(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前後二列の差込用接続端子を共に、下方に位置するベース基板上の配線パターンに各々ビアホールを介して接続する前者の手法では、結局、配線パターンよりも幅の大きい、配線パターンとビアホールとの接続箇所の間に、前列の差込用接続端子の配線パターンを通さなければならないため、十分な狭ピッチ化は困難である。
【0009】
また、後列の差込用接続端子をベース基板上に形成された配線パターンと同一面上で接続し、前列の差込用接続端子をベース基板下面側に形成された配線パターンとビアホールを介して接続する後者の手法では、前列の差込用接続端子の箇所において、厚さ方向にみて銅箔が2枚存在するのに対し、後列の差込用接続端子の箇所においては、銅箔は1枚しか存在しない。このような厚さの不均一性は、当初においては層間に介在する接着剤によってある程度は補償され得るものの、接着剤の特に高温環境下でのクリープ変形等に起因して次第に顕在化し、コネクタとの接続不良(電気抵抗の増大)の原因になることが発明者らの研究により判明している。さらに、このような不均一な厚さによる接続不良の問題は、より柔軟に構成されたフレキシブルプリント配線板(FPC)において特に顕著となる。
【0010】
それ故本発明は、他の電子機器との接続安定性を損なうことなく、電気接続用パッドの狭ピッチ化が実現可能なプリント配線板を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のプリント配線板は、
ベース基板と、他のコネクタに接続される接続端部の、前記ベース基板の一方の面側に配置された電気接続用の複数のパッドと、を備え、前記複数のパッドが、前記他のコネクタとの接続方向でみて前後二列で配置されてなるプリント配線板であって、前記複数のパッドのうち前列のパッドに、前記ベース基板を貫通するビアを介して接続され、前記ベース基板の、前記複数のパッドが配置された側とは反対の他方の面側に設けられた第1配線と、前記複数のパッドのうち後列のパッドに接続され、前記ベース基板の前記一方の面側に設けられた第2配線と、を備え、前記他方の面側に設けられた前記第1配線は、前記ベース基板の前記他方の面側の、前記前列のパッド及び前記後列のパッドに対応する各位置をそれぞれ通過するように設けられ、前記第1配線は、前記ベース基板の前記他方の面側の、前記前列のパッドに対応する位置に設けられた第1の拡幅部及び前記ベース基板の、前記後列のパッドに対応する位置に設けられた第2の拡幅部を有し、前記第1の拡幅部は、前記前列のパッドに対応する形状を有し、前記第2の拡幅部は、前記後列のパッドに対応する形状を有することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、本明細書において、前方又は前とは、プリント配線板の接続端部の先端側の方向を指し、後方又は後とは、これとは逆の方向を指す。
【0013】
なお、本発明のプリント配線板にあっては、上記他方の面側に設けられた配線は、上記ベース基板の上記他方の面側の、上記前列のパッドに対応する位置に第1の拡幅部を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明のプリント配線板にあっては、上記第1の拡幅部は、上記前列のパッドに対応した形状を有することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記他方の面側に設けられた配線は、上記ベース基板の上記他方の面側の、上記後列のパッドに対応する位置に第2の拡幅部を有することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記第2の拡幅部は、上記後列のパッドに対応した形状を有することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記ベース基板を貫通して延び、上記前列のパッド及び上記他方の面側に設けられた配線の相互間を電気的に接続するビアを有することが好ましい。
【0018】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記接続端部の側縁部分に形成され、上記他の電子部品に引き抜き方向で係止される被係合部と、前記他の電子部品との接続方向でみて上記被係合部の前方側でかつ上記ベース基板の上記他方の面側に設けられた補強層と、を備えることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記補強層は、上記他方の面側に設けられた配線と一体として形成されていることが好ましい。
【0020】
あるいは、本発明のプリント配線板にあっては、上記補強層は、上記他方の面側に設けられた配線とは別体として形成されていることが好ましい。
【0021】
また、本発明のプリント配線板にあっては、上記接続端部の側縁部分に形成され、上記他の電子部品に引き抜き方向で係止される被係合部と、前記他の電子部品との接続方向でみて前記被係合部の前方側でかつ上記ベース基板の上記一方の面側に、上記パッド及び上記一方の面側に設けられた配線の少なくとも一方と一体として設けられた補強層と、を備えることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記被係合部及び上記補強層を、上記接続端部の両側縁部分にそれぞれ備えることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、上記被係合部は、上記接続端部の側縁部分に形成された切欠き部であることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明のプリント配線板にあっては、フレキシブルプリント配線板であることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、上記いずれか記載のプリント配線板を他の配線板に接続するコネクタに係り、該コネクタは、上記プリント配線板の接続端部が挿入される挿入口を有するハウジングと、上記ハウジング内に挿入されたプリント配線板の複数のパッドに対応して設けられた複数のコンタクトと、を備えることを特徴とするものである。
【0026】
なお、本発明のコネクタにあっては、上記プリント配線板に設けられた被係合部に、プリント配線板の引き抜き方向で係止する係合部を備えることが好ましい。
【0027】
また、本発明のコネクタにあっては、上記コンタクトと上記プリント配線板の上記パッドとの接続及びその解除を担う作動部材を備えることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明のコネクタにあっては、上記作動部材は、上記ハウジングに幅方向を回動軸線として軸支され、一方向への回動により上記コンタクトと上記プリント配線板の上記パッドとを接続させ、他方向への回動により上記コンタクトと上記プリント配線板の上記パッドとの接続を解除する回動部材であることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明のコネクタにあっては、上記係合部は、上記回動部材の上記一方向への回動に伴い、プリント配線板の接続端部の少なくとも一方の側縁部分に設けられた被係合部にプリント配線板の引き抜き方向で係止し、上記他方向への回動により該係止を解除するよう構成されたロック部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明のプリント配線板によれば、電気接続用の複数のパッドを前後二列で配置するのに加えて、前列のパッドの配線と後列のパッドの配線とを相互に異なる層に配置したことにより、前列のパッドの配線が後列のパッドの配線と干渉することがなく、狭ピッチ化が可能である。さらに、前列のパッドの配線が、前列のパッド及び後列のパッドに対応する、ベース基板の裏面側の各位置をそれぞれ通過するよう構成したことにより、高温環境下においても、前列のパッドの箇所と後列のパッドの箇所とでプリント配線板の厚さを均一に保つことができ、長期間にわたって他の電子部品のコンタクトとの安定した電気接触が得られる。さらに、後列のパッド間に配線がないため、ピッチ方向(幅方向)で後列のパッドと配線のショートを回避することができる。また、後列のパッド間に配線がないため、パッドの幅も広げることもでき、狭ピッチ配置の弱点であるピッチ方向(幅方向)でのパッドとパッドのショートを回避することができる。さらに、前列のパッドの配線をベース基板の裏面側に配置したことにより、他の電子部品との接続作業時等の作業ミスによって配線が断線されるのを防止することができる。
【0031】
したがって、本発明によれば、他の電子機器との接続安定性を損なうことなく、電気接続用パッドの狭ピッチ化が実現可能なプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは、プリント配線板としてフレキシブルプリント配線板(FPC)を例にとり説明するが、本発明は、リジットフレキシブルプリント配線板など、他のプリント配線板にも適用可能である。また、以下の説明では、フレキシブルプリント配線板を、ZIF(Zero Insertion Force)コネクタに挿入して使用する例を示しているが、本発明のプリント配線板は、プリント配線板の厚みを利用して嵌合力を得る非ZIFコネクタやバックボードコネクタに対しても使用することができる。
【0034】
(フレキシブルプリント配線板)
図1〜4に示すように、本実施の形態のフレキシブルプリント配線板1は、ベース基板としてのベースフィルム3と、このベースフィルム3の一方の面(ここでは上面)を覆うように接着層4により貼り合わされた第1のカバーレイ(以下、便宜上「上面側カバーレイ」という。)5と、上記ベースフィルム3の他方の面(ここでは下面)を覆うように接着層6により貼り合わされた第2のカバーレイ(以下、便宜上「下面側カバーレイ」という。)7とを備えている。ベースフィルム3は、可撓性を有する絶縁性樹脂により形成されており、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレートを例に挙げることができる。また、カバーレイ5,7は、ポリイミド等の絶縁性樹脂フィルムを貼着する他、熱硬化インクや紫外線硬化インク、感光性インクを塗布、硬化することにより形成することもできる。
【0035】
フレキシブルプリント配線板1は、差込方向(接続方向)Iの少なくとも一方の端部に、後述するコネクタの挿入口に挿入される接続端部13を有している。接続端部13の上面側はカバーレイ5によって被覆されておらず、接続端部13の露出部分には、差込方向Iでみて前後二列15,17の千鳥配列で配置された電気接続用の複数のパッド15a,17aが形成されている。なお、パッド15a,17aは千鳥配列で配置しなくてもよく、前列15のパッド15aの幅方向(差込方向Iを横切る方向)Wの位置と後列17のパッド17aの幅方向Wの位置とを同じとしてもよく(
図5参照)、このようなパッド配置によれば、同じ数のパッドを千鳥配置する場合と比べて、フレキシブルプリント配線板1の幅を小さくすることができる。各パッド15a,17aの最上面には、めっき層(例えば金めっき層)18,19が形成されている。最上面のめっき層18,19は、最低限導電性を有していればよく、耐腐食性や耐摩耗性等も有していることが好ましい。めっき層18,19としては、金めっき以外に、導電性カーボン層や半田層などが挙げられる。接続端部13の最下層には、下面側カバーレイ7の下面に接着層21を介して貼り合わされた補強フィルム23が設けられている。補強フィルム23は、例えばポリイミドにより形成することができる。
【0036】
また、フレキシブルプリント配線板1は、前列15のパッド15aに接続された第1の配線9と、後列17のパッド17aに接続された第2の配線11とを有している。第1の配線9は、ベースフィルム3の、パッド15a,17aが設けられた側とは反対の上記他方の面側、つまり、ベースフィルム3と下面側カバーレイ7との間に配置されており、以下、便宜上「下面側配線」とも称する。第2の配線11は、ベースフィルム3の、パッド15a,17aが設けられた上記一方の面側、つまり、ベースフィルム3と上面側カバーレイ5との間に配置されており、以下、便宜上「上面側配線」とも称する。下面側配線9は、幅方向(差込方向Iを横切る方向)Wに隣り合うとともに、コネクタへの差込方向(接続方向)Iに延びている。同様に、上面側配線11は、幅方向Wに隣り合うとともに、コネクタへの差込方向(接続方向)Iに延びている。上面側配線11及び下面側配線9は、導電性の公知の金属、例えば銅又は銅合金で形成することができる。また、上面側配線11及び下面側配線9の外面には、めっき層(例えば銅めっき層)43を形成してもよい。
【0037】
図3及び4に示すように、前列15の各パッド15aは、ベースフィルム3を貫通するビア25を介して、ベースフィルム3の下面側(裏面側)に配置された各下面側配線9に接続されている。本実施形態では、ビア25は、前列15のパッド15aに対して各1つ設けられているが、パッド15aの安定性向上や電気抵抗の低減等の観点から、ビア25は各パッドに対して2つ以上設けることもできる。また、後列17の各パッド17aは、ベースフィルム3の上面側に配置された各上面側配線11に同一面上で接続されている。
【0038】
また、
図4に示すように、各下面側配線9は、後列17の各パッド17aに対応する、ベースフィルム3(
図4では便宜上、図示省略)の下面側の位置を通過するよう形成されている。すなわち、下面側配線9は、前列15のパッド15aの下方位置から出発して、該パッド15aと千鳥関係をなす後列17のパッド17aの下方位置に向けて斜めに延出し、当該パッド17aの下方位置を通過した後、他方の接続端部(図示省略)に向けて後方に延びている。よって、下面側配線9の一部は、厚さ方向でみて、後列17のパッド17aと少なくとも部分的にオーバーラップしている。なお、本実施形態では、前列15のパッド15aの数が、後列17のパッド17aの数よりも一つ多いため、幅方向最外側(図示例では最右側)に位置するパッド15aに接続された下面側配線9は、後列17のパッド17aの下方を通過しない。
【0039】
また、本実施形態では、各下面側配線9は、前列15のパッド15aに対応する、ベースフィルム3の下面側の位置に第1の拡幅部9aを有している。さらに、各下面側配線9は、後列17のパッド17aに対応する、ベースフィルム3の下面側の位置に第2の拡幅部9bを有している。拡幅部9a,9bは、パッド15a,17aの箇所においてフレキシブルプリント配線板1の厚さを均一に保つ、つまり耐クリープ性を向上させる補強材としての役割を有しており、他の電子部品のコンタクトとは直接接触しない。表面側のパッド15a,17aに対応する、ベースフィルム3の裏面側の位置に、配線等がない場合には、特に高温環境下でフレキシブルプリント配線板1に含まれる接着層がクリープ変形し、フレキシブルプリント配線板1の厚さが不均一となり、ひいては他の電子部品のコンタクトとの電気接触性(接続安定性)が悪化するおそれがある。本実施形態では、これらの第1及び第2の拡幅部9a,9bは、上方に位置するパッド15a,17aに対応した形状、すなわち略同一の形状を有しているが、パッドと他の電子部品のコンタクトとの接続安定性が損なわれない範囲において、上方に位置するパッド15a,17aよりも小さく又は大きく形成してもよい。なお、図示は省略するが、各下面側配線9は、後列17のパッド17aに対応する位置を通る限り、上記のような拡幅部9a,9bを有していなくてもよく、不変の幅で延在するものであってもよい。
【0040】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板1は、接続端部13の少なくとも一方の側縁部分、ここでは両側縁部分に、接続対象である他の電子部品の係合部(例えば後述するコネクタに設けられたタブ状のロック部材)に引き抜き方向(接続方向とは逆向き)で係止される被係合部28,29を有している。
図1及び
図2に示す例では、被係合部28,29は、接続端部13の側縁部分に形成された切欠き部により構成されているが、これに限らず、
図6に示すような貫通孔29や有底孔(図示省略)により構成してもよい。
【0041】
上記構成を有する本実施形態のフレキシブルプリント配線板1によれば、電気接続用の複数のパッド15a,17aを前後二列で配置するのに加えて、前列15のパッド15aに接続された下面側配線9と後列17のパッド17aに接続された上面側配線11とを相互に異なる層に配置したことにより、前列15のパッド15aの下面側配線9が、後列17のパッド17aと干渉することがなく、狭ピッチ化が可能である。さらに、下面側配線9が、前列15のパッド15a及び後列17のパッド17aに対応する、ベースフィルム3の下面側の各位置をそれぞれ通過するよう構成したことにより、高温環境下においても、前列15のパッド15aの箇所と後列17のパッド17aの箇所とでフレキシブルプリント配線板1の厚さを均一に保つことができ、つまり耐クリープ性を向上させることができ、長期間に亘って他の電子部品のコンタクトとの安定した電気接触を得ることができる。さらに、後列17の、幅方向に隣り合うパッド17a間に配線がないため、ピッチ方向(幅方向)での後列17のパッド17aと配線9とのショートを回避することができる。また、後列17のパッド17a間に配線がないため、各パッド17aの幅も広げることもでき、狭ピッチ配置の弱点であるピッチ方向(幅方向)でのパッド17aとパッド17aとのショートを回避することができる。さらに、前列15のパッド15aの下面側配線9をベースフィルム3の下面側に配置したことにより、他の電子部品との接続作業時等の作業ミスによって下面側配線9が断線されるのを防ぐことができる。
【0042】
さらに、本実施形態のフレキシブルプリント配線板1のように、下面側配線9に、前列15のパッド15aに対応する第1の拡幅部9aを設ければ、前列15のパッド15aに接触する他の電子部品のコンタクトが、製作誤差等により正規の接触位置よりもパッド内において多少ずれて接触した場合でも、均一な厚さを確保することができているため、前列15のパッド15aとコンタクトとの安定した接触を維持することができる。特に、本実施形態のように、第1の拡幅部9aを、前列15のパッド15aに対応した形状とすることで、当該効果をより確実に得ることができる。
【0043】
さらに、本実施形態のフレキシブルプリント配線板1のように、下面側配線9に、後列17のパッド17aに対応する第2の拡幅部9bを設ければ、後列17のパッド17aについても同様に、他の電子部品のコンタクトが製作誤差等により正規の接触位置よりも多少ずれて接触した場合でも、安定した接触を維持することができる。
【0044】
さらに、本実施形態のフレキシブルプリント配線板1のように、接続端部13の側縁部分に、他の電子部品の係合部に引き抜き方向で係止される被係合部28,29を設ければ、他の電子部品に対して、フレキシブルプリント配線板1の耐引き抜き性を向上させることができる。
【0045】
(フレキシブルプリント配線板の製造方法)
続いて、上述したフレキシブルプリント配線板1の製造方法の一例について、
図7〜
図9を参照しながら説明する。
【0046】
まず、
図7(a)に示すように、ポリイミドからなるベースフィルム3の両面にそれぞれ銅箔36,37が積層された両面銅張積層体39を出発材料として形成する。両面銅張積層体39は、ベースフィルム3に銅を蒸着又はスパッタリングした後に銅めっきをしたものであっても、ベースフィルム3と銅箔36,37とを接着剤等を介して貼り合わせたものであってもよい。次いで、
図7(b)に示すように、両面銅張積層体39の所定位置に、レーザ加工やCNCドリル加工等によって下方(下面側)から銅箔37及びベースフィルム3を貫通するブラインドビアホール41を形成する。
【0047】
続いて、
図7(c)に示すように、DPP(Direct Plating Process)処理によって、ブラインドビアホール41の内周面に導体層を形成し、次いで、ブラインドビアホール41の内面を含めた両面銅張積層体39の表面全体に銅めっき層43を形成する。なお、銅めっき層43を形成するに際しては、ボタンめっきと呼ばれる構造の、部分的にめっきする工法を採用してもよい。これにより、両面銅張積層体39の上面側の銅箔36と、下面側の銅箔37とを電気的に接続するビア25が形成される。ビア25は、ブラインドビアホール41の内周面のみをめっきしてなる中空のものでも、ブラインドビアホール41内をめっきで充填もしくは導電性材料で充填したいわゆるフィルドビアであってもよい。続いて、
図7(d)に示すように、上面側の銅箔36及び下面側の銅箔37をパターンニングして、ベースフィルム3の表面上の配線パターン46、ベースフィルム3の下面側の配線パターン47及び電気接続用のパッド48,49を形成する。上面側の銅箔36及び下面側の銅箔37のパターンニングは、例えばフォトリソグラフィ技術により上面側の銅箔36及び下面側の銅箔37の表面にマスクパターンを形成した後、上面側の銅箔36及び下面側の銅箔37をエッジングすることで行われる。
【0048】
次いで、配線パターンが形成された両面銅張積層体39の両面に上面側カバーレイ5及び下面側カバーレイ7(
図3参照)を、接着剤を介して貼り合わせる。
【0049】
次いで、上面側に形成されたパッド15a,17aの表面に金めっき層18,19を形成し、次いで、接続端部13の両側縁部分を金型等によって部分的に除去することで当該両側縁部分に被係合部28,29を形成する(
図3参照)。これにより、
図1〜4に示すようなフレキシブルプリント配線板1が完成する。なお、ブラインドビアホール41は、
図8(a)に示すように、上方(上面側)から形成してもよく、あるいは
図8(b)に示すように、スルーホールとして形成することもできる。また、上述のように、銅めっき層43は、両面銅張積層体39の表面全体に形成しなくてもよく、例えば、
図9(a)に示すように、接続端部13の領域にのみに形成してもよく(両面部分めっき)、
図9(b)に示すように、接続端部13の領域において、上面側の銅箔36上にのみ形成してもよく(片面部分めっき)、
図9(c)に示すように、上面側の銅箔36上の全体にわたって形成してもよい(片面全面めっき)。
【0050】
(他の実施形態のフレキシブルプリント配線板)
次いで、本発明に係る他の実施形態のフレキシブルプリント配線板について、
図10〜
図14を参照して説明する。なお、先の実施形態のフレキシブルプリント配線板1における要素と同様の要素には同一の符号を付し、その詳細は省略する。
【0051】
上述の実施形態では、接続端部13に被係合部28,29を設けることで他の電子部品に対する耐引き抜け性を高めることができると説明したが、フレキシブルプリント配線板1の被係合部28,29が形成された部分は、主としてベースフィルム3及びこのベースフィルム3の下面を覆うカバーレイ7で構成されており、これらのベースフィルム3及びカバーレイ7はいずれもポリイミド等の薄いフィルムで形成される場合が多いため、プリント配線板のさらなる薄型化、小型化に伴い、フィルムの厚さを薄くすると、被係合部28,29の周辺で十分な強度が得られず、十分な耐引き抜け性が得られなくなることも考えられる。
【0052】
そこで、
図10に示す実施形態では、被係合部28,29の少なくとも前方側でかつベースフィルム3の、パッド15a,17aが設けられた側(上面側)に、パッド、ここでは前列15のパッド15aのうち幅方向最外側に位置するパッド15aと一体に形成された補強層31,32を設けている。補強層31,32は、パッド15a,17aと同じ厚さとしてもよいが、必要な強度が得られる限りにおいて、パッド15a,17aよりも厚くまたは薄く形成することもできる。また、補強層31,32の幅(幅方向Wに沿った長さ)は、十分な引き抜け強度を確保する観点から、被係合部28,29の幅の100%以上とするのがよい。また、補強層31,32の長さ(差込方向Iに沿った長さ)は、種々の条件(強度や材質等)に応じて、適宜設定することができるものである。なお、補強層31,32の形状は、図示例では矩形であるが、これに限らず、
図11(a)に示すような一部に円弧を有する形状、あるいは
図11(b),(c)に示すような被係合部28,29を取り囲むような形状など、種々の形状を採用することができる。なお、
図10及び
図11(a)のように、補強層31,32が被係合部28,29の端縁に露出しないように配置することで、フレキシブルプリント配線板1を、製造時に、金型により最終形状に打ち抜き加工する際、当該金型が銅箔を直接せん断することがなくなるため、金型の寿命が高まり、また、バリ等の製造不良を未然に防止することができる。
【0053】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板1によれば、接続端部13の側縁部分に他の電子部品の係合部に引き抜き方向で係止される被係合部28,29を設けるのに加えて、該被係合部28,29の前方側でかつベースフィルム3の一方の面側に補強層31,32を設けたことにより、被係合部28,29の前方側の強度を高めることができ、フレキシブルプリント配線板の薄型化、小型化を図ってもなお、他の電子部品の係合部との十分な係止力(耐引き抜け性)を確保することができる。
【0054】
次いで、
図12に本発明の更に他の実施形態のフレシキブルプリント配線板を示す。このフレキシブルプリント配線板1は、被係合部28,29の少なくとも前方側でかつベースフィルム3の、パッド15a,17aが設けられた側とは反対側(下面側)に、下面側配線9、特に下面側配線9の第1の拡幅部9aと一体に形成された補強層31’,32’を有している。補強層31’,32’は、下面側配線9と同じ厚さとしてもよいが、必要な強度が得られる限りにおいて、下面側配線9よりも厚くまたは薄く形成することもできる。また、補強層31’,32’の幅(幅方向Wに沿った長さ)は、十分な引き抜け強度を確保する観点から、被係合部28,29の幅の100%以上とするのがよい。また、補強層31’,32’の長さ(差込方向Iに沿った長さ)は、種々の条件(強度や材質等)に応じて、適宜設定することができるものである。なお、補強層31’,32’の形状は、図示例では矩形であるが、これに限らず、
図11(a)で示したような一部に円弧を有する形状、あるいは
図11(b),(c)で示したような被係合部28,29を取り囲むような形状など、種々の形状を採用することができる。
【0055】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板1によれば、接続端部13の側縁部分に他の電子部品の係合部に引き抜き方向で係止される被係合部28,29を設けるのに加えて、該被係合部28,29の前方側でかつベースフィルム3の他方の面側に補強層31’,32’を設けたことにより、被係合部28,29の前方側の強度を高めることができ、フレキシブルプリント配線板1の薄型化、小型化を図ってもなお、他の電子部品の係合部との十分な係止力(耐引き抜け性)を確保することができる。
【0056】
また、本実施形態のように、補強層31’,32’をベースフィルム3の、パッド15,17aが設けられた側とは反対の他方の面側に設けることにより、後述するグランドショートの問題を解決することができる。なお、上記グランドショートの問題とは、次のことである。つまり、フレキシブルプリント配線板に形成された被係合部28,29は、他の電子部品の金属製の係合部(例えば、後述するコネクタに設けられたロック部材状のロック部材)によって引っ張られるため、ベースフィルム3の強度だけでは足りない場合があるのは上述したとおりである。そこで、
図10の実施形態では、ベースフィルム3の上面に銅箔からなる補強層31,32を設け、さらに、省スペース化の要求に応えるため、このような補強層31,32をパッド15aと一体化することを発案しているが、基板設計において、他の電子部品の、信号伝達に供さない上記係合部は、慣行上、グランドに接地することが多々あることもあって、誤って係合部が補強層31,32と接続されてしまった場合には、フレキシブルプリント配線板1の幅方向最外側のパッド15aの信号が補強層31,32及び他の電子部品の係合部を介してグランドに短絡し、信号がリークすることも考えられる。このような信号リークは、係合部をグランドに接地しないか、係合部の近傍に補強層を配置しないことで回避することは可能である。しかし、係合部をグランドに接地しない場合には、基板の配線自由度が低下することになり、係合部の近傍に補強層31,32を設けない場合には、更なる薄肉化を図った際に、他の電子部品に対するフレキシブルプリント配線板1の耐引き抜け性が不足する虞がある。
【0057】
このようなことに鑑み、本実施形態では、補強層31’,32’をベースフィルム3の裏面側に配置して他の電子部品の係合部が補強層31’,32’に接触しないようにしており、これにより、フレキシブルプリント配線板1の耐引き抜け性を高めつつ、上述のグランドショートの問題を回避することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、補強層31’,32’は、下面側配線9と同じ厚さとすることが好ましく、これによれば、フレキシブルプリント配線板1の、他の電子部品の係合部が当接する箇所において十分な厚さを確保することができ、係合部によるフレキシブルプリント配線板1の保持力をさらに高めることができる。なお、補強層31’,32’は、上述のように、下面側配線9と異なる厚さとすることもできる。
【0059】
また、本実施形態では、補強層31’,32’を第1の拡幅部9aと一体に形成したが、補強層31’,32’は第2の拡幅部9bと一体に形成してもよい。
【0060】
さらに、本実施形態のフレキシブルプリント配線板1のように、接続端部13の両側縁部分のそれぞれに、被係合部28,29及び補強層31’,32’を設ければ、フレキシブルプリント配線板1の耐引き抜け性をさらに高めることができるとともに、フレキシブルプリント配線板1をより安定して保持することができる。なお、一方の補強層31’又は32’を第1の拡幅部9aと一体に形成し、他方の補強層32’又は31’を第2の拡幅部9bと一体に形成してもよい。
【0061】
次いで、
図13(a),(b)に、
図12で説明したフレキシブルプリント配線板の変形例を示すように、
図13に示すフレキシブルプリント1は、ベースフィルム3の裏面側に補強層31’,32’を有するものの、該補強層31’,32’は、下面側配線9とは別体として形成されている点で、
図12の例とは異なる。つまり、補強層31’,32’は、下面側配線9から離間しており、電気的に接続されていない。
【0062】
本実施形態において、補強層31’,32’は、下面側配線9と同じ材料から形成されているが、所定の強度を有する限りにおいて、熱硬化インクや紫外線硬化インク、感光性インク、樹脂、銀や半田などの金属、など、他の材料から形成することもできる。
【0063】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板1によれば、補強層31’,32’によりフレキシブルプリント配線板1の耐引き抜け性を高めることができる。また、
図12の例において、補強層31’,32’を金属材料から形成しかつ該補強層31’,32’を
図11(b),(c)で示したような被係合部28,29を取り囲むような形状のように被係合部28,29の端面まで配置した場合には、配線9の信号が補強層31’,32’及び他の電子部品の係合部を通じてグランドに短絡してしまうおそれもあるが、本実施形態では、補強層31’,32’を配線9とは別体として形成したことにより、このようなグランドショートをより確実に防ぐことができる。さらに、補強層31’,32’を配線9とは別体として形成したことにより、補強層31’,32’を通じて周囲の高周波ノイズが配線に伝わるのを防ぐことができる。
【0064】
次いで、
図14に、フレキシブルプリント配線板の更なる変形例を示す。
図14に示すフレキシブルプリント配線板1は、上面側カバーレイ5の幅方向外側部分を、パッド15a,17aに被さることのないよう前方に延出させ、この延出部5a,5bで補強層を構成したものである。このような構成によっても、被係合部28,29の前方側の強度を高めることが可能である。
【0065】
以上、本発明に従うフレキシブルプリント配線板の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、様々な変更が可能であり、少なくとも上述の各実施形態は互いに組み合わせることができる。例えば、
図10の実施形態のフレキシブルプリント配線板1に、
図12,13に示したようなベースフィルム3の下面側に配置された補強層31’,32’を適用してもよく、これによれば、他の電子部品に対する耐引き抜け性をより高めることができる。また、
図10の実施形態のフレキシブルプリント配線板1に、
図14で示したような延出部5a,5bで構成した補強層を適用してもよく、これによれば、上面側の補強層31,32を絶縁することができ、上述したグランドショートの問題を回避することができる。さらに、
図12,13の実施形態のフレキシブルプリント配線板1に、
図14で示したような延出部5a,5bで構成した補強層を適用してもよく、これによれば、他の電子部品に対する耐引き抜け性をより高めることができる。
【0066】
(コネクタ)
次に、上述したフレキシブルプリント配線板1を他の配線板に接続するコネクタについて説明する。
【0067】
図15に示すように、コネクタ50は、フレキシブルプリント配線板1が挿入されるハウジング52と、フレキシブルプリント配線板1のパッド15a,17aと電気的に接続される複数のコンタクト54と、ハウジング52に挿入されたフレキシブルプリント配線板1をコンタクト54を介して押圧する、作動部材としての回動部材56と、フレキシブルプリント配線板1の接続端部13の両側縁部分に設けられた被係合部28,29に係止する、係合部としてのタブ状のロック部材58(
図17参照)と、を備えている。
【0068】
ハウジング52は電気絶縁性のプラスチックで形成されており、公知の射出成形法によって製作することができる。材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択されるが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(66PA、46PA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はこれらの合成材料を挙げることができる。
【0069】
ハウジング52には、コンタクト54が挿入される所要数の挿入溝が設けられるとともに、後方側にフレキシブルプリント配線板1が挿入される挿入口60が設けられている。
【0070】
各コンタクト54は、プレス加工や切削加工等、公知の加工方法によって製作可能である。コンタクト54は、バネ性や導電性などが要求され、黄銅やベリリウム銅、リン青銅等により形成することができる。また、
図16(a),(b)に示すように、コンタクト54は、フレキシブルプリント配線板1の前方側のパッド15aと後方側のパッド17aとに対応して2種類用いられるとともに、挿入方向を互い違いにかえて千鳥配列されている。2種類のコンタクト54a,54bはいずれも、フレキシブルプリント配線板1の接続端部13が挿入される後方側の開口62,63と、回動部材56の後述するカム65が挿入される前方側の開口67,68とが形成された略H形状を有している。また、ロック部材58も同様に、
図17に示すように、フレキシブルプリント配線板1の接続端部13が挿入される後方側の開口58aと、回動部材56の後述するカム65が挿入される前方側の開口58bとが形成された略H形状を有しており、コンタクト54の側方にそれぞれ配置されている。
【0071】
図18に示すように、回動部材56は、その両端においてハウジング52に、幅方向Wを回動軸線として軸支されている。また、回動部材56は、回動軸線上に、上述したコンタクト54の前方側の開口67,68及びロック部材58の前方側の開口58bに挿入されるカム65を有しており、ハウジング52の挿入口60にフレキシブルプリント配線板1を挿入した後に、回動部材56を傾倒方向へ回動することで、カム65によって、コンタクト54及びロック部材58のバネ力に抗してコンタクト54の前方側の開口67,68及びロック部材58の前方側の開口58bが押し広げられる。これにより、
図17に示すように、コンタクト54の後方側の開口62,63及びロック部材58の後方側の開口58aが狭まり、コンタクト54とフレキシブルプリント配線板1との電気的な接続及びロック部材54の、被係合部28,29への係止が行われる。反対に、
図18に示すように、回動部材56を起立方向へ回動することで、これらの電気的な接続及びロック部材58の係止は解除される。
【0072】
なお、作動部材としては、上述したような回動部材56のほか、ハウジングにフレキシブルプリント配線板を挿入した後に挿入し、フレキシブルプリント配線板をコンタクトに押し付けるスライダであってもよい。具体的には、
図19及び
図20に示すようなコネクタ70であって、主としてハウジング72とコンタクト74とスライダ76とを備えて構成されるものがある。コンタクト74は、
図20のように略コ字形状をしており、主にフレキシブルプリント配線板1と接触する接触部74aと、基板等に接続する接続部74bと、ハウジング72に固定される固定部74cとから構成されている。このコンタクト74は、圧入等によってハウジング72に固定されている。スライダ76は、
図20のように略楔形状をしており、所要数のコンタクト74が配置されたハウジング72にフレキシブルプリント配線板1を挿入した後に、スライダ76を挿入する。このようなスライダ76は、主にハウジング72に装着される装着部76aと、フレキシブルプリント配線板1をコンタクト74の接触部74aに押圧する押圧部76bとを備えている。フレキシブルプリント配線板1が挿入される以前は、スライダ76はハウジング72に仮装着された状態になっており、フレキシブルプリント配線板1が挿入された後にスライダ76を挿入すると、
図20(b)のようにフレキシブルプリント配線板1と平行にスライダ76の押圧部76bが挿入され、コンタクト74の接触部74aにフレキシブルプリント配線板1が押圧されるようになる。
【0073】
また、
図15〜18に示したコネクタ50では、回動部材56を、ハウジング52の、挿入方向前方位置に配置する例を示したが、回動部材56は、ハウジング52の、挿入方向後方位置に配置されるものであってもよい(図示省略)。
【実施例】
【0074】
次に、本発明の効果を確認するため試験を行ったので以下説明する。
【0075】
(実施例1)
実施例1として、
図1〜4に示す構造を有するフレキシブルプリント配線板を試作した。具体的には、フレキシブルプリント配線板は、接続端部に、前列15枚、後列14枚の千鳥配列されたパッドを有し、パッドのピッチは0.175mmピッチ(各列では0.35mm)であり、ベースフィルムの上面側に後列のパッドに接続された14本の配線を有し、ベースフィルムの下面側に前列のパッドに接続された15本の配線を有し、当該下面側の配線が、前列のパッド及び後列のパッドに対応する、ベースフィルムの下面側の各位置をそれぞれ通過するよう形成されたものである。パッド及び配線は銅製とし、パッドの上面には金めっき層を形成した。ベースフィルムには、厚さ20μmのポリイミド製のフィルムを用いた。上面側カバーレイ及び下面側カバーレイには、厚さ12.5μmのポリイミド製のフィルムを用いた。補強フィルムには、厚さ12.5μmのポリイミド製のフィルムを用いた。
【0076】
(比較例1)
比較例1として、
図21に示すように、前列のパッドに電気的に接続された下面側の配線が、後列のパッドに対応する、ベースフィルムの下面側の位置を通らずに、真っ直ぐ後方に延びる点を除いて、実施例1と同じ構造を有するフレキシブルプリント配線板を試作した。
【0077】
(熱衝撃試験)
熱衝撃試験は、JIS C 0025を参照して、実施例1及び比較例1のフレキシブルプリント配線板をそれぞれ、
図15〜18に示した構造を有するコネクタに差し込み、コンタクト及びロック部材でフレキシブルプリント配線板を嵌合、保持した状態において、常温(25℃)の状態から、85℃の高温環境に30分曝し、その後、常温で5分間保持した後、−55℃の低温環境に30分曝し、これを1サイクルとして、総500サイクル行った。そして、5、100、250、500サイクルごとに、前方側のパッド及び後方側のパッドにおける接触抵抗値を直流四端子法により測定した。
【0078】
(試験結果)
試験の結果、250サイクルで、両者のフレキシブルプリント配線板に差が現れ、500サイクルでは、実施例1のフレキシブルプリント配線板では、抵抗規格(50mΩ)を満足するのに対し、比較例1では、該抵抗規格を満足しなくなった。この結果により、本発明を適用することにより、他の電子機器との接続安定性を損なうことなく、電気接続用パッドの狭ピッチ化が実現できることが確認された。また、比較例1のフレキシブルプリント配線板における、接触不良の原因を明らかにするべく、比較例1のフレキシブルプリント配線板を後列のパッドをとおる位置で厚さ方向に沿って切断し、その断面を観察したところ、ベースフィルムと下面側のカバーレイとの間の接着層の厚さが他の箇所よりも薄くなっており、接着層のクリープ変形が接触不良の原因であることが確認された。