特許第5697827号(P5697827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697827
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】高周波アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H01Q7/00
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-514765(P2013-514765)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-529043(P2013-529043A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】FR2011051346
(87)【国際公開番号】WO2011157942
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】1054724
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ティエリー
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭44−015243(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/00− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的に突き合わせられた部分の少なくとも2つの対を備える誘導アンテナであって、各部分は、互いに絶縁されて平行な第1の導電要素および第2の導電要素を備え、各対は、各端部に、自身の対の第1の導電要素と、前記自身の対に隣り合う対の第1の導電要素とを電気的に接続する単一の端子を備え、前記自身の対の各第2の導電要素は、前記自身の対に隣り合う対の第2の導電要素に接続されておらず、
前記対は、
一方の部分の第1および第2の導電要素が他方の部分の第2および第1の導電要素にそれぞれ接続されている第1の形態、または
一方の部分の第1の導電要素が他方の部分の第1の導電要素に接続されておらず、一方の部分の第2の導電要素が他方の部分の第2の導電要素に接続されている第2の形
あることを特徴とする誘導アンテナ。
【請求項2】
記部は線形であり、前記アンテナは領域内に任意の幾何学的形態を有するループを形成することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1及び第2の導電要素の長さの各々は、アンテナの共振周波数に従って選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1及び第2の導電要素の長さの各々は、前記第1および第2の導電要素の間の配線容量に従って選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項5】
隣り合う対の第2の導電要素または同じ対の第1および第2の導電要素は、少なくとも1つの容量性要素によって相互接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項6】
隣り合う対の第2の導電要素または同じ対の第1および第2の導電要素は、少なくとも1つの抵抗性要素によって相互接続されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
各部分は同軸のケーブル部分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項8】
各部分は2つの同軸のケーブル部分で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記部分はねじれた導電要素で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項10】
少なくとも1つの対と接続された半分の対をさらに備え、該半分の対は2つの導電要素の1つの部分で形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項11】
高周波場を生成するシステムであって、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の誘導アンテナ、および
高周波信号を利用して前記アンテナを励起させる回路を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
励起させる前記回路は、前記アンテナにおける2つの隣り合う対の第1の導電要素の間に挿入される2次巻線を有する高周波数変圧器を備えることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にアンテナに関し、より具体的には、高周波誘導アンテナの形成に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、数MHzの無線周波伝送、例えば、非接触のチップカード、RFIDタグまたは電磁応答器伝送システムのためのアンテナに適用する。
【背景技術】
【0003】
図1は、本発明を一例として適用する型式の誘導型伝送システムの一例を非常に概略的に示す図である。
【0004】
そのようなシステムは、電磁場内に配置された1つまたは複数の応答器2によって検出可能な電磁場を生成する読み取り器1又は基地局1を備える。そのような応答器2は、例えば、識別を目的とする対象物上に置かれた電子タグ2’、非接触のスマートカード2”、または、より一般には、(図1のブロック2によって表わされる)任意の電磁応答器である。
【0005】
読み取り器1の一側には直列の共振回路が抵抗器r、キャパシタC1、誘導要素L1またはアンテナで形成されている。この回路は、基地局1における図示しない他の回路によって(接続部14を介して)制御される高周波数発生器12(HF)によって励起される。一般に、高周波数キャリアはデータを応答器に伝送するために(振幅および/または位相において)変調される。
【0006】
応答器2の一側には一般に並列である共振回路が、キャパシタC2と、応答器2の電子回路22を表している負荷Rと並列に形成されている誘導要素L2またはアンテナL2を備える。読み取り器が読み取る範囲に共振回路が存在するとき、この共振回路は基地局によって伝送された高周波数信号を検出する。非接触のカードの場合、1つまたは複数のチップを備える、ブロック22によって表わされるそのような回路は、一般にカード支持部によって支持されたアンテナL2に接続される。電子タグ2’の場合、誘導要素L2は電子チップ22に接続された導電性の巻線で形成されている。
【0007】
基地局側での直列の共振回路の形および応答器側での並列の共振回路の形で表わされることが一般的であるが、実際には、応答器側での直列の共振回路および基地局側での並列の共振回路が見られる場合もある。
【0008】
読み取り器の共振回路と応答器の共振回路とは同じ共振周波数ωで合わせることが一般である(L1×C1×ω=L2×C2×ω=1)。
【0009】
応答器は自律的な電源供給をしないで基地局1によって生成された磁場から応答器の動作に必要な電力を消費することが一般である。
【0010】
本願の他の例によると、基地局は、応答器のバッテリ、または該バッテリとは別の電力貯蔵要素を再充電するために使用される。そのときに基地局によって放射された高周波場はデータを伝送するために必ずしも変調されない。
【0011】
誘導アンテナ内における導電性回路は、無線周波磁場を生成することを目的とした電流を流す閉回路である場合が多い。閉じられた導電性回路の電力は無線周波数発生器12によって供給される。
【0012】
アンテナのサイズが波長に対して大きくなると、導体に沿って磁場を生成することを目的とした電流の循環はより困難になる。電流の振幅および位相が回路に沿って強変分を有するので、もはやアンテナが誘導ループ内で動作できなくなる。さらに、応答器のアンテナのサイズと比較して基地局側で大きいサイズのアンテナを備えることがしばしば望まれる。応答器が基地局に向けられるとき応答器は(使用者によってサポートされて)動作することが一般であるが、この動作中でさえ応答器が磁場を検出できることが望ましい。他の場合において、応答器との通信が重要になる可能性がある領域の大きさにとっても望ましい。一方で、広い通信範囲を提供するために大きい誘導ループを使用することに利点がある。
【0013】
ここで、アンテナにおける導電性回路が長くなると、該回路内のインダクタンスLはより高くなり、そして、アンテナと関連付けられるキャパシタの値はより低くなる。結果として、大きいアンテナ内において、キャパシタンスの値は、導電性回路の異なる部分間に存在する浮遊キャパシタンス、および(例えば、ユーザの手によって)システムに導入できるような浮遊キャパシタンスの値と同じ桁数になる可能性があり、これが動作を妨げることになる。
【0014】
誘導アンテナの導電性回路がより長くなると、該回路に沿った電流の循環は望まれる循環とはより異なるものになる。したがって、回路に沿った電流の振幅および位相に関する重大な変化が生じ、該変化は生成された磁場の空間分布を変更および阻害することになる。また、導電性回路の異なる部分間で電位が上昇し、この電位の上昇によりアンテナの動作が回路の閉じた環境内の誘電性物質の存在に対して影響を受けやすくなる。
【0015】
したがって、従来、誘導ループの長さは制限されている。
【0016】
大きなループを利用できるようにするために、個々に同じ長さを有する要素に導電性ループを分割してこれらの要素をキャパシタに再接続することが既に提供されている。そのような解決法は、例えば、米国特許第5258766号に記載されている。
【0017】
遮断分断部および導体反転部を使って遮断された誘導ループを利用することが既に提供されている。そのようなループは一般に「メビウスループ」と呼ばれている。そのような構造は、例えば、1974年5月、IEEE Transaction on Electromagnetic Compatibilityによって発行された、P.H.Duncanによる論文「メビウスループ磁場センサーの分析(Analysis of the Moebius Loop Magnetic Field Sensor)」に記載されている。しかしながら、そのような構造において長さはまだ制限されている。
【0018】
したがって、大きい誘導アンテナを形成する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5258766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の実施形態は、従来のアンテナの欠点の全部または一部を解消する誘導アンテナを提供することを目的とする。
【0021】
本発明の実施形態は、1MHzから数百MHzの範囲の周波数での伝送に特に良く適合されるアンテナを提供することを別の目的とする。
【0022】
本発明の実施形態は、協同して動作することを目的とする応答器のアンテナと比較して(大きさとして少なくとも10倍の表面積内に存在する)大きい誘導アンテナを提供することを別の目的とする。
【0023】
本発明の実施形態は、様々な配置と互換性があるアンテナの構造を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの目的および別の目的の全部または一部を達成するために、本発明は、幾何学的に突き合わせられた部分の少なくとも2つの対を備える誘導アンテナであって、各部分は互いに絶縁されて平行な第1の導電要素および第2の導電要素を備え、各対は、各端部に、自身の対の第1の導電要素と、前記自身の対に隣り合う対の第1の導電要素とを電気的に接続する単一の端子を備え、前記自身の対の各第2の導電要素は、前記自身の対に隣り合う対の第2の導電要素に接続されておらず、前記対は
方の部分の第1および第2の導電要素が他方の部分の第2および第1の導電要素にそれぞれ接続されている第1の形態、または
一方の部分の第1の導電要素が他方の部分の第1の導電要素に接続されておらず、一方の部分の第2の導電要素が他方の部分の第2の導電要素に接続されている第2の形態であることを特徴とする誘導アンテナを提供する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記部は線形であり、前記アンテナは領域内に任意の幾何学的形態を有するループを形成する。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記第1及び第2の導電要素の長さの各々はアンテナの共振周波数に従って選択される。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記第1及び第2の導電要素の長さの各々は前記第1および第2の導電要素の間の配線容量に従って選択される。
【0028】
本発明の実施形態によれば、隣り合う対の第2の導電要素または同じ対の第1および第2の導電要素は、少なくとも1つの容量性要素によって相互接続される。
【0029】
本発明の実施形態によれば、隣り合う対の第2の導電要素または同じ対の第1および第2の導電要素は、少なくとも1つの抵抗性要素によって相互接続される。
【0030】
本発明の実施形態によれば、各部分は同軸のケーブル部分である。
本発明の実施形態によれば、各部分は2つの同軸のケーブル部分で形成されている。
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記部分はねじれた導電要素で形成されている。
本発明の実施形態によれば、前記アンテナは、少なくとも1つの対と接続された半分の対をさらに備え、該半分の対は2つの導電要素の1つの部分で形成される。
【0032】
また、本発明は高周波場を生成するシステムであって、
誘導アンテナ、および
高周波数信号を利用して前記アンテナを励起させる回路を備えることを特徴とするシステムを提供する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、励起させる前記回路は、前記アンテナにおける2つの隣り合う対の第1の導電要素間に挿入される2次巻線を有する高周波数変圧器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】前述したように、本発明が適用される無線周波伝送システムの一例をブロック形式で概略的に示す図である。
図2】本発明に従って誘導アンテナの実施形態を簡略化して示す図である。
図3図2のアンテナの第1の形態において一対の部分の実施形態を示す図である。
図4】本発明に従って誘導アンテナの他の実施形態を簡略化して示す図である。
図5】第1の形態における一対のアンテナ部分の実施形態の電気的配置を示す図である。
図5A図5で示された対と等価な電気的線図である。
図6】第2の形態における一対のアンテナ部分の実施形態の電気的配置を示す図である。
図6A図6で示された対と等価な電気的線図である。
図7】誘導アンテナ、励起回路および設定回路の実施形態を示す図である。
図8A】第1の形態における一対の部分の他の実施形態を示す図である。
図8B】第1の形態における一対の部分の他の実施形態を示す図である。
図9】第2の形態における一対の部分の他の実施形態を示す図である。
図10】他の実施形態に従ったアンテナを簡略化して示す図である。
図11】2つの同軸ケーブルの変形例を簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない具体的な実施形態について以下に詳細に説明する。
【0036】
異なる図面において同じ要素は同じ参照符号を付与し、同一の縮尺ではない。明確にするために、本発明の理解に役立つこれらの要素のみが示されて記載されている。特に、誘導アンテナの励起回路は詳細に記載しなかったが、本発明はこのタイプのアンテナに実際使用される励起信号に適合できる。また、以下に記載のフィールド生成アンテナのための応答器についても詳細に記載されていないが、本発明は様々な現行の応答器、非接触のカードおよびRFIDタグ等と適合できる。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に従ったアンテナの簡略化された図である。
【0038】
この実施形態において、いくつかの同軸のケーブル部分32、34を突き合わせるように提供される。これらの部分をまとめて対3とし、対3の各々において2つの部分32、34はメビウス型接続にて接続され、つまり、第1の部分のコア324が同じ対の第2の部分のブレード342に接続され、一方で、第1の部分のブレード322が第2の部分のコア344に接続される。
【0039】
図2の好ましい例において、部分の4つの対3が突き合わされている。2つの隣り合う対の間の電気的接続部4が導電要素の内の単一の導電要素によってのみ提供されている。図2の例において、2つの隣り合う対の間の接続部4は、2つの対の向かい合う部分の各ブレードによって提供されている。他の導電要素は接続されていない、つまり、図2の例において、2つの隣り合う対のコア同士は接続されていない。
【0040】
第1の導体の全てが全ての部分のブレードまたはコアのいずれかに対応するように全ての部分を均一に選択することがより簡単であると考えられる。この状況において、同じタイプの導電要素、ブレードまたはコアがアンテナ全体の対を接続するために使用されるであろう。ブレードの選択がより良い電気的な遮蔽を提供するのでブレードの使用は好ましい。変形例として、接続部4が向かい合う対の各コアによって提供されてもよい。しかしながら、同じ対の第1の部分と第2の部分との間で第1および第2の導体を異なる配置にするように選択でき、例えば、第1の部分の第1の導体としてブレードを選択し、第2の部分の第1の導体としてコアを選択することもできる。したがって、他の変形例によると、コアからブレードまで、または、ブレードからコアまで接続されるように2つの隣り合う対の間の接続部4が提供されても良い。
【0041】
図3は、一対の部分の第1の形態に対応し、図2のアンテナにおける2つの部分32、34の対3を簡略化して示す図である。中央接続部36のレベルで、部分32の導電性コア324が部分34のブレード(または遮蔽部)342に接続され、部分32のブレード322が部分34のコア344に接続される。
【0042】
図4は、アンテナの他の実施形態を簡略化して示す図である。
【0043】
図3の交差した中央接続部と共に)第1の形態における部分32、34の2つの対3は、部分の中央接続部56が異なる同軸のケーブル部分52、54の2つの対5に互い違いに接続する。第2の形態のこれらの対5において、部分52、54は該部分の各コア524、544によって接続され、一方で、部分のブレード522、542は接続されていない。これらの対における電気的に突き合わせた接続はブレードの相互接続部4を介して依然として達成され、一方で、コアは接続されていない。
【0044】
2つの形態における対の分布および数は異なっても良い。しかしながら、第1の形態の対の方が利点が多い。
【0045】
第1の形態の対は交差点で露出した領域を提供するので、寄生障害の影響を受けやすい回路が減少する。また、同じ共振周波数に対して、部分の対の長さが第2の形態の部分の対の長さの半分にできる。長さを減少することでアンテナを容易に形成できる。このとき、第1の形態の対に関連したインダクタンスL0の値は第2の形態の対に関連したインダクタンスL0の値より2倍小さくできる。このとき、同じ循環電流に対して、第1の形態における対の2つの部分の接続領域36内の第1の導体間に存在する電圧は、第2の形態における対の接続領域56内の電圧の半分の電圧である。対内の接続領域は、電圧が該領域内で高くなるときに寄生障害に対して感度の高い回路をなおいっそう条件付ける露出領域である。第1の形態の対によって挿入されたこの領域内で電圧が減少されることは、障害に対する感度を減少できる。
【0046】
図5は、部分の対3の第1の形態の電気的配置を示している。
【0047】
図5Aは、図5の対と等価な電気的線図を示している。
【0048】
部分32、34の対3は、隣り合う対を接続する2つの端子42、44を備える。端子42は部分32の第1の導電要素322と接続され、部分32の第1の導電要素322は、その他方の端部において、(端子44の側で)接続されていない自由端子3441を有する部分34の第2の導電要素344に、交差した相互接続部36を介して接続される。部分32の第2の導電要素324は、(端子42の側で)自由端子3241、および、接続部36によって部分34の第1の導電要素342に接続される他方の端部を有し、部分32の第2の導電要素324における他方の端部は端子44に接続される。
【0049】
そのような対と等価な電気的線図は図5Aに示されており、値L0のインダクタンスと値C0のキャパシタを直列に電気的に配置し、値L0は、導体、および値L0を計算するために同じ導体として考慮された導体部分322、342の関連性に対応するインダクタンスを表しており、値C0は、同軸ケーブルの場合のコアおよびブレード間、他の実施形態の場合の2つの導体間(導体322と導体324との間、および導体342と導体344との間)による全ての内部キャパシタンスを表している。前述したように、(計算のために導体として考慮された)部分322および部分342の間の関連性と、(計算のために導体としてまた考慮された)他の対の部分322、342と等価な部分の関連性との間の相互インダクタンスは無視される。ループ内での形成のために、異なる対の間の距離は十分に離れており、上記で考慮されたような数値L0に関する相互インダクタンスを無視できる。
【0050】
導体間の抵抗損失および導体間の誘電体損失を無視すると、一対の部分のインピーダンスは、この実施形態で、Z=jL0ω+1/jC0ωとして表すことができる。
【0051】
図6は、部分の対5の第2の形態の電気的配置を示している。
【0052】
図6Aは、図6の対と同じ等価な電気的線図を示している。
【0053】
部分52、54の対5において、第1の部分52の第1の導体522は、第1のアクセス端子42に接続され、第1の導体522の他方の端部5222はフローティング状態になっている(接続されていない)。第2の部分54の第1の導電要素542は、部分52の側でフローティング状態(端部5422)になり、第1の導電要素542の他方の端部で、対5にアクセスするための端子44に接続されている。第1の部分52の第2の導体524は、相互接続部56によって第2の部分54の第2の導体544に接続される。部分524、544の端部5241、5441はフローティング状態になっている。
【0054】
電気的な観点から、そして、図6Aに示されているように、対3、5の導体が同じ長さを有すると仮定すると、対5において、数値C0/4を有する容量性要素と数値L0を有する誘電要素とは直列接続であり、数値L0は導体部分522、542の関連性に対応するインダクタンスを表しており、数値C0は(導体522と導体524との間の、および導体542と導体544との間の)全ての内部キャパシタンスを表している。
【0055】
この実施形態において、一対の部分のインピーダンスはZ=jL0ω+1/j(C0/4)ωである。
【0056】
電気的な観点から、直列の部分の2つの対3は、2倍の長さを有する部分の1つの対5に等しい。
【0057】
部分の対の各々が調整されるように、つまり、LCω=1になるように、上記長さはアンテナの動作周波数に適合されるであろう。対3と対5の間での対の種類の分布に従って、導電要素の長さ、および2つの部分の導体間の配線容量の値は変化させることができる。ここでは、容量性要素の値はもはや無視できず、アンテナはアンテナ環境の妨害の影響を受けにくい。
【0058】
図5および図6の形態における複数の部分の対を使ってアンテナを形成することによって、電気的回路が分割されることが可能になり、誘導要素が長くなりすぎることで誘導ループ回路に沿って流れる電流が回路全体において均一な振幅および位相を有することができなくなる状態を避けることができる。実際に、対の相互接続により同じ共振周波数の複数の共振回路は直列に接続される。そのとき、もはや誘導アンテナの長さに制限はない。
【0059】
異なる部分の対は必ずしも同じ長さを有する必要はないが、各対が、可能なら、対の間の接続部のレベルで2つの導体間に接続されて挿入されたキャパシタと共に、共振関係を有するようにする。
【0060】
図7は、誘導アンテナ、励起回路および設定回路の実施形態を示す図である。ここで、アンテナは第1の形態における3つの対3を備える。
【0061】
励起回路18は、高周波数発生器12(図1)の励起信号を受信する1次巻線182と、相互接続部4の代わりに2つの隣り合う対の端子42、44に接続された2次巻線184の2つの端子とを有する高周波数変圧器である。したがって、2次巻線は2つの対の間でこの接続を形成する。変圧器は、好ましくは、数値L0に関する動作周波数、例えば、カップリングが1に近いときに生じる動作周波数で無視できるインダクタンスを2次側に取り戻すように選択される。
【0062】
また、設定回路16は、これらの2つの対の導体324、344の自由端子3241、3441を接続し、よって、2つの対は接続される。回路16は、図7の例で、抵抗性回路(抵抗器R4)かつ容量性回路(キャパシタC4)である。キャパシタC4の機能はアンテナの共振周波数を調節することである。抵抗器R4の機能はアンテナの品質因子Qを選択された値に設定することであり、例えば、帯域幅を調節することである。
【0063】
キャパシタは異なる対の間に挿入しても良く、同じ部分の導体要素間、自由状態の導体要素(ここでは、同軸部分のコア)と、接続点42または接続点44(ここでは、同軸部分のブレード)との間、若しくは、各対の相互接続された部分の自由状態の導体間に接続されても良く、共振周波数を減少することになる。
【0064】
共振周波数を増加して対応する部分の総キャパシタンスを減少するように、自由状態の導体要素324または導体要素344(ここでは、コア)の長さもまた減少することができる。
【0065】
同様に、抵抗性要素は2つの対の間の導電要素の自由端子間に接続し、形成されることになるアンテナの品質因子を調整および減少しても良い。また、抵抗要素は2つの対の間の相互接続部4の代わりに挿入され、品質因子を調整および減少しても良い。
【0066】
異なる部分に与えられるべき形状は必ずしも直線で形成されなくても良い。図7に示されているように、部分は様々な配置に従うことができる。したがって、発明における閉じたアンテナは、フレームのパターンに従い、ループを作り、丸い形状を有し、若しくは、空間の3次元内の形状に従うことができる。
【0067】
上述した実施形態において、調整される回路は対の間の接続と共に図示される。変形例として、第2の形態(5)の対の場合に、そのような回路は部分の対の内部に挿入しても良い。このような場合、導入されるキャパシタは、要素522、542における2つの相互接続されていない自由端子を接続する。
【0068】
また、品質因子を減少するために、抵抗性要素は、接続部36、56で(第1の形態3および第2の形態5の)同じ対における2つの部分の導体間を接続する代わりに挿入されても良い。
【0069】
図8A図8Bおよび図9は、本発明の他の実施形態に従った導電性部分の対を示している。この実施形態では、導電性部分の対が、同軸の部分よりむしろねじれた導体によって形成できることを示している。
【0070】
図8Aおよび図8Bは、第1の形態における部分の対3の2つの実施形態を示している。
【0071】
図8Aにおいて、2つのねじれた配線部分は、同軸のケーブル部分に関して記載した方法と同様の方法で相互接続される。
【0072】
図8Bは、一対の交差した相互接続の部分の他の実施形態を示し、交差は、導体に接続された出力端子(例えば、符号44)を有する導体を、導体に接続された入力端子(例えば、符号42)を有する導体に対して反転することで実際に得られ、導電性部分は対の内側で分断されない。
【0073】
図9は、第2の形態における部分52、54の対5の実施形態を示し、該対5はねじれた導体で形成されている。
【0074】
さらに他の実施形態によると、図示していないが、部分の対は、ねじれていない導体を使って形成され、該導体は、遮蔽されている、または遮蔽されていない。
【0075】
さらに他の実施形態によると、図示していないが、部分の対は、絶縁基板上に置かれたトラックによって形成される。
【0076】
上記画定したようなアンテナは、少なくとも2つの幾何学的に突き合わされた長い線状の組立部品(3、5、3’)を備え、各部品は、部品の長さに従って、互いに絶縁した第1および第2の平行導電要素を備え、各端部に第1の導電要素と接続し、隣り合う組立部品に電気的に接続する単一の端子を備え、前記第2の導体は電気的に接続されておらず、該組立部品の全部又は一部は、第1及び第2の導体の各々が略中央で分断され、組立部品の他の導体に再接続される第1の形態、または第1の導体が略中央で分断され、第2の導体が分断されていない第2の形態である。
【0077】
そのような画定によると、導電要素は、2つの部分で形成された交差部(図3、5及び8A)の場合に、電気的に直列で、各接続端子が組立部品と同質(ブレード又はコア)の導体に接続される一方で、もう一方の端子には電気的に接続されないように使用される配線と異なる導電性配線である。
【0078】
特定の実施形態において、部分は一般的な同軸配線を切断することで形成され得る。実際に、100pF/m、60pF/mおよび45pF/mの配線容量値をそれぞれ有する50、75、93オームの特性インピーダンスで部分は存在する。例えば、50オームの同軸のケーブルを使って、約1μHのインダクタンスL0が交差接続部の場合に得られる。
【0079】
(ねじれた又はねじれていない)覆われた導体を使った他の特定の実施形態において、配線は30から40pF/mの略範囲の導体間の配線容量を有する。そのような配線を使って、略2μHから3μHの間の範囲の値を有するインダクタンスL0が例えば得られる。
【0080】
図10は、他の実施形態に従ったアンテナを簡略化して示す図である。他の実施形態のように、アンテナは、部分の(図5の第1の形態3または図6の第2の形態5の)少なくとも2つの対を備え、各部分は互いに絶縁された平行な導電要素で形成されている。図10の例で、同軸のケーブル部分の対が想定される。この構造は、第1の形態32、34または第2の形態52、54の2つの導電要素で形成された追加の半分の対で完成される。アンテナの端部に導電要素が存在する代わりに、半分の対が2つの対の間に挿入されることが可能である。アンテナの長さを調節するように追加の半分の対を使用できる。
【0081】
図11は、2つの同軸のケーブル部分61、63が平行に並んで機械的に配置され、同軸のケーブル部分のブレードが互いに電気的に接続され、少なくとも2つの端部で単一の第1の導電要素(接続部67)を形成している変形例を簡略化して示す図である。単一の第2の導電要素(一方の端部の接続部65)を形成するためにコアが電気的に接続されている。図11に示されている形態の各要素は、アンテナ構造の部分32、34、52または54を形成する。図11の部分の組み立てによって形成された部分の利点は、第1導電要素と第2導電要素との間の部分の配線容量を増加することである。これにより、同じ共振周波数による対の必要な長さを減少し、よって、アンテナ幾何学に関してより柔軟性をもたらすことが可能になる。
【0082】
同軸の部分でアンテナを形成すると、誘導性部分及び容量性部分を形成するために遮蔽部と導電性コアとの間のキャパシタンスに関してより利点があり、配線要素内のキャパシタンスより大きいキャパシタンスを有することになる(よって、同じ周波数について短くできる)。
【0083】
上述した実施形態の利点は、1MHzより大きい(通常、10から100MHzの間の)共振周波数への適用について大きさが大きいアンテナを形成できることである。よって、所望のフィールドを生成するためにループに沿った同質の電流の循環を有する間、アンテナはポータルおよびカウンタなどに生成されることができる。
【0084】
特定の実施形態として、(インダクタンスL0が略1.22μH又は1.21μH、複数のインダクタンスを考慮する)1.07mの展開長さを有するL配置である2つの対、および(インダクタンスL0が略1.20μH又は1.19μH、複数のインダクタンスを考慮する)1.08mの展開長さを有するU配置である1つの対に分断されている、50オーム、100pF/mの同軸配線(3.5mmのブレードの直径)の第1の形態の3対の導体で形成された略87cm×75cm(2つの部分の3倍)の矩形ループの形状で、13.56MHzの周波数で動作するように適合されたアンテナは製造できる。共振周波数は可変キャパシタによって調整されることができる。
【0085】
上述された様々な実施形態、様々な代替例及び様々な変形例が当業者には考えられるであろう。特に、導電性の部分および容量性要素に与えられる大きさは適用に依存し、これらの計算は、前述で与えられた機能的な指示、所望の共振周波数およびアンテナの大きさに基づいた当業者の能力の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11