(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697839
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】SSOI基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20150319BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
H01L27/12 B
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2008-209039(P2008-209039)
(22)【出願日】2008年8月14日
(65)【公開番号】特開2009-49411(P2009-49411A)
(43)【公開日】2009年3月5日
【審査請求日】2011年8月5日
(31)【優先権主張番号】10-2007-0083630
(32)【優先日】2007年8月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508247486
【氏名又は名称】シルトロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】金 寅謙
(72)【発明者】
【氏名】姜 錫俊
(72)【発明者】
【氏名】陸 炯相
【審査官】
綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0160328(US,A1)
【文献】
特開2003−347229(JP,A)
【文献】
特開2006−269552(JP,A)
【文献】
特開2007−096274(JP,A)
【文献】
特表2003−524876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/205
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板を提供するステップと、
前記第1基板の表面にSiGeを成長させて、不純物層を有するSiGe層を形成するステップと、
前記SiGe層の表面に前記SiGeの格子定数よりも小さい格子定数を有するSiを成長させて変形シリコン層を形成するステップと、
前記変形シリコン層の表面からイオンを前記不純物層内まで注入して前記不純物層内にイオン注入層を形成するステップと、
酸化膜が形成された第2基板を提供するステップと、
前記変形シリコン層と前記酸化膜が対向するように前記第1基板と前記第2基板を接合して接合基板を形成するステップと、
前記接合基板を熱処理して、前記イオン注入層で分離するステップと、
分離された前記第2基板の表面から残留する前記SiGe層を除去して、前記変形シリコン層、酸化膜、および第2基板から成るSSOI基板を完成するステップと、
を含み、
前記SiGe層は、複数回のエピタキシャル工程を介して形成され、
前記SiGe層は、
上側に行くほどゲルマニウム濃度が増加するグレード層と、
前記グレード層の表面にゲルマニウム濃度が均一に保持される均一層と、
を含み、
前記SiGe層の前記均一層は、
前記グレード層の表面に位置する第1の均一層と、
前記第1の均一層の表面に位置する前記不純物層と、
前記不純物層の表面に位置する第2の均一層と、
を備える
ことを特徴とするSSOI基板の製造方法。
【請求項2】
前記不純物は、ホウ素、リン、またはヒ素のうちのいずれか1つの元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項3】
前記不純物層は、ジボラン、ホスフィン、またはアルシンガスのうちの少なくともいずれか1つを用いて、形成されることを特徴とする請求項2に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項4】
前記不純物の濃度は、1e15cm-3〜1e20cm-3であることを特徴とする請求項3に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項5】
前記不純物は、10sccm〜300sccmの流量で供給されることを特徴とする請求項3に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項6】
前記不純物は、1Torr〜760Torrの圧力でドーピングされることを特徴とする請求項3に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項7】
前記不純物は、100℃〜1200℃の温度でドーピングされることを特徴とする請求項3に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項8】
前記イオンは水素イオン(H+、H2+)を含み、前記水素イオンの濃度は1015cm-2〜1017cm-2であることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項9】
前記グレード層に含まれた前記ゲルマニウム濃度は、10%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項10】
前記均一層の厚さは、0.1μm〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項11】
前記変形シリコン層の成長は、エピタキシャル成長を介してなされることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項12】
前記接合基板を形成するステップは、
接合前に前記第1基板および第2基板の接合面を洗浄して乾燥させるステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項13】
前記接合基板を形成するステップは、
接合後に前記第1基板と前記第2基板を加圧するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項14】
前記接合基板は、100℃〜600℃の温度で熱処理され、
前記熱処理は、1時間〜数時間に渡って1回以上実行されることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【請求項15】
前記SiGe層の除去は、湿式エッチング、乾式エッチング、およびCMPのうちの少なくともいずれか1つでなされることを特徴とする請求項1に記載のSSOI基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SSOI基板を製作する製作方法に関し、より詳細には、デバイス特性向上のために必須的な表面微小粗度が優ぐれた基板を提供し、低温熱処理でも接合基板の分離が可能なSSOI基板の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
T.A.Langdoなどは、Solid−state electronics 48(2004)に「Strained Si on insulator technology:from materials to devices」という題目でSSOI製造方法および特性に関する論文を発表した。
【0003】
シリコン基板に傾いたシリコンゲルマニウム層を成長した後、その上に弛緩したシリコンゲルマニウム層を一定のゲルマニウム含量を有するように成長し、最上層にストレインドシリコンを成長させた。次に、弛緩したシリコンゲルマニウム層内にイオンを注入して酸化したシリコンウエハと接合および熱処理した後、弛緩したシリコンゲルマニウム層のイオン注入領域から分離がなされて最上層にシリコンゲルマニウム層の一部が残る構造を形成し、この層は800度以下の湿式酸化工程および希薄したフッ酸を活用して除去してSSOIを製造した。また、米国特許第6,992,025 B2号の「Strained silicon on insulator from film transfer and relaxation by hydrogen implantation」によれば、シリコン基板上にシリコンゲルマニウム層を形成させるときに、ゲルマニウム含量が一定になるようにした後、水素イオン注入をしてシリコンゲルマニウム層を弛緩した後、ストレインドシリコンを成長してストレインドシリコン基板を製造している。この後、酸化したシリコンウエハとの接合時に、接合強度強化のために250℃、14時間以下で熱処理を進め、400℃、4時間以下で熱処理によってイオン注入領域から分離がなされるようにしている。この後、最上層に存在するシリコンゲルマニウム層の一部を乾式エッチングで除去した後、分離したシリコンゲルマニウム表面粗度を向上させるための化学的機械的研磨(CMP)前に900℃、1時間以下で熱処理が進められ、湿式エッチング方法でシリコンゲルマニウムを除去し、最終的にSSOI構造を有する基板を製造している。
【0004】
上述した技術は、水素イオン注入を用いた分離および層転移技術であって、製造過程に用いられた2枚のウエハのうちで1枚のストレインドシリコンウエハにイオン注入を進め、さらに他の1枚の酸化膜ウエハと常温で接合がなされる。接合されたウエハは、一連の工程を介してイオン注入深さだけの層転移現象が発生し、1枚のウエハ上にシリコン酸化膜と転移したイオン注入層、すなわちシリコンゲルマニウムの一部とストレインドシリコン層が存在する構造を有するようになる。このとき、最上層に存在するシリコンゲルマニウムを除去し、最終的にSSOI構造を有するウエハを生成することができる。
【0005】
このような製造過程において、イオン注入による分離および層移転技術は、比較的高い温度を必要とするため、昇温、保持、下降時の工程所要時間が長く、分離直後の表面粗度特性値が高く形成される。分離直後の表面粗度特性値が高い場合には、シリコンゲルマニウム除去後に表面粗度を向上させる別途の工程を必要とする場合があるため工程が複雑になるし、このような結果は電子および正孔の移動に影響を及ぼすため、デバイス製造時に移動度特性を低下させる原因となる虞がある。
【特許文献1】米国特許第6,992,025B2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題点を解決するために、本発明は、デバイスの特性向上のために必須的な表面微小粗度が優ぐれた基板を製造することができるSSOI基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、エピ成長段階中に不純物がドーピングされた層にイオンを注入し、低温の熱処理でも容易に分離することができるSSOI基板の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明のSSOI基板を製造する方法は、基板を提供するステップと、前記基板の表面にSiGeを成長させてSiGe層を形成するステップと、前記SiGe層の表面に前記SiGeの格子定数よりも小さい格子定数を有するSiを成長させて変形シリコン層を形成するステップと、前記変形シリコン層表面にイオンを注入するステップとを含んでなされ、前記SiGe層には、前記イオンが注入される深さに前記SiGe層の成長中に不純物がドーピングされる。
【0009】
前記不純物は、B、P、およびAsのうちのいずれか1つの元素を含むことができ、気体状態で供給する場合には、B
2H
6、PH
3、およびAsH
3ガスのうちの少なくともいずれか1つを用いて構成することができる。さらに、前記不純物の濃度は1e15〜1e20cm
-3で供給され、約10〜300sccmの流量で供給されることが好ましい。
【0010】
ここで、前記不純物は、約100〜1200℃の温度と、約1〜760Torrの圧力下でドーピングされることが好ましい。
【0011】
前記イオンは水素イオン(H
+、H
2+)を含み、このとき、前記水素イオンの濃度は約10
15〜10
17cm
-2となることが好ましい。
【0012】
このような前記SiGe層は、上側に行くほどゲルマニウム濃度が増加するグレード層と、前記グレード層の表面に成長され、ゲルマニウム濃度が均一に保持される均一層(uniform layer)とを含むことができる。さらに、前記均一層には、前記不純物層が形成される。
【0013】
一方、前記グレード層に含まれた前記ゲルマニウム濃度は、約10〜100%を保持することが好ましい。さらに、前記均一層は、その厚さが約0.1〜5μmで形成されることが好ましく、インサイチュ(in−situ、「その場」)工程を介して成長されることが好ましい。
【0014】
一方、本発明の前記SiGe層および変形シリコン層の成長は、エピタキシャル成長を介してなされる。
【0015】
また、本発明のSSOI基板の製造方法は、第1基板を提供するステップと、前記第1基板の表面にSiGeを成長してグレードおよび均一な(ユニホーム)SiGe層を形成するステップとを含む。ここで、前記SiGe層には、前記イオンが注入される深さにエピ成長中に不純物がドーピングされ、表面平坦化のためのCMP工程を実行するステップをさらに含むことができる。次に、前記SiGe層の表面に前記SiGeの格子定数よりも小さい格子定数を有するSiを成長させて変形シリコン層を形成するステップと、前記変形シリコン層表面から前記SiGe層にイオンを注入するステップと、酸化膜が形成された第2基板を提供するステップと、前記変形シリコン層と前記酸化膜が対向するようにして前記第1基板と前記第2基板とを接合して接合基板を形成するステップと、前記接合基板を熱処理して前記SiGe層を中心に分離するステップと、前記分離した前記SiGe層を除去するステップとを含む。
【0016】
また、前記接合基板を形成するステップは、接合前に前記第1基板および第2基板の接合面を洗浄して乾燥させるステップをさらに含むことができる。
【0017】
さらに、前記接合基板を形成するステップは、接合後に前記第1基板と前記第2基板を加圧するステップをさらに含むことができる。
【0018】
このような前記接合基板は、約100〜600℃の温度条件で熱処理をし、前記イオンが注入された層を中心に2つに分離することができる。ここで、前記イオンが注入された層は、前記SiGe層で注入されたイオンの濃度が最も高い地点を意味する。
【0019】
前記熱処理は、1時間〜数時間に渡って少なくとも1回以上なされることが好ましい。
【0020】
本発明における前記第1基板および第2基板は、シリコン基板を用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、SiGe層の内部に不純物をドーピングし、この不純物層にイオンを注入することによって、注入されたイオンとホウ素などの不純物の相互作用によってクラックがより一層よく生成および成長されることで、低い温度でも分離が可能であるという効果がある。
【0022】
また、分離面の粗度が良好であるため乾式エッチング、CMP、熱処理などのような別途の表面処理作業が必要なく、追加的な工程による費用負担を減らすことができる上に作業所要時間を減らすことができ、大量生産に寄与するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限されたり限定されたりすることはない。本発明で用いられる基板は、SiO
2からなるシリコン基板を用いることができるが、これに限定されたり制限されたりすることはない。
【0024】
まず、
図1は、本発明の変形シリコン層が形成された第1基板を製造する方法を説明するための断面図である。これに示すように、まず、シリコンからなる第1基板100を提供する。さらに、第1基板100の上面には、SiGeが成長されたSiGe層110が形成される。ここで、SiGeは、エピタキシャル成長によって第1基板100の上面に層を形成することができる。本発明のSiGe層110は、厚さが数百nm〜数μmになることができる。
【0025】
SiGe層110は、第1基板100から離隔するほどゲルマニウムの濃度が濃くなるグレード層112と、グレード層112の上面から均一なゲルマニウム濃度を有する均一層114とからなる。ここで、グレード層112は、上側に行くほどゲルマニウムの濃度が濃くなるため、これによって格子定数が大きくなる。通常、グレード層112のゲルマニウムの濃度は、約10〜100%になることができる。
【0026】
このとき、SiGe層110は、欠陥制御のために第1基板100とグレード層112との間に約10%以下の低いゲルマニウム濃度を有するSiGe層が形成されたり、ゲルマニウムが含有されていないSi層が形成されたりする。このような低いゲルマニウム濃度を有するSiGe層とゲルマニウムが含有されていないSi層の厚さは、数百nm〜数μmで形成されることが好ましい。
【0027】
一方、SiGe層110は、グレード層112および均一層114のように2つの濃度パターンを有する形態で形成されることができるが、これに限定されたり制限されるものではなく、グレード層112のみで形成されたり、均一層114のみで形成されたりする場合もある。
【0028】
ここで、SiGe層110は、エピタキシャル成長を介して形成され、具体的な製造過程は次のとおりである。すなわち、均一層114の厚さが2μmでありイオン注入深さが400nmである場合に、均一層114をインサイチュ工程を介して、まず1.5μm厚さだけエピタキシャル成長させ、続いてそれぞれ100nmを有する5つの層に分け、残りの0.5μm厚さだけエピタキシャル成長させることができる。このとき、層の数と厚さは、イオン注入深さに応じて装備で実現が可能な範囲で減らしたり増やしたりできることは勿論である。
【0029】
ここで、注入されたイオンの深さが約200nm以下である場合には、SiGe層に不純物をドーピングし、注入されたイオンとの相互作用を誘導することができる。
【0030】
不純物ドーピングは、約1e15〜1e20cm
-3の高濃度で行うことが好ましく、ドーピングの際に用いられる不純物ガスとしては、ジボラン(diborane:B
2H
6)、ホスフィン(phosphine:PH
3)、またはアルシン(arsine:AsH
3)のうちの少なくともいずれか1つを用いることができる。
【0031】
続いて、不純物層120がドーピングされた均一層114にシリコンをエピタキシャル成長させる。しかしながら、ここで、SiGe層110の格子定数がシリコンの格子定数よりも大きいため、成長するシリコンは伸長する方向に応力を受けるようになり、変形シリコン層140に成長するようになる。
【0032】
変形シリコン層140は、SSOI基板上に形成される素子に応じて所望する厚さだけ成長させることができ、通常、数十nm〜数百nmの厚さを有する。
【0033】
一方、変形シリコン層140を成長させる前に、SiGe層110を平坦化するためのCMP工程を実施することもできる。
【0034】
続いて、水素イオン(H
+またはH
2+)をイオン注入方式で注入し、SiGe層110内部にイオン注入領域を形成する。イオンは不純物層120まで注入されることができ、不純物層120に注入されたイオンとドーピングされた不純物との間の相互作用により、この後に熱処理によってマイクロクラックが生成、成長しながら分離する。すなわち、不純物層120の不純物原子は、イオン注入された多数の原子をトラップさせる役割をし、この後に熱処理によってトラップされた原子が内部で拡散しながらイオン注入領域を基準として分離する。
【0035】
注入される水素イオンの濃度は、通常、約10
15〜10
17cm
-2が適当であり、イオンを注入するために要されるイオン注入エネルギーは、数十Kev〜数百KeVが適当である。このようなイオン注入エネルギーを増加させるほど水素イオンは基板深く注入されるが、イオン注入エネルギーを調節することによってSiGe層110内部にイオン注入領域を形成することもでき、グレード層112、ゲルマニウムを含まないi(intrinsic,
真性)SiGe層、または低いゲルマニウム濃度を有するSiGe層、さらには第1基板100内部までにもイオン注入領域を形成することができる。
【0036】
イオン注入領域が形成される最大深さは、結果的に基板を分離した後に除去しなければならない層の種類および厚さと関連する。すなわち、イオン注入領域の深さが深いほど除去しなければならないSiGe層の厚さが厚く、反対に、イオン注入領域の深さが浅いほど除去しなければならないSiGe層の厚さが薄い。
【0037】
また、注入されたイオンによって変形シリコン層140にも影響を及ぼすため、変形シリコン層140の損傷および分離された層の状態を総合的に考慮して、注入されるイオンの量とイオン注入エネルギーを適切に調節することが好ましい。
【0038】
図2は、
図1の第1基板と酸化膜が形成された第2基板とを接合する過程を説明するための断面図である。
【0039】
これに示すように、上側に変形シリコン層140が形成された第1基板100と、酸化膜210が形成された第2基板200とを接近する。通常、酸化膜210は、SiO
2からなるシリコン酸化膜を用いることができる。
【0040】
ここで、酸化膜210を形成する方法として、1つはシリコン基板を熱酸化して形成することができ、この他にも、シリコン基板上にSiO
2を蒸着することによって形成することができる。酸化膜210は、SSOI基板上に形成される素子を電気的に分離する役割をするようになるが、通常、約100〜200nmの厚さで形成される。
【0041】
第1基板100と第2基板200は、変形シリコン層140とシリコン酸化膜210とを互いに対向するように接合して接合基板を形成する。通常、第1基板100および第2基板200を接合する前に、第1基板100および第2基板200の両接合面をSC−1などの洗浄液と純水で洗浄および乾燥することが好ましい。
【0042】
一方、第1基板100および第2基板200の両接合面を対向させた状態で軽く加圧すれば、両接合面に沿って接合領域が拡散しながら2つの基板はより一層良好に接合される。ここで、第1基板100および第2基板200の間の接合力を向上させるために、相対的に低温、例えば100〜600℃の温度で1段階または2段階に分けて1時間〜数十時間熱処理することができる。
【0043】
図3は、
図2から接合基板を分離する過程を説明するための断面図であり、
図4は、
図3から不純物層とSiGe層を除去して完成したSSOI基板を説明するための断面図である。
【0044】
図に示すように、イオンが注入されたイオン注入層130を中心に、第1基板100と第2基板200は互いに分離される。すなわち、第1基板100と第2基板200が接合されて形成された接合基板を、比較的に低温状態である100〜600℃の温度下で数十分〜数時間熱処理するようになれば、イオン注入層130にマイクロクラックが生成されるが、このようなクラックが成長しながら接合基板が2つに分離する。
【0045】
一方、接合基板の分離面は、粗度を有する面で形成される。
【0046】
分離面が形成された不純物層120と均一層114をSC1エッチングによる湿式エッチングによって除去することで、最終的に変形シリコン層140、酸化膜210、および第2基板200が順次に積層されたSSOI基板300を形成することができる。ここで、SC1エッチングによる湿式エッチングの他に、乾式エッチング工程を実行することもでき、表面粗度向上のための化学的機械的研磨工程を実行することもできる。このような方法は、個別に用いられたり、並行して用いられたりする。
【0047】
図5は、本発明のSSOI基板を製造する過程を説明するためのフローチャートである。
【0048】
これに示すように、まず、シリコンからなる第1基板を提供する(S11)。次に、第1基板にSiGe層を成長させ(S12)、SiGe層は、第1基板から離隔するほどゲルマニウム濃度が大きくなるグレード層と、グレード層の上側に均一なゲルマニウム濃度を有する均一層とで形成される。均一層を形成した後、イオン注入深さに該当する厚さに不純物をドーピングして不純物層を形成する(S13)。次に、不純物層の上側に均一なゲルマニウム濃度を有するSiGe層をインサイチュ工程を介して形成する(S14)。次に、SiGe層の上側にSiGeの格子定数よりも小さい格子定数を有するSiを成長させて変形シリコン層を形成する(S15)。次に、変形シリコン層から不純物層までイオンを注入し、分離のためのイオン注入層を形成する(S16)。次に、酸化膜が形成された第2基板を提供する(S21)。次に、変形シリコン層の表面と酸化膜の表面を洗浄および乾燥させる(S31)。次に、変形シリコン層と酸化膜が互いに対向した状態で第1基板と第2基板を接合して接合基板を形成する(S32)。次に、接合基板を熱処理し、イオン注入層を中心に接合基板を分離させる(S33)。次に、分離した面を有する不純物層と均一層を除去し、変形シリコン層、酸化膜、および第2基板が順次に積層されたSSOI基板を形成する(S34)。
【0049】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の変形シリコン層が形成された第1基板を製造する方法を説明するための断面図である。
【
図2】
図1の第1基板と酸化膜が形成された第2基板とを接合する過程を説明するための断面図である。
【
図3】
図2から接合基板を分離する過程を説明するための断面図である。
【
図4】
図3から不純物層とSiGe層を除去して完成したSSOI基板を説明するための断面図である。
【
図5】本発明のSSOI基板を製造する過程を説明するためのフローチャートである。
【0051】
100:第1基板
110:SiGe層
112:グレード層
114:均一層
120:不純物層
130:イオン注入層
132:イオン
140:変形シリコン層
200:第2基板
210:酸化膜
300:SSOI基板