形高さを確立することができる。概して、アンビル及びステープリングヘッド構成要素は除き、外科用ステープラー101は、従来の装置の30個以上の構成要素と比較し、7つの構成要素のみを含むことができる。図16〜18を参照すると、7つの構成要素は、本体110、発射トリガ190、トリガ190を本体110に枢動可能に結合するヒンジピン193、ロックアウトステム195と一体化して成形されたトリガバネ191、アンビル調節シャフト170、シャフトの螺旋面174に動作可能に係合するネジピン(図示せず。例えば、図3に示すネジピン75を参照)、及び推進バー180を含むことができる。加えて、部品総数は更に低減されてもよい。例えば、ヒンジピン193は、戻り止めヒンジ又は可撓性タブを、例えば、トリガ190自体の中に組み合わせることによって、排除されてもよい。更に、バネ191とロックアウトステム195とはまた、トリガ190と一体化して成形されてもよい。同様に、ネジピン(図示せず)は、ネジ突出部が螺旋面174と係合し得るように、本体110の内表面から延在する突出部と合体することによって、排除されてもよい。いずれにしても、外科用ステープラー101の上述の構成要素は、上述のものと同様の機能性を提供することができる。少数の製造技術しか使用しないこの簡易化ステープラー構造は、広く応用可能であり、また多用途で滅菌可能な装置にも適切なはずであり、現在使用可能な類似の外科用ステープラーよりも、著しく費用が少なく、より少ない製造時間しか必要としない。したがって、少なくとも1つの実施形態において、上述の構成要素、より少ないアンビル及びステープリングヘッド部品を含む、再利用可能なステープラーを提供することができる。また、少なくとも1つの実施形態において、ステープルカートリッジを含む、アンビル及び/又はステープリングヘッドは、更に、使い捨てであってもよい。
【0044】
少なくとも1つの例示の実施形態において、上述の部品総数の最小化は、各構成要素を部品基準リストと比較し、当該部品が必要であるかを判断することによって、達成した。残ったものは、上述に列挙した、組立て理由のために必要であるか、固有の材料特性を有するか、又はステープラー内の他の部品に対して移動するもののみであった。
【0045】
複数の実施形態を説明してきたが、種々の実施形態の利点の幾つか又は全てを習得した当業者は、これらの実施形態に対する様々な修正、変更及び適用を想起することができることは明白である。例えば、種々の実施形態に従って、所定の単一又は複数の機能を実施するために、又は所定の目的を達成するために、単一の構成要素若しくは工程は、複数の構成要素若しくは工程と入れ替わってもよく、また複数の構成要素若しくは工程は、単一の構成要素若しくは工程と入れ替わってもよい。更に、上述の種々の構成要素は、種々の材料から作成されてもよい。例えば、構成要素は、金属、プラスチック、及び/又は生体適合性材料のうちの、任意の組み合わせから作成されてもよい。更に、例えば、トリガ、推進バンド、及びアンビル調節バンドといった、種々の構成要素は、金属薄板から作成され、湾曲され、又は折り畳まれてもよい。本願はしたがって、添付の「特許請求の範囲」の範囲及び趣旨を逸脱することなく、そのような全ての修正、変更及び改作を網羅することを意図したものである。
【0046】
本明細書に記載されている装置は、1回の使用の後に廃棄されるように設計すること、又はこれらが複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用の後に再使用のために再調整することができる。再調整は、装置の分解、これに続く特定の部品のクリーニング又は交換、及びこれに続く再組立て工程の組み合わせであってよい。特に、装置は分解することができ、また、装置の任意の個数の特定の部片又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換すること又は取り外すことが可能である。特定の部品を洗浄及び/又は交換すると、装置は、再調整設備において、あるいは外科的手技の直前に手術チームによって、後で使用するために再組立てすることができる。装置の再調整では、分解、洗浄/交換、及び再組立てのための種々様々な技術が利用され得ることは、当業者には理解されよう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0047】
本明細書に記載の装置は、手術前に処理され得る。まず、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄される。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEK(登録商標)バッグなどの、閉鎖及び密閉された容器に器具を入れる。次いで、容器と器具は、ガンマ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線の場に置かれる。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は、それが医療施設内で開封されるまで、器具を無菌に保つ。
【0048】
引用によって全体又は一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開又は他の開示資料は、組み込まれる資料が、この開示に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない程度にのみ、本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラーであって、
本体であって、
ハンドル部と、
前記ハンドル部から延在するシャフト部と、を備える、本体と、
前記シャフト部に解放可能に結合するステープリングヘッドアセンブリであって、前記ステープリングヘッドアセンブリが、
1つ又は2つ以上の外科用ステープルを支持するためのステープルカートリッジと、
前記ステープルに係合し、前記ステープルカートリッジから前記ステープルを推進するための、少なくとも1つのステープル推進装置と、を備える、ステープリングヘッドアセンブリと、
前記ステープル推進装置に、推進運動を適用するための推進システムと、
前記ステープルカートリッジに向かう及び前記ステープルカートリッジから離れる軸方向移動のために、前記ステープルカートリッジに対して可動に支持されるアンビルと、
前記ステープルカートリッジに対して、前記アンビルの軸方向位置を選択的に調節するためのアンビル調節アセンブリであって、前記アンビル調節アセンブリが、調節シャフトと、それと一緒に移動するように前記調節シャフトに結合されるトロカールと、を備え、前記トロカールが前記アンビルに着脱可能に取り付けられるように構成され、前記調節シャフト又は前記本体のうちの一方は係合部を備え、前記調節シャフト又は前記本体のうちのもう一方は、
少なくとも1つの傾斜部と、少なくとも1つの平坦部と、前記少なくとも1つの傾斜部から前記少なくとも1つの平坦部を分離する少なくとも1つの区切りと、を備える、螺旋面を備え、前記少なくとも1つの傾斜部が、前記調節シャフトが回転されると、前記係合部と動作可能に係合し、前記調節シャフトを前記本体に対して移動させるように構成される、アンビル調節アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
(2) 前記本体に可動に結合されるトリガを更に備え、前記トリガが、前記トリガが移動されると前記推進システムを作動させるように構成され、前記調節シャフトが、第1の幅を画定する第1の部分と、第2の幅を画定する第2の部分と、を備え、前記トリガが、寸法を有する開口部を画定するロックアウトステムを更に備え、前記開口部の前記寸法は、前記第1の幅より小さいが、前記開口部は前記第2の幅より大きいか又は等しい、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(3) 前記少なくとも1つの区切りが隆起である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(4) 前記少なくとも1つの区切りが突出部である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(5) 前記螺旋面が表面トポグラフィーを画定し、前記少なくとも1つの区切りが、前記表面トポグラフィーにおける断絶部である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(6) 前記少なくとも1つの傾斜部が、前記調節シャフトの軸線に対して90度未満の角度で傾斜し、前記少なくとも1つの平坦部が、前記調節シャフトの軸線に実質的に垂直である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(7) 前記少なくとも1つの平坦部と相関する前記アンビル調節シャフト上の視覚的しるしを更に備える、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(8) 外科用ステープラーであって、
本体と、
前記本体に動作可能に結合されるステープリングヘッドと、
前記ステープリングヘッドに向かう及び前記ステープリングヘッドから離れる選択的移動のために、前記ステープリングヘッドに対して可動に支持されるアンビルと、
前記アンビルの位置を前記ステープリングヘッドに対して選択的に調節するように、前記本体によって支持されるアンビル調節シャフトであって、前記調節シャフト又は前記本体のうちの一方は係合部を備え、前記調節シャフト又は前記本体のうちのもう一方は、
第1の部分及び第2の部分を備える螺旋面であって、前記第1の部分が、前記調節シャフトが回転されると、前記係合部と動作可能に係合し前記調節シャフトを前記本体に対して移動させるように構成される、螺旋面と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを分離する少なくとも1つの区切りと、を備える、アンビル調節シャフトと、を備える、外科用ステープラー。
(9) 前記少なくとも1つの区切りが隆起である、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(10) 前記少なくとも1つの区切りが突出部である、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
【0050】
(11) 前記螺旋面が表面トポグラフィーを画定し、前記少なくとも1つの区切りが、前記表面トポグラフィーにおける断絶部である、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(12) 前記第1の部分が、前記調節シャフトの軸線に対して90度未満の角度で傾斜し、前記第2の部分が、前記調節シャフトの軸線に実質的に垂直である、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(13) 前記本体に可動に結合されるトリガを更に備え、前記トリガが、前記トリガが移動されると前記推進システムを作動させるように構成され、前記調節シャフトが、第1の幅を画定する第1の部分と、第2の幅を画定する第2の部分と、を備え、前記トリガが、寸法を有する開口部を画定するロックアウトステムを更に備え、前記開口部の前記寸法は、前記第1の幅より小さいが、前記開口部は前記第2の幅より大きいか又は等しい、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(14) 外科用ステープラーであって、
本体と、
前記本体に動作可能に結合されるステープリングヘッドと、
前記ステープリングヘッドに向かう及び前記ステープリングヘッドから離れる選択移動のために、前記ステープリングヘッドに対して可動に支持されるアンビルと、
前記アンビルの位置を前記ステープリングヘッドに対して選択的に調節するように、前記本体によって支持されるアンビル調節シャフトであって、前記調節シャフト又は前記本体のうちの少なくとも一方は係合部を備え、前記調節シャフト又は前記本体のうちのもう一方は、
少なくとも1つの傾斜部と少なくとも1つの平坦部とを備える螺旋面であって、前記少なくとも1つの傾斜部が、前記調節シャフトが回転されると、前記係合部と動作可能に係合し前記調節シャフトを前記本体に対して移動させるように構成される、螺旋面を備える、アンビル調節シャフトと、を備える、外科用ステープラー。
(15) 前記少なくとも1つの傾斜部が、前記調節シャフトの軸線に対して90度未満の角度で傾斜し、前記少なくとも1つの平坦部が、前記調節シャフトの軸線に実質的に垂直である、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(16) 前記少なくとも1つの傾斜部と前記少なくとも1つの平坦部との間に、少なくとも1つの区切りを更に備える、実施態様14に記載の外科用ステープラー。
(17) 前記少なくとも1つの区切りが隆起である、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(18) 前記少なくとも1つの区切りが突出部である、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(19) 前記螺旋面が表面トポグラフィーを画定し、前記少なくとも1つの区切りが、前記表面トポグラフィーにおける断絶部である、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(20) 前記本体に可動に結合されるトリガを更に備え、前記トリガが、前記トリガが移動されると前記推進システムを作動させるように構成され、前記調節シャフトが、第1の幅を画定する第1の部分と、第2の幅を画定する第2の部分と、を備え、前記トリガが、寸法を有する開口部を画定するロックアウトステムを更に備え、前記開口部の前記寸法は、前記第1の幅より小さいが、前記開口部は前記第2の幅より大きいか又は等しい、実施態様14に記載の外科用ステープラー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18