(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
方向性凝固鋳型、外側ジャケット、および断熱層が、シリコンの方向性凝固のために3回以上使用されるように構成されている、請求項1または2のいずれか一項記載の機器。
方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁が、稼働面(hot face)耐火物を含み、該方向性凝固鋳型の底部が、伝導性耐火物を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の機器。
方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁が、酸化アルミニウムを含み、該方向性凝固鋳型の底部が、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の機器。
冷却液が中を通り抜けて方向性凝固鋳型から熱を取り除くことが可能であるようなサイズおよび形状である少なくとも1つの液体導管をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項記載の機器。
方向性凝固鋳型が、少なくとも1つの滑り面耐火性材料を含む上層を備え、該上層が、方向性凝固されたシリコンを方向性凝固鋳型から取り出すときの損傷から該方向性凝固鋳型の残りの部分を保護するように構成されている、請求項1〜8のいずれか一項記載の機器。
第一シリコンを溶融させる工程が、方向性凝固の前に、方向性凝固機器の内側において該第一シリコンを溶融させることを含む、請求項10または11のいずれか一項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
以下において、開示される主題のある特定の例について詳細に言及し、そのいくつかは、添付の図面に示されている。開示される主題ついては、主には、添付の図面と併せて説明するが、そのような説明は、開示される主題をそれらの図面に限定することを意図するものではないことは理解されたい。逆に、開示される主題は、特許請求の範囲によって定義されるような、開示される本主題の範囲内に含まれ得る代替物、改変物、および等価物のすべてを網羅することが意図される。
【0015】
「一態様」、「ある態様」、「例示的態様」などに対する明細書での言及は、説明される態様が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示しているが、必ずしも全ての態様が当該特定の特徴、構造、または特性を含み得るわけではない。さらに、そのような表現は、必ずしも同じ態様について言及しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある態様に関連して説明されている場合、明確に説明されているか否かにかかわらず、他の態様に関連して、そのような特徴、構造、または特性にも影響を及すことは、当業者の知識の範囲内であると言える。
【0016】
本明細書において、そうでないことが示されない限り、用語「1つの(「a」または「an」)」は、1つまたは複数を含むために使用され、用語「または(「or」)」は、非排他的「または」を意味するために使用される。さらに、本明細書において用いられる語句または専門用語は、そうでないことが定義されない限り、説明のみを目的とするもので、限定を目的とするものではないことは理解されたい。その上、本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許明細書は、あたかもそれらが個別に参照により本明細書に組み入れられるかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書と、参照によりそのように組み入れられた文献との間において使用法が矛盾する場合は、組み入れられた参考文献における使用法は、本明細書の使用法に対する補足的なものと見なされるべきであり、相いれない矛盾に対して、本明細書における使用法が優先される。
【0017】
本明細書において説明される製造方法において、工程は、時系列または操作上の順序が明確に挙げられている場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順番で実行することができる。第一工程が実施され、次いでいくつかの他の工程が続いて実施されることの効果に対する請求項での記述は、他の工程のいずれかの前に第一工程が実施されるが、他の工程は、当該他の工程内において順序がさらに記述されていない限り、任意の好適な順序で実施することができることを意味すると捉えるべきである。例えば、「工程A、工程B、工程C、工程D、および工程E」と記述される請求項の要素は、工程Aが最初に実施され、工程Eが最後に実施され、工程B、C、およびDは、工程Aと工程Eとの間において任意の順序で実施することができることを意味すると解釈すべきであり、順序は、依然として特許請求するプロセスの文字通りの範囲内に含まれる。所定の工程または工程のサブセットは、繰り返すこともできる。
【0018】
さらに、特定の工程は、明確な特許言語によってこれらが個別に実施されることが記述されていない限り、同時に実施することができる。例えば、特許請求されるところの、Xを実行する工程と、特許請求されるところの、Yを実行する工程とは、単一操作内において同時に実行してもよく、結果として生じるプロセスは、当該特許請求されるプロセスの文字通りの範囲内に含まれる。
【0019】
本発明は、方向性凝固を用いてシリコンを精製する機器および方法に関する。当該機器は、有利には、シリコンの方向性凝固のために2回以上使用することができる。本発明の機器および方法を使用して、太陽電池での使用のためのシリコン結晶を作製することができる。
【0020】
本発明の態様において温度勾配を制御することにより、高度に制御された方向性凝固を達成することができる。本発明において、方向性結晶化は、およそ底部から上部へと進行し、したがって、所望の温度勾配は、底部においてより低い温度を有し、上部においてより高い温度を有する。温度勾配に対する高度な制御とそれに対応する方向性結晶化とは、有利には、より効果的な方向施凝固を可能にし得、結果としてより高純度のシリコンを生じる。
【0021】
定義
本明細書において使用される場合、「導管」は、材料を貫通する管状の穴を意味し、この場合、当該材料は、必ずしも管形状である必要はない。例えば、一塊の材料を貫通する穴は、導管である。当該穴は、直径より大きい長さのものであり得る。導管は、管(パイプなど)を材料中に内包することによって形成され得る。
【0022】
本明細書において使用される場合、「方向性凝固」は、およそある位置から始まり、およそ直線的な方向に(例えば、垂直に、水平に、または表面に対して垂直に)進行し、およそ別の位置において終了するような、材料の結晶化を意味する。この定義において使用される場合、位置は、点、平面、または環形状もしくは鉢形状を含む曲面であり得る。
【0023】
本明細書において使用される場合、「ファン」は、空気を動かすことができる任意の装置または機器を意味する。
【0024】
本明細書において使用される場合、「加熱要素」は、電気がその材料中を流されるときに熱を発生するひとまとまりの材料を意味する。
【0025】
本明細書において使用される場合、「誘導加熱器」は、材料中での電流の誘導を介してその材料に熱を加える加熱器を意味する。概して、そのような電流は、加熱される材料の近傍にある金属のコイルに交流を流すことによって発生される。
【0026】
本明細書において使用される場合、「溶融」は、固体から液体への相転移を起こすことを意味する。
【0027】
本明細書において使用される場合、「油」は、周囲温度において液体であり、疎水性であり、かつ300℃を超える沸点を有する物質を意味する。油の例としては、植物油および石油系油が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
本明細書において使用される場合、「耐火性材料」は、高温において化学的および物理的に安定である材料を意味する。耐火性材料の例としては、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
本明細書において使用される場合、「稼働面(hot face)耐火物」は、耐火性材料を意味する。
【0030】
本明細書において使用される場合、「伝導性耐火物」は、熱を伝導することができる耐火性材料を意味する。
【0031】
本明細書において使用される場合、「側部」は、1つまたは複数の側部を意味し、そうでないことが示されない限り、対象物の1つまたは複数の上部または底部との対比における側部または対象物を意味する。
【0032】
本明細書において使用される場合、「シリコン」は、元素Siを意味し、ならびに任意の純度におけるSiを意味し得るが、概して、少なくとも50重量%の純度、好ましくは75重量%の純度、より好ましくは85重量%の純度、より好ましくは90重量%の純度、より好ましくは95重量%の純度、さらにより好ましくは99重量%の純度のシリコンを意味する。
【0033】
本明細書において使用される場合、「滑り面耐火物」は、摩擦を減少させ、固体シリコンと方向性凝固鋳型との間の粘着を減少させる耐火性材料を意味する。
【0034】
本明細書において使用される場合、「管」は、空洞のパイプ形状の材料を意味する。管は、概して、その外形におよそ一致する内部形状を有する。管の内部形状は、円形、方形、または非対称形状を含む任意の数の側部を有する形状など、任意の好適な形状であり得る。
【0035】
底部鋳型
図1は、本発明の態様を示している。機器100の断面側面図が示されている。機器100は、方向性凝固鋳型110を具備し、これは、少なくとも1種類の耐火性材料を含む。当該少なくとも1種類の耐火性材料は、鋳型内でのシリコンの方向性凝固が可能であるように構成される。機器100は、外側ジャケット130も具備する。さらに、機器100は、少なくとも部分的に方向性凝固鋳型110と外側ジャケット130との間に配置されている断熱層120を具備する。機器100は、シリコンの方向性凝固のために、2回以上使用することができる。
【0036】
本発明の態様の三次元形状全体は、円形を有する厚い壁の大きな鉢に類似し得る。あるいは、当該形状全体は、方形、または六角形、八角形、五角形、あるいは任意の好適な数の縁を有する任意の好適な形状である大きな鉢に類似し得る。他の態様において、当該機器の形状全体は、シリコンの方向性凝固にとって好適な任意の形状であり得る。一態様において、当該底部鋳型は、約1メトリックトン以上のシリコンを保持することができる。一態様において、当該底部鋳型は、約1.4メトリックトン以上のシリコンを保持することができる。別の態様において、当該底部鋳型は、約2.1メトリックトン以上のシリコンを保持することができる。別の態様において、当該底部鋳型は、約1.2、1.6、1.8、2.0、2.5、3、3.5、4、4.5、もしくは5メトリックトンまたはそれ以上のシリコンを保持することができる。
【0037】
本発明の好ましい態様において、当該機器は、中心垂直軸の周りにおいてほぼ対称である。当該機器に含まれる材料または当該機器の形状が中心軸の周りにおいてほぼ対称であることから逸脱している態様も、依然として好ましい態様として包含され、当業者には容易に理解されるであろうように、対称に対する好ましさは、おおよそである。いくつかの態様において、当該機器は、中心垂直軸の周りにおいて対称ではない。他の態様において、当該機器は、部分的に中心垂直軸の周りにおいてほぼ対称であり、部分的に中心垂直軸の周りにおいて非対称である。非対称の特徴を含む態様には、全体的にまたは部分的に中心軸の周りにおいてほぼ対称である態様の一部として説明される特徴を含めて、本明細書において説明される任意の好適な特徴が含まれ得る。
【0038】
図1に示されるように、方向性凝固鋳型110は、本明細書において抜き勾配と呼ばれる、当該方向性凝固鋳型の底部と当該方向性凝固鋳型の側部との間において90度より大きな内角を有する。当該抜き勾配により、鋳型において凝固したシリコンの塊を、当該シリコンまたは方向性凝固鋳型を破壊する必要なく、取り出すことが可能である。好ましい態様において、当該方向性凝固鋳型は、
図1に示されるように、説明されるような鋳型からシリコンを取り出すことを可能にするのに十分な抜き勾配を有する。しかしながら、代替の態様において、当該方向性凝固は、抜き勾配を持たないか、または逆の抜き勾配を有する。抜き勾配を持たない代替の態様において、当該機器は、好ましくは、固体シリコンの取り出しのために、鋳型を容易に2つの半体に分けることを可能にする、中央を通る切断部を有するであろう。次いで、当該2つの半体は、再び全体を形成するように再接合することができ、当該機器が再利用される。しかしながら、2つの半体へと割ることが可能な態様は、抜き勾配を持たないこれらの態様に限定されない。本明細書において説明されるすべての態様は、固体シリコンの容易な取り出しのために半体へと分離される能力を有していてもよく、または有していなくてもよい。
【0039】
図1に示される方向性凝固鋳型110は、耐火性材料を含む。当該耐火性材料は、任意の好適な耐火性材料であり得る。当該耐火性材料は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせであり得る。当該方向性凝固鋳型は、1種類の耐火性材料を含み得る。当該方向性凝固鋳型は、2種類以上の耐火性材料を含み得る。方向性凝固鋳型に含まれる耐火性材料は、混合してもよく、または方向性凝固鋳型の別々の部分に位置してもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。当該1種類または複数種類の耐火性材料は、層状に配置することができる。方向性凝固鋳型は、1種類または複数種類の耐火性材料による2つ以上の層を含み得る。当該方向性凝固鋳型は、1種類または複数種類の耐火性材料による1つの層を含み得る。当該耐火物の側部は、当該耐火物の底部とは異なる材料であり得る。方向性凝固鋳型の底部と比較した場合の当該方向性凝固鋳型の側部は、異なる厚さであってもよく、異なる材料組成を含んでもよく、異なる量の材料を含んでもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。一態様において、方向性凝固鋳型の側部は、稼働面耐火物を含み、方向性凝固鋳型の底部は、伝導性耐火物を含む。方向性凝固鋳型の側部は、酸化アルミニウムを含み得る。方向性凝固鋳型の底部は、熱伝導性材料、例えば、シリコンカーバイド、グラファイト、鉄鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、またはそれらの組み合わせなど、を含み得る。
【0040】
いくつかの態様において、方向性凝固鋳型の側部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の外部底部の高さから上方に拡がり得、ならびに方向性凝固鋳型の底部に含まれる材料は、方向性凝固鋳型の一側部の内側に対応する垂直位置から、底部を横断して、反対側の側部の内側に対応する垂直位置まで、垂直に拡がり得る。別の態様において、方向性凝固鋳型の側部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の内部底部の高さから上方に拡がり得、その一方で、方向性凝固鋳型の底部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の一側部の外側に対応する垂直位置から、方向性凝固鋳型の底部を横断して、方向性凝固鋳型の反対側の側部の外側に対応する垂直位置まで、垂直に拡がり得る。別の例において、方向性凝固鋳型の側部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の底部の高さより上の高さから上方に拡がり得、その一方で、方向性凝固鋳型の底部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の一つの外部側部に対応する垂直位置から、方向性凝固鋳型の底部を横切って、方向性凝固鋳型の他の外部側部に対応する垂直位置まで、垂直に拡がり、かつ、方向性凝固鋳型の底部の高さより上の側部においても上方に拡がり得る。別の例において、方向性凝固鋳型の側部に含まれる1種類または複数種類の材料は、方向性凝固鋳型の内部底部の高さから上方に拡がり得、その一方で、方向性凝固鋳型の底部に含まれる1種類または複数種類の材料は、外側ジャケットの側部の内面から、外側ジャケットの内側底部を横断して、外側ジャケットの反対側の側部の内面まで、垂直に拡がり得、または、方向性凝固鋳型の底部に含まれる1種類または複数種類の材料は、外側ジャケットの側部の内面と方向性凝固鋳型の外面に対応する垂直位置との中間から、方向性凝固鋳型の底部を横断して、外側ジャケットの反対側の内面と方向性凝固鋳型の反対側の側部の外面に対応する垂直位置との中間まで、垂直に拡がり得る。
【0041】
図1に示される機器100の断熱層120は、断熱材料を含み得る。当該断熱材料は、任意の好適な材料であってよい。例えば、当該断熱材料は、断熱れんが、耐火性材料、耐火性材料の混合物、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの組み合わせであり得る。断熱ボードは、高温セラミックボードを含み得る。断熱層は、2種類以上の断熱材料を含み得る。断熱層120に含まれる1種類または複数種類の断熱材料は、混和もしくは混合してもよく、または断熱層の別々の部分に位置してもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。1種類または複数種類の断熱材料を、層状に配置することができる。一例において、断熱層は、1種類または複数種類の断熱材料による2つ以上の層を含み得る。別の例において、断熱層は、1種類または複数種類の断熱材料による1つの層を含み得る。断熱層の側部は、当該断熱層の底部とは異なる材料であってもよい。例えば、断熱層の底部と比較した場合の断熱層の側部は、異なる厚さであってもよく、異なる材料組成であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。一態様において、断熱層は、方向性凝固鋳型の底部と外側ジャケットとの間に配置される。好ましい態様において、
図1に表されているように、断熱層は、少なくとも部分的に、方向性凝固鋳型の側部と外側ジャケットの側部との間に配置され、方向性凝固鋳型の底部と外側ジャケットの底部との間には配置されない。
【0042】
機器の外側ジャケットの側部と当該機器の方向性凝固鋳型の側部との間に配置された、機器100の断熱層120が
図1に示されている。図示されているように、断熱層の側部は、外側ジャケットの底部の内面に対応する高さから上方に延びている。本発明の態様は、断熱層が方向性凝固鋳型の内側の底部に対応する高さから上方に延びているような、断熱層120の構成も含み得る。別の例において、断熱層は、外側ジャケットの底部の内面と外側ジャケットの底部の内面の高さとの中間から上方に延びている。別の態様において、断熱層は、方向性凝固鋳型の内側の底部に対応する高さより上から上方に延びている。
【0043】
図1に示される機器100の外側ジャケット130は、断熱層および方向性凝固鋳型を包み込むための任意の好適な材料を含み得る。当該外側ジャケットは、1種類または複数種類の材料を含み得る。一態様において、外側ジャケットは鉄鋼を含む。別の態様において、外側ジャケットは、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む。外側ジャケットの異なる部分は、異なる材料、異なる厚さの材料、異なる組成の材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0044】
いくつかの態様において、外側ジャケットは、構造部材を含み得る。当該構造部材は、機器に強度および剛性を加えることができ、ならびに任意の好適な材料を含み得る。例えば、当該構造部材は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。一例において、外側ジャケットは、機器の中心から離れる方向に外側ジャケットの外側から延びかつ当該機器の周囲または周辺の周りにおいて水平に延びる1つまたは複数の構造部材を具備し得る。当該1つまたは複数の水平構造部材は、例えば、外側ジャケットの外側の上方端部に、外側ジャケットの外側の底端部に、外側ジャケットの外側の上端部と底端部との中間の任意の場所に位置され得る。一例において、当該機器は、3つの水平構造部材を、1つは外側ジャケットの上方端部に位置し、1つは外側ジャケットの底端部に位置し、ならびに1つは外側ジャケットの上方端部と下方端部との中間に位置する状態で具備する。外側ジャケットは、機器の中心から離れる方向に外側ジャケットの外側から延びかつ外側ジャケットの外側の底部から外側ジャケットの外側の上部へと垂直に延びる1つまたは複数の構造部材を、外側ジャケットの外側に具備し得る。一例において、外側ジャケットは、8つの垂直構造部材を具備し得る。当該垂直構造部材は、外側ジャケットの周囲または周辺の周りに均等な間隔で配置され得る。別の例において、外側ジャケットは、垂直構造部材および水平構造部材の両方を具備する。当該外側ジャケットは、外側ジャケットの底部を横断して延びる構造部材を具備し得る。当該底部における構造部材は、外側ジャケットの底部の1つの外側端部から外側ジャケットの別の端部へと延び得る。当該底部の構造部材は、外側ジャケットの底部を部分的に横断して延びることもできる。構造部材は、帯板、棒、管、または当該機器に構造的支持を追加するために好適な任意の構造体であり得る。構造部材は、溶接、蝋付け、または任意の他の好適な方法により、外側ジャケットに取り付けることができる。当該構造部材は、機器の輸送および物理的な扱いを容易にするように適合させることができる。例えば、外側ジャケットの外側の底部における構造部材は、十分なサイズ、強度、方向、間隔、またはそれらの組み合わせの管であり得、それにより、特定のフォークリフトまたは他の揚重機械が、当該機器を揚重または移動させることができ、あるいは別の方法で物理的に扱うことができる。別の態様において、外側ジャケットの外側に位置されるような上記において説明される構造部材は、代替的に、または追加的に、外側ジャケットの内側に位置することができる。
【0045】
断熱層120の上部を覆うように拡がり、かつ方向性凝固鋳型110の上部を部分的に覆っている外側ジャケット130が、
図1に示されている。しかしながら、本発明の態様は、断熱層120および方向性凝固鋳型110に対する外側ジャケット130の広範囲の様々な構造的構成も包含する。態様は、方向性凝固鋳型110の上部の内側リムまで完全に拡がっている外側ジャケット130、断熱層120の上部を横断して一部のみに拡がっている外側ジャケット130、または断熱層120のいかなる部分も横断して拡がってはいない外側ジャケット130を含み得る。外側ジャケット130が断熱層の外側の側部を上方に完全には拡がってはいない構成も含まれる。外側ジャケットが方向性凝固鋳型または断熱層の上部の任意の一部を覆って拡がっている態様において、当該上部を覆って拡がっている外側ジャケットの一部は、外側ジャケットの側部および底部よりも高い断熱特性を有する材料を含み得る。いくつかの態様において、材料のそのような選択は、機器における所望の温度勾配の形成を促進し得る。
【0046】
図1に示した機器100の上端部は、方向性凝固鋳型110および断熱層120がほとんど均等な高さであり、外側ジャケットの上部が、断熱層の上部を覆い、ならびに方向性凝固層の上部を部分的に覆って拡がった状態で表されている。上記において説明したように、外側ジャケットの上部、断熱層の上部、および方向性凝固鋳型の上部の他の構成は、すべての好適な配置を含め、本発明の態様として包含される。例えば、断熱層は、方向性凝固鋳型の上端部より上の高さまで垂直に延びていてもよい。あるいは、方向性凝固鋳型は、方向性凝固鋳型の上端部より上の高さまで垂直に延びていてもよい。断熱層は、方向性凝固鋳型の上端部を部分的にまたは完全に覆うように延びていてもよい。あるいは、方向性凝固鋳型は、断熱層の上端部を部分的にまたは完全に覆うように延びていてもよい。
【0047】
図1に示される機器100は、方向性凝固鋳型110、絶縁層120、および外側ジャケット130の特定の相対的厚さで表されている。しかしながら、本発明の態様は、鋳型110、断熱層120、および外側ジャケット130の任意の好適な相対的厚さを包含する。
【0048】
図1の機器100は、シリコンを方向性凝固させるために2回以上使用することができる。2回以上使用可能であることにおいて、当該機器は、使用と使用の間に全く修理することなく、または使用と使用の間の最小限の修理により、方向性凝固に再利用することができる。最小限の修理は、方向性凝固鋳型の内面の一部であるコーティングの補修塗りまたは全体的な再塗工、例えば、滑り面耐火物コーティングを含む上層の修復、を含み得る。本発明の態様は、シリコンの方向性凝固のために2回を超えて使用することができる機器も含む。さらに、3回、4回、5回、6回、12回、またはそれ以上の回数を超えて使用することができる機器も含まれる。
【0049】
本発明のいくつかの態様において、当該機器は、底部鋳型のみを含む。他の態様において、本発明は、底部鋳型および上部加熱器を含む。
【0050】
図2は、本発明のある態様を示している。機器200の断面側面図が示されている。機器200は、方向性凝固鋳型201を具備し、これは、少なくとも1種類の耐火性材料を含む。当該少なくとも1種類の耐火性材料は、鋳型内でのシリコンの方向性凝固が可能であるように構成される。機器200は、外側ジャケットも203も具備する。さらに、当該機器は、少なくとも部分的に、方向性凝固鋳型201と外側ジャケット203との間に配置された断熱層202を具備する。当該機器100は、シリコンの方向性凝固のために2回以上使用することができる。
【0051】
図2に示される方向性凝固鋳型201は、1種類または複数種類の耐火性材料を含む。当該方向性凝固鋳型の側部は、稼働面耐火物220を具備する。
図2において、当該方向性凝固鋳型の稼働面耐火物220は、外側ジャケットの底部の内側から上方へと延びており、上記において説明したように、方向性凝固鋳型の側部の様々な構成が、本発明の態様として包含される。稼働面耐火物220は、任意の好適な耐火性材料であり得る。例えば、稼働面耐火物220は、酸化アルミニウムであり得る。
【0052】
本発明の底部鋳型機器の構築において、耐火性材料は、湿式セメントの適用と同様の方法において適用することができる。トロールまたは、型枠を含む他の好適な道具を使用して、当該湿式耐火物を所望の形状へと操ることができ、その後、当該耐火性材料を乾燥させて設置することができる。
【0053】
図2に示された方向性凝固鋳型201の底部は、伝導性耐火物230を含む。
図2において、方向性凝固鋳型の伝導性耐火物230は、方向性凝固鋳型の側部の外側に対応する垂直位置と方向性凝固鋳型の側部の内側に対応する垂直位置との中間から、方向性凝固鋳型の底部を横断して、方向性凝固鋳型の反対側の側部の外側に対応する垂直位置と方向性凝固鋳型の反対側の側部の外側に対応する垂直位置との中間へと垂直に延びており、上記において説明したように、方向性凝固鋳型の側部の様々な構成は、本発明の態様として包含される。伝導性耐火物230は、任意の好適な材料であり得る。例えば、当該伝導性耐火物は、シリコンカーバイドを含有し得る。当該機器の底部に伝導性材料が位置することにより、方向性凝固鋳型内における溶融シリコンの底部の冷却が促進される。当該鋳型の底部の容易な冷却は、方向性凝固鋳型の底部および上部の間における温度勾配の形成および制御を助け、底部において始まり上部において終了する所望の方向性凝固が鋳型内において生じることを可能にする。
【0054】
代替の態様において、方向性凝固鋳型の底部は、シリコンカーバイド、グラファイト、銅、鉄鋼、ステンレス鋼、グラファイト、鋳鉄、またはそれらの組み合わせなど、要素230にとって好適な任意の熱伝導性材料を含み得る。
図2に示された態様と同様に、そのような態様は、上層210を具備し得る。あるいは、そのような態様は、上層210を具備しない。
【0055】
付属部材231をその外側端部に有する伝導性耐火物230が、
図2に示されている。伝導性耐火物230の付属部材231は、当該伝導性耐火物を、稼働面耐火物220に位置した受け入れスロット232へと固定する。稼働面耐火物を伝導性耐火物に固定することにより、当該耐火物が当該機器から緩むのを防ぐ。一態様において、付属部231および受け入れスロット232が具備される。別の態様では、それらは具備されない。他の態様において、伝導性耐火物を固定する代替の手段が具備される。
【0056】
図2に示された方向性凝固鋳型201は、上層210も具備する。当該上層は、少なくとも1種類の滑り面耐火性材料を含む。当該滑り面耐火性材料は、任意の好適な耐火性材料を含み得る。当該滑り面耐火性材料は、溶融二酸化シリコン、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む。当該上層210は、方向性凝固されたシリコンを鋳型から取り出すときの損傷から方向性凝固鋳型の残りの部分を保護するものである。例えば、
図2における方向性凝固鋳型201の残りの部分は、稼働面耐火物220および伝導性耐火物230である。上層210は、
図2に示されるように、全体的にほとんど一貫した厚さおよび組成であり得る。他の態様において、当該上層は、様々な厚さまたは組成を有していてもよい。あるいは、当該上層のいくつかの部分は、ほとんど一貫した厚さおよび組成であり得、当該上層の他の部分は、様々な厚さまたは組成を有していてもよい。固体シリコンが取り出されるときの損傷からの当該方向性凝固鋳型の残りの部分の保護において、ならびに当該固体シリコンの取り出しの促進において、当該上層は、当該シリコンが取り出されるときに、部分的または全体的に損傷を受け得る。当該上層は、機器の1回または複数回の使用の間に交換または修復することができる。当該上層は、任意の好適な方法において適用することができる。当該上層は、噴霧剤として適用することができ、またはハケ塗りすることができる。別の例において、当該上層は、トロールを使用して適用され、湿式セメントのように広げることができる。適用後、当該上層は、乾燥され、設置され得る。いくつかの態様において、コロイドシリカは、滑り面耐火物噴霧剤のためなど、上層のためのバインダーとして使用することができる。当該上層は、完全に乾燥させて使用のために調製するために、使用前に加熱してもよい。
【0057】
図2に示される機器200の断熱層202は、少なくとも部分的に、方向性凝固鋳型201の側部と外側ジャケット203との間に配置される。
図2に示されるように、特定の態様の断熱層は、外側ジャケットの底部の内側から上方に延びている。上記において説明したように、当該断熱層の様々な構成は、本発明の態様として包含される。
図2に示される断熱層202は、2つの層、すなわち内側層240および外側層250を含む。層240および250は、任意の好適な断熱材料を含み得る。一態様において、外側断熱層250は、セラミックペーパーおよび高温セラミックボードを含む。一態様において、外側断熱層250は、セラミックペーパー、高温ウール、高温セラミックボード、またはそれらの組み合わせを含む。一態様において、内側断熱層240は、断熱れんがまたは耐火性材料を含み、この場合、当該耐火性材料は、キャスタブル耐火性材料を含み得る。
【0058】
図2に示される機器200の外側ジャケット203は、任意の好適な材料を含む。例えば、外側ジャケット203は、鉄鋼またはステンレス鋼を含む。
図2において、外側ジャケットは、外側層250の上部を覆い、内側層240の上部を部分的に覆うように延びた状態で示されており、上記において説明したように、断熱層の様々な構成は、本発明の態様として包含される。
【0059】
図2に示される機器200は、アンカー260を含む。当該アンカーは、耐火物層を当該機器に固定して、それらが緩むのを防ぎ得る。例えば、
図2において、アンカー260は、稼働面耐火物220を内側層240に固定し、ならびに当該機器を固定するのに役立ち得る。他の態様において、当該アンカーは、外側ジャケットに固定され得、任意の数の層を通って延びることにより、それらを固定し得る。他の態様において、当該アンカーは、任意の好適な層において始まり、かつ終わり得る。当該アンカーは、任意の好適な材料を含み得る。例えば、当該アンカーは、鉄鋼、ステンレス鋼、または鋳鉄を含み得る。当該アンカーは、任意の好適な形状であってもよく、ならびに任意の好適な方向であってもよい。アンカー260により、付属部231およびスロット232により、それらの組み合わせにより、または固定するための代替の手段により、当該機器を固定することによって、当該機器は、より長い耐用期間を有することができ、かつ最小限の損傷を伴うより多様な処理に耐えることができる。さらに、アンカー260によって、付属部231およびスロット232によって、それらの組み合わせによって、または代替の固定手段によって、当該機器を固定することは、当該機器が反転された場合に当該層が機器から脱落するのを防ぐための役に立ち得る。
【0060】
上部加熱器
一態様において、本発明は、上部加熱器も含む。当該上部加熱器は、底部鋳型の上部に位置し得る。上部加熱器の底部の形状は、底部鋳型の上部の形状にほぼ適合する。当該上部加熱器は、底部鋳型の上部に対して熱を適用することができ、それにより、その中のシリコンを加熱する。底部鋳型への熱の適用は、当該底部鋳型中のシリコンの溶融を生じ得る。さらに、底部鋳型への熱の適用は、当該底部鋳型中のシリコンの温度制御を可能にし得る。さらに、当該上部加熱器は、加熱することなく底部鋳型の上部に位置してもよく、それにより、底部鋳型の上部からの熱の放出を制御するための断熱層としての役割も果たす。底部鋳型の上部の温度または熱の放出を制御することにより、所望の温度勾配をより容易に達成することができ、これは、より高度に制御された方向性凝固を可能にし得る。最終的に、温度勾配に対する制御は、より効率的な方向性凝固を可能にすることができ、結果として得られるシリコンの純度が最大化される。一態様において、タイプBの熱電対を使用して、炉チャンバー内の温度をモニターすることができる。
【0061】
図3は、上部加熱器300を示している。当該上部加熱器は、1つまたは複数の加熱部材310を具備し得る。当該1つまたは複数の加熱部材のそれぞれは、独立して、任意の好適な材料を含み得る。例えば、当該1つまたは複数の加熱部材のそれぞれは、独立して、加熱要素を含み得、この場合、当該加熱要素は、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含み得、ならびに当該1つまたは複数の加熱部材のそれぞれは、代替的に、独立して誘導加熱器を含み得る。一態様において、当該1つまたは複数の加熱部材は、およそ同じ高さに位置する。別の態様において、当該1つまたは複数の加熱部材は、様々な高さに位置する。
【0062】
一例において、当該加熱要素は、シリコンカーバイドを含み、これは、ある特定の利点を有する。例えば、シリコンカーバイド加熱要素は、酸素の存在下において高温でも腐食しない。腐食性材料を含む加熱要素の場合、真空チャンバーを使用することによって酸素腐食を減じることができるが、シリコンカーバイド加熱要素は、真空チャンバーを用いなくても腐食を避けることができる。さらに、シリコンカーバイド加熱要素は、水冷却リードを用いずに使用することができる。一態様において、当該加熱要素は、真空チャンバー中において、水冷却リードを用いて、またはその両方で使用される。別の態様において、当該加熱要素は、真空チャンバーを用いずに、水冷却リードを用いずに、またはその両方を用いずに使用される。
【0063】
一態様において、当該1つまたは複数の加熱部材は、誘導加熱器である。誘導加熱器は、1種類または複数種類の耐火性材料中に鋳造することができる。次いで、誘導化熱コイルを含有する耐火性材料が、底部鋳型を覆うように位置決めされ得る。当該耐火性材料は、任意の好適な材料であり得る。例えば、当該耐火性材料は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の態様において、当該誘導加熱器は、1種類または複数種類の耐火性材料中に鋳造されない。
【0064】
一態様において、当該1つまたは複数の加熱部材は、少なくとも1つの加熱部材が故障しても、任意の残りの機能的な加熱部材が電気を受け取って熱を発生し続けるような、電気システムを有する。一態様において、各加熱部材は、それ自体の回路を有する。
【0065】
上部加熱器は、断熱材を具備し得、例えば、
図3に示される上部加熱器300は、断熱材320を具備する。当該断熱材は、任意の好適な断熱材料を含み得る。当該断熱材は、1種類または複数種類の断熱材料を含み得る。例えば、当該断熱材は、断熱れんが、耐火物、耐火物の混合物、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの混合物を含み得る。断熱ボードは、高温セラミックボードを含み得る。
図3に示されているように、断熱材料の底端部と1つもしくは複数の加熱部材310とは、およそ同じ高さである。1つまたは複数の加熱部材および断熱材の他の構成は、本発明の態様として包含される。例えば、当該1つまたは複数の加熱部材は、誘導加熱器を含み得、断熱材は、耐火性材料を含み得、ならびに当該1つまたは複数の加熱部材は、当該耐火性材料中に内包され得る。そのような態様において、追加の断熱材料も任意で含まれていてもよく、この場合、当該追加の断熱材は耐火性材料であってもよく、または別の好適な断熱材料であってもよい。別の例において、当該1つまたは複数の加熱部材は、誘導加熱器を含み得、ならびに当該加熱部材は、当該加熱部材が
図3に示されているように位置決めされ得、あるいは他の構成において、耐火性材料中に同様には内包されない。別の例において、当該1つまたは複数の加熱部材は、断熱材の底端部の高さより上に位置決めされ得る。別の例において、当該断熱材の底端部は、当該1つまたは複数の加熱部材の高さより上に位置決めされ得る。1つまたは複数の加熱部材が異なる高さに位置決めされている態様において、断熱材の端部は、複数の加熱部材の高さの中間にあり得、または任意の他の構成において、上記において説明した通りであり得る。
【0066】
上部加熱器は、外側ジャケットを具備し得、例えば、
図3に示される上部加熱器300は、外側ジャケット330を具備する。当該外側ジャケットは、任意の好適な材料を含み得る。例えば、当該外側ジャケットは、鉄鋼またはステンレス鋼を含み得る。別の態様において、外側ジャケットは、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む。断熱材320は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の加熱部材と外側ジャケットとの間に配置される。
図3において、外側ジャケット330の底端部は、断熱材の底端部および1つまたは複数の加熱部材とおよそ同一平面に示されている。しかしながら、上記の1つまたは複数の加熱部材および断熱材と関連して説明されるように、外側ジャケット、断熱材、および1つまたは複数の加熱部材による様々な構成は、本発明の態様として包含される。例えば、外側ジャケットの端部は、断熱材の端部および1つまたは複数の加熱部材より下に延びていてもよい。別の例において、外側ジャケットの端部は、断熱材の端部より下に延びていてもよく、1つまたは複数の加熱部材より下に延びていてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。一例において、外側ジャケットは、断熱材の底端部より下に延びていてもよく、ならびに当該断熱材の底端部を完全に、または部分的に覆うように続いていてもよい。いくつかの態様において、断熱材の端部を覆う外側ジャケットの一部は、比較的低い伝導性の材料、例えば、好適な耐火物など、例えば、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせなど、を含み得る。別の例において、外側ジャケットは、断熱材の底端部または1つまたは複数の加熱部材の高さより下には延びていない。別の態様において、外側ジャケットは、1つまたは複数の加熱部材の高さより下に延びているが、依然として断熱材の底端部より上にある。1つまたは複数の加熱部材が異なる高さに位置決めされている態様において、外側ジャケットは、複数の加熱部材の高さの中間の高さまで延び得るか、または任意の他の構成において、上記において説明された通りであり得る。
【0067】
いくつかの態様において、上部加熱器外側ジャケットは、構造部材を具備し得る。当該構造部材は、上部加熱器に強度および剛性を加えることができる。当該構造部材は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。一例において、上部加熱器外側ジャケットは、上部加熱器の中心から離れる方向に上部加熱器外側ジャケットの外側から延びており、かつ上部加熱器の周囲または周辺の周りに水平に延びている1つまたは複数の構造部材を具備し得る。当該1つまたは複数の水平構造部材は、例えば、上部加熱器外側ジャケットの外側の下方端部に、上部加熱器外側ジャケットの外側の上端部に、上部加熱器外側ジャケットの外側の底端部と上端部との中間の任意の場所に位置され得る。一例において、上部加熱器は、3つの水平構造部材が、1つは上部加熱器外側ジャケットの底端部に位置し、1つは上部加熱器外側ジャケットの上方端部に位置し、ならびに1つは上部加熱器外側ジャケットの下方端部と上方端部との中間に位置する状態で具備する。上部加熱器外側ジャケットは、上部加熱器の中心から離れる方向に上部加熱器外側ジャケットの外側に向かって延び、かつ外側ジャケットの外側の底部から外側ジャケットの外側の上部へと垂直に延びている1つまたは複数の構造部材を、上部加熱器外側ジャケットの外側に具備し得る。一例において、上部加熱器外側ジャケットは、8つの垂直構造部材を具備し得る。当該垂直構造部材は、上部加熱器の周囲または周辺の周りに均等な間隔で位置され得る。別の例において、上部加熱器外側ジャケットは、垂直構造部材および水平構造部材の両方を具備する。当該上部加熱器外側ジャケットは、上部加熱器外側ジャケットの上部を横断して延びる構造部材を具備し得る。当該上部における構造部材は、上部加熱器外側ジャケットの上部の1つの外側端部から上部加熱器外側ジャケットの別の端部まで延び得る。当該上部における構造部材は、外側ジャケットの上部を部分的に横断して延びることもできる。当該構造部材は、帯板、棒、管、または当該上部加熱器に構造的支持を追加するために好適な任意の構造体であり得る。当該構造部材は、溶接、蝋付け、または他の好適な方法により、上部加熱器外側ジャケットに取り付けることができる。当該構造部材は、機器の輸送および物理的な扱いを容易にするように適合され得る。例えば、上部加熱器外側ジャケットの外側の上部における構造部材は、十分なサイズ、強度、方向、間隔、またはそれらの組み合わせの管であり得、それにより、特定のフォークリフトまたは他の揚重機械が、当該上部加熱器を揚重または移動させることができ、あるいは別の方法で物理的に扱うことができる。別の態様において、上部加熱器外側ジャケットの外側に位置する場合の上記において説明される構造部材は、代替的に、または追加的に、上部加熱器外側ジャケットの内側に位置することができる。別の態様において、上部加熱器は、当該上部加熱器の構造部材に取り付けられた鎖または当該上部加熱器の非構造部材に取り付けられた鎖などの、当該上部加熱器に取り付けられた鎖を用いて、クレーンまたは他の揚重装置を使用して移動させることができる。例えば、4つの鎖を上部加熱器外側ジャケットの上方端部に取り付けてクレーンのためのブライドルを形成することにより当該上部加熱器を揚重する、および別の方法により移動させることができるであろう。
【0068】
冷却
上記において説明したように、当該機器における温度勾配を制御することにより、高度に制御された方向性凝固を達成することができる。温度勾配に対する高度な制御および対応する方向性結晶化は、より効果的な方向性凝固を可能にすることができ、それにより、高純度のシリコンを提供する。本発明において、方向性結晶化は、およそ底部から上部へと進行し、したがって、所望の温度勾配は、底部においてより低い温度を有し、上部においてより高い温度を有する。上部加熱器を有する態様において、当該上部加熱器は、方向性凝固鋳型の上部からの熱の入りまたは損失を制御するための方法の1つである。いくつかの態様は、機器の底部からの熱損失を誘起するために、方向性凝固鋳型において伝導性耐火性材料を含み、その一方で、いくつかの態様は、方向性凝固鋳型の側部からの熱損失を防ぐため、および垂直熱勾配の形成を促進しかつ水平熱勾配の形成を抑制するために、方向性凝固鋳型の側部に断熱性材料を含む。本発明を使用するいくつかの方法において、ファンにより、機器の底部に、例えば、外側ジャケットの底部に風を当てることによって、当該機器の底部からの熱損失を制御することができる。本発明を使用するいくつかの方法において、ファンを使用せずに周囲空気の循環を用いて、機器の底部など、当該機器を冷却する。
【0069】
本発明のいくつかの態様において、1つまたは複数の熱伝達フィンを外側ジャケットの底部に取り付けることにより、機器の空冷を促進することができる。ファンは、外側ジャケットの底部に風を当てることにより、冷却フィンの冷却効率を高めることができる。任意の好適な数のフィンを使用することができる。当該1つまたは複数のフィンは、機器の底部から熱を吸収することができ、ならびに空冷により熱を除去することを可能にし、それは、フィンの表面積により促進される。例えば、当該フィンは、銅、鋳鉄、鉄鋼、またはステンレス鋼で作製され得る。
【0070】
本発明のいくつかの態様において、少なくとも1つの液体導管が含まれる。当該少なくとも1つの液体導管は、冷却液が当該導管を通過できるように構成され、それにより、方向性凝固鋳型から熱を取り除く。当該冷却液は、任意の好適な冷却液であり得る。当該冷却液は、一液であり得る。当該冷却液は、2種類以上の液体の混合物であり得る。当該冷却液は、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、油、油の混合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0071】
いくつかの態様において、少なくとも1つの液体導管は、管を含む。当該管は、任意の好適な材料を含み得る。例えば、当該管は、銅、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス鋼、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。当該少なくとも1つの液体導管は、材料を貫通する導管を含み得る。当該導管は、任意の好適な材料を貫通し得る。例えば、当該導管は、銅、シリコンカーバイド、グラファイト、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス鋼、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む材料を貫通し得る。当該少なくとも1つの液体導管は、管と材料を貫通する導管との組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、当該少なくとも1つの液体導管は、機器の底部に隣接して位置され得る。当該少なくとも1つの液体導管は、機器の底部内に位置され得る。当該少なくとも1つの液体導管の位置は、機器の底部に隣接する位置と機器の底部内の位置の組み合わせを含み得る。
【0072】
本発明のいくつかの態様に含まれる液体導管は、冷却液が方向性凝固鋳型から熱を取り除くことを可能にする様々な構成を包含する。ポンプを使用して、当該冷却液を移動させることができる。冷却システムを使用して、当該冷却液から熱を除去することができる。例えば、パイプなどの、1つまたは複数の管を使用することができる。当該もう一つの管は、円形、方形、または扁平を含む任意の好適な形状であり得る。管は、コイル状であり得る。管は、外側ジャケットの外側に隣接し得る。好ましい態様において、管は、外側ジャケットの外側の底部に隣接し得る。十分な表面積の接触が生じるように管を外側ジャケットに接触させることにより、機器から冷却液への効率的な熱の伝達を可能にし得る。管は、管の縁に沿ってなど、任意の好適な様式で外側ジャケットに接触し得る。管は、溶接、蝋付け、はんだ付け、または任意の好適な方法によって、外側ジャケットの外側に取り付けることができる。管は、熱伝達の効率を高めるために、外側ジャケットの外側に対して平らであり得る。いくつかの態様において、少なくとも1つの液体導管は、底部鋳型の底部を貫通する1つまたは複数の導管である。底部鋳型の底部を貫通する導管は、方向性凝固鋳型に含まれる耐火物中に内包された管であり得る。管は、外側ジャケットの一部から入り、方向性凝固鋳型の底部において、耐火性材料もしくは伝導性材料またはそれらの組み合わせを貫通し、外側ジャケットの別の部分から出で得る。方向性凝固鋳型の底部耐火物または底部伝導性材料に内包された管は、コイル状であってもよく、または、機器の底部を出る前に1回または複数回前後に移動するなど、任意の好適な形状に調整することができる。
【0073】
別の態様において、少なくとも1つの液体導管は、耐火性材料、熱伝導性材料、またはそれらの組み合わせに内包された管を含み、この場合、当該材料は、その上に機器を位置ことができるほど大きな材料の塊である。当該導管は、任意の好適な材料を貫通し得る。例えば、当該導管は、銅、シリコンカーバイド、グラファイト、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス鋼、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む材料を貫通し得る。冷却液が、底部鋳型の設置された耐火性材料から熱を除去し得、それにより、機器の底部から熱が除去される。
【0074】
概略
図4は、底部鋳型420の上部に位置された上部加熱器部分を含む、シリコンの方向性凝固のための機器400の特定の態様を示している。当該上部加熱器は、垂直構造部材403の穴402を介して上部加熱器410に接続された鎖401を具備する。当該鎖401は、ブライドルを形成し、これは、クレーンを使用することによって当該上部加熱器を移動させること可能にし得る。当該機器は、例えば、機器の底部半体をテーブルリフト上に置くことによっても移動させることができ、その一方で、上部加熱器は当該底部半分の上に残される。当該機器は、任意の好適な方式において移動させることができる。垂直構造部材403は、上部加熱器410の外側ジャケットの底端部から、上部加熱器410のステンレス鋼外側ジャケットの上端部へと垂直に延びている。当該垂直構造部材は、上部加熱器外側ジャケットの外側に位置しており、上部加熱器の中心から離れる方向と平行に、当該ジャケットから延びている。当該上部加熱器は、水平構造部材404も具備し、これは、上部加熱器外側ジャケットの外側に位置しており、当該上部加熱器の中心から離れる方向と平行な方向に、当該ジャケットから延びている。当該上部加熱器は、上部加熱器の外側ジャケットの一部である口縁部405も具備する。当該口縁部は、上部加熱器の外側ジャケットから離れるように突き出ている。当該口縁部は、上部加熱器の中心軸に向かって内向きに延びており、任意の好適な程度まで上部加熱器の断熱材を覆っている。あるいは、当該口縁部は、上部加熱器の外側ジャケットの底端部を覆うのに十分なだけ内向きに延び得る。スクリーンボックス406は、上部加熱器の外側ジャケットから突き出ている加熱部材の端部を囲んで、これらの部材の端部中および端部付近に存在し得る熱および電気から使用者を保護する。
【0075】
図4に表された特定の態様において、底部鋳型420からの断熱材411は、上部加熱器410と底部鋳型420との間にある。底部鋳型の1つまたは複数の断熱層の少なくとも一部は、当該底部鋳型の外側ジャケットの高さより上に延びている。底部鋳型は、垂直構造部材412を具備する。当該垂直構造部材412は、底部鋳型の外側ジャケットの外側表面上にあり、底部鋳型の中心から離れる方向と平行に、外側ジャケットから離れるように延びている。当該垂直構造部材412は、外側ジャケットの底端部から外側ジャケットの上端部へと垂直に延びている。底部鋳型は、水平構造部材413も具備する。当該水平構造部材413は、底部鋳型の外側ジャケットの外側表面上にあり、底部鋳型の中心から離れる方向と平行に、外側ジャケットから離れるように延びている。当該水平構造部材413は、底部鋳型の周囲を囲むように水平に延びている。底部鋳型は、底部構造部材414および415も具備する。当該底部構造部材414および415は、底部鋳型の中心から離れる方向と平行に、外側ジャケットから離れるように延びている。当該底部構造部材は、底部鋳型の底部を横断して延びている。底部構造部材415のうちのいくつかは、それらが、フォークリフトまたは他の機械によって揚重できるような、または別の方法において物理的に当該機器を操作することができるような形状である。
【0076】
図5は、シリコンの方向性凝固のための機器の態様の一部である上部加熱器500の底部の外観を示している。この特定の態様において、外側ジャケットは、上部加熱器の底端部において断熱層520の一部を覆うように延びている。加熱部材530は、等しい高さにあり、上部加熱器の外側ジャケット510および断熱材520の底端部は、当該加熱要素の高さより下にある。
【0077】
図6は、シリコンの方向性凝固のための機器600の態様の方向性凝固鋳型の内側の外観を示している。この特定の態様において、外側ジャケット610の端部は、断熱層620の端部を覆うようには延びていない。むしろ、断熱層620が、方向性凝固鋳型630の上端部を覆うように延びている。方向性凝固鋳型の上端部は、断熱材620および外側ジャケット610の上端部の高さより下にある。当該態様の三次元形状全体は、厚壁の大きな鉢に似ている。
【0078】
図7は、本発明の機器および方法の態様によって作り出されたシリコンインゴット700を示している。当該インゴットは、インゴットの底部701が上を向き、インゴットの上部702が下を向いた状態で示されている。インゴット700は、本発明の態様において方向性結晶化によって作り出された後、最後に固化した部分であるインゴットの上部702において最も多量の不純物を有している。したがって、いくつかの態様において、当該インゴットの上部702は、インゴット700の純度全体を高めるために、例えば帯鋸を使用して、除去される。
【0079】
使用方法
本発明は、上記において説明した機器を使用してシリコンを精製する方法を提供し、この場合、当該機器は、当該機器の任意の態様であり得る。シリコンを精製する当該方法は、1つまたは複数のソーラーウェハへと切断するための1つまたは複数のシリコンインゴットを作製する方法であり得る。当該方法は、第一シリコンを提供する工程または受け入れる工程を含む。当該第一シリコンは、任意の好適なグレードの純度のシリコンを含み得る。当該方法は、当該第一シリコンを少なくとも部分的に溶融させる工程を含み得る。当該方法は、当該第一シリコンを完全に溶融させる工程を含み得る。当該第一シリコンを少なくとも部分的に溶融させる工程は、当該第一シリコン完全に溶融させる工程、当該第一シリコンをほとんど完全に溶融させる工程(約99%、95%、90%、85%、または80重量%のいずれかを超える)、または当該第一シリコンを部分的に溶融させる工程(約80重量%以下が溶融している)を含み得る。当該第一シリコンを溶融させる工程は、第一溶融シリコンを提供する。当該方法は、方向性凝固機器を提供する工程または受け入れる工程を含む。当該方向性凝固機器は、上記において説明したものと実質的に同様である。当該方法は、第一溶融シリコンを提供するために第一シリコンを方向性凝固させる工程を含む。方向性凝固において、シリコンは、およそ方向性凝固鋳型の底部において凝固し始め、およそ当該方向性凝固鋳型の上部において凝固し終わる。方向性凝固は、第二シリコンを提供する。第二シリコンにおける最後に固化した部分は、第一シリコンよりも高い濃度の不純物を含む。当該最後に固化した部分以外の第二シリコンの一部は、第一シリコンより低い濃度の不純物を含む。
【0080】
第二シリコンは、シリコンインゴットであり得る。当該シリコンインゴットは、太陽電池の製造のためにソーラーウェハへと切断するのに好適であり得る。当該シリコンインゴットは、例えば、帯鋸、糸鋸、または任意の好適な切断装置を用いてソーラーウェハへと切断することができる。
【0081】
いくつかの態様において、当該方法は、真空において、不活性雰囲気において、または周囲空気において、実施される。真空または不活性雰囲気において当該方法を実施するために、当該機器は、大気圧より低くすることができるチャンバー内、または周囲空気より不活性ガスの濃度が高い大気によって満たすことができるチャンバー内に設置することができる。いくつかの態様において、当該機器内に、または当該機器を収容しているチャンバー内にアルゴンポンプ流送することにより、当該機器から酸素を排することができる。
【0082】
いくつかの態様において、当該方法は、上記において説明した上部加熱器を方向性凝固鋳型の上に位置決めする工程を含む。方向性凝固鋳型を含め、底部鋳型は、溶融シリコンを加える前に予熱してもよい。底部鋳型を予熱するには、上部加熱器を使用することができる。底部鋳型の予熱は、鋳型の壁においてシリコンが過度に急激に凝固するのを防ぐのに役立ち得る。上部加熱器を使用して、第一シリコンを溶融させることができる。当該シリコンが溶融した後、当該シリコンへ熱を伝達するために当該上部加熱器を使用することができる。シリコンが方向性凝固鋳型において溶融される場合、シリコンが溶融した後、上部加熱器は、熱を当該シリコンに伝達し得る。当該上部加熱器は、当該シリコンの上部の熱を制御するために使用することができる。上部加熱器は、底部鋳型の上部における熱損失の量を制御するために、断熱材として使用することができる。第一シリコンは、機器の外側、例えば炉など、において溶融させてもよく、次いで当該機器に加えてもよい。いくつかの態様において、当該機器の外側において溶融されたシリコンは、さらに、当該機器に加えられた後に、上部加熱器を使用して所望の温度まで加熱され得る。
【0083】
誘導加熱器を含む上部加熱器を具備する態様において、シリコンは、好ましくは、底部鋳型に加えられる前に溶融されるであろう。あるいは、上部加熱器は、誘導加熱器と同様に加熱要素を含むであろう。誘導加熱は、溶融シリコンにおいてより効果的であり得る。誘導は、溶融シリコンの混合を生じ得る。十分過ぎる混合は不純物の偏析を改善することができるが、最終シリコンインゴットにおいて望ましくない多孔性も作り出し得るので、いくつかの態様において、電力は、混合の量を最適化するために十分に調整することができる。
【0084】
方向性凝固は、方向性凝固機器の底部から熱を除去する工程を含み得る。熱の除去は、任意の好適な方式において生じさせることができる。例えば、熱の除去は、方向性凝固機器の底部へのファンによる送風を含み得る。熱の除去は、ファンを使用せずに周囲空気に機器の底部を冷却させる工程を含み得る。熱の除去は、機器の底部に隣接する管、機器の底部を貫通する管、機器が置かれている材料を貫通する管、またはそれらの組み合わせの管に、冷却液を流す工程を含み得る。機器の底部からの熱の除去は、機器において熱勾配が確立されることを可能にし、これは、当該機器においておよそ方向性凝固鋳型の底部から当該鋳型の上部へと溶融シリコンの方向性凝固を生じさせる。
【0085】
機器の底部からの熱の除去は、方向性凝固の所要時間全体に対して実施され得る。複数の冷却手段を用いることができる。例えば、機器の底部を、液体冷却し、かつファンによって冷却してもよい。方向性凝固の一部に対するファン冷却、および別の部分に対する液体冷却が、当該2つの冷却方法の間で任意の好適な量のそれらの重複または欠如を伴いながら、生じ得る。方向性凝固の一部に対する液体による冷却、および別の部分に対する周囲空気冷却単独が、当該2つの冷却方法の間で任意の好適な量のそれらの重複または欠如を伴いながら、生じ得る。冷却された材料ブロック上に当該機器を設置することによる冷却も、方向性凝固の任意の好適な所要時間の間生じ得、これは、任意の好適な量の重複を伴う他の冷却方法との任意の好適な組み合わせを含む。底部の冷却が実施され得る一方で、上部に熱が加えられ、例えば、上部の温度を上昇させるため、上部の温度を維持するため、または上部の特定の冷却速度を可能にするために、上部に熱が加えられる。任意の好適な量の一時的重複または欠如を伴う、当該機器の上部の加熱、底部の冷却、およびそれらの組み合わせによるすべての好適な構成および方法は、本発明の態様として包含される。
【0086】
方向性凝固は、上部加熱器を使用してシリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程と、およそ10〜16時間かけてシリコンの上部の温度をおよそ1450℃から1410℃までゆっくりと冷却する工程とを含み得る。方向性凝固は、上部加熱器を使用してシリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程と、およそ14時間にわたってシリコンの上部の温度をおよそ1425〜1460℃におよそ一定に維持する工程とを含み得る。方向性凝固は、上部加熱器の電源を切る工程と、およそ4〜12時間かけてシリコンを冷却させる工程と、次いで方向性凝固鋳型から当該上部加熱器を取り出す工程とを含み得る。
【0087】
一態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用してシリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程と、およそ14時間にわたってシリコンの上部の温度をおよそ1425〜1460℃におよそ一定に維持する工程とを含む。当該態様は、上部加熱器の電源を切る工程と、およそ4〜12時間かけてシリコンを冷却させる工程と、次いで方向性凝固鋳型から上部加熱器を取り出す工程とを含む。
【0088】
別の態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用してシリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程と、およそ10〜16時間かけてシリコンの上部の温度をおよそ1450℃から1410℃までゆっくりと冷却する工程とを含み得る。当該態様は、上部加熱器の電源を切る工程と、およそ4〜12時間かけてシリコンを冷却させる工程と、次いで方向性凝固鋳型から上部加熱器を取り出す工程とを含む。
【0089】
当該方法は、方向性凝固機器から第二シリコンを取り出す工程を含み得る。当該シリコンは、任意の好適な方法によって取り出すことができる。例えば、当該シリコンは、機器を反転させ、第二シリコンを方向性凝固鋳型から脱落させることによって取り出すことができる。別の例において、方向性凝固機器は、2つの半体を形成するように中間において分割され、これにより、第二シリコンを鋳型から容易に取り出すことが可能となる。
【0090】
当該方法は、方向性凝固された第二シリコンから任意の好適な部分を取り出す工程を含み得る。好ましくは、当該好適な部分の取り出しは、シリコンインゴットの全体的な純度の増加につながる。例えば、当該方法は、方向性凝固された第二シリコンから、最後に固化した部分の少なくとも一部を除去する工程を含む。方向性凝固はその間において底部から上部へと方向付けされるため、好ましくは、方向性凝固されたシリコンにおいて最後に固化した部分は、インゴットの上部である。最も高い不純物濃度は、概して、凝固したシリコンにおいて最後に固化した部分に生じる。したがって、最後に固化した部分を除去することにより、凝固したシリコンから不純物を除去することができ、結果として、第一シリコンよりも不純物濃度の低い、トリミングされた第二シリコンを生じる。シリコンのある部分の除去は、固体シリコンを帯鋸で切断する工程を含み得る。シリコンのある部分の除去は、ショットブラスト工程またはエッチング工程を含み得る。ショットブラスト工程またはエッチング工程も、概して、最後に固化した部分だけでなく、第二シリコンの任意の外側表面を浄化または除去するために使用することができる。
【0091】
態様
本発明は、以下の例示的態様を提供する。
【0092】
態様1
少なくとも1種類の耐火性材料を含む方向性凝固鋳型と、
外側ジャケットと、
少なくとも部分的に、当該方向性凝固鋳型と当該外側ジャケットとの間に配置された断熱層と
を備える、シリコンの方向性凝固のための機器。
【0093】
態様2
方向性凝固鋳型、外側ジャケット、および断熱層が、シリコンの方向性凝固のために3回以上使用されるように構成されている、態様1の機器。
【0094】
態様3
方向性凝固鋳型が、少なくとも約1.4メトリックトンのシリコンを受け入れる容量を伴う、態様1〜2のいずれか1つにおける機器。
【0095】
態様4
少なくとも1種類の耐火性材料が、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、態様1〜3のいずれか1つによる機器。
【0096】
態様5
方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁が、当該方向性凝固鋳型の底部に対して、異なる厚さ、材料組成、または材料量を具備する、態様1〜4のいずれか1つによる機器。
【0097】
態様6
方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁が稼働面耐火物を含み、当該方向性凝固鋳型の底部が伝導性耐火物を含む、態様1〜5のいずれか1つによる機器。
【0098】
態様7
方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁が、酸化アルミニウムを含み、当該方向性凝固鋳型の底部が、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、態様1〜6のいずれか1つによる機器。
【0099】
態様8
断熱層が、断熱れんが、耐火性材料、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの組み合わせを含む、態様1〜7のいずれか1つによる機器。
【0100】
態様9
断熱層の1つまたは複数の側壁が、断熱層の底部に対して、異なる厚さ、材料組成、または材料量を含む、態様1〜8のいずれか1つによる機器。
【0101】
態様10
断熱層が、少なくとも部分的に、方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁と外側ジャケットの1つまたは複数の側壁との間に配置され、かつ、当該断熱層が、方向性凝固鋳型の底部と外側ジャケットの底部との間には配置されない、態様1〜9のいずれか1つによる機器。
【0102】
態様11
外側ジャケットが、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む、態様1〜10のいずれか1つによる機器。
【0103】
態様12
鋳型からの方向性凝固されたシリコンの取り出しを可能にするのに十分な抜き勾配をさらに備える、態様1〜11のいずれか1つによる機器。
【0104】
態様13
外側ジャケットが1つまたの構造部材をさらに備え、当該構造部材が、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む、態様1〜12のいずれか1つによる機器。
【0105】
態様14
冷却液が中を通り抜けて方向性凝固鋳型から熱を取り除くことが可能であるようなサイズおよび形状である少なくとも1つの液体導管をさらに備える、態様1〜13のいずれか1つによる機器。
【0106】
態様15
水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、油、油の混合物、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される冷却液をさらに含む、態様14の機器。
【0107】
態様16
少なくとも1つの液体導管が、銅、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス鋼、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む、態様14〜15のいずれか1つによる機器。
【0108】
態様17
少なくとも1つの液体導管が、方向性凝固鋳型、外側ジャケット、または断熱層の底部部分に隣接しているか、またはその内部に位置している、態様14〜16のいずれか1つによる機器。
【0109】
態様18
方向性凝固鋳型が、少なくとも1つの滑り面耐火性材料を含む上層を備え、当該上層が、方向性凝固されたシリコンが方向性凝固鋳型から取り出されるときの損傷から方向性凝固鋳型の残りの部分を保護するように構成されている、態様1〜17のいずれか1つによる機器。
【0110】
態様19
上層が、全体を通して実質的に一定の厚さおよび組成を具備する、態様18の機器。
【0111】
態様20
少なくとも1種類の滑り面耐火物が、溶融二酸化シリコン、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、態様18〜19のいずれか1つによる機器。
【0112】
態様21
上層が、シリコンの第一方向性凝固とシリコンの第二方向性凝固との間において交換または修復されるように構成されている、態様18〜20のいずれか1つによる機器。
【0113】
態様22
加熱要素または誘導加熱器を含む1つまたは複数の加熱部材
を具備する上部加熱器をさらに備える、態様1〜21のいずれか1つによる機器。
【0114】
態様23
加熱要素が、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、態様22による機器。
【0115】
態様24
任意の1つの加熱要素が故障した場合に任意の残りの加熱要素が電気を受け取り熱を生成し続けるよう加熱部材に連結されている、電力を1つまたは複数の加熱部材に供給するように構成された電気システムをさらに備える、態様22〜23のいずれか1つによる機器。
【0116】
態様25
上部加熱器が断熱材をさらに備え、当該断熱材が、断熱れんが、耐火物、耐火物の混合物、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの組み合わせを含む、態様22〜24のいずれか1つによる機器。
【0117】
態様26
上部加熱器が外側ジャケットをさらに備え、断熱材が、少なくとも部分的に、1つまたは複数の加熱要素と当該上部加熱器外側ジャケットとの間に配置されている、態様22〜25のいずれか1つによる機器。
【0118】
態様27
上部加熱器外側ジャケットが1つまたは複数の構造部材をさらに備え、当該構造部材が、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む、態様26による機器。
【0119】
態様28
上部加熱器外側ジャケットが、ステンレス鋼を含む、態様26〜27のいずれか1つによる機器。
【0120】
態様29
方向性凝固されたシリコンを取り出すのに十分に、第一半体が垂直継ぎ目に沿って第二半体から分離可能であるように構成され、かつ、
機器を形成するために当該第一半体および当該第二半体を接合することができ、かつ当該機器が再使用可能である、
態様1〜28のいずれか1つによる機器。
【0121】
態様30
第一シリコンを提供する工程または受け入れる工程;
第一溶融シリコンを提供するために、当該第一シリコンを少なくとも部分的に溶融させる工程;および
第二シリコンを提供するために、態様1〜29のいずれか1つによる方向性凝固機器において当該第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程
を含む、シリコンを精製する方法。
【0122】
態様31
第一シリコンを提供する工程または受け入れる工程;
少なくとも1種類の耐火性材料を含む方向性凝固鋳型と、
外側ジャケットと、
少なくとも部分的に、当該方向性凝固鋳型と当該外側ジャケットとの間に配置された断熱層と
を備える方向性凝固機器を提供する工程または受け入れる工程;
第一溶融シリコンを提供するために、当該第一シリコンを少なくとも部分的に溶融させる工程;および
第二シリコンを提供するために、当該方向性凝固鋳型において当該第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程
を含む、シリコンを精製する方法。
【0123】
態様32
前記シリコンを精製する方法が1つまたは複数のソーラーウェハへと切断するための1つまたは複数のシリコンインゴットを作製する方法であり得る、態様31による方法。
【0124】
態様33
加熱要素および誘導加熱器から選択される1つまたは複数の加熱部材を方向性凝固鋳型の上に位置決めすることを含む、加熱器を方向性凝固鋳型の上に位置決めする工程をさらに含む、態様31〜32のいずれか1つによる方法。
【0125】
態様34
第一シリコンを溶融させる工程が、方向性凝固機器の外側において当該第一シリコンを溶融させることを含む、
第一溶融シリコンを方向性凝固機器に加える工程をさらに含む、態様31〜33のいずれか1つによる方法。
【0126】
態様35
第一シリコンを溶融させる工程が、方向性凝固の前に、方向性凝固機器の内側において当該第一シリコンを溶融させることを含む、態様31〜34のいずれか1つによる方法。
【0127】
態様36
第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程が、方向性凝固機器の底部から熱を除去する工程を含む、態様31〜35のいずれか1つによる方法。
【0128】
態様37
方向性凝固機器から第二シリコンを取り出す工程をさらに含む、態様31〜36のいずれか1つによる方法。
【0129】
態様38
加熱要素が、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、態様33〜37のいずれか1つによる方法。
【0130】
態様39
第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程が、
上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程;および
シリコンの上部部分の温度をおよそ10〜16時間かけておよそ1450℃から1410℃までゆっくりと冷却する工程
を含む、態様33〜38のいずれか1つによる方法。
【0131】
態様40
第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程が、
上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃まで加熱する工程;および
シリコンの上部の温度をおよそ14時間にわたっておよそ1425℃〜1460℃におよそ一定に維持する工程
を含む、態様33〜39のいずれか1つによる方法。
【0132】
態様41
第一溶融シリコンを方向性凝固させる工程が、
上部加熱器の電源を切る工程;
シリコンをおよそ4〜12時間かけて冷却させる工程;および
当該上部加熱器を方向性凝固鋳型から取り出す工程
を含む、態様33〜40のいずれか1つによる方法。
【0133】
態様42
方向性凝固機器の底部から熱を除去する工程が、1つまたは複数のファンにより当該機器の底部を冷却することを含む、態様36〜41のいずれか1つによる方法。
【0134】
態様43
方向性凝固機器の底部から熱を除去する工程が、冷却液により当該機器の底部を冷却することを含む、態様36〜42のいずれか1つによる方法。
【0135】
態様44
方向性凝固された第二シリコンから、最後に固化した部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、態様37〜43のいずれか1つによる方法。
【0136】
態様45
1つまたは複数の側壁が酸化アルミニウムを含み、
底部が、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、
耐火性材料を含む方向性凝固鋳型;
方向性凝固されたシリコンが方向性凝固鋳型から取り出される時の損傷から該鋳型の残りの部分を保護するように構成されている、滑り面耐火物を含む上層;
鉄鋼を含む外側ジャケット;
断熱れんが、耐火性材料、耐火性材料の混合物、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの混合物を含み、少なくとも部分的に、方向性凝固鋳型の1つまたは複数の側壁と外側ジャケットの1つまたは複数の側壁との間に配置されている、断熱層;
各加熱部材が、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む加熱要素、または誘導加熱器を含む、1つまたは複数の加熱部材と、
断熱れんが、耐火物、耐火物の混合物、断熱ボード、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの組み合わせを含む、少なくとも部分的に、1つまたは複数の加熱部材と上部加熱器外側ジャケットとの間に配置された断熱材と、
ステンレス鋼を含む外側ジャケットと
を備える上部加熱器
を備え、前記方向性凝固鋳型、外側ジャケット、および断熱層が、シリコンの方向性凝固のために3回以上使用されるように構成されている、シリコンの方向性凝固のための機器。
【実施例】
【0137】
実施例1
シリコンカーバイド耐熱要素を、高温ウール断熱材および鋼鉄シェルで断熱された上部加熱器において使用した。溶融シリコン(1.4トン)を、機器の予熱された耐火物内張底部部分に注いだ。当該機器は、冷却後にシリコンを脱落させることができる抜き勾配を具備する酸化アルミニウム耐火壁を有していた。当該耐火物の壁は、酸化アルミニウム耐火物の薄い滑り面と、次いでSi
3N
4粉末の第二層とでコーティングされていた。方向性凝固鋳型の底部は、シリコンカーバイド耐火物で作製されており、鉄鋼シェルの外側は、外側シェルの底部へのファン送風によって冷却した。加熱器を、14時間、1450℃に設定し、その後、当該要素の電源を切った。6時間後、上部加熱器部分を取り外し、シリコンを室温まで冷却させた。当該鋳型を反転させた。1.4トンのインゴットを半分に切断し、不純物を除去するために、当該インゴットの上部25%を切除した。粒は、幅が約1〜2cmで高さは3〜10cmであり、Bridgemanプロセスからの標準インゴットと同様に垂直方向にカラムを形成していた。
【0138】
実施例2
シリコンカーバイド耐熱要素を、高温ウール断熱材および鉄鋼シェルで断熱された上部加熱器において使用した。溶融シリコン(0.7トン)を、予熱された、当該機器の耐火物内張底部部分に注いだ。当該機器は、シリコンインゴットを取り出すための中間型割り線を有する酸化アルミニウム耐火壁を有していた。当該耐火物の壁は、SiO
2耐火物の薄い滑り面でコーティングされていた。方向性凝固鋳型の底部は、グラファイトで作製されており、鉄鋼シェルの外側は、外側シェルの底部へのファン送風により冷却した。当該加熱器を、12時間、1450℃に設定し、その後、当該要素の電源を切った。6時間後、上部加熱器部分を取り外し、シリコンを室温まで冷却させた。鋳型を、型割り線において開けた。0.7トンのインゴットを半分に切断し、不純物を除去するために、当該インゴットの上部15%を切除した。粒は、幅が約1cmで高さは3〜10cmであり、Bridgemanプロセスからの標準インゴットと同様に垂直方向にカラムを形成していた。
【0139】
全ての刊行物、特許、および特許出願は、参考により本明細書に組み入れられる。上記明細書において、この開示された主題は、ある特定の好ましい態様との関連において説明し、多くの詳細を説明目的で述べたが、開示された主題は、さらなる態様を受け入れる余地があり、ならびに本明細書において説明した詳細のうちのあるものは、開示された主題の基本原理から逸脱することなく少なからず変わり得ることは、当業者には明らかであろう。