特許第5697771号(P5697771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697771
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】加熱炉
(51)【国際特許分類】
   F27D 21/00 20060101AFI20150319BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20150319BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20150319BHJP
   F27D 7/04 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   F27D21/00 Z
   F27D19/00 D
   F27B17/00 C
   !F27D7/04
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-12160(P2014-12160)
(22)【出願日】2014年1月27日
(62)【分割の表示】特願2009-74471(P2009-74471)の分割
【原出願日】2009年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-122785(P2014-122785A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】光洋サーモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古割 一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直仁
(72)【発明者】
【氏名】有井 宏信
【審査官】 蛭田 敦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−089269(JP,A)
【文献】 実開昭54−083040(JP,U)
【文献】 特開平07−259999(JP,A)
【文献】 特開昭53−076914(JP,A)
【文献】 特開平07−270082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/00 〜 99/00
F27B 1/00 〜 21/14
B01J 3/00 〜 3/08
F16J 12/00 〜 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室を内部に有する炉体と、
前記炉体の正面側の側壁に形成され、加熱室内に被処理物を出し入れするための炉口と、
前記炉口を開閉可能に密封する炉口扉と、
前記炉口扉で前記炉口を閉じたときに前記炉口扉を前記炉体に対しロックするロック装置と、
前記炉体の背面側の側壁に開口し前記加熱室内の圧力を前記加熱室外に解放する圧力解放口と、
前記圧力解放口を開放可能に密閉する、断熱性を有する圧力解放扉と、
前記圧力解放口を密閉した状態で前記圧力解放扉をロックする一方、前記加熱室の圧力が所定圧以上に上昇した際に、前記圧力解放扉のロックを解除するロック手段と、
を備え
前記圧力解放扉は、前記ロック手段によるロックの解除時において、当該圧力解放扉の下端部側に位置する中心軸回りに前記加熱室の外側に向けて回動可能に前記炉体の側壁に設けられており、
前記ロック手段は、前記圧力解放口を密閉した状態の前記圧力解放扉の上端部側を前記側壁に向けて押圧してロックするトグルクランプであり、
さらに、前記圧力解放扉は、前記圧力解放口を閉じた状態で前記中心軸方向からみたときに、当該圧力解放扉の上端部が下端部の直上に位置するように設けられている
加熱炉。
【請求項2】
前記圧力解放扉の周縁部には、前記圧力解放口を閉じたときに、前記側壁における圧力解放口の周縁に対向しているフランジ部が全周に亘って形成されている請求項1に記載の加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性ガス等の雰囲気下で熱処理を行うための加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セラミックの脱バインダ等の熱処理を行うための加熱炉として、不活性ガス雰囲気下又は大気雰囲気下で熱風を循環させることで被処理物の加熱を行う熱風循環式の加熱炉が用いられている。この熱風循環式の加熱炉は、気密性を有する加熱室を内部に有する炉体を有しており、前記加熱室内へ不活性ガス又はエアを導入しながら熱処理が行われる。
上記熱風循環式の加熱炉で熱処理を行う際、熱処理される被処理物から発生する揮発成分等を含むガスが発火し爆発することによって急激に膨張し、これによって、前記加熱室内の圧力が異常に上昇し、当該加熱炉本体が破損することが懸念される。
このため、上記従来の加熱炉では、加熱室内の圧力が異常に上昇した場合に、その上昇した圧力を加熱室から解放するための防爆弁を設け、加熱室内において圧力の異常上昇が発生したとしても、加熱炉本体の破損を回避、軽減するといったことが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−129591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記加熱室内で発生する圧力の異常上昇は、前記ガスの急激な膨張等に起因するため、圧力の上昇速度も急激となる。このため、加熱炉本体の破損を回避するには、迅速に加熱室内の圧力を解放する必要がある。
この点、上記従来の加熱炉に用いられる防爆弁では、その構造上開弁しても十分な開口面積を確保することができないため、加熱炉本体の破損を回避できる程度に、迅速に加熱室内の圧力を解放することができないおそれがあった。
【0005】
そこで、例えば、図7に示すように、熱風循環式の加熱炉8に圧力解放装置Xを設けることが行われている。この圧力解放装置Xは、加熱室80に一端が接続された広径のリリーフパイプ82と、このリリーフパイプ82の他端の開口86を開放可能に閉塞する蓋体83と、開口86の周縁より周方向所定間隔おきに立設され前記蓋体83の開放方向への移動をガイドする複数のガイドシャフト84と、各ガイドシャフト84に沿って軸回りに巻回され開口86を閉じる方向に蓋体83を押し付ける圧縮スプリング85とを備えている。上記圧力解放装置Xにおいては、加熱室80内の圧力が異常上昇した場合、その圧力によって圧縮スプリング85の押し付け力に抗して蓋体83を持ち上げ、開口86を開放させることで、加熱室80内の圧力が解放される。この圧力解放装置Xによれば、リリーフパイプ82及びその開口86が広径であることから、上記防爆弁と比較してより広い開口面積を確保でき、加熱室80内の圧力の迅速な解放が期待できる。
しかし、上記圧力解放装置Xでは、蓋体83が圧縮スプリング85により押し付けられているため、加熱室80で圧力が異常に上昇してもリリーフパイプ82他端の開口86が緩やかにしか開放しない。このため、十分な開口面積を確保するのに時間を要する。また、蓋体83がその開放時に均一に持ち上がらずに傾くと、ガイドシャフト84に蓋体83が引っ掛かって当該開口86を円滑に開放できないおそれがある。
【0006】
このため、図8に示すように、上記蓋体83に代えて加熱室80内の圧力上昇によって破裂するラプチャーディスク93によって、リリーフパイプ82を閉塞するものも用いられていた。この図8に示す圧力解放装置Xによれば、加熱室80内の異常昇圧によってラプチャーディスク93を破裂させて、加熱室80内と外部とを連通させることができる。これにより、より円滑かつ速やかに開口を開放することができる。
ところが、上記ラプチャーディスクを用いた圧力解放装置Xにおいて、迅速に加熱室80内の圧力を解放可能な開口面積を確保するには、広径のラプチャーディスクが必要となる。ラプチャーディスクは、破裂を目的とするものであるが故に断熱性が低く、広径のものでは加熱室80でのエネルギーロスや温度分布の悪化が懸念されるために小径化せざるを得ない。このように小径化されたラプチャーディスクでは、円滑かつ速やかに開口を解放したとしても十分な開口面積が確保できず、結果的に、加熱室80の圧力を迅速に解放することができないおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加熱室内の圧力が異常に上昇した場合にも、その異常に上昇した圧力を迅速に解放することができる加熱炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明である加熱炉は、加熱室を内部に有する炉体と、前記炉体の正面側の側壁に形成され、加熱室内に被処理物を出し入れするための炉口と、前記炉口を開閉可能に密封する炉口扉と、前記炉口扉で前記炉口を閉じたときに前記炉口扉を前記炉体に対しロックするロック装置と、前記炉体の背面側の側壁に開口し前記加熱室内の圧力を前記加熱室外に解放する圧力解放口と、前記圧力解放口を開放可能に密閉する、断熱性を有する圧力解放扉と、前記圧力解放口を密閉した状態で前記圧力解放扉をロックする一方、前記加熱室の圧力が所定圧以上に上昇した際に、前記圧力解放扉のロックを解除するロック手段と、を備え、前記圧力解放扉は、前記ロック手段によるロックの解除時において、当該圧力解放扉の下端部側に位置する中心軸回りに前記加熱室の外側に向けて回動可能に前記炉体の側壁に設けられており、前記ロック手段は、前記圧力解放口を密閉した状態の前記圧力解放扉の上端部側を前記側壁に向けて押圧してロックするトグルクランプであり、さらに、前記圧力解放扉は、前記圧力解放口を閉じた状態で前記中心軸方向からみたときに、当該圧力解放扉の上端部が下端部の直上に位置するように設けられていることを特徴としている。
【0009】
上記のように構成された加熱炉によれば、圧力解放口を密閉した状態で圧力解放扉をロックする一方、加熱室の圧力が所定圧以上に上昇した際に圧力解放扉のロックを解除するロック手段を備えているので、加熱室内の圧力が異常に上昇した場合に、圧力解放扉で受圧した圧力によってロック手段によるロックが解除されて圧力解放扉を開くことができる。このため、速やかに圧力解放口を開放することができる。
さらに、圧力解放扉は、断熱性を有しているので、圧力解放口の開口面積を大きく確保したとしても、加熱室の熱効率や温度分布の悪化を招くことがない。
以上のように、本発明の加熱炉によれば、圧力解放口の開口面積を十分に確保しつつ当該圧力解放口を速やかに開放できるので、加熱室内の圧力が異常に上昇したとしても、その圧力を迅速かつ十分に逃がすことができる。
【0010】
また、上記加熱炉において、前記圧力解放口は、前記炉体の側壁に設けられており、前記圧力解放扉は、前記ロック手段によるロックの解除時において、当該圧力解放扉の下端部側に位置する中心軸回りに前記加熱室の外側に向けて回動可能に前記側壁に設けられているので、圧力解放扉は、炉体の側壁に設けられ、当該圧力解放扉の下端部側に位置する中心軸回りに前記加熱室の外側に向けて回動可能であるので、加熱室内の圧力上昇によってロックが解除されると、圧力解放扉は、当該圧力解放扉が受圧した圧力に加えて自重も作用して回動する。この結果、圧力解放扉をより速やかに回動させることができ、より速やかに圧力解放口を開放させることができる。
また、前記ロック手段は、前記圧力解放口を密閉した状態の前記圧力解放扉を前記側壁に向けて押圧してロックするトグルクランプであるので、圧力解放口を密閉した状態で圧力解放扉を確実にロックできるとともに、圧力解放扉で受圧した圧力をトグルクランプに直接的に作用させることができるので、当該トグルクランプによるロック状態を、加熱室の圧力に応じて解除することができる。また、トグルクランプは、それ自体の構成が簡単でかつ安価なものであるため、ロック手段を安価でかつ信頼性の高いものとすることができる。
さらに、前記圧力解放扉の周縁部には、前記圧力解放口を閉じたときに、前記側壁における圧力解放口の周縁に対向しているフランジ部が全周に亘って形成されていてもよい。
【0011】
また、前記圧力解放扉は、横長の矩形状に形成されているものであってもよい。
この場合、圧力解放扉が回動して全開に至るまでの当該圧力解放扉上端部の回動距離を、縦長とした場合と比較して短くすることができるので、圧力解放扉が全開に至るまでに要する時間が短縮される。これにより、より速やかに圧力解放口を開放させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱炉によれば、加熱室内の圧力が異常に上昇した場合にも、その異常に上昇した圧力を迅速に解放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る加熱炉の断面図である。
図2】加熱炉の側面図である。
図3】圧力解放扉付近の断面図である。
図4】トグルクランプの斜視図である。
図5】圧力解放扉のロックを解除した状態を示すトグルクランプの斜視図である。
図6】トグルクランプの側面図である。
図7】(a)は従来例に係る加熱炉の断面図、(b)はガイドシャフト付近の断面図である。
図8】他の従来例に係る加熱炉の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る加熱炉の断面図である。
図1において、加熱炉1は、不活性ガス雰囲気下で熱風を循環させることで被処理物の加熱を行う、いわゆる熱風循環式のイナートガスオーブンを構成しており、被処理物を収容する加熱室10を内部に有する箱状の炉体11と、加熱室10内の雰囲気ガスを加熱するためのヒータ13と、加熱室10内の雰囲気ガスを循環させるための撹拌ファン15とを備えている。
【0016】
炉体11は、耐熱鋼板等で形成された箱体の内部にグラスウール等の断熱材5が充填されてなる上壁11a、底壁11b、及び側壁11cによって構成されている。さらに炉体11は、その内部に、耐熱鋼板等で囲まれることで形成された、気密性を有する加熱室10を有している。
炉体11の正面側の側壁11c(図1中、左側面)には、加熱室10内に被処理物を出し入れするための炉口12が形成されているとともに、炉口12を開閉可能に密封する炉口扉2が設けられている。
炉口扉2は、炉体11の各壁11a〜11cと同様、グラスウール等の断熱材5が充填された耐熱鋼板等で形成された箱体によって構成されており、図示しないヒンジ部を介して炉体11に回動可能に取り付けられている。
また、炉口扉2は、炉口12を閉じたときに複数のロック装置21により炉体本体11に対しロックすることができる。炉口扉2の周縁部には、炉口12の周縁部との間を密封するためのパッキン22が取り付けられている。このパッキン22は、炉口扉2を閉じてロックしたときに当該炉口扉2の周縁部と、炉口12の周縁部との間で圧接されて両者間を密封し、これにより、加熱室10内を強固に密封する。
【0017】
また、炉体11には、加熱室10内に雰囲気ガスを供給するための給気口(図示せず)、及び加熱室10内を排気するための排気口(図示せず)が設けられており、加熱室10内の空気を排気し、窒素ガスやアルゴンガス等のイナートガスを供給することで加熱室10内の雰囲気をイナートガス雰囲気とすることができる。
【0018】
また、炉体11の背面側の側壁11c(図1中、右側面)には、加熱室10の圧力を加熱室10外(大気)に解放する圧力解放口14が形成されているとともに、圧力解放口14を開放可能に密封する圧力解放扉3が取り付けられている。
【0019】
図2は、圧力解放扉の態様を示すための加熱炉1の側面図であり、図3は、圧力解放扉付近の断面図である。
図2図3、及び図1も参照して、圧力解放口14は、横幅寸法が縦幅寸法よりも長い横長の矩形状に形成されて側壁11cに開口しており、加熱室10内部と炉外とを連通している。
圧力解放扉3は、各壁11a〜11c及び炉口扉2と同様、グラスウール等の断熱材5が充填された耐熱鋼板等で形成された箱体によって構成されており、圧力解放口14に対応して、横幅寸法が縦幅寸法よりも長い横長の矩形状に形成されている。従って、圧力解放扉3は、各壁11a〜11c及び炉口扉2と同様の断熱性を有している。
【0020】
また圧力解放扉3の周縁部には、フランジ部3aが全周に亘って形成されている。このフランジ部3aは、その端縁が圧力解放口14よりも若干大きな矩形状を呈しており、断熱材5が充填された箱体の部分を圧力解放口14に挿入した状態で、側壁11cにおける圧力解放口14の周縁(各縁141〜144)に対向するように形成されている。
そして、圧力解放扉3は、圧力解放口14の上下左右の各縁141〜144に対しフランジ部3aを押し付けた状態で圧力解放口14を覆うことで、当該圧力解放口14を閉じる。
【0021】
圧力解放扉3は、三つのヒンジ31を介して、側壁11cに取り付けられている。これらヒンジ31は、一端が圧力解放扉3の下端部33に取り付けられるとともに、他端が圧力解放口14の下縁142に取り付けられている。従って、各ヒンジ31の回動軸311は、圧力解放扉3の下端部33側に位置している。
以上により、圧力解放扉3は、圧力解放扉3の下端部33側に位置している各ヒンジ31の回動軸311回りに加熱室10の外側に向けて回動可能であり、圧力解放扉3は、圧力解放口14を覆うことで当該圧力解放口14を閉じた状態から、加熱室10の外側に向けて回動することで、圧力解放口14を開放した状態とすることができる。
【0022】
圧力解放扉3のフランジ部3aには、炉体11との間に介在する断面略矩形状の耐熱シール材30が、全周に亘って取り付けられている。この耐熱シール材30は、圧力解放扉3により圧力解放口14が閉じられたときに、側壁11c側における圧力解放口14の周縁、つまり上下左右の各縁141〜144と圧接してシールすることで、加熱室10を密封する。さらに、図3に示すように、フランジ部3aには、耐熱シール材30の内方側に配置され、炉体11との間に介在し密封するシールリング39が取り付けられている。
圧力解放扉3は、後述するトグルクランプ41によって、炉体11側(圧力解放口14の各縁141〜144)に向けて押圧されており、シールリング39、及び耐熱シール材30は、上記トグルクランプ41の押圧によって、各縁141〜144に対して圧接される。
圧力解放扉3は、各縁141〜144に対して圧接されるシールリング39、及び耐熱シール材30によって、側壁11cとの間を密封することができ、圧力解放口14を閉じたときに、加熱室10を強固に密封することができる。
【0023】
側壁11cにおける圧力解放口14の上縁141には、ロック手段4が取り付けられている。このロック手段4は、図2に示すように、圧力解放口14を閉じている状態の圧力解放扉3の上端部32を側壁11cに向けて押圧する3つのトグルクランプ41を備えている。各トグルクランプ41は、圧力解放口14の上縁141に対しその左右幅方向所定間隔おきに配置されている。
【0024】
図4は、トグルクランプの斜視図、図5は、圧力解放扉のロックを解除した状態を示すトグルクランプの斜視図、図6は、トグルクランプの側面図である。
各トグルクランプ41は、基台ブラケット411と、ハンドルレバー413と、クランプレバー415と、リンク418とを備えている。
【0025】
基台ブラケット411は、側壁11cにおける圧力解放口14の上縁141より突出するブラケット40に固定されている。また、ハンドルレバー413は、その基端(図6では右端)が基台ブラケット411の下部に第1ピン412を介して回動自在に支持されている。そして、クランプレバー415は、基台ブラケット411の上部に第2ピン414を介して基端(図6では上端)が回動自在に支持されている。さらに、クランプレバー415の先端(図6では下端)には、その長手方向に対し直交する方向(図6では左右方向)に延びるボルト410が取り付けられている。このボルト410は、クランプレバー415の先端を貫通した状態で一対のナット419により両側から締結されている。また、リンク418は、クランプレバー415の基端寄りに第3ピン416を介して一端(図6では右端)が回動自在に支持されている。そして、リンク418の他端(図6では左端)は、前記ハンドルレバー413の軸線方向略中間位置に第4ピン417を介して回動自在に支持されている。
【0026】
ここで、各トグルクランプ41によるロック状態およびロック解除状態について説明する。
まず、各トグルクランプ41をロック解除状態からロック状態とする場合、ハンドルレバー413が斜め上方に傾いている状態であるロック解除位置(図5に示す位置)から、ハンドルレバー413が略水平な状態であるロック位置(図4及び図6に示す位置)まで回動させる。すると、クランプレバー415がリンク418を介して圧力解放扉3側に下回りに回動し、ボルト410の頭部410aにより圧力解放扉3の上端部32に位置するフランジ部3aを側壁11cに向けて押圧してロック状態となる。このとき、リンク418の一端側の第3ピン416の中心位置がハンドルレバー413の第1ピン412と第4ピン417とを繋ぐ線分mの下側から当該線分mを越えて上側に移動する。これにより、各トグルクランプ41は、安定したロック状態が確保される。
【0027】
一方、各トグルクランプ41をロック状態からロック解除状態とする場合、ハンドルレバー413を上記ロック位置から上記ロック解除位置まで回動させる。すると、ハンドルレバー413のロック解除位置への回動開始直後に、リンク418の一端側の第3ピン416が若干の遅れを伴って前記線分mを越えて下側に移動し、ロック解除可能な不安定な状態となる。この状態から、ハンドルレバー413のロック解除位置への回動に伴って、クランプレバー415がリンク418を介して略水平な位置まで回動し、ボルト410の頭部410aが圧力解放扉3のフランジ部3aから離間する。これにより、ボルト410の頭部410aによる押圧が解除され、圧力解放扉3がロック解除状態となる。
【0028】
また、各トグルクランプ41によるロック状態の解除は、加熱室10の圧力が異常に上昇した場合においても行われる。
すなわち、熱処理される被処理物から発生する揮発成分等を含むガスが発火し爆発することによって急激に膨張し、加熱室10の圧力が限界圧力付近まで上昇すると、加熱炉1本体が破損することが懸念される。このため、加熱室10の圧力が、加熱炉1本体を破損させるおそれのある限界圧力付近まで上昇した場合においても、各トグルクランプ41によるロック状態の解除を行う必要がある。
【0029】
要するに、本実施形態において、加熱室10内の圧力(大気圧に対する相対圧力)は、例えば1kPa以下で用いられるが、上記のように被処理物からガスが発生することで加熱室10内における圧力の異常上昇が生じると、各壁11a〜11cや、炉口扉2、圧力解放扉3によってその圧力を受け止めることとなる。
このうち、圧力解放扉3は、受圧した圧力によって加熱室10の外側に向けて回動しようとし、圧力解放扉3は、トグルクランプ41のボルト410を加熱室10の外側方向に向けて押圧する。
ここで、加熱室10内の圧力が限界圧力付近(例えば、50kPa)まで上昇すると、圧力解放扉3によるトグルクランプ41に対する押圧力が、トグルクランプ41のロック状態による押圧力よりも高くなり、圧力解放扉3がクランプレバー415を回動させる。これにより、リンク418の第3ピン416を前記線分mの下側に変位させて、トグルクランプ41をロック解除可能な不安定な状態にする。
この状態で、各トグルクランプ41のボルト410の頭部410aが圧力解放扉3のフランジ部3aによってさらに押し返されると、クランプレバー415が主体となって、リンク418を介してハンドルレバー413がロック解除位置まで回動する。これにより、圧力解放扉3は、回動して圧力解放口14を開放する。
【0030】
そして、本実施形態において適用される3つのトグルクランプ41としては、ロック状態によるロック手段4としての押圧力が、加熱室10内の圧力が限界圧力まで上昇したときの圧力解放扉3による各トグルクランプ41(ロック手段4)に対する押圧力よりも小さいものが選定される。具体的には、角田工業株式会社製のB−II下方圧え型トグルクランプ(製品番号:40A)が選定されている。
【0031】
このような加熱炉1では、圧力解放口14を密閉した状態で圧力解放扉3をロックする一方、加熱室10の圧力が所定圧としての限界圧力以上に上昇した際に圧力解放扉3のロックを解除するロック手段4を備えているので、加熱室10内の圧力が異常に上昇した場合に、圧力解放扉3で受圧した圧力によってロック手段4によるロックが解除されて圧力解放扉3を開くことができ、速やかに圧力解放口14を開放することができる。
さらに、圧力解放扉3は、断熱性を有しているので、圧力解放口14の開口面積を大きく確保したとしても、加熱室10の熱効率や温度分布の悪化を招くことがない。
以上のように、本実施形態の加熱炉1によれば、圧力解放口14の開口面積を十分に確保しつつ当該圧力解放口14を速やかに開放できるので、加熱室10内の圧力が異常に上昇したとしても、その圧力を迅速かつ十分に逃がすことができる。
この結果、加熱室10内の圧力の異常上昇が発生したとしても、加熱炉1本体の破損を回避することができる。
【0032】
なお、本実施形態においては、ロック手段4が圧力解放扉3のロックを解除する加熱室10の圧力である所定圧を上記限界圧力に設定したが、この所定圧は、より安全面を考慮して、上記限界圧力よりも低い圧力に設定することもできる。
【0033】
また、本実施形態において、圧力解放扉3は、炉体11の側壁11cに設けられ、当該圧力解放扉3の下端部33側に位置する中心軸回りに加熱室10の外側に向けて回動可能であるので、加熱室10内の圧力上昇によってロックが解除されると、圧力解放扉3は、当該圧力解放扉3が受圧した圧力に加えて自重も作用して回動する。この結果、圧力解放扉3をより速やかに回動させることができ、より速やかに圧力解放口14を開放させることができる。
【0034】
また、本実施形態の圧力解放扉3は、横長の矩形状に形成されているので、圧力解放扉3が回動して全開に至るまでの当該圧力解放扉3上端部32の回動距離を、縦長とした場合と比較して短くすることができる。この結果、圧力解放扉3が全開に至るまでに要する時間が短縮され、より速やかに圧力解放口14を開放させることができる。
【0035】
上記加熱炉10において、ロック手段4を、圧力解放口14を密閉した状態の圧力解放扉3を側壁11cに向けて押圧してロックするトグルクランプ41としたので、圧力解放口14を密閉した状態で圧力解放扉3を確実にロックすることができる。さらに、圧力解放扉3で受圧した圧力をトグルクランプに対して押圧力として直接的に作用させることができるので、トグルクランプ41によるロック状態を、加熱室10の圧力に応じて解除することができる。また、トグルクランプ41は、それ自体の構成が簡単でかつ安価なものであるため、ロック手段4を安価でかつ信頼性の高いものとすることができる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば上記実施形態では、加熱炉1を熱風循環式のイナートガスオーブンとして構成した場合について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、水蒸気を含むウェットガスや他の化学成分を含む雰囲気ガスを循環させて被処理物を熱処理する熱風循環式オーブンに適用することもできる。
【0037】
また、前記実施形態では、トグルクランプ41をロック手段4として用いたが、これに限定されるものではない。例えば、加熱室10内の圧力が限界受圧値を越えたときに圧力解放扉3に生じる、加熱室10の外側に向けた回動力によって、支持ピンなどの交換可能な部品を破断させ、これによりロック状態を解除するロック手段であってもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、加熱室10内の限界圧力を50kPaとしたが、この限界圧力は、炉体11の剛性に応じて設定されるものである。このため、炉体11の剛性が低いために限界圧力が低く設定される場合には、その圧力に応じて圧力解放扉のロック状態を確実に解除するロック手段が選定される。
【0039】
また、前記実施形態では、圧力解放扉3の上端部32側にトグルクランプ41よりなるロック手段4を取り付け、下端部33側にヒンジ31を取り付けたが、ヒンジに代えて圧力解放扉3の下端部33にロック手段を取り付けたり、圧力解放扉3の周囲全てにロック手段を取り付けてもよい。この場合、ロック手段によるロックが解除されると、圧力解放扉が下方に落下して開くことで圧力解放口を速やかに開放することができる。
【0040】
更に、前記実施形態では、横長の矩形状の圧力解放扉3を用いたが、横長の楕円形状の圧力解放扉や、上辺および下辺の長さに比して高さ方向の長さが短い台形形状や平行四辺形状などの圧力解放扉であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 加熱炉
10 加熱室
11 炉体
11c 側壁
14 圧力解放口
3 圧力解放扉
4 ロック手段
41 トグルクランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8