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特許5697836磁気共鳴イメージング装置および操作コンソール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697836
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置および操作コンソール
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A61B5/05 390
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2008-4456(P2008-4456)
(22)【出願日】2008年1月11日
(65)【公開番号】特開2009-165538(P2009-165538A)
(43)【公開日】2009年7月30日
【審査請求日】2010年11月12日
【審判番号】不服2013-21845(P2013-21845/J1)
【審判請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 史浩
【合議体】
【審判長】 尾崎 淳史
【審判官】 平田 佳規
【審判官】 三崎 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−222429(JP,A)
【文献】 特開平06−277199(JP,A)
【文献】 特開昭59−157547(JP,A)
【文献】 特開平05−154123(JP,A)
【文献】 実開昭63−137612(JP,U)
【文献】 特開2005−021326(JP,A)
【文献】 特開2002−301060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場空間においてRFパルスを被検体に送信する送信部と、
前記被検体から磁気共鳴信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記磁気共鳴信号について画像再構成処理を実施することにより、前記被検体について磁気共鳴画像を再構成する画像再構成部と、
前記画像再構成部により再構成された前記磁気共鳴画像を表示画面に表示させる表示部とを有する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記送信部は、テスト画像が所定の図形を含む2次元画像となるテスト信号を出力するように構成され、
前記受信部は、前記送信部と接続されており、前記送信部から出力された前記テスト信号を受信し、
前記画像再構成部は、前記受信部により受信された前記テスト信号について画像再構成処理を実施することにより、テスト画像を再構成し、
前記表示部は、前記画像再構成部により画像再構成された前記テスト画像を前記表示画面に表示する、
磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記テスト画像に円形、楕円形又は四角形の画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記テスト画像にスリット画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記テスト画像にファントム画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
静磁場空間においてRFパルスを被検体に送信する送信部と、
前記被検体から磁気共鳴信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記磁気共鳴信号について画像再構成処理を実施することにより、前記被検体について磁気共鳴画像を再構成する画像再構成部と、
前記画像再構成部により再構成された前記磁気共鳴画像を表示画面に表示させる表示部とを有する操作コンソールであって、
前記送信部は、テスト画像が所定の図形を含む2次元画像となるテスト信号を出力し、
前記受信部は、前記送信部と接続されており、前記送信部から出力された前記テスト信号を受信し、
前記画像再構成部は、前記受信部により受信された前記テスト信号について画像再構成処理を実施することにより、テスト画像を再構成し、
前記表示部は、前記画像再構成部により画像再構成された前記テスト画像を前記表示画面に表示する、
操作コンソール。
【請求項6】
前記送信部は、前記テスト画像に円形、楕円形又は四角形の画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項5に記載の操作コンソール。
【請求項7】
前記送信部は、前記テスト画像にスリット画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項5に記載の操作コンソール。
【請求項8】
前記送信部は、前記テスト画像にファントム画像が含まれる前記テスト信号を出力する、
請求項5に記載の操作コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)および操作コンソール(console)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置は、核磁気共鳴現象を利用して磁気共鳴信号を発生させ、被検体の断層画像を撮影する装置である。
【0003】
撮影された断層画像は、被検体の体動、撮影パラメータ(parameter)の設定ミスなどの様々な原因によりアーチファクト(artifact)、ゴースト(ghost)または歪みなどの画像の乱れが生じる(例えば、特許文献1参照)。
また、上記の画像の乱れは、磁気共鳴イメージング装置の構成機器の不具合により生じる場合もある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−143626号公報(例えば、段落0005参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、磁気共鳴イメージング装置は、送信部および受信部の故障検出のための自己診断機能としてRFコイル(coil)を経由せずに送信部からテスト(test)信号を直接受信部に入力させるループバック(loop back)機能が設けられている場合がある。このループバック機能により、送信部から出力されるテスト信号は、直接受信部に入力され、制御部によりテスト信号の大きさが判断される。制御部が受信部にテスト信号が入力されているかを判断することにより、送信部および受信部における断線またはスイッチ(switch)の動作異常を検出することが可能である。また、受信部に入力されたテスト信号の大きさにより、増幅機能の故障を検出することが可能である。
【0006】
しかし、実際に被検体についての画像再構成された画像に発生する画像の乱れを生じさせる、制御信号を制御したり、画像再構成等を実施するスキャンコントロール(scan control)部の異常を検出することが難しい。また、S/N性能を判断することも難しい。
【0007】
また、実際に被検体について再構成された画像に画像の乱れが発生した場合、スキャン(scan)部に異常があるのか、スキャンコントロール部に異常があるのかを判断することが難しい。
【0008】
したがって、本発明は、実際に磁気共鳴イメージを行わなくても、再構成画像に発生するアーチファクトなどを生じさせるスキャンコントロール部の異常を検出することができる磁気イメージング装置および操作コンソールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、静磁場空間においてRFパルス(pulse)を被検体に送信する送信部と、前記被検体から磁気共鳴信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記磁気共鳴信号について画像再構成処理を実施することにより、前記被検体について磁気共鳴画像を再構成する画像再構成部と、前記画像再構成部により再構成された前記磁気共鳴画像を表示画面に表示させる表示部とを有する磁気共鳴イメージング装置であって、前記送信部は、テスト信号を出力するように構成され、前記受信部は、前記送信部と接続されており、前記送信部から出力された前記テスト信号を受信し、前記画像再構成部は、前記受信部により受信された前記テスト信号について画像再構成処理を実施することにより、テスト画像を再構成し、前記表示部は、前記画像再構成部により画像再構成された前記テスト画像を前記表示画面に表示する。
【0010】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像が2次元画像となるように、前記テスト信号を出力する。
【0011】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像にスリット(slit)画像を含むように、前記テスト信号を出力する。
【0012】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像がファントム(phantom)画像となるように、前記テスト信号を出力する。
【0013】
本発明は、静磁場空間においてRFパルスを被検体に送信する送信部と、前記被検体から磁気共鳴信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記磁気共鳴信号について画像再構成処理を実施することにより、前記被検体について磁気共鳴画像を再構成する画像再構成部と、前記画像再構成部により再構成された前記磁気共鳴画像を表示画面に表示させる表示部とを有する操作コンソールであって、前記送信部は、テスト信号を出力し、前記受信部は、前記送信部と接続されており、前記送信部から出力された前記テスト信号を受信し、前記画像再構成部は、前記受信部により受信された前記テスト信号について画像再構成処理を実施することにより、テスト画像を再構成し、前記表示部は、前記画像再構成部により画像再構成された前記テスト画像を前記表示画面に表示する。
【0014】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像が2次元画像となるように、前記テスト信号を出力する。
【0015】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像にスリット画像を含むように、前記テスト信号を出力する。
【0016】
好適には、前記送信部は、前記テスト画像がファントム画像となるように、前記テスト信号を出力する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実際に磁気共鳴イメージを行わなくても、再構成画像に発生するアーチファクトなどを生じさせるスキャンコントロール部の異常を検出することができる磁気イメージング装置および操作コンソールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下より、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
(装置構成)
図1は、本発明に係る一実施形態における磁気共鳴イメージング装置の構成を示す構成図である。本装置は、本発明の実施形態の一例である。
【0020】
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、スキャンコントロール部3と操作コンソール部4とから構成されている。ここで、スキャン部2は、静磁場マグネット(magnet)部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、クレードル(cradle)15とを有する。スキャンコントロール部3は、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24と、記憶部31と、画像再構成部33と、切替部35とを有する。操作コンソール部4は、制御部30と、操作部32と、表示部34とを有する。本実施形態におけるスキャンコントロール部3と操作コンソール部4とが、本発明の操作コンソールに相当する。
【0021】
スキャン部2について説明する。
【0022】
スキャン部2は、図1に示すように、被検体40における撮影スライス(slice)領域が収容される静磁場空間11を含んでいる。そして、スキャン部2は、スキャンコントロール部3からの制御信号に基づいて、その静磁場が形成される静磁場空間11に収容した被検体40の撮影領域にRFパルスを照射し、その撮影領域から磁気共鳴信号を取得するスキャンを実施する。
【0023】
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
【0024】
静磁場マグネット部12は、被検体40が収容される静磁場空間11に静磁場を形成するために設けられている。静磁場マグネット部12は、水平磁場型であって、被検体40が収容される静磁場空間11において載置される被検体40の体軸方向(z方向)に沿うように、超伝導磁石(図示なし)が静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、水平磁場型の他に、垂直磁場型であってもよく、永久磁石により構成されていてもよい。
【0025】
勾配コイル部13は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号に3次元の位置情報を持たせるために、静磁場空間11に勾配磁場を形成する。勾配コイル部13は、スライス選択勾配磁場、読み取り勾配磁場、位相エンコード(encode)勾配磁場の3種類の勾配磁場を形成するために勾配コイルを3系統有する。
【0026】
RFコイル部14は、たとえば、被検体40を囲むように配置される。RFコイル部14は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成される静磁場空間11内において、制御部30からの制御信号に基づいて、電磁波であるRFパルスを被検体40に送信して高周波磁場を形成する。これにより、被検体40の撮影スライス領域におけるプロトン(proton)のスピン(spin)を励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体40の撮影スライス領域におけるプロトンのスピンが元の磁化ベクトル(vector)へ戻る際に生ずる電磁波を、磁気共鳴信号として受信する。RFコイル部14は、同一のRFコイルによりRFパルスの送受信を行ってもよい。
【0027】
クレードル15は、被検体40を載置するテーブル(table)を有する。クレードル15は、制御部30からの制御信号に基づいて、静磁場空間11の内部と外部との間でテーブルに載置された被検体40を移動する。
【0028】
スキャンコントロール部3について説明する。
【0029】
図2は、本発明にかかる一実施形態におけるスキャンコンソール部と操作コンソール部を示すブロック図である。
【0030】
スキャンコントロール部3は、スキャン部2が被検体40のスキャンを実施するための制御信号をスキャン部2に送信し、そのスキャン部2が実施したスキャンによって得られた磁気共鳴信号に基づいて、被検体40の画像を生成する。
【0031】
スキャンコントロール部3を構成する各部について、順次、説明する。
【0032】
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて静磁場空間11内に高周波磁場を形成するために、図2に示すように、RF発振器221と信号送信部222とを有する。そして、RF発振器221からのRF信号を信号送信部222を介して、RFコイル部14またはデータ収集部24に出力する。
【0033】
RF発振器221は、後述する制御部30から入力されるパルスシーケンス(sequence)データに基づいて、RF信号を発振し、信号送信部222に出力する。
【0034】
信号送信部222は、デジタルダイレクトシンセサイザー(digital direct synthesizer)(以下、DDSとも称する)222aとデジタル/アナログ(digital/analog)変換器(以下、D/A変換機とも称する)222bとを有する。
【0035】
DDS222aは、RF駆動部22と後述のデータ収集部24の動作の基準信号となる参照信号を供給する。この参照信号がRF信号および磁気共鳴信号の位相の基準となる。
【0036】
D/A変換機222bは、デジタル信号で表された時間領域の波形をサンプリング(sampling)周波数でアナログ信号に変換する。そして、D/A変換機222bからの出力信号はRF電力増幅器(図示なし)で増幅され、RFコイル部14に出力される。
【0037】
勾配駆動部23は、後述する制御部30の制御信号に基づいて勾配コイル部13を駆動させて、静磁場空間11内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、勾配コイル部13の3系統の勾配コイルに対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0038】
データ収集部24は、図2に示すように、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集するために、アナログ/デジタル(analog/digital)変換器(以下、A/D変換機とも称する)241と位相検波器242とを有する。
【0039】
A/D変換機241は、位相検波器242により位相検波されたアナログ信号である磁気共鳴信号を、デジタル信号に変換して後述する画像再構成部33に出力する。
【0040】
位相検波器242は、RFコイル部14からの磁気共鳴信号を、DDS222aからの出力信号を参照信号として、位相検波する。
【0041】
記憶部31は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有する。そして、記憶部31は、データ収集部24に収集された画像再構成処理前の磁気共鳴信号、後述する画像再構成部33で画像再構成処理された画像データ等を記憶する。
【0042】
画像再構成部33は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとを有する。画像再構成部33は、データ収集部24に接続されており、データ収集部24から出力される磁気共鳴信号に対して各種の画像処理をして、画像データを生成する。
【0043】
切替部35は、信号送信部222が出力したRF信号をデータ収集部24に直接入力させるか、RFコイル部14に入力させるかの切替えを行うスイッチである。
被検体40の磁気共鳴イメージング画像を撮影する場合は、切替部35におけるスイッチを端子35aに切替える。スイッチを端子35aに切り替えることにより信号送信部222から出力されたRF信号は、RFコイル部14に入力される。
スキャンコントロール部3の不具合を確認する場合は、切替部35におけるスイッチを端子35bに切替える。スイッチを端子35bに切り替えることにより信号送信部222から出力されたテスト信号は、データ収集部24に入力される。
【0044】
操作コンソール部4について説明する。
【0045】
操作コンソール部4は、磁気共鳴イメージング装置を操作する操作部32、画像を表示する表示部34とを含む。
【0046】
操作コンソール部4を構成する各部について、順次、説明する。
【0047】
制御部30は、コンピュータ(computer)と、そのコンピュータを用いて所定のスキャンに対応する動作を各部に実行させるプログラム(program)を記憶するメモリ(memory)とを有する。そして、制御部30は、後述する操作部32に接続されており、操作部32に入力された操作信号を処理し、クレードル15とRF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24との各部に、制御信号を出力し制御を行う。また、制御部30は、所望の画像を得るために、操作部32からの操作信号に基づいて画像再構成部33および後述する表示部34を制御する。
【0048】
また、制御部30は、スキャンコントロール部3の動作を確認する際、画像再構成部33が画像再構成する画像が所望の画像となるようなRF信号をRF発振器221が発振するためのパルスシーケンスを決定し、RF駆動部22にパルスシーケンスデータとして出力する。
【0049】
操作部32は、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などの操作デバイス(device)により構成されている。操作部32を用いてオペレータ(operator)が撮像プロトコル(protocol)などのデータを入力し、イメージングシーケンス(image sequence)を実施する領域などの設定がされる。
【0050】
また、操作部32を用いてスキャンコントロール部3の動作を確認する際、RF発振器221が発振するRF信号の波形を設定するためのパルスシーケンスが入力される。
【0051】
表示部34は、ディスプレイ(display)などの表示デバイスにより構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。表示部34は、例えば、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目についての画像を表示画面に表示する。また、表示部34は、画像再構成部33が生成する被検体40のスライス画像を表示する。
【0052】
(動作)
以下より、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1を用いて撮像した画像に、スキャンコントロール部3が原因で発生するアーチファクト、歪み等を確認し、スキャンコントロール部3を評価するための画像を生成する際の動作について説明する。
【0053】
図3は、本発明にかかる一実施形態において、スキャンコントロール部の不具合を確認するための画像を生成する際の動作を示すフロー図である。
【0054】
図2に示すスキャンコントロール部3は、RF信号をスキャン部2に介さなくてもスキャンコントロール部3が原因で、画像再構成した断層画像にアーチファクト、ゴースト、歪みなどが発生するかの確認を行うことができる。
【0055】
まず、図3に示すように、ループバック機能を使用するためのスイッチ切替えを行う(ST10)。
【0056】
ここでは、信号送信部222からデータ収集部24にRF信号を直接入力させるループバック機能を使用することができるように、切替部35であるスイッチを端子35bに切り替える。スイッチを端子35bに切り替えることにより、信号送信部222から出力されたテスト信号を直接データ収集部24に入力させることができる。
【0057】
次に、図3に示すように、テスト信号のパルスシーケンスデータを決定する(ST20)。
【0058】
ここでは、オペレータが操作部32により入力されたテスト信号の条件に基づいて、制御部30がテスト信号のパルスシーケンスデータを決定する。
【0059】
具体的には、オペレータが、例えば、画像再構成を実施することにより得たい画像の形状、またスピンエコーやグラディエントエコーなどのテスト信号のパルスシーケンスなどを入力し、その入力データにより制御部30がRF発振器221により発振させるテスト信号のパルスシーケンスデータを決定する。
【0060】
次に、図3に示すように、RF発振器がテスト信号を発振する(ST30)。
【0061】
ここでは、ステップST20において制御部30が決定したパルスシーケンスデータに基づいて、RF発振器221がテスト信号を発振する。
【0062】
具体的には、制御部30から入力されたパルスシーケンスデータに基づいて、RF発振器221がテスト信号のパルスシーケンスを計算し、テスト信号を発振する。例えば、パルスシーケンスがスピンエコーであって、画像再構成を実施して生成される画像の形状が円形となるようなテスト信号を発振する。
【0063】
次に、図3に示すように、信号送信部によるテスト信号の変換を実施する(ST40)。
【0064】
ここでは、ステップST30においてRF発振器221が発信したテスト信号を信号送信部222に入力し、信号送信部222が入力されたテスト信号を変換する。
【0065】
具体的には、RF発振器221から信号送信部222にテスト信号を入力させ、信号送信部222におけるD/A変換機222bによりテスト信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。また、DDS222aにおいて、参照信号を生成する。
【0066】
次に、図3に示すように、データ収集部によるテスト信号の変換を実施する(ST50)。
【0067】
ここでは、ステップST40においてD/A変換機222bがアナログ変換したテスト信号をデータ収集部24に入力し、データ収集部24が入力されたテスト信号を変換する。
【0068】
具体的には、ループバック機能を使用できるように切替部35におけるスイッチが端子35bに切り替えられているので、信号送信部222から出力されたテスト信号は、直接データ収集部24に入力される。そして、データ収集部24に入力されたアナログ変換されたテスト信号を、A/D変換機241によりアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、デジタル変換されたテスト信号を、DDS222aからの出力信号を参照信号として、位相検波器242が位相検波する。
【0069】
次に、図3に示すように、画像再構成部により画像再構成を実施する(ST60)。
【0070】
ここでは、ステップST50において位相検波器242が位相検波したテスト信号を画像再構成部33に入力し、画像再構成部33が、入力されたテスト信号を画像再構成し、画像を生成する。
【0071】
具体的には、アナログ変換されたテスト信号を信号送信部222から画像再構成部33に入力させ、画像再構成部33によりテスト信号に対して画像再構成を実施し、テスト画像を生成する。
【0072】
図4は、テスト信号に対して画像再構成を実施したテスト画像を示す図である。図4(a)は、スキャンコントロール部3に不具合がない場合に生成されるテスト画像であり、図4(b)は、スキャンコントロール部3に不具合がある場合に生成されるテスト画像である。
図5は、テスト信号に対して画像再構成を実施したテスト画像の他の例を示す図である。
テスト画像50は、例えば2次元画像であり、例えば図4(a)に示すような円形の画像である。また、テスト画像50は、円形に限らず、四角形の画像であってもよく、またファントムを撮像したときの画像と同様なファントム画像であってもよい。また、2次元画像に限らず、点で示す1次元画像であってもよい。また、テスト画像50は、図5に示すようなスリット状のパターン画像であってもよく、円形の画像のような2次元画像などと同時に表示させてもよい。
【0073】
次に、図3に示すように、再構成画像を表示部に表示する(ST70)。
【0074】
ここでは、ステップST60において画像再構成部33が画像再構成を実施して得られたテスト画像50を表示部34における表示画面60に表示する。
【0075】
以上のように表示画面60に表示されたテスト画像50に基づいて、スキャンコントロール部3の不具合を判断する。例えば、スキャンコントロール部3に不具合が無い場合のテスト信号に対して画像再構成を実施すると、表示画面60に図4(a)のような円形のテスト画像50が表示される場合において、データ収集部24から出力されたテスト信号に対して画像再構成部33が画像再構成を実施したら、表示画面60に図4(b)に示すような歪んだ円のテスト画像50が表示された場合、スキャンコントロール部3に不具合があると判断する。また、画像再構成を実施することにより表示画面60に表示されたテスト画像50からS/N性能も判断する。
また、データ収集部24から出力されたテスト信号に対して画像再構成を実施すると、表示画面60に図5に示すようなスリット状のパターン画像が生成される場合、識別できる隣り合うパターンの間隔により解像度を判断する。
【0076】
以上のように、本発明の一実施形態は、ループバック機能を使用するためにスイッチを切り替える。そして、オペレータが入力したテスト信号の条件から制御部30がパルスシーケンスデータを決定し、RF発振器221がテスト信号のパルスシーケンスを発振する。そして、RF発振器221により発振されたテスト信号を信号送信部222がアナログ変換し、切替部35におけるスイッチを介して直接データ収集部24に入力される。そして、入力されたテスト信号をデータ収集部24がアナログ信号からデジタル信号に変換し、位相検波する。そして、位相検波されたテスト信号を画像再構成部33が画像再構成を実施し、テスト画像を生成する。そして、表示部34における表示画面60にテスト画像を表示させ、表示されたテスト画像からスキャンコントロール部3の不具合を判断する。
【0077】
このように、被検体やファントムなどに対して実際にスキャンを実施して画像を生成することなしに、ループバック機能により信号送信部から直接データ収集部に入力されたテスト信号を画像再構成することによりスキャンコントロール部の不具合を検出することができる。
また、実際にスキャンを実施して画像を生成し、表示画面に表示した画像に歪みやアーチファクトが発生していた場合、スキャン部に不具合があるのか、スキャンコントロール部に不具合があるのかを判断することは難しいが、本実施形態により生成した画像に歪みやアーチファクトが発生していた場合、スキャンコントロール部に不具合があることが分かる。
【0078】
なお、上記の本実施形態におけるRF駆動部22は、本発明の送信部に相当する。また、また、上記の本実施形態におけるデータ収集部24は、本発明の受信部に相当する。また、上記の本実施形態におけるスキャンコントロール部3および操作コンソール部4は、本発明の操作コンソールに相当する。
【0079】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、本発明に係る一実施形態における磁気共鳴イメージング装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明にかかる一実施形態におけるスキャンコントロール部と操作コンソール部とを示すブロック図である。
図3図3は、本発明にかかる一実施形態において、スキャンコントロール部の不具合を確認するための画像を生成する際の動作を示すフロー図である。
図4図4は、本発明に係る一実施形態におけるテスト信号に対して画像再構成を実施したテスト画像を示す図である。
図5図5は、本発明に係る一実施形態におけるテスト信号に対して画像再構成を実施したテスト画像を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1:磁気共鳴イメージング装置 2:スキャン部 3:スキャンコントロール部 4:操作コンソール部 11:静磁場空間 12:静磁場マグネット部 13:勾配コイル部 14:RFコイル部 15:クレードル 22:RF駆動部(送信部) 23:勾配駆動部 24:データ収集部(受信部) 30:制御部 31:記憶部 32:操作部 33:画像再構成部 34:表示部 35:切替部 50:テスト画像 60:表示画面 221:RF発振器 222:信号送信部 222a:DDS 222b:D/A変換器 241:A/D変換器 242:位相検波器
図1
図2
図3
図4
図5