(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態による半導体装置10は、互いに同一の機能、構造を持ち、夫々同一の製造マスクで製作された8枚のコアチップCC0〜CC7、コアチップとは異なる製造マスクで製作された1枚のインターフェースチップIF及び1枚のインターポーザIPが積層された構造を有している。コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFは半導体基板(シリコン基板)を用いた半導体チップであり、いずれも半導体基板を貫通する多数の貫通電極(Through Silicon Via)TSVによって上下に隣接するチップと電気的に接続されている。一方、インターポーザIPは樹脂からなる回路基板であり、その裏面IPbには複数の外部端子(半田ボール)SBが形成されている。
【0015】
コアチップCC0〜CC7は、「外部端子を介して外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部と複数の記憶セルとそれら記憶セルへアクセスするいわゆるバックエンド部の両者を含む周知で一般的なそれ自身が単体チップでも動作し、メモリコントローラと直接通信できる通常のメモリチップである1GbのDDR3(Double Data Rate 3)型SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)」に含まれる回路ブロックのうち、外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部(フロントエンド機能)が削除された半導体チップである。言い換えれば、原則として、バックエンド部に属する回路ブロックのみが集積された半導体チップである。フロントエンド部に含まれる回路ブロックとしては、メモリセルアレイとデータ入出力端子との間で入出力データのパラレル/シリアル変換を行うパラレルシリアル変換回路(データラッチ回路)や、データの入出力タイミングを制御するDLL(Delay Locked Loop)回路などが挙げられる。詳細は後述する。インターフェースチップIFは、フロントエンド部のみが集積された半導体チップである。よって、インターフェースチップの動作周波数は、コアチップの動作周波数よりも高い。コアチップCC0〜CC7にはフロントエンド部に属するこれらの回路は含まれていないため、コアチップの製造過程において、そのコアチップがウェハ状態で実施されるテスト動作時を除きコアチップCC0〜CC7を単体で動作させることはできない。コアチップCC0〜CC7を動作させるためには、インターフェースチップIFが必要である。よって、コアチップは、一般的な単体チップの記憶集積度よりも集積度が高い。本実施形態による半導体装置10は、インターフェースチップは、外部と第1の動作周波数で通信するフロントエンド機能を有し、複数のコアチップは、インターフェースチップとのみ通信し、且つ第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で通信するバックエンド機能を有する。よって、複数のコアチップのそれぞれは、複数の情報を記憶するメモリセルアレイを備え、複数のコアチップからインターフェースチップへパラレルに供給される一つのI/O(DQ)当たりの複数のリードデータは、インターフェースチップからコアチップへ与える一回のリードコマンドに関連する複数のビット数である。所謂、複数のビット数は、周知のプリフェッチデータ数に対応する。
【0016】
インターフェースチップIFは、8枚のコアチップCC0〜CC7に対する共通のフロントエンド部として機能する。したがって、外部からのアクセスは全てインターフェースチップIFを介して行われ、データの入出力もインターフェースチップIFを介して行われる。本実施形態では、インターポーザIPとコアチップCC0〜CC7との間にインターフェースチップIFが配置されているが、インターフェースチップIFの位置については特に限定されず、コアチップCC0〜CC7よりも上部に配置しても構わないし、インターポーザIPの裏面IPbに配置しても構わない。インターフェースチップIFをコアチップCC0〜CC7の上部にフェースダウンで又はインターポーザIPの裏面IPbにフェースアップで配置する場合には、インターフェースチップIFに貫通電極TSVを設ける必要はない。また、インターフェースチップIFは、2つのインターポーザIPに挟まれるように配置しても良い。
【0017】
インターポーザIPは、半導体装置10の機械的強度を確保するとともに、電極ピッチを拡大するための再配線基板として機能する。つまり、インターポーザIPの上面IPaに形成された電極201をスルーホール電極202によって裏面IPbに引き出し、裏面IPbに設けられた再配線層203によって、外部端子SBのピッチを拡大している。
図1には、2個の外部端子SBのみを図示しているが、実際には多数の外部端子が設けられている。外部端子SBのレイアウトは、規格により定められたDDR3型のSDRAMにおけるそれと同じである。したがって、外部のコントローラからは1個のDDR3型のSDRAMとして取り扱うことができる。
【0018】
図1に示すように、最上部のコアチップCC0の上面はNCF(Non-Conductive Film)204及びリードフレーム205によって覆われており、コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFの各チップ間のギャップはアンダーフィル206で充填され、またその周囲は封止樹脂207によって覆われている。これにより、各チップが物理的に保護される。
【0019】
コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVの大部分は、積層方向から見た平面視で、すなわち
図1に示す矢印Aから見た場合に、同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。つまり、
図2(a)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた上下の貫通電極TSV1が短絡され、これら貫通電極TSV1によって1本の配線が構成されている。各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれらの貫通電極TSV1は、当該コアチップ内の内部回路4にそれぞれ接続されている。したがって、インターフェースチップIFから
図2(a)に示す貫通電極TSV1に供給される入力信号(コマンド信号、アドレス信号など)は、コアチップCC0〜CC7の内部回路4に共通に入力される。また、コアチップCC0〜CC7から貫通電極TSV1に供給される出力信号(データなど)は、ワイヤードオアされてインターフェースチップIFに入力される。
【0020】
これに対し、一部の貫通電極TSVについては、
図2(b)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSV2と直接接続されるのではなく、当該コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5を介して接続されている。つまり、各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれら内部回路5が貫通電極TSV2を介してカスケード接続されている。この種の貫通電極TSV2は、各コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5に所定の情報を順次転送するために用いられる。このような情報としては、後述する層アドレス情報が挙げられる。
【0021】
さらに他の一部の貫通電極TSV群については、
図2(c)に示すように、平面視で異なる位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。この種の貫通電極TSV群3に対しては、平面視で所定の位置Pに設けられた貫通電極TSV3aに各コアチップCC0〜CC7の内部回路6が接続されている。これにより、各コアチップに設けられた内部回路6に対して選択的に情報を入力することが可能となる。このような情報としては、後述する不良チップ情報が挙げられる。
【0022】
このように、コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVは、
図2(a)〜(c)に示す3タイプ(貫通電極TSV1〜貫通電極TSV3)が存在する。上述の通り、大部分の貫通電極TSVは
図2(a)に示すタイプであり、アドレス信号、コマンド信号、クロック信号などは
図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介して、インターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7に供給される。また、リードデータ及びライトデータについても、
図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介してインターフェースチップIFに入出力される。これに対し、
図2(b),(c)に示すタイプの貫通電極TSV2,貫通電極TSV3は、互いに同一の構造を有するコアチップCC0〜CC7に対して、個別の情報を与えるために用いられる。
【0023】
図3は、
図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1の構造を示す断面図である。
【0024】
図3に示すように、貫通電極TSV1は半導体基板80及びその表面の層間絶縁膜81を貫通して設けられている。貫通電極TSV1の周囲には絶縁リング82が設けられており、これによって、貫通電極TSV1とトランジスタ領域との絶縁が確保される。
図3に示す例では絶縁リング82が二重に設けられており、これによってTSV1とシリコン基板80との間の静電容量が低減されている。
【0025】
半導体基板80の裏面側における貫通電極TSV1の端部83は、裏面バンプ84で覆われている。裏面バンプ84は、下層のコアチップに設けられた表面バンプ85と接する電極である。表面バンプ85は、各配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3及びパッド間を接続する複数のスルーホール電極TH1〜TH3を介して、貫通電極TSV1の端部86に接続されている。これにより、平面視で同じ位置に設けられた表面バンプ85と裏面バンプ84は、短絡された状態となる。尚、図示しない内部回路との接続は、配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3から引き出される内部配線(図示せず)を介して行われる。
【0026】
以下、貫通電極TSVがコアチップの半導体基板80から抜け落ちてしまわないようにするための構成について具体的に説明していく。
【0027】
初めに、
図4は、本発明の背景技術による貫通電極TSVの構造を示す断面の模式図である。同図は
図3を模式的に描いたものであり、
図3と同一の符号を使用している。同図に示すように、背景技術では、貫通電極TSVを埋め込むためのビアホール90の側面が半導体基板80の表面に垂直となっている。また、貫通電極TSVはCuやWなどの導電物質により構成され、半導体基板80との密着性が低い。そのため、組み立て工程においてはんだ接続を行う際にかかる荷重により、図示したA方向に貫通電極TSVが抜けてしまう場合がある。その結果、
図4に示すように、配線層L0〜L3が破断してしまうこともある。
【0028】
また、
図5は、本発明の背景技術による貫通電極TSVの他の構造を示す断面の模式図である。同図の例は3層のコアチップを積層した場合の貫通電極TSVの例を示している。同図に示すように、3層に積層したコアチップの最上面から最下面まで垂直方向に貫通していない一連の貫通電極TSV群であっても、はんだ接続の際に荷重が集中して一部の貫通電極TSVが抜け落ちてしまう場合がある。
【0029】
また、
図6は、本発明の背景技術による貫通電極TSVのさらに他の構造を示す断面の模式図である。同図の例は2層のコアチップを積層した場合の貫通電極TSVの例であるが、貫通電極TSVごとに設けられた裏面バンプ84と表面バンプ85のうち、図示した裏面バンプ84aと表面バンプ85aのみが他よりも大きくなってしまっている。これにより、図示した貫通電極TSVaに荷重が集中し、抜け落ちてしまっている。
【0030】
図7は、本実施形態による半導体装置10の断面のうち、同一のコアチップに隣接して設けられた2つの貫通電極TSVの断面を含む部分の模式図である。同図に示すように、本実施形態による貫通電極TSVが設けられるビアホール91は、側面が外側に向かって弓なりに曲がり、両端部の径r1,r3に比べて中央部の径r2が大きくなっているボーイング(弓なり, bowing)形状部分91aを有している。ボーイング形状は、言い換えれば、中央部が外側に向かって膨らんだビア樽(a beer barrel)のような形状である。
【0031】
また、貫通電極TSVの下側端部にあたるビアホール91の開口径r4は、ボーイング形状部分91aの下端の径r3に比べて大きくなっている。つまり、ボーイング形状部分91aの下端より下の部分は外側に向かって抉られた切り込み91bを構成しており、この切り込み91bを設けたことにより、ボーイング形状部分91aの下端はビアホール91の内側に突出している。
【0032】
各径の比は、例えばr1=R3、(r2/r1)×100=105%、(r4/r3)×100=103%とすることができる。しかしながら、本発明による各径の比がこの数値に限定されるものではない。(r2/r1)×100、(r4/r3)×100の値が各々大きいほどより効果が高くなる。ただし、ボーイング形状の膨らみ(r2とr1の比)及び切り込み91b(r4とr3の比)を大きくし過ぎると、ビアホール91内に導電物質を埋め込む際にビアホール91内壁と導電物質との間に空間ができてしまうことがあるため、(r2/r1)×100、(r4/r3)×100の値は、各々150%より小さい値が好ましい。
【0033】
ビアホール91が以上の構成を有することにより、ビアホール91内に埋め込まれた貫通電極TSVは、従来に比べて半導体基板80から抜け落ちにくくなっている。したがって、貫通電極TSVが
図4〜
図6に示したように半導体基板80から抜け落ちてしまうことが防止されている。
【0034】
図8は、本実施形態による半導体装置10のより広い部分の断面の模式図である。同図には、3層分のコアチップと、それぞれに設けた貫通電極TSV1(
図2(a)に示したタイプの貫通電極TSV)を示している。同図に示すように各層に設けられる貫通電極TSV1すべてに
図7に示したボーイング形状部分91a及び切り込み91bを設けることが好ましいが、必ずしもすべての貫通電極TSV1がボーイング形状部分91a及び切り込み91bを有していなくてもよく、少なくとも、はんだ接続時に特に荷重のかかる貫通電極TSV1にボーイング形状部分91a及び切り込み91bを設ければよい。また、
図8には貫通電極TSV1のみを示したが、
図2(b)に示したタイプの貫通電極TSV2や
図2(c)に示したタイプの貫通電極TSV3についても、同様にボーイング形状部分91a及び切り込み91bを設けることが好ましいことは言うまでもない。
【0035】
次に、
図7に示した貫通電極TSVを含む半導体装置10の製造方法(貫通電極TSVの製造に関する部分のみ)について説明する。
【0036】
図9〜
図18は、半導体装置10の製造方法を説明するための工程図である。各図は、半導体装置10の
図7に対応する断面の模式図である。
【0037】
初めに、
図9の状態まで半導体装置10を製造する。つまり、トランジスタなどを形成した半導体基板80の表面(
図9では下側に位置する表面)に層間絶縁膜81を形成し、さらにその表面に配線層L0〜L3及びバンプ85を形成する。なお、配線層L0〜L3内には、
図3に示したパッドP0〜P3やパッド間を接続するスルーホール電極TH1〜TH3、その他トランジスタやキャパシタなどが設けられるが、これらについての詳しい説明は省略する。また、トランジスタやキャパシタは貫通電極TSVとは平面視で異なる位置に設けられるため、図面には現れていない。次に、半導体基板80を裏返し、その表面(
図9では上側に位置する表面)に層間絶縁膜87を形成する。さらに層間絶縁膜87の上にレジストを塗布して露光することにより、貫通電極TSVを形成するためのマスクパターン100(平面視で貫通電極TSVを形成すべき位置に開口を有するマスクパターン)を形成する。
【0038】
次に、
図10に示すように、ドライエッチングによりボーイング形状部分91a(第1のビアホール)を形成する。このときのエッチング条件としては、例えばエッチングガスとしてSF
6(六フッ化硫黄)ガスやC4F8(オクラフルオロシクロブタン)ガスを用い、バイアス電力300Wとする。また、エッチング時間をコントロールし、層間絶縁膜81が露出しないようにする。両端部の径r1,r3に比べて中央部の径r2が大きいボーイング形状は、例えば、第1のビアホールの中間部分において、エッチング時の反応生成物の側壁への堆積量(デポジション量)を減し側壁のエッチングを促進することで形成される。また、SF
6ガスのようなエッチング性の高いガスを用いることで、エッチングレートの向上を望める。
【0039】
次に、バイアス電力を下げて100Wとし、エッチングをさらに進める。このエッチングでは、層間絶縁膜81が露出した後もエッチングを進めてオーバーエッチング状態とする。バイアス電力を下げるのは層間絶縁膜81に対する選択比を高め、層間絶縁膜81をストッパとして用いるためであり、層間絶縁膜81はほとんどエッチングされない一方、層間絶縁膜81との界面付近で半導体基板80のサイドエッチングが進行する。その結果、
図11に示すように、ボーイング形状部分91aとの接続端部の径r3に比べてその反対側の端部(層間絶縁膜81との接続端部)の径r4が大きい切り込み91b(第2のビアホール)が形成される。このエッチングにより、半導体基板80の厚さバラツキやドライエッチングの面内でのエッチングレートバラツキは吸収される。
【0040】
次に、エッチングガスをCF
4(四フッ化メタン)ガスに変更し、バイアス電力を300W以上(例えば1000W)にして、さらにエッチングを行う。このエッチングにより、
図12に示すように、切り込み91bの底面に露出した層間絶縁膜81をエッチングし、配線層L0内に形成されたパッドP0の表面を露出させる。なお、パッドP0を露出させる直前でCF4ガスの量を減らしパッドP0へのエッチング選択比を高めることでエッチングによるダメージをなくすことができる。
【0041】
次に、マスクパターン100を除去し、RFとバイアス電力を用いる方式のスパッタ装置を用いて銅を成膜することにより、ビアホール91の内壁及び上面に、
図13に示すように薄いシード層101を形成する。RFとバイアス電力を用いる方式のスパッタ装置を用いることで、ビアホール91の内壁にもカバレッジよくシード層101を成膜することができる。
【0042】
次に、上面にレジストを塗布して露光することにより、
図14に示すように、平面視で貫通電極TSVを形成すべき位置に穴の空いたマスクパターン102を形成する。
【0043】
次に、電気メッキにより銅などの導電物質を成膜し、
図15に示すように、ビアホール91内を導電物質103で埋める。さらに、電気メッキによりニッケルとアルミの合金を成膜し、
図16に示すように、ビアホール91の上部にバンプ104を形成する。その後、
図17に示すように、マスクパターン102を除去する。
【0044】
次に、バンプ104をマスクとして用いて銅をエッチングすることで、
図18に示すように、上面のシード層101を除去する。以上で
図7に示した貫通電極TSV及びパンプ84が完成する。
【0045】
以上説明したように、本製造方法によれば、ボーイング形状部分91aと切り込み91bとを有する貫通電極TSVを含む半導体装置10を製造することが可能になる。
【0046】
図19は、本実施形態の変形例による半導体装置10の断面のうち、1つの貫通電極TSVの断面を含む部分の模式図である。同図に示すように、本変形例による貫通電極TSVが設けられるビアホール91は、貫通電極TSVの下側端部に設けられた切り込み91bの他に、上側端部にも切り込み91cを有しており、貫通電極TSVの上側端部にあたるビアホール91の開口端部の径r5は、ボーイング形状部分91aの上端の径r1に比べて大きくなっている。
【0047】
径r5と径r1の比は、例えば(r5/r1)×100=107%とすることができる。他の径の比は、上記実施形態で示したとおりである。しかしながら、本発明による各径の比がこの数値に限定されるものではない。
【0048】
ビアホール91が以上の構成を有することにより、本変形例による貫通電極TSVは、
図7に示した貫通電極TSVに比べて、半導体基板80から抜け落ちにくくなる効果が増大している。
【0049】
次に、
図19に示した貫通電極TSVを含む半導体装置10の製造方法(貫通電極TSVの製造に関する部分のみ)について説明する。
【0050】
図19に示した貫通電極TSVは、上述した製造方法のうち
図9に示した工程と
図10に示した工程の間に、
図20に示す工程を挿入することで形成可能である。
図20に示す工程では、エッチングガスとしてSF6ガスを用い、バイアス電力100Wとして短時間(例えば60秒以下)だけエッチングを行う。これにより、
図20に示したように、開口端部の径r5に比べて底面の径r1が小さい切り込み91cが形成される。これ以降は、
図10〜
図18に示した工程を実施することで、
図19に示した貫通電極TSVが完成する。
【0051】
以上説明したように、本製造方法によれば、ボーイング形状部分91aと切り込み91b,91cとを有する貫通電極TSVを含む半導体装置10を製造することが可能になる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、ボーイング形状部分と切り込みの両方を有するビアホールの例を取り上げたが、例えば
図21に示す変形例(ボーイング形状部分のみを有し、切り込みを有しない例)のように、いずれか一方のみを有することとしてもよい。また、
図21の例においてr2>r1,r3としてもよい。この場合、ビアホールは中央部が内側に向かって膨らんだ形状となる。要するに、ビアホールに両端部の径と中央部の径とが異なる部分を設けることで、貫通電極TSVが
図4〜
図6に示したように半導体基板80から抜け落ちてしまうことが防止される。
【0054】
また、上記実施形態においては、コアチップとしてDDR3型のSDRAMを用いているが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、DDR3型以外のDRAMであっても構わないし、DRAM以外の半導体メモリ(SRAM、PRAM、MRAM、フラッシュメモリなど)であっても構わない。さらには、コアチップは、ロジック半導体(CPU、ASICなど)のような半導体メモリ以外の半導体装置であっても構わない。また、全てのコアチップが積層されていることも必須でなく、一部又は全部のコアチップが平面的に配置されていても構わない。さらに、コアチップ数についても8個に限定されるものではない。
【0055】
最後に、半導体装置10の全体構成について説明する。
【0056】
図22は、半導体装置10の回路構成を示すブロック図である。
【0057】
図22に示すように、インターポーザIPに設けられた外部端子には、クロック端子11a,11b、クロックイネーブル端子11c、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13、データ入出力端子14、データストローブ端子15a,15b、キャリブレーション端子16、及び電源端子17a,17bが含まれている。これら外部端子は、全てインターフェースチップIFに接続されており、電源端子17a,17bを除きコアチップCC0〜CC7には直接接続されない。
【0058】
まず、これら外部端子とフロントエンド機能であるインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成について説明する。
【0059】
クロック端子11a,11bはそれぞれ外部クロック信号CK,/CKが供給される端子であり、クロックイネーブル端子11cはクロックイネーブル信号CKEが入力される端子である。供給された外部クロック信号CK,/CK及びクロックイネーブル信号CKEは、インターフェースチップIFに設けられたクロック発生回路21に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,/CKは互いに相補の信号である。クロック発生回路21は内部クロック信号ICLKを生成する回路であり、生成された内部クロック信号ICLKは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0060】
また、インターフェースチップIFにはDLL回路22が含まれており、DLL回路22によって入出力用クロック信号LCLKが生成される。入出力用クロック信号LCLKは、インターフェースチップIFに含まれる入出力バッファ回路23に供給される。DLL機能は、半導体装置10が外部と通信するに当たり、外部との同期がマッチングされた信号LCLKでフロントエンドを制御するからである。故に、バックエンドであるコアチップCC0〜CC7には、DLL機能は不要である。
【0061】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号は、インターフェースチップIFに設けられたコマンド入力バッファ31に供給される。コマンド入力バッファ31に供給されたこれらコマンド信号は、コマンドデコーダ32に供給される。コマンドデコーダ32は、内部クロックICLKに同期して、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0062】
アドレス端子13は、アドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2が供給される端子であり、供給されたアドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2は、インターフェースチップIFに設けられたアドレス入力バッファ41に供給される。アドレス入力バッファ41の出力は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。また、モードレジスタセットにエントリーしている場合には、アドレス信号A0〜A15はインターフェースチップIFに設けられたモードレジスタ42に供給される。また、アドレス信号BA0〜BA2(バンクアドレス)については、インターフェースチップIFに設けられた図示しないアドレスデコーダによってデコードされ、これにより得られるバンク選択信号Bがデータラッチ回路25に供給される。これは、ライトデータのバンク選択がインターフェースチップIF内で行われるためである。
【0063】
データ入出力端子14は、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15の入出力を行うための端子である。また、データストローブ端子15a,15bは、ストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行うための端子である。これらデータ入出力端子14及びデータストローブ端子15a,15bは、インターフェースチップIFに設けられた入出力バッファ回路23に接続されている。入出力バッファ回路23には、入力バッファIB及び出力バッファOBが含まれており、DLL回路22より供給される入出力用クロック信号LCLKに同期して、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15及びストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行う。また、入出力バッファ回路23は、コマンドデコーダ32から内部オンダイターミネーション信号IODTが供給されると、出力バッファOBを終端抵抗として機能させる。さらに、入出力バッファ回路23には、キャリブレーション回路24からインピーダンスコードDRZQが供給されており、これによって出力バッファOBのインピーダンスが指定される。入出力バッファ回路23は、周知のFIFO回路を含む。
【0064】
キャリブレーション回路24には、出力バッファOBと同じ回路構成を有するレプリカバッファRBが含まれており、コマンドデコーダ32よりキャリブレーション信号ZQが供給されると、キャリブレーション端子16に接続された外部抵抗(図示せず)の抵抗値を参照することによってキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作とは、レプリカバッファRBのインピーダンスを外部抵抗の抵抗値と一致させる動作であり、得られたインピーダンスコードDRZQが入出力バッファ回路23に供給される。これにより、出力バッファOBのインピーダンスが所望の値に調整される。
【0065】
入出力バッファ回路23は、データラッチ回路25に接続されている。データラッチ回路25は、周知なDDR機能を実現するレイテンシ制御によって動作するFIFO機能を実現するFIFO回路(不図示)とマルチプレクサMUX(不図示)とを含み、コアチップCC0〜CC7から供給されるパラレルなリードデータをシリアル変換するとともに、入出力バッファから供給されるシリアルなライトデータをパラレル変換する回路である。したがって、データラッチ回路25と入出力バッファ回路23との間はシリアル接続であり、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間はパラレル接続である。本実施形態では、コアチップCC0〜CC7がDDR3型のSDRAMのバックエンド部であり、プリフェッチ数が8ビットである。また、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7はバンクごとに接続されており、各コアチップCC0〜CC7に含まれるバンク数は8バンクである。したがって、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との接続は1DQ当たり64ビット(8ビット×8バンク)となる。
【0066】
このように、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間においては、基本的に、シリアル変換されていないパラレルデータが入出力される。つまり、通常のSDRAM(それは、フロントエンドとバックエンドが1つのチップで構成される)では、チップ外部との間でのデータの入出力がシリアルに行われる(つまり、データ入出力端子は1DQ当たり1個である)のに対し、コアチップCC0〜CC7では、インターフェースチップIFとの間でのデータの入出力がパラレルに行われる。この点は、通常のSDRAMとコアチップCC0〜CC7との重要な相違点である。但し、プリフェッチしたパラレルデータを全て異なる貫通電極TSVを用いて入出力することは必須でなく、コアチップCC0〜CC7側にて部分的なパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要な貫通電極TSVの数を削減しても構わない。例えば、1DQ当たり64ビットのデータを全て異なる貫通電極TSVを用いて入出力するのではなく、コアチップCC0〜CC7側にて2ビットのパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要な貫通電極TSVの数を半分(32個)に削減しても構わない。
【0067】
更に、データラッチ回路25は、インターフェースチップ単位で試験ができる機能が付加されている。インターフェースチップには、バックエンド部が存在しない。このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのインターフェースチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、インターフェースチップを試験することを意味する。インターフェースチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、データラッチ回路25には、試験用に擬似的なバックエンド部の一部が設けられており、試験時に簡素な記憶機能が可能とされている。
【0068】
電源端子17a,17bは、それぞれ電源電位VDD,VSSが供給される端子であり、インターフェースチップIFに設けられたパワーオン検出回路43に接続されるとともに、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも接続されている。パワーオン検出回路43は、電源の投入を検出する回路であり、電源の投入を検出するとインターフェースチップIFに設けられた層アドレスコントロール回路45を活性化させる。
【0069】
層アドレスコントロール回路45は、本実施形態による半導体装置10のI/O構成に応じて層アドレスを変更するための回路である。上述の通り、本実施形態による半導体装置10は16個のデータ入出力端子14を備えており、これにより最大でI/O数を16ビット(DQ0〜DQ15)に設定することができるが、I/O数がこれに固定されるわけではなく、8ビット(DQ0〜DQ7)又は4ビット(DQ0〜DQ3)に設定することも可能である。これらI/O数に応じてアドレス割り付けが変更され、層アドレスも変更される。層アドレスコントロール回路45は、I/O数に応じたアドレス割り付けの変更を制御する回路であり、貫通電極TSVを介して各コアチップCC0〜CC7に共通に接続されている。
【0070】
また、インターフェースチップIFには層アドレス設定回路44も設けられている。層アドレス設定回路44は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。層アドレス設定回路44は、
図2(b)に示すタイプの貫通電極TSV2を用いて、コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46にカスケード接続されており、テスト時においてコアチップCC0〜CC7に設定された層アドレスを読み出す役割を果たす。
【0071】
さらに、インターフェースチップIFには不良チップ情報保持回路33が設けられている。不良チップ情報保持回路33は、正常に動作しない不良コアチップがアセンブリ後に発見された場合に、そのチップ番号を保持する回路である。不良チップ情報保持回路33は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。不良チップ情報保持回路33は、
図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3を用いて、シフトされながらコアチップCC0〜CC7に接続されている。
【0072】
以上が外部端子とインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成の概要である。次に、コアチップCC0〜CC7の回路構成について説明する。
【0073】
図22に示すように、バックエンド機能であるコアチップCC0〜CC7に含まれるメモリセルアレイ50は、いずれも8バンクに分割されている。尚、バンクとは、個別にコマンドを受け付け可能な単位である。言い換えれば、夫々のバンクは、互いに排他制御で独立に動作することができる。半導体装置10外部からは、独立に夫々のバンクをアクセスできる。例えば、バンク1のメモリセルアレイ50とバンク2のメモリセルアレイ50は、異なるコマンドにより夫々対応するワード線WL、ビット線BL等を、時間軸的に同一の期間に個別にアクセス制御できる非排他制御の関係である。例えば、バンク1をアクティブ(ワード線とビット線をアクティブ)に維持しつつ、更にバンク2をアクティブに制御することができる。リード但し、半導体装置の外部端子(例えば、複数の制御端子、複数のI/O端子)は、共有している。メモリセルアレイ50内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(
図22においては、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ワード線WLの選択はロウデコーダ51によって行われる。また、ビット線BLはセンス回路53内の対応するセンスアンプSAに接続されている。センスアンプSAの選択はカラムデコーダ52によって行われる。
【0074】
ロウデコーダ51は、ロウ制御回路61より供給されるロウアドレスによって制御される。ロウ制御回路61には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるロウアドレスを受けるアドレスバッファ61aが含まれており、アドレスバッファ61aによってバッファリングされたロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。貫通電極TSVを介して供給されるアドレス信号は、入力バッファB1を介して、ロウ制御回路61などに供給される。また、ロウ制御回路61にはリフレッシュカウンタ61bも含まれており、コントロールロジック回路63からリフレッシュ信号が発行された場合には、リフレッシュカウンタ61bが示すロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。
【0075】
カラムデコーダ52は、カラム制御回路62より供給されるカラムアドレスによって制御される。カラム制御回路62には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるカラムアドレスを受けるアドレスバッファ62aが含まれており、アドレスバッファ62aによってバッファリングされたカラムアドレスがカラムデコーダ52に供給される。また、カラム制御回路62にはバースト長をカウントするバーストカウンタ62bも含まれている。
【0076】
カラムデコーダ52によって選択されたセンスアンプSAは、さらに、図示しないいくつかのアンプ(サブアンプやデータアンプなど)を介して、データコントロール回路54に接続される。これにより、リード動作時においては、一つのI/O(DQ)あたり8ビット(=プリフェッチ数)のリードデータがデータコントロール回路54から出力され、ライト動作時においては、8ビットのライトデータがデータコントロール回路54に入力される。データコントロール回路54とインターフェースチップIFとの間は貫通電極TSVを介してパラレルに接続される。
【0077】
コントロールロジック回路63は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部コマンドICMDを受け、これに基づいてロウ制御回路61及びカラム制御回路62の動作を制御する回路である。コントロールロジック回路63には、層アドレス比較回路(チップ情報比較回路)47が接続されている。層アドレス比較回路47は、当該コアチップがアクセス対象であるか否かを検出する回路であり、その検出は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるアドレス信号の一部SEL(チップ選択情報)と、層アドレス発生回路46に設定された層アドレスLID(チップ識別情報)とを比較することにより行われる。
【0078】
層アドレス発生回路46には、初期化時において各コアチップCC0〜CC7に固有の層アドレスが設定される。層アドレスの設定方法は次の通りである。まず、半導体装置10が初期化されると、各コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46に初期値として最小値(0,0,0)が設定される。コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46は、
図2(b)に示すタイプの貫通電極TSVを用いてカスケード接続されているとともに、内部にインクリメント回路を有している。そして、最上層のコアチップCC0の層アドレス発生回路46に設定された層アドレス(0,0,0)が貫通電極TSVを介して2番目のコアチップCC1の層アドレス発生回路46に送られ、インクリメントされることにより異なる層アドレス(0,0,1)が生成される。以下同様にして、生成された層アドレスを下層のコアチップに転送し、転送されたコアチップ内の層アドレス発生回路46は、これをインクリメントする。最下層のコアチップCC7の層アドレス発生回路46には、層アドレスとして最大値(1,1,1)が設定されることになる。これにより、各コアチップCC0〜CC7には固有の層アドレスが設定される。
【0079】
層アドレス発生回路46には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFの不良チップ情報保持回路33から不良チップ信号DEFが供給される。不良チップ信号DEFは、
図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3を用いて各コアチップCC0〜CC7に供給されるため、各コアチップCC0〜CC7に個別の不良チップ信号DEFを供給することができる。不良チップ信号DEFは、当該コアチップが不良チップである場合に活性化される信号であり、これが活性化している場合、層アドレス発生回路46はインクリメントした層アドレスではなく、インクリメントされていない層アドレスを下層のコアチップに転送する。また、不良チップ信号DEFはコントロールロジック回路63にも供給されており、不良チップ信号DEFが活性化している場合にはコントロールロジック回路63の動作が完全に停止する。これにより、不良のあるコアチップは、インターフェースチップIFからアドレス信号やコマンド信号が入力されても、リード動作やライト動作を行うことはない。
【0080】
また、コントロールロジック回路63の出力は、モードレジスタ64にも供給されている。これにより、コントロールロジック回路63の出力がモードレジスタセットを示している場合、アドレス信号によってモードレジスタ64の設定値が上書きされる。これにより、コアチップCC0〜CC7の動作モードが設定される。
【0081】
さらに、コアチップCC0〜CC7には、内部電圧発生回路70が設けられている。内部電圧発生回路には電源電位VDD,VSSが供給されており、内部電圧発生回路70はこれを受けて各種内部電圧を生成する。内部電圧発生回路70により生成される内部電圧としては、各種周辺回路の動作電源として用いる内部電圧VPERI(≒VDD)、メモリセルアレイ50のアレイ電圧として用いる内部電圧VARY(<VDD)、ワード線WLの活性化電位である内部電圧VPP(>VDD)などが含まれる。また、コアチップCC0〜CC7には、パワーオン検出回路71も設けられており、電源の投入を検出すると各種内部回路のリセットを行う。
【0082】
コアチップCC0〜CC7に含まれる上記の周辺回路は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部クロック信号ICLKに同期して動作する。貫通電極TSVを介して供給される内部クロック信号ICLKは、入力バッファB2を介して各種周辺回路に供給される。
【0083】
以上がコアチップCC0〜CC7の基本的な回路構成である。コアチップCC0〜CC7には外部とのインターフェースを行うフロントエンド部が設けられておらず、このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのコアチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、各コアチップをそれぞれ試験することを意味する。コアチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、コアチップCC0〜CC7にはいくつかのテストパッドTPとテスト用のコマンドデコーダ65のテスト用フロントエンド部で構成される試験用に擬似的なフロントエンド部の一部が設けられており、テストパッドTPからアドレス信号、テストデータやコマンド信号の入力が可能とされている。試験用のフロントエンド部は、あくまでウェハ試験において簡素な試験を実現する機能の回路であり、インターフェースチップ内のフロントエンド機能をすべて備えるわけではない、ことに注意が必要である。例えば、コアチップの動作周波数は、フロントエンドの動作周波数よりも低いことから、低周波で試験するテスト用のフロントエンド部の回路で簡素に実現することができる。
【0084】
テストパッドTPの種類は、インターポーザIPに設けられた外部端子とほぼ同様である。具体的には、クロック信号が入力されるテストパッドTP1、アドレス信号が入力されるテストパッドTP2、コマンド信号が入力されるテストパッドTP3、テストデータの入出力を行うためのテストパッドTP4、データストローブ信号の入出力を行うためのテストパッドTP5、電源電位を供給するためのテストパッドTP6などが含まれている。
【0085】
テスト時においては、デコードされていない通常の外部コマンドが入力されるため、コアチップCC0〜CC7にはテスト用のコマンドデコーダ65も設けられている。また、テスト時においては、シリアルなテストデータが入出力されることから、コアチップCC0〜CC7にはテスト用の入出力回路55も設けられている。
【0086】
以上が本実施形態による半導体装置10の全体構成である。このように、本実施形態による半導体装置10は、1Gbのコアチップが8枚積層された構成を有していることから、合計で8Gbのメモリ容量となる。また、チップ選択信号/CSが入力される端子(チップ選択端子)は1つであることから、コントローラからはメモリ容量が8Gbである単一のDRAMとして認識される。
【0087】
図23は、本実施形態による半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【0088】
図に示すデータ処理システム500は、データプロセッサ520と、本実施形態による半導体装置(DRAM)10が、システムバス510を介して相互に接続された構成を有している。データプロセッサ520としては、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などを含まれるが、これらに限定されない。
図9においては簡単のため、システムバス510を介してデータプロセッサ520とDRAM530とが接続されているが、システムバス510を介さずにローカルなバスによってこれらが接続されていても構わない。
【0089】
また、図には、簡単のためシステムバス510が1組しか描かれていないが、必要に応じ、コネクタなどを介しシリアルないしパラレルに設けられていても構わない。また、図に示すメモリシステムデータ処理システムでは、ストレージデバイス540、I/Oデバイス550、ROM560がシステムバス510に接続されているが、これらは必ずしも必須の構成要素ではない。
【0090】
ストレージデバイス540としては、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550としては、液晶ディスプレイなどのディスプレイデバイスや、キーボード、マウスなどの入力デバイスなどが挙げられる。
【0091】
また、I/Oデバイス550は、入力デバイス及び出力デバイスのいずれか一方のみであっても構わない。
【0092】
さらに、図に示す各構成要素は、簡単のため1つずつ描かれているが、これに限定されるものではなく、1又は2以上の構成要素が複数個設けられていても構わない。