(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータの取得は、前記解剖学的マーカーを含む前記関心領域の3D OCTスキャンの結果から模擬的スキャンを実行することを含む
請求項1〜請求項7のいずれかの方法。
抽出された前記データは、前記スキャン経路により覆われた前記関心領域の範囲内の3D OCTスキャンデータからの複数のAスキャンであり、特に、前記複数のAスキャンから模擬的なBスキャンを生成する
請求項9の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
いくつかの用語が単なる利便性のためにここで用いられるが、これら用語は本発明の限定のためではない。ここで使用される関連用語は、図面を参照することにより最適に理解され、図面において同じ数字は同じまたは類似の事項を特定するために使用される。さらに、図面には、いくつかの特徴がいくらか概略的な形態で示されているであろう。
【0024】
複数の要素に関する「少なくとも1つ」という句は、もしここで使用される場合、ここでは、これら要素の1つ、または2以上の要素の組み合わせを意味する。たとえば「第1の部品と第2の部品の少なくとも1つ」という句は、本応用において、第1の部品、第2の部品、または、第1の部品と第2の部品を意味する。同様に、「第1の部品、第2の部品および第3の部品の少なくとも1つ」という句は、本応用において、第1の部品、第2の部品、第3の部品、第1の部品と第2の部品、第1の部品と第3の部品、第2の部品と第3の部品、または第1の部品と第2の部品と第3の部品を意味する。
【0025】
ここで使用される場合、用語「環状領域」および「実質的に環状の領域」は、外側の境界と内側の境界によって区切られたリング形状の範囲を意味する。外側および内側の境界は、円形であってよいが、代替的に任意の他の適当な形状でもよく、限定を意図するものではないが、楕円形状、多角形状、または、任意の適当な規則的または不規則的形状を含む。
【0026】
緑内障、多発性硬化症などの疾患は、眼の網膜内の神経組織が破壊される視神経障害として現れる。視神経障害の診断や監視のために様々な手法が利用できる(たとえば、眼内の圧力推定、視野(VF)検査、カップ−ディスク比を測定する乳頭解析など)。しかし、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、VF検査と比べて少ない労力を被検者に要求しつつ早期検出や疾患の進行の詳細な測定を提供し、かつ、高い再現性を呈する。さらに、OCTによれば、いくつかのタイプのVF検査よりも密な網膜(特に黄斑内)のサンプリングが可能である。
【0027】
ここに記述される1以上の態様によれば、OCT撮像は、視神経障害として現れかつ被検者の解剖学的な特性を特定する疾患の特徴に基づいて、たとえば、被検者の解剖学的構造の画像化に基づいて、カスタマイズされたスキャン経路を決定することができ、および/または、OCT画像データの特定部分を抽出することができる。このカスタマイズされたスキャン経路および/または特定部分は、被検者の解剖学的構造において診断的に関連する領域に相当する。抽出またはスキャン経路のスキャンを介して取得されたOCT画像データから、診断的に関連する測定値が取得される。
【0028】
1つの実施形態において、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像のための方法がここに記述される。この方法は次の処理を含む:少なくとも1つの解剖学的マーカーを含む被検体の関心領域の画像データを取得する;画像データに基づいて解剖学的マーカーのマスクを生成する;マスク上の少なくとも一部に基づいて、少なくとも部分的にマスクの周囲に適合された任意の囲み形状の少なくとも部分を横切るスキャン経路を決定する;スキャン経路に対応する3次元(3D)光コヒーレンストモグラフィ(OCT)スキャンデータを取得する。
【0029】
1つの例によれば、スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータの取得は、OCT撮像装置を用いてスキャン経路を直接にスキャンすることを含む。他の例においては、画像データの取得は、解剖学的マーカーを含む関心領域の3D OCTスキャンを実行することを含む。この例においてさらに、スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータの取得は、解剖学的マーカーを含む関心領域の3D OCTスキャンの結果から模擬的スキャンを実行することを含む。この模擬的スキャンの実行は、スキャン経路内の3D OCTスキャンデータからデータを抽出することを含む。抽出されたデータは、スキャン経路により覆われた関心領域の範囲内の3D OCTスキャンデータからの複数のAスキャンである。さらに、この方法は、複数のAスキャンから模擬的なBスキャンを生成することを含んでよい。
【0030】
さらなる他の例において、この方法は、スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータから少なくとも1つの測定値を取得することを含んでよい。この測定値は、層厚、減衰係数、または画像から求められる係数の少なくとも1つである。3D OCTスキャンデータから取得される測定値は、測定値の組み合わせであってよく、その例として、層厚と減衰係数との組み合わせからなる統合的減衰係数がある。他の例において、測定値は、乳頭周囲萎縮が検出されたスキャン経路の範囲の割合を示す萎縮測定値である。関心領域は網膜であってよく、解剖学的マーカーは視神経乳頭であってよく、少なくとも1つの測定値の取得は、スキャン経路における網膜の少なくとも神経線維層の特性を測定することを含んでよい。一方、解剖学的マーカーは中心窩であってもよく、少なくとも1つの測定値の取得は、スキャン経路における網膜の少なくとも神経節細胞の特性を測定することを含んでよい。いずれの状況においても、関心領域が網膜である場合、少なくとも1つの測定値の取得は、網膜の1つの層またはいくつかの層の組み合わせにわたる特性を測定することを含み、このいくつかの層は、神経節細胞層と内網状層、神経節細胞層と内網状層と神経線維層、または網膜の全ての層(全網膜厚と呼ばれる)のうち少なくとも1つを含む。この少なくとも1つの測定値を標準データベースと比較することが可能である。
【0031】
さらにまた、この方法は、少なくとも1つの測定値、画像データまたは3D OCTスキャンデータのうち少なくとも1つから求められた情報を表示することを含んでよい。たとえば、情報の表示は、OCTによる画像のオーバーレイとして測定結果の視覚的表現を表示することを含んでよい。他の例によれば、任意の囲み形状は、実質的に環形状である。この実質的な環形状の内法寸法は、マスクの縁に対応する。また、スキャン経路は、実質的な環形状の1以上のサブセクションを含む。この1以上のサブセクションは不連続であってよい。一般に、スキャン経路の決定は、第1の囲み形状を選択することと、この第1の囲み形状をマスクに位置合わせすることと、少なくとも1つの寸法の最小値がマスクの縁の寸法以上となるように、第1の囲み形状の少なくとも1つの寸法を調整することと、を含む。
【0032】
他の実施形態によれば、OCT画像データから視神経障害を検出するための方法が記述される。この方法は、視神経乳頭を含む網膜の領域の画像データを取得することと、この画像データに基づいて、視神経乳頭マスクの外法寸法に部分的に基づき位置付けられた1以上のサブ経路をスキャン経路が含むように、視神経乳頭マスクを決定することと、このスキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータを取得することと、を含む。1つの例において、この1以上のサブ経路は、視神経乳頭マスクの外法寸法に対応する内法寸法を有する最小適合環形状を横切る。他の例によれば、画像データの取得は、視神経乳頭を含む網膜の領域の3D OCTスキャンを実行することを含む。さらに他の例において、スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータの取得は、視神経乳頭を含む網膜の領域の3D OCTスキャンの結果から模擬的スキャンを実行することを含む。さらなる例によれば、この方法は、スキャン経路に対応する3D OCTスキャンデータから1つ以上の測定値を取得することを含んでよい。この方法は、少なくとも1つの測定値、画像データまたは3D OCTスキャンデータのうち少なくとも1つから求められた情報を表示することを含んでもよい。
【0033】
さらなる他の実施形態において、OCT撮像システムが記述される。OCT撮像システムは、少なくとも1つの解剖学的マーカーを含む被検体の関心領域のOCTスキャンデータを取得する撮像装置を含む。さらに、OCT撮像システムは、このOCTスキャンデータを処理し、視神経障害の診断に関連する解析結果を出力する神経障害解析装置を含む。この神経障害解析装置は、OCTスキャンデータの画像処理に基づいて、解剖学的マーカーのためのマスクを生成し、このマスク上の少なくとも一部に基づいて、少なくとも部分的にマスクの周囲に適合された任意の囲み形状の少なくとも部分を横切るスキャン経路を決定し、このスキャン経路に対応するOCTスキャンデータの部分を抽出し、抽出されたOCTスキャンデータの部分にわたり、関心領域の少なくとも1つの特性に関連する測定値を収集し、収集された測定値または抽出されたOCTスキャンデータのうち少なくとも1つから求められた情報を、解析結果として出力するように構成される。1つの例によれば、神経障害解析装置は、入力を受け付けるように構成され、この入力は、任意の囲み形状のサイズおよび位置、スキャン経路に含まれる任意の囲み形状の1以上のサブ領域、または任意の囲み形状の幅のうち少なくとも1つを特定する。さらなる他の例において、神経障害解析装置は、スキャン経路に対応する画像データを直接に取得するために撮像装置を制御するよう構成される。
【0034】
眼110における視神経障害を検出および/または測定するための典型的、非限定的なシステム100を
図1に示す。特に、システム100は、たとえば網膜やその部分などの眼110の関心領域112に対応する画像データ140を生成するよう構成された撮像装置120を含む。1つの例によれば、関心領域112は、緑内障に伴う視神経障害を検出するための、眼110の視神経乳頭であってよい。他の例においては、撮像装置120は、緑内障、多発性硬化症、網膜変性症の検出および/または監視に利用するために、眼110の黄斑を関心領域としてスキャンする。
【0035】
例にしたがって、撮像装置120は、OCT装置であってよく、ここに提供される態様の説明に利用するためにその本質に関して一般的に論じられる。しかしながら、主題がOCTのみを伴う応用には限定されないこと、さらに、ここで記述される態様が他の撮像モダリティ(限定を意図するものではないが、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮影(MRI)、超音波撮影など)に関連して利用されてよいことが、認識される。
【0036】
OCTは、ミクロンレベルの解像度で被検体の表面下の画像を取得することが可能な画像化技術である。たとえば、眼科的な応用において、OCTは、網膜を含む眼の部分の断層像を生成するために利用される。一般に、OCTは、超音波撮影と同様の基本原理にしたがって動作するが、超音波撮影では音波を利用するのに対し、OCTでは媒体として光を利用する。すなわち、OCTは、被検体に光を照射し、時間的遅延と反射光の強度とを測定することにより、被検体を画像化する。しかしながら、光は音波よりもはるかに速い。よって、超音波エコーにおける時間的遅延と異なり、反射光の時間的遅延は直接には検出されない。代わりに、OCTでは、被検体の複数の構造間の距離に相当する時間差を検出するために、低コヒーレンス干渉法を利用する。特に、低コヒーレンス広帯域光がサンプル部分と参照部分とに分割される。参照部分は参照物(つまり参照ミラー)に向かって経路を進行し、サンプル部分は被検体(たとえば眼、特に網膜)に向かって進行する。サンプル部分および対応する被検体からの反射光の進行距離が、参照部分および対応する反射光の進行距離のコヒーレント長に含まれるとき、干渉パターンが生成される。この干渉パターンは、被検体の或る深さにおける光の強度を示し、被検体に関連する画像データの生成を容易化する。
【0037】
被検体の様々な深さにおける強度情報を求めるために、いくつかの異なる技術を利用することができる。タイムドメインOCTと呼ばれる1つの手法においては、異なる深さをスキャンするために参照部分の進行距離が変更される。たとえば、進行距離を変更するために参照ミラーが往復動される。集合的に周波数ドメインOCTと呼ばれる他の手法では、参照部分の変化を要さない。これら手法においては、光の様々な周波数がたとえば空間的または時間的にエンコードされ、反射光について検出された複数の周波数が、被検体内部の異なる深さに相当する。異なる複数の周波数における反射強度を表す受信信号に対するフーリエ解析により、被検眼の1つの点における異なる深さでの反射強度が生成される。
【0038】
周波数ドメインOCTの1つの手法(一般にフーリエドメインまたはスペクトラルドメインOCTと呼ばれる)によれば、回折格子または他のそのような分散手段により、参照干渉パターンが個々の周波数成分に分散される。概念的には、各々が特定の周波数帯に感度を有するフォトディテクターアレイが、被検体の1つのスキャン点における異なる複数の深さに対応する周波数成分のそれぞれの強度を同時に検出する。しかしながら、従来の実務においては、典型的に電荷結合素子(CCD)若しくは相補性金属酸化膜半導体(CMOS)のラインカメラまたは分光器が利用され、回折格子が光の異なる複数の波長を物理的に分離する。スウェプトソースOCTと呼ばれる他の例においては、異なる周波数にわたるスキャンを行うために可変光源が用いられる。各スキャン周波数における強度が収集され、フーリエ解析によって変換されることにより、様々な深さにおける強度を列挙した強度プロファイルが生成される。
【0039】
関心領域112の複数の点または位置を撮像装置120によりスキャンすることにより、対応する複数のAスキャンを生成することができる。各Aスキャンは、対応する位置における関心領域112内部の各強度プロファイルを提供する。Bスキャンとして知られる関心領域112の断層像を集合的に形成するために、一連のAスキャンを集めることができる。たとえば、関心領域112上の或る任意の経路に沿った複数の点に対応するAスキャンを集合させることにより、この任意の経路に沿った関心領域112の断層像を生成することができる。1つの実施形態によれば、撮像装置120は、Aスキャンを収集するために、任意の経路に沿って関心領域112を物理的にスキャンするよう制御される。一方、他の実施形態では、撮像装置120は、任意の経路を含む関心領域112の範囲(たとえばその全体)に対応するAスキャンを収集する。その後、任意の経路に沿ったBスキャンがAスキャン情報から抽出される。撮像装置120が任意の経路の直接的なスキャンを行わないため、この手法により生成されるBスキャンは仮想的または模擬的なスキャンと呼ばれる。
【0040】
たとえば平行な複数の断面に沿う複数のBスキャンを集めることにより、関心領域112のボリュームの3次元(3D)スキャン画像を提供することができる。3Dスキャン画像の様々なスライスが演算され、典型的にCスキャンと呼ばれる。たとえば、眼110の網膜層または眼底の正面画像に相当するCスキャンを、3Dスキャン画像(または3Dスキャン画像の基礎となる3Dスキャンデータ)から演算することができる。
【0041】
ここに利用されるように、3Dスキャンデータは、たとえば、関心領域のAスキャンの集合として、この集合の複数のAスキャンから求められる1以上のBスキャンとして、複数のAスキャンおよび複数のBスキャンから求められる1以上のCスキャンとして参照することができる。1つの態様において、撮像装置120が神経障害解析装置130に提供する画像データ140は、3Dスキャンデータであってよい。画像データ140は、3Dスキャンデータに加えて補足的な情報を含んでもよい。たとえば、撮像装置120は、OCT画像データに加え、眼底像を取得可能であってよい。そのような場合において、眼底像は、走査型レーザー検眼鏡や眼底カメラなどによって取得可能である。一方、3Dスキャンデータから眼底像を生成することができ、これはたとえば各Aスキャンにおける各ピクセルを加算することにより行われる。
【0042】
画像データ140から、特にそれに含まれる3Dスキャンデータから、様々な測定値および定量を決定することが可能である。前述したように、眼科分野では、軸方向において測定される層厚が、一般に、視神経障害として現れる疾患の診断と、そのような疾患の進行の監視とに利用される。したがって、神経障害解析装置130は、画像データ140を評価し、測定値を算出し、そして表示および/またはさらなる解析のために解析結果134を出力するように構成される。
【0043】
視神経障害を呈する典型的な疾患としての緑内障では、眼内の圧力や張力の増大が、神経線維軸索を障害や死に至らしめ(通常、篩状板の解剖学的または形態的な変化に関連する)、および/または、神経節細胞を死に至らしめる。よって、時間の経過とともに、緑内障は、神経線維層(NFL)、神経節細胞層(GCL)および内網状層(IPL)の萎縮を引き起こす。典型的には、NFLの損傷は、眼の視神経乳頭を中心とする弧状の形態と、視神経乳頭に対してより側頭側の位置への拡張を呈する。GCLの損傷は、眼の黄斑を中心とするリング状またはリングの部分形状としてしばしば観察される。NFLおよびGCLの損傷は、典型的には、それぞれの領域における層の薄化として現れる。減衰特性は、そのような損傷、特にNFLに関する損傷、の影響として現れる(疾患組織における減衰が低下する)。
【0044】
従来、患者の緑内障を検出し、緑内障の進行を監視するために、乳頭周囲をスキャンする方式が利用されている。この従来のアプローチにおいて、径が約3.4mm(具体的には、3.0〜3.46mmの範囲内)のサークルスキャンが視神経乳頭の周囲に適用される。このスキャンデータから、スキャンされたサークルの周りの網膜NFLの厚さが測定される。しかし、視神経乳頭のサイズは患者ごとに異なる。全ての患者に対して一定のサークルを用いるためには、サークル径は、少なくとも全ての患者の視神経乳頭を包含できるような大きさでなければならない。よって、サークルは、ほとんどの患者とって任意に大きいサイズとなるが、ほとんどの患者について視神経乳頭の近くの有用な情報を取得できないため理想的ではない。一方、この一定サイズより小さな径を有するサークルが用いられる場合、いくらかの患者の視神経乳頭をサークルスキャンがしばしば切り取ってしまう。視神経乳頭自体の内部においては、NFL厚を測定できない。したがって、任意の事情によってデータセットが除外されるので、視神経乳頭に切り入るサークルスキャンでは臨床的および/または統計的な解析の有効性が低下し、医学的診断に偏りを与えることとなる。
【0045】
1つの実施形態にしたがって、神経障害解析装置130は、任意に定義されたスキャンパターンで模擬的スキャンを実行するために、画像データ140(およびそれに含まれる特定の3Dスキャンデータ)に後処理を施すよう構成される。さらなる説明として、この実施形態は、視神経乳頭を中心とする眼110の網膜の部分を含む関心領域112の例に合わせて記述される。しかし、ここで記述される主題は、視神経乳頭の解析に限定されるものではなく、網膜(たとえば黄斑)または診断的に関連するパターンが観察される眼の任意の他の解剖学的構造に対して適用可能である。
【0046】
緑内障の検出や監視を目的とする模擬的スキャンを実行するために、神経障害解析装置130は、画像データ140中の視神経乳頭を特定し、視神経乳頭マスクを生成する。1つの例によれば、3Dスキャンデータに対して施される層のセグメンテーションまたは他の画像処理技術を介して視神経乳頭が特定される。特に、視神経乳頭は、層情報における不連続により特定できるであろう。視神経乳頭を特定しマスクするための1つの既知の技術は、ブルッフ膜開口(Bruch‘s Membrane Opening:BMO)技法と呼ばれ、これにおいては、ブルッフ膜は、網膜OCT画像において観察される抹消網膜色素上皮(RPE)細胞体境界に対応すると従来解釈されている。他の例では、画像データ140に含まれる他の情報(たとえば眼底像)から視神経乳頭を特定できる。たとえば、視神経乳頭マスクを生成するために、眼底像に対する物体認識を実行することができる。さらに、ユーザが、視神経乳頭マスクを、入力132の一部として、神経障害解析装置に提供することができる。たとえば、画像データ140に基づき表示される出力画像上に、ユーザが手作業で視神経乳頭を描画することができる。さらに、3Dスキャンデータまたは眼底像のいずれかから自律的に生成される視神経乳頭マスクをユーザが編集するようにしてもよい。
【0047】
画像データ140に含まれる3Dスキャンデータから生成される場合、視神経乳頭マスクは3Dボリュームであり、これは、画像データ140により表現される3Dボリューム内の視神経乳頭または視神経円板に一般に一致する。模擬的スキャンのために任意に定義されたスキャンパターンについて、実質的に環状の領域、または実質的に環状のサブ領域の集合が、少なくとも部分的に視神経乳頭マスクのサイズおよび形状に基づいて決定される。この実質的に環状の領域は、視神経乳頭マスクに関連する任意の形状および/またはサイズ(たとえば径)であってよく、環状領域の内法寸法が視神経乳頭の縁に対応する最小適合から、環状領域の内法寸法が関心領域112の最大寸法に対応する最大値までの範囲にわたる。
【0048】
実質的に環状の領域の可変なサイズおよび形状を説明するために、
図2は、関心領域112の単純な表現を示し、これはおおよそ視神経乳頭202を中心としている。
図2にはさらに、視神経乳頭202を介して網膜に入様々な血管204と、従来の乳頭周囲スキャンに対応する従来のサークルスキャン経路206が示されている。画像データ140における視神経乳頭202が特定され区分されると、
図3に示すように、縁または境界204を有する視神経乳頭マスク302が作成される。図解および記述のために2次元(2D)マスクとして示されているが、視神経乳頭マスクは2Dマスクに限定されない。前述したように、視神経乳頭マスクは、たとえば、視神経乳頭、視神経円板および視神経により占められる3Dスキャンデータの3Dボリューム全体の部分に対応する3Dボリュームであってよい。
【0049】
視神経乳頭マスク302に基づいて実質的に環状の領域402が定義される。例えば、
図4は、視神経乳頭マスク302の縁304に実質的に対応する環状領域402のための最小適合を示す。つまり、実質的に環状の領域402の内法寸法が、縁304の寸法におおよそ等しい。
図5は、縁304の寸法より大きい内法寸法を有する、他の例の環状領域502を示す。
【0050】
さらに、
図6は、環状領域602を求めるための他の技術を示す。この例では、環状領域602は、複合的形状と呼ばれる。この複合的形状は、任意に設定された寸法(たとえばサークルの場合には任意に設定された径)を有する第1の形状(たとえばサークル、楕円、または任意の他の形状)を採用し、視神経乳頭302を中心にこの第1の形状を配置することにより決定される。環状領域602を生成するために、たとえば最小適合の環状領域などの生成された環状領域に、第1の形状を組み合わせる(つまり合併する)ことができる。たとえば、視神経乳頭マスク302を原点とする極座標に関し、環状領域602の内法寸法を示すr値を、各θに対し、最小適合の環状領域の内法寸法と第1の形状の内法寸法との間の最大値として決定することができる。
【0051】
実質的に環状の領域を生成するためのさらに他の例は、極座標の角度θと視神経乳頭マスクの外周との関数を示す式を用いて環状領域を計算することを含む。しかし、結果として得られる環状領域602が視神経乳頭マスク302に切り入らない限りにおいて、他の合併技術を適用することができる。
【0052】
環状領域の形状およびサイズに加え、環状領域の幅も可変であってよい。本例において、幅とは、環状領域の外周と環状領域の内周との間の差を意味する。幅は、たとえば入力132を介してユーザにより定義されてもよいし、神経障害解析装置130により設定されてもよい。さらに、環状領域の形状およびサイズが内部的に可変であってよいこと、つまり環状領域602などの特定領域の内部において形状およびサイズが変化してよいことのように、幅についても同様である。たとえば、緑内障に伴う薄化の典型的な弧状パターンが与えられると、
図7に示す環状領域702のような弧内において環状領域の幅はより大きくてよい。
【0053】
さらに、模擬的スキャンを対象とする環状領域は、1以上のサブ領域から形成される不連続な領域であってよい。
図8は、視神経乳頭マスク302の上半球にわたる環状サブ領域802の例を示す。半球に加え、サブ領域は、たとえば、耳側、鼻側、上側および下側の象限に関して、45度シフトした象限(たとえば耳側−上側の象限)に関して、時計の時間(たとえば1時、6時など)に関して、定義されてよい。さらに、
図9にサブ領域902、904および906として示すように、サブ領域は、任意のサイズ、形状および幅を有してよい。前述した幅のように、サブ領域の形状、サイズおよび個数は、たとえば入力132を介してユーザにより定義されてもよいし、神経障害解析装置130により自律的に設定されてもよい。
【0054】
環状領域が決定されると、神経障害解析装置130が模擬的スキャンを実行する。模擬的スキャンにおいては、この環状領域に対応する画像データ140の部分が抽出される。抽出される画像データ140の部分は、たとえば、環状領域内に位置するAスキャンのそれぞれであってよい。これらAスキャンから、環状領域に沿った断面を表す模擬的Bスキャンが構築または補間される。他の例においては、画像データ140の3Dスキャンデータから模擬的Bスキャンが構築または補間されてよい。
【0055】
模擬的スキャンの後、つまり環状領域に対応する画像データが抽出された後、環状領域にわたって様々な測定値が集合または統合されてよい。集合は、環状領域内における測定値の集まりの加算、平均化、分位点を取ることなどを含んでよい。1つの例によれば、視神経乳頭マスクの取得および/または環状領域の決定の前の段階で、測定値を初期的に取得してよい。たとえば、画像データ140のセグメンテーションの間に、画像フレームの内部において層境界を特定でき、層厚の測定値を取得できる。他の例では、模擬的スキャンを実行した後に、環状領域に対応するAスキャンから測定値を取得することができる。
【0056】
1つの例において、測定値は、単一の層(たとえばNFL、GCLなど)、複数の層の組み合わせ(たとえばGCLと内網状層(GCL+)、NFLとGCLとIPL(GCC)など)、または網膜の全層についての層厚を含んでよい。他の例では、測定値は、減衰係数(たとえば1つの層を通過するときに光が減衰する度合の測定値)、統合的減衰係数、または、画像から求められる他の係数の測定値(たとえば、偏光感度OCTにより測定可能な偏光、画像強度、画像倍率など)を含んでよい。さらに、乳頭周囲萎縮が観察される環状領域の内部の範囲の割合の決定に関連する萎縮測定値を含んでよい。萎縮範囲は、次の条件のうち1つ以上が存在する上に、ブルッフ膜が影響を受けていない範囲として特定できる:a)網膜内の層の内部の描写の定義の欠如;b)視細胞内節外節接合部(IS/OS)および/または網膜色素上皮(RPE)のいずれかの欠落;c)OCT画像データ中の脈絡膜組織の過度の明るさ。代わりに、ブルッフ膜の抑制によるさらなる制限を除く前述の基準のいずれか1つを有する範囲を位置付けることにより、萎縮範囲を特定することができる。
【0057】
環状領域にわたって集合および/または統合された測定値からの視神経障害の特定を容易化するために、神経障害解析装置130は、標準データベースを利用することができる。したがって、標準データベースとの比較結果、模擬的Bスキャン、環状領域のボリュームに対応して生成された3Dボリューム、測定値の概要的統計(たとえば、平均値、中央値、標準偏差など)、画像データ140、またはその部分を、全てまたは部分的に組み合わせることで、表示および/またはさらなる解析のための解析結果134を生成できる。
【0058】
たとえば、解析結果134は、環状領域から求められた模擬的Bスキャンを表す表示データを含んでよい。この模擬的Bスキャンは、測定結果および典型的な赤/黄/緑の標準的な解析結果を伴ってよい。他の例では、厚さマップ、プロジェクション画像などのOCTから求められるマップ、または、他のモダリティ(たとえば走査型レーザー検眼鏡、眼底カメラなど)から取得される画像によるオーバーレイとして、測定結果を(たとえば視覚的、図表的、数値的に)表現することができる。
【0059】
他の例では、撮像装置120および神経障害解析装置130は、環状領域を直接にスキャンするよう構成されてよい。撮像装置120または他の装置(図示せず)は、眼底像やOCT眼画像などの予備的画像を取得してよい。この予備的画像から、撮像装置120に提供されて環状領域の直接的なスキャンを可能とするスキャン制御入力150に環状領域が定義される。撮像装置120は、環状領域のスキャンを行いつつ、高速な眼球運動を補正するための補助的な撮像をさらに行ってよい。
【0060】
上記の態様では視神経乳頭のスキャンに関する議論がなされているが、ここに記述された技術を他の解剖学的範囲に対して適用することが可能である。たとえば、前述したように、いくつかの視神経障害は、黄斑周囲におけるドーナツ状のGCL(GCL+)の萎縮として現れる。黄斑の中心である中心窩は、この「ドーナツ」には含まれない。したがって、黄斑領域のOCTスキャンデータを上記と同様にして解析することにより、中心窩を特定でき、適当なマスクを生成でき、マスクを実質的に囲む環状領域を決定できる。これに関し、注目する測定結果を得るために、黄斑周囲のこのドーナツ形状を隔離できる。さらに、画像データ140は、黄斑領域および視神経乳頭領域の双方の3Dスキャンデータを含んでよい。この例では、視神経乳頭マスクおよび黄斑マスクと、この視神経乳頭マスクおよび黄斑マスクに基づきそれぞれ適合された2つの実質的に環状の領域とを生成できる。したがって、視神経乳頭領域および黄斑領域の周辺の組織の状態をともに測定し、解析することができる。なお、視神経乳頭領域のための測定値と黄斑領域のための測定値とは、同じ測定値である必要はない(もちろん同じでもよい)。よって、それらを別々に測定することが有用と言える。たとえば、視神経乳頭の周辺のNFLの特性を測定し、かつ、黄斑領域における神経節細胞の特性を測定することが望ましいと言える。
【0061】
図10には、OCTで視神経障害を検出するための典型的、非限定的な方法が示されている。この方法は、たとえば前述のシステム100によって実施される。1000において、マーカーを含む関心領域の画像データが取得される。この画像データは、OCT撮像装置または他の撮像モダリティによって取得されてよい。1つの例において、関心領域は、眼の網膜であってよく、マーカーは視神経乳頭や中心窩などの解剖学的特徴であってよい。1002において、画像データ内においてマーカーがマスクされる。1004において、スキャン経路がマスク上に部分的に設定される。たとえば、スキャン経路は、マスクを囲み、かつ少なくとも部分的にマスクに適当された領域の少なくとも一部を横切ってよい。たとえば、この領域は、その内法寸法がマスクの縁または境界の外法寸法に対応するように最小に適合された領域であってよい。1006において、スキャン経路に対応するOCTスキャンデータが取得される。このOCTスキャンデータは、このスキャン経路を撮像装置で実際にスキャンすることにより直接に取得され、または、模擬的スキャンにより仮想的に取得される。1008において、1以上の測定値が、このOCTスキャンデータから算出され、さらに視神経障害を検出するためにさらなる解析されてよい。前述したように、測定値は、1以上の網膜層の厚さの測定値、減衰に基づく測定値、画像から求められる係数、萎縮の測定値などを含んでよい。
【0062】
前述の1以上の態様を実施可能な光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システム1100の典型的、非限定的な実施形態を示す
図11に移行する。図示されているように、システム1100は、たとえば網膜などの眼1102の部分の断層像を生成するために眼科分野において使用される撮像手法を実行可能である。
【0063】
一般に、OCTは、低コヒーレンス広帯域光源1104からの光を眼1102の部分に照射することと、眼1102の当該部分の断層像を生成するために反射光を観察することとを含む。光源1104からの光は、ビームスプリッター、ファイバーカプラなどの光アダプター1106により2つに分割され、サンプル部分1108は、経路1110に沿って眼1102に向かって進行し、参照部分1112は、経路1114に沿ってミラー1116などの参照反射器に向かって進行する。サンプル部分1108と参照部分1112は少なくとも部分的に反射され、それらの反射成分は光アダプター1106により合成され、合成された反射光の強度または他の量が検出器1120によって検出され、検出器1120は、コンピュータ1122により受信される検出量を示す信号を送信するために動作的に接続されている。サンプル部分1108の進行距離が参照部分1112の進行距離のコヒーレント長に含まれるとき、反射され合成された光の強度に影響する光干渉パターンが形成される。合成された反射光の強度は、サンプル部分1108により照明される眼1102の部分の特性(たとえば、組織の後方散乱、偏光など)により変化する。そして、合成された反射光の強度に基づいて眼1102の照明部分のそのような特性に関する情報が決定され、眼1102の照明部分に関する画像データを生成するために用いられる。
【0064】
眼1102に対するサンプル部分1108の進入深度は、タイムドメインでは、参照部分1112のトランスミッター1118のミラー1116からの距離Dを変化することによって制御される。一方、周波数ドメインでは、進入深度は、広帯域光源または或る周波数帯にわたる波長掃引光源1104を利用することと、参照部分1112のトランスミッター1118のミラー1116からの距離Dを変化することとの光学的な組み合わせによって制御される。合成された反射光に対してフーリエ解析を施すことは、異なる周波数で反射された光と、眼1102の異なる深さで反射された光とを関連付ける。前述したように、周波数ドメインにおいては、深さが制御されても、距離Dの変化は随意的であってよい。これは、たとえば、衝動性眼球運動を相殺するため、または眼の形状に伴う傾斜を相殺するために行われる。さらに、3Dスキャンにおいては、眼の形状および曲率により、網膜の或る位置が他よりも瞳孔に近くなる。それにより、たとえフーリエドメインの場合であっても、干渉窓内に維持するために距離Dを変化させる必要があることもある。
【0065】
一定の進入深度を有するサンプル部分1108は、眼1102の内部の関心領域1124(たとえば黄斑、視神経乳頭など)にわたる異なる空間的位置を照明するための様々な異なる向き(
図11に破線で示す)のためのミラー、レンズなどの調整を介して反射されてよい。検出器1120により検出された合成された反射光の強度(または他の量)は、関心領域1124の異なる空間的位置のそれぞれについて、
図1に示すコンピュータ1122に送信される。ハードドライブなどの固定的なコンピュータ読み取り可能媒体により記憶されるコンピュータ実行可能な指示を実行するためのプロセッサーを含むコンピュータ1122は、OCT画像データを記憶し、検出された強度および/または強度に関連する他の値(たとえば算出された深度)についてもハードドライブまたは他の固定的なコンピュータ読み取り可能媒体(たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)など)に記憶される。このデータベースは、検出器1120により検出された強度の各値を、それに対応する光が反射された関心領域1124内の異なる空間的位置それぞれにリンク付けまたは他の関連付けを行って記憶するよう構成されてよい。同様に、異なる空間的位置にて反射され、関心領域1124への光のサンプル部分1108の軸方向の進入深度が異なる光の強度値は、分離したアレイに記憶されてよい。複数のアレイ内のデータは、コンピュータ1122によって集合的に使用され、たとえばBスキャンが生成される。
【0066】
強度データを処理し、たとえば
図1からの画像データ140を生成するために、コンピュータ1122は、付加的なソフトウェアおよび/またはコンピュータ実行可能なコードを含んでいてよい。さらに、コンピュータ1122は、前述の神経障害解析装置130の機能を実行するために、コンピュータ実行可能な指示を含んでいてよい。これに関連し、
図1の神経障害解析装置130および撮像装置120は、システム1100または同様の構成の他のシステムにより提供されてもよい。
【0067】
ここに開示されているシステムおよび手法にしたがって使用可能な典型的な演算装置1200の高レベルな図示である
図12を参照する。演算装置1200は、メモリー1204に記憶された指示を実行する少なくとも1つのプロセッサー1202を含む。この指示は、たとえば、前述した1以上の構成部分または前述した1以上の方法を実現するための指示により実行されるものとして記述された機能性を実現するための指示であってよい。プロセッサー1202は、システムバス1206を用いてメモリー1204にアクセスできる。
【0068】
演算装置1200は、システムバス1206を用いてプロセッサー1202によりアクセス可能なデータ記憶1208を付加的に含んでよい。演算装置1200は、さらに、外部装置が演算装置1200と通信することを可能とする入力インターフェイス1210を含んでよい。たとえば、入力インターフェイス1210は、外部装置、ユーザなどから指示を受信するために使用されてよい。演算装置1200は、さらに、演算装置1200と1以上の外部装置とを接続する出力インターフェイス1212を含んでよい。たとえば、演算装置1200は、出力インターフェイス1212を用いて、テキスト、画像などを表示することができる。
【0069】
さらに、単一のシステムとして説明されているが、演算装置1200は分散されたシステムであってよい。よって、たとえば、いくつかの装置がネットワーク接続によって接続され、演算装置1200により実行されるものとして記述されたタスクを集合的に実行してもよい。
【0070】
また、ここに記述される動作は、1以上のプロセッサーにより実行され、および/または、1以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された、コンピュータ実行可能な指示であってよい。コンピュータ実行可能な指示は、ルーチン、サブルーチン、プログラム、実行スレッド、および/または、その類似を含んでよい。さらにまた、これら方式の動作の結果は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、表示装置に表示され、および/または、その類似が施されてよい。
【0071】
また、用語「または」は、排他的な「または」よりむしろ包括的な「または」を意味することを意図している。つまり、そうでないと指摘しない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを用いる」という句は、自然で包括的な並べ替えのいずれかを意味する。つまり、「XはAまたはBを用いる」という句は、次の場合のいずれかを満足する:XはAを用いる;XはBを用いる;または、XはAとBの双方を用いる。さらに、この応用および付加されたクレームにおいて、そうでないと指摘しない限り、または単数形を指示していることが文脈から明らかでない限り、冠詞「a」と「an」は、一般に、「1またはそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【0072】
また、ここに使用されるように、用語「典型的」は、「何かの例示または例としての役目をもつこと」を意味することを意図している。
【0073】
ここに記述された様々な機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実現される。ソフトウェアで実現される場合、コンピュータ読み取り可能な媒体上の1以上の指示またはコードとして記憶され、または伝送されてよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体と、1の場所から他の場所へのコンピュータプログラムの移動に役立つ任意の媒体を含む通信媒体との双方を含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータによるアクセスが可能な、任意の入手可能な媒体であってよい。限定するものではないが、例として、そのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージ装置、または、所望のプログラムコードを指示またはデータ構造の形態で伝えまたは記憶するために用いることが可能であり、かつコンピュータによるアクセスが可能な任意の他の媒体を含んでよい。ここに用いられるように、ディスク(Disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスク(BD)を含み、ここで、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを複製し、ディスク(disc)は通常、レーザーで光学的にデータを複製する。さらに、伝送される信号は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の範囲に含まれない。また、接続は、通信媒体であってよい。たとえば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外、電波およびマイクロ波などのワイヤレス技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔源からソフトウェアが伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外、電波およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、通信媒体の定義に含まれない。上記の組み合わせについても、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲に含まれない。
【0074】
以上、例示的な実施形態が記述された。主張されている主題の一般的な範囲から逸脱しないように上記の装置および方法に変更および変形を加えてよいことは、当該分野の技術者にとって明らかである。主張されている主題の一般的な範囲における全てのそのような変形や変更を含むことを意図している。さらに、用語「含む(include)」の範囲に関し、詳細な説明またはクレームのいずれにおいても使用され、そのような用語は、クレームにおける因襲的な用語として用いられるときの用語「有する、含む(comprising)」の解釈と同様に包括的であることを意図している。