(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ブロー型には、それぞれ別の型締め装置に対して着脱される一対のブローキャビティ型と上げ底型とが含まれている。よって、別の駆動装置に対して着脱される一対のブローキャビティ型と上げ底型とを一体ユニットとして取り扱うことが困難であり、取り付け/取り外し時の作業性が悪かった。
【0009】
ここで、ブローキャビティ型締め装置がブロー成形機の基盤上に配置される一方で、上げ底型締め装置がブロー成形機の基盤下方に配置されている。このため、ブロー成形機の基盤上にブロー型を取り付け/取り外しする際に、特に基盤下方での作業が強いられる上げ底型の交換作業が煩雑となる。
【0010】
この交換作業は、2列のブロー型を有する場合にさらに煩雑となる。例えば、2列のブロー型を型締め/型開きする型締め/型開き装置は、特許文献1の
図5及び
図6では片側駆動とし、横タイバーでブロー型同士を連結していたからである。横タイバーが存在すると、ブロー成形
機の基盤上でブロー型を滑らせて搬入出することができないからである。
【0011】
本発明の幾つかの態様は、別個の駆動装置に対してそれぞれ着脱される一対のブローキャビティ型と上げ底型とを一体として取り扱うことできるブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機を提供することにある。
【0012】
本発明の他の幾つかの態様は、別個の駆動装置に対して着脱される2列の一対のブローキャビティ型と2列の上げ底型とを一体として取り扱うことできるブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一態様は、
ブロー成形機の基盤に取り付けられるブロー型ユニットにおいて、
パーティング面同士を当接させて型締めされる第1,第2のブローキャビティ割型と、前記第1,第2のブローキャビティ型にて規定される複数のキャビティに複数の上げ底形状を規定する複数の底型と、を有するブロー型と、
前記第1のブローキャビティ割型が固定される第1の固定板と、
前記第2のブローキャビティ割型が固定される第2の固定板と、
前記第1,第2のブローキャビティ型の各々の両側面側に配置されて、前記第1,第2の固定板にそれぞれ固定される複数の第1の圧受板と、
前記第1,第2の固定板の間に配置されて、前記複数の上げ底型を第1面に固定する第3の固定板と、
前記第3の固定板の前記第1面と対向する第2面より垂下され、下端を自由端部とする複数の軸部と、
前記第3の固定板の下方にて、前記第1,第2の固定板に固定される複数の第2の圧受板と、
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様によれば、第1,第2のブローキャビティ割型及び第1,第2の圧受け板を固定する第1,第2の固定板の間に、複数の上げ底型を支持する第3の固定板が配置され、第3の固定板は、第3の固定板の下方にて第1,第2の固定板にそれぞれ固定される複数の第2の圧受板に当接されて、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時には位置決めすることができる。こうして、第1,第2のブローキャビティ割型及び複数の底型が一体ユニット化される。第3の固定板より垂下される複数の軸部は、上げ底型を昇降する駆動軸の一部であるが、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時には、ブロー成形機の上げ底型昇降装置とは切り離されている。また、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時には、第1,第2の固定板も、型締め/型開き装置の型締め板とは切り離されている。よって、ブロー型ユニットを一体として、ブロー成形機に対して取り付け/取り外しすることができる。
【0015】
(2)本発明の一態様では、記第1及び第2の固定板の各々の下端には、前記基盤上を摺動するスライド板が固定され、前記第3固定板が前記複数の第2の圧受板に当接した状態で、前記複数の軸部の前記自由端部を前記スライド板の下面の水平高さ位置よりも上方に位置させることができる。
【0016】
こうすると、ブロー型ユニットの最下面はスライド板となり、第3の固定板より垂下する複数の軸部がブロー型ユニットのスライド移動時にブロー成形機側の部材と干渉することがない。
【0017】
(3)本発明の一態様では、前記複数の軸部のうちの2本の軸部の前記自由端部には、前記基盤より突出される底型駆動ロッドの上端部とカップリング部材により連結される被連結部を形成することができる。
【0018】
こうすると、底型駆動ロッドが下降駆動された際に、カップリング部材を介して下降駆動力を2本の軸部に伝達することができ、上げ底型を下降駆動することができる。カップリング部材により2本の軸部を底型駆動ロッドの上端部と連結/非連結することができるので、ブロー型ユニットの交換作業が簡易化される。しかも、上述の通り、複数の軸部の自由端部が常に基盤上に位置していれば、カップリング部材の着脱も基盤上で行うことができる。なお、複数の軸部は、カップリング部材を介して底型駆動ロッドの上端部と連結されない軸部を含むことができ、非連結の軸部は、少なくとも突出される底型駆動ロッドの上端部により押し上げられて上げ底型を型締め移動させると共に、型締め時には圧受けすることができる。なお、カップリング部材により連結される2本の軸部は、複数の上げ底型の配列方向の両端側に位置する2本とすると、回転搬送型ブロー成形機ではカップリング作業空間を広く確保できる。その場合、非連結の軸部は、連結される2本の軸部の間に配置され、第3の固定板の撓みを防止でき、複数の上げ底型の高さ精度が向上する。それにより、成形品1Cの成形品質が向上する。
【0019】
(4)本発明の一態様では、前記複数の第2の圧受板のうち、前記2本の軸部を囲む各2つの第2の圧受け板は、前記第1,第2の固定板にそれぞれ固定された一対の割型状に形成され、型締め時に前記2本の軸部と干渉しないを逃げる逃げ部を有し、
前記複数の第2の圧受板のうち、前記2本の軸部を除く他の軸部を囲む他の各2つの第2の圧受板は、前記第1,第2の固定板の一方に固定され、前記他の軸部の周囲にブッシュを有することができる。
【0020】
こうして、第2の圧受板でも第1,第2のブローキャビティ型の型締め力を圧受けすることができる。
【0021】
(5)本発明の一態様では、前記第1〜第3の固定板には、温調媒体の通路を形成することができる。こうして、第1,第2の固定板を介して第1,第2のブローキャビティ型を温調例えば冷却することができる。同様に、第3の固定板を介して上げ底型を温調例えば冷却することができる。第3の固定板は、第2の圧受け板も温調例えば冷却することができ、それにより第3の圧受け板の熱膨張を防止して、複数の軸部との密着性を維持することができる。
【0022】
(6)本発明の一態様では、前記ブロー成形機に対する着脱時に前記第1,第2の固定板を仮止めする仮止め部材を、着脱自在に装着する装着部をさらに有することができる。
【0023】
こうすると、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時に、ブロー型締め/型開き装置との連結が解除されてフリーの状態の第1,第2の固定板を位置決めすることができる。これにより、ブロー型ユニット単体でフリーな部材がなくなり、ハンドリングが容易となる。
【0024】
(7)本発明の一態様では、前記ブロー型は、2列の各列にてパーティング面同士を当接させて型締めされる前記第1,第2のブローキャビティ割型と、2列の各列に設けられた前記複数の上げ底型と、を有する2列のブロー型にて構成され、
前記第1の固定板には、前記2列のブロー型の各々の前記第1のブローキャビティ割型が背面合わせで固定され、
前記2列のブロー型の各々の前記第2のブローキャビティ割型に、2つの前記第2の固定板を設けることができる。
【0025】
このように、本発明の一態様は体積及び重量の大きい2列のブロー型を有するブロー型ユニットに特に有効である。2列のブロー型の各々の第1のブローキャビティ割型を第1の固定板に背面合わせで固定することで、特許文献1の
図10に示すような横タイバーが不要となり、ブロー型ユニットをブロー成形機の基盤上でスライド移動させても干渉する部材は存在しない。
【0026】
(8)本発明の一態様では、前記ブロー成形機に対する着脱時に前記2つの第2の固定板を仮止めして、前記2つの第2の固定板を前記第1の固定板に対して位置決めする仮止め部材を、着脱自在に装着する装着部をさらに有することができる。
【0027】
こうすると、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時に、ブロー型締め/型開き装置との連結が解除されてフリーの状態の2つの第2の固定板を第1の固定板に対して位置決めすることができる。これにより、ブロー型ユニット単体でフリーな部材がなくなり、ハンドリングが容易となる。
【0028】
(9)本発明の一態様では、前記基盤に固定される2つの固定ブロックをさらに有し、
前記2つの固定ブロックの各々は、前記複数の第1の圧受板のうち、前記第1の固定板に固定された各列の前記第1のブローキャビティ型の両側面側にそれぞれ位置する各2つの第1の圧受板に固定されると共に、前記2つの固定ブロックの各々は、前記各2つの第1の圧受板を前記基盤に固定することができる。
【0029】
2つの第1のブローキャビティ型を背面合わせで固定した第1の固定板は、ブロー型型締め/型開き時にも移動させる必要がない。そこで、第1の固定板に固定された第1の圧受板を2つの固定ブロックを介して、ブロー成形機の基盤に固定するようにしている。これにより、ブロー型ユニット300をブロー成形機に固定することができる。
【0030】
(10)本発明の一態様では、前記2つの固定ブロックの各々は、前記基盤と転接するローラーと、前記ローラーが前記基盤と転接しない上昇位置から前記ローラーが前記基盤と転接する下降位置へと、前記ローラーを下降駆動させるローラー駆動部材と、を有することができる。
【0031】
(11)本発明の一態様では、前記基盤に固定された2つの型締め/型開き駆動部の外壁に、各々の両端が固定される2つの補強板をさらに有し、
前記2つの補強板の各々の中間部は、前記2つの固定ブロックよりも上方位置にて、各列の前記第1のブローキャビティ型の片面側の2つの前記第1の圧受板を前記2つの型締め/型開き駆動部に固定することができる。
【0032】
2つの補強板は、2つの固定ブロックにより下端が固定された2つの第1のブローキャビティ型の上端が、型開閉方向の一方に倒れることを防止している。バックラッシュ等に起因するわずかな同期ずれで2つの第2のブローキャビティ型Bの一方が先に第1のブローキャビティ型に対して型締めされると、下端でのみ固定された第1のブローキャビティ型62Aの上端が倒れてしまうおそれがあるからである。
【0033】
(12)本発明の一態様では、前記第1の固定板の上面に、前記第1,第2のブローキャビティ型と型締めされるネック型を移送する移送板の下限位置を規制する複数のストッパーを突出形成することができる。
【0034】
この複数のストッパーにより、移送板の下限ストッパーとしての機能と、移送板の平行度を保つ機能とを実現できる。複数のネック型の配列方向にて移送板が傾きあるいは撓むと、複数のリップ型の型締め高さ位置が区々となり、成形品質が劣化してしまうからである。
【0035】
(13)本発明の他の態様は、上述の構造を有する1列のブロー型を含むブロー型ユニットを用いたブロー成形機を定義している。1列のブロー型でも上げ底型を昇降させる場合があり、その場合に別の駆動装置に対して着脱される一対のブローキャビティ型と上げ底型とを一体ユニットとして取り扱うことが可能となり、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時の作業性が改善される。
【0036】
(14)本発明のさらに他の態様は、上述の構造を有する2列のブロー型を含むブロー型ユニットを用いたブロー成形機を定義している。2つのブローキャビティ型を背面合わせて固定した2列のブロー型では、上げ底型を昇降させることが必須であり、その場合に別の駆動装置に対して着脱される一対のブローキャビティ型と上げ底型とを一体ユニットとして取り扱うことが可能となり、ブロー型ユニットの取り付け/取り外し時の作業性が改善される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0040】
先ず、本発明が適用される一態様として、2列のブロー型を用いたブロー成形機の一例について説明する。なお、本発明は下記実施形態のようにしてピッチ変換されるブロー成形機に限らず、特許文献1に示すピッチ変換その他の種々のピッチ変換方式を採用できる。また、本発明は2列のブロー型を有するブロー型ユニットに限定されず、例えば特許文献2のような1列のブロー型を有するブロー型ユニットにも適用可能である。以下の実施形態では、ブロー型が1列の場合の構造例についても適宜言及する。
【0041】
1.ブロー成形機での成形工程と列ピッチ
図1は本実施形態に係る回転搬送型ブロー成形機での主要4工程を示す概略説明図である。この4工程とは、射出成形工程、温調工程、ブロー成形工程及び取出し工程である。回転搬送型ブロー成形機10では、一周360°の搬送領域を4分割した各領域に、射出成形ステーション12、温調ステーション14、ブロー成形ステーション16及び取出しステーション18が設けられている。各ステーション10〜18に間欠的に回転搬送される4枚の移送板(広義には搬送支持部材)20A〜20Dが設けられている。
図1では、移送板20Aが順次、射出成形ステーション12、温調ステーション14、ブロー成形ステーション16及び取出しステーション18に間欠搬送される状態が図示されている。
【0042】
移送板20A〜20Dの各々には、成形品1(プリフォーム1A、予備ブローされたプリフォーム1Bまたは容器1C)が保持プレート30を介して支持される。本実施形態の2列の保持プレート30(
図1では図示せず、
図2〜
図8参照)は、列ピッチをP1,P2,P3(P1<P3<P2)の3種類に可変である。例えば、P1=190mm、P2=290mm、P3=210mmである。
【0043】
図2〜
図8は、4工程での2列の保持プレート30の列ピッチを示している。なお、2列の保持プレート30は、列方向にスライド自在に移送板20(20A〜20D)に支持されている(特許文献1の
図2参照)。一列の保持プレート30は、特開平8−244103の
図1〜
図3のようにして移送板20に支持される。
【0044】
射出成形ステーション12では、
図2に示すように、2列の射出キャビティ型40と2列の保持プレート30にそれぞれ保持されたネック型42と、射出コア型(図示せず)とを用いて、複数(
図1では12個)のプリフォーム1Aを射出成形する。この射出成形時の列ピッチは最小ピッチP1である。なお、射出成形時には、移送板20Aは搬送時の高さH1よりも距離Lだけ低い高さH2まで下降されて、移送板20Aに保持されたネック型42を2列の射出キャビティ型40に型締めしている。プリフォーム1Aの射出成形後は、移送板20Aが上昇されて、ネック型42に保持された複数のプリフォーム1Aが射出
キャビティ型40より離型される。また、図示しない射出コア型も上昇されて複数のプリフォーム1A内から離型される。この後は、ネック型42に保持された複数のプリフォーム1Aは、移送板20Aを回転することで温調ステーション14に移送される。
【0045】
搬送方向にて射出成形ステーション12の下流に配置された温調ステーション14では、
図3に示すように、複数のプリフォーム1Aを2列の温調ポット型50の加熱された各内壁面に複数のプリフォーム1Aの各々の胴部を接触させてブロー適温に温調する。本実施形態では、2列の温調ポット型50内で複数のプリフォーム1Aを予備ブローし、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bを温調ポット型50の内壁面に接触して温調している。これにより、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bの胴部が拡径される(
図4参照)と共にブロー適温に温調される。この温調時での2列の保持プレート30列ピッチは、例えば射出成形時と同じくP1である。つまり、2列の温調ポット型50の列ピッチもP1である。これに代えて、2列の温調ポット型50の列ピッチを中間ピッチP3(P1<P3<P2)とし、温調時には2列の保持プレート30の列ピッチを中間ピッチP3としても良い。なお、2列の温調ポット型50は昇降可能であり、温調時には2列の温調ポット型50が上昇位置に設定される。また、予備ブローする温調ポット型50は、開閉可能な一対の温調ポット割型52A,52Bで構成されている。また、この温調工程では、温調コアを用いても良い。なお、本実施形態では、後述する通り予備ブローは必須でないはない。
【0046】
本実施形態では、例えば予備ブローされた複数のプリフォーム1Bを回転搬送する際には、
図4に示すように、2列の保持プレート30の列ピッチは中間ピッチP3(P3<P1)に設定される。その理由は、以下に説明するとおり、ブロー成形工程に存在する。
【0047】
搬送方向にて温調ステーション14の下流に配置されたブロー成形ステーション16は、
図5〜
図7に示すように、2列のブロー型60を有する。ブロー成形ステーション16では、型締めされた2列のブロー型60内にて、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bを複数の容器1Cにブロー成形する(
図6参照)。このブロー成形時にも、射出成形工程と同様に移送板20Aが下降され、高さH3に設定される。
【0048】
2列のブロー型60の各々は、
図6に示すように、一対のブローキャビティ割型62A,62Bと、上げ底型63とを有する。2列に配置された各列の複数の上げ底型63により、
図7に示すように複数の容器1Cには上げ底1C1が形成される。各々の一対のブローキャビティ割型うち列方向にて隣り合う内側の2つのブローキャビティ割型62Aは背面合わせで固定され、列方向にて外側の2つのブローキャビティ割型62Bが型締め/型開き駆動される。列方向にて外側の2つのブローキャビティ割型62Bは型開き駆動されて、型開き時には2列のブロー型の列ピッチがP2に設定される(
図5及び
図7参照)。つまり、一対のブローキャビティ割型62A,62Bは、ブロー型締め時のブロー中心線(
図5に示すピッチP3の寸法線)に対して型開き時には非対称位置に配置される(
図5参照)。ブロー型60が一列の場合には、一対のブローキャビティ割型62A,62Bは、ブロー型締め時のブロー中心線に対して型開き時には線対称位置に配置される。
【0049】
2列のブロー型60が型開された状態では、2列の保持プレート30の列ピッチがP3に設定されており、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bが2列のブロー型60の各々の一対のブローキャビティ割型62A,62Bの間に搬入される。このとき、もし2列の保持プレート30の列ピッチがP3より小さいP1に設定されていると、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bが一対のブローキャビティ割型62A,62Bの間に搬入される時に、固定されたブローキャビティ割型62Aと干渉してしまうからである。この際、特許文献1のように列ピッチを最大ピッチP2に設定すると、回転搬送半径が大きくなり、他の部材との干渉や省スペース上で好ましくない。
【0050】
上述の干渉を防止するためには、上述した通り温調工程の開始前に列ピッチP3に設定することもできる(この場合には温調ポット型がP3ピッチ配列)。要は複数のプリフォーム1Bを保持する状態で2列の保持プレート30の列ピッチがP3とされ、2列のブロー型60との干渉を防止できれば良い。なお、
図5では、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bが、列ピッチがP2に設定された2列のブロー型60に搬入されているが、これに限定されない(後述の
図16及び
図17参照)。ブローキャビティ割型62Bは、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bと干渉しない位置まで、予め型閉駆動しておいても良い。こうすると、一サイクル内でのブロー成形動作に余裕が生ずる。
【0051】
図5に示す搬入後に、2列のブロー型60は型締めされて、型締め時での列ピッチがP1となる(
図6参照)。2列の保持プレート30の列ピッチもP1に設定される。このときに、2列の保持プレート30の列ピッチ変換動作は、2列のブロー型60の型締め動作と同期して行なうことができる。ただし、2列の上げ底型63の列ピッチは、
図6に示す列ピッチP1で固定とすることができる。ブロー成形工程は、予備ブローされた複数のプリフォーム1B内にブローコア型より高圧エアーを導入すると共に延伸ロッドを縦軸駆動して行なう。
【0052】
ブロー成形後に、2列のブロー型60は型開きされる。まず、複数の上げ底型63が下降されて型開きされ、その後に第2のブローキャビティ型62Bが型開きされて、2列のブロー型60の列ピッチがP2となる(
図7参照)。このとき、2列の保持プレートの列ピッチがP2に設定されて、複数の容器1Cが2列のブロー型60の各々の一対のブローキャビティ割型62A,62Bの間から搬出される。2列の保持プレート30の列ピッチ変換動作は、2列のブローキャビティ型62Bの型開き動作と同期して行なうことができる。複数の上げ底型63を先に型開きする理由は、ブローキャビティ型62Bと共に保持プレート30に保持された容器1Cが水平移動する時に、上げ底型63がブロー成形位置にあると、上げ底型63が容器1Cの上げ底1C1と干渉して容器1Cが破損してしまうからである。
【0053】
その後、移送板20Aが上昇駆動され、さらに回転搬送されて、2列の容器1Cが列ピッチP2で搬送される。
【0054】
最後に、取出しステーション18では、2列の保持プレート30の列ピッチがP1に設定される(
図8)。ここで、2列の保持プレート30は一対の分割板30A,30Bで構成され、ネック型42は各分割板30A,30Bに固定された一対のネック割型42A,42Bとで構成される。よって、容器1Cの取り出しは、公知の手法によって一対のネック割型42A,42Bを開放駆動して、
図8に示すようにして容器1Cを取り出すことができる。この際、2列の保持プレート30の列ピッチP1は小さいが、
図8に示すように2列の保持プレート30を一つずつ取出し駆動すれば、2列の保持プレート30の開閉ストロークを確保することができる。
【0055】
2.ブロー成形機
2.1.射出成形ステーションとブロー成形ステーションの概要
図9は、金型を取り付け前の状態でのブロー成形機の正面図である。機台70上に下部基盤72が固定され、その上方には上部基盤74が固定されている。
図9では、射出成形ステーション12とブロー成形ステーション16とが示されている。
図9に示す射出成形ステーション12及びブロー成形ステーション16では、
図2及び
図5〜
図7と同じく、移送板20A,20Cが降下した高さH2またはH3に設定されている状態が描かれている。射出成形ステーション12では、下部基盤72上に射出コア型40(
図2参照)が配置され、ブロー成形ステーション16では、下部基盤72上にブロー型60(
図5〜
図7参照)が配置される。なお、以下の説明では、射出成形ステーション12には移送板20Aが、温調ステーション14には移送板20Bが、ブロー成形ステーション16には移送板20Cが、取出しステーション18には移送板20Dが、それぞれ位置しているものとして説明する。
【0056】
射出成形ステーション12にて移送板20Aを昇降させるために、移送板20Aを回転可能かつ昇降自在に保持する受け部材80より下方に延びる複数の駆動ロッド82が設けられている。複数の駆動ロッド82の下端は連結部材84にて連結されている。下部基盤72に固定されたシリンダー86Aと、連結部材84に固定されたロッド86Bとを有する移送板昇降部86により、移送板20Aが昇降される。
【0057】
ブロー成形ステーション16にて移送板20Cを昇降させるために、移送板20Cを回転可能かつ昇降自在に保持する受け部材90より上方に延びる複数の駆動ロッド92が設けられている。
図9では省略されているが、この複数の駆動ロッド92を、連結部材を介して昇降させる移送板昇降部が、上部基盤74に設けられている。
【0058】
その他の駆動部として、射出成形ステーション12には縦型締め装置100や射出コア離型部102等が設けられている。また、ブロー成形ステーション16には、延伸ロッド昇降部104、ブローコア昇降部106、上げ底型昇降部(昇降装置)108及びブロー圧受け板昇降部110などが設けられている。
【0059】
以下、列ピッチ変換には無関係な射出成形ステーション12を除き、各ステーション14〜18について説明する。
【0060】
2.2.温調ステーション及び列ピッチ変換用リンク機構
図10は、
図3に示す温調ポット型50を取り付ける前の状態での温調ステーション14を示している。温調ステーション14では、下部基盤72に固定されたポット昇降部120により昇降されるポット台122が配置されている。このポット昇降部120の駆動により、
図3に示す温調ポット型50を昇降させることができる。
【0061】
図11は、移送板20A〜20Cを下方から見た図である。ただし、保持プレート30はネック型が取り付けられる前の状態である。列ピッチ変換駆動部130の一つとして、温調ステーション14に停止した移送板20Bに設けられた2列の保持プレート30の列ピッチをP1からP3に変換するP1−P3ピッチ変換部140が、上部基盤74に設けられている。P1−P3ピッチ変換部140は、保持プレート30の長手方向の両端側にそれぞれ配置することができる。
【0062】
P1−P3ピッチ変換部140は、
図12及び
図13に示すように、上部基盤74に支持された揺動軸142の廻りに揺動する揺動アーム144と、この揺動アーム144を揺動させるアーム駆動部146とを有する。アーム駆動部146は、上部基盤74に固定されたシリンダー146Aと、揺動アーム144の一端に例えばピン結合されたロッド146Bとを有する。シリンダー146Aによりロッド146Bが伸張駆動されると、揺動アーム144の他端(例えばローラー144Aを有する)が上方に移動される。
【0063】
一方、各移送板20A〜20Dに設けられた2列の保持プレート30は、P1−P3ピッチ変換部140(列ピッチ変換駆動部130の一つ)の駆動力により変位して、列ピッチを変換する列ピッチ変換用リンク機構150を、長手方向の両端側にそれぞれ有する。この列ピッチ変換用リンク機構150は、2列の保持プレート30に一端がそれぞれ回動自在に支持された一対の第1アーム150Aと、一対の第1アーム150Aの他端を異軸または同軸にて回動自在に連結する連結アーム150Bを含む。さらに、列ピッチ変換用リンク機構150は、連結アーム150Bに一端が固定され、他端が移送板20Bに支持されて、列ピッチ変換時に移動案内されるガイドロッド152を含む。ガイドロッド152は移動案内される鉛直方向に沿って離間して配置された3つの被係合部152A,152B,152Cを含む(被係合部152Cが
図12及び
図13に、被係合部152A,152Bは
図14に示されている)。本実施形態では、3つの被係合部152A,152B,152Cは、
図14に示すように、ガイドロッド152の表面に形成された円周溝としている。
【0064】
P1−P3ピッチ変換駆動部140は、
図12の列ピッチP1の状態から
図13の列ピッチP3の状態に向けて揺動アーム144を揺動すると、揺動アーム144の先端のローラー144Aが、列ピッチ変換用リンク機構150の連結アーム150Bを押し上げる。こうすると、
図13に示すように一対の第1アーム150Aの交差角が広くなって、2列の保持プレート30の列ピッチを拡大できる。しかも、一対の第1アーム150Aはガイドロッド152を中心線として線対称に移動するので、2列の保持プレート30も列方向と直交する中心線に対して線対称で移動される。
【0065】
移送板20Bは、2列の保持プレートの列ピッチをP1,P2,P3にそれぞれ維持する可変列ピッチ維持部材160を含むことができる。この可変列ピッチ維持部材160は、
図14に示すように、移送板20Bに形成された孔に嵌入される嵌入部162Aを備えたガイド筒体162を有する。このガイド筒体162にはガイドロッド152が挿通案内される貫通孔162Bが形成されている。この貫通孔162Bは、
図15に示すように、複数例えば4つの放射孔162Cと連通している。各放射孔162Cには、3つの被係合部152A,152B,152Cの一つに弾性的に係合される係合部165が支持されている。係合部165は、3つの被係合部152A,152B,152Cの一つに嵌入されるプランジャ164と、プランジャ164の抜け止めとしての一対の割リング166A,166Bと、一対の割リング166A,166Bに沿って設けられた弾性部材例えばOリング168とを含んでいる。プランジャ164は、球体と軸部との2ピースとしてもよい。
【0066】
図12に示すように列ピッチがP1の時には、
図14に示すように、係合部165は被係合部152Aと弾性的に係合している。この位置でガイドロッド152の高さが固定されるので、列ピッチ変換用リンク機構150により保持プレート30の列ピッチはP1に保持される。そして、温調工程後に
図13のようにガイドロッド152が変位されると、係合部165は被係合部152Bと弾性的に係合して、列ピッチがP2に変換されて保持される。
【0067】
2.3.ブロー成形ステーション
次に、ブロー成形ステーション16について、
図16〜
図20を参照して説明する。ただし、上げ底型63を含む2列のブロー型60の取り付け/取り外しに関する構造については後述する。
【0068】
図16は、列ピッチP3に設定された2列の保持プレート30が、移送板20Cによってブロー成形ステーション16に搬入された状態を示している。
図17は、
図16に示す高さH1にあった移送板20Cを高さH3まで下降させて、列ピッチP3に設定された2列の保持プレート30に保持された予備ブロー済のプリフォーム1Bを、型開き状態の2列のブロー型60内に搬入した状態を示している。なお、
図16及び
図17では、型開きされた2列のブロー型60は、
図5のように列ピッチP2ではなく、列ピッチP3よりも少し広い列ピッチになるように、型開後に型閉駆動されている。こうすることで、予備ブロー済のプリフォーム1Bの搬入後に、型開ピッチP2から型閉駆動を開始する場合よりも、型閉駆動時間を短縮できる。
【0069】
次に、
図18に示すように2列のブロー型60を型締めしてブロー成形工程を実施することになるが、その説明に先駆けて、2列のブロー型60を型締め/型開きする型締め/型開き装置200について説明する。
【0070】
型締め/型開き装置200は、2列のブロー型60のうち列方向で最外側に位置する2つのブローキャビティ割型62B,62Bをそれぞれ型締め/型開き駆動する2つの型締め/型開き駆動部202を有する。各型締め/型開き駆動部202は、例えば油圧シリンダー204と、ロッド206とを含む。2本のロッド206は、2つのブローキャビティ割型62B,62Bを取り付けた型締め板208,208に連結されている。2つのブローキャビティ割型62B,62Bをそれぞれ駆動する2つの型締め/型開き駆動部202を設けたので、型締め/型開き装置200はタイバーレスにて構成することができる。
【0071】
こうすると、ブロー型60等の着脱やメインテナンスは、ブロー成形機の側面から水平方向にブロー型60等を搬入出すれば良い。一方、特許文献1の
図10に示すように横タイバーを有する場合には、横タイバーが邪魔をするので、ブロー型60等を搬入出に多大な労力を要する。
【0072】
2つの型締め/型開き駆動部202は、油圧制御上は同期をとるとしても、機械的に同期して2つのブローキャビティ割型62B,62Bが移動する保障はない。そこで、本実施形態では、型締め/型開き装置200は、2つのブローキャビティ割型62B,62Bを同期移動させる割型同期部材210を設けている。この割型同期部材210は、2つのブローキャビティ割型62B,62Bに連結されたラック212,214と、このラック212,214に噛合するギア216を含むピニオンギア216とを含む。これにより、2つのブローキャビティ割型62B,62Bを同期移動される。
【0073】
列ピッチ変換駆動部130は、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bを保持した2列の保持プレート30の列ピッチを、2列のブロー型60のブロー型開き駆動と同期してP1からP2に拡大させるP1−P2ピッチ変換駆動部220を、ブロー成形ステーション16にて有する。P1−P2ピッチ変換駆動部220は、2つのブローキャビティ割型62B,62Bの同期移動に応じて変位する割型同期部材210と係合して、2列の保持プレート30の列ピッチを変換駆動し、かつ、2列の保持プレート30の列ピッチを2つのブローキャビティ割型62B,62Bの型開き移動と同期して列ピッチP1から列ピッチP2に変換するものである。
【0074】
このP1−P2ピッチ変換駆動部220は、上述したピニオンギア216のギア216Aと同軸のギア216Bと、このギア216と噛合して昇降されるラック218とを含む。ラック218には、2列の保持プレート30に設けられた列ピッチ変換用リンク機構150の連結アーム150Bを介してガイドロッド152を押し上げ駆動する駆動ロッド218Aが固定されている。
【0075】
列ピッチ変換駆動部130は、予備ブローされた複数のプリフォーム1Bを保持した2列の保持プレート30の列ピッチを、2列のブロー型60の型締め駆動と同期してP3からP1に縮小させるP3−P1ピッチ変換駆動部230をさらに有する。このP3−P1ピッチ変換駆動部230は、2つの型締め板208,208の上部にて互いに近接する方向に突出する2つの押動部232,232を有する。この2つの押動部232,232は、2つの型締め板208,208型締め方向に移動する過程で2列の保持プレート30またはその付属品を押動し、型締め完了により2列の保持プレート30の列ピッチがP1に設定される。
【0076】
これら型締め/型開き装置200、割型同期部材210、P1−P2ピッチ変換駆動部220及びP3−P1ピッチ変換駆動部230を有するブロー成形ステーション16では、
図18に示す型締め動作と、
図19に示す型開き動作を実施することができる。
図18に示す型締め時には、2列のブロー型60は列ピッチP1で型締めされ、2列の保持プレート30もP3−P1ピッチ変換駆動部230と列ピッチ変換用リンク機構150により列ピッチがP1となる。一方、
図19に示す型開き時には、2列のブロー型60は列ピッチP2で型開きされ、2列の保持プレート30もP1−P2ピッチ変換駆動部220と列ピッチ変換用リンク機構150により、駆動ロッド218Aにより連結アーム150Bが押し上げられて列ピッチがP2となる。
【0077】
図20では、移送板20Cが高さH1に復帰され、複数の容器1Cが2列のブロー型60より取り出され、その際に2列の保持プレート30の列ピッチはP2に維持される。その後、移送板20Cは間欠搬送されて取出しステーション18に移送される。
【0078】
2.4.取出しステーション
列ピッチ変換駆動部130は、
図21及び
図22に示す取出しステーション18にて複数の容器1Cを2列の保持プレート30から取り出す前に、2列の保持プレート30の列ピッチをP2からP1に戻し駆動するP2−P1ピッチ変換駆動部240を有する。P2−P1ピッチ変換駆動部240は、保持プレート30の長手方向の両端側にそれぞれ設けられている。このP2−P1ピッチ変換駆動部240は、上部基盤74に固定されたシリンダー242と、シリンダー242により挿脱されるロッド244とを含む。突出駆動されたロッド244が列ピッチ変換用リンク150のガイドロッド152を押動して、2列の保持プレート30の列ピッチがP2からP1に変更される。
図21及び
図22は、共に列ピッチがP1に変更された後の状態を図示している。
【0079】
取出しステーション18は、複数の容器1Cを2列の保持プレート30から取り出す取出し駆動部250をさらに有する。ここで、例えば特許文献1の
図3等にて公知のように、2列の保持プレート30の各々は一対の分割板を含み、複数のネック型42の各々は、対の分割板に固定された一対のネック割型を含み、一対の分割板の間隔を広げることで複数の容器ICが取出される。
【0080】
各列に設けられた取出し駆動部250は、上部基盤74に固定されたシリンダー252と、シリンダー252により挿脱されるロッド254と、ロッド254の下端に固定された楔状部材256とを含む。本実施形態では、取出しステーション18は、列ピッチがP1に設定された2列の保持プレート30を一列毎に順次取出し駆動している。
図22は、右列の保持プレート30から容器1Cを取り出し駆動した状態を示している。
図21に示すように、列ピッチP1に設定された2列の保持プレート30,30の間隔は狭くなる。この狭い間隔では、2列の保持プレート30,30を同時に取出し駆動すると、開放された保持プレート30同士が干渉してしまう。これを防止するには、取出し時の保持プレートのピッチを広くする必要があるが、次工程が列ピッチP1にて行なわれる射出成形工程であることを考慮すると、ピッチP1で取出しを行ことが無駄なピッチ変換を要さずに済むし、省スペースともなる。本実施形態では、を一列毎に取出し駆動を行なうことで、取出し時の2列の保持プレート30の列ピッチをP1に維持できる。
【0081】
3.ブロー型ユニット
3.1.ブロー型ユニットの構造
図23は、ブロー型ユニット300を含むブロー成形ステーション16の概略斜視図である。
図23に示すように、ブロー成形機10の下部基盤72に取り付けられるブロー型ユニット300は、パーティング面同士を当接させて型締めされる第1,第2のブローキャビティ割型62A,62Bと、第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bにて規定される複数のキャビティに複数の上げ底形状を規定する複数の上げ底型63と、を有するブロー型60を有する。
【0082】
ブロー型ユニット300はさらに、第1のブローキャビティ割型62Aが固定される第1の固定板310と、第2のブローキャビティ割型62Bが固定される第2の固定板312とを有する。本実施形態のように、ブロー型ユニット300が2列のブロー型60を有する場合、第1の固定板310には、2列のブロー型60の各々の第1のブローキャビティ割型62Aが背面合わせで固定される。2列のブロー型60を有するブロー型ユニット300では、2つの第2の固定板312は、型締め/型開き装置200の2つの型締め板208に連結される。なお、1列のブロー型60のみ有する場合には、第1,第2の固定板310,312が型締め/型開き装置200の2つの型締め板208に連結される(例えば特開平8−244103の
図5参照)。
【0083】
ブロー型ユニット300はさらに、第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bの各々の両側面側に配置されて、第1,第2の固定板310,312にそれぞれ固定される第1の圧受板320を有する。1列のブロー型60には4つの第1の圧受板320が設けられ、2列のブロー型60では計8つの第1の圧受板320が設けられる。第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bの型締め力は、対向配置された一対の第1の圧受け板320にて圧受けされる。
【0084】
ブロー型ユニット300は、複数の上げ底型63を支持する機構も有する。上げ底型63の支持機構について、
図24及び
図25を参照して説明する。ブロー型ユニット300は、
図25に示すように第1,第2の固定板310,312の間に配置されて、
図24(A9(B)に示すように複数の上げ底型63を第1面330Aに固定する第3の固定板330を有する。この第3の固定板330には、第3の固定板330の第1面330Aと対向する第2面330Bより垂下され、下端を自由端部とする複数例えば4本の軸部340(342,344)が設けられている。さらに、ブロー型ユニット300は、第3の固定板の下方にて、第1,第2の固定板310,312に固定される複数の第2の圧受板350(352,354)を有する。
【0085】
このように、第1,第2のブローキャビティ割型62A,62B及び第1,第2の圧受け板320,
350を固定する第1,第2の固定板310,312の間に、複数の上げ底型63を支持する第3の固定板330が配置され、第3の固定板330は、第3の固定板330の下方にて第1,第2の固定板310,312にそれぞれ固定される複数の第2の圧受板350に当接されて、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時には位置決めすることができる。
【0086】
こうして、第1,第2のブローキャビティ割型62A,62B及び複数の上げ底型63が一体ユニット化される。第3の固定板330より垂下される複数の軸部340は、上げ底型63を昇降する駆動軸の一部であるが、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時には、ブロー成形機10の上げ底型昇降装置108とは切り離されている。また、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時には、第1,第2の固定板310,312も、型締め/型開き装置200の型締め板208とは切り離されている。よって、ブロー型ユニット300を一体として、ブロー成形機10に対して取り付け/取り外しすることができる。
【0087】
なお、ブロー型ユニット300は、
図11の平面図にて例えば矢印A方向から取り付け/取り外しすることができる。この際、体積及び重量が大きい2列のブロー型60を有するブロー型ユニット300では、2列のブロー型60の各々の第1のブローキャビティ割型62Aを第1の固定板310に背面合わせで固定することで、横タイバーが不要となる。よって、
図11の平面図にて矢印A方向から取り付け/取り外しても、ブロー型ユニット300と干渉する部材は存在しない。
【0088】
4本の軸部340のうち、
図24に示すように例えば上げ底型63の配列方向にて両側の2本を第1の軸部342とし、残りの2本を第2の軸部344とすることができる。第1の軸部342は、
図26に示すように、第3の固定板330に固定される固定端部342Aと、自由端部342Bとを有し、自由端部342Bには溝部(被連結部)342Cが形成されている。一方、第2の軸部344は、
図27に示すように、第3の固定板330に固定される固定端部344Aと、自由端部344Bとを有し、自由端部
344Bはフランジ部344Cの形状に加工され、第1の軸部342のような溝部342Cは形成されていない。
【0089】
第1の軸部342の自由端部342Bの下方には、
図24、
図25及び
図28(A)に示すように、第1の連結部360が配置される。一方、第2の軸部344の自由端部344Bの下方には、
図24に示すように、第2の連結部362が配置される。第1,第2の連結部360,362は共に、
図9に示す上げ底型昇降部(昇降装置)108の4本の駆動ロッド(図示せず)の上端に、例えば螺合等により固定される。よって、底型昇降部(昇降装置)108により駆動ロッドが上昇されると、第1,第2の連結部360,362を介して4本の軸部340(342,344)が押し上げられ、第3の固定板330に固定された複数の上げ底型63を型締めすることができる。また、4本の軸部340(342,344)は、上げ底型昇降部(昇降装置)108の4本の駆動ロッド(図示せず)の上端と当接することで、上げ底型63の型締め時には圧受けすることができる。
【0090】
底型昇降部(昇降装置)108により駆動ロッドが下降される際には、2本の第1の軸部342を介して底型63を下降させて型開きする。このために、2本の第1の軸部342と第1の連結部360とを連結させるカップリング部材370が設けられている。
【0091】
このカップリング部材370により連結される第1の連結部360は、
図28(A)に示すように、第1の軸部342の被連結部(溝部)342Cと同様な被連結部(溝部)360Aを有する。カップリング部材370は、例えば第1カップリング部372にヒンジ部274を介して開閉自在な第2カップリング部374を有する。第1カップリング部372には、第1の軸部342の被連結部(溝部)342C及び第1の連結部360の被連結部(溝部)360Aにそれぞれ嵌合する第1,第2の突起部372A,372Bが設けられる。第2カップリング部374にも、第1の軸部342の被連結部(溝部)342C及び第1の連結部360の被連結部(溝部)360Aにそれぞれ嵌合する第1,第2の突起部374A,374Bが設けられる。第1,第2カップリング部372,374を閉じてボルト376で締結することで、第1の軸部342と第1の連結部360とが連結される。
【0092】
こうすると、カップリング部材370により2本の第1の軸部342を底型駆動ロッドの上端部と連結/非連結することができるので、ブロー型ユニット300の交換作業が簡易化される。しかも、後述の通り、複数の軸部340の自由端部342B,344Bが常に下部基盤72上に位置していれば、カップリング部材370の着脱も基盤上で行うことができる。カップリング部材370により連結される2本の第1の軸部342は、複数の上げ底型36の配列方向の両端側に位置する2本とすると、回転搬送型ブロー成形機10では、
図11の上げ底型63の配列方向Aの両側にて、カップリング作業空間を広く確保でき、作業性が向上する。その場合、非連結の第2の軸部344は、連結される2本の第1の軸部342の間に配置されることで、第3の固定板330の撓みを防止でき、複数の上げ底型36の高さ精度が向上する。それにより、成形品1Cの成形品質が向上する。
【0093】
ブロー型ユニット300に設けられた複数の軸部340(第1,第2の軸部342,344)の自由端部342B,344Bは、ブロー成形機10の下部基盤72の上面レベルL0よりも常に上方に位置する。ここで、ブロー型ユニット300の最下面は、
図24に示すように第1及び第2の固定板310,312の各々の下端に設けられ、下部基盤72上を摺動するスライド板310A,312Aである。
図24に示す水平レベルL1は、上げ底型36が上昇した型締め状態での複数の軸部340(第1,第2の軸部342,344)の自由端部342B,344Bの下面の位置である。このときの水平レベルL0〜L1の距離ΔLは例えば30mmである。なお、上げ底型63の昇降ストロークは、例えば10.5mmであるので、上げ底型63の下降時でもΔL=19.5mm確保される。
【0094】
一方、複数の軸部340(第1,第2の軸部342,344)の自由端部342B,344Bが最も下降する位置とは、カップリング部材370が離脱されているブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時に、第3固定板330が複数の第2の圧受板350に当接する位置まで下降した状態である。このとき、水平レベルL0〜L1の距離ΔLは例えば12.5mmであり、複数の軸部340(第1,第2の軸部342,344)の自由端部342B,344Bは、ブロー成形機10の下部基盤72の上面レベルL0よりも常に上方に位置する。このように、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時には、ブロー成形機10の下部基盤72上を摺動するスライド板310A,312Aより下方に突出する部材は、ブロー型ユニット300には存在しない。よって、ブロー型ユニット300を一体として、ブロー成形機10の下部基盤72上を摺動させて、ブロー型ユニット300を取り付け/取り外しすることが可能となる。
【0095】
図25に示すように、複数の第2の圧受板350のうち、第1の軸部342を囲む第2の圧受け板352は一対の割型状に形成され、
図25に示す第1の固定板310に一方が、第2の固定板312に他方が固定されている。型締め時には、一対の割型状の第2の圧受け板352の対向面同士が密着して圧受けする。型締め時には、第2の圧受け板352に形成された逃げ部によって、第2の圧受け板352は第1の軸部342と干渉しない。
図24に示すように、複数の第2の圧受板350のうち、第2の軸部344を囲む第2の圧受け板354は、第2の軸部344を囲むブッシュ356を有する一体型で構成され、第1の固定板310に固定されている。型締め時には、第2の圧受板354と第2の固定板312との対向面同士が接触して圧受けする。
【0096】
図25に示すように、第1の固定板310には温調媒体の通路310Bを設け、第2の固定板312には温調媒体の通路312Bを設け、第3の固定板330には温調媒体の通路330Cを設けることができる。こうして、第1,第2の固定板310,312を介して第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bを温調例えば冷却することができる。同様に、第3の固定板330を介して上げ底型63を温調例えば冷却することができる。なお、第3の固定板330の通路330Cを、上げ底型63に設けた温調媒体の通路63Aと連通させてもよい。第3の固定板330は、第2の圧受け板350も温調例えば冷却することができ、それにより第3の圧受け板350の熱膨張を防止して、複数の軸部340との密着性を維持することができる。
【0097】
ブロー型ユニット300をブロー成形機10に対してる着脱する時に、2つの第2の固定板312,312を仮止めして、2つの第2の固定板312,312を第1の固定板に対して位置決めする仮止め部材(図示せず)を、着脱自在に装着する装着部314,314(
図23参照)を設けることができる。装着部314,314は例えば板状の仮止め部材(図示せず)をボルトで固定するボルト孔とすることができ、2つの第2の固定板312,312またはそれと一体の部材に形成することができる。本実施形態では、
図23に示すように、2つの第2の固定板312,312に固定された第1の圧受け板320,320に装着部314,314を形成している。仮止め部材は、2つの第2の固定板312,312を閉じた状態で取り付けることができる。
【0098】
こうすると、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時に、ブロー型締め/型開き装置200との連結が解除されてフリーの状態の2つの第2の固定板312,312を第1の固定板310に対して位置決めすることができる。これにより、ブロー型ユニット300単体でフリーな部材がなくなり、ハンドリングが容易となる。
【0099】
なお、1列のブロー型60のみを有するブロー型ユニットでは、第1,第2の固定板310,312同士を仮止めする仮止め部材を、着脱自在に装着する装着部(例えばボルト孔)を設ければ良い。
【0100】
本実施形態では、ブロー型ユニット300は、
図23及び
図29に示すように、下部基盤72に固定される2つの固定ブロック380をさらに有することができる。
図23及び
図29には一つの固定ブロック380が図示され、この固定ブロック380は、複数の第1の圧受板320のうち、第1の固定板310に固定された各列の第1のブローキャビティ型62Aの両側面側にそれぞれ位置する各2つの第1の圧受板320に、ボルト382により固定される。固定ブロック380は、ボルト384により2つの圧受板320を下部基盤72に固定することができる。なお、固定ブロック380には、上述したP1−P2ピッチ変換駆動部の駆動ロッド218Aを逃げる逃げ穴386を有している。
【0101】
ここで、2つの第1のブローキャビティ型62Aを背面合わせで固定した第1の固定板310は、ブロー型型締め/型開き時にも移動させる必要がない。そこで、第1の固定板に310固定された第1の圧受板320を2つの固定ブロック380を介して、ブロー成形機10の下部基盤72に固定するようにした。これにより、ブロー型ユニット300をブロー成形機10に固定することができる。
【0102】
本実施形態では、2つの固定ブロック380の各々は、下部基盤72と転接するローラー390と、ローラー390が下部基盤72と転接しない上昇位置からローラー390が下部基盤72と転接する下降位置へと、ローラー390を下降駆動させるローラー駆動部材392とを有することができる。
【0103】
ローラー駆動部材392によりローラー390が押し下げられて下部基盤72と転接すると、ブロー型ユニット300を押動するだけで、ブロー型ユニット300を下部基盤72上でスライド移動させることができ、取り付け/取り外し作業の負担が軽減される。
【0104】
ローラー390は、その回転軸390を支持する支持具391に取り付けられている。ローラー駆動部材392は、支持具391を支持する内ケース393と、内ケース393を囲む外ケース394と、内ケース393及び外ケース394を連結する第1のボルト395と、内ケース393及び外ケース394の間に水平に配置されて、第1のボルト395に昇降案内される中間板396と、外ケース394に螺合され、回転により中間板396を押し下げる第2のボルト397を含んで構成できる。第2のボルト397を回転させて中間板396を押し下げると、外ケース394に対して内ケース393も押し下げられる。こうして、内ケース393に支持具391を介して支持されたローラー390を押し下げることができる。なお、第2のボルト397を逆回転させれば、ローラー390を押し下げる外力が解除されて、ブロー型ユニット300の重量によりローラー390は元の位置に待避される。
【0105】
本実施形態では、
図23に示すように、下部基盤72に固定された2つの型締め/型開き駆動部202,202の外壁に、各々の両端が固定される2つの補強板400(
図23では一つのみ図示)をさらに有することができる。2つの補強板400の各々の中間部は、2つの固定ブロック380よりも上方位置にて、各列の第1のブローキャビティ型62Aの片面側の2つの第1の圧受板210,210を2つの型締め/型開き駆動部202に固定することができる。
【0106】
この2つの補強板400は、2つの固定ブロック380により下端が固定された2つの第1のブローキャビティ型62Aの上端が、型開閉方向の一方に倒れることを防止している。上述した通り、ブロー型締め時には割型同期部材210により2つの第2のブローキャビティ型62Bの同期がとられるが、ラック&ピニオンのバックラッシュ等で同期ずれが生ずる可能性がある。2つの第2のブローキャビティ型62Bの一方が先に第1のブローキャビティ型62Aに対して型締めされると、下端でのみ固定された第1のブローキャビティ型62Aの上端が倒れてしまうおそれがある。そこで、2つの補強板400により第1のブローキャビティ型62Aの倒れを防止した。なお、ブロー型ユニット300の取り付け/取り外し時には補強板400は離脱される。
【0107】
本実施形態では、
図23に示すように、第1の固定板310の上面に、第1,第2のブローキャビティ割型
62A,62Bと型締めされる複数のネック型42を移送する移送板20A〜20Dの下限位置を規制する複数のストッパー410を突出形成することができる。
【0108】
この複数のストッパー410により、移送板20A〜20Dの下限ストッパーとしての機能と、移送板20A〜20Dの平行度を保つ機能とを実現できる。複数のネック型42の配列方向にて移送板20A〜20Dが傾きあるいは撓むと、複数のリップ型42の型締め高さ位置が区々となり、成形品質が劣化してしまうからである。この際、移送板20A〜20D側に、ブロー成形ステーション16にてブロー型ユニット300の第1の固定板310と接触するストッパーを設けることもできるが、その場合には4つの移送板20A〜20Dの全てにストッパーを取り付ける必要があり、部品点数が増大してしまう。また、4つの移送板20A〜20Dがブロー成形ステーション16以外の他のステーション12,14,18に移動した時に、常時突出しているストッパーが他の部材と干渉する虞もあり、好ましくない。一方、移送板20A〜20Dの高さ精度よりも第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bの高さ精度を上げることも考えられる。しかし、第1,第2のブローキャビティ型62A,62Bは、第1の固定板310、固定ブロック380等の複数の部材を介して下部基盤72上に支持されるので、移送板20A〜20Dの高さ精度を上げた方が対応し易い。
【0109】
3.2.ブロー型ユニットの取り付け/取り外し方法
ブロー型ユニット300をブロー成形機10に取り付けるには、
図11の矢印A方向からブロー型ユニット300を下部基盤72に載せてスライドさせる。この際、
図23に示す補強板400は取り外され、ボルト孔314,314を使用して、図示しない仮止め部材により2つの第2の固定板312,312を閉鎖状態で固定する。また、
図29に示すローラー駆動部材392の第2のボルト397を回転操作して、ローラー390を下降位置に設定する。これにより、第1,第2のブローキャビティ型62A,62B及び複数の上げ底型63を一体としてブロー型ユニット300をブロー成形機10に搬入できる。
【0110】
ブロー型ユニット300が所定の位置までスライドされたら、仮止め部材を離脱する。次に、例えば上げ底型63と上げ底型昇降部(昇降装置)108とを連結する。そのために、
図28(B)のようにカップリング部材370を配置し、
図28(C)のように締結する。この作業は、ブロー型ユニット300の長手方向両端の手が届きやすい位置で行なうことができる。しかも、カップリング部材370により連結される第1の軸部342は、ブロー成形機10の下部基盤72よりも上方に位置するので、より作業が容易化される。
【0111】
次に、
図29に示すように、2つの固定ブロック380を下部基盤72上にボルト384により固定する。その後に、2つの第2の固定板312を2つの型締め板208側に連結する。最後に、
図23に示すように補強板400を固定する。これにより、ブロー型ユニット300をブロー成形機10に取り付けることができる。なお、上述した取り付け手順は一例であり、一部の順序を変えても実施することができる。また、ブロー型ユニット300をブロー成形機10から取り外すには、取り付け順序と逆工程を辿れば良い。
【0112】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0113】
例えば、本発明は回転搬送型ブロー成形機に限定されず、水平搬送型ブロー成形機にも同様に適用することができる。