(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のジョーが前記閉位置にあるときに、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最小距離が約0.015cm(0.006インチ)以上であり、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最大距離が約0.127cm(0.050インチ)以下であるように、前記第1のジョーが予め湾曲している、請求項1に記載の外科用器具。
前記切断部材が前記第2のジョーに対して前記後退位置と前記完全前進位置との間で並進するように構成され、前記切断部材が前記第2のジョーに対して並進するとき、前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記第2のジョーを前記第1のジョーに対して開位置と閉位置との間で回転させるように構成され、前記第2のジョーが前記開位置にあり、前記第2のジョーに外部負荷が加えられていない場合、前記第2のジョーが前記切断部材の長手方向軸から離れて湾曲するように、前記第2のジョーが予め湾曲している、請求項1に記載の外科用器具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
種々の実施形態は、組織を治療するための装置、システム、及び方法を目的とする。明細書に記載され、添付の図面に示される実施形態の全体的な構造、機能、製造及び使用の完全な理解をもたらすように多数の具体的詳細が示される。しかしながら、実施形態はそのような具体的詳細なくして実施され得ることが、当業者には理解される。他の例においては、周知の作動、構成要素、及び要素は、明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため詳細に記載されていない。当業者は、本明細書に記載及び図示される実施形態は非限定的な例であり、したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的詳細は代表的なものであり得、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、この範囲は添付の特許請求の範囲のみによって定義されることを理解するであろう。
【0014】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」等の参照は、その実施形態との関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して複数の場所に出現する「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」等のフレーズは、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。故に、一実施形態に関して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。
【0015】
用語「近位」及び「遠位」は、明細書全体において、患者の処置に使用される器具の一末端部を操作する臨床医を基準にして使用できることが理解できる。用語「近位」は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、用語「遠位」は、臨床医から最も遠い所に位置した部分を指す。簡潔にするため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」等、空間に関する用語は、本明細書において、図示した実施形態を基準にして使用できることが更に理解できる。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用され得、これらの用語は、限定的及び絶対的であることを意図したものではない。
【0016】
以下の米国非暫定的特許願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許第7,381,209号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」;
米国特許第7,354,440号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT AND METHOD OF USE」;
米国特許第7,311,709号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT AND METHOD OF USE」;
米国特許第7,309,849号、発明の名称「POLYMER COMPOSITIONS EXHIBITING A PTC PROPERTY AND METHODS OF FABRICATION」;
米国特許第7,220,951号、発明の名称「SURGICAL SEALING SURFACES AND METHODS OF USE」;
米国特許第7,189,233号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」;
米国特許第7,186,253号、発明の名称「ELECTROSURGICAL JAW STRUCTURE FOR CONTROLLED ENERGY DELIVERY」;
米国特許第7,169,146号、発明の名称「ELECTROSURGICAL PROBE AND METHOD OF USE」;
米国特許第7,125,409号、発明の名称「ELECTROSURGICAL WORKING END FOR CONTROLLED ENERGY DELIVERY;及び
米国特許第7,112,201号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT AND METHOD OF USE」。
【0017】
システム及び方法の種々の実施形態は、天然組織体積内に熱による「融着」又は「溶着」を形成することに関する。組織の「融着」及び組織の「溶着」という代替的用語は、例えば、治療直後に相当な破裂強さを呈する血管の融着において、組織塊が実質的に一様に溶着されることになる標的の組織体積体の熱治療を表すために、本願では同じ意味で使用され得るものである。そのような融着の強度は、(i)血管切除手技において血管を永久的に封着し、(ii)摘出手技において器官の周縁部を融着し、(iii)永久的な閉鎖が必要な他の解剖学的導管を融着し、更にまた、(iv)血管吻合、血管閉鎖、又は、解剖学的構造若しくはその一部分を互いに接合する他の手技を実施するために特に有用となる。本明細書にて開示される組織の融着又は溶着は、「凝固」、「止血」、並びに、概して小さな血管又は血管組織内での血流の崩壊及び閉塞に関連する他の類似の説明的な用語とは区別されるものである。例えば、熱エネルギーの任意の表面印加により、凝固又は止血を発生させることができるが、これらは、本明細書で用いられる用語としての「融着」に分類されるものではない。そのような表面凝固は、治療組織に相当な強度をもたらす融着を生じさせるものではない。
【0018】
分子レベルでは、本明細書に開示される真に「融着している」組織の現象は、一過性の液状又はゲル状タンパク性アマルガムを形成するための、標的の組織体積体中のコラーゲン及び他のタンパク質分子の熱的に誘導される変性の結果生じ得る。コラーゲン及び他のタンパク質における分子内及び分子間の水素架橋の熱水分解を発生させるために、選択されたエネルギー密度が標的の組織に与えられる。変性したアマルガムは、選択された時間間隔にわたり、選択された水和レベルに(乾燥することなく)維持されるが、その時間間隔は非常に短いものとなり得る。変性したタンパク質の解けた繊維が接近して絡み合い、もつれ合うようにするために、標的の組織体積体は、選択された非常に高度な機械的圧縮下に維持される。熱緩和されると、再架橋又は復元が生じ、それによって一様に溶着した塊が発生するので、混合したアマルガムは、結果として、タンパク質のもつれ合いをもたらす。
【0019】
外科用器具は、例えば、電気エネルギー及び/又は熱エネルギー等のエネルギーを、患者の組織に供給するように構成され得る。例えば、本明細書に開示される様々な実施形態は、ジョーの間の捕捉された組織を横切するように、またそれと同時に、RFエネルギーを制御して印加することで、捕捉された組織周縁部を融着するように適合された電気外科用ジョー構造を提供する。より詳細には、種々の実施形態において、
図1を参照すると、電気外科用器具100が示されている。外科用又は電気外科用器具100は、近位ハンドル105と、遠位作業端部つまりエンドエフェクタ110と、それらの間に配設される導入器又は細長いシャフト108とを備えることができる。エンドエフェクタ110は、直線状又は曲線状のジョーを有する1組の開閉可能なジョー、即ち、上方の第1のジョー120Aと、下方の第のジョー120Bとを備えている。第1のジョー120A及び第2のジョー120Bはそれぞれ、それらのそれぞれの中間部分に沿ってそれぞれ外方に配設される細長いスロット又は溝142A及び142B(
図3参照)を含み得る。第1のジョー120A及び第2のジョー120Bは、ケーブル152の中の電気リード線を介して、電源又はRF源145及び制御装置150に接続されてもよい。制御装置150を使用して電源145を作動させることができる。
【0020】
図2を参照すると、第2のハンドル本体106B内の構成要素のいくつかを図示するために、第1のハンドル本体106A(
図1参照)の半分が除去された状態で、ハンドル105の側面図が示されている。ハンドル105はレバーアーム128を備えてもよく、このレバーアームは経路129に沿って引き寄せられてもよい。レバーアーム128は、レバーアーム128の延長部127に動作可能に係合されたシャトル146によって、細長いシャフト108内に配設された可動切断部材140に連結され得る。シャトル146は、バネ141などの付勢装置に更に接続されてもよく、このバネ141は、第2のハンドル本体106Bにも接続されて、シャトル146、ひいては切断部材140を近位方向に付勢し、それによって、
図1に見られるような開位置にジョー120A及び120Bを動かすことができる。更に、
図1及び
図2を参照すると、係止部材131(
図2参照)は、係止スイッチ130(
図1参照)によって、図のようにシャトル146が遠位側に移動するのが実質的に防止される係止位置と、シャトル146が細長いシャフト108に向かって遠位方向に自由に移動するのを可能にし得る係止解除位置との間を移動することができる。ハンドル105は、任意のタイプのピストルグリップ、又は、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bを作動させるための作動レバー、トリガー、又はスライダーを支持するように構成された、当該技術分野において既知の他のタイプのハンドルであり得る。細長いシャフト108は、円筒形又は長方形の横断面を有しており、ハンドル105から延びる薄壁管状スリーブを備えることができる。細長いシャフト108は、それを貫いて延びる中ぐり穴を有しており、この中ぐり穴は、アクチュエータ機構、例えば、ジョーを作動させる切断部材140を支持するためのものであり、また、エンドエフェクタ110の電気外科用構成要素に電気エネルギーを供給する電気リード線を支持するためのものである。
【0021】
エンドエフェクタ110は、組織を捕捉、融着、及び横切するように適合されてもよい。第1のジョー120A及び第2のジョー120Bは閉じることができ、それによって、切断部材140によって画定された長手方向軸125を中心にして組織を捕捉又は係合する。第1のジョー120A及び第2のジョー120Bはまた、組織に圧縮力を加えることができる。細長いシャフト108は、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bと共に、矢印117で示すように、ハンドル105に対して、例えば回転式の三重接触によって完全に360°回転されることができる。第1のジョー120A及び第2のジョー120Bは、回転している間、解放可能及び/又は閉鎖可能な状態を維持することができる。
【0022】
図3及び
図4は、エンドエフェクタ110の斜視図を示す。
図3は、開いた形状のエンドエフェクタ110を示し、
図4は、閉じた形状のエンドエフェクタ110を示す。上で述べたように、エンドエフェクタ110は、上方の第1のジョー120Aと、下方の第2のジョー120Bとを備えることができる。更に、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bはそれぞれ、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bの内方部分に配設された、歯143などの組織把持要素を有している。第1のジョー120Aは、上方の第1の外向きの表面162Aと上方の第1のエネルギー送達表面175Aとを有する上方の第1のジョー本体161Aを備えていてもよい。第2のジョー120Bは、下方の第2の外向きの表面162Bと下方の第2のエネルギー送達表面175Bとを有する下方の第2のジョー本体161Bを備えていてもよい。第1のエネルギー送達表面175A及び第2のエネルギー送達表面175Bは共に、エンドエフェクタ110の遠位端の周りで「U」字形をなして延びている。
【0023】
ここで
図5を簡単に参照すると、切断部材140の一部が示されている。ハンドル105のレバーアーム128(
図2参照)は、ジョー閉鎖機構としても機能する切断部材140を作動させるように適合されてもよい。例えば、
図2に見られかつ上述さているように、レバーアーム128がシャトル146を介して経路129に沿って近位側に引き寄せられると、切断部材140は遠位側に動くことができる。切断部材140は、1個又は数個の部品を含んでいてもよいが、いずれにしても、細長いシャフト108及び/又はジョー120A、120Bに対して移動可能又は平行移動可能であってもよい。更に、少なくとも1つの実施形態において、切断部材140は、17−4析出硬化ステンレス鋼で作製されてもよい。切断部材140の遠位端は、ジョー120A及び120Bの中の溝142A及び142B内を摺動するように構成されたフランジが付いた「I」形梁を含んでもよい。切断部材140は、溝142A、142Bの中で摺動して、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bを開閉することができる。切断部材140の遠位端は、上方のフランジ、つまり「c」形状部140Aと、下方のフランジ、つまり「c」形状部140Bとを備えている。フランジ140A及び140Bはそれぞれ、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bの外向き表面と係合する内部カム表面144A及び144Bを画定している。ジョー120A及び120Bの開閉は、「I形梁」切断部材140及びジョー120A、120Bの外向き表面162A、162Bを往復運動させることを含み得るカム機構を用いて、非常に大きな圧縮力を組織に印加することができる。
【0024】
より詳細には、ここで
図3〜
図5を参照すると、総じて、切断部材140の遠位端の内部カム表面144A及び144Bは、それぞれ、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bの第1の外向きの表面162A及び第2の外向きの表面162Bと摺動可能に係合するように適合され得る。第1のジョー120A内の溝142A及び第2のジョー120B内の溝142Bは、組織切断要素(例えば、鋭い遠位縁部)を含み得る切断部材140の移動に適応するように寸法設定及び構成され得る。
図4は、例えば、溝142A及び142B(
図3参照)を少なくとも部分的に通って進む切断部材140の遠位端を示されている。切断部材140の前進は、エンドエフェクタ110を、
図3に示される開いた状態から閉じることができる。
図4に示す閉位置において、上方の第1のジョー120A及び下方の第2のジョー120Bはそれぞれ、第1のジョー120A及び第2のジョー120Bの第1のエネルギー送達表面175Aと第2のエネルギー送達表面175Bとの間に、間隙つまり寸法Dを画定している。寸法Dは、約0.00127cm(0.0005インチ)〜約0.0127cm(0.005インチ)、好ましくは約0.00254cm(0.001インチ)〜約0.00508cm(0.002インチ)と等しい。また、第1のエネルギー送達表面175A及び第2のエネルギー送達表面175Bの縁部は、組織の切開を防止するために丸められてもよい。
【0025】
ここで
図1及び
図3を参照すると、エンドエフェクタ110は、電源145及び制御装置150に接続され得る。第1のエネルギー送達表面175A及び第2のエネルギー送達表面175Bはそれぞれ、同様に、電源145及び制御装置150に接続されてもよい。第1のエネルギー送達表面175A及び第2のエネルギー送達表面175Bは、組織に接触し、組織を封着又は融着するように適合された電気外科用エネルギーを係合した組織に送達するように構成されてもよい。制御装置150は、電源145によって送達された電気エネルギーを調節することができ、電源145は、第1のエネルギー送達表面175A及び第2のエネルギー送達表面175Bに電気外科用エネルギーを送達する。エネルギー送達は、レバーアーム128と動作可能に係合され、かつケーブル152を介して制御装置150と電気的に連通する作動ボタン124によって開始されることができる。先に述べたように、電源145によって送達される電気外科用エネルギーは、無線周波数(RF)エネルギーを含んでもよい。更に、対向する第1及び第2のエネルギー送達表面175A及び175Bは、電源145及び制御装置150に接続される可変抵抗の正の温度係数(PTC)を有する本体を支持してもよい。電気外科用エンドエフェクタ、ジョー閉鎖機構、及び電気外科用エネルギー送達表面に関する更なる詳細は、参照によりそれらの全てが本明細書に組み込まれて、本明細書の一部とされている、以下の米国特許及び特許出願公開に記載されている:米国特許第7,381,209号、同第7,311,709号、同第7,220,951号、同第7,189,233号、同第7,186,253号、同第7,125,409号、同第7,112,201号、同第7,087,054号、同第7,083,619号、同第7,070,597号、同第7,041,102号、同第7,011,657号、同第6,929,644号、同第6,926,716号、同第6,913,579号、同第6,905,497号、同第6,802,843号、同第6,770,072号、同第6,656,177号、同第6,533,784号、及び同第6,500,176号、並びに米国特許出願公開第2010/0036370号及び同第2009/0076506号。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、ジョー120A、120Bの一方又は両方は可撓性であってもよく、それによりジョーの一方は、組織を把持するときに屈曲するように構成される。少なくとも1つの実施形態において、ここで
図3及び
図4を参照すると、外科用器具100は、前述のように互いに連結され得る細長いシャフト108とエンドエフェクタ110とを備えてもよい。エンドエフェクタは、第1のジョー120Aと、第2のジョー120Bと、切断部材140とを更に備えてもよい。第1のジョー120Aは、以下に説明するように、可撓性であってもよい。更に、第1及び第2のジョー120A及び120Bは、ヒンジ部122で互いに旋回可能に連結されてもよい。第1の可撓性ジョー120Aはまた、溝142Aを画定してもよい。切断部材140は、少なくとも部分的に溝142Aに嵌入するように寸法設定及び構成されてもよい。部材140はまた、前述のように、溝142Aに沿って後退位置と完全前進位置との間を並進するように構成されてもよい。後退位置は
図3に見ることができ、図中、ジョー120A、120Bは開位置にあり、切断部材140の遠位端148は、上方の外向きの表面162Aに近接して位置付けられている。完全前進位置は図示されていないが、切断部材140の遠位端148が溝142Aの遠位端164まで進み、
図4に見られるようにジョーが閉位置にあるときに生じる。
【0027】
エンドエフェクタ110は、例えば、フランジ140A及び140Bの内部カム表面144A及び/又は144B(
図5参照)などの、切断部材140から延びる少なくとも1つの圧縮要素を更に備えてもよい。更に、前述の通り、圧縮要素、つまりカム表面144A及び/又は144Bは、切断部材140が第1の可撓性ジョー120Aに対して後退位置を越えて並進するときに、第1の可撓性ジョー120Aを第2のジョー120Bに対して開位置(
図3参照)から閉位置(
図4参照)へと回転させるように構成されてもよい。例えば、
図4は、前述のように、部分的前進位置にある切断部材140の遠位端148を示しており、この部分的前進位置は、
図3に見られる後退位置を越えているが、上述の完全前進位置の手前である。
図4から分かるように、切断部材140から延びる圧縮要素、つまりフランジ140Aの内部カム表面144Aは、上方の外向きの表面162Aと接触状態にあり(
図5参照)、例えば、それによって、
図4に見られるように第1の可撓性ジョー120Aを閉位置に保持している。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、第1の可撓性ジョー120Aは、組織などの対象を把持すると、次のように屈曲するように構成され得る。ここで
図6を参照すると、第1の可撓性ジョー120Aの側面図が、外科用器具の他の構成要素から分離されて示されている。
図4及び
図6を参照すると、ジョー120Aは長手方向軸121を画定することができ、長手方向軸121に対して垂直な方向及び切断部材140が後退位置と完全前進位置との間にあるときに切断部材140の遠位端の位置で溝142Aを横切する平面123において(この例は
図4に示されている)、約1.3mm以下の厚さT1を有してもよい。厚さT1は、ジョー120Aの底部表面163Aと上面162Aとの間で画定され得る。更に、厚さT1は、約0.5mm以上であってもよい。一実施形態において、厚さT1は、は約1.15mmであってもよい。いずれの場合にも、第1の可撓性ジョー120Aの幅は、
図6の頁の平面に対して垂直な方向に沿って測定した場合、約2mm以上から約15mm以下までであってもよく、ジョー120Aは、例えば、熱処理されたステンレス鋼で作製されてもよい。そのため、ジョー120Aの断面二次モーメントは、同じ幅を有するより厚いジョーよりも低減し得る。従って、かかる実施形態では、ジョー120Aは組織を把持するときに曲がる又は屈曲するように構成され、それにより、エンドエフェクタ110で組織を把持及び/又は切断するときに、剛性でありかつ組織を把持及び/又は切断している間真っすぐのままであるように構成されたジョーを備える外科用器具と比べて、レバーアーム128(
図1参照)の位置でユーザーが加える必要がある力の量を低減することができる。本明細書で使用するとき、ジョー120A及び120Bを閉じる及び/又はこれらを通って切断部材140を前進させるのに必要な力の量は、「ファイアリング力(発射力)」と呼ばれ、ジョー120A及び120Bを閉じる及び/又は切断部材140をジョー120A及び120Bに関して前進させる動作は、外科用器具100を「ファイヤリング(発射)」する動作と呼ばれる。理解されるように、切断部材140をファイヤリングする際に第1のジョー120Aの中に存在する屈曲の量は、圧縮要素、つまり内部カム表面144Aが、溝142A(
図4参照)及び上方の外向きの表面162Aと関連した状態にあるかによって様々であり得る。更に、第2のジョー120Bは、図のように剛性に構成されてもよい。こうした実施形態では、第2のジョーは、上述されたのと同様の位置において少なくとも2.0mmの厚さを有してもよく、第1のジョー120Aと同じか又は同様の幅を有してもよく、更に熱処理されたステンレス鋼で作製されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、第2のジョー120Bは、厚さが約0.5mm〜約1.3mmとなるように、より薄く作られてもよい。そのような実施形態では、第2のジョー120Bもまた可撓性であってもよく、したがって、第1及び第2のジョー120A、120Bの両方が、組織を把持するときに屈曲するように構成されてもよい。
【0029】
種々の実施形態において、ここで
図7及び
図8を参照すると、外科用器具200のエンドエフェクタ210は、切断部材240から延びる圧縮要素244A備えていてもよく、この圧縮要素244は、ローラー及び/又は低摩擦材料を有することによってファイアリング力を低減してもよい。
図7は、組織Tを把持及び切断する外科用器具200のエンドエフェクタ210の側面図の概略図を示し、
図8は、切断部材240の遠位部の斜視図を示す。外科用器具200は、後述される例外を除き、上述された外科用器具100と概ね同様であり得る。例えば、図示されていないが、外科用器具200は、
図7に見られる細長いシャフト208の近位部に連結されることができる、
図1に示されるハンドル105のようなハンドルを備えていてもよい。ここで
図7に注目すると、エンドエフェクタ210は同様に、細長いシャフト208の遠位部に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エンドエフェクタ210は、第1のジョー220Aと、第2のジョー220Bと、第1及び/又は第2のジョー220A及び220Bに対して並進するように構成された切断部材240とを備えていてもよい。更に、第1及び第2のジョー220A及び220Bは、互いに動作可能に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、ジョー220A及び220Bは、互いに旋回可能に連結されてもよい。例えば、浮動ヒンジ222などのヒンジは、細長いシャフト208に形成されたスロット207の中のジョーピン226において、第1のジョー220Aを旋回可能に連結することができ、第2のジョー220Bは、細長いシャフト208に固定して取り付けられてもよい。あるいは、ヒンジ222は、固定されたピボットヒンジ(図示せず)であってもよい。また、別の方法としては、第1のジョー220Aは細長いシャフト208に固定して取り付けられてもよい。そのような実施形態では、第1のジョー220A及び/又は第2のジョー220Bは、片持ち梁を備えていてもよい。更に、そのような実施形態では、第1のジョー220A及び/又は第2のジョー220Bは、互いに離れるように突出して、ジョー220A及び220Bの一方又は両方の互いに向かう曲げ動作を介して閉じるように構成されてもよい。いずれの場合にも、第1のジョー220A及び第2のジョー220Bがどのように動作可能に連結されるかとは無関係に、これらジョーは、後述されるように、切断部材240が第1のジョー220A及び/又は第2のジョー220Bに対して並進する際に、開位置と閉位置との間で互いに対して回転及び/又は向きを変えるように構成されてもよい。
【0030】
図7に例示されるように、エンドエフェクタ210は閉じた形状で示されており、エンドエフェクタの第1のジョー220Aは、組織Tを把持した状態で誇張された屈曲又は湾曲形状で示されており、切断部材240は部分的前進位置で示されている。第1のジョー220Aの点線の輪郭220A’は、エンドエフェクタ210の開いた形状を例示するために示されている。切断部材240が後退位置と完全前進位置との間に進められている間、上述のように、第1のジョー220Aは、
図7に示されるように開位置から閉位置へと閉じるように促されてもよい。それに応じて、エンドエフェクタ210は、切断部材240から延びる(
図8参照)圧縮要素244Aなどの少なくとも1つの圧縮要素を更に備えてもよい。
図8から分かるように、一組の圧縮要素244Aは、切断部材240の本体255から、及び切断部材240の鋭い遠位縁部253から横方向に延びるシャフト又は円筒形突出部251上に嵌められた、第1のローラー247及び第2のローラー249といった第1及び第2の圧縮要素を有してもよい。更に、フランジ240Bの内部カム表面244Bなどの別の圧縮要素は、切断部材240のローラー247、249とは反対側から延出してもよい。そのような実施形態では、内部カム表面244Bは、内部カム表面144Bに関して上述したのと同様に機能し得る(例えば、
図5参照)。
【0031】
種々の実施形態において、圧縮要素244Aは第1のジョー220Aと接触するように構成されてもよく、それにより、切断部材240が第1のジョー220Aに対して並進するときに第1のジョー220Aが第2のジョー220Bに対して回転する。少なくとも1つの実施形態において、第1のジョー220Aは、上方の第1の外向きの表面262Aを含んでもよく、切断部材240は、第1のジョー220A及び/又は第2のジョー220Bの中の溝(図示せず、しかしながら、例えば、
図3〜
図4に図示される溝142A及び上述を参照のこと)に沿って摺動するように寸法設定及び構成されてもよい。そのような実施形態では、ローラー247、249は第1のジョーの上面262Aと接触して、第1のジョー220Aを、点線の輪郭220A’で示されるような開位置から、
図7に示される閉位置まで動かすことができる。フランジ240Bの内部カム表面244Bは、切断部材240を、第2のジョー220Bの下方の外向きの表面262Bに対して摺動可能に固定することができ、それにより切断部材240は、第2のジョー220Bに対して近位方向PD又は遠位方向DDに並進することができるが、切断部材240が第1のジョー220Aに向かって遠位方向DDに対して直角な方向に移動するのを防止することができる。従って、局所的な高圧縮ゾーンである区分された「HC」を、ジョー220Aとジョー220Bとの間に保持された組織Tに押し付けることができる。圧縮要素244A及び/又は244Bにより、組織Tに対する直接的な高圧縮HCの領域を、圧縮要素244Aの遠位部と圧縮要素244Bの遠位部との間、及び切断部材240の鋭い遠位縁部253の周りに限定することによって、外科用器具200は、ジョー220A及び/又は220Bが受ける全体的な力を低減させることが可能となり得る。図のように、高圧縮ゾーンHCは、鋭い遠位縁部253よりわずかに遠位であってもよく、それによって、例えば、縁部253で組織を切断する直前に、組織を封着させることができる。更に、少なくとも一部は高い圧縮力を受ける領域が高圧縮ゾーンHCに限定されているという理由から、ジョー220A及び220Bが組織Tを把持する際に受ける全体的な圧縮力が低減され、それによって外科用器具200の全体的なファイアリング力も低減し得る。
【0032】
図8を参照すると、先に述べたように、圧縮要素は、ローラー247、249などのローラーを備えていてもよい。ローラー247、249は、ジョー220A、220Bを組織Tに近付けるように切断部材240が遠位方向DDに進むのを可能にし得る。しかしながら、切断部材240が前進するにつれて、圧縮要素244Aと第1のジョー220Aとの間の摩擦は、切断部材240が遠位方向DDに移動するのを妨げる可能性がある。ローラー247、249は、これにかまわず、第1のジョー220Aの上面262Aに沿って転がり、それによって、そこを通って切断部材を前進させるのに必要なファイアリング力を低減させることができる。
【0033】
圧縮要素はローラーを含み得るが、別の方法としては又は更には、圧縮要素は低摩擦材料を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、ローラー247、249(
図8参照)はまた、低摩擦材料を含んでもよい。例えば、ローラー247、249が低い摩擦係数で突出部251に沿って回転するように、ローラー247、249の一方又は両方の内部は、低摩擦材料でコーティングされてもよい。更に、ローラー247、249が表面262Aに沿って進められている間(
図7参照)、ローラー247、249と表面262Aとの間の摩擦力は、ローラー247及び249の一方又は両方が回転を妨げられる点まで増大する可能性がある。ローラー247、249の摩損及び/又はくっつきが発生する場合には、例えば、ローラー247、249が転がらない場合にそれらが表面262Aに沿って摺動することも可能なように、ローラー247、249の外面は低摩擦材料をコーティングされてもよい。
【0034】
あるいは、少なくとも1つの実施形態において、圧縮要素は、切断部材240から延出する突出部に取り付けられるパッドを有してもよく、その場合、パッドは、表面262Aに沿って転がるのではなく、むしろ表面262Aに沿って摺動するように構成される。更に、
図8を参照すると、内部カム表面244Bと第2のジョー220Bの下面262Bとの間の摩擦力が低減するように、フランジ240Bの内部カム表面244Bは、低摩擦材料でコーティングされてもよい。
【0035】
いずれの場合にも、切断部材を遠位方向DD又は近位方向PDに進めるのに必要なファイアリング力は、圧縮要素が低摩擦材料を含む上記実施形態の1つ又は2つ以上によって低減され得る。
【0036】
種々の実施形態において、低摩擦材料は、例えば、ナイロン、高密度ポリエチレン、及びポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」例えば、商標名TEFLON(登録商標)で市販)のうちの1つ又は2つ以上であるが、これらに限定されない熱可塑性樹脂を含んでもよい。第1及び第2のジョー220A、220Bは、熱処理されたステンレス鋼から作製されてもよい。したがって、種々の実施形態において、圧縮要素の低摩擦材料と第1のジョー220Aとの間の静的摩擦係数は、約0.10以下であってもよい。更に、別の実施形態において、低摩擦材料と第1のジョーとの間の静的摩擦係数は、約0.07以下であってもよい。更に、圧縮要素がPTFEを含む場合には、例えば、低摩擦材料と第1のジョーとの間の静的摩擦係数は、約0.05以下及び/又は約0.04と等しくてもよい。例えば、Kurt Gieck & Reiner Gieck,Engineering Formulas § Z.7(7th ed.1997)を参照のこと。
【0037】
図7を更に参照すると、少なくとも1つの実施形態において、切断部材240は、それに沿って切断部材240が移動することができる長手方向軸225を画定することができ、ジョー220A、220Bの一方又は両方は、ファイアリング力を低減するために事前に曲げられていてもよい。より詳細には、種々の実施形態において、第1のジョー220Aが開位置にあり(例えば、点線の輪郭220A’によって示される)、第1のジョー220Aに外部負荷が加えられていない場合、第1のジョー220Aが長手方向軸225から離れて湾曲するように、第1のジョー220Aは事前に曲げられていてもよい。換言すれば、第1のジョー220Aは、無負荷のときに凹状であってもよい。そのような実施形態では、第1のジョーは、第1のジョーが
図7に示されるように閉位置にあるときに、例えば、第1のジョー220Aと第2のジョー220Bとの間の最小距離D
1が約0.015cm(0.006インチ)以上であるように、及び/又は、例えば、第1のジョーと第2のジョーとの間の最大距離D
2が約0.127cm(0.050インチ)以下であるように事前に曲げられてもよい。ジョー間の最小距離D
1は、圧縮要素244Aが組織Tを最も圧縮している場合に(矢印HCで示されている)生じるように構成されてもよい。更に、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも一部は第1のジョー220Aが浮動ヒンジ222によって細長いシャフト208に取り付けられるという理由から、及び、少なくとも一部はジョー220Aが事前に曲げられているという理由から、切断部材240、続いて圧縮要素244Aが近位方向PD又は遠位方向DDに進められるときに、ジョーは長手方向軸225に対して「揺動」してもよい。この揺動運動は、切断部材の鋭い遠位縁部253の近位にある組織を、高圧縮ゾーンHCの位置又は近傍で切断された後に再び膨張させさせることによって、必要なファイアリング力を更に低減することができる。
【0038】
少なくとも1つの実施形態において、第1のジョー220Aは、第1のジョーと第2のジョーとの間に組織を把持するときに屈曲するように更に構成されてもよい。前述の通り、こうした屈曲は、必要なファイアリング力を低減することができ、第1のジョー220Aを薄くすること及び/又はジョーをプラスチックなどの可撓性材料から製造することによりもたらされることができる。
【0039】
図9及び
図10を参照すると、前述された種々の実施形態は、1つの事前に曲げられた及び/又は可撓性ジョーを有し得るエンドエフェクタを例示してきたが、種々の実施形態では、外科用器具300のエンドエフェクタ310の第1及び第2のジョー320A及び320Bの両方が、事前に曲げられていてもよい、更に/又は可撓性であってもよい。
図9は、エンドエフェクタ310の側面図を示す概略図であり、
図10は、
図9の切断部材の遠位部の斜視図である。外科用器具300は、後述される例外を除き、上述された外科用器具100及び/又は200と概ね同様であり得る。例えば、図示されていないが、外科用器具300は、
図9に見られる細長いシャフト308の近位部に連結可能な、
図1に示されるハンドル105のようなハンドルを備えていてもよい。ここで
図9に注目すると、エンドエフェクタ310は同様に、細長いシャフト308の遠位部に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エンドエフェクタ310は、第1のジョー320Aと、第2のジョー320Bと、第1及び/又は第2のジョー320A及び320Bに対して並進するように構成された切断部材340とを備えていてもよい。更に、第1及び第2のジョー320A及び320Bは、互いに動作可能に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、ジョー320A及び320Bは、互いに旋回可能に連結されてもよい。例えば、第1の浮動ヒンジ322Aなどのヒンジは、細長いシャフト308に形成された第1のスロット307Aの中の第1のジョーピン326Aにおいて、第1のジョー320Aを旋回可能に連結することができ、第2の浮動ヒンジ322Bなどの別のヒンジは、同様に細長いシャフト308に形成された第2のスロット307Bの中の第2のジョーピン326Bにおいて、第2のジョー320Bを旋回可能に連結することができる。あるいは、ヒンジ322A及び322Bは、固定されたピボットヒンジ(図示せず)であってもよい。また、別の方法としては、第1のジョー320B及び第2のジョー320Bは、細長いシャフト308に固定して取り付けられてもよい。そのような実施形態では、第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bは、片持ち梁を備えていてもよい。更に、そのような実施形態では、第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bは、互いに離れるように突出して、ジョー320A及び320Bの一方又は両方の互いに向かう曲げ動作を介して閉じるように構成されてもよい。いずれの場合にも、第1のジョー320A及び第2のジョー320Bがどのように動作可能に連結されるかとは無関係に、これらのジョーは、後述されるように、切断部材340が第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bに対して並進する際に、開位置と閉位置との間で互いに対して回転及び/又は向きを変えるように構成されてもよい。
【0040】
図9に例示されるように、エンドエフェクタ310は閉じた形状で示されており、エンドエフェクタの第1のジョー320Aは、組織Tを把持した状態で誇張された屈曲又は湾曲形状で示されており、切断部材340は部分的前進位置で示されている。第1及び第2のジョー320A及び320Bの点線の輪郭320A’及び320B’は、それぞれ、エンドエフェクタ310の開いた形状を例示するために示されている。切断部材340が後退位置と完全前進位置との間に進められている間、上述のように、第ジョー320A、320Bの一方又は両方は、開位置から閉位置へと閉じるように促されてもよい。それに応じて、エンドエフェクタ310は、切断部材340から延びる(
図10参照)第1の圧縮要素344A及び第2の圧縮要素344Bなどの少なくとも1つの圧縮要素を更に備えてもよい。第1の一組の圧縮要素344Aは、切断部材340の片側、例えば、
図10に示される場合の上部側に配置されてもよく、第2の一組の圧縮要素344Bは、切断部材340の反対側、例えば、
図10に示される場合の底部側に配置されてもよい。
図10から分かるように、第1の一組の圧縮要素344Aは、切断部材340の本体355から、及び切断部材340の鋭い遠位縁部353から横方向に延びるシャフト又は円筒形突出部351上に嵌められた、第1のローラー347及び第2のローラー349といった第1及び第2の圧縮要素を有してもよい。ローラー347及び349は、切断部材340の両側に位置付けられてもよい。即ち、
図10に示されるように、第1のローラー347は、切断部材340の右側であってもよく、第2のローラー347は、切断部材の左側であってもよい。
【0041】
同様に、
図10を更に参照すると、第2の一組の圧縮要素344Bは、切断部材本体355から及び切断部材の鋭い遠位縁部353から横方向に延びるシャフト又は円筒形突出部357上に嵌められた、第3のローラー354及び第4のローラー356のような第3及び第4の圧縮要素を有していてもよい。ローラー347及び349と同様に、ローラー354及び356は、切断部材340の両側に位置付けられてもよい。即ち、
図10に示されるように、第3のローラー354は、切断部材340の右側であってもよく、第2のローラー356は、切断部材の左側であってもよい。
【0042】
種々の実施形態において、圧縮要素344Aは第1のジョー320Aと接触するように構成されてもよく、それにより、切断部材340が第1のジョー320Aに対して並進するときに、第1のジョー320Aが第2のジョー320B及び/又は細長いシャフト308に対して回転する。同様に、圧縮要素344Bは、第2のジョー320Bが第1のジョー320A及び/又は細長いシャフト308に対して回転するように第2のジョー320Bと接触するように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、第1のジョー320Aは、上方の第1の外向きの表面362Aを含んでもよく、第2のジョー320Bは、下方の外向きの表面362Bを含んでもよい。切断部材340は、第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bの中の溝(図示せず、しかしながら、例えば、
図3に図示される溝142A及び142B並びに上述を参照のこと)に沿って摺動するように寸法設定及び構成されてもよい。そのような実施形態では、第1及び第2のローラー347及び349は第1のジョーの上面362Aと接触して、第1のジョー320Aを、点線の輪郭320A’で示されるような開位置から、
図9に示される閉位置まで動かすことができる。同様に、第3及び第4のローラー354及び356は第2のジョーの下面362Bと接触して、第2のジョー320Aを、点線の輪郭320A’で示されるような開位置から、
図9に示される閉位置まで動かすことができる。先に述べたように、切断部材340は、第1及び第2のジョー320A及び320Bに対して近位方向PD又は遠位方向DDに並進してもよい。それにより、局所的な高圧縮ゾーンである区分された「HC」を、ジョー320Aとジョー320Bとの間、及び圧縮要素344Aと圧縮要素344Bとの間に保持された組織Tに押し付けることができる。圧縮要素344A及び/又は344Bにより、組織Tに対する直接的な高圧縮HCの領域を、圧縮要素344Aの遠位部と圧縮要素344Bの遠位部との間、及び切断部材340の鋭い遠位縁部353の周りに限定することによって、外科用器具300は、ジョー320A及び/又は320Bが受ける全体的な力を低減させることが可能となり得る。図のように、高圧縮ゾーンHCは、鋭い遠位縁部353よりわずかに遠位であってもよく、それによって、例えば、縁部353で組織を切断する直前に、組織を封着させることができる。更に、少なくとも一部は高い圧縮力を受ける領域が高圧縮ゾーンHCに限定されているという理由から、ジョー320A及び320Bが組織Tを把持する際に受ける全体的な圧縮力が低減され、それによって外科用器具300の全体的なファイアリング力も低減し得る。
【0043】
図10を参照すると、先に述べたように、圧縮要素344A及び344Bは、それぞれ、ローラー247、249及び354、356のようなローラーを備えてもよい。ローラー347、349及び354、356は、ジョー320A、320Bを組織Tに近付けるように切断部材340が遠位方向DDに進むのを可能にし得る。しかしながら、切断部材340が前進するにつれて、圧縮要素344Aと圧縮要素344Bとの間の摩擦は、切断部材340が遠位方向DDに移動するのを妨げる可能性がある。第1及び第2のローラー347、349は、これにかまわず、第1のジョー320Aの上面362Aに沿って転がり、第3及び第4のローラー354、356は、第2のジョー320Bの下面362Bに沿って転がり、それによって、そこを通って切断部材を前進させるのに必要なファイアリング力を低減させることができる。
【0044】
圧縮要素はローラーを含み得るが、別の方法としては又は更には、圧縮要素は低摩擦材料を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、ローラー247、249及び354、356(10参照)はまた、低摩擦材料を含んでもよい。例えば、ローラー247、249、354、及び356が低い摩擦係数で突出部351及び/又は357に沿って共に回転するように、ローラー247、249、354、及び356の1つ又は2つ以上の内部は、低摩擦材料でコーティングされてもよい。更に、第1及び第2のローラー247、249が上面362Aに沿って進められている間、及び第3及び第4のローラー354、356が下面362Bに沿って進められている間(
図9参照)、ローラー247、249及び354、356と表面362A及び362Bとの間の摩擦力は、それぞれ、ローラー347、349、354、及び356の1つ又は2つ以上が回転を妨げられる点まで増大する可能性がある。ローラーの摩損及び/又はくっつきが発生する場合には、ローラーが転がらない場合にそれらが表面362A及び362Bに沿って摺動することもできるように、ローラー247、249、354、及び/又は356の外面は低摩擦材料でコーティングされてもよい。
【0045】
あるいは、少なくとも1つの実施形態において、圧縮要素は、切断部材340から延出する突出部に取り付けられるパッドを有してもよく、その場合、パッドは、表面362A及び/又は362Bに沿って転がるのではなく、むしろ362A及び/又は362Bに沿って摺動するように構成される。
【0046】
いずれの場合にも、切断部材340を遠位方向DD又は近位方向PDに進めるのに必要なファイアリング力は、圧縮要素の1つ又は2つ以上が低摩擦材料を含む上記実施形態の1つ又は2つ以上によって低減され得る。
【0047】
種々の実施形態において、低摩擦材料は、例えば、ナイロン、高密度ポリエチレン、及びポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」例えば、商標名TEFLON(登録商標)で市販)のうちの1つ又は2つ以上であるが、これらに限定されない熱可塑性樹脂を含んでもよい。第1及び第2のジョー320A、320Bは、熱処理されたステンレス鋼から作製されてもよい。したがって、種々の実施形態において、圧縮要素の低摩擦材料と第1のジョー320Aとの間の静的摩擦係数は、約0.10以下であってもよい。更に、別の実施形態において、低摩擦材料と第1のジョーとの間の静的摩擦係数は、約0.07以下であってもよい。更に、圧縮要素がPTFEを含む場合には、例えば、低摩擦材料と第1のジョーとの間の静的摩擦係数は、約0.05以下及び/又は約0.04と等しくてもよい。例えば、Kurt Gieck & Reiner Gieck,Engineering Formulas § Z.7(7th ed.1997)を参照のこと。
【0048】
図9に戻って参照すると、少なくとも1つの実施形態において、切断部材340は、それに沿って切断部材340が移動することができる長手方向軸325を画定することができ、ジョー320A、320Bの一方又は両方は、ファイアリング力を低減するために事前に曲げられていてもよい。より詳細には、種々の実施形態において、第1のジョー320Aが開位置にあり(例えば、点線の輪郭320A’によって示される)、第1のジョー320Bに外部負荷が加えられていない場合、第1のジョー320Aが長手方向軸325から離れて湾曲するように、第1のジョー320Aは事前に曲げられていてもよい。更に、第2のジョー320Bは、第2のジョー320Bが開位置にあり(例えば、点線の輪郭320B’によって示される)、第2のジョー320Bに外部負荷が加えられていない場合、第2のジョー320Bが長手方向軸325から離れて湾曲するように、第2のジョー320Bは事前に曲げられていてもよい。換言すれば、第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bは、無負荷のときに凹状であってもよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも一部はジョー320A及び320Bが浮動ヒンジ322によって細長いシャフト308に取り付けられるという理由から、及び、少なくとも一部はジョー320Aが事前に曲げられているという理由から、切断部材340、続いて圧縮要素344A及び344Bが近位方向PD又は遠位方向DDに進められるときに、ジョーはそれぞれ、長手方向軸325に対して独立して「揺動」してもよい。これら揺動運動は、切断部材の鋭い遠位縁部353の近位にある組織を、高圧縮ゾーンHCの位置又は近傍で切断された後に再び膨張させさせることによって、必要なファイアリング力を更に低減することができる。
【0050】
少なくとも1つの実施形態において、第1のジョー320A及び/又は第2のジョー320Bは、第1のジョー320Aと第2のジョー320Bとの間に組織を把持するときに屈曲するように更に構成されてもよい。前述の通り、こうした屈曲は、必要なファイアリング力を低減することができ、ジョー320A及び320Bのいずれか又は両方を薄くすること及び/又はジョーをプラスチックなどの可撓性材料から製造することによりもたらされることができる。
【0051】
このように、種々の実施形態において、切断部材を前進させるため、ジョーを閉じるため、及び/又は別様に外科用器具のエンドエフェクタを操作するために必要な全体的な力を低減させることができる。更に、種々の実施形態において、現在他の外科装置を使用して可能なものよりも広範な組織の種類及び厚さを収容することができる。更に、種々の実施形態において、外科用器具によって把持される標的組織は、器具の刃先の最も近くで高い圧縮力を受けることができ、刃先から離れると受ける圧縮力は低減する。
【0052】
本明細書に記載した装置の実施形態は、最小侵襲性又は開放外科的手法を用いて患者内部に導入することができる。場合によっては、最小侵襲性及び開放外科的手法の組み合わせを利用して、装置を患者内部に導入することが有利である可能性がある。最小侵襲性手法は診断及び治療手順に、より正確で効率的な処置領域へのアクセスをもたらすことができる。患者内の内部処置領域に到達するために、本明細書に記載した装置を例えば口、肛門、及び/又は膣等の身体の自然開口部を通して挿入することができる。患者の自然開口部を通して患者内へ様々な医療装置を導入することにより行われる最小侵襲性手技は、NOTES(商標)手技として公知である。装置のいくつかの部分は、経皮的に、又は小さいキーホール切開部を通して、組織処置領域へ導入することができる。
【0053】
内視鏡最小侵襲性外科及び診断医療手技は、小さいチューブを身体内に挿入することにより内部器官を評価及び処置するのに使用される。内視鏡は、剛性又は可撓性チューブを有し得る。可撓性内視鏡は、自然身体開口部(例えば、口、肛門及び/又は膣)のいずれかを通して、又は相対的に小さいキーホール切開の切開部(通常、0.5〜1.5cm)通してトロカールにより導入され得る。内視鏡を使用して、病変等の異常組織又は疾病組織を含む内部器官の表面状態及び他の表面状態を観察し、目視検査及び写真のために画像を取得することができる。内視鏡は、作業チャネルにより処置領域に医療用器具を導入して、生検を採取し、異物を回収し、及び/又は外科的手技を行うように適合及び構成させることができる。
【0054】
本明細書に開示された装置は、1回使用後に破棄されるように設計されてもよく、又は数回使用されるように設計されてもよい。ただし、いずれの場合にも、デバイスは、少なくとも1回使用後に再使用されるように再調整することができる。再調整には、装置を分解する工程、その後の特定の部品を洗浄又は交換する工程、及びその後の再組み立ての工程の組み合わせが含まれてもよい。詳細には、装置は、分解されてもよく、また装置の任意数の特定の部分又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置は、再調整施設において又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで後で使用するために再組み立てされてもよい。当業者は、装置の再調整が、分解、洗浄/交換及び再組み立てのための種々様々な技術を利用してもよいことを理解するであろう。そのような技術の使用及びその結果再調整された装置は全て、本出願の範囲内にある。
【0055】
好ましくは、本明細書に記載される装置の様々な実施形態は、外科処置の前に処理される。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEK(登録商標)バッグなどの、閉鎖かつ密閉された容器に器具を入れる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子などの容器を貫通することができる放射線野の中に配置する。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は、それが医療施設内で開封されるまで、器具を無菌に保つ。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、及び/又は蒸気を含む他の滅菌技術を、当業者に既知の任意の数の方法によって実施することができる。
【0056】
特定の開示された実施形態と結びつけて本明細書で装置の様々な実施形態について説明したが、それらの実施形態に対して多数の修正及び変更が実施可能である。例えば、異なるタイプのエンドエフェクタが採用され得る。また、特定のコンポーネントについて材料が開示されたが、他の材料が使用され得る。以上の説明及び以下の「特許請求の範囲」は、このような改変及び変形を全て有効範囲とするものである。
【0057】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) エンドエフェクタを備える外科用器具において、前記エンドエフェクタは、
長手方向軸及び溝を画定する第1の可撓性ジョーと、
第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは互いに動作可能に連結される、第2のジョーと、
遠位端を含む切断部材であって、前記切断部材は、少なくとも部分的に前記溝の中に嵌入するように寸法設定及び構成され、前記切断部材は、後退位置と完全前進位置との間を前記溝に沿って並進するように構成され、前記第1の可撓性ジョーが、前記長手方向軸に対して垂直な方向、及び前記切断部材が前記後退位置と前記完全前進位置との間にあるときに前記切断部材の前記遠位端において前記溝を横切する平面において、約1.3mm以下の厚さを有する、切断部材と、
前記切断部材から延びる少なくとも1つの圧縮要素であって、前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記切断部材が前記第1の可撓性ジョーに対して前記後退位置を越えて並進するときに、前記第1の可撓性ジョーを前記第2のジョーに対して開位置から閉位置に回転させるように構成される、圧縮要素と、を備える、外科用器具。
(2) 前記第1の可撓性ジョーの前記厚さが約0.5mm以上であり、前記第1の可撓性ジョーが、約2mm以上から約15mm以下までの幅を有する、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記第1の可撓性ジョー及び前記第2のジョーが互いに旋回可能に連結される、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 連結されるエンドエフェクタを備える外科用器具において、前記エンドエフェクタは、
第1のジョーと、
第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは互いに動作可能に連結される、第2のジョーと、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーに対して並進するように構成される切断部材と、
前記切断部材から延びる少なくとも1つの圧縮要素であって、前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記切断部材が前記第1のジョーに対して並進するときに前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して回転するように前記第1のジョーと接触するように構成され、前記少なくとも1つの圧縮要素が、ローラー及び低摩擦材料の一方又は両方を含み、前記低摩擦材料と前記第1のジョーとの間の静的摩擦係数が、約0.10以下である、圧縮要素と、を備える、外科用器具。
(5) 前記低摩擦材料と前記第1のジョーとの間の前記静的摩擦係数が、約0.07以下である、実施態様4に記載の外科用器具。
(6) 前記低摩擦材料と前記第1のジョーとの間の前記静的摩擦係数が、約0.05以下である、実施態様4に記載の外科用器具。
(7) 前記低摩擦材料が熱可塑性樹脂を含む、実施態様4に記載の外科用器具。
(8) 前記熱可塑性樹脂が、ナイロン、高密度ポリエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンの1つ又は2つ以上である、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに旋回可能に連結される、実施態様4に記載の外科用器具。
(10) エンドエフェクタを備える外科用器具において、前記エンドエフェクタは、
第1のジョーと、
第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは互いに動作可能に連結される、第2のジョーと、
前記第1のジョーに対して後退位置と完全前進位置との間を並進するように構成された、長手方向軸を画定する切断部材と、
前記切断部材から延びる少なくとも1つの圧縮要素であって、前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記切断部材が前記第1のジョーに対して並進するときに前記第1のジョーが前記第2のジョーに対して開位置と閉位置との間で回転するように前記第1のジョーと接触するように構成され、前記第1のジョーが前記開位置にあり、前記第1のジョーに外部負荷が加えられていない場合、前記第1のジョーが前記長手方向軸から離れて湾曲するように、前記第1のジョーが事前に曲げられる、圧縮要素と、を備える、外科用器具。
【0059】
(11) 前記第1のジョーが浮動ヒンジに取り付けられる、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記第1のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に組織を把持するときに屈曲するように構成される、実施態様10に記載の外科用器具。
(13) 前記第1のジョーが固定されたピボットヒンジに取り付けられる、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記第1のジョーが前記閉位置にあるときに、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最小距離が約0.015cm(0.006インチ)以上であり、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最大距離が約0.127cm(0.050インチ)以下であるように、前記第1のジョーが事前に曲げられる、実施態様10に記載の外科用器具。
(15) 前記切断部材が前記第2のジョーに対して前記後退位置と前記完全前進位置との間で並進するように構成され、前記切断部材が前記第2のジョーに対して並進するとき、前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記第2のジョーを前記第1のジョーに対して開位置と閉位置との間で回転させるように構成され、前記第2のジョーが前記開位置にあり、前記第2のジョーに外部負荷が加えられていない場合、前記第2のジョーが前記切断部材の長手方向軸から離れて湾曲するように、前記第2のジョーが事前に曲げられる、実施態様10に記載の外科用器具。
(16) 前記第2のジョーが浮動ヒンジに取り付けられる、実施態様15に記載の外科用器具。
(17) 前記第2のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に組織を把持するときに屈曲するように構成される、実施態様15に記載の外科用器具。
(18) 前記第2のジョーが固定されたピボットヒンジに取り付けられる、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 前記少なくとも1つの圧縮要素が、前記切断部材から延びるシャフトに嵌められる(journaled on)ローラーを含む、実施態様10に記載の外科用器具。
(20) 前記少なくとも1つの圧縮要素が、第1の圧縮要素と第2の圧縮要素とを含み、前記第1及び第2の圧縮要素が、前記切断部材の対向する側部に配置される、実施態様10に記載の外科用器具。
【0060】
(21) 前記第1及び第2の圧縮要素が、前記第1のジョーと接触するように構成される、実施態様20に記載の外科用器具。
(22) 前記少なくとも1つの圧縮要素が、第1の圧縮要素と、第2の圧縮要素と、第3の圧縮要素と、第4の圧縮要素とを含み、前記第1の圧縮要素及び前記第2の圧縮要素が前記第1のジョーと接触するように構成され、前記第3の圧縮要素及び前記第4の圧縮要素が前記第2のジョーと接触するように構成される、実施態様10に記載の外科用器具。
(23) 前記第1の可撓性ジョー及び前記第2のジョーが、共に旋回可能に連結される、実施態様10に記載の外科用器具。