(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の太陽電池パネル用シール材の一実施形態の拡大断面図を示す。
【0026】
以下、
図1を参照して、本発明の太陽電池パネル用シール材(以下、単に「シール材」という場合がある。)の一実施形態を説明する。
【0027】
図1において、このシール材1は、シート状またはフィルム状に形成されており、弾性層2と、弾性層2に積層される第2止水性粘着剤層5と、第2止水性粘着剤層5に積層される繊維状シート6と、繊維状シート6に積層される絶縁性樹脂フィルム3と、絶縁性樹脂フィルム3に積層される第1止水性粘着剤層4とを備えている。
【0028】
弾性層2は、緩衝(クッション)作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、各種ゴムの成形体などから形成される。
【0029】
また、弾性層2を形成する材料としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、例えば、1−ブテンなどのα−オレフィン・ジシクロペンタジエン、例えば、エチリデンノルボルネンなどの非共役二重結合を有する環状または非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマー、シリコーンゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリアミド系ゴム、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴム、アクリルゴムなどの各種ゴムが挙げられる。好ましくは、耐候性の観点から、EPDMが挙げられる。
【0030】
EPDMを構成するジエンとしては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの環状ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエン、例えば、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンなどのトリエンなどが挙げられる。
【0031】
これらジエンのうち、耐熱性、耐侯性に優れたEPDM発泡体が得られるという観点から、好ましくは、ジエン含有量を少なくでき、加硫速度の速いジエンが挙げられ、より具体的には、5−エチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。
【0032】
また、EPDMのムーニー粘度は、例えば、10〜60(ML1+4、100℃)、好ましくは、20〜50(ML1+4、100℃)である。ムーニー粘度が上記範囲内にあると、加工性が良好で柔軟なEPDM発泡体が得られるという利点がある。
【0033】
また、EPDMのジエン含有量は、ヨウ素価で、例えば、0.5〜50(g/100g)、好ましくは、10〜30(g/100g)である。ジエン含有量が上記範囲内にあると、良好な耐熱性や耐侯性を獲得できる。また、エチレン含有量は、例えば、50〜75重量%、好ましくは、50〜55重量%である。エチレン含有量が上記範囲内にあると、低温における圧縮永久歪が小さくなるという利点がある。
【0034】
EPDMは、単独使用または物性の異なる2種以上を併用することができる。
【0035】
シール材1において、弾性層2は、好ましくは、発泡体、さらに好ましくは、EPDM発泡体から形成されている。
【0036】
発泡体は、上記した各種ゴム、発泡剤、架橋剤および添加剤を含有する発泡組成物を、加熱して発泡および架橋することにより、得ることができる。
【0037】
発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤などの加熱分解型発泡剤が挙げられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
【0038】
また、有機系発泡剤としては、例えば、N−ニトロソ系化合物(N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなど)、アゾ系化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレートなど)、フッ化アルカン(例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなど)、ヒドラジン系化合物(例えば、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)など)、セミカルバジド系化合物(例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)など)、トリアゾール系化合物(例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなど)などが挙げられる。
【0039】
なお、発泡剤としては、例えば、ガス封入型マイクロカプセル発泡剤なども挙げられ、より具体的には、加熱膨張性の物質(例えば、イソブタン、ペンタンなど)がマイクロカプセル(例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセル)に封入された熱膨張性微粒子などが挙げられる。そのような熱膨張性微粒子としては、例えば、マイクロスフェア(商品名、松本油脂社製)などの市販品が用いられる。
【0040】
これら発泡剤は、単独使用または2種以上併用することができる。これら発泡剤のうち、好ましくは、ADCAが挙げられる。
【0041】
発泡剤の配合割合は、例えば、ゴム100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量、好ましくは、0.5〜50重量部である。
【0042】
架橋剤は、通常、加硫剤であって、このような加硫剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、有機過酸化物類、ポリアミン類、オキシム類(例えば、p−キノンジオキシムやp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなど)、ニトロソ化合物類(例えば、p−ジニトロソベンジン)、樹脂類(例えば、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物など)、アンモニウム塩類(例えば、安息香酸アンモニウムなど)などが挙げられる。
【0043】
これら架橋剤のうち、発泡体の加硫性や、発泡性による耐久性などの物性などの観点より、好ましくは、硫黄や硫黄化合物類が挙げられ、さらに好ましくは、硫黄が挙げられる。
【0044】
これら架橋剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0045】
架橋剤の配合割合は、その種類に基づく架橋(加硫)効率などに応じて適宜に決定することができ、架橋剤が硫黄や硫黄化合物類である場合には、ゴム100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
【0046】
添加剤としては、例えば、難燃剤、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、発泡助剤などが挙げられる。
【0047】
難燃剤は、弾性層2に難燃性が求められる場合に配合され、そのような難燃剤としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ホウ素(B)などの金属元素の金属水酸化物が挙げられる。これら金属水酸化物のうち、好ましくは、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0048】
また、難燃剤としては、例えば、2種以上の金属元素で構成された金属水酸化物である複合化金属水酸化物も挙げられる。このような複合化金属水酸化物としては、例えば、sMgO・(1−s)NiO・cH
2O(0<s<1、0<c≦19)、sMgO・(1−s)ZnO・cH
2O(0<s<1、0<c≦1)、sA1
2O
3・(1−s)Fe
2O
3・cH
2O(0<s<1、0<c≦3)などが挙げられる。
【0049】
これらの複合化金属水酸化物のうち、好ましくは、マグネシウムと、ニッケルまたは亜鉛とで構成された複合化金属水酸化物が挙げられ、より具体的には、sMgO・(1−s)Q
10・cH
20(Q
1は、NiまたはZnを示し、0<s<1、0<c≦1である。)で表される複合化金属水酸化物が挙げられ、さらに好ましくは、酸化マグネシウムおよび酸化ニッケルの水和物や、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛の水和物が挙げられる。
【0050】
複合化金属水酸化物は、多面体形状を有していてもよく、あるいは、薄平板形状を有していてもよい。多面体形状の複合化金属水酸化物を用いると、高発泡の発泡体を得ることができる。
【0051】
金属水酸化物や複合化金属水酸化物の平均粒子径(平均粒怪)は、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは、0.6〜6μm程度である。平均粒子径は、例えば、レーザー式粒度測定器により測定することができる。なお、平均粒径が10μmを超えると、高発泡の発泡体が得られ難くなる場合がある。
【0052】
またさらに、難燃剤として、臭素系化合物が挙げられ、このような臭素系化合物としては、例えば、エチレンビステトラブロモフタルイミドなどのイミド系臭素化合物、例えば、テトラブロモ無水フタル酸などのフタル酸系臭素化合物、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールSなどのビスフェノール系臭素化合物、例えば、ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイドなどのビフェニル系臭素化合物、例えば、エチレンビスペンタブロモジプェニル、1,2−ビステトラブロモフェニルエタンなどの脂肪族系臭素化合物、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂環族系臭素化合物、例えば、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモベンゼン、ペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモベンゼントリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、ブロモ化ポリフェニレンエーテルなどの芳香族系臭素化合物、例えば、トリブロモフェノールなどのフェノール系臭素化合物、例えば、ブロモ化ポリスチレンなどのスチレン系臭素化合物、例えば、ブロモ化ポリアクリレートなどのアクリル系臭素化合物、例えば、ブロモ化ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはその変性物などのエポキシ系臭素化合物、例えば、カルボン酸系臭素化合物などが挙げられる。
【0053】
これら臭素系化合物のうち、安全性の面から、デカブロモジフェニルオキサイド以外の臭素系化合物が好ましい。
【0054】
難燃剤の配合割合は、難燃剤が金属水酸化物や複合化金属水酸化物である場合には、
ゴム100重量部に対して、例えば、30〜200重量部、好ましくは、40〜180重量部、さらに好ましくは、50〜150重量部である。
【0055】
また、難燃剤の配合割合は、難燃剤が臭素系化合物である場合には、発泡組成物に対して、4〜25重量%、好ましくは、10〜15重量%である。臭素系化合物の配合割合が上記範囲に満たないと、難燃化効果が小さくなる場合があり、また、複合化金属水酸化物(多面体形状の複合化金属水酸化物)と併用される場合には、複合化金属水酸化物の配合割合を低減させることができない場合がある。一方、臭素系化合物の配合割合が上記範囲を超えると、高発泡の発泡体が得られ難くなる場合がある。
【0056】
加硫促進剤は、加硫性の調節あるいは加硫の促進のために添加され、例えば、グアニジン類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類など挙げられる。
【0057】
加硫促進剤の配合割合は、ゴム100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部である。
【0058】
軟化剤は、成形性または加工性の改善のために添加され、例えば、パラフィン類、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、アマニ油などの乾性油類、動植物油類、石油系オイル類(例えば、プロセスオイルなど)、各種の低分量ポリマー類(例えば、低分子量ポリエチレングリコールなど)、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸またはそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル頻、粘着付与剤などが挙げられる。
【0059】
軟化剤の配合割合は、弾性層2の物性などに応じて適宜に決定され、例えば、ゴム物性、低毒性、低密度性、混和性の観点などから、ゴム100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは、15〜80重量部、さらに好ましくは、20〜60重量部である。
【0060】
充填剤は、発泡体の強度の調節のために添加され、例えば、カーボンブラックなどが挙げられ、適宜の割合で配合される。
【0061】
発泡助剤としては、例えば、尿素系などが挙げられ、適宜の割合で配合される。
【0062】
これら添加剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0063】
そして、発泡組成物を調製するには、上記した各成分を上記の配合割合で配合して、これらを均一に混合する。また、上記した各成分を混合するには、上記した成分を、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などによって混練する。なお、上記成分を、発泡剤が発泡し、かつ、発泡剤(加硫剤)が架橋(加硫)する温度未満(例えば、160℃未満、好ましくは、40〜100℃)で混合する。また、得られる発泡組成物を、例えば、ミキシングロール、カレンダーロール、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、シート状に成形する。
【0064】
そして、発泡体は、上記した発泡組成物を、例えば、450℃以下、好ましくは、100〜350℃で加熱することにより、得ることができる。
【0065】
このようにして得られる発泡体は、その密度(発泡体の重量(g)/発泡体の体積(g/cm
3))が、例えば、0.01〜0.5g/cm
3であり、また、発泡時の発泡倍率(体積発泡倍率)が、例えば、1.1〜25倍以上、好ましくは、1.5〜20倍である。
【0066】
弾性層2の厚みは、例えば、0.5〜30mm、好ましくは、1〜10mmである。
【0067】
第1止水性粘着剤層4は、水密作用を有するものであれば特に限定されない。第1止水性粘着剤層4を形成する粘着剤(第1粘着剤)としては、例えば、ゴム系粘着剤、樹脂系粘着剤などが挙げられる。好ましくは、ゴム系粘着剤が挙げられる。
【0068】
ゴム系粘着剤は、ゴムに添加剤が均一に配合されて分散されたものである。ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ゴムアスファルトなどが挙げられ、耐久性、耐光性の観点から、好ましくは、ブチルゴムが挙げられる。さらに好ましくは、加工性に富む再生ブチルゴムが挙げられる。
【0069】
また、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレンなどの合成ゴムを併用することもできる。
【0070】
添加剤としては、例えば、炭酸カルシウムなどの充填剤、例えば、石油系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、またはこれらの水添物などの粘着付与剤、例えば、プロセスオイル、ポリブテンなどの軟化剤などが挙げられる。
【0071】
これら添加剤は、単独使用または2種以上併用することができる。添加剤の配合割合は、ゴム100重量部に対して、充填剤が、例えば、200重量部以下、粘着付与剤が、例えば、20〜200重量部であり、軟化剤が、例えば、5〜150重量部である。
【0072】
また、ゴム系粘着剤には、上記した添加剤の他に、架橋剤を含有させることもできる。
【0073】
架橋剤は、ゴム系粘着剤に任意的に配合されるものであって、低温(例えば、180℃以下)での架橋が可能であり、架橋速度が比較的速いものが挙げられ、例えば、キノイド加硫剤、チウラム加硫剤、キノンジオキシム加硫剤、マレイミド加硫剤などが挙げられる。
【0074】
キノイド加硫剤としては、例えば、ポリ−p−ジニトロソベンゼンなどが挙げられる。チウラム加硫剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフイド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジぺンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどが挙げられる。キノンジオキシム加硫剤としては、例えば、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシムなどが挙げられる。マレイミド加硫剤としては、例えば、N,N′−m−フェニレンジマレイミド、N,N′−p−フェニレンジマレイミド、N,N′−エチレンジマレイミドなどが挙げられる。
【0075】
これら架橋剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0076】
架橋剤の配合割合は、ゴム100重量部に対して、例えば、20重量部以下、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0077】
架橋剤をゴム系粘着剤に配合することにより、ゴム系粘着剤を、架橋タイプのゴム系粘着剤として調製することができる。
【0078】
そして、第1止水性粘着剤層4を形成するには、まず、第1粘着剤を調製する。
【0079】
第1粘着剤を調製するには、上記した各成分を上記した配合割合で配合して、加熱して混練する。混練は、例えば、加圧式ニーダー、バンバリーミキサ−、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。混練における加熱温度は、例えば、40〜160℃、好ましくは、40〜100℃である。
【0080】
次いで、第1粘着剤を、例えば、カレンダーロールや押出機など、好ましくは、カレンダーロールなどの成形装置により、加熱して成形することにより、第1止水性粘着剤層4を得ることができる。
【0081】
このようにして得られる第1止水性粘着剤層4の厚み(糊厚)は、例えば、10〜1000μm、好ましくは、100〜500μmである。
【0082】
繊維状シート6は、製造時において、絶縁性樹脂フィルム3を補強および支持するために用いられ、例えば、綿、スフモス、化繊などの織布や不織布などの布、例えば、和紙、クラフト紙などの紙が挙げられる。好ましくは、織布が挙げられる。
【0083】
繊維状シート6は、単独使用または2種以上併用することができる。繊維状シート6の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
【0084】
絶縁性樹脂フィルム3は、絶縁作用を有するフィルムであれば特に限定されない。絶縁性樹脂フィルムを形成する絶縁性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂が挙げられる。好ましくは、PETが挙げられる。なお、織物状や多孔質状のものは、絶縁性が著しく低下するため、好ましくない。
【0085】
絶縁性樹脂フィルム3の厚みは、例えば、100μm以下、好ましくは、1〜80μmである。
【0086】
第2止水性粘着剤層5は、水密作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、粘着剤(第2粘着剤)から形成することができる。好ましくは、第2粘着剤は、第1粘着剤と同様の粘着剤から形成されており、さらに好ましくは、ブチルゴムから形成されている。第2止水性粘着剤層5は、第1止水性粘着剤層4と同様の方法により形成される。第2止水性粘着剤層5の厚みは、第1止水性粘着剤層4の厚みと同様である。
【0087】
次に、このシール材1の製造方法について説明する。
【0088】
まず、この方法では、繊維状シート6を、絶縁性樹脂フィルム3の表面に積層する。繊維状シート6を積層するには、公知の接着剤を介して、繊維状シート6を絶絶縁性樹脂フィルム3の表面に貼着する。なお、繊維状シート6の積層では、熱圧着により、繊維状シート6を絶縁性樹脂フィルム3の表面に積層することもできる。次いで、第1止水性粘着剤層4を、絶縁性樹脂フィルム3の裏面(繊維状シート6が積層される面の反対面)に積層する。第1止水性粘着剤層4を積層するには、上記した成形装置(好ましくは、カレンダーロール)により、第1止水性粘着剤層4を絶縁性樹脂フィルム3の裏面にシート状に成形する。
【0089】
次いで、第2止水性粘着剤層5を、繊維状シート6の表面に積層する。第2止水性粘着剤層5を積層するには、上記した成形装置(好ましくは、カレンダーロール)により、繊維状シート6の表面にシート状に成形する。
【0090】
これにより、裏面に第1止水性粘着剤層4が積層され、表面に繊維状シート6および第2止水性粘着剤層5が順次積層される絶縁性樹脂フィルム3を得ることができる。
【0091】
次いで、この方法では、別途用意した弾性層2を、絶縁性樹脂フィルム3の上に、弾性層2と第2止水性粘着剤層5とが接触するように、熱圧着する。このとき、絶縁性樹脂フィルム3に繊維状シート6が積層されているので、熱による絶縁性樹脂フィルム3の変形を防止することができる。
【0092】
これにより、弾性層2と、弾性層2に順次積層される、第2止水性粘着剤層5、繊維状シート6、絶縁性樹脂フィルム3および第1止水性粘着剤層4とを備えるシール材1を得ることができる。
【0093】
なお、上記した説明では、シール材1の作製において、まず、絶縁性樹脂フィルム3の表面に繊維状シート6を積層して、その後、絶縁性樹脂フィルム3の裏面に第1止水性粘着剤層4を積層し、その後、繊維状シート6に第2止水性粘着剤層5を積層したが、それらの積層順序は特に限定されず、例えば、まず、絶縁性樹脂フィルム3の表面に繊維状シート6および第2止水性粘着剤層5を順次積層し、その後、絶縁性樹脂フィルム3の裏面に第1止水性粘着剤層4を積層することもできる。
【0094】
なお、上記した説明では、第2止水性粘着剤層5を、繊維状シート6の表面に形成したが、例えば、
図2に示すように、第2止水性粘着剤層5を形成しないようにすることもできる。なお、第2止水性粘着剤層5を設ければ、弾性層2と絶縁性樹脂フィルム3との間の良好な密着性を確保することができる。また、高湿下において、絶縁性樹脂フィルム(例えば、PET)3が水によって分解(例えば、加水分解)することを防止することができる。
【0095】
さらにまた、上記した説明では、繊維状シート6を、絶縁性樹脂フィルム3の表面に形成したが、例えば、
図3に示すように、繊維状シート6を形成しないようにすることもできる。
【0096】
図4は、
図1に示す太陽電池パネル用シール材を用いる太陽電池モジュールの一部断面斜視図を示し、
図5は、
図4に示す太陽電池モジュールの組み立てを説明するための工程図を示し、(a)は、太陽電池パネルの周端部に太陽電池パネル用シール材を貼着する工程、(b)は、太陽電池パネルの周端部を固定する工程を示す。
【0097】
次に、上記したシール材1を用いる太陽電池モジュールについて、
図4および
図5を参照して、説明する。
【0098】
図4において、この太陽電池モジュール21は、太陽電池パネル11と、シール材1と、固定部材としてのフレーム15とを備えている。
【0099】
太陽電池パネル11は、略矩形平板形状をなし、薄膜系などの公知の太陽電池パネルが用いられる。薄膜系の太陽電池パネル11は、
図5に示すように、発電層と、その両面、すなわち、太陽光を受光する受光側面8に形成されるガラス基板(図示せず)と、裏面(受光側面の反対側面)9に順次形成される樹脂層(図示せず)および保護層(図示せず)から形成されている。また、図示しないが、太陽電池パネル11には、その裏面9に、発電層からの電気を取り出すための端子ケーブル(図示せず)と、端子ケーブルを収納する端子ボックス(図示せず)とが設けられている。
【0100】
また、太陽電池パネル11の厚みは、例えば、2〜10mm、好ましくは、4〜6mmである。
【0101】
シール材1は、長手方向に延びる、シート状またはフィルム状に形成されており、太陽電池パネル11の周端部12を封止している。
【0102】
より具体的には、
図5(a)に示すように、シール材1は、太陽電池パネル11の各辺の周端部12において、側面7、受光側面8および裏面9と接触する、断面略コ字形状に形成されている。そして、シール材1は、その第1止水性粘着剤層4が周端部12の各面と接触するように、太陽電池パネル11の周端部12に貼着されている。
【0103】
また、裏面9に配置されるシール材1は、受光側面8に配置されるシール材1よりも、太陽電池パネル11の周端部12から内側に向かう方向において長く形成されている。より具体的には、裏面9に配置されるシール材1は、受光側面8に配置されるシール材1より、例えば、1〜30mm、好ましくは、10〜20mm長く形成されている。
【0104】
フレーム15は、
図4および
図5に示すように、太陽電池パネル11の各辺に沿って、それぞれ設けられている。フレーム15は、内側に向かって開く断面略コ字形状に形成され、平板状の側面側壁16と、側面側壁16の上部から内側に延びる平板状の受光面側壁17と、側面側壁16の下部から内側に延びる平板状の裏面側壁18とを一体的に備えている。フレーム15は、例えば、金属材料(アルミニウムなど)や樹脂材料から形成され、好ましくは、アルミニウムから形成されている。フレーム15は、各辺に沿う長手方向端部が互いに接合されて4つの角を形成し、平面視において枠状となるように組み付けられている。
【0105】
また、フレーム15の寸法は、太陽電池パネル11およびシール材1の寸法により適宜設定され、受光面側壁17の内側面の長さL1が、例えば、5〜30mm、好ましくは、10〜20mmであり、裏面側壁18の内側面の長さL4が、例えば、5〜50mm、好ましくは、15〜25mmであり、側面側壁16の内側面の長さL2が、例えば、5〜15mm、好ましくは、8〜10mmである。また、周側面側壁16、受光面側17および裏面側壁18の厚みは、それぞれ、例えば、1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
【0106】
そして、フレーム15は、太陽電池パネル11の周端部12を狭持するシール材1をさらに狭持している。具体的には、受光面8に配置されるシール材1を受光面側17が被覆し、側面7に配置されるシール材1を側面側壁16が被覆し、裏面9に配置されるシール材1を裏面側壁18が被覆している。
【0107】
なお、裏面9に配置されるシール材1の内側端部は、フレーム15の裏面側壁18から露出している。この露出部分19の長さL3は、例えば、1〜30mm、好ましくは、10〜20mmである。
【0108】
また、受光面8に配置されるシール材1の内側端部は、内側方向において、フレーム15の受光面側壁17の内側端部に対して、面一よりやや周端側に配置されており、例えば、1〜3mm周端側に配置されている。
【0109】
次に、太陽電池モジュール21の組み立て方法について説明する。
【0110】
まず、この方法では、
図5(a)に示すように、シール材1により太陽電池モジュール11を封止する。シール材1により太陽電池モジュール11を封止するには、上記した配置となるように、シール材1の第1止水性粘着剤層4を周端部12の各面と接触させる。
【0111】
次いで、この方法では、
図5(a)の矢印および
図5(b)に示すように、シール材1により封止された太陽電池モジュール11の周端部12を、フレーム15内に圧入する。より具体的には、太陽電池パネル11の周端部12がシール材1を介してフレーム15に狭持されるように、太陽電池パネル11の周端部12をフレーム15に挿入する。
【0112】
これにより、シール材1がフレーム15に狭持されて、太陽電池モジュール11の周端部12が、シール材1を介してフレーム15に固定される。
【0113】
なお、フレーム15によるシール材1の狭持によって、シール材1は、狭持前の容積に対して、例えば、10〜90容積%、好ましくは、20〜80容積%に圧縮される。
【0114】
これにより、太陽電池パネル11がシール材1により封止され、そのシール材1がフレーム15により狭持されるとともに、フレーム15により固定される太陽電池モジュール21を組み立てることができる。
【0115】
そして、このシール材1では、弾性層2は緩衝層として作用するので、太陽電池パネル11のフレーム15への良好な固定を確保することができる。
【0116】
また、絶縁性樹脂フィルム3は、耐電圧性に優れるので、太陽電池モジュール21に優れた耐電圧性を付与でき、耐久性に優れた太陽電池モジュール21を得ることができる。
【0117】
さらに、第1止水性粘着剤層4は、防水性に優れるので、太陽電池モジュール21に優れた防水性を付与でき、水の浸入による発電効率の低下を防止することができる。
【0118】
また、この太陽電池モジュール21は、シール材1が用いられているので、優れた耐電圧性および優れた防水性を確保することができる。
【0119】
なお、上記した説明では、裏面9に配置されるシール材1を、受光側面8に配置されるシール材1よりも、太陽電池パネル11の周端部12から内側に向かう方向において長く形成したが、例えば、裏面9に配置されるシール材1を、受光側面8に配置されるシール材1と同じ(
図5の破線参照)か、あるいは、短く形成することもできる。
【0120】
好ましくは、裏面9に配置されるシール材1を、受光側面8に配置されるシール材1よりも、太陽電池パネル11の周端部12から内側に向かう方向において長く形成する。これにより、フレーム15および太陽電池パネル11間の絶縁をより確実にし、雷サージのような不意の瞬間的な電圧発生時にもフレーム15および太陽電池パネル11間の放電を防止することができる。
【実施例】
【0121】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
実施例1
(太陽電池パネル用シール材の作製)
ムーニー粘度23(ML1+4、100℃)のEPDM(三井化学社製、EPT4021)100部、ADCA20部、尿素系発泡助剤5部、エチレンビスペンタブロモジフェニル100部、水酸化アルミニウム50部、水酸化マグネシウム50部、カーボンブラック10部、硫黄1.5部、酸化亜鉛5部、ジチオカルバミン酸塩類(加硫促進剤)1.2部、チアゾール類(加硫促進剤)1.0部、粉末ステアリン酸3部、プロセスオイル35部および低分子量ポリエチレングリコール1部を加圧式ニーダーで混練して発泡組成物を調製した。これを押出機でシート状に成形して、厚さ10mmの未加硫シートを得た後、それを160℃のオーブン中で20分間加熱して加硫および発泡させて、EPDM発泡体からなる弾性層を作製した。
【0123】
また、ムーニー粘度44±6(ML1+4、100℃)の再生ブチルゴム1000gを120℃に加熱した5L加圧式ニーダーに投入し、これに炭酸カルシウム粉1500gを投入して約5分間混練した。ここに、粘着付与剤(石油系樹脂、「エスコレッツ1202」、エクソン社製)500gを投入して約10分間混練し、さらに、軟化剤A(「ポリブテンHV300」、日本石油化学社製)100gと軟化剤B(「プロセスオイルPW90」、重量平均分子量500、出光興産社製)300gとを数回に分けて約10分間混練した。その後、ニーダーから混練物を取り出して、ゴム系粘着剤を調製した。
【0124】
次いで、厚さ25μmのPETからなる絶縁性樹脂フィルムを用意し、絶縁性樹脂フィルムの表面に、織布からなる繊維状シートを、接着剤を介して貼着し、その後、これをカレンダーロールにかけて、絶縁性樹脂フィルムの裏面に、ゴム系粘着剤からなる第1止水性粘着剤層を積層し、続いて、繊維状シートの表面に、上記と同じゴム系粘着剤からなる第2止水性粘着剤層を積層した(
図1参照)。
【0125】
これにより、弾性層に、第2止水性粘着剤層、繊維状シート、絶縁性樹脂フィルムおよび第1止水性粘着剤層が順次積層された、厚み3.0mmの太陽電池パネル用シール材を作製した。
【0126】
(太陽電池モジュールの作製)
上記により作製した太陽電池パネル用シール材を、太陽電池パネル(薄膜太陽電池パネル、厚さ5mm)の周端部に、第1止水性粘着剤層が太陽電池パネルの周端部に略コ字形状で接触するように、貼着した(
図5(a)参照)。
【0127】
次いで、裏面側壁、周側面側壁および受光面側壁を備える、断面コ字形状のアルミニウム製のフレームを用意した。フレームは、受光面側壁の内側面の長さが10mm、裏面側壁の内側面の長さが11mm、側面側壁の内側面の長さが7mmであった。また、各壁の厚みは、2.0mmであった。
【0128】
次いで、太陽電池パネルの周端部を固定した。すなわち、太陽電池パネルの周端部をフレーム内に挿入して、フレームによりシール材を狭持した。
【0129】
なお、狭持されたシール材は、狭持前の容積に対して、33容積%に圧縮された。つまり、シール材の厚みが、3.0mmから1.0mmとなった。また、裏面に貼着されているシール材は、受光面に貼着されているシール材より、約2.5mm長く形成されていた。
【0130】
また、裏面のシール材の内側端部は、フレームの裏面側壁の内側端部から露出されており、その露出部分の長さは、約10mmであった。
【0131】
さらに、受光面のシール材の内側端部は、フレームの受光面側壁に被覆されており、具体的には、受光面に貼着されているシール材の内側端部を、内側方向において、フレームの受光面側壁の内側端部に対して、約1.5mm周端側に配置させた。
【0132】
実施例2
太陽電池パネル用シール材の作製において、絶縁性樹脂フィルムの厚みを25μmから18μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池パネル用シール材を作製し、続いて、太陽電池モジュールを作製した。
【0133】
実施例3
太陽電池パネル用シール材の作製において、絶縁性樹脂フィルムの厚みを25μmから50μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池パネル用シール材を作製し、続いて、太陽電池モジュールを作製した。
【0134】
実施例4
太陽電池パネルの裏面に貼着されている太陽電池パネル用シール材と、太陽電池パネルの受光側面に貼着されている太陽電池パネル用シール材との長さを同一にした以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した(
図5(b)の破線参照)。
【0135】
より具体的には、受光面に貼着されているシール材の内側端部を、内側方向において、フレームの受光面側壁の内側端部に対して、約1.5mm周端側に配置させた。
【0136】
また、裏面に貼着されているシール材の内側端部を、内側方向において、フレームの裏面側壁の内側端部に対して、約2.5mm周端側に配置させた。
【0137】
比較例1
太陽電池パネル用シール材の作製において、絶縁性樹脂フィルムの代わりに、厚み0.2mmのスフモス布を用いた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池パネル用シール材を作製し、続いて、太陽電池モジュールを作製した。
【0138】
(評価)
1) 耐電圧性試験(衝撃電圧試験:impulse voltage test)
各実施例および比較例で得られた太陽電池モジュールにおいて、常温条件(温度25℃、湿度25%RH)において、フレームおよび太陽電池パネル間に、8kVの衝撃電圧(IEC規格61730、条件:application class A、最高システム電圧1000V)を印加した。
【0139】
その結果、実施例1〜4では、放電またはその痕跡が認められなかった。
【0140】
一方、比較例1では、放電およびその痕跡がともに認められた。
2) 止水性試験A
実施例1〜4および比較例1で得られた太陽電池モジュールにおいて、高温高湿下(温度85℃、湿度85%RH)において、2000時間放置した。その結果、実施例1〜4および比較例1で、外観および電気特性において初期からの変動に有意差がないことから、水の浸入による劣化がなく、止水性が良好であることを確認できた。
3) 止水性試験B
実施例1〜4および比較例1で得られた太陽電池モジュールを、壁面と垂直に設置し、太陽電池モジュールの表面に4(L/分)で散水して、止水性試験を評価した。
【0141】
その結果、実施例1〜4および比較例1では、太陽電池パネルの周端部において水の浸入が認められなかった。