(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)患者の胃腸管内に埋め込むために構成されたセンサ装置であって、前記センサ装置が、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータを検知するように構成されたヒドロゲルを含み、前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータの検知に応答して膨潤又は崩壊するように構成される、センサ装置、及び
(b)前記患者に埋め込むために構成された制限部形成装置であって、前記制限部形成装置が、前記患者の解剖学的構造に制限部を形成するように構成され、前記制限部形成装置が前記センサ装置に連結され、前記制限部形成装置が、少なくとも一部には、前記ヒドロゲルが膨潤状態にあるか又は崩壊状態にあるかどうかに基づいて、前記制限部形成装置によって形成された制限部の程度を選択的に変化させるように構成される、制限部形成装置、
を含み、
前記制限部形成装置が流体を収容するように構成され、前記制限部形成装置によって形成された前記制限部の程度が、前記制限部形成装置の中の流体の量に基づき、前記センサ装置が、前記制限部形成装置と連通する作動流体を収容する流体リザーバを画定し、
前記センサ装置が、第1の区域と第2の区域とを有するハウジングを備え、前記流体リザーバが前記ハウジングの前記第1の区域の中に画定され、前記ハウジングの前記第2の区域が前記ヒドロゲルを収容し、前記ハウジングの前記第2の区域が、胃液が前記ハウジングを通って連通し前記ヒドロゲルに送達されるのを可能にするように構成された複数の開口部を画定する、装置。
前記胃バンドがブラダを備え、前記胃バンドによって形成された前記制限部のサイズが、前記ブラダの中の流体の量に基づき、前記ブラダの中の前記流体の量が、少なくとも一部には、前記ヒドロゲルが前記膨潤状態にあるか又は前記崩壊状態にあるかどうかに基づく、請求項2に記載の装置。
前記センサ装置が、前記ハウジングの中にピストンディスクを更に備え、前記ピストンディスクが前記ヒドロゲルと前記作動流体との間に設置され、それにより前記ピストンディスクが、前記ハウジングの前記第1の区域を前記ハウジングの前記第2の区域から分離する可動バリアを提供する、請求項1に記載の装置。
前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取を示す胃液に暴露されることに応答して膨潤するように調製及び構成され、前記ハウジングが、前記ヒドロゲルによる膨潤が作動流体を前記ハウジングの前記第1の区域から前記制限部形成装置に向けて押出して前記制限部形成装置に流体を加え、それによって前記制限部形成装置によって形成される前記制限部の程度を増加させるように構成される、請求項1に記載の装置。
(a)患者の胃腸管内に埋め込むために構成されたセンサ装置であって、前記センサ装置が、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータを検知するように構成されたヒドロゲルを含み、前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータの検知に応答して膨潤又は崩壊するように構成される、センサ装置、及び
(b)前記患者に埋め込むために構成された制限部形成装置であって、前記制限部形成装置が、前記患者の解剖学的構造に制限部を形成するように構成され、前記制限部形成装置が前記センサ装置に連結され、前記制限部形成装置が、少なくとも一部には、前記ヒドロゲルが膨潤状態にあるか又は崩壊状態にあるかどうかに基づいて、前記制限部形成装置によって形成された制限部の程度を選択的に変化させるように構成される、制限部形成装置、
を含み、
前記制限部形成装置が流体を収容するように構成され、前記制限部形成装置によって形成された前記制限部の程度が、前記制限部形成装置の中の流体の量に基づき、前記センサ装置が、前記制限部形成装置と連通する作動流体を収容する流体リザーバを画定し、
前記流体リザーバが前記ヒドロゲルによって画定される、装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点が以下の説明から当業者には明らかとなろう。以下の説明は、実例として、本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである。明らかなように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の様々な明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明文は、例示的な性質のものであって限定的なものと見なすべきではない。
【0014】
概論
ある設定において、患者の生理的パラメータに動的に応答する病的肥満の治療方法又は装置を提供することが所望され得る。例えば、ある設定では、患者の物理的及び/又は化学的変化が、病的肥満治療装置に動的な応答変化を生成する、トリガシステムを提供することが所望され得る。そのような病的肥満治療及び装置のいくつかの例が以下により詳細に記載されるが、以下の例は単なる例示であるであることを理解すべきである。主な例は、調節可能な胃バンドシステムとの関係において記載されるが、同じ教示を、種々のその他の病的肥満を治療するための装置、例えば、上述のような及び本明細書の他の場所に記載のような、胃スリーブ、胃バルブ、空間占有デバイス、及び膨化装置などに容易に組み込むことが可能であることを理解すべきである。本発明の教示を胃バンド、胃スリーブ、胃バルブ、空間占有デバイス、及び膨化装置に組み込むことができる種々の代替的方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0015】
同様に、以下の例は、病的肥満治療装置からの動的応答をトリガするための基準として、患者の胃の中のpH値を用いることを含む。しかしながら、患者における任意のその他の種類の物理的及び/又は化学的変化を、装置からの動的応答をトリガするための基準として用いることができることを理解すべきである。単なる例として、そのような変化は、空腹時及び摂取時の各段階と共に変化及び循環する胃運動性(例えば、応答をトリガするための物理的刺激として)、異なるレベル又はタイプの活動(例えば、休息、睡眠、日常の活動等)と共に変化及び循環する呼吸(例えば、応答をトリガするための隔壁の変化に基づく物理的刺激として)、及び/又は運動性の変化に伴う筋活動を介した電気的活動などが挙げられる。このような代替基準を、患者の胃内のpH値に加えて又はpH値の代わりに用いてもよく、及び/又はこのような代替基準を、他の基準と組み合わせて用いてもよい。装置からの動的応答をトリガするための基準として用いることができる、患者における様々なタイプの物理的及び/又は化学的変化は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0016】
ヒドロゲル
本明細書において明示的に記載される例のほとんどは、装置の動的応答をトリガするためにヒドロゲル材料を使用する。具体的には、本明細書に記載される例は、環境感受性ヒドロゲルを、装置のセンサ及び/又は作動機構として使用する。ヒドロゲルを動的応答装置システムに組み込むことができる方法について論ずる前に、好適なヒドロゲル及び好適なヒドロゲルの特性の例について簡単に説明する。
【0017】
機能性ポリマーゲルネットワークを形成するために使用するモノマーは、わずかな化学的又は生物学的刺激に応答して、比較的大きな物理的変化を呈し得る。応答性材料としては、多官能性アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エラストマーアクリレート、及び関連モノマー類から調製されるポリマーを挙げることができる。センサ又は作動機構として使用される装置への環境感受性ヒドロゲルの導入には、非応答性材料も関係している。非応答性材料は、応答系又は作用系の壁又は境界を画定して、透過性、半透過性、及び/又は不透過性の可撓性又は剛性バリアを形成するために使用され得る。非応答性材料は、様々なモノマー及びポリマーから調製され得る。
【0018】
本明細書に記載の例で使用することができる環境感受性ヒドロゲルとしては、pH依存性の可逆的膨潤挙動を示すものを挙げることができる。こうしたpH感受性ヒドロゲルは、イオン性ネットワークに基づいていてもよい。アニオン性ネットワークは、特異的pK
aを有する、カルボン酸などの酸性のペンダント基を含み、カチオン性ネットワークは、特異的pK
bを有するアミン基などの塩基性のペンダント基を含む。アニオン性ネットワークの場合、これら酸性基のイオン化は、環境のpHが酸性基の特異的pK
aを超えた時点で生じる。酸性基の脱プロトン化により、ネットワークはその鎖上に固定電荷を有することができ、その結果、鎖間の静電反発力が生じ、加えてネットワークの親水性が増加する。ネットワークのこうした変化に起因して、水はより大きな度合でポリマーに吸収されることができ、ポリマーの膨潤が生じる。
【0019】
ヒドロゲルからの応答をトリガする生体信号又はパラメータは、化学種であってもよい。化学種が水素イオンの場合には、ヒドロゲルネットワークの膨潤状態は、ヒドロゲルの周囲の流体又は環境の水素イオン濃度又はpHに対するpKa又はpKbの関数として影響を受ける。そのような場合には、ヒドロゲルポリマーは、不飽和有機酸モノマー、アクリル置換アルコール、及びアクリルアミドからなる群から採用される親水性モノマーの架橋ネットワークである。より詳細には、モノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アクリル酸ヒドロキシエチル、2−(メタクリル酸ジメチルアミノエチル、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド、及びポリ(エチレングリコール)(n)ジメタクリル酸の種々の量を含有するN,N−ジメチルアクリルアミドポリ(メタクリル酸)(nはPEG鎖の平均分子量)からなる群から採用され得る。あるいは、他の任意の好適な種類のヒドロゲルを使用することができる。
【0020】
ヒドロゲルポリマーがpH値に応答して膨潤するように構成される場合、この体積変化は相当なものとなり得る。単なる例として、一部のヒドロゲルポリマーは、体積を約300%〜400%、又は更に約600%変化させることが可能であり得る。体積変化を受ける駆動力又は電位は有意であり、その結果、膨張期の間、ヒドロゲルが抑制されている場合には大きな膨張力が生じ得る。したがって、以下により詳細に記載されるように、こうした膨張力を利用して、ないしは別の方法で使用して、病的肥満治療装置の応答をトリガすることができる。
【0021】
以下の例は、装置の動的応答をトリガするためのヒドロゲルの使用を包含しているが、そのような応答は他の様々な方法でトリガされてもよいことを理解すべきである。例えば、ヒドロゲルを使用して応答をトリガするのに加えて又はその代わりに、1つ又は2つ以上の電子及び/又は化学系センサを使用して、装置の応答をトリガしてもよい。単なる例として、電界又は電流に応答して粘度を変化させる(例えば、液体からゲル及びゲルから液体)1種又は2種以上の電気粘性流体(ER流体と呼ばれる場合もある)を使用して、装置の動的応答をトリガしてもよい。そのようなER流体の単なる例示的な例としては、でんぷん溶液を挙げることができるが、他の任意の好適な種類のER流体を使用してもよい。胃バンドなどの装置の動的応答をトリガするために使用することができる、更にその他の好適な種類の材料及び/又は装置など(これらの組み合わせを含む)は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0022】
胃バンド用ヒドロゲルポンプ(Hydrogel Pump)
図1〜4は、代表的な胃バンドシステム(10)を示している。図のように、胃バンドシステム(10)は、注入ポート(12)と、胃バンド(20)と、カテーテル(18)とを含み、これらは一緒になって閉鎖流体回路を形成する。本発明の例の注入ポート(12)は、ハウジング(14)と針穿通可能な隔膜(16)とを備える。以下により詳細に記載されるように、ハウジング(14)は流体リザーバ(図示せず)を画定し、針は隔膜(16)を穿孔してリザーバに到達し、流体(例えば、生理食塩水等)を加える又は抜くことができる。ハウジング(14)は、チタン、プラスチック、又は他の任意の好適な材料若しくは材料の組み合わせで形成されてもよい。隔膜(16)は、シリコーン、又は他の任意の好適な材料若しくは材料の組み合わせで形成されてもよい。注入ポート(12)は、患者の胸骨の上、患者の腹筋膜、又は他の任意の好適な位置に皮下固定されることができる。注入ポート(12)は、患者の皮膚表面の約10cm下に、又は他の任意の好適な深さに固定されてもよい。他の変更形態では、注入ポート(12)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開第2005/0283118号、発明の名称「Implantable Medical Device with Simultaneous Attachment Mechanism and Method」(2005年12月22日公開)の教示に従って構成され、かつ操作可能である。あるいは、注入ポート(12)は、その他の任意の好適な構成及び/又は操作性を有してもよい。
【0023】
本発明の例の胃バンド(20)は、可撓性ストラップ(24)に固定される可膨張ブラダ(22)を備える。可膨張ブラダ(22)は、シリコーン又は他の任意の好適な材料若しくは材料の組み合わせで形成されてもよい。カテーテル(18)は、ブラダ(22)と注入ポート(12)のリザーバとの間に流体連通を提供する。したがって、隔膜(16)を貫通して挿入される針を使用して、可膨張ブラダ(22)に流体を加える又は可膨張ブラダ(22)から流体を引き抜いて、胃バンド(20)によって作り出された制限部を調節することができる。他の変更形態では、胃バンド(20)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,416,528号、発明の名称「Latching Device for Gastric Band」(2008年8月26日発行)の教示に従って構成され、かつ操作可能である。あるいは、胃バンド(20)は、その他の任意の好適な構成及び/又は操作性を有してもよい。
【0024】
ある設定において、胃バンド(20)は、患者の胃食道接合部の周囲に適用される。具体的には、
図2に示されるように、胃バンド(20)は、ブラダ(22)の外部上のストラップ(24)を使用して、ブラダ(22)が胃食道接合の組織に隣接するように取り付けられる。胃バンド(20)が患者の胃(2)の周りに巻き付けられると、ストラップ(24)の末端部は互いに対して固定される。この例ではストラップ(24)は可撓性であるが、ストラップ(24)は、その長さに沿った伸張を実質的に妨げる。したがって、(例えば、注入ポート(12)の隔膜(16)を貫通して挿入された針などを使用して)流体がブラダ(22)に加えられると、ブラダ(22)は膨張し、患者の胃食道接合部に内向きの力を加える。これにより、胃食道接合部の内部小孔のサイズが低減され、それによって患者の胃(2)の中への食物摂取量に制限部を加える。この小孔のサイズは、より大きな制限部の程度を作り出すためにブラダ(22)に更なる流体を加えることによって減少させることができ、又は制限部の程度を低減するためにブラダ(22)から流体を引き抜くことによって増加させることができることを理解すべきである。
【0025】
図2〜
図4に示されるように、本例では、取り付けられた胃バンド(20)は、食道(4)との接合部付近の胃(2)の上部を少なくとも実質的に包囲する。
図3は、収縮形状の胃バンド(20)を示しており、ブラダ(22)は流体をほとんど収容しておらず、それにより胃(2)に通じる小孔開口部のサイズは最大となっている。
図4は、流体が充填されている膨張形状の胃バンド(20)を示しており、ブラダ(22)は、
図3よりも実質的に多い流体を収容している。
図4に示されるこの形状では、胃(2)に対する胃バンド(20)の圧力は、ブラダ(22)内の流体が増加したため増大し、それによって小孔開口部は小さくなり、食物摂取量制限部を形成する。
図4は、患者の横隔膜筋(8)の下に上側嚢(6)を形成するための、胃バンド(20)の上方の食道(4)の拡張も概略的に示している。胃バンドシステム(10)が患者に埋め込まれ、初期量の流体(例えば、生理食塩水等)が胃バンドシステム(10)に導入された後、医師は、注入ポート(12)の隔膜(16)を通して挿入された針(例えば、ヒューバー針等)を使用して、胃バンドシステム(10)の中の流体量を時折調節する必要があり得る。例えば、そうした調節は、患者によって達成された体重減少を明らかにするために望ましくあり得、胃バンドシステム(10)が埋め込まれた後、1ヵ月前後(又は他の任意の好適な期間)で開始されてもよい。
【0026】
いくつかのシナリオにおいては、患者が摂食中の場合、
図4に示される膨張状態までだけ胃バンド(20)を膨張させ、患者が空腹状態にあるか、又は別様に摂食中でない場合、
図3に示される崩壊状態まで胃バンド(20)を戻すのが望ましくあり得る。したがって、ある設定では、患者が摂食中であるか否かに基づいて胃バンド(20)の状態を変化させるように構成されたポンプを設けるのが望ましくあり得る。
図5A〜
図5Bは、胃バンドシステム(10)に組み込まれるのが可能な代表的なヒドロゲルポンプ(100)を示す。具体的には、ヒドロゲルポンプ(100)は、胃バンドシステム(10)のカテーテル(18)に連結されるカテーテル(19)と流体連通してもよい。例えば、カテーテル(19)は、従来の「T」若しくは「Y」連結、又は他の任意の好適なやり方で、カテーテル(18)に結合されてもよい。あるいは、カテーテル(19)は、胃バンド(20)のブラダ(22)に直接連結されてもよく、注入ポート(12)に直接結合されてもよく、又は別のやり方で胃バンドシステム(10)に組み込まれてもよい。本例では、ヒドロゲルポンプ(100)は胃バンドシステム(10)と流体連通しているが、ヒドロゲルポンプ(100)及び胃バンドシステム(10)は、依然として、一緒になって、
図1に示される胃バンドシステム(10)のような閉鎖流体回路を形成している。
【0027】
図のように、ヒドロゲルポンプ(100)は、患者の胃(2)の壁(3)に固定されたハウジング(102)を備えている。具体的には、ヒドロゲルポンプ(100)は、患者の胃(2)の内部の中に固定され、カテーテル(19)が患者の胃(2)から外部に伸張して胃バンドシステム(10)に連結する。単なる例として、ハウジング(102)は、患者の胃(2)の下部/遠心領域に固定されてもよいが、他の任意の好適な位置又は複数の位置が用いられてもよい。カテーテル(19)は、患者の胃(2)の壁(3)に形成された開口部を通って送り込まれ、一対のフランジ(104、106)が、壁(3)の対向する面に、この開口部に隣接して固定される。フランジ(104、106)は、カテーテル(19)に対して及び壁(3)の対向する面に対して密封し、そのため流体は、フランジ(104、106)とカテーテル(19)との間の境界面を通って漏出できず、また流体は、フランジ(104、106)と壁(3)との間の境界面を通って漏出できない。換言すれば、本例では、カテーテル(19)の内部ルーメンだけが、壁(3)を通した流体連通のための経路である。フランジ(104、106)は、1種又は2種以上のバイオ外科手術用接着剤(例えば、シアノアクリレート、イソシアネート等)を使用して及び/又は他の任意の好適な装置、物質、又は技術を用いて壁(3)に封止されてもよい。フランジ(104、106)はまた、任意の好適な方法でカテーテル(19)に封止されてもよい。フランジ(106)は、ハウジング(102)の蓋を形成してもよく、フランジ(106)はハウジング(102)にも封止される。
【0028】
本例のハウジング(102)は、胃(2)の中の酸性液及びその他の流体、胃運動性の粉砕及び撹拌機構、及び消化酵素による酵素の攻撃に実質的に耐え得る、実質的に硬質材料で形成される。例えば、ハウジング(102)は、生体適合性プラスチック、金属、又は他の任意の好適な材料若しくは材料の組み合わせで形成されてもよい。ハウジング(102)は、上方領域(110)と下方領域(120)とを含む。
図5A〜
図5Bにおいてハウジング(102)は断面で示されているが、ハウジング(102)は、円筒状などであるがこれに限定されない任意の好適形状を有することができることを理解すべきである。本例では、上方領域(110)及び下方領域(120)はピストンディスク(130)によって分離される。生理食塩水などの流体(112)は上方領域(110)に提供され、カテーテル(19)を介して胃バンドシステム(10)と流体連通する。本例では、
図5Aにおいて下よりの位置にあるピストンディスク(130)により、上方領域(110)は約2 ccの流体容量を有する。あるいは、上方領域(110)は、その他の任意の好適な流体容量を有してもよい。
【0029】
環境感受性ヒドロゲル(122)は、ハウジング(120)の下方領域(120)に提供される。ピストンディスク(130)は、ハウジング(102)の内壁(132)に対して実質的に密封し、その結果ピストンディスク(130)は上方領域(110)を下方領域(120)から流体的に分離する。以下により詳細に記載されるように、ピストンディスク(130)は、流体(112)を上方領域(110)から放出するために、ハウジング(102)によって画定される長手方向軸に沿って移動可能である。ハウジング(110)内でのかかる移動中及び移動後でさえも、ピストンディスク(130)は、上方領域(110)と下方領域(120)との間の封止を維持する。周縁(134)は、ハウジングの内壁(132)から半径方向内向きに突出して、ピストンディスク(130)の外径よりも小さな内径を提供する。したがって、周縁(134)は、ピストンディスク(130)の降下を制限し、それによりピストンディスク(130)は、
図5Aに示される位置よりも下には移動することができない。言うまでもなく、本明細書に記載される他の特徴部と同様に、周縁(134)は単に任意の部材である。
【0030】
ハウジング(102)の下方領域(120)は、その中に形成される複数の開口部(124)を有し、それにより胃液がハウジング(102)の下方領域(120)に自由に出入りすることができ、胃(2)の中で生じている生理学的状態の変化(例えば、摂取及び空腹時に関連する)を、ハウジング(102)の内部下方領域(120)でも生じさせることができる。したがって、本例では、ヒドロゲル(122)は、開口部(124)を介して胃(2)の内部と流体連通する。更に、本例のヒドロゲル(122)は、低いpH環境では崩壊状態にあり(
図5A)、pH値の上昇に応答して膨潤及び膨張する(
図5B)ように調製及び構成される。pHの上昇は患者が食物を摂取し始めると生じる場合があり、患者が空腹時ないしは別様に食物を摂取していないときに、胃(2)の中のpH値は下がる場合があることを、当業者は理解されよう。単なる例として、ヒドロゲル(122)は、およそ4以上(又はおよそ5以上)のpH値に暴露されると膨張状態(
図5B)へと膨潤し、およそ4未満(又はおよそ5未満)のpH値に暴露されると崩壊状態(
図5A)となるように、調製及び構成されてもよい。あるいは、ヒドロゲル(122)は、他の任意の好適なpH値に応答して膨潤又は収縮(shrink)するように調製及び構成されてもよい。本例においてヒドロゲル(122)が膨潤すると、ピストンディスク(130)は、
図5Bに示されるように上方に押し上げられることとなり、このことが更にまた流体(112)を、ハウジングの上方領域(110)から胃バンドシステム(10)に押し出す。開口部(124)は、膨潤したヒドロゲル(122)が、開口部(124)を通って突出するのではなく、ピストンディスク(130)を上方に押し上げるのに好都合であるように、寸法設定及び構成される。ヒドロゲル(122)はこうして、患者の胃(2)の中の流体のpH値に基づいて、ピストンディスク(130)を駆動する。特定のヒドロゲル調製物及び構成は、膨潤したヒドロゲル(122)がピストンディスク(130)に加える圧力(
図5B)が、胃バンドシステム(10)に対して望ましい流体(112)の圧力を提供するように選択され得る。
【0031】
以上に鑑みて、患者が食物を摂取し始める前、ヒドロゲル(122)は
図5Aに示されるような崩壊状態にあり得ることを理解すべきである。この時、胃バンド(20)もまた、
図3に示される崩壊状態にあり得る。患者が食物を摂取し始めると、患者の胃(2)の中のpH値は上昇し始める。胃(2)の中の流体が開口部(124)を介して下方領域(120)の中に漏れるので、このpHの上昇はヒドロゲル(122)によって検知される。このpHの上昇に応答して、ヒドロゲル(122)は、
図5Bに示される膨張状態へと膨潤する。この膨潤はピストンディスク(130)を上昇位置まで駆動し、それによって流体(112)を、ハウジングの上方領域(110)から胃バンドシステム(10)へと押し出す。次に、胃バンド(20)は
図4に示される膨張状態に達して、患者の胃食道接合部に制限部を作り出す。患者が摂食を終了した後、患者の生理機能は、最終的に空腹時の段階に戻り、患者の胃の中のpH値は低下する。このpH値の低下により、ヒドロゲル(122)は
図5Aに示される形状まで崩壊して戻る。加えて、胃バンドシステム(10)の中の流体(112)の圧力は、ピストンディスク(130)を
図5Aに示される位置まで戻し、それにより、流体(112)は胃バンドシステム(10)からハウジング(120)の上方領域(110)の中に排出され、胃バンド(20)は
図3に示される崩壊状態に戻る。言うまでもなく、ヒドロゲルポンプ(100)の様々な特徴及び構成要素は、全て省略できないにしても、種々の方法で変更、置き換え、又は補足されてもよい。ヒドロゲルポンプ(100)の多くの好適な変形は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0032】
ヒドロゲルポンプ(100)の単なる例示的変形では、pH値に対するヒドロゲル(122)の応答性は逆にされる。具体的には、ヒドロゲル(122)は、低いpH値に応答して膨張し(
図5A)、高いpH値に応答して崩壊する(
図5B)ように構成される。こうした逆の応答は、胃バンド(20)が、(例えば、病的肥満を治療するために使用するのではなく)胃食道逆流性疾患(GERD)又は他の何らかの疾患を治療するために使用されるシナリオにおいて好適であり得る。いくつかのそのような変更形態では、ポンプ(100)は、患者の食道(4)に近接して、又は望ましくない胃酸の逆流の発生に対する応答を提供することができる何らかの他の好適な位置に設置されてもよい。望ましくない胃酸の逆流の発生に応答してバンド(20)を締め付けることにより、こうした胃酸の逆流に起因した損傷の可能性を低減することができる。
【0033】
ヒドロゲルポンプ(100)の別の単なる例示的変形として、ヒドロゲルポンプ(100)は胃バルブに連結されて、バルブを実質的な制限構造と実質的な非制限構造との間で駆動してもよい。例えば、ヒドロゲルポンプ(100)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開第2006/0235448号、発明の名称「Artificial Gastric Valve」(2006年10月19日公開)に記載のように、胃バルブに連結されてもよい。ヒドロゲルポンプ(100)をそのような胃バルブに連結することができる種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。ヒドロゲルポンプ(100)(又はその変形)を使用することができる更に他の好適な方法もまた、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0034】
胃バンドを作動させるためのヒドロゲル流体リザーバの収縮
図6A〜
図6Bは、胃バンドシステム(10)に組み込まれることができる例示的なヒドロゲル流体リザーバ(200)を示す。したがって、ヒドロゲル流体リザーバ(200)は、上述のヒドロゲルポンプ(100)に代わるものとして使用され得る。具体的には、ヒドロゲル流体リザーバ(200)は、胃バンドシステム(10)のカテーテル(18)に連結されたカテーテル(19)と流体連通してもよい。例えば、カテーテル(19)は、従来の「T」若しくは「Y」連結、又は他の任意の好適なやり方で、カテーテル(18)に結合されてもよい。あるいは、カテーテル(19)は、胃バンド(20)のブラダ(22)に直接連結されてもよく、注入ポート(12)に直接結合されてもよく、又は別のやり方で胃バンドシステム(10)に組み込まれてもよい。本例では、ヒドロゲル流体リザーバ(200)は胃バンドシステム(10)と流体連通するが、ヒドロゲル流体リザーバ(200)及び胃バンドシステム(10)は、依然として、一緒になって、
図1に示される胃バンドシステム(10)のような閉鎖流体回路を形成している。
【0035】
図のように、ヒドロゲル流体リザーバ(200)は、ヒドロゲル(202)から形成される中空の球体を備えている。この例では、ヒドロゲル(202)は、球体として形成されているが、他の任意の好適な形状を用いることもできることを理解すべきである。ヒドロゲル球体(202)は、患者の胃(2)の壁(3)に固定される。具体的には、ヒドロゲル球体(202)は、患者の胃(2)の内部の中に固定され、カテーテル(19)が患者の胃(2)から外部に伸張して胃バンドシステム(10)に連結する。単なる例として、球体(202)は、患者の胃(2)の下部/遠心領域に固定されてもよいが、他の任意の好適な位置又は複数の位置が用いられてもよい。カテーテル(19)は、患者の胃(2)の壁(3)に形成された開口部を通って送り込まれ、一対のフランジ(104、106)が、壁(3)の対向する面に、この開口部に隣接して固定される。フランジ(104、106)は、ヒドロゲルポンプ(100)に関して前述したものと同様に構成されてもよく、又は他の任意の好適な構成を有してもよい。本例では、カテーテル(19)の内部ルーメンだけが、壁(3)を通した流体連通のための経路である。ヒドロゲル球体(202)は中空内部(204)つまりリザーバを画定し、内部に流体(212)(例えば、生理食塩水等)が存在する。中空内部(204)及び流体(212)はカテーテル(19)と連通し、それにより、以下により詳細に記載されるようにヒドロゲル球体(202)が崩壊すると、流体(212)はカテーテル(19)を介して胃バンド(20)に向けて押し出され得る。
【0036】
本例では、ヒドロゲル球体(202)は、全体がヒドロゲルで形成される。いくつかのその他の変更形態では、中空内部(204)は、例えば流体(212)をヒドロゲル(202)から流体的に分離するために、中空内部(204)はシリコーン又は何らかの他の材料(図示せず)で裏打ちされる。これに加えて又は代替として、ヒドロゲル球体(202)の外面の周りにジャケット又はケース(図示せず)が設けられてもよい。そのようなジャケット又はケースは多孔質であってもよく、その中に形成された開口部を有していてもよく、ないしは別の方法で胃(2)の中の流体がヒドロゲル(202)と接触できるようしてもよい。ヒドロゲル球体(202)の内部及び/又は外部にそのような構成要素を設けることによって、ヒドロゲル球体(202)の構造的一体性を高めることができ、尚且つ、以下により詳細に記載されるようにヒドロゲル球体(202)が膨張又は収縮するのを可能とする。更に、いくつかの変形では、ヒドロゲル球体(202)の外面に設けられたジャケットは、多孔質であるのに加えて、実質的に弾性である。例えば、そのような弾性ジャケットは、
図6Bに示されているものと同様に、収縮位置に弾性的に付勢され得る。いくつかのそのような変更形態では、ヒドロゲル球体(202)が
図6Aに示される膨張した形状であるとき、弾性ジャケットはその付勢に逆らって伸張し、ジャケットの弾性付勢は、ヒドロゲル球体(202)が
図6Bに示される崩壊した形状に達するのを補助する。あるいは、弾性ジャケットは、ヒドロゲル球体(202)が崩壊した形状に達するのを必ずしも補助せずに、ヒドロゲル球体(202)と共に
図6Bに示される崩壊した形状へと単に移動してもよい。例えば、ヒドロゲル球体(202)の上又は内部に設けることができるその他の構成要素などであるが、これらに限定されない、ヒドロゲル球体(202)を構成することができる他の種々の代替的方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、カテーテル(19)をヒドロゲル球体(202)に連結することができる様々な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0037】
本例においてヒドロゲル球体(202)を形成するヒドロゲルは、ヒドロゲル球体(202)が膨潤状態(
図6A)と崩壊状態(
図6B)との間で変化するように、環境感受性である。具体的には、ヒドロゲル球体(202)のヒドロゲルは、低いpH環境では膨張状態であり(
図6A)、pH値の上昇に応答して崩壊する(
図6B)ように、調製及び構成される。pHの上昇は患者が食物を摂取し始めると生じる場合があり、患者が空腹時ないしは別様に食物を摂取していないときに、胃(2)の中のpH値は下がる場合があることを、当業者は理解されよう。単なる例として、ヒドロゲル球体(202)は、およそ4以上(又はおよそ5以上)のpH値に暴露されると崩壊状態に収縮し(
図6B)、およそ4未満(又はおよそ5未満)のpH値に暴露されると膨張状態へと膨潤する(
図6A)ように、調製及び構成されてもよい。あるいは、ヒドロゲル球体(202)は、他の任意の好適なpH値に応答して膨潤又は収縮するように調製及び構成されてもよい。
【0038】
ヒドロゲル球体(202)が
図6Aに示されるような膨張状態にある場合、その中空内部(204)は、およそ2 ccの容量を有するリザーバを提供する。あるいは、膨張したヒドロゲル球体(202)の中空内部(204)は、他の任意の好適な容量を有してもよい。ヒドロゲル球体(202)が
図6Bに示されるような崩壊状態に収縮すると、中空内部(204)によってもたらされるリザーバの容量は低減することとなり、このことが更にまた流体(212)を、中空内部(204)から胃バンドシステム(10)に押し出す。こうして、ヒドロゲル球体(202)は、患者の胃(2)の中の流体のpH値に基づいて、流体(212)を中空内部(204)から胃バンドシステム(10)へと駆動する。特定のヒドロゲル調製物及び構成は、収縮するヒドロゲル球体(202)が流体(212)に加える圧力(
図6B)が、胃バンドシステム(10)に対して望ましい流体(112)の圧力を提供するように選択され得る。
【0039】
以上に鑑みて、患者が食物を摂取し始める前、ヒドロゲル球体(202)は、
図6Aに示されるような膨張状態にあり得ることを理解すべきである。この時、胃バンド(20)もまた、
図3に示される崩壊状態にあり得る。患者が食物を摂取し始めると、患者の胃(2)の中のpH値は上昇し始める。胃(2)の中の流体がヒドロゲル球体(202)と連通しているので、このpHの上昇はヒドロゲル球体(202)によって検知される。このpHの上昇に応答して、ヒドロゲル球体(202)は、
図6に示される崩壊状態へと収縮する。この収縮は中空内部(204)の容量を低減し、それによって流体(212)を、ヒドロゲル球体(202)から胃バンドシステム(10)へと押し出す。次に、胃バンド(20)は
図4に示される膨張状態に達して、患者の胃食道接合部に制限部を形成する。患者が摂食を終了した後、患者の生理機能は、最終的に空腹時の段階に戻り、患者の胃の中のpH値は低下する。このpH値の低下により、ヒドロゲル球体(202)は
図6Aに示される膨張した形状まで膨潤して戻ることとなり、このことが更にまた、中空内部(204)によってもたらされるリザーバの容量を増加させる。加えて、胃バンドシステム(10)の中の流体(212)の圧力は、流体(212)を中空内部(204)に戻し、それにより、流体(212)は胃バンドシステム(10)から中空内部(204)の中に排出され、胃バンド(20)は
図3の崩壊状態に戻る。言うまでもなく、ヒドロゲルリザーバ(200)の様々な特徴及び構成要素は、全て省略できないにしても、種々の方法で変更、置き換え、又は補足されてもよい。ヒドロゲルリザーバ(200)の多くの好適な変形は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0040】
ヒドロゲルリザーバ(200)の単なる例示的変形では、pH値に対するヒドロゲル球体(202)の応答性は逆にされる。具体的には、ヒドロゲル球体(202)は、低いpH値に応答して崩壊し(
図6B)、高いpH値に応答して膨潤する(
図6A)ように構成される。こうした逆の応答は、胃バンド(20)が、(例えば、病的肥満を治療するために使用するのではなく)胃食道逆流性疾患(GERD)又は他の何らかの疾患を治療するために使用されるシナリオにおいて好適であり得る。いくつかのそのような変更形態では、リザーバ(200)は、患者の食道(4)に近接して、又は望ましくない胃酸の逆流の発生に対する応答を提供することができる何らかの他の好適な位置に設置されてもよい。望ましくない胃酸の逆流の発生に応答してバンド(20)を締め付けることにより、こうした胃酸の逆流に起因した損傷の可能性を低減することができる。ヒドロゲルリザーバ(200)(又はその変形)を使用することができる更に他の好適な方法もまた、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0041】
胃バンドを作動させるための流体リザーバの中のヒドロゲルの膨潤
図7A〜
図7Bは、胃バンドシステム(10)に組み込まれることができる例示的なヒドロゲル流体リザーバ(300)を示す。したがって、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、上述のヒドロゲルポンプ(100)及びヒドロゲル流体リザーバ(200)に代わるものとして使用されることができる。具体的には、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、胃バンドシステム(10)のカテーテル(18)に連結されたカテーテル(19)と流体連通してもよい。例えば、カテーテル(19)は、従来の「T」若しくは「Y」連結、又は他の任意の好適なやり方で、カテーテル(18)に結合されてもよい。あるいは、カテーテル(19)は、胃バンド(20)のブラダ(22)に直接連結されてもよく、注入ポート(12)に直接結合されてもよく、又は別のやり方で胃バンドシステム(10)に組み込まれてもよい。本例では、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は胃バンドシステム(10)と流体連通するが、ヒドロゲル流体リザーバ(300)及び胃バンドシステム(10)は、依然として、一緒になって、
図1に示される胃バンドシステム(10)のような閉鎖流体回路を形成している。
【0042】
図のように、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、ヒドロゲル(304)で形成される中空の球体を被覆する外側ジャケット(302)を備えている。この例では、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、球体として形成されているが、他の任意の好適な形状を用いることもできることを理解すべきである。ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、患者の胃(2)の壁(3)に固定される。具体的には、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、患者の胃(2)の内部の中に固定され、カテーテル(19)が患者の胃(2)から外部に伸張して胃バンドシステム(10)に連結する。単なる例として、ヒドロゲル流体リザーバ(300)は、患者の胃(2)の下部/遠心領域に固定されてもよいが、他の任意の好適な位置又は複数の位置が用いられてもよい。カテーテル(19)は、患者の胃(2)の壁(3)に形成された開口部を通って送り込まれ、一対のフランジ(104、106)が、壁(3)の対向する面に、この開口部に隣接して固定される。フランジ(104、106)は、ヒドロゲルポンプ(100)に関して前述したものと同様に構成されてもよく、又は他の任意の好適な構成を有してもよい。本例では、カテーテル(19)の内部ルーメンだけが、壁(3)を通した流体連通のための経路である。ヒドロゲル球体(304)は中空内部(306)つまりリザーバを画定し、内部に流体(312)(例えば、生理食塩水等)が存在する。中空内部(306)及び流体(312)はカテーテル(19)と連通し、それにより、以下により詳細に記載されるようにヒドロゲル球体(302)を形成するヒドロゲルが膨張すると、流体(312)はカテーテル(19)を介して胃バンド(20)に向けて押し出されることができる。
【0043】
本例では、ジャケット(302)は、胃(2)の中の酸性液及びその他の流体、胃運動性の粉砕及び撹拌機構、及び消化酵素による酵素の攻撃に実質的に耐え得る多孔質の非伸張性材料で形成される。例えば、ジャケット(302)は、多孔質のDACRON若しくはポリエステル材料、又は本明細書の他の場所で言及される他の材料であるが、それらに限定されないその他の任意の好適な材料若しくは材料の組み合わせで、形成されてもよい。ジャケット(302)の多孔性は、胃(2)の中の流体がヒドロゲル(304)と接触するのを可能にし、それにより胃液は、ジャケット(302)に自由に出入りすることができ、胃(2)の中で生じている生理学的状態の変化(例えば、摂取及び空腹時に関連する)を、ジャケット(302)の内部でも生じさせることができる。ジャケット(302)は、多孔質材料で形成されるのに加えて又はそれに代わるものとして、その中に形成された開口部を有してもよい。ジャケット(302)の非伸張性特性は、以下により詳細に記載されるように、ヒドロゲル球体(304)の外向きの膨潤に対する抵抗をもたらす。他の変更形態では、例えば流体(312)をヒドロゲル(304)から流体的に分離するために、ヒドロゲル球体(304)の中空内部(306)は、シリコーン又は何らかの他の材料(図示せず)で裏打ちされる。例えば、ヒドロゲル球体(304)の上又は内部に設けることができるその他の構成要素などであるが、これらに限定されない、ヒドロゲル流体リザーバ(300)を構成することができる他の種々の代替的方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、カテーテル(19)をヒドロゲル流体リザーバ(300)に連結することができる様々な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0044】
本例においてヒドロゲル球体(304)を形成するヒドロゲルは、ヒドロゲル球体(304)が崩壊状態(
図7A)と膨潤状態(
図7B)との間で変化するように、環境感受性である。具体的には、ヒドロゲル球体(304)のヒドロゲルは、低いpH環境では崩壊状態であり(
図7A)、pH値の上昇に応答して膨潤する(
図7B)ように、調製及び構成される。pHの上昇は患者が食物を摂取し始めると生じる場合があり、患者が空腹時ないしは別様に食物を摂取していないときに、胃(2)の中のpH値は下がる場合があることを、当業者は理解されよう。単なる例として、ヒドロゲル球体(304)は、およそ4以上(又はおよそ5以上)のpH値に暴露されると膨張状態(
図7B)へと膨潤し、およそ4未満(又はおよそ5未満)のpH値に暴露されると崩壊状態(
図7A)に収縮するように、調製及び構成されてもよい。あるいは、ヒドロゲル球体(304)は、他の任意の好適なpH値に応答して膨潤又は収縮するように調製及び構成されてもよい。
【0045】
ヒドロゲル球体(304)が
図7Aに示されるような崩壊状態にあるとき、その中空内部(306)は、およそ2 ccの容量を有するリザーバを提供する。あるいは、崩壊したヒドロゲル球体(304)の中空内部(306)は、他の任意の好適な容量を有してもよい。ヒドロゲル球体(304)が
図7Bに示されるような膨張状態に膨潤すると、ジャケット(302)は、ヒドロゲル球体(304)が外向きに膨張するのを実質的に防止し、その結果ヒドロゲル球体(304)は内向きに膨張する。中空内部(306)によってもたらされるリザーバの容量は、それにより低減することとなり、このことが更にまた流体(312)を、中空内部(306)から胃バンドシステム(10)に押し出す。こうして、ヒドロゲル球体(304)は、患者の胃(2)の中の流体のpH値に基づいて、流体(312)を中空内部(306)から胃バンドシステム(10)へと駆動する。特定のヒドロゲル調製物及び構成は、膨潤したヒドロゲル球体(304)が流体(312)に加える圧力(
図7B)が、胃バンドシステム(10)に対して望ましい流体(312)の圧力を提供するように選択され得る。
【0046】
以上に鑑みて、患者が食物を摂取し始める前、ヒドロゲル球体(304)は
図7Aに示されるような崩壊状態にあり得ることを理解すべきである。この時、胃バンド(20)もまた、
図3に示される崩壊状態にあり得る。患者が食物を摂取し始めると、患者の胃(2)の中のpH値は上昇し始める。胃(2)の中の流体がジャケット(302)を介してヒドロゲル球体(304)と連通するので、このpHの上昇はヒドロゲル球体(304)によって検知される。このpHの上昇に応答して、ヒドロゲル球体(304)は、
図7Bに示される膨張状態へと膨潤する。ヒドロゲル球体(304)によるこの膨潤と、ジャケット(302)の非伸張性との組み合わせは、中空内部(306)の容量を低減し、それによって流体(312)を、ヒドロゲル球体(304)から胃バンドシステム(10)へと押し出す。次に、胃バンド(20)は
図4に示される膨張状態に達して、患者の胃食道接合部に制限部を形成する。患者が摂食を終了した後、患者の生理機能は、最終的に空腹時の段階に戻り、患者の胃の中のpH値は低下する。このpH値の低下により、ヒドロゲル球体(304)は
図7Aに示される崩壊した形状まで収縮して戻ることとなり、このことが更にまた、中空内部(306)によってもたらされるリザーバの容量を増加させる。加えて、胃バンドシステム(10)の中の流体(312)の圧力は、流体(312)を中空内部(306)まで戻し、それにより、流体(312)は胃バンドシステム(10)から中空内部(306)の中に排出され、胃バンド(20)は
図3の崩壊状態に戻る。言うまでもなく、ヒドロゲルリザーバ(300)の様々な特徴及び構成要素は、全て省略できないにしても、種々の方法で変更、置き換え、又は補足されてもよい。ヒドロゲルリザーバ(300)の多くの好適な変形は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0047】
ヒドロゲルリザーバ(300)の単なる例示的変形では、pH値に対するヒドロゲル球体(304)の応答性は逆にされる。具体的には、ヒドロゲル球体(304)は、低いpH値に応答して膨張し(
図7B)、高いpH値に応答して収縮する(
図7A)ように構成される。こうした逆の応答は、胃バンド(20)が、(例えば、病的肥満を治療するために使用するのではなく)胃食道逆流性疾患(GERD)又は他の何らかの疾患を治療するために使用されるシナリオにおいて好適であり得る。いくつかのそのような変更形態では、リザーバ(300)は、患者の食道(4)に近接して、又は望ましくない胃酸の逆流の発生に対する応答を提供することができる何らかの他の好適な位置に設置されてもよい。望ましくない胃酸の逆流の発生に応答してバンド(20)を締め付けることにより、こうした胃酸の逆流に起因した損傷の可能性を低減することができる。ヒドロゲルリザーバ(300)(又はその変形)を使用することができる更に他の好適な方法もまた、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0048】
電気機械的ポンプを作動させるためのヒドロゲル
上で述べたように、胃バンドシステム(10)のいくつかの変更形態は、胃バンド(20)の中のブラダ(22)の流体レベルを調節するように操作可能なポンプを備えてもよい。そのようなポンプの単なる例示的な例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,390,294号、発明の名称「Piezo Electrically Driven Bellows Infuser for Hydraulically Controlling an Adjustable Gastric Band」(2008年6月24日発行)に記載されている。そのようなポンプの他の単なる例示的な例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,351,240号、発明の名称「Thermodynamically Driven Reversible Infuser Pump for Use as a Remotely Controlled Gastric Band」(2008年4月1日発行)に記載されている。言うまでもなく、他の任意の好適な種類のポンプを使用することも可能である。胃バンドシステム(10)の別の変形は、そのようなポンプ(図示せず)と連通する、ヒドロゲルで作動するスイッチ機構(図示せず)を備えてもよい。
【0049】
例えば、かかるスイッチ機構は、ヒドロゲルがその中に存在するハウジングを備え、このハウジングは胃(2)の中に位置決めされ、また、このハウジングは、胃(2)の内部の流体がヒドロゲルと接触するのを可能にする細孔又は開口部を含む。ハウジングはまた、膨潤したヒドロゲルによって閉じられ、ヒドロゲルが崩壊されると開いたままとなるスイッチを備えてもよい。かかるスイッチは、解放位置に弾性的に付勢される、従来通り又は特別設計の、電気機械スイッチを包含する。ヒドロゲルは、ヒドロゲル(122)に関して上述したように、比較的高いpH値に応答して膨潤してもよい。スイッチが膨潤したヒドロゲルによって閉じられると(例えば、患者が摂食を開始した場合)、そのようにスイッチが閉じることによってポンプが作動されて、より多くの流体をブラダ(22)の中に駆動して、胃バンド(20)を
図4に示される形状に変えることができる。スイッチが崩壊したヒドロゲルによって開かれると(例えば、空腹状態にあるか、又は別様に摂食中でない場合)、そのようにスイッチが開かれることによってポンプが作動されて、流体をブラダ(22)から引き出して、胃バンド(20)を
図3に示される形状に変えることができる。スイッチ機構は、胃壁(3)を通して送り込まれたワイヤーを介してポンプと連通してもよい。あるいは、スイッチ機構は、無線でポンプと連通してもよい。
【0050】
更なる別の単なる例示的変形として、ヒドロゲルに基づくスイッチ機構は、胃バルブに連結され、バルブが実質的な制限構造と実質的な非制限構造との間で駆動するように作動することができる。例えば、ヒドロゲルに基づくスイッチ機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開第2006/0235448号、発明の名称「Artificial Gastric Valve」(2006年10月19日公開)に記載の胃バルブに連結されてもよい。ヒドロゲルに基づくスイッチ機構をそのような胃バルブに連結することができる種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。そのようなヒドロゲルに基づくスイッチ機構に関する様々なその他の好適な構成要素、特徴、構成、及び用途は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0051】
ヒドロゲルで作動する空間占有デバイス
図8A〜
図8Bは、患者の胃(2)の中に提供されることができる例示的なヒドロゲル空間占有デバイス(400)を示す。この例の空間占有デバイス(400)は、複数のヒドロゲルペレット(404)を収容しているパウチ又はジャケット(402)を備える。3つのヒドロゲルペレット(404)が示されているが、例えば、たった1つの単一ヒドロゲルペレット(404)を含むがこれに限定されない、その他の任意の好適な数のヒドロゲルペレット(404)を使用してもよいことを理解すべきである。ジャケット(402)は、縫合、ステープル、留め金、リベット、接着剤を使用して、及び/又は他の任意の好適な構成要素、装置、若しくは技術を使用して(これらの組み合わせを含む)、患者の胃(2)の中(例えば胃(2)の壁(3))に固定されてもよい。
【0052】
本例のジャケット(402)は、胃(2)の中の酸性液及びその他の流体、胃運動性の粉砕及び撹拌機構、及び消化酵素による酵素の攻撃に実質的に耐え得る、多孔質の非伸張性材料で形成される。ジャケット(402)の多孔性は、胃(2)の中の流体がヒドロゲルペレット(404)と接触するのを可能にし、それにより胃液は、ジャケット(402)に自由に出入りすることができ、胃(2)の中で生じている生理学的状態の変化(例えば、摂取及び空腹時に関連する)を、ジャケット(402)の内部でも生じさせることができる。ジャケット(402)は、多孔質材料で形成されるのに加えて又はそれに代わるものとして、その中に形成された開口部を有してもよい。ジャケット(402)の伸張性特性は、以下により詳細に記載されるように、ヒドロゲルペレット(404)が膨潤したときに、ジャケット(402)がヒドロゲルペレット(404)と共に膨張するのを可能にする。いくつかのその他の変更形態では、ジャケット(402)は、可撓性であるが非伸張性である。例えば、ジャケット(402)は、
図8Aに示される構成では、ヒドロゲルペレット(404)と共に非伸張性で崩壊してもよく、
図8Bに示される構成では、膨潤したヒドロゲルペレット(404)に適応するために非伸張性で屈曲してもよい。単なる例として、ジャケット(402)は、以下の材料のいずれか(これらの組み合わせも含む)で形成されてもよい:NiTiなどの金属;ポリエチレンテレフタレートつまりPETなどのポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン、及びコポリマーなどのポリオレフィン;ジメチルシロキサンを基体とする一群のポリマーからのシリコーンエラストマー、例えば、フェニルシリコーン及びフルオロシリコーンを含むためにフェニル基又はフルオロ基によって官能化される材料;フルオロポリマー及びフルオロエラストマーとして知られる材料のクラスを作製するテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)などを含有するモノマー基と合成された膨張したPTFE、PTFE、コポリマー又はターポリマーなどのフルオロポリマー。その他の好適な材料及び材料の組み合わせは、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、ジャケット(402)の上又は内部に設けることができるその他の構成要素などであるが、これらに限定されない、空間占有デバイス(400)を構成することができる他の種々の代替的方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0053】
本例においてヒドロゲルペレット(404)を形成するヒドロゲルは、ヒドロゲルペレット(404)が膨潤状態(
図8A)と崩壊状態(
図8B)との間で変化するように、環境感受性である。具体的には、ヒドロゲルペレット(404)のヒドロゲルは、低いpH環境では崩壊状態であり(
図8A)、pH値の上昇に応答して膨潤する(
図8B)ように調製及び構成される。pHの上昇は患者が食物を摂取し始めると生じる場合があり、患者が空腹時ないしは別様に食物を摂取していないときに、胃(2)の中のpH値は下がる場合があることを、当業者は理解されよう。単なる例として、ヒドロゲルペレット(404)は、およそ4以上(又はおよそ5以上)のpH値に暴露されると膨張状態に膨潤し(
図8B)、およそ4未満(又はおよそ5未満)のpH値に暴露されると崩壊状態へと収縮する(
図8A)ように、調製及び構成されてもよい。あるいは、ヒドロゲルペレット(404)は、他の任意の好適なpH値に応答して膨潤又は収縮するように調製及び構成されてもよい。
【0054】
以上に鑑みて、患者が食物を摂取し始める前、ヒドロゲルペレット(404)は
図8Aに示される崩壊状態にあり得ることを理解すべきである。この時、空間占有デバイス(400)は、患者の胃(2)の中の比較的最小量の容量を占有し、空間占有デバイス(400)は、患者の満腹に対して比較的ごくわずかな影響を有する。患者が食物を摂取し始めると、患者の胃(2)の中のpH値は上昇し始める。胃(2)の中の流体がジャケット(402)を介してヒドロゲルペレット(404)と連通するので、このpHの上昇はヒドロゲルペレット(404)によって検知される。このpHの上昇に応答して、ヒドロゲルペレット(404)は
図8Bに示される膨張状態へと膨潤する。このヒドロゲルペレット(404)の膨潤は、患者の胃(2)の中の空体積の容量を低減し、それによって、患者が食物を摂取し始めると、又はその直後に、患者の満腹が比較的早期に検知される。したがって、患者は、空間占有デバイス(400)がない場合よりも早期に食物摂取を中止することができる。患者が摂食を終了した後、患者の生理機能は、最終的に空腹時の段階に戻り、患者の胃の中のpH値は低下する。このpH値の低下により、ヒドロゲルペレット(404)は
図8Aに示される崩壊した形状まで収縮して戻る。言うまでもなく、空間占有デバイス(400)の様々な特徴及び構成要素は、全て省略できないにしても、種々の方法で変更、置き換え、又は補足されてもよい。空間占有デバイス(400)の多くの好適な変形は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。単なる例として、いくつかの変更形態は、患者の胃(2)の中の異なる位置に配置される2つ又は3つ以上の空間占有デバイス(400)を含み得る。
【0055】
ヒドロゲルで作動する胃スリーブ
図9A〜
図9Bは、ヒドロゲルで作動する例示的な胃スリーブ(500)を示す。本例では、胃スリーブ(500)は患者の十二指腸(5)に取り付けられるが、胃スリーブ(500)は、別の方法として、患者の胃腸管の中の他の任意の好適な位置(例えば、胃(5)及び/又は食道(4)の中など)に配置されてもよいことを理解すべきである。この例の胃スリーブ(500)は、複数の開口部(504)を画定するメッシュ状構造を形成するヒドロゲルが含浸された本体(502)を備える。ヒドロゲルが含浸された本体(502)は、十二指腸(5)の内側表面に接して直接取り付けられることができるように、実質的に円筒状でありかつ細長い。単なる例として、ヒドロゲルが含浸された本体(502)は、縫合、ステープル、留め金、リベット接着剤を使用して、及び/又は他の任意の好適な構成要素、装置、若しくは技術を使用して(これらの組み合わせを含む)、十二指腸(5)の中の適所に固定されてもよい。本例では、ヒドロゲルが含浸された本体(502)は、食物及び流体がヒドロゲルが含浸された本体(502)を通って長手方向に送達されることができるように、その長手方向軸に沿って実質的に中空内部を有する。加えて、ヒドロゲルが含浸された本体(502)が崩壊状態(
図9A)にあるか膨潤状態(
図9B)にあるかに関わらず、ヒドロゲルが含浸された本体(502)は十二指腸(5)内に固定されたままである。
【0056】
ヒドロゲルが崩壊状態(
図9A)と膨潤状態(
図9B)との間で変化するように、ヒドロゲルが含浸された本体(502)は環境感受性である。具体的には、本体(502)に含浸させたヒドロゲルは、低いpH環境では崩壊状態にあり(
図9A)、pH値の上昇に応答して膨潤する(
図9B)ように調製及び構成される。pHの上昇は患者が食物を摂取し始めると生じる場合があり、患者が空腹時ないしは別様に食物を摂取していないときに、胃(2)の中のpH値は下がる場合があることを、当業者は理解されよう。単なる例として、本体(502)に含浸させたヒドロゲルは、およそ4以上(又はおよそ5以上)のpH値に暴露されると膨張状態(
図9B)へと膨潤し、およそ4未満(又はおよそ5未満)のpH値に暴露されると崩壊状態(
図9A)へと収縮するように調製及び構成されてもよい。あるいは、本体(502)に含浸させたヒドロゲルは、他の任意の好適なpH値に応答してその膨潤又は収縮するように調製及び構成されてもよい。
【0057】
ヒドロゲルは、代用血管にコラーゲンを含浸させる既知のプロセスと同様のプロセスを用いて、又は他の任意の好適なプロセス又はプロセスの組み合わせを用いて、本体(502)に含浸されてもよい。例えば、ヒドロゲルポリマーは、本質的にその場で本体(502)の上に直接形成(又は合成)されてもよい。そのような合成は、液体が多孔質の本体(502)に含浸して相互貫入網状組織を形成するといった、液体反応であってもよい。ヒドロゲルを本体(502)に含浸させることができる様々なその他の好適な方法、及び/又はヒドロゲルを別の方法で本体(502)に組み込むことができる他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0058】
ヒドロゲルが含浸された本体(502)が
図9Aに示されるような崩壊状態にある場合、そのマトリックス又はメッシュ状構造は、比較的大きな開口部(504)を画定する。こうした比較的大きな開口部(504)は、十二指腸(5)の内側表面に対して栄養素を実質的に自由に送達するのを可能にし、栄養素は内側表面を通って吸収される。ヒドロゲルが含浸された本体(502)が
図9Bに示される膨張状態に膨潤すると、開口部(504)のサイズは小さくなる。こうした比較的小さな開口部(504)は、十二指腸(5)の内側表面に対する栄養素の送達を実質的に制限する。他のバージョンでは、ヒドロゲルが含浸された本体(502)の全長に沿って栄養素が十二指腸(5)の内側表面に送達されるのを阻止するほど、開口部(504)のサイズを小さくすることができる。十二指腸(5)の内側表面に対する栄養素の送達のこうした制限又は阻止は、十二指腸(5)がそうした栄養素を吸収するのを実質的に制限又は阻止することができる。ある設定において、このような栄養吸収の阻止は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開第2008/0269715号、発明の名称「Use of an Adhesive as an Intestinal Barrier for Bariatrics」(2008年10月30日公開)に記載されているように、患者の体重減少をもたらすことができる。
【0059】
以上に鑑みて、患者が食物を摂取し始める前、胃スリーブ(500)は
図9Aに示されるような崩壊状態にあり得ることを理解すべきである。この時、開口部(504)は比較的大きい。患者が食物を摂取し始めると、患者の十二指腸(5)の中のpH値は上昇し始める。このpHの上昇は、ヒドロゲルが含浸された本体(502)と連通する十二指腸(5)の中の流体に起因して、ヒドロゲルが含浸された本体(502)によって検知される。このpHの上昇に応答して、胃スリーブ(500)は
図9Bに示される膨張状態へと膨潤する。この膨潤は、開口部(504)のサイズを有意に小さくするので、胃スリーブ(500)を通って連通される食物からの栄養素が、十二指腸(5)を通って吸収されるのを制限又は阻止する。患者が摂食を終了した後、患者の生理機能は、最終的に空腹時の段階に戻り、患者の十二指腸(5)の中のpH値は低下する。このpH値の低下により、ヒドロゲル胃スリーブ(500)は
図9Aに示される崩壊した形状まで収縮して戻ることとなり、このことが更にまた開口部(504)のサイズを増加させる。言うまでもなく、胃スリーブ(500)の様々な特徴及び構成要素は、全て省略できないにしても、種々の方法で変更、置き換え、又は補足されてもよい。胃スリーブ(500)の多くの好適な変形は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0060】
胃スリーブ(500)の単なる例示的変形では、胃スリーブ(500)は、患者の食道(4)の中で、胃(2)の真上(例えば、下部食道括約筋の真上)に取り付けられ、pH値に対するヒドロゲルが含浸された本体(502)の応答性は逆にされる。具体的には、ヒドロゲルが含浸された本体(502)は、低いpH値に応答して膨潤し(
図9B)、高いpH値に応答して崩壊する(
図9A)ように構成される。こうした逆の応答は、胃スリーブ(500)が、(例えば、病的肥満を治療するために使用するのではなく)胃食道逆流性疾患(GERD)又は他の何らかの疾患を治療するために使用されるシナリオにおいて好適であり得る。即ち、食道(4)に逆流する胃酸はヒドロゲルが含浸された本体(502)を膨潤させ、開口部(504)のサイズを著しく減少させ得ることなり、このことが、更にまた、胃スリーブ(500)が逆流した酸性に対する食道(4)の組織の遮蔽物として本質的に機能するのを可能にし得る。望ましくない胃酸の逆流の発生に応答して膨潤するヒドロゲル(hyrdogel)が含浸された本体(502)は、そうした胃酸の逆流に起因して食道(4)に引き起こされる損傷の可能性を低減することができる。胃スリーブ(500)(又はその変形)を使用することができる更に他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0061】
ヒドロゲルを使用した摂取追跡
別の単なる例示的な例として、グルコース濃度に対して感受性があるように調製及び構成された環境感受性ヒドロゲルが使用されてもよい。単なる例として、グルコース濃度の変化を用いて食物摂取の追跡パターンをモニタして、食習慣の変化、バンド調節、通院等に関する信号を潜在的に提供することができる。これに加えて又は代替として、心拍数モニタリング及び/又はその他の生理的パラメータを介して、栄養摂取情報を物理的活動と比較してもよい。これに加えて又は代替として、栄養摂取情報を用いて、入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーとの均衡を図るアルゴリズムを作成してもよい。そうしたアルゴリズムを使用して、胃バンド(20)による制限部、胃バンド(20)の調節、行動修正又は調節が必要であるという患者又は医師に対する信号情報等をトリガする又は合図することができる。栄養摂取情報を用いることができる様々なその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0062】
その他
本明細書に記載される例のほとんどは、病的肥満の治療に関連しているが、本明細書の教示は、胃酸の逆流、失禁(例えば、尿失禁、便失禁)、運動性傷害(例えば、胃不全麻痺、ダンピング症候群等)、及び/又はこれらの疾患の組み合わせ等の他の疾患を含むがこれらに限定されない、様々なその他の疾患の治療にも適用され得ることを理解すべきである。病的肥満の治療に加え又は病的肥満の治療の代わりに、そうした他の疾患を治療するために本明細書の教示を用いることができる様々な方法は、当業者には明らかであろう。
【0063】
本明細書に記載される例は、他のタイプの埋め込み可能なバンドに対する適用性を有し得ることもまた、当業者には容易に明らかになろう。例えば、バンドは、便失禁の治療に用いられる。そうしたバンドの1つは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,461,292号、発明の名称「Anal Incontinence Treatment with Wireless Energy Supply」(2002年10月8日発行)に記載されている。バンドは、尿失禁の治療にも使用され得る。そうしたバンドの1つは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,621,863号、発明の名称「Urinary Incontinence Treatment with Wireless Energy Supply」(2009年11月24日発行)に記載されている。バンドは、胸焼け及び/又は胃酸の逆流の治療にも使用され得る。そうしたバンドの1つは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,470,892号、発明の名称「Mechanical Heartburn and Reflux Treatment」(2002年10月29日発行)に記載されている。バンドは、インポテンスの治療にも使用され得る。そうしたバンドの1つは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,442,165号、発明の名称「Penile Prosthesis」(2008年10月28日発行)に記載されている。本明細書の教示とこれらの特許参照文献の教示とを組み合わせる様々な方法は、当業者には明らかであろう。
【0064】
本明細書で開示した装置の形態は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらの形態は、複数回使用するように設計することができる。諸形態は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調節することができる。再調節することは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部品を洗浄及び交換する工程、並びにその後の再組み立てする工程の任意の組み合わせを含んでよい。特に、装置の実施形態は分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、又は取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の実施形態は、再調節用の施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために再び組み立てられ得る。装置の再調節が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることが、当業者には理解されよう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調節された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0065】
単に例として、本明細書で説明した形態は、手術の前及び/又は後に、滅菌してもよい。1つの滅菌技術では、装置は、プラスチック又はTYVEKバッグなど、閉められかつ密閉された容器に入れられる。次いで、容器及び装置は、γ放射線、x線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線場に置かれてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次に、滅菌された装置は、後の使用のために、滅菌した容器内に保管してもよい。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含めて、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0066】
本発明の形態は、従来の内視鏡的手術及び開腹手術の機器、並びにロボット支援手術に用途を有する。
【0067】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改作が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そうした可能な改変例の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した実施例、実施形態、幾何学的図形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において考慮されるべきであり、本明細書及び図面において示し、説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0068】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改作が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そうした可能な改変例の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した実施例、実施形態、幾何学的図形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において考慮されるべきであり、本明細書及び図面において示し、説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) (a)患者の胃腸管内に埋め込むために構成されたセンサ装置であって、前記センサ装置が、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータを検知するように構成されたヒドロゲルを含み、前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取と関連した生理的パラメータの検知に応答して膨潤又は崩壊するように構成される、センサ装置、及び
(b)前記患者に埋め込むために構成された制限部形成装置であって、前記制限部形成装置が、前記患者の解剖学的構造に制限部を形成するように構成され、前記制限部形成装置が前記センサ装置に連結され、前記制限部形成装置が、少なくとも一部には、前記ヒドロゲルが膨潤状態にあるか又は崩壊状態にあるかどうかに基づいて、前記制限部形成装置によって形成された制限部の程度を選択的に変化させるように構成される、制限部形成装置、
を含む装置。
(2) 前記制限部形成装置が胃バンドを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記胃バンドがブラダを備え、前記胃バンドによって形成された前記制限部のサイズが、前記ブラダの中の流体の量に基づき、前記ブラダの中の前記流体の量が、少なくとも一部には、前記ヒドロゲルが前記膨潤状態にあるか又は前記崩壊状態にあるかどうかに基づく、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記制限部形成装置が流体を収容するように構成され、前記制限部形成装置によって形成された前記制限部の程度が、前記制限部形成装置の中の流体の量に基づき、前記センサ装置が、前記制限部形成装置と連通する作動流体を収容する流体リザーバを画定する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記センサ装置が、第1の区域と第2の区域とを有するハウジングを備え、前記流体リザーバが前記ハウジングの前記第1の区域の中に画定され、前記ハウジングの前記第2の区域が前記ヒドロゲルを収容し、前記ハウジングの前記第2の区域が、胃液が前記ハウジングを通って連通し前記ヒドロゲルに送達されるのを可能にするように構成された複数の開口部を画定する、実施態様4に記載の装置。
(6) 前記センサ装置が、前記ハウジングの中にピストンディスクを更に備え、前記ピストンディスクが前記ヒドロゲルと前記作動流体との間に設置され、それにより前記ピストンディスクが、前記ハウジングの前記第1の区域を前記ハウジングの前記第2の区域から分離する可動バリアを提供する、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取を示す胃液に暴露されることに応答して膨潤するように調製及び構成され、前記ハウジングが、前記ヒドロゲルによる膨潤が作動流体を前記ハウジングの前記第1の区域から前記制限部形成装置に向けて押出して前記制限部形成装置に流体を加え、それによって前記制限部形成装置によって形成される前記制限部の程度を増加させるように構成される、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記流体リザーバが前記ヒドロゲルによって画定される、実施態様4に記載の装置。
(9) 前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取を示す胃液に暴露されることに応答して崩壊するように調製及び構成され、前記ハウジングが、前記ヒドロゲルによる崩壊が作動流体を前記リザーバから前記制限部形成装置に向けて押出して前記制限部形成装置に流体を加え、それによって前記制限部形成装置によって形成される前記制限部の程度を増加させるように構成される、実施態様8に記載の装置。
(10)前記ヒドロゲルが、前記患者による食物摂取を示す胃液に暴露されることに応答して膨潤するように調製及び構成され、前記ハウジングが、前記ヒドロゲルによる膨潤が作動流体を前記リザーバから前記制限部形成装置に向けて押出して前記制限部形成装置に流体を加え、それによって前記制限部形成装置によって形成される前記制限部の程度を増加させるように構成される、実施態様8に記載の装置。
【0070】
(11) 前記ヒドロゲルの外面にジャケットを更に備え、前記ジャケットが、胃液が前記ジャケットを通って連通し前記ヒドロゲルに達するのを可能にするように構成される、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記ジャケットが非伸張性であり、それにより、前記ジャケットは前記ヒドロゲルの外向きの膨潤を実質的に防止して、前記ヒドロゲルを内向きに膨潤させる、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記ヒドロゲルが実質的に中空の球形状を有する、実施態様8に記載の装置。
(14) 前記センサの前記流体リザーバと前記制限部形成装置とを連結するカテーテルを更に備える、実施態様4に記載の装置。
(15) 前記制限部形成装置が胃スリーブを備える、実施態様1に記載の装置。
(16) 前記胃スリーブが本体を備え、前記本体が、前記ヒドロゲルが含浸した材料で形成される、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記本体が複数の開口部を含み、前記開口部のサイズが、前記本体に含浸させた前記ヒドロゲルが前記膨潤状態にあるか又は前記崩壊状態にあるかどうかに基づき、前記本体に含浸させた前記ヒドロゲルが前記膨潤状態にあると前記開口部の前記サイズが減少し、前記減少したサイズの開口部が、前記患者の前記解剖学的構造による栄養吸収を制限するように構成される、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記ヒドロゲルが前記患者による食物摂取に関連したpH値に応答し、それにより、前記患者のpH値に基づいて前記ヒドロゲルが前記膨潤状態又は前記崩壊状態になる、実施態様1に記載の装置。
(19) (a)パウチであって、前記パウチは患者の胃の中に位置決めされるように寸法設定され、前記パウチが胃液に耐性の材料で形成され、前記パウチが、胃液が前記パウチを通って連通し前記パウチの内部に達するのを可能とするように構成される、パウチ、及び
(b)前記パウチの前記内部内の1つ又は2つ以上のヒドロゲルペレットであって、前記1つ又は2つ以上のヒドロゲルペレットが、患者による食物摂取を示す胃液のpH値に応答して膨潤するように構成されて、前記患者の胃の中の使用可能な容量を低減する、1つ又は2つ以上のヒドロゲルペレット、
を含む装置。
(20) 前記パウチが、前記1つ又は2つ以上のヒドロゲルペレットが膨潤すると、前記1つ又は2つ以上のヒドロゲルペレットと共に膨張するように伸張可能である、実施態様19に記載の装置。