特許第5697913号(P5697913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697913
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】施錠機構付きディスペンサー筺体
(51)【国際特許分類】
   A47K 5/12 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A47K5/12 Z
   A47K5/12 B
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-163145(P2010-163145)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2011-19920(P2011-19920A)
(43)【公開日】2011年2月3日
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】12/505,900
(32)【優先日】2009年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】マーク・イー・ローゼンクランツ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エル・クインラン・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ディー・ヘイズ
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3046338(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサー筺体であって、
基部と、
前記基部に対する開放位置と閉鎖位置との間を可動としたカバーと、
閉鎖機構と、
休止位置と鍵誘引位置とを有する解錠機構で、前記休止位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できず、前記鍵誘引位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できる解錠機構と、
鍵穴と、
個人が選択的に携帯するかあるいは前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載される鍵を備え、
前記鍵が前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載されたときは、記解錠機構前記鍵誘引位置かして前記閉鎖機構を無効にするように操作でき
前記鍵が前記ディスペンサー筺体から取り外されたときは、前記解錠機構を前記休止位置に動かして前記閉鎖機構を無効とするように操作できず、
前記鍵を個人が携帯し前記鍵穴へ選択的に挿入したときは、前記鍵が前記閉鎖機構を直接無効とす、ディスペンサー筺体。
【請求項2】
ディスペンサー筺体であって、
基部と、
前記基部に対する開放位置と閉鎖位置との間を可動としたカバーと、
閉鎖機構と、
休止位置と鍵誘引位置とを有する解錠機構で、前記休止位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できず、前記鍵誘引位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できる解錠機構と、
鍵穴と、
個人が選択的に携帯するかあるいは前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載される鍵を備え、
前記鍵が前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載されたときは、記解錠機構前記鍵誘引位置かして前記閉鎖機構を無効にするように操作でき
前記鍵が前記ディスペンサー筺体から取り外されたときは、前記解錠機構を前記休止位置に動かして前記閉鎖機構を無効とするように操作できず、
前記鍵を個人が携帯し前記鍵穴へ選択的に挿入したときは、前記鍵が前記閉鎖機構を直接無効と
前記基部上に係止面をさらに備え、前記解錠機構が、
前記解錠機構の前記休止位置において前記基部の前記係止面に整列する施錠延長部で、該施錠延長部と前記係止面との間の当接が故に前記解錠機構を操作して前記閉鎖機構を無効にできないようにする施錠延長部を備える、ディスペンサー筺体。
【請求項3】
前記解錠機構の前記鍵誘引位置において前記鍵が前記施錠延長部を前記基部の前記係止面との整列から離脱させ、前記解錠機構を操作して前記閉鎖機構を無効にできるようにした、請求項2に記載のディスペンサー筺体。
【請求項4】
ディスペンサー筺体であって、
基部と、
前記基部に対する開放位置と閉鎖位置との間を可動としたカバーと、
閉鎖機構と、
休止位置と鍵誘引位置とを有する解錠機構で、前記休止位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できず、前記鍵誘引位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できる解錠機構と、
鍵穴と、
前記鍵穴と離間した鍵搭載部と、
個人が選択的に携帯するかあるいは前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載される鍵を備え、
前記鍵が前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載されたときは、記解錠機構前記鍵誘引位置かして前記閉鎖機構を無効にするように操作でき
前記鍵が前記ディスペンサー筺体から取り外されたときは、前記解錠機構を前記休止位置に動かして前記閉鎖機構を無効とするように操作できず、
前記鍵を個人が携帯し前記鍵穴へ選択的に挿入したときは、前記鍵が前記閉鎖機構を直接無効とす、ディスペンサー筺体。
【請求項5】
前記基部は壁に搭載するよう適合させた背面プレートである、請求項4に記載のディスペンサー筺体。
【請求項6】
前記カバーはヒンジにより前記背面プレートに接続されていて、前記開放位置と前記閉鎖位置との間を前記ヒンジ周りに揺動する、請求項5に記載のディスペンサー筺体。
【請求項7】
前記閉鎖機構は、掛止部と捕捉部とを含む、請求項4に記載のディスペンサー筺体。
【請求項8】
前記カバーが前記掛止部を担持し、前記基部が前記捕捉部を担持する、請求項7に記載のディスペンサー筺体
【請求項9】
前記掛止部は傾斜面を有する掛止頭部を含んでおり、前記カバーを前記開放位置から前記閉鎖位置へ移動させた際に、前記掛止頭部の前記傾斜面が前記捕捉部上で反り、前記掛止頭部が前記捕捉部を通過し、掛止部と捕捉部とが互いに係合して前記カバーを前記閉鎖位置に保持するに至る、請求項7に記載のディスペンサー筺体。
【請求項10】
前記基部上に係止面をさらに備え、前記解錠機構が、
前記解錠機構の前記休止位置において前記基部の前記係止面に整列する施錠延長部で、該施錠延長部と前記係止面との間の当接が故に前記解錠機構を操作して前記閉鎖機構を無効にできないようにする施錠延長部を備える、請求項4に記載のディスペンサー筺体。
【請求項11】
前記解錠機構の前記鍵誘引位置において前記鍵が前記施錠延長部を前記基部の前記係止面との整列から離脱させ、前記解錠機構を操作して前記閉鎖機構を無効にできるようにした、請求項10に記載のディスペンサー筺体。
【請求項12】
前記鍵は、前記鍵誘引位置において前記施錠延長部に係合する解錠支持部を備える、請求項11に記載のディスペンサー筺体。
【請求項13】
前記閉鎖機構は、掛止部と捕捉部を備え、前記ディスペンサー筺体の閉鎖位置を維持するために前記掛止部は前記捕捉部に係合する、請求項10に記載のディスペンサー筺体。
【請求項14】
前記鍵穴は、前記掛止部に整列し、前記鍵を前記鍵穴に挿入すると前記捕捉部から前記掛止部を離脱させ前記鍵と前記掛止部を係合する、請求項13に記載のディスペンサー筺体。
【請求項15】
前記解錠機構は、鍵誘引位置において前記閉鎖機構を無効とするために係合する釦をさらに備える、請求項10に記載のディスペンサー筺体。
【請求項16】
前記ディスペンサー筺体は、それぞれ関連する釦を含む2個の対向する解錠機構を備え、前記釦は、鍵誘引位置において関連する解錠機構を移動させ、前記閉鎖機構を無効とするために押される、請求項10に記載のディスペンサー筺体。
【請求項17】
前記対向する解錠機構は、ディスペンサーが休止位置において解錠機構の動きを阻止する係止面に当接する施錠延長部をそれぞれ含む、請求項16に記載のディスペンサー筺体。
【請求項18】
前記ディスペンサー筺体は、さらに背面プレートを備え、前記釦は前記背面プレートの側壁と面一とされている、請求項17に記載のディスペンサー筺体。
【請求項19】
前記施錠延長部は、それぞれ前記釦まで延在し、前記釦は付勢支持部によって前記背面プレートの側壁と面一に支持される、請求項18に記載のディスペンサー筺体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ディスペンサーと特にディスペンサー筺体とに関する。より詳しくは、本発明はディスペンサー筺体を閉鎖状態に保つのに役立つ閉鎖機構を有するディスペンサー筺体に関する。鍵は、閉鎖機構を無効としてディスペンサーの開放を可能にすべく雇用される個人が携帯できるようにするか、あるいはディスペンサー筺体に選択的に搭載して解錠機構を適切に定置し、解錠機構を操作して閉鎖機構を無効にできるようにするか、いずれも可能であり、鍵がディスペンサーに搭載されていないときは、解錠機構を適切に操作して閉鎖機構を無効とすることはできない。
【背景技術】
【0002】
壁装着ディスペンサー筺体やその他のディスペンサー筺体が、当分野でよく知られている。一般に、筺体のカバー部分が筺体の基部と相互作用し、製品を小出し用に貯留することのできる内部空間を画成している。壁装着ディスペンサーでは、背面プレートは通常壁に装着され、カバーが背面プレートと相互作用し、所望製品を収容する補充ユニットを受け入れる内容積を画成している。例えば、壁装着石鹸ディスペンサーは通常、石鹸コンテナで構成された補充ユニットを受容するディスペンサー筺体構造と、起動させてコンテナから石鹸を小出しすることのできる関連する石鹸ポンプとを含んでいる。
【0003】
ディスペンサー筺体は一般により恒久的な構造であるのに対し、補充ユニットは使い捨て可能である。すなわち、補充ユニット内に貯留された製品が一旦枯渇すると、空の補充ユニットを取り出し、満杯のものと交換する。かくして、ディスペンサー筺体の寿命期間中、それは何回となく開閉されて空の補充ユニットを取り出し、それらが満杯の補充ユニットと交換される。
【0004】
ディスペンサー筺体は多くの場合一般公衆が使用できるよう利用可能であるため、権限のない個人がその中の内容物(例えば、補充ユニット)にアクセスできないようディスペンサー筺体を設計する必要がある。ディスペンサー筺体が簡単に開放できる場合、権限のない個人がディスペンサー筺体を開放してその中に収容されている製品を取り出すことができる。ディスペンサーの所有者はその後盗難製品を交換しなければならなくなり、大半は自らの損害となる。かくして、多くの先行技術ディスペンサー筺体には施錠機構が配設されている。
【0005】
採用されている施錠機構の多くは、極めて一般的で単純明解である。例えば、一部のディスペンサーは、扉や収納箱に施錠するのに用いる旋回式鍵構造に非常に似た施錠および鍵構造により単純に施錠されている。一例を、米国特許第4,662,195号明細書中に見出すことができる。他の施錠機構には、ディスペンサー筺体内の鍵当接機構を用いてそれらを受容し、基部からカバーを解放するよう特別に適合させた開口内に挿入しなければならない鍵が含まれる。一例を、米国特許第6,772,916号明細書に見出すことができる。特に、第6,772,916号特許に教示された鍵は点検要員が携帯するか、さもなくばディスペンサー筺体に恒久的に搭載するかのいずれかとしうる。
【0006】
点検要員が鍵を携帯しなければならない実施形態では、点検要員が鍵を紛失すれば明らかな問題が生ずる。鍵を紛失すると、構成部品を損壊させることなくディスペンサー筺体を開放することは極めて困難であるか、あるいは不可能とすらなりうる。ディスペンサー筺体に鍵を搭載した実施形態では、如何に鍵にアクセスし操作できるかを権限のないユーザーが一旦発見してしまえば、筺体はやはり権限のないユーザーによってアクセスされやすくなる。それにも拘わらず、一般公衆による使用に向けてディスペンサーを提供する一部の企業体は、点検要員が鍵を携帯するのではなく鍵を恒久的に搭載する方を好む。例えば、ディスペンサー内容物の窃盗が懸念される場合、点検要員に鍵を携帯させるのが望ましいようであるが、一方で窃盗の懸念がない地域では、鍵を恒久的に搭載するか、さもなくば鍵を使用する施錠状態からの解錠を迫られることなく開放できるディスペンサーを提供することが得策である。
【0007】
ディスペンサーを購入する異なる企業体は効率的な生産目的に合わせ異なるディスペンサーを好む(すなわち、一部は搭載鍵を好み、一部は携帯鍵を好む)が、ディスペンサー所有者の要望に応じて搭載鍵かまたは携帯鍵を持たせる選択的な構造の単一ディスペンサーを提供することが望ましい。かくして、ディスペンサー筺体技術は異なるモード、すなわち一つは鍵の使用によってのみ解錠されるようディスペンサーを施錠閉鎖することのできるモードと、もう一つは鍵を用いる必要性を伴うことなく随意にディスペンサーを開放し閉鎖することのできるモードとで操作できるディスペンサー筺体から恩恵を受けるであろう。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態では、本発明はディスペンサー筺体を提供し、それは基部と、前記基部に対し開放位置と閉鎖位置との間を可動としたカバーと、閉鎖機構と、休止位置と鍵誘引位置とを有する解錠機構で、前記休止位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できず、前記鍵誘引位置では前記閉鎖機構を無効とするよう操作できる解錠機構と、鍵穴と、個人が選択的に携帯するかあるいは前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載される鍵で、前記ディスペンサー筺体に選択的に搭載されたときは、前記鍵が前記解錠機構を前記鍵誘引位置へ動かし、個人が携帯したときは、前記鍵を前記鍵穴へ選択的に挿入して前記閉鎖機構を無効とする鍵とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるディスペンサー筺体の外形の側面図である。
図2】背面プレートまたは基部からカバーを開放した際の図1に示したディスペンサー筺体の側面図である。
図3】ディスペンサー筺体が閉鎖位置にあるときの掛止機構と捕捉機構の相互作用を示すディスペンサー筺体の断面図である。
図4】鍵の概略予想図である。
図5】背面プレートに鍵を搭載し、解錠機構と相互作用させて鍵誘引位置に置けるようにするのに役立つ構造を示すディスペンサー筺体の背面プレートの正面図である。
図6】掛止機構と捕捉機構との相互作用ならびに図4の休止位置にて示した解錠機構の鍵誘引位置を示すディスペンサー筺体の背面図である。
図7】鍵誘引位置にあるときの解錠機構の操作が掛止部の捕捉機構からの解放に役立つ仕方を示すディスペンサー筺体の背面図である。
図8】掛止機構と捕捉機構との相互作用ならびに解錠機構の休止位置と図5に示した鍵穴と相互作用するよう位置決めされた鍵とを示すディスペンサー筺体の背面図である。
図9】背面プレートの頂部壁内の鍵穴を示すディスペンサーの頂部平面図である。
図10】鍵を鍵穴に挿入して掛止部を押圧したときの捕捉機構からの掛止部の取り外しを示すディスペンサー筺体の背面図である。
図11】ある解錠機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の概念を、壁装着石鹸ディスペンサーの具体的実施形態を参照して開示する。しかしながら、これらの概念が壁装着するものだけでなく、他のディスペンサー筺体に適用できることを理解されたい。加えて、幾つかの要素がカバーにあるいは基部もしくは背面プレートに関連する他の要素に関連して示してあるが、この種の配置を本明細書に教示する発明概念に従って逆転したり他所に配置したりしうることを理解されたい。
【0011】
図1を参照するに、本発明によるディスペンサー筺体が図示してあり、符号10にて指し示してある。ディスペンサー筺体10は、壁に取り付けるための構造を含む基部あるいは背面プレート12を含んでいる。カバー14はヒンジ16にて背面プレート12に枢着してあり、カバー14が図1に示す閉鎖位置から図2に示す開放位置へ揺動できるようにしてある。開放位置にあっては、周知の如く、空の補充ユニットをディスペンサー筺体10から取り外し、満杯の補充ユニットと交換することができる。壁装着石鹸ディスペンサー筺体を扱うこの特定の実施形態では、補充ユニットは通常はコンテナとポンプの組み合わせであり、ここでコンテナは石鹸あるいはその他のハンドトリートメント製品を貯留し、ポンプはコンテナに連通させてあってコンテナから石鹸やハンドトリートメント製品を小出しする。一部実施形態では、ディスペンサー筺体10の押動バー18を操作して補充ユニットのポンプに係合させ、コンテナ内の製品をユーザーの手の上へ小出しさせる。他の実施形態では、ディスペンサー筺体内のセンサーが小出し領域下方の手の存在を感知し、製品を小出しする機構を起動する。
【0012】
図2から判るように、カバー14の頂壁20は、カバー14から背面プレート12へ向かって延出する掛止部22を担持している。図2図3図6図8から判るように、背面プレート12は捕捉部24を担持しており、これが掛止部22と相互作用し、ディスペンサー筺体を図1の閉鎖位置に保つ。掛止部22は、可撓性延長部26と傾斜面30と係止面32とを有する面取りされた頭部28とを含んでいる。捕捉部24は掛止当接面34と係止面36とを含んでおり、カバー14が開放位置から閉鎖位置へ移動する際に、面取りされた頭部28の傾斜面30が捕捉部24の掛止当接面34に係合し、可撓性延長部26を屈曲させ、面取りされた頭部28が捕捉部24を通過できるようにする。可撓性延長部26がその非屈曲形状に向け復帰するので、面取りされた頭部28が捕捉部24を一旦通過すると、それは図3に示す施錠位置へ上方に付勢される。このことで、係止面32、36は整列状態(本実施形態では水平方向の整列状態)に配置され、カバー14は掛止部22と捕捉部24との相互作用により背面プレートに固定される。カバー14をヒンジ16上で背面プレート12から開放させ、例えばディスペンサーを点検したり補充ユニットを取り出して交換するには、係止面32、36を整列状態から離脱させねばならない。
【0013】
掛止部22と捕捉部24は、本明細書では広義に閉鎖機構と呼ぶものを形成しており、本明細書に教示する概念に従い実質如何なる閉鎖機構も採用しうるものであって、本発明が掛止機構と捕捉機構の特定の相互作用にあるいはそれにより限定されないことを理解されたい。また、この詳細な説明の項に対する導入節において既に触れたように、掛止部と捕捉部は他の仕方で配置することができる。また、掛止部と捕捉部はこの種の機構等の様々な形態をとることができ、それらの相互作用が周知であることは明白となろう。
【0014】
本発明によれば、図4に斜視図にて示す鍵40は、個人が携帯し、この鍵40を用いて掛止部22が操作できるようにするか、あるいはディスペンサー筺体10に搭載して解錠機構60(図6)を定置し、解錠機構60を操作して掛止部22を動かせるようにするか、いずれも可能である。ディスペンサー筺体10に鍵を搭載せず、代わりに個人が携帯して使用するときは、解錠機構60は捕捉部24から掛止部22を離脱させるに足る移動を阻止される。
【0015】
鍵40は、鍵頭部42がそこから延出する本体41と、解錠支持部43と、板部44とを含んでいる。板部44は開口46を有しており、それは見てとれるように、鍵40をディスペンサー筺体10に、特に背面プレート12に固定するのに役立てることができる。
【0016】
図4図6を参照するに、鍵40をディスペンサー筺体10に対し選択的に搭載できることが見てとれ、本実施形態では、背面プレート12に搭載して図示してあるが、本発明概念はその他の仕方で配置される鍵40の搭載をもって実施しうることが理解されよう。本実施形態では、背面プレート12は鍵40を受容してそれを背面プレート12に対し保持するよう適切に構成された鍵搭載部(概ね47にて指し示す)を備える。鍵搭載部47は背面プレート12の内面49に鍵頭部搭載ブラケット48を含んでおり、この鍵頭部搭載ブラケット48は支持部開口50から適当な距離だけ離間させてあり、鍵頭部42を鍵頭部搭載ブラケット48に搭載したときに鍵40の解錠支持部43が支持部開口50を介して延出するようにしてある。背面プレート12に対し鍵40を固定するには、支持部43を支持部開口50内へ挿入し、続いて鍵頭部42を鍵頭部搭載ブラケット48内の所定位置へ弾装する。本実施形態では、鍵40の板部44を背面プレート12の内方延出棚状突起51に対し突き合わせてあり、タブ55が開口46内に延在して鍵40を背面プレート12に対しさらに固定し、この搭載位置から鍵40が偶発的に取り外されるのを困難にしている。鍵頭部搭載ブラケット48における点線から判るように、鍵頭部42は凹部57内に延在していて、その中に弾装されている。
【0017】
図6図7の背面図から判るように、解錠支持部43はそれぞれがその固有の関連解錠機構60に、特に施錠延長部62にて係合するよう係合させてある。2個の対向する解錠機構を図示し、ユーザーにとって易しい解錠機構の押し込み操作を可能にするのに役立つとしたが、ここでの概念は解錠機構60とも良好に奏功するであろうことは理解されよう。特に、解錠支持部43は施錠延長部62を支持しており、この特定の実施形態ならびに方針では、それらが背面プレート12上の係止面52上方に常駐するようにしてある。施錠延長部62はそれぞれ解錠機構60の釦64まで延在しており、これらの釦は付勢支持部66により図6の位置へ付勢されており、その付勢支持部66は本実施形態では背面プレート12内に形成した付勢機構搭載部53(図示5)に係合している。図11から判るように、付勢支持部66は釦64に一体形成してあるが、それらを必ずしもそのように形成しなければならないことはない。付勢支持部66は当然ながらこれに対し特定の関係にある釦64から延出しており、背面プレート12へ解錠機構60を搭載したときに、付勢機構搭載部53内へ付勢支持部66を押し込んだ状態で、付勢支持部66は付勢支持部53に対し押しぎみとなり、背面プレート12の側壁54と面一の図6に示す位置へ釦64を移動させる。各釦64からは掛止解錠延長部68が延出しており、掛止部22の各端部において斜面72に整列配置される斜面70を備える。
【0018】
図6図7の比較から判るように、両釦64を相互に押圧して解錠機構の斜面70を掛止部22の斜面72に対し押圧するとともに掛止部22を下方へ押圧し、図7の捕捉部24の係止面32を露出させることで見てとれる如く、係止面32、36がもはや整列しなくなるようにできる。捕捉部24から掛止部22が離脱した状態で、背面プレート12からカバー14を開放することができる。特に、解錠支持部43は係止面52上方に解錠機構の施錠延長部62を保持し、これによって両釦は図7に示す如く相互に押圧できるようになる。図6図7に示したこの位置は、ここでは解錠機構60の「鍵誘引位置」として理解されたい。これは、これから開示しようとする位置でかつ鍵40がディスペンサー筺体10に搭載されていない休止位置とは識別されねばならない。
【0019】
図8を参照するに、ディスペンサー筺体10から鍵40を取り外した状態では、解錠機構の施錠延長部62は若干下方へ延出していて、それらが係止面52に側方整列することが見てとれる。かくして、釦は、図7に先に示したように、内方への移動を阻止される。この休止位置にあっては、解錠機構60を用いてディスペンサー筺体を開放することはできない。その代わりに、図8図10に示す如く、鍵40を使用しなければならない。特に、鍵40は鍵頭部42がディスペンサー筺体10の頂面内、すなわち本実施形態では背面プレート12内の鍵穴76に適切に配向された状態に定置する。この鍵穴76は、掛止部22の面取りされた頭部28に整列させてあり、図10中の捕捉部24の係止面32を露出させることで見てとれるように、両係止面32、36を整列ずれさせることにより、鍵穴76内への鍵頭部42の挿入が最終的に鍵頭部42に面取りされた頭部28を係合させてそれを下方へ押圧し(図10)、掛止部22を捕捉部24から離脱させられるようになっている。かくして、鍵40を用いることで、掛止部22を捕捉部24から離脱させることができ、ディスペンサー筺体10を開放することができる。このことは、鍵がディスペンサー筺体に搭載されていようがいまいが当てはまる。板部44はユーザーが鍵40を下方へ押圧するのに若干の支えをもたらし、鍵頭部42が掛止部22に係合する際に個々人の手の中で鍵40が滑らないようにする。
【0020】
ディスペンサー筺体は、所有者がディスペンサー内部が空の補充ユニットの点検用または交換用に如何にアクセスしうるかを決定できるようにしている。損壊あるいは窃盗を懸念するか、さもなくばどの個人にもディスペンサー筺体内部へのアクセスが許容されることに懸念のある所有者にとって、鍵をディスペンサー筺体から取り外し、所有者の所持品内に保留するかあるいは適当な点検要員の所持品内に配置することができる。鍵がディスペンサー筺体に搭載されていない状態では、解錠機構は、たとえ個人が配置しそれなりに認識していようとも、操作してディスペンサー筺体を開放することはできない。事実、ディスペンサー筺体はその構成部品を破損することなく開放するのは困難であろう。所有者がディスペンサー筺体の内容物に対し個人がアクセスを試みるであろう懸念を殆ど抱いていない場合、所有者はディスペンサー筺体に鍵を搭載したままとし、解錠機構を操作してディスペンサー筺体を開放できるようにすることができる。これにより、ディスペンサー筺体の製造業者は鍵と解錠機構とを備える単一のディスペンサー筺体が作製できるようになり、しかも末端の所有者はどの型のディスペンサー筺体か、すなわち一つは鍵による開放か、もう一つは解錠機構操作による開放かを決定できるようになる。
【0021】
前記に照らし、多くの点で構造的かつ機能的に改善されたディスペンサー筺体を提供することで、本発明が技術を著しく前進させたことを理解されたい。本明細書では本発明の特定の実施形態を詳細に開示してきたが、本明細書の発明に対する変形が当業者によって即理解される限り、本発明はそれにあるいはそれにより限定されないことは理解されたい。本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲から理解するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11